JP2006171343A - 液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置することができ、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しない液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び該スペーサ分散液を用いて製造した優れた表示品質の液晶表示装置を提供する。
【解決手段】インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置製造用スペーサ分散液であって、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であり、前記スペーサ粒子が粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子である液晶表示装置製造用スペーサ分散液、好ましくはスペーサ粒子の比重が1.3以下であり、かつスペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaである液晶表示装置製造用スペーサ分散液。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。図1は液晶表示装置の一例を示す断面図である。図1に示されるように、一般に液晶表示装置は、内側に透明電極3、配向膜9、カラーフィルタ4、ブラックマトリクス5等が配置され、外側に偏光板2が配置された2枚の透明基板1が、これらの周囲に配設されたシール材10を介して対向配置され、形成された空隙に液晶7が封入された構成となされている。この液晶表示装置において、2枚の透明基板1の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み(セルギャップ)を維持する目的で使用されているのがスペーサ粒子8である。
従来、これらの液晶表示装置において、スペーサ粒子は、スペーサ粒子散布機で、イソプロパノール等の溶剤を使用したり(湿式散布法)、溶剤を使用せず空気等の圧力で散布したり(乾式散布法)して、基板上に配置されていた。
従来の液晶表示装置の製造方法においては、画素電極が形成された基板上にスペーサ粒子をランダムかつ均一に散布するため、図1に示されるように、画素電極上すなわち液晶表示装置の表示部(画素領域)にもスペーサ粒子が配置されてしまう。スペーサ粒子は一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサ粒子が配置されると、偏光が乱されて偏光性を失うという現象、いわゆる消偏現象が生じて、スペーサ粒子部分が光り漏れを起こすという問題点が発生する。また、スペーサ粒子表面での液晶の配向が乱れることにより、光抜けが起こり、コントラストや色調が低下して表示品質が悪化するという問題点が発生する。また、TFT液晶表示装置においては、基板上にTFT素子が配置されているが、スペーサ粒子がこのTFT素子上に配置されると、基板に圧力がかかったときにTFT素子を破損させてしまうという重大な問題点が発生する。
このようなスペーサ粒子のランダムかつ均一散布にともなう問題点の発生を抑制するために、スペーサ粒子を遮光層(画素領域を画する部分)下にのみ配置することが検討されている。このようにスペーサ粒子を特定の位置にのみ配置する方法として、例えば、開口部を有するマスクの開口部と配置させたい位置とを合わせた後にスペーサ粒子を開口部に相当する位置にのみ配置するカラー液晶パネルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、感光体に静電的にスペーサ粒子を吸着させた後に透明基板に転写する液晶表示装置およびその製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらの方法は、基板上にマスクや感光体が直接接触するために、基板上の配向膜が損傷しやすくなって、表示品質の低下を来すという問題点がある。
また、基板上の画素電極に電圧を印加して帯電させたスペーサ粒子を散布することにより、静電的斥力によって特定の位置にスペーサ粒子を配置させる液晶表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、この方法は、配置させるパターンに従った電極を必要とするため、スペーサ粒子を完全に任意の位置に配置することは不可能であり、適用できる液晶表示装置の種類が制約されるという問題点がある。
一方、スペーサ粒子をインクジェット装置を用いて電極基板上に分散配置する、すなわち、インクジェット法によってスペーサ粒子を配置する液晶表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、前記方法のように基板そのものに直接接触することがなく、また、任意の位置に任意のパターンでスペーサ粒子を配置することができるので、有効な方法であるといえる。
しかしながら、このようなインクジェット法で用いられるスペーサ分散液は、スペーサ粒子と溶媒との比重差があると、スペーサ粒子は沈降しやすく、その結果、スペーサ分散液の濃度にムラができ、スペーサ粒子の散布密度に差がでてしまうという問題点がある。
このため、スペーサ分散液を攪拌等を行い循環して供給する装置が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、循環して供給する方式では、循環するとノズル面の水頭圧が変わり吐出精度が悪くなり、ひどい場合は吐出しなくなるため、ノズルから吐出している間は循環できず、スペーサ分散液の分散安定性が十分でないという問題点があった。
また、循環スペーサ粒子と溶媒との比重差が0.05以下とするスペーサ分散液が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、スペーサ粒子と溶媒との比重差を小さくするには限界があり、スペーサ粒子の材質や溶媒種類の選定には制限があった。
特開平4−198919号公報 特開平6―258647号公報 特開平10−339878号公報 特開平11−24083号公報 特開2002−341352号公報 特開2002−333631号公報
本発明は、上記現状に鑑み、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置することができ、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しない液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び該スペーサ分散液を用いて製造した優れた表示品質の液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置製造用スペーサ分散液であって、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であり、前記スペーサ粒子が粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子である液晶表示装置製造用スペーサ分散液を提供する。
また、請求項2記載の発明は、スペーサ粒子の比重が1.3以下であり、かつスペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaである請求項1記載の液晶表示装置製造用スペーサ分散液を提供する。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の液晶表示装置製造用スペーサ分散液を、インクジェット方式により、基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置を提供する。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置製造用スペーサ分散液(以下、単に「スペーサ分散液」ともいう)である。
[基板]
本発明において、スペーサ粒子を配置する基板としては、液晶表示装置のパネル基板として一般的に用いられるものが使用でき、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が使用できる。これらの基板は2枚1組で構成されているが、その内の一方の基板は、一定のパターンに従って配列された画素領域(表示部分)と画素領域を画する遮光領域(非表示部分)とからなる。具体的には、例えば、その基板はカラーフィルタ基板であって、一定のパターンに従って配列された画素領域がカラーフィルタであり、これら画素領域が実質的にほとんど光を通さないクロム等の金属やカーボンブラック等が分散された樹脂等からなる遮光領域(ブラックマトリクス)で画されている。
[基板へのスペーサ粒子の散布・配置方法]
本発明において、上記基板上へのスペーサ粒子の配置方法としては、スペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置することが好適に行えるため、インクジェット方式が用いられる。インクジェット方式により基板上へスペーサ粒子を配置する方法が、表示品質の上で、画素領域を画する遮光領域(非表示部分)にのみ選択的に配置できるという利点があり、また、スペーサ粒子の使用効率の点でも良好となる。
[スペーサ粒子]
本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であり、前記スペーサ粒子が粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子であることが必要である。
上記スペーサ粒子としては特に限定されず、例えば、シリカ粒子等の無機系粒子であってもよく、有機高分子粒子等の有機系粒子であってもよい。なかでも、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、更にセル内部でのスペーサ粒子の移動が比較的少ない等の長所を有していることから、有機高分子粒子が好適に用いられる。
上記有機高分子粒子としては特に限定されず、通常は強度等から単官能単量体と多官能単量体とからなる樹脂粒子が使用される。この際、単官能単量体と多官能単量体の配合比率は特に限定されず、得られる樹脂粒子に要求される強度や硬度により適宜調整される。
上記単官能単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類及びその誘導体等が挙げられる。これら単官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ここで、例えば、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。
上記多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、トリアリルイソシアネート、ベンゾグアナミン等が挙げられる。これら多官能単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
また、上記単官能単量体又は多官能単量体として、親水性基を有する単量体が用いられてもよい。
上記親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、アミノ基、アミド結合、エーテル結合、チオール基、チオエーテル結合等が挙げられる。
上記親水性基を有する単量体の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸、及び、それらのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノ2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル誘導体等のカルボキシル基を有する単量体;t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホニル基を有する単量体;ビニルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等のホスホニル基を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレートやジエチルアミノエチルメタクリレート等のアクリロイル基を有するアミン類等のアミノ基を有する化合物;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基とエーテル結合とをともに有する単量体;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートの末端アルキルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン等のアミド結合を有する単量体等が挙げられる。
本発明におけるスペーサ粒子の粒子径は、1〜10μmであることが好ましい。また、CV値(粒子径分布の標準偏差を平均粒子径で除して百分率とした値)は、5%以下であることが好ましい。
本発明におけるスペーサ粒子は、粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子であることが必要である。
粒子内における空隙の数は、特に限定されるものではなく、1個(単孔)であってもよいし、2個以上の複数個(多孔)であってもよい。なかでも、複数個の空隙部が存在し、空隙部と空隙部とを粒子内部で仕切る厚いポリマー隔壁がピラーの働きをして十分な圧縮強度を確保できるため空隙部を複数個有する内部モルホロジーを呈することが好ましい。
また、空隙内は、空気のような気体でも、溶剤等の液体でもかまわないが、中空粒子の比重を小さくすることができるため、気体が好ましい。空隙内が液体の場合は、液体の比重が小さいほうが好ましい。
なお、粒子内における空隙の有無及び数は、透過型電子顕微鏡を用いて確認することができる。
上記中空粒子を得る方法としては、例えば、樹脂粒子に発泡剤を含有させておき後にこの発泡剤を発泡させる方法;樹脂粒子中に揮発性物質を封入しておき後にこの揮発性物質をガス化膨張させる方法;樹脂粒子を溶融させ、これに空気等の気体を注入させる方法;重合性単量体と非重合性の溶剤を混合して重合し、溶剤を内包した樹脂粒子を得た後溶剤を除去する方法(以下、溶剤除去法ともいう)等が挙げられる。なかでも、所定の中空粒子を安定的に製造しやすく、粒子強度の満足するものが得やすいため、溶剤除去法が好ましい。
上記溶剤除去法の具体的方法としては、例えば、親水性単量体、架橋性単量体、その他単量体から成る単量体成分に油性物質を共存せしめて分散液を調整し、単量体を重合させて樹脂粒子を得、次に油性物質を除去して単孔の中空粒子を製造する方法(特公平5−40770号公報に記載の方法);重合性単量体を架橋性単量体と疎水性揮発性溶剤の存在下に水中で懸濁重合せしめ、乾燥して疎水性揮発性溶剤を揮散させ多孔の中空粒子を製造する方法(特開昭63−170436号公報に記載の方法)、重合性単量体と非重合性の溶剤を混合して重合する際、重合開始剤の10時間半減期温度よりも10℃以上高い温度で重合する方法(特開2004−91517号公報に記載の方法)等が挙げられる。
本発明におけるスペーサ粒子を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法等が挙げられ、いずれの製造方法が採られてもよいが、有効な空隙を内包する粒子を形成しやすいことから懸濁重合法が好ましく用いられる。
上記製造方法のなかでも、懸濁重合法は、粒子径分布が比較的広く、多分散の粒子を得ることができるので、多品種の粒子径の粒子を製造する目的に適している。但し、懸濁重合法による粒子をスペーサ粒子として用いる場合には分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有するものを選別して用いることが好ましい。また、シード重合法は、分級操作を必要とせず、単分散の粒子を得ることができるので、特定の粒子径の粒子を大量に製造する目的に適している。
上記懸濁重合法とは、媒体として単量体の貧溶媒を用い、単量体及び重合開始剤からなる単量体組成物を、目的とする粒子径や粒子径分布となるように上記媒体中に分散して重合する方法である。懸濁重合における媒体(貧溶媒)としては、通常、水に分散安定剤を添加したものが用いられる。上記分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等の水溶性高分子等が挙げられる。また、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤等も適宜使用される。
懸濁重合の重合条件は、使用する重合開始剤や単量体の種類により適宜決定されればよく、特に限定されるものではないが、通常、重合温度が50〜80℃であって、重合時間が3〜24時間であることが好ましい。
上記シード重合法とは、ソープフリー重合法や乳化重合法で作製した単分散の種粒子を、さらに単量体を吸収させることにより、狙いの粒子径にまで膨らませる重合方法である。上記種粒子に用いられる単量体としては、特に限定されるものではないが、シード重合時の相分離を抑制するために、シード重合時に用いられる単量体と近似の単量体が好適に用いられるが、なかでも、粒子系分布の単分散性が良好であることから、スチレン及びその誘導体等がより好適に用いられる。
上記種粒子の粒子径分布は、シード重合後の粒子径分布にも反映されるので、できるだけ単分散であることが好ましく、CV値として5%以下であることが好ましい。シード重合時には種粒子との相分離が起きやすいため、シード重合時に種粒子に吸収させる単量体は、できるだけ種粒子の作製に用いられた単量体と近似の単量体であることが好ましい。例えば、種粒子がスチレン系樹脂からなる場合、種粒子に吸収させる単量体は芳香族系ジビニル単量体であることが好ましく、種粒子がアクリル系樹脂からなる場合、種粒子に吸収させる単量体はアクリル系多官能ビニル単量体であることが好ましい。
上記シード重合に際しては、必要に応じて、分散安定剤が用いられてもよい。上記分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等の水溶性高分子が挙げられる。また、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤等も適宜使用される。
シード重合において、種粒子に対する上記単量体の添加量は、特に限定されるものではないが、種粒子1重量部に対して、単量体20〜100重量部であることが好ましい。
上記シード重合に使用する媒体としては特に限定されず、使用する重合性単量体によって適宜決定されるべきであるが、例えば、水や、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類、炭化水素等の有機溶媒を挙げることができ、これらを単独、又は、これらと互いに相溶しあう混合溶媒として用いることができる。
上記架橋性単量体を含有する単量体中における架橋性単量体の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる架橋粒子の強度等を考慮すると、30重量%以上であることが好ましい。架橋性単量体を含有する単量体中における架橋性単量体の含有量が30重量%未満であると、重合時に生成した粒子の表面が媒体中で柔らかくなるため、粒子同士の衝突によって合着が起こり、得られる架橋粒子の粒子径分布が好ましくない程度にまで広がったり、凝集体となってしまうことがある。また、たとえ単分散性を保っても、架橋密度が低くなって、スペーサ粒子として必要な破壊強度を十分に得られなくなることがある。
上記重合の際には、重合開始剤が用いられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。なお、上記重合開始剤の使用量は、前記単量体100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
上記溶剤除去法における溶剤としては、揮発により除去できる溶剤であれば特に限定されず、例えば、直鎖又は側鎖を有する脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素等の炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン、3−ペンタノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸ブチル等のエステル類;四塩化炭素、クロロホルム、トリクレン、クロロベンゼン等のハロゲン化物;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルエチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等のシリコーン類等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記溶剤の添加量は、少なすぎると粒子の空隙部が少なくなり、多すぎると空隙部が多くなりすぎて粒子の強度が低下するため、重合性単量体100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。
また、重合性単量体と溶剤のSP値を近づけることで、重合中にポリマー成分と溶剤とが相分離することが抑制され、粒子内部に緻密な複数の空隙部を有する中空粒子を得ることができる。
上記溶剤の沸点は、重合後の溶剤の除去を速やかにするため100℃以下であることが好ましい。
上記溶剤除去法においては、重合中は溶剤が揮発しないように気密系とすることが好ましい。また、溶剤の除去は、得られた樹脂粒子を蒸気、熱風等により加熱したり、減圧条件下にさらすことにより行い、中空粒子とすることができる。この際、重合後に媒体から樹脂粒子を分離することなく上記操作により中空粒子とすることも可能である。
本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であることが必要である。スペーサ分散液におけるスペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であるため、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しないスペーサ分散液が得られる。
従って、後述するスペーサ分散液の媒体の比重とスペーサ粒子の比重とは、比重差が0.05以下の近い比重であることが必要である。一般的に、スペーサ分散液の媒体の比重は0.75〜1.35のものが用いられるため、比重の小さい樹脂粒子を得るためには、樹脂粒子を中空粒子とすることが有効となる。
本発明においては、スペーサ粒子の比重は、1.3以下であることが好ましい。
なお、スペーサ粒子の比重は、アキュピック乾式密度測定装置を用い、定容積膨張法により測定することができる。また、スペーサ分散液の媒体の比重は、比重瓶等を用いる常法により測定することができる。測定温度は、通常、20℃で行なわれる。
本発明におけるスペーサ粒子は、液晶表示装置のスペーサ(ギャップ材)として用いられるので、一定の圧縮強度等の強度を有していることが好ましい。スペーサ粒子の圧縮強度を示す指標として、スペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)を採ると、液晶表示装置のスペーサとしては、スペーサ粒子の上記圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaであることが好ましい。スペーサ粒子の上記圧縮弾性率(10%K値)が2000MPa未満であると、液晶表示装置を組立てる際のプレス圧により、スペーサ粒子が変形して適切なギャップが出にくくなることがあり、15000MPaを越えると、スペーサ粒子が液晶表示装置に組み込まれた際に、基板上の配向膜を傷つけて表示異常が発生することがある。
従って、本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、スペーサ粒子の比重が1.3以下であり、かつスペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaであることが好ましい。
なお、上記圧縮弾性率(10%K値)とは、柔軟なスペーサ粒子の硬さを正確に把握するために、以下の方法で測定した値を意味する。
〔圧縮弾性率(10%K値)の測定方法〕
例えば特表平6−503180号公報に記載されているように、測定装置として微小圧縮試験器(型式「PCT−200」、島津製作所製)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑な端面でスペーサ粒子を圧縮し、スペーサ粒子の直径が10%変位したときの圧縮荷重を求める。
上記スペーサ粒子は、液晶表示装置の表示品質の1つであるコントラストを向上させるために、着色されていてもよい。上記スペーサ粒子の着色方法としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等の着色剤による着色処理法や、スペーサ粒子の表面に有機物の膜を形成し、この有機物の膜を高温で分解又は炭化させて着色する方法等が挙げられる。なお、スペーサ粒子を形成する材質自体が着色している場合には、着色処理を施すことなく、そのまま用いてもよい。
また、上記スペーサ粒子には、スペーサ分散液中でのスペーサ粒子の分散性や安定性を高めたり、電気泳動効果により配線部等の段差部近傍にスペーサ粒子を集めやすくするために、帯電可能な処理が施されていてもよい。
帯電可能な処理とは、スペーサ粒子が、スペーサ分散液中でも何らかの電位を持つように処理することであり、この電位(電荷)は、ゼータ電位測定器等の既存の方法によって測定できる。
帯電可能な処理を施す方法としては、例えば、スペーサ粒子に荷電制御剤(帯電制御剤)を含有させる方法、帯電しやすい単量体を含む単量体からスペーサ粒子を製造する方法、スペーサ粒子に帯電可能な表面処理をする方法等が挙げられる。
スペーサ粒子に荷電制御剤を含有させる方法としては、例えば、荷電制御剤が重合性官能基を有する場合には、スペーサ粒子を重合する際に、前記単量体とともに共重合させて、荷電制御剤をスペーサ粒子に導入してもよいし、後述する表面修飾を行う際に共重合させて、荷電制御剤をスペーサ粒子に導入してもよい。また、荷電制御剤がスペーサ粒子や表面修飾後の表面官能基と反応する反応性官能基を有する場合には、それらの反応性官能基と例えばエステル化反応やウレタン反応等の化学反応をさせて、荷電制御剤をスペーサ粒子に導入してもよい。更に、荷電制御剤が上記重合性官能基や反応性官能基を有していない場合でも、スペーサ粒子作製時に単量体と荷電制御剤とを混合して、重合させながら荷電制御剤をスペーサ粒子中に含有させてもよい。
上記荷電制御剤としては、例えば特開2002−148865号公報に記載されているような化合物を使用することができ、その具体例としては、例えば、有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ系染料金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ヒドロキシルカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等の芳香族カルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、非金属カルボン酸系化合物、ニグロシン及びその脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(上記レーキ化剤としては、例えば、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等が挙げられる)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジシクロヘキシル錫オキサイド等のジオルガノ錫オキサイド類、ジブチル錫ボレート、ジオクチル錫ボレート、ジシクロヘキシル錫ボレート等のジオルガノ錫ボレート類等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記の、帯電しやすい単量体を含む単量体からスペーサ粒子を製造する方法としては、上述したスペーサ粒子に用いられる単量体として、親水性基を有する単量体を組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
これらの荷電制御剤や帯電しやすい単量体の中から、適宜適切なものを選択することにより、スペーサ粒子は、周囲の環境に対して正に帯電させたり、負に帯電させたりすることができる。
また、上記スペーサ粒子は、表面に接着層が設けられてもよいし、液晶表示装置に用いる場合に、スペーサ粒子周辺の液晶の配向を乱さないための表面修飾が施されていてもよい。
上記表面修飾の方法としては、例えば、特開平1−247154号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面に樹脂を析出させて修飾する方法、特開平9−113915号公報や特開平7−300587号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面の官能基と反応する化合物を作用させて表面修飾する方法、特開平11−223821号公報や特開2003−295198号公報に開示されているようにスペーサ粒子表面でグラフト重合を行って表面修飾する方法等が挙げられる。これらの表面修飾を行う際、上述のスペーサ粒子に帯電可能な表面処理を行うこともできる。
上記表面修飾の方法のなかでも、液晶表示装置のセル中で表面修飾層の剥離や液晶への溶出という不具合が起こりにくいことから、スペーサ粒子表面に化学的に結合した表面層を形成して表面修飾する方法が好ましく、とりわけ、密度の高い表面層を十分な厚みで形成することができることから、上記特開平9−113915号公報に開示されているように表面に還元性基を有するスペーサ粒子に酸化剤を反応させ、スペーサ粒子表面にラジカルを発生させてスペーサ粒子表面にグラフト重合を行うことにより表面修飾する方法がより好ましい。この方法において帯電可能な表面処理を行うには、グラフト重合を行う際、単量体として親水性基を有する単量体が組み合わせて用いられる。
このように表面処理を施すことにより、スペーサ粒子の基板に対する接着性が高まったり、使用する単量体を適宜選択すれば、液晶表示装置での液晶の配向が乱されなくなるという効果もある。
[スペーサ分散液]
本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、上述したスペーサ粒子が媒体(分散媒体)中に分散されてなる。
上記媒体としては、インクジェット装置のヘッドのノズルから吐出される温度で液体である溶媒であって、スペーサ粒子を分散させることができるものであれば如何なる化合物であってもよく、特に限定されるものではないが、なかでも、水や親水性有機溶媒が好適に用いられる。
一部のインクジェット装置のヘッドは水系媒体に適するものとなされているので、そのようなヘッドを用いる場合には、媒体が疎水性の強い有機溶媒であると、ヘッドを構成する部材が媒体に侵されたり、部材の接着に用いられた接着剤の一部が媒体中に溶出する等の問題が生じる。従って、スペーサ分散液の媒体は、水や親水性有機溶媒であることが好ましい。
上記水としては、例えば、イオン交換水、純水、地下水、水道水、工業用水等が挙げられる。なかでも、イオン交換水、純水が好ましい。
上記親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;エチレングリコール類やプロピレングリコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;エチレングリコール類やプロピレングリコール類のジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;エチレングリコール類やプロピレングリコール類のモノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類;1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;ジオール類のエーテル誘導体;ジオール類のアセテート誘導体;グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;多価アルコール類のエーテル誘導体;多価アルコール類のアセテート誘導体等や、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルホラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルホン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。これらの親水性有機溶媒は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。また、上記水および親水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
本発明においては、上述したように、スペーサ分散液の媒体の比重は、上記溶媒を単独又は組み合わせて使用され、0.75〜1.35のものが好適に用いられる。
本発明においては、インクジェット方式によって基板上に着弾したスペーサ分散液の液滴径や乾燥速度等の制御のために、スペーサ分散液や溶媒の表面張力、及び溶媒の沸点を適宜好適な範囲にすることが好ましい。このため、上記溶媒を組み合わせて用いることが好ましい。
本発明におけるスペーサ分散液の媒体は、沸点が100℃未満の親水性有機溶媒が含有されていることが好ましく、沸点が70℃以上100℃未満の親水性有機溶媒が含有されていることがより好ましい。なお、本発明で言う沸点とは、1気圧の条件下での沸点を意味する。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類やアセトン等が好ましく使用される。これらは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒は、スペーサ分散液を基板上に吐出して乾燥させる際に、比較的低い温度で揮発する。媒体が高温で配向膜に接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示品質を損なうことがあるため、乾燥温度をあまり高くすることができない。従って、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒を用いることが好ましい。ただし、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒が室温で揮散しやすいと、スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に凝集粒子が発生しやすくなったり、インクジェット装置のノズル付近に位置するスペーサ分散液が乾燥しやすくなって、インクジェット装置による吐出性が損なわれたりするので、室温で揮散しやすい親水性有機溶媒は好ましくない。
上記媒体中における沸点が100℃未満の親水性有機溶媒の含有量は、5〜80重量%であることが好ましい。5重量%未満であると、本発明で適用される比較的低い乾燥温度における分散液としての乾燥速度が遅くなり、生産効率が低下することがあり、80重量%を超えると、スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥しやすくなって、凝集粒子が発生したり、インクジェット装置のノズル付近のスペーサ分散液が過剰に乾燥して、吐出性や吐出精度が損なわれることがある。
上記媒体中の、沸点が100℃未満の親水性有機溶媒に混合される溶媒としては、沸点が100℃以上の溶媒が挙げられるが、上記媒体中には、水と沸点が150℃以上の親水性有機溶媒とが含有されていることが好ましく、水と沸点が150〜200℃の親水性有機溶媒とが含有されていることがより好ましい。沸点が200℃を超えると、スペーサ分散液の乾燥時間が著しく長くなって生産性が低下したり、配向膜が汚染されて液晶表示装置の表示品質が損なわれることがある。
本発明において、インクジェット方式によって基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴の表面張力は、高い方がスペーサ粒子を乾燥過程で移動させるのに適している。基板上に着弾したスペーサ分散液の液滴径が小さくなるため、スペーサ分散液の表面張力は、33mN/m以上にすることが好ましい。
一方、インクジェット装置は、吐出する液体(スペーサ分散液)の表面張力が30〜[インクジェット装置のヘッドにおけるインク室部分の接液部分の表面張力+2]mN/mであると吐出しやすいことがわかった。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶媒は、20℃における表面張力が38mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以下であることがより好ましい。また、上記沸点が100℃以上の溶媒は、20℃における表面張力が38mN/m以上であることが好ましい。
沸点が100℃未満の親水性有機溶媒の20℃における表面張力が38mN/m以下であると、吐出時においてはスペーサ分散液の表面張力が比較的低い状態にあるので、良好な吐出精度を得ることが可能となり、基板上に着弾後はスペーサ分散液中の他の媒体成分より先に揮散して、スペーサ分散液の表面張力が高くなるので、乾燥過程におけるスペーサ粒子の移動が容易となる。
また、沸点が150℃以上で20℃における表面張力が38mN/m以上の親水性有機溶媒が混合されることにより、後退接触角を5度以上とすることが容易になる。すなわち、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾後は、より低沸点の水や親水性有機溶媒が揮散した後に、スペーサ分散液の表面張力が高くなり、着弾地点中心に向かってのスペーサ粒子の移動が起こりやすくなるので好ましい。
一方、20℃における表面張力が38mN/m未満で、沸点が100℃以上の溶媒が混合されていると、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾後は、沸点が100℃未満の表面張力の低い溶媒が先に揮散し、残された分散液の表面張力が初期より低くなることがあり、着弾液滴径が小さくならず、着弾地点中心に向かってのスペーサ粒子の移動が起こりにくくなる。ひどい場合には、着弾液滴径が初期より拡がってしまうことがある。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の低級アルコールエーテル類等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶媒は、スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥して凝集粒子が発生するのを抑制したり、インクジェット装置のノズル付近でスペーサ分散液が過剰に乾燥して吐出性や吐出精度が損なわれるのを抑制する。
上記媒体中における沸点が150℃以上の親水性有機溶媒の含有量は、0.1〜95重量%であることが好ましく、0.2〜90重量%であることがより好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、沸点が150℃以上の親水性有機溶媒を含有させることによる上記効果を十分に得られないことがあり、含有量が95重量%を超えると、スペーサ分散液の乾燥時間が著しく長くなって生産性が低下したり、配向膜が汚染されて液晶表示装置の表示品質が損なわれることがある。
また、上記スペーサ分散液としては、吐出される基板に対する後退接触角(θr)が5度以上とすることが好ましい。上記後退接触角が5度以上であれば、基板上に着弾したスペーサ分散液の液滴が乾燥する際に液滴の中心に向かって縮小していくとともに、その液滴中に1個以上含まれるスペーサ粒子が液滴の中心に寄り集まってくることが可能となる。その中心にあらかじめ、静電的に作用する力による荷電インクが着弾していれば、その点へのスペーサ粒子の移動がより起こりやすくなりスペーサの配置精度がより向上する。上記後退接触角(θr)が5度未満であると、基板上で液滴の着弾した箇所の中心(着弾中心)を中心として液滴が乾燥し、その液滴径が縮小するとともに、スペーサ粒子がその中心に集まるということは起こりにくくなる。
なお、ここで後退接触角とは、基板上に置かれたスペーサ分散液の液滴が、基板上に置かれてから乾燥するまでの過程で、基板上に最初に置かれた際の着弾径より小さくなりだした時(液滴が縮みだした時)に示す接触角、又は、液滴の揮発成分の内80〜95重量%が揮発した際に示す接触角をいう。
上記後退接触角が5度以上となるようにする方法としては、上述したスペーサ分散液の媒体の組成を調整する方法、基板の表面を調整する方法等が挙げられる。
上記スペーサ分散液の媒体の組成を調整する方法としては、後退接触角が5度以上の溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を混合して用いてもよいが、2種以上の溶媒を混合して用いる方がスペーサ粒子の分散性、スペーサ分散液の作業性、乾燥速度等の調整等が容易なので好ましい。
上記スペーサ分散液として2種以上の溶媒を混合して用いられる場合には、混合される溶媒の中で最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度以上となるように混合することが好ましい。最も沸点の高い溶媒の後退接触角(θr)が5度未満であると、乾燥後期で液滴径が大きくなってしまい、すなわち基板上で液滴が濡れ拡がってしまい、スペーサ粒子が基板上で着弾中心に集まり難くなってしまう。
なお、後退接触角は、いわゆる接触角(液滴を基板に置いた際の初期接触角で、通常はこれを接触角と呼ぶ)に比べ小さくなる傾向があることがわかった。これは、初期接触角は、スペーサ分散液を構成する溶媒に接触していない基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるのに対し、後退接触角は、スペーサ分散液を構成する溶媒に接触した後の基板表面上での液滴の基板に対する接触角であるからと考えられる。すなわち、後退接触角が初期接触角に対して著しく低い場合は、それらの溶媒によって配向膜が損傷を受けているということを示しており、これらの溶媒を使用することは、配向膜汚染に対して好ましいことではないこともわかった。
また、スペーサ分散液は、スペーサ分散液と基板面との初期接触角θが、10〜110度であることが好ましい。スペーサ分散液と基板面との初期接触角が10度未満であると、基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴が、基板上に濡れ拡がった状態となりスペーサ粒子の配置間隔を狭くすることができなくなることがあり、110度を超えると、少しの振動で液滴が基板上を動き回り易くなり、スペーサ粒子の配置精度が悪化したり、スペーサ粒子と基板との密着性が悪くなったりすることがある。
さらに、本発明のスペーサ分散液は、吐出時における粘度が0.5〜15mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜10mPa・sである。スペーサ分散液の吐出時における粘度が0.5mPa・s未満であると、吐出量の制御が困難となって、安定的に吐出することができなくなることがあり、15mPa・sを超えると、インクジェット装置での吐出が困難となることがある。なお、スペーサ分散液の吐出時における粘度を上記好ましい範囲とするために、好ましくは−5℃〜50℃の温度範囲で、インクジェット装置のヘッドの温度をベルチェ素子や冷媒等により冷却したり、ヒーター等により加温したりして、スペーサ分散液の吐出時における液温を調整してもよい。
本発明のスペーサ分散液中におけるスペーサ粒子の固形分濃度は、0. 01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0. 1〜2重量%である。スペーサ分散液中におけるスペーサ粒子の固形分濃度が0.01重量%未満であると、吐出されたスペーサ分散液の液滴中に有効量のスペーサ粒子が含まれなくなることがあり、5重量%を超えると、インクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなったり、吐出されたスペーサ分散液の液滴中のスペーサ粒子の含有量が過剰となって、乾燥過程におけるスペーサ粒子の移動が困難となることがある。
また、本発明のスペーサ分散液においては、スペーサ粒子が上記媒体中に単粒子状に分散していることが好ましい。スペーサ粒子が媒体中に単粒子状に分散していなくて凝集物が存在すると、吐出性や吐出精度が低下したり、インクジェット装置のノズル閉塞が起こることがある。
本発明のスペーサ分散液には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、粘接着性を向上させるための粘接着性付与剤、スペーサ粒子の分散性を向上させたり、表面張力や粘度等の物理的特性を制御して、吐出精度やスペーサ粒子の移動性等を向上させるための界面活性剤(乳化剤)、粘性調整剤、pH調整剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていてもよい。
[インクジェット装置]
次に、スペーサ分散液を基板上に吐出するインクジェット装置について説明する。
本発明におけるインクジェット装置としては、特に限定されるものではなく、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体を吐出するピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体をノズルから吐出するサーマル方式等が挙げられ、いずれの方式のインクジェット装置を用いてもよい。なかでも、スペーサ分散液等吐出物に対して熱的な影響の少ないピエゾ方式が好適に用いられる。
なお、インクジェット装置のヘッドにおけるインク室部分の接液部分の表面張力が[スペーサ分散液の表面張力−2]mN/m以上の親水性の材料で構成されていれば、インクのノズルへの導入性が向上し未吐出ノズルの発生が抑制されるのでなお好ましい。
インクジェット装置のヘッドにおけるインク室部分の接液部分が構成されている親水性の材料としては、セラミック、ガラス、腐食性が少ないSUS等の金属材料等の無機材料、親水性ポリイミド等の親水性の有機材料を用いることができる。なかでも、耐久性の点でセラミック、ガラス、腐食性が少ないSUS等の金属材料等の無機材料が好ましい。
通常のヘッドではこの部分に電圧印加部品との絶縁等のために樹脂等が用いられているが、表面張力が[スペーサ分散液の表面張力−2]mN/m未満の材料では、スペーサ分散液をヘッドに導入する際、スペーサ分散液とのなじみが悪く、気泡が残存しやすくなり、気泡が残存したノズルは吐出できないといった問題が発生することがあるので好ましくない。
また、インクジェット装置のヘッドのノズル口径は、スペーサ粒子の粒子径に対して7倍以上が好ましい。7倍未満であると、粒子径に比較してノズル口径が小さすぎて吐出精度が低下したり、著しい場合はノズルが閉塞し吐出ができなくなることがある。
スペーサ分散液の吐出精度が低下する理由は以下のように説明される。ピエゾ方式のインクジェット装置においては、ピエゾ素子の振動によりピエゾ素子に近接したインク室にインクを吸引し、インク室からインクをノズル先端を通過させて吐出している。液滴の吐出法としては、吐出の直前にノズル先端のメニスカス(インクと気体との界面)を引き込んでから液を押し出す引き打ち法と、メニスカスが待機停止している位置から直接液を押し出す押し打ち法とがあるが、一般のインクジェット装置においては、より小さな液滴を吐出できることから、前者の引き打ち法が主流である。
図2はインクジェット装置のヘッドのノズルからの液滴の吐出状態を示す模式図であり、(a)はメニスカスが軸対称でない場合(スペーサ粒子の粒子径に対しノズル口径が相対的に小さい場合)を示し、(b)はメニスカスが軸対称である場合(スペーサ粒子の粒子径に対しノズル口径が相対的に大きい場合)を示す。
本発明のスペーサ分散液の吐出においては、インクジェット装置のヘッドのノズル口径がある程度大きく、かつ、小液滴の吐出が要求されるため、上記引き打ち法が有効である。
一方、引き打ち法の場合、吐出直前にメニスカスを引き込むため、図2(a)に示すように、インクジェット装置のヘッドのノズル口径がスペーサ粒子8の粒子径の7倍未満と小さい場合、引き込んだメニスカス11近傍にスペーサ粒子8が存在すると、メニスカス11が軸対称に引き込まれなくなるため、メニスカス11を引き込んだ後にスペーサ分散液12を押し出す際に、液滴が直進せず曲がってしまい、吐出精度が低下することがあるので、好ましくない。
また、図2(b)に示すように、インクジェット装置のヘッドのノズル口径がスペーサ粒子の粒子径の7倍以上と大きい場合、引き込んだメニスカス11近傍にスペーサ粒子8があっても、スペーサ粒子8の影響を受けないので、メニスカス11は軸対称に引き込まれ、引き込みの後の押し出しの際、液滴は直進し、吐出精度が良くなると考えられる。
しかしながら、吐出の際の液滴の曲がりをなくすために、不必要にノズル口径を大きくすると、吐出される液滴が大きくなって着弾径も大きくなるため、スペーサ粒子の配置精度が粗くなることがあるので、好ましくない。
インクジェット装置のノズルから吐出されるスペーサ分散液の液滴量としては、10〜80pLであることが好ましい。上記液滴量を制御する方法としては、例えば、インクジェット装置のノズル口径を最適化する方法やインクジェット装置のヘッドを制御する電気信号を最適化する方法等が挙げられる。特にピエゾ方式のインクジェット装置を用いる場合には、後者の方法が好ましい。
インクジェット装置におけるヘッドには、上述したようなノズルが、複数個かつ一定の配置方式(ヘッドの移動方向に対して直交する方向に等間隔で例えば64個や128個等の複数個)で設けられている。また、これらが例えば2列等の複数列で配置されている場合もある。このノズル間の間隔は、ピエゾ素子等の構造やノズル口径等の制約を受けるので、スペーサ分散液をこの間隔以外で基板に吐出する場合、その吐出間隔それぞれにヘッドを準備するのは難しい。従って、ヘッドの間隔より小さい場合には、ヘッドのスキャン(移動)方向に通常は直角に配置されているヘッドを基板と平行を保ったまま基板と平行な面内で傾ける(回転させる)方法を採るのが好ましく、また、ヘッドの間隔より大きい場合には、全てのノズルで吐出するのではなく、一定のノズルのみで吐出したり、加えて、ヘッドを傾けたりする方法を採ることが好ましい。
また、生産性を向上させるために、このようなヘッドを複数個インクジェット装置に取り付けることも可能であるが、取り付けるヘッド数を増やすと制御の点で複雑になるので注意を要する。
[インクジェット方式による基板へのスペーサ粒子の散布・配置方法]
本発明においては、インクジェット装置を用いて、液晶表示装置を構成する一方の基板の遮光領域に対応する領域にスペーサ分散液を吐出することが好ましい。スペーサ分散液の液滴を着弾させる際に、スペーサ分散液のスペーサ分散液が吐出される基板に対しての後退接触角(θr)が5度以上となるようにすることが好ましい。また、好ましくは、スペーサ分散液として少なくとも1種類の溶媒を含有するスペーサ分散液を用い、上記溶媒の中で最も沸点の高い溶媒のスペーサ分散液が吐出される基板に対しての後退接触角(θr)が5度以上となるようにする。なお、基板全体が全て後退接触角(θr)が5度以上である必要はなく、少なくともスペーサ分散液を着弾させる箇所がこれを満たせばよい。
上記スペーサ分散液やスペーサ分散液中に含有される最も沸点の高い溶媒のスペーサ分散液が吐出される基板に対しての後退接触角(θr)を5度以上とする方法としては、例えば、基板の表面を低エネルギー表面とする方法や、前述したようにスペーサ分散液を構成する媒体の組成を調整する方法等が挙げられ、いずれの方法を採ってもよいし、両方法を併用してもよい。
上記基板の表面を低エネルギー表面とする方法としては、例えば、基板の表面にフッ素樹脂膜やシリコーン樹脂膜等の低エネルギー表面を有する樹脂膜を設ける方法や、基板の表面に配向膜と呼ばれる樹脂薄膜(通常は、厚み0.1μm以下)を設ける方法等が挙げられ、なかでも、基板の表面は液晶分子の配向を規制する必要もあることから、上記配向膜を設ける方法を採ることが好ましい。
上記配向膜としては、一般的にポリイミド樹脂膜が用いられる。上記ポリイミド樹脂膜は、溶剤に可溶なポリアミック酸を基板上に塗工した後、熱重合させたり、可溶性ポリイミド樹脂を基板上に塗工した後、乾燥させたりすることにより、作製することができる。上記ポリイミド樹脂膜のなかでも、基板の表面をより低エネルギー表面とすることができることから、長鎖の側鎖や主鎖を有するポリイミド樹脂膜が好適に用いられる。
基板上に設けられた上記配向膜は、液晶分子の配向を制御するために、表面をラビング処理されることが好ましい。なお、スペーサ分散液を構成する媒体としては、上記配向膜を溶解したり配向膜中に浸透したりして、配向膜を汚染することのない溶媒を選択して用いることが好ましい。
本発明においては、スペーサ分散液が吐出される基板の遮光領域に対応する領域中に上記低エネルギー表面を有する箇所を設けておき、着弾後のスペーサ分散液の液滴が上記低エネルギー表面を有する箇所に存在するようにするために、この低エネルギー表面を有する箇所を狙ってスペーサ分散液の液滴を着弾させることが好ましい。
ここで言う遮光領域に対応する領域とは、例えば、基板がカラーフィルタ基板であればブラックマトリクスのことを意味し、また、2枚1組の基板の内の一方の基板(TFT液晶パネルであればTFTアレイ基板)を遮光領域を有する他方の基板と重ね合わせた際に、その遮光領域に対応する上記一方の基板上の領域(TFTアレイ基板であれば配線部等)のことを意味する。
上記低エネルギー表面を有する箇所は、表面エネルギーが45mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは40mN/m以下である。上記低エネルギー表面を有する箇所の表面エネルギーが45mN/mを超えると、インクジェット装置で吐出できる程度の表面張力を有するスペーサ分散液を使用する限り、スペーサ分散液の液滴が低エネルギー表面を有する箇所で濡れ拡がってしまい、乾燥するにつれ、液滴が遮光領域に対応する領域中へと縮まりにくくなったり、液滴中のスペーサ粒子が遮光領域に対応する領域に移動しにくくなって、スペーサ粒子が基板の遮光領域に対応する領域からはみ出してしまうことがある。
上記配向膜等からなる低エネルギー表面を有する箇所は、基板上のスペーサ分散液を着弾させる箇所にのみ設けられていてもよいし、基板の全面に設けられていてもよいが、パターニングなどの工程を考慮すると、基板の全面に設けられていることが好ましい。
また、本発明においては、液晶表示装置を構成する一方の基板の遮光領域に対応する領域の特定の位置を狙ってスペーサ分散液を吐出し、スペーサ分散液の液滴をこの遮光領域に対応する領域の特定の位置に着弾させるわけであるが、この遮光領域に対応する領域の特定の位置中には、周囲と高低差を有する段差部分が設けられていてもよい。
遮光領域に対応する領域の特定の位置中に段差部分を設けることにより、この特定の位置中に着弾したスペーサ分散液の液滴が段差部分を含むように着弾するため、この特定の位置中への液滴の着弾効率がより向上するとともに、着弾したスペーサ分散液の液滴を乾燥する最終段階で液滴の乾燥中心が段差部分に擬似的に固定されるので、スペーサ分散液の液滴が乾燥した後に、スペーサ粒子を上記特定の位置中に存在する段差部分の周辺のごく限られた位置に効率的に集めることができ、ひいてはスペーサ粒子を基板の遮光領域に対応する領域中により効率的かつより簡便に集めることができる。
上記段差部分は、例えば、基板上に設けられた配線等によって生じる非意図的な凹凸部であってもよいし、スペーサ粒子をより効率的に遮光領域に対応する領域中に集めるために意図的に設けられた凹凸部であってもよい。すなわち、本発明で言う段差部分とは、表面凹凸形状における凹部又は凸部と平坦部(基準面)との段差部分を意味する。上記段差部分(凹凸部)の構造や形状は如何なる構造や形状であってもよく、特に限定されるものではない。また、上記段差部分は、全体が遮光領域に対応する領域の特定の位置中に存在していてもよいし、一部が遮光領域に対応する領域の特定の位置からはみ出した状態で存在していてもよい。
図3は段差部分の例を示す断面図である。上記段差部分の具体例としては、例えば、図3に示すように、TFT液晶パネルでのTFTアレイ基板におけるゲート電極やソース電極による段差部分{図3の(a)〜(c)、段差部分の高低差B:0.2μm程度}、同じくTFTアレイ基板におけるアレイによる段差部分{図3の(d)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}、カラーフィルタ基板におけるブラックマトリクス上での画色カラーフィルター間の凹部段差{図3の(e)〜(h)、段差部分の高低差B:1.0μm程度}等が挙げられる。
本発明においては、スペーサ粒子の粒子径をD(μm)、上記段差部分の高低差をB(μm)としたときに、段差部分の高低差Bが、0.01(μm)<|B|<0.95D(μm)の関係を満たすことが好ましい。なお、ここで言う段差部分の高低差Bとは、段差部分が凸部である場合には、平坦部(基準面)に対する凸部の高さを意味し、段差部分が凹部である場合には、平坦部(基準面)に対する凹部の深さを意味する。
上記|B|が0.01μm以下であると、スペーサ分散液の液滴に段差部分を含ませて、乾燥後のスペーサ粒子を遮光領域に対応する領域中により効率的かつより簡便に集めることが困難となることがあり、上記|B|が0.95Dμm以上であると、スペーサ粒子による基板のギャップ調整効果を十分に得られなくなることがある。
なお、段差の作用については、段差が有る場合、乾燥の最終段階で液滴乾燥中心が段差部に擬似的に固定されるので、着弾したスペーサ分散液の液滴が乾燥した後、スペーサ粒子を遮光領域に対応する領域中にある段差周辺のごく限られた位置に集めることができると説明される。
図4は段差部分にスペーサ粒子が残留した状態を示す模式図であり、(a)はスペーサ粒子が凸部に残留した状態を示し、(b)はスペーサ粒子が凹部に残留した状態を示す。乾燥後のスペーサ粒子8が最終的に残留する位置は、図4の(a)に示すように、段差部分が凸部であればその凸部の角であることが多く、図4の(b)に示すように、段差部分が凹部であればその凹部の中であることが多い。
また、段差部分の作用に関しては、配線等により段差部分が形成されていたり、配線等の近傍に配向膜等の薄膜を挟んで段差部分が形成されていると、金属が存在するため、スペーサ粒子に表面修飾が施されている場合や荷電制御剤が含有されている場合には、静電的相互作用いわゆる静電的な電気泳動効果により、液滴中でスペーサ粒子がその部分に移動、吸着されていくとも考えられる。この場合、配線等の金属種を変えたり、例えばイオン性の官能基を使用する等、表面修飾に使用する化合物の官能基を変えたり、荷電制御剤の種類を調整して含有させたり、あるいは、例えばソース配線やゲート配線等の配線や基板全面に回路が破損しない程度の正又は負の電圧を印加したりすること等により、スペーサ粒子の寄り集まりを静電的に制御することができる。
本発明においては、下記式(1)以上の間隔をもって、スペーサ分散液を基板に対して吐出することが好ましい。なお、上記間隔は、着弾したスペーサ分散液の液滴が乾燥しない間に次の液滴が吐出される場合のそれら液滴間の最低間隔である。
Figure 2006171343

ここで、Dはスペーサ粒子の粒子径(μm)であり、θはスペーサ分散液と基板面との初期接触角である。
上記式(1)未満の間隔でスペーサ分散液を吐出しようとすると、インクジェット装置のヘッドのノズル口径を小さくしない場合には、吐出された液滴径(液滴量)が大きいままなので着弾径も大きくなって、液滴同士の合着が起きることがある。液滴同士の合着が起きると、乾燥過程でスペーサ粒子の凝集方向が一カ所に向かって起こることがなくなるため、結果として乾燥後のスペーサ粒子の配置精度が悪くなることがある。また、吐出された液滴径(液滴量)を小さくするためにインクジェット装置のヘッドのノズル口径を小さくすると、相対的にスペーサ粒子の粒子径がノズル口径に対して大きくなってしまうため、インクジェット装置のヘッドのノズルから安定的(常に同一方向に直線的)にスペーサ分散液を吐出することが困難となって、飛行曲がりによりスペーサ分散液の液滴の着弾位置精度が低下したり、さらに悪化するとスペーサ粒子によるノズルの閉塞が起こることがある。
上記式(1)以上の間隔で吐出された結果として、スペーサ粒子の配置個数(散布密度)は、通常1mm2 の領域に50〜350個であることが好ましい。この散布密度を満たす範囲であれば、ブラックマトリクスや配線等による遮光領域に対応する領域のどのような部分にどのようなパターンで配置してもよいが、画素領域に対応する領域へのはみ出しをより効果的に防止するためには、格子状の遮光領域からなるカラーフィルタに対しては、一方の基板上の上記格子状の遮光領域の格子点に対応する箇所を狙って配置することがより好ましい。
上記散布密度を調整する方法としては、例えば、スペーサ分散液、特に濃度を変える方法;スペーサ粒子の配置間隔を変える(間隔を狭めれば散布密度は増え、広めれば減る)方法;インクジェット装置のヘッドの電圧等の波形を調整する方法や、1配置位置に複数液滴を吐出する方法による、スペーサ粒子の1配置位置における着弾液滴量を変える方法等が挙げられる。
なお、スペーサ分散液を変える方法をとった場合、スペーサ分散液中のスペーサ粒子種を変更することも出来るので、特定の範囲毎に、例えば、粒子径、硬さ、回復率等のスペーサの物性を変えることも可能になる。
上記散布密度は、特定の範囲内において、1mm2 の領域の、スペーサ粒子の散布密度の標準偏差がその範囲内での散布密度の平均値の40%以内であるようにすることが好ましい。これは、上述したようなインクジェット方式であれば、通常の状態、すなわち、スペーサ粒子の沈降による濃度のばらつきや、それによるノズルの詰まり、また、ノズル内への気泡の残存による未吐出ノズルの発生等が起こっていない正常な吐出状態であれば、容易に実現できる。40%を超えると、液晶表示装置のパネル内でセルギャップが異なる等して、表示品質に悪影響を及ぼすことがある。
なお、1箇所の配置位置におけるスペーサ粒子の個数は、配置箇所毎に異なるが、一般的には0〜12個程度であって、平均個数として2〜6個程度であることが好ましい。この平均個数は、スペーサ分散液の個数濃度や重量濃度等によって調整することができる。なお、重量濃度等であればスペーサ粒子の粒子径や比重によっても変わるので、これらによって調整することができる。
また、このように、スペーサ分散液を吐出して液滴を基板上の狙いの位置に着弾させるためには、インクジェット装置のヘッドのスキャン(移動)を1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。特に、スペーサ粒子を配置しようとする間隔が式(1)未満の間隔である場合には、その間隔の整数倍の間隔で吐出し、いったん乾燥させた後、その間隔分だけ位置をずらして再度吐出する等の方法を採ってもよい。また、インクジェット装置のヘッドのスキャン方向についても、1回毎に交互に変えて吐出(往復吐出)してもよいし、片方向への移動時のみに吐出(単方向吐出)してもよい。
更に、このような配置方法として、例えば、インクジェット装置のヘッドを基板面に対する垂線と角度を持つように傾け、スペーサ分散液の液滴の吐出方向を変え(通常は、基板面に対する垂線と平行)、更にヘッドと基板との相対速度をコントロールすることにより、着弾する液滴径を小さくして、よりいっそう遮光領域に対応する領域中にスペーサ粒子をおさめやすくすることもできる。
[スペーサ分散液乾燥方法]
次に、基板上に着弾したスペーサ分散液の液滴中の媒体を乾燥する工程について説明する。上記液滴中の媒体を乾燥する方法としては、例えば、基板を加熱する方法、液滴に熱風を吹きつける方法等が挙げられる。
上記乾燥に当たっては、インクジェット装置のノズルから基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴を乾燥した後に、スペーサ粒子が、基板上に吐出された直後のスペーサ分散液の液滴の径より小さい径の円内に存在するように乾燥することが好ましい。
このように乾燥過程において、スペーサ粒子を吐出された直後のスペーサ分散液の液滴の中央部付近に寄せ集めるためには、媒体の沸点、乾燥温度、乾燥時間、媒体の表面張力、媒体の配向膜に対する接触角、スペーサ粒子の濃度等を適切な条件に設定することが好ましい。
すなわち、スペーサ粒子を乾燥過程で吐出された直後の液滴の中央部付近に寄せ集めるためには、スペーサ粒子が基板上を移動する間に媒体がなくなってしまわないようにある程度の時間幅をもって乾燥することが好ましい。このため、媒体が急激に乾燥してしまうような乾燥条件は好ましくない。また、媒体は、高温で長時間配向膜と接触すると、配向膜を汚染して液晶表示装置の表示品質を損なうことがあるので、高温長時間の乾燥条件は好ましくない。また、媒体として常温で揮散しやすいものを用いたり、激しく揮散するような条件下でスペーサ分散液を用いると、インクジェット装置のノズル近辺のスペーサ分散液が乾燥しやすくなって吐出性が損なわれたり、スペーサ分散液の製造時や貯蔵タンク内での貯蔵時に乾燥によるスペーサ粒子の凝集が起こることがあるので、常温で揮散しやすい媒体を用いたり、激しく揮散するような条件下でスペーサ分散液を用いることは好ましくない。さらに、基板の表面温度が比較的低い条件であっても、乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産性が低下するので、低温長時間の乾燥条件も好ましくない。
このような制約条件を考慮すると、本発明においては、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾した時点での基板の表面温度は、スペーサ分散液の媒体中に含まれる最も低沸点の溶媒の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。
上記基板の表面温度がスペーサ分散液の媒体中に含まれる最も低沸点の溶媒の沸点より20℃未満しか低くないと、最も低沸点の溶媒が急激に揮散して、乾燥過程においてスペーサ粒子が移動できなくなったり、甚だしい場合には、最も低沸点の溶媒の急激な沸騰によって、スペーサ粒子が液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下することがある。
また、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾した後に基板の表面温度を徐々に上昇させながら媒体を揮散させる乾燥方法においては、乾燥が完了するまでの間の基板の表面温度が90℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下である。乾燥が完了するまでの間の基板の表面温度が90℃を超えると、配向膜を汚染して、液晶表示装置の表示品質を損なうことがある。なお、ここで言う乾燥の完了とは、基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴が消失した時点を意味する。
乾燥終了後、スペーサ粒子の基板上への固着性を高めたり、残留溶剤を除去したりするために、さらに120〜230℃の間の温度で基板を加熱してもよい。
[液晶表示装置の組立]
本発明において、液晶表示装置を得る方法としては、例えば、上述の方法でスペーサ分散液をインクジェット方式によりスペーサ粒子を任意の位置に配置した基板と、対向する基板とを周辺シール材を介して加熱圧着し、基板間に形成された空隙に液晶を充填することにより作製する方法(真空注入法);2枚1組の基板の内の一方の基板に、同様に上述の方法でスペーサ分散液をインクジェット方式によりスペーサ粒子を任意の位置に配置し、片方の基板に周辺シール材を塗設しそれに囲まれた範囲内に規定量の液晶量を滴下し、もう一方の基板と貼りあわせシール材を硬化させることにより作製する方法(液晶滴下法)等が挙げられる。
従って、本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液を、インクジェット方式により、基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置もまた、本発明の一つである。
(作用)
本発明の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、スペーサ粒子をインクジェット方式によって液晶表示装置の基板の非表示部分(遮光領域)に精度よく配置した上で、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であるため、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しないスペーサ分散液が得られる。
また、一般的に、スペーサ分散液の媒体の比重は0.75〜1.35のものが用いられるため、比重の小さい、例えば樹脂粒子を得るためには、樹脂粒子を中空粒子とすることが有効となり、スペーサ粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子が有効となる。
更に、スペーサ粒子の比重が1.3以下であり、かつスペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaである場合は、スペーサ粒子の比重が小さく中空粒子でも、液晶表示装置のスペーサ(ギャップ材)として用いられるのに必要な一定の圧縮強度を有していることになる。
本発明の液晶表示装置は、上記スペーサ分散液を用いて製造されるので、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しないため、セルギャップが均一となり優れた表示品質のものが得られる。
本発明は、上述の構成よりなるので、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置することができ、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しない液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び該スペーサ分散液を用いて製造した優れた表示品質の液晶表示装置を得ることが可能となった。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[スペーサ粒子の作製]
セパラブルフラスコ内に、ジビニルベンゼン15重量部、イソオクチルアクリレート5重量部、シクロヘキサン2重量部、及び重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.3重量部を投入し、均一に攪拌混合した。次に、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールGL−03」、クラレ社製)の3重量%水溶液20重量部、及びドデシル硫酸ナトリウム0.5重量部を投入し、均一に攪拌混合した後、イオン交換水140重量部を投入した。次いで、窒素ガス気流下、この混合溶液を攪拌しながら78℃で20時間重合反応を行って微粒子を得た。得られた微粒子を熱水及びアセトンで十分に洗浄した後、40℃に保った真空乾燥機で乾燥し溶剤を除去した。その後、分級操作を行い、スペーサ粒子(b)を作製した。得られたスペーサ粒子(b)は、平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%であり、比重が1.031であった。また、同様にして、平均粒子径が3.0μm、CV値が3.0%であり、比重が1.023であるスペーサ粒子(a)、及び平均粒子径が5.0μm、CV値が3.0%であり、比重が1.019であるスペーサ粒子(c)を作製した。
更に、上記のスペーサ粒子の作製において、シクロヘキサンを4重量部にしたこと以外は同様にして、平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%であり、比重が0.954であるスペーサ粒子(d)を作製した。
更に、上記のスペーサ粒子の作製において、シクロヘキサンを用いなかったこと以外は同様にして、平均粒子径が4.0μm、CV値が3.0%であり、比重が1.13であるスペーサ粒子(e)を作製した。
[スペーサ粒子の表面修飾]
上記で得られた5種類のスペーサ粒子を用い、スペーサ粒子5重量部をジメチルスルホキシド(DMSO)20重量部、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部、及びN−エチルアクリルアミド18重量部中に投入し、ソニケータによって分散させた後、均一に攪拌混合した。次に、反応系を窒素ガスで置換し、30℃で2時間攪拌を継続した。次いで、反応系に1Nの硝酸水溶液で調製した0.1mol/Lの硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液10重量部を添加し、5時間反応を行った後、反応液を取り出し、3μmのメンブランフィルターを用いて粒子と反応液とを濾別した。次いで、得られた粒子をエタノール及びアセトンで十分に洗浄した後、真空乾燥器で減圧乾燥を行って、スペーサ粒子SA(a)、スペーサ粒子SA(b)、スペーサ粒子SA(c)、スペーサ粒子SA(d)及びスペーサ粒子SA(e)を作製した。
また、スペーサ粒子(b)5重量部をDMSO20重量部、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部、メタクリル酸16重量部、及びラウリルアクリレート2重量部中に投入し、上記と同様にして、スペーサ粒子SB(b)を作製した。
また、スペーサ粒子(b)5重量部をDMSO20重量部、ヒドロキシメチルメタクリレート2重量部、及びポリエチレングリコールメタクリレート(分子量800)18重量部中に投入し、上記と同様にして、スペーサ粒子SC(b)を作製した。
[スペーサ分散液の調製]
上記で得られた7種類のスペーサ粒子を用い、かつ、分散媒体用の溶媒として表1に示す9種類の溶媒を用い、表1に示す組成の配合物とし、この配合物をソニケータによって十分に攪拌混合して均一に分散させた後、目開き10μmのステンレスメッシュで濾過し、凝集物を除去して、12種類のスペーサ分散液を調製した。
用いたスペーサ分散液の媒体(溶媒混合物)の比重、スペーサ粒子の比重、及びスペーサ粒子と媒体との比重差を表1に示した。
(実施例1〜実施例9)及び(比較例1〜比較例3)
スペーサ分散液、被吐出基板及び対向基板を、表1に示す組み合わせとして、下記の方法で液晶表示装置を作製した。
[基板の準備]
図5は実施例及び比較例で用いた基板を示す模式図であり、(a)は上から見た場合を示し、(b)は横から見た場合を示す。
液晶表示装置用の基板として、カラーフィルタ基板及びTFTアレイ基板に存在する段差を模したTFTアレイモデル基板を準備した。上記カラーフィルタ基板は、従来公知の方法により、ガラス基板の上に金属クロムからなるブラックマトリクス(幅:25μm、縦:150μm間隔、横:75μm間隔、厚み:0.2μm)を設け、赤、緑、青の3色からなるカラーフィルタ画素(厚み:1.5μm)をその間に形成した。さらに、その上にオーバーコート層及びITO透明電極を設け、その上に、スピンコート法によってポリイミド樹脂溶液(商品名「サンエバーSE150」、日産化学社製)を均一に塗布し、150℃で乾燥した後に230℃で1時間焼成して硬化させ、配向膜PI2(表面エネルギー:39.0mN/m)を形成した。また、別のポリイミド樹脂溶液(商品名「サンエバーSE130」、日産化学社製)を用いた配向膜PI1(表面エネルギー:46.0mN/m)及び更に別のポリイミド樹脂溶液(商品名「サンエバーSE1211」、日産化学社製)を用いた配向膜PI3(表面エネルギー:26.0mN/m)も準備した。なお、配向膜の表面エネルギーは、表面張力が既知の有機溶剤数種の配向膜に対する初期接触角θを測定し、それらのcosθとそれら有機溶剤の表面張力との関係から臨界表面エネルギーを算出する既知の方法で求めた。
また、表面が平滑なカラーフィルタ基板(図5の15)を作製した。更に、TFTアレイモデル基板は、ガラス基板上にカラーフィルタ基板のブラックマトリクスに相対する位置に銅箔からなる段差部分(幅:8μm、高低差:5nm)を設けておいた。そして、その上にITO透明電極を設け、更に上記方法で配向膜を形成した(図5の16)。
[インクジェット装置によるスペーサ粒子の配置]
取り付けられたヒーターで45℃に加熱されたステージ上に上述の段差を有するTFTアレイモデル基板を載せ、ピエゾ方式のヘッド先端に口径50μmのノズルを搭載したインクジェット装置にて、上記カラーフィルタ基板のブラックマトリクスに対応する段差部分を狙って、縦のライン1列おきに、縦のラインの上に110μm間隔でスペーサ分散液の液滴を吐出し、縦110μm×横150μmのピッチでスペーサ粒子を配置した。なお、吐出の際のノズル(ヘッド面)と基板との間隔は0.5mmとし、ダブルパルス方式を用いた。次いで、ステージ上の基板に吐出されたスペーサ分散液が目視で完全に乾燥したのを確認した後、更に残留した媒体を除去し、スペーサ粒子を基板に固着させるために、150℃に加熱されたホットプレート上に移して加熱し、15分放置した。なお、インクジェット装置のヘッドは、接液部材質がガラスセラミック(親水材料)で、ノズル面がフッ素系撥水加工されたものを用い、ヘッド温度はスペーサ分散液の粘度が3〜15mPa・sになるように加熱(場合によっては冷却)して吐出した。
[液晶表示装置の作製]
上記のようにしてスペーサ粒子を配置したTFTアレイモデル基板と対向基板であるカラーフィルタ基板との周辺部を、シール材を介して貼り合わせ、シール材を150℃で1時間加熱することにより硬化させて、セルギャップがスペーサ粒子の粒子径となるような空セルを作製した後、この空セルに真空法で液晶を充填し、封口剤で注入口を封止して、液晶表示装置を作製した。
[性能評価]
上記で得られたスペーサ分散液の性能(1.沈降速度、2.吐出状態)、及び得られた液晶表示装置の性能(3.スペーサ粒子の散布密度、4.平均スペーサ粒子数、5.スペーサ粒子の配置精度、6.スペーサ粒子の存在範囲、7.表示品質)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
(1.沈降速度)
スペーサ分散液作製後、試験管に静置して保存し、試験管底にスペーサ粒子が堆積し始めた時間を目視にて確認した。
(2.吐出状態)
スペーサ分散液を1時間静置後、チューブ内滞留インクを吐出してしまうよう全ノズル吐出で0.5mL捨てうち後(以下、単に1時間静置後という)、吐出状態を確認し、沈降によるスペーサ粒子凝集物の発生等で詰まりが発生した場合未吐出ノズルが発生するため、下記判定基準により吐出状態を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥全ノズル吐出。
・ ‥‥未吐出ノズル3%未満。
×‥‥未吐出ノズル3%以上。
(3.スペーサ粒子の散布密度)
1mm2あたりに散布されているスペーサ粒子の個数を測定した。なお、測定は、インクジェット装置からのスペーサ分散液の液滴の吐出における、初期と1時間静置後とで行った。
(4.平均スペーサ粒子数)
上記1mm2 の範囲内で、1ドット(配置位置)あたりに凝集しているスペーサ粒子の個数を測定し、平均値を求めた。なお、測定は、インクジェット装置からのスペーサ分散液の液滴の吐出における、初期と1時間静置後とで行った。
(5.スペーサ粒子の配置精度)
スペーサ分散液を1時間静置後に吐出したサンプルで評価した。
基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴が乾燥した後のスペーサ粒子の配置状態を電子顕微鏡で観察し、下記判定基準によりスペーサ粒子の配置精度を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥ほとんど全てのスペーサ粒子が遮光領域に対応する領域中に配置されていた。
△‥‥一部のスペーサ粒子が遮光領域に対応する領域中からはみ出した位置に配置さ
れていた。
×‥‥多くのスペーサ粒子が遮光領域に対応する領域中からはみ出した位置に配置さ
れていた。
(6.スペーサ粒子の存在範囲)
スペーサ分散液を1時間静置後に吐出したサンプルで評価した。
図6はスペーサ粒子の存在範囲の評価方法を示す模式図である。図6に示すように、遮光領域に対応する領域の中心線から両側に等間隔で2本の平行線を引き、この2本の平行線に囲まれた範囲に個数で95%以上のスペーサ粒子が存在する平行線間の距離d(μm)を1mm2 の範囲内で測定した。
(7.表示品質)
スペーサ分散液を1時間静置後に吐出したサンプルで評価した。
液晶表示装置に所定の電圧を印加して、スペーサ粒子に起因する光抜け等の表示不良の有無を電子顕微鏡で観察し、下記判定基準により表示品質を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子はほとんど存在せず、ス
ペーサ粒子に起因する光抜け等の表示不良は全く認められず、優れた表示品質
であった。
△‥‥画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子が若干存在しており、ス
ペーサ粒子に起因する光抜け等の表示不良が若干認められた。
×‥‥画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子が多数存在しており、ス
ペーサ粒子に起因する光抜け等の表示不良が著しく認められた。
Figure 2006171343
表1から明らかなように、実施例の液晶表示装置製造用スペーサ分散液は、スペーサ粒子の沈降速度が非常に遅く、これらのスペーサ分散液を用いて製造した実施例の液晶表示装置は、1時間静置後も、吐出状態、スペーサ粒子の散布密度、平均スペーサ粒子数、スペーサ粒子の配置精度、スペーサ粒子の存在範囲及び表示品質の全てについて優れていた。
本発明によれば、インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置することができ、スペーサ粒子が沈降することなく、スペーサ粒子の散布密度が変化しない液晶表示装置製造用スペーサ分散液、及び該スペーサ分散液を用いて製造した優れた表示品質の液晶表示装置を提供できる。
液晶表示装置の一例を示す断面図である。 インクジェット装置のノズルからのスペーサ分散液の液滴の吐出状態を示す模式図であり、(a)はメニスカスが軸対称でない場合を示し、(b)はメニスカスが軸対称である場合を示す。 段差部分の例を示す断面図である。 段差部分にスペーサ粒子が残留した状態を示す模式図であり、(a)はスペーサ粒子が凸部に残留した状態を示し、(b)はスペーサ粒子が凹部に残留した状態を示す。 実施例及び比較例で用いた基板を示す模式図であり、(a)は上から見た場合を示し、(b)は横から見た場合を示す。 スペーサ粒子の存在範囲の評価方法を示す模式図である。
符号の説明
1 透明基板
2 偏光板
3 透明電極
4 カラーフィルタ
5 ブラックマトリクス
6 オーバーコート
7 液晶
8 スペーサ粒子
9 配向膜
10 シール材
11 メニスカス
12 スペーサ分散液
13 着弾したスペーサ分散液の液滴
14 段差部分
15 カラーフィルタ基板
16 TFTアレイモデル基板
B 段差部分の高さ
d 個数で95%以上のスペーサ粒子が存在する平行線間の距離

Claims (3)

  1. インクジェット方式によってスペーサ粒子を基板上の任意の位置に配置してなる液晶表示装置製造用スペーサ分散液であって、スペーサ粒子とそれを分散する媒体との比重差が0.05以下であり、前記スペーサ粒子が粒子内に少なくとも1個の空隙を有する中空粒子であることを特徴とする液晶表示装置製造用スペーサ分散液。
  2. スペーサ粒子の比重が1.3以下であり、かつスペーサ粒子の直径が10%変位した時の圧縮弾性率(10%K値)が2000〜15000MPaであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置製造用スペーサ分散液。
  3. 請求項1又は2記載の液晶表示装置製造用スペーサ分散液を、インクジェット方式により、基板上の任意の位置に配置してなることを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009084256A1 (ja) * 2007-12-28 2009-07-09 Natoco Co., Ltd. インクジェット装置用微粒子分散液
JP2011197481A (ja) * 2010-03-19 2011-10-06 Toshiba Corp 表示装置とその製造方法
WO2023234556A1 (ko) * 2022-05-31 2023-12-07 동우 화인켐 주식회사 투과율 가변 광학 적층체 및 이의 제조방법과, 이를 포함하는 스마트 윈도우

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