JP4888988B2 - 水溶性高分子分散液及びその製造方法 - Google Patents

水溶性高分子分散液及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性高分子分散液及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、塩水溶液中に粒径100μm以下のアニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子微粒子と、分散剤として該塩水溶液に可溶な天然系高分子のうち、少なくとも一種以上が共存する水溶性高分子分散液に関し、またその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アニオン性水溶性高分子は、凝集剤として多岐にわたる用途に応用されている。たとえば、一般水処理剤として排水中の固液分離に使用され、カチオン性凝集剤と組み合わせて汚泥の脱水や製紙工業における歩留向上剤としても使用されている。さらに土木において、土壌の固化剤としても使用されている。これらアニオン性高分子製造方法として従来、以下のような重合方法が知られている。たとえば、水溶液重合法はペ−スト上製品として供給され、油中水型エマルジョン重合品は重合後、転相剤とよばれる親水性乳化剤を加えラテックスの形態で供給され、油中水型分散重合法は、粉末状製品を製造するため適用される場合が多く、30〜50重量%の単量体水溶液をそのまま重合しゲル状重合物をミ−トチョッパ−などで造粒後、直接乾燥する方法も粉末品の製造に応用されている。さらに最近では、ポリエチレングリコ−ル水溶液中に単量体を溶解し、重合させ、高分子中高分子分散液を製造する方法も行われているが、まだ凝集剤として実用的性能のある高分子量のものは合成されていない。またさらに注目すべきことは、塩水溶液中でカチオン性/両性凝集剤を合成する方法を発展させ、アニオン性高分子も凝集剤グレ−ドの重合度品を合成する試みがなされている。
【0003】
高重合度のアニオン性高分子が、高重合度のカチオン性高分子にくらべ塩水溶液中、分散重合法により合成することが難しいのは、一つには重合物を塩水中に析出させ、安定な分散液とすることである。カチオン性単量体の場合、ベンジル基や長鎖アルキル基のような疎水基を導入した単量体を合成すれば容易に塩水中に不溶な高分子が合成でき、また重合度も凝集剤として使用可能なものになる。アニオン性単量体の場合、それ自身分子内に疎水基を導入することが、難しいので疎水性単量体を共重合する方法が考えられるが、それら疎水性単量体を共重合すると重合度が高いものが得られない場合が多い。また、もう一つの要因として、原料として主に使用されるアクリル酸の分子量が、カチオン性単量体の分子量に較べ小さく溶液の重量濃度当たりの発熱量が非常に大きいことである。そのため、重合反応の制御が難しく、重合途中で反応物が塊状化してしまって安定な分散液を合成することができない。あるいは発熱量が大きいということは、重合温度の制御が容易でなく重合系の温度が、制御範囲から外れてしまい、生成したアニオン性水溶性高分子の重合度が低下してしまうことを意味する。現在のところ、生成したアニオン性水溶性高分子を塩水中に析出させる方法は、種々の塩の組み合わせにより解決しつつあり、また分散液の安定化もイオン性高分子分散剤を種々の組成、分子量を検討し、共存させることで可能になった。
【0004】
塩水溶液中で水溶性高分子分散液を効率良く重合し、生成した分散液の安定性を向上させるうえでの重要なポイントに、分散剤の検討がある。現在まで合成系高分子において、イオン性あるいは非イオン性高分子が検討されている。しかし、天然系高分子を使用した分散剤は検討されていない。製造面の問題に注目すれば、製造中の重合物の増粘防止、あるいは製造後の安定性などまだまだ改良する余地は残されている。また、従来使用されている多価アルコ−ルは水酸基の影響によって連鎖移動反応が起き、どうしても分子量の低下は避けられない。合成系高分子分散剤も同様な影響が多少なりとも存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩水溶液中、高分子分散剤共存下、分散重合法による安定な水溶性高分子分散液を開発することであり、特に重合時の増粘を抑制させる分散剤を開発することである。さらにもう一つの目的として、重合中の連鎖移動反応の起きにくい分散剤を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者等は、詳細な検討を行った結果、特定の天然系高分子を使用することにより、安定な水溶性高分子分散液が得られ、効率良く安定した分散液を製造できることを発見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の請求項1の発明は、塩水溶液中に粒径100μm以下のアニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子微粒子であって、前記アニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子微粒子が、下記一般式(1)で表される単量体0〜100モル%、(メタ)アクリルアミド0〜100モル%及び他の共重合可能な非イオン性単量体0〜30モル%からなる単量体(混合物)を、塩水溶液中攪拌下、分散剤として該塩水溶液に可溶な天然系高分子のうち、デンプン、デンプン誘導体、セルロ−ス誘導体、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グア−ガム、ロ−カストビ−ンガムから選択される少なくとも一種以上が共存下、分散重合することによって製造されることを特徴とする水溶性高分子分散液に関する。
【化1】
一般式(1)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素またはCOOY 、Y あるいはY は水素または陽イオン
【0009】
請求項の発明は、前記天然系高分子がアニオン性であり、イオン当量値が1.0〜7.0meq/gであることを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液である。
【0010】
請求項の発明は、高分子分散液を構成するアニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子の重量平均分子量が、200万以上、2000万以下であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性高分子分散液である。
【0011】
請求項の発明は、塩水溶液を構成する塩が、少なくとも一種の多価アニオン塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の水溶性高分子分散液である。
【0012】
請求項の発明は、塩水溶液中で、分散剤として該塩水溶液に可溶な天然系高分子のうち、デンプン、デンプン誘導体、セルロ−ス誘導体、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グア−ガム、ロ−カストビ−ンガムから選択される少なくとも一種以上を共存させ、記一般式(1)で表される単量体0〜100モル%、(メタ)アクリルアミド0〜100モル%及び共重合可能な他の非イオン性単量体0〜30モル%からなる単量体混合物を、攪拌下、分散重合することを特徴とする粒径100μm以下の微粒子からなる水溶性高分子分散液の製造方法である。
【化1】
一般式(1)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOOY、YあるいはYは水素または陽イオン
【0014】
請求項の発明は、前記天然系高分子がアニオン性であり、イオン当量値が1.0〜7.0であることを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液の製造方法である。
【0015】
請求項の発明は、塩水溶液を構成する塩が、少なくとも一種の多価アニオン塩を含有することを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
水溶性単量体あるいは水溶性単量体混合物を、塩水溶液中で該塩水溶液に可能なイオン性高分子分散剤のうち、特に構成系高分子を共存させる分散重合法により製造された水溶性高分子からなる分散液の製造方法は、特公平4−39481号公報、特公平3−74682号公報あるいは特公平6−72170号公報に記載された方法によって製造することが可能である。一番目の公報は、分散剤として多価アルコ−ルを重合時共存させる方法が開示され、二番目の公報では、分散剤として多価アニオン塩水溶液中に可溶なカチオン性高分子を重合時共存させる方法が開示されている。また、三番目の公報では、分散剤として多価アニオン塩水溶液中に可溶なアニオン性高分子を重合時共存させる方法が開示されている。
【0017】
以下具体的に製造方法を説明する。原料として使用するアニオン性単量体であるスルフォン酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド及び共重合可能な他の単量体からなる単量体を各々塩水溶液に溶解し、全アニオン性単量体の5〜40モル%をアルカリ物質によって中和する。その後、分散剤として塩水溶液中に可溶な天然系高分子を添加し、窒素置換後、ラジカル重合開始剤により重合を開始させ、攪拌しながら重合することにより製造する。
【0018】
本発明の分散剤は、天然系高分子を使用する。イオン性としてはアニオン性、ノニオン性どちらでも使用可能であるが、好ましくはアニオン性である。アニオン性高分子の例としては、酸化デンプン、カルボキシルメチル化デンプン、リン酸化デンプン、カルボキシルメチルセルロ−ス、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アラビアゴムなどである。ノニオン性高分子としては、生デンプン、酵素変性デンプン、ヒドロキシエチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、グア−ガム、ロ−カストビ−ンガムなどである。また、イオン性高分子であるカルボキシルメチル化デンプン、リン酸化デンプン、カルボキシルメチルセルロ−ス、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、アラビアゴムなどがより好ましい。
【0019】
これら天然系高分子の配合比は、重合する単量体に合わせ選択する。特にアニオン性単量体の比率が低い共重合を実施するときは、イオン性の高い天然系高分子を使用すると効果的である。反対にイオン性単量体の共重合比が高いときは、イオン性の低い天然系高分子かノニオン性天然系高分子を使用すると効果的である。また、イオン性とノニオン性を併用することも効果的である。本発明の分散剤は、各々ニ種以上使用することは制限ないが、三種、四種と組合せるのは管理上、非常に煩雑であり、好ましくは一種であり、イオン性とノニオン性の二種を使用する方法の以外は実用的でない。
【0020】
上記イオン性天然系高分子分散剤の分子量としては、5、000から300万、好ましくは5万から200万である。また、非イオン性天然系高分子分散剤の分子量としては、1,000〜100万であり、好ましくは1,000〜50万である。これら非イオン性あるいはイオン性高分子分散剤の単量体に対する添加量は、単量体に対して1/100〜2/10であり、好ましくは3/100〜15/100である。
【0021】
本発明で使用する天然系高分子分散剤の特徴は、生成した高分子の分子量が高くなることである。分散剤として従来アルコ−ルが単独で使用されている例があるが、アルコ−ル類は連鎖移動剤であり、重合反応に影響を与え易く、分子量低下をもたらす。一方、合成系高分子も分子内に比較的活性な部分を有し、連鎖移動を起こす場合がある。これに較べ天然系高分子は、化学的に相対的には比較的低活性である。そのため連鎖移動反応など起こし難く分子量低下をもたらさないためと推定される。
【0022】
本発明で天然系高分子を使用すると効果的であるのは、理論的には不明な部分が多く解明できない。しかし、現象面から推定すると以下のようになる。すなわち塩水溶液中で重合が進行していくと、生成高分子濃度は、溶解度以上となり高分子粒子の析出が始まるが、その手前では溶解している高分子のため重合物自体(重合系)の粘性も増加し、溶解高分子と析出粒子が共存した状態になる。この後、析出した高分子の割合は増加していき、重合物は徐々に粘性が低下し、分散状態に相変化する。この共存状態時に、析出粒子とゲル状の溶解高分子間における滑りを向上させ、相変化前の増粘状態から分散状態への相変化をスム−ズに移行させるのが、相移行期における分散剤の主な役目と考えられる。天然系高分子は、重合が進行しつつある合成系高分子とは非相溶的傾向が強い。またイオン性も低く相対的に疎水的であり、疎水結合によって吸着した析出粒子のまわりを囲み、析出粒子と溶解ゲル状高分子間にミクロな相分離状況を発生させる。この効果により粒子周辺の粘性を低下させ、析出粒子と溶解ゲル状高分子間の滑りを向上させ、スム−ズな相変化を達成させると推定される。一方、イオン性基は、天然系高分子が析出粒子に吸着し、析出粒子同志の凝集を抑制する。従って、アニオン性単量体の少ない共重合を行う場合、特に粒子表面のイオン化に寄与する。
【0023】
重合時の温度は、5〜40℃であり、好ましくは15〜30℃である。40℃より高くすると重合の制御は難しく、急激な温度上昇や重合液の塊状化などが起きて、高重合度で安定な分散液は生成しない。
【0024】
使用する開始は、2、2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ニ塩化水素化物、あるいは4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤でも使用できるが、添加量を多くしなければ開始しにくい。そのため重合系の温度が多少でも上昇してくると、重合速度が加速され制御しにくい。従って添加量が少量で、低温で開始可能なレドックス系開始剤を使用する。この開始剤の添加量は、重合開始時、単量体当たり10〜50ppm、好ましくは10〜30ppm添加する。通常単量体濃度が低い場合、この開始剤添加量と温度では、重合は開始しない。しかし、本発明では、塩水溶液中の分散重合法を用いるので単量体濃度は20〜35重量%であり、比較的高濃度のため開始するものと推定される。しかし、添加量レベルが低いため一度の添加では、重合率が低くなる。そのため数回に分けて添加することが好ましい。添加回数としては、2〜5回、好ましくは2〜3回である。
【0025】
レドックス系開始剤としては、酸化性物質と還元性物質を組み合わせる。酸化性物質の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウム、ペルオクソ二硫酸カリウム、過酸化水素などであり、還元性物質の例としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、チオ硫酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、トリエタノ−ルアミンあるいはテトラメチルエチレンジアミンなどであるが、このうちペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせが最も好ましい。このようにして、比較的低温で、開始剤の添加量レベルを低く抑えることにより、重合速度を制御し高重合度で安定した高分子分散液を製造することができる。このようにして製造したアニオン性水溶性高分子の分子量は、通常200万以上であり、条件を選択することにより、500万〜2000万のものが生成し、凝集剤として十分使用に耐えるものである。
【0026】
使用するアニオン性単量体は、スルフォン基でもカルボキシル基でもかまわなく両方を共重合しても良い。スルフォン基含有単量体の例は、ビニルスルフォン酸、ビニルベンゼンスルフォン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸などである。またカルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。さらにこの高分子分散液は、他の非イオン性の単量体との共重合体でも良い。例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられ、これら一種または二種以上との共重合が可能である。最も好ましい組み合わせとしては、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、アクリル酸及びクリルアミドである。
【0027】
アニオン性高分子の分散液を製造する場合のアニオン性単量体のモル比は、1〜100モル%であり、好ましくは3〜100モル%である。さらに共重合可能な非イオン性単量体を共重合することもできる。その量としては0〜30モル%である。また、非イオン性高分子の分散液を製造する場合は、非イオン性単量体としてアクリルアミド単独を使用し、あるいは共重合可能な非イオン性単量体を0〜30モル%使用する。
【0028】
使用する塩類としては、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属イオンやアンモニウムイオンとハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどとの塩であるが、多価陰イオンとの塩がより好ましい。これら塩類の塩濃度としては、7重量%〜飽和濃度まで使用できる。
【0029】
本発明の分散重合法により製造された分散液からなるアニオン性あるいは非イオン性水溶性高分子は、水溶液重合法、油中水型エマルジョン重合法、油中水型分散重合法により製造されたアニオン性高分子などに較べ、水に溶解した場合の見かけ粘度が非常に低い。たとえば、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドを30/70のモル比で含有する共重合体の場合、分子量約1300万で0.2重量%の水溶液の粘度は、水溶液重合法、油中水型エマルジョン重合法、油中水型分散重合法による重合物では、400〜800mPa・sであるのに対し、本発明で使用する分散重合法により製造された分散液からなるアニオン性水溶性高分子は、20〜100mPa・sである。これは重合時共存させる無機塩類の影響もある。また、重合時使用する単量体の酸のうち5〜40モル%を中和するのみであることも一因である。しかしこれらの影響を差し引いても、これだけでは説明できない。この現象は、塩水溶液中で生成した高分子を析出させながら重合していることも原因していると推定されるが、詳細な機構は未解明である。そのため、見かけ粘度が低いということは、それだけ処理を目的とした水中での分散性が良く、凝集機能を十分発揮できることを意味する。例えば、填料歩留向上剤として応用する場合など、より製紙マシンに近い添加場所を選択することができる。その例としてスクリ−ンの出口などマシンにより近い場所で添加しても、不均一な分散によるトラブルの危険性が低いといえる。また、添加凝集剤の分散性が悪くなる15000〜30000mg/Lなどの濃度の汚泥でも十分分散し、その効果を発揮することが可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0031】
【実施例1】
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:81.4g、硫酸アンモニウム115.8g、硫酸ナトリウム20.6g、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸19.9g、60%アクリル酸:21.5g、50%アクリルアミド:156.2gを加え、30重量%の水酸化ナトリウム4.4gによりアニオン性単量の12モル%を中和した。さらに表1に記載のカルボキシメチルセルロ−スの15%水溶液(分子量12万、イオン当量3.38meq/g)を40.3g(対単量体5.5%)を添加した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により25℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で3.3g(対単量体、30ppm)添加し重合を開始させた。開始2時間10分後、反応溶液の液面がやや盛り上がったが、それ以上には増粘せず、分散系に移行し始めた。重合開始後7時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに12時間重合を継続させ反応を終了した。この試作品を試作−1とする。この試作−1の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸/アクリル酸/アクリルアミドのモル比は7/13/80であり、粘度は420mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であることが判明した。また、静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定した。結果を表3に示す。
【0032】
【実施例2〜6】
実施例1と同様な操作によって、表1に記載の天然系高分子を用い、表2の単量体組成によって水溶性高分子分散液試作−2〜試作−6を合成した。結果を表3に示す。
【0033】
【実施例7】
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:108.5g、硫酸アンモニウム115.8g、硫酸ナトリウム20.6g、50%アクリルアミド:204gを加えた。さらに表1に記載のカルボキシメチルセルロ−スの15%溶液(分子量12万、イオン当量3.38meq/g)を27.3g(対単量体4.0%)、アラビアガムの15%水溶液(分子量25万、イオン当量1.03meq/g)を17.1g(対単量体2.5%)を添加し完全に溶解、混合した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により25℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で2.1g(対単量体、20ppm)添加し重合を開始させた。開始1時間40分後、反応溶液の液面がやや盛り上がったが、それ以上には増粘せず、分散系に移行し始めた。重合開始後7時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに15時間重合を継続させ反応を終了した。この試作品を試作−7とする。この試作−7の分散液粘度は390mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、2〜20μmの粒子であることが判明した。結果を表3に示す。
【0034】
【実施例8〜15】
実施例7と同様な操作によって、表1に記載の天然系高分子を併用し、表2の単量体組成によって水溶性高分子分散液試作−8〜試作−15を合成した。結果を表3に示す。
【0035】
【比較例1】
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:81.4g、硫酸アンモニウム115.8g、硫酸ナトリウム20.6g、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸19.9g、60%アクリル酸:21.5g、50%アクリルアミド:156.2gを加え、30重量%の水酸化ナトリウム4.4gによりアニオン性単量の12モル%を中和した。さらに合成系高分子分散剤として、アクリル酸を60%中和し重合した水溶液(分子量150万、イオン当量値13.7meq/g、合成高分子−1とする)を36.6g(対単量体5.0%)を加えた。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により25℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.1重量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.1重量%水溶液をそれぞれこの順で3.3g(対単量体、30ppm)添加し重合を開始させた。約開始2時間後、反応溶液の液面が盛り上がり、粘度が上昇するのが観測され、分散系に移行し始めたが増粘は1.5時時間継続した。重合開始後7時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに12時間重合を継続させ反応を終了した。この試作品を比較−1とする。この比較−1の2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸/アクリル酸/アクリルアミドのモル比は7/13/80であり、粘度は470mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、5〜20μmの粒子であることが判明した。結果を表3に示す。
【0036】
【比較例2】
比較例1と同様な操作によって、合成系高分子分散剤−2として、メタクリル酸/2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸=30/70からなる単量体組成を70%中和後、重合した共重合体20%水溶液(分子量120万、イオン当量5.33)を用い、表2に記載の組成で比較−2を合成した。結果を表3に示す。
【0037】
【比較例3〜4】
比較例1と同様な操作によって、分散剤として多価アルコ−ル−1(グリセリン)、多価アルコ−ル−2(ポリエチレングリコ−ル、分子量500)を用い、表2に記載の組成で比較−3及び比較−4を合成した。結果を表3に示す。
【0038】
【表1】
イオン当量;meq/g
【0039】
【表2】
AMP:2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸
AAC:アクリル酸、AAM:アクリルアミド、IA:イタコン酸
添加量は対単量体(重量%)、単量体の比率はモル%、
【0040】
【表3】
分散液粘度:mPa・s
重量平均分子量:単位は万

Claims (7)

  1. 塩水溶液中に粒径100μm以下のアニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子微粒子であって、前記アニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子微粒子が、下記一般式(1)で表される単量体0〜100モル%、(メタ)アクリルアミド0〜100モル%及び他の共重合可能な非イオン性単量体0〜30モル%からなる単量体(混合物)を、塩水溶液中攪拌下、分散剤として該塩水溶液に可溶な天然系高分子のうち、デンプン、デンプン誘導体、セルロ−ス誘導体、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グア−ガム、ロ−カストビ−ンガムから選択される少なくとも一種以上が共存下、分散重合することによって製造されることを特徴とする水溶性高分子分散液。
    一般式(1)
    は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO 、C SO 、CONHC(CH CH SO 、C COOあるいはCOO、R は水素またはCOOY 、Y あるいはY は水素または陽イオン
  2. 前記天然系高分子がアニオン性であり、イオン当量値が1.0〜7.0meq/gであることを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液。
  3. 高分子分微粒子を構成するアニオン性及び/又は非イオン性水溶性高分子の重量平均分子量が、200万以上、2000万以下であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性高分子分散液。
  4. 塩水溶液を構成する塩が、少なくとも一種の多価アニオン塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の水溶性高分子分散液。
  5. 塩水溶液中で、分散剤として該塩水溶液に可溶な天然系高分子のうち、デンプン、デンプン誘導体、セルロ−ス誘導体、アルギン酸塩、ペクチン、アラビアガム、グア−ガム、ロ−カストビ−ンガムから選択される少なくとも一種以上を共存させ、記一般式(1)で表される単量体0〜100モル%、(メタ)アクリルアミド0〜100モル%及び他の共重合可能な非イオン性単量体0〜30モル%からなる単量体(混合物)を、攪拌下、分散重合することを特徴とする粒径100μm以下の微粒子からなる水溶性高分子分散液の製造方法。
    一般式(1)
    は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、AはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOOY、YあるいはYは水素または陽イオン
  6. 前記天然系高分子がアニオン性であり、イオン当量値が1.0〜7.0であることを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液の製造方法。
  7. 塩水溶液を構成する塩が、少なくとも一種の多価アニオン塩を含有することを特徴とする請求項に記載の水溶性高分子分散液の製造方法。
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