JP2023500898A - 単分散粒子を製造するための方法 - Google Patents

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Abstract

ポリマー粒子を開示する。当該ポリマー粒子は、複数のポリマー安定化成分を含んで成る。ポリマー安定化成分は、それぞれ、1以上の親水性のポリマー鎖と、複数の疎水性のポリマー鎖とを含んで成る。疎水性のポリマー鎖は、それぞれ、1以上のポリマー安定化成分に共有結合している。当該ポリマー粒子は、単分散であり、その直径に基づく変動係数は、20%未満である。また、当該ポリマー粒子を製造する方法も開示する。【選択図】図1

Description

(発明の分野)
本発明は、生物学的なアッセイおよび他の用途に有用な高度に単分散したポリマー粒子(highly monodisperse polymer particles)に関する。また、本発明は、高度に単分散したサブミクロンの粒子、具体的には直径が100~370nmの範囲の粒子を調製するための方法(又は処理又はプロセス)に関する。
(背景)
本明細書において、公開された先行技術文献の列挙または記載は、必ずしも、かかる文献が技術水準の一部であること、または共通の一般常識であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
近年、免疫学的な手法(又は手順)は、その高い特異性および感度から、臨床的な診断の方法として取り上げられることが多くなっている。ラテックス凝集法(latex agglutination)は、生物学や医薬で広く用いられている不均一(又は不均質)な免疫学的なアッセイ方法の1つであり、液体試験サンプル中の少量の抗体や抗原を検出するための方法である。凝集反応は、微小なキャリア粒子(通常、ポリマーの性質を有するものであって、ラテックス粒子と呼ばれているもの)がイン・ビトロ(in vitro)で凝集することを含む。この凝集は、抗体と抗原との間の特異的な反応によって媒介されるものであり、抗体または抗原のいずれかが、ラテックス粒子の表面に固定化または吸着される。このようなことから、かかるアッセイの感度(又はセンシティビティ)および再現性(又はリプロデューシビリティ)は、粒子表面積の一貫性(又はコンシステンシー)に大きく依存する。次いで、このことは、ラテックス粒子の単分散性(又は単分散度又はモノディスパーシティ(monodispersity))と寸法再現性(又はサイズ・リピータビリティ(size repeatability))に依存し、製造バッチ間で一貫している必要がある。免疫診断の用途では、粒子の直径は、可視光線の波長の約半分(約100nm~370nm)であることが求められ、単分散性(すなわち、変動係数)は、好ましくは5%未満である。
乳化重合(又はエマルジョン重合)は、「モノマー(単数又は複数)、開始剤(又はイニシエーター)、分散媒(又はディスパージョン・メディア)、および場合によってはコロイド安定剤(又はコロイド・スタビライザー)が、まず、最初に、不均一(又は不均質)な系を構成し、それによって、コロイドの大きさの粒子(形成されたポリマーを含む)をもたらす重合」であると定義されている(Pure Appl. Chem., 2011, 83, 2229-2259)。この方法(又は処理又はプロセス)では、成分(又はコンポーネント)を混合して均一化(又は均質化)する。安定なエマルジョンを得た後、開始剤を活性化させて、重合を開始する。エマルジョンの安定性は、単分散のポリマーのビーズを実現するための重要な要素(又はファクター)である。安定なエマルジョン系を形成するために、従来では、界面活性剤や乳化剤(又はエマルジファイヤー)が用いられており、モノマーや界面活性剤の種類によって、ミセルの形成を制御し、次いで、それによって、得られるポリスチレンビーズの寸法(又はサイズ)や分布(又は分配又は配分又はディストリビューション)を制御する。米国(US)特許出願公開公報第20170218095A1(これは、エマルジョン重合の方法によるポリスチレンシードの合成を記載している)では、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用し、開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)を使用し、ホウ砂を使用して、イオン強度を高めている。10重量%の水酸化ナトリウムでスチレンを抽出することで安定剤(4-tert-ブチルカテコール)を除去している。かかる安定剤は、スチレンの重合を阻害し得るものである。それ故、重合速度、ポリスチレンビーズの径(又は直径)、直径および単分散性に影響を与える。得られる単分散ポリスチレン粒子は、50~200nmの範囲の寸法(又はサイズ)を有する。
John Ugelstad によって発見された特定のエマルジョン重合の方法は、シード活性化法(米国(US)特許第4,530,956号、国際公開(WO)第00/61647号)としても知られており、50nm~200nmの寸法(又はサイズ)を有する単分散のシードを調製するのに使用されてきた。しかし、この方法は、面倒な手順(1回以上の重合サイクル)と複雑なレシピを含むものである。簡単に説明すると、このプロセスは、有機溶媒を含む試薬の混合物とシードを接触させて、シードを膨潤させることを含むものである。次に、過剰な有機溶媒を除去し、界面活性剤、モノマー、開始剤および架橋剤を加えて、水性ビヒクル中で活性化されたシードの粒子を形成する。モノマー、開始剤および架橋剤は、活性化されたシードの粒子内に拡散して、膨潤したシードの粒子の水性の分散液(又はディスパージョン)を形成し、それによって、この膨潤したシードの粒子において、モノマーおよび架橋剤の重合が開始する。
分散重合は、「沈殿重合であって、モノマー(単数または複数)、開始剤(又はイニシエータ)(単数または複数)およびコロイド安定剤(又はコロイド・スタビライザー)(単数または複数)を溶媒に溶解させて、それによって、まず、最初に、ポリマーを生成する均一(又は均質)な系を形成し、ポリマー粒子の形成をもたらすものである」と定義されている(Pure Appl. Chem., 2011, 83, 2229-2259)。単分散のポリマーのビーズを製造するためには、最初に均一(又は均質)な系を形成することが重要である。分散重合において、油溶性の開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)[Can. J. Chem. 1985, 63, 209-216]、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)/2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)[J. Polym. Sci: Part A: 1986, 24, 2995-3007; J. Polym. Sci: Part A: 1996, 4, 1857-1871]および過硫酸アンモニウム(APS)[Macromolecular Research, 2010, 8, 935-943]を共通して使用している。水溶性で油に不溶な過硫酸ナトリウム(SPS)および過硫酸カリウム(KPS)については、スチレンの均一(又は均質)な分散重合における開始剤としての使用は報告されていない。
分散重合によって単分散のポリスチレンのビーズを得るために、従来では、二元系の溶媒系(又はバイナリー・ソルベント・システム)を使用していた。例えば、BPOを開始剤として、エタノール(175mL)および2-メトキシエタノール(250mL)の混合物を二元系の溶媒系として使用していた。これによって、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(立体安定剤(又はステリック・スタビライザー)として使用するものである)を用いて、単分散のポリスチレンのビーズ(直径3μm)を製造することができた[Can. J. Chem. 1985, 63, 209-216]。原則として、分散重合は、すべての成分(モノマー、開始剤および安定剤)が最初の溶媒系に完全に溶解して均一(又は均質)な溶液を形成することが必要である。したがって、スチレンは、水に溶けないので、水だけを溶媒として使用することができない。その代わりに、アルコールと水との混合物(例えば、エタノール85%および水15%)を用いるのが一般的である(Can. J. Chem. 1985, 63, 209-216; J. Polym. Sci: Part A: Polymer Chemistry, 1987, 25, 1395-1407)。別の寸法制御(又はサイズ・コントロール)の研究(Macromolecular Research, 2010, 18, 935-943)では、立体安定剤(又はステリック・スタビライザー)としてポリビニルピロリドン(PVP)を使用し、開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)を使用し、溶媒として水性エタノール(エタノール/水、25/3の容量比)を使用して、単分散のポリスチレンのビーズを調製している。また、この研究では、純粋な水性媒体(溶媒として水のみ)を使用した場合、粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)、形状(又はシェイプ)、寸法の分布(又はサイズ・ディストリビューション)の制御が低下することが示されている。したがって、水のみでの分散重合では、単分散のポリスチレンビーズは製造できないことが結論付けられている。得られる粒子は、すべて1μmを超えることが判明したため、分散重合を用いて、これより小さい寸法(又はサイズ)の粒子を製造することは不可能であることについても、注目するに値する。
界面活性剤を使用しないエマルジョン重合(又は界面活性剤フリーのエマルジョン重合)では、モノマー、水および開始剤の3つの成分が系中に含まれる。開始剤は、典型的には、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド(AIBA)、過硫酸カリウム(KPS)、過硫酸アンモニウム(APS)から選択されるものである。これらは、水に可溶性である。スチレンを重合するプロセスは、水とスチレンモノマーとを混合して、特定の反応条件でエマルジョン系を形成し、その後、開始剤-水溶液を加えて反応を開始させることを含む。
・Langmuir 2004, 20, 4400-4405 において、ポリスチレンのビーズを形成するためのメカニズムは、主として、水中でのポリスチレンの沈殿(又は沈降)と核形成に関与していることが明らかにされている。スチレンのミセルから形成されるポリスチレンビーズの数は、非常に少なく、無視することができる。また、粒子の寸法(又はサイズ又は径)は、反応時間および温度によって制御され、AIBAを用いても単分散のポリスチレンの粒子は得られなかったことが実証されている。
・別の研究(Colloid Polym. Sci. 1999, 277, 607-626)では、AIBAの使用とKPSの使用とが比較されている。その結果、KPSのレシピでは、AIBAのレシピよりも大きな粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)およびより高い標準偏差をもたらしたことが明らかにされている。ただし、両レシピで得られる粒子は、200nm未満であった。イオン強度の異なる他のレシピでも、200nmを超える粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)を有する単分散のポリスチレンの粒子は得られなかった。
・Eur. Polym. J., 1994, 30, 179-183 において、APSの量を増やすと、より大きな粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)が得られることが実証されている(ただし、粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)のより広い分布(又は分配又は配分)を犠牲にしている)。さらに、コモノマーを添加しないAPSで達成可能な最小の単分散のポリスチレンのビーズは、250nmであると考えられている。
スチレンの界面活性剤フリーのエマルジョン重合におけるKPSの使用は、20年以上研究されてきた。興味深いことに、また驚くべきことに、スチレンの界面活性剤フリーのエマルジョン重合における開始剤として、KPSやAPSよりも安価な過硫酸ナトリウム(SPS)が使用されていることは、これまで報告されていない。SPS、KPSおよびAPSは、いずれも、一般的に使用されている過硫酸塩(又はパースルフェート)の開始剤であるにもかかわらず、それらのポリスチレン粒子の単分散性に与える影響は明らかでない。それらの溶解度、イオン強度、カチオンの大きさ(又はサイズ)、粘度および分解温度が異なるためである。したがって、SPSを安価な開始剤として使用した界面活性剤フリーのエマルジョン重合の技術を新たに開発して、Naを有する単分散のポリスチレンのコロイド溶液を製造することが有用である。
スチレンの界面活性剤フリーのエマルジョン重合は、典型的には、スチレン飽和溶液で開始される。スチレンおよび水の混合物に水性の開始剤の溶液を添加することを含む手順だからである。スチレンの飽和溶液の使用によって、ビーズにおける異常な領域(anomalous regions)の形成が説明できる。このような異常な領域は、ポリスチレンの粒子内のモノマー分布の不均一性に起因し得るものと考えられている[Colloid Polym. Sci. 1999, 277, 607-626]。
要約すると、既存の重合法では、免疫診断の用途に適した高度に単分散したポリスチレンの粒子が提供できないことが明らかである。形成(又は生成又は製造)される粒子の寸法(又は径又はサイズ)は、小さすぎる(最大で200nm)。あるいは、大きすぎる(1μm以上)。さらに、粒子の寸法(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)および/または単分散性(又は単分散度又はモノディスパーシティ(monodispersity))は、界面活性剤の選択(界面活性剤を介したエマルジョン重合の場合)、開始剤および開始剤濃度の選択(界面活性剤フリーのエマルジョン重合の場合)および溶媒の極性(分散重合の場合)によって影響を受ける。したがって、臨床的な診断方法に適した単分散のサブミクロンの粒子を調製するために改良された方法(又は処理又はプロセス)が必要である。単分散のサブミクロンの粒子は、概して、マイクロ・フルイディクス(micro-fluidics)およびナノ・フルイディクス(nano-fluidics)ならびにナノテクノロジー(nanotechnology)において、多くの用途(又は適用又はアプリケーション)があることが指摘されている。
(発明の要旨)
本開示では、以下の番号を付した項目(又は請求項)を参照することによって、本発明の態様および実施形態を説明する。
1.
ポリマー粒子であって、複数のポリマー安定化成分と、複数の疎水性ポリマー鎖とを含んで成り、
前記複数のポリマー安定化成分が、それぞれ、1以上の親水性ポリマー鎖を含んで成り、
前記複数の疎水性ポリマー鎖が、それぞれ、1以上の前記ポリマー安定化成分に共有結合しており、
当該ポリマー粒子は、単分散であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、20%未満である、ポリマー粒子。
2.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である、第1項に記載のポリマー粒子。
3.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、2%以下である、第2項に記載のポリマー粒子。
4.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、1%以下である、第3項に記載のポリマー粒子。
5.
前記ポリマー粒子の平均の直径が、50~1000nm、例えば100~600nm、例えば120~450nm、例えば150~400nm、例えば200~350nmである、第1~4項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
6.
前記ポリマー安定化成分の親水性ポリマー鎖が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサンおよびそれらのブレンド)、それらのコポリマーおよびそれらのブレンドからなる群から選択される、第1~5項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
7.
前記ポリマー安定化成分の親水性ポリマー鎖が、ポリ(ビニルピロリドン)である、第6項に記載のポリマー粒子。
8.
前記疎水性ポリマー鎖が、スチレンおよびその誘導体、アクリレートならびにアルキルアクリレートから1つ以上が選択されるモノマーから形成される、第1~7項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
9.
前記疎水性ポリマー鎖が、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択されるモノマーから形成される、第8項に記載のポリマー粒子。
10.
前記疎水性ポリマー鎖が、スチレンから形成される、第9項に記載のポリマー粒子。
11.
前記複数のポリマー安定化成分:前記複数の疎水性ポリマー鎖の重量:重量の比が、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5である、第1~10項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
12.
前記疎水性ポリマー鎖がコポリマーとして形成されている、かつ/または、前記疎水性ポリマー鎖が架橋されている、第1~11項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
13.
(a)前記疎水性ポリマー鎖がコポリマーである場合、前記コポリマーが、以下の第1セットのモノマーおよび第2セットのモノマーから形成される:
第1セットのモノマーが、疎水性であり、スチレンおよびその誘導体、アクリレートならびにアルキルアクリレートから1つ以上が選択され、
第2セットのモノマーが、カルボン酸基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1つ以上が選択される;および/または
(b)前記疎水性ポリマー鎖が架橋されている場合、架橋されたポリマー鎖は、架橋剤によって形成されるものであり、前記架橋剤が、第1セットのモノマーおよび/または第2セットのモノマー(ただし、存在する場合)と反応し、必要に応じて、前記架橋剤が、2以上の不飽和基を有するモノマーである、第12項に記載のポリマー粒子。
14.
(ai)第1セットのモノマーが、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択される;および/または
(bi)第2セットのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアミン、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
(ci)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレートおよびトリ(プロピレングリコール)ジアクリレートから1つ以上が選択される、第13項に記載のポリマー粒子。
15.
(aii)第1セットのモノマーがスチレンである;および/または
(bii)第2セットのモノマーが、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
(cii)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1つ以上が選択される、
第14項に記載のポリマー粒子。
16.
(aiii)第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である;および/または
(biii)第1セットのモノマー:架橋剤の重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である、
第13~15項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
17.
前記ポリマー粒子が、式:-SO [式中、ダッシュ(-)は、前記ポリマー粒子との結合のポイントを表し、Mは、Na、KまたはNH を表す]を有する硫酸塩(又はスルフェート塩又はスルフェート・ソルト)で官能化されている、第1~16項のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
18.
ポリマー粒子を製造する方法であって、当該方法は、以下の(A)、(B)および(C):
(A)水溶液のマクロ開始剤複合体(又はマクロ開始剤コンプレックス又はマクロイニシエーター・コンプレックス)を形成するために、水中で水溶性の開始剤化合物と親水性ポリマー安定剤化合物を反応させること、
(B)1以上の水非混和性モノマーを前記水溶液のマクロ開始剤複合体に添加して二相の重合反応混合物を形成することと、粒子の核形成が生じるまで、第1の期間にわたって反応させること;および
(C)ポリマー粒子を得るために、第2の期間にわたって反応を継続させるか、あるいは、第1の期間の後に反応をクエンチすること(又は停止させること)
を含み、
当該ポリマー粒子が、単分散であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、20%未満である、方法。
19.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である、第18項に記載の方法。
20.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、2%以下である、第19項に記載の方法。
21.
前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、1%以下である、第20項に記載の方法。
22.
前記ポリマー粒子の平均の直径が、50~1000nm、例えば100~600nm、例えば120~450nm、例えば150~400nm、例えば200~350nmである、第18~21項のいずれか1項に記載の方法。
23.
前記水溶性の開始剤が、1以上のパーオキシド開始剤、パースルフェート塩およびアゾ開始剤を含んで成る、第18~22項のいずれか1項に記載の方法。
24.
前記水溶性の開始剤が、ターシャリーアミルヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニア、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]および2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリドから1つ以上が選択される、第23項に記載の方法。
25.
前記水溶性の開始剤が、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニアから1つ以上が選択される、第24項に記載の方法。
26.
前記水溶性の開始剤が、過硫酸ナトリウムである、第25項に記載の方法。
27.
前記水溶性の開始剤が、レドックス・ペアであり、必要に応じて、前記レドックス・ペアが、アスコルビン酸および過酸化水素または過硫酸アンモニアおよび重亜硫酸ナトリウムから選択される、第23項に記載の方法。
28.
前記親水性ポリマー安定剤化合物が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、およびそれらのブレンド)、それらのコポリマーおよびそれらのブレンドからなる群から選択される、第18~27項のいずれか1項に記載の方法。
29.
前記親水性ポリマー安定剤化合物が、ポリ(ビニルピロリドン)である、第28項に記載の方法。
30.
前記親水性ポリマー安定剤化合物が、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である、第28項に記載の方法。
31.
前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレンおよびその誘導体、アクリレート、およびアルキルアクリレートから1つ以上が選択される、第18~30項のいずれか1項に記載の方法。
32.
前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択される、第31項に記載の方法。
33.
前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレンである、第32項に記載の方法。
34.
前記親水性ポリマー安定剤化合物:前記水非混和性モノマーの重量:重量の比が、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5である、第18~33項のいずれか1項に記載の方法。
35.
工程(c)において、第2の期間にわたって前記反応を継続させる、第18~34項のいずれか1項に記載の方法。
36.
第2の期間にわたって前記反応を継続させる場合、第2セットのモノマーおよび/または架橋剤を反応混合物に添加し、
第2セットのモノマーが、カルボン酸基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1つ以上が選択され、
架橋剤が、2以上の不飽和基を有するモノマーである、
第35項に記載の方法。
37.
(ia)第2セットのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアミン、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される:および/または
(ib)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、およびトリ(プロピレングリコール)ジアクリレートから1つ以上が選択される、
第36項に記載の方法。
38.
(iia)第2セットのモノマーが、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
(iib)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1つ以上が選択される、
第37項に記載の方法。
39.
(iiia)第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である;および/または
(iiib)第1セットのモノマー:架橋剤の重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である、
第36~38項のいずれか1項に記載の方法。
40.
前記水溶性の開始剤化合物:前記親水性ポリマー安定剤化合物のモル比が、10:1~10000:1、例えば20:1~5000:1、例えば30:1~1000:1、例えば50:1~500:1である、第18~39項のいずれか1項に記載の方法。
41.
前記水溶液の親水性ポリマー安定剤化合物の濃度が、0.01重量%~20重量%、例えば0.05重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5.0重量%である、第18~40項のいずれか1項に記載の方法。
42.
当該方法が、界面活性剤および有機溶媒を実質的に含まない(又はフリーである)、第18~40項のいずれか1項に記載の方法。
(図面)
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の特定の実施形態について、より完全に説明する。
図1は、提案の「水素(H)引き抜き(又はHアブストラクション)を経て予め形成されたマクロラジカルを用いるモノマー不足重合の開始および核形成」(“monomer-deficient polymerisation initiation and nucleation using pre-formed macroradical via H-abstraction”)のメカニズムを示す。 図2は、Hアブストラクション後のポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸(PAA)およびキトサンから形成されるマクロラジカルの概略図を示す。 図3は、サンプル1のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図4は、サンプル2のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図5は、サンプル3のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図6は、サンプル4のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図7は、サンプル5のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図8は、THFでインキュベーションした後のサンプル1のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図9は、THFでインキュベーションした後のサンプル5のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図10は、サンプル6のポリスチレンビーズのSEM画像を示す。 図11は、サンプル7のポリスチレンビーズのSEM画像を示す((A)ビーズの多分散性(polydispersity)および(B)ビーズの異常領域(anomalous region)を示している)。
(説明)
本発明は、1以上の上記で特定した問題を解決する。
驚くべきことに、一連の用途に使用可能な単分散(又はモノディスパーズ(monodisperse))のポリマー粒子を製造することが可能であることが見出された。かかる単分散のポリマー粒子は、驚くべき程度の単分散性(又は単分散度又はモノディスパーシティ(monodispersity))を有し、上述の通り、広範な用途に使用することができ、粒子が非常に望ましいものとなる。例えば、単分散のポリマーの粒子は、臨床的な診断方法(例えば、免疫診断の用途)に適していてよい。また、概して、マイクロ・フルイディクスおよびナノ・フルイディクスならびにナノテクノロジーに関連する用途での使用にも適していてよい。
従って、本発明の第1の態様によって、複数のポリマー安定化成分と、複数の疎水性ポリマー鎖とを含んで成るポリマーの粒子が提供される。
上記複数のポリマー安定化成分は、それぞれ、1以上の親水性ポリマー鎖を含んで成る。
上記複数の疎水性ポリマー鎖は、それぞれ、1以上の上記ポリマー安定化成分に共有結合している。
当該ポリマー粒子は、単分散であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数は、20%未満である。
本開示の実施形態において、用語「含んで成る(又は含む(comprising))」は、言及(又は記載)された特徴が必要なものであるとして解釈することができるが、他の特徴の存在を制限するものではないと解釈してよい。あるいは、用語「含んで成る(又は含む(comprising))」は、列挙(又は記載)した要素(又は成分又はコンポーネント)/特徴(又は構成又はフィーチャ)のみが意図的に存在する状況(又は場合)に関連していてもよい(例えば、用語「含んで成る(又は含む(comprising))」は、「からなる(consist of)」又は「本質的にからなる(consist essentially of )」というフレーズに置き換えることができる)。より広い解釈およびより狭い解釈の両方が、本発明のすべての態様および実施形態に適用できることが明示的に期待されている。換言すると、用語「含んで成る(又は含む(comprising))」およびその同義語は、「からなる(consisting of)」というフレーズまたは「本質的にからなる(consist essentially of )」というフレーズあるいはそれらの同義語に置き換えることができ、その逆もまた同様である。
本開示で使用する場合、用語「単分散(又はモノディスパーズ(monodisperse))」は、特定のパラメータ(例えば、粒子の直径)の変動係数(coefficient of variation)(CV)が低い粒子を指す。例えば、20%未満、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満のCVを有する粒子を指す。より詳細には、粒子は、2%以下、例えば1%以下のCVを有していてよい。用語「単分散(又はモノディスパーズ(monodisperse))」は、「高度に単分散した(又は高単分散)(highly monodisperse)」という用語をも包含する。「高度に単分散した」とは、本開示で使用する場合、5%未満、例えば2%以下、例えば1%以下のCVを指す。
本開示で使用する場合、用語「変動係数(coefficient of variation)」とは、その統計的な意味を指す。すなわち、以下の通りである。
Figure 2023500898000002
用語「標準偏差(又はスタンダード・ディビエーション(standard deviation))」および「平均(又はミーン(mean))」とは、その通常の統計的な意味を指す。
本開示において以下にて説明する通り、ポリマー粒子の直径は、イメージング技術(又は画像処理技術)(例えば、SEMイメージ)によって測定されてよい。
本明細書中に開示されるポリマーの粒子(又はポリマー粒子)は、任意の適切な平均の直径(又は平均直径)を有してよい。例えば、ポリマー粒子は、50~1000nm、例えば100~600nm、例えば120~450nm、例えば150~400nm、例えば200~350nmの平均直径を有してよい。ポリマー粒子の各バッチは、上記で要求されるように、それらの直径の寸法(又はサイズ)の間において、非常に小さな変動係数を有することが理解される。
ポリマー粒子は、それぞれ、複数のポリマー安定化成分(又はポリマー・スタビライジング・コンポーネント)から形成されるネットワークから構成されるものであり、ポリマー安定化成分は、バックボーンを形成するものであり、このバックボーンから、複数の疎水性ポリマー鎖(疎水性ポリマー・チェーン)が伸長している(又は伸びている)。
ポリマー安定化成分として、任意の適切な親水性ポリマー鎖を使用することができる。親水性ポリマー鎖は、フリーラジカル開始剤(又はフリーラジカル・イニシエータ)によって、複数の部位(又はサイト)において、活性化することができるものである。本開示において使用することができる適切な親水性ポリマー鎖の例として、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水溶性の多糖類(又はポリサッカライド)(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサンおよびそれらのブレンド)、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示において言及され得る特定の例において、ポリマー安定化成分の親水性ポリマー鎖は、ポリ(ビニルピロリドン)であってよい。
フリーラジカル開始剤によって活性化される場合、このような親水性ポリマー鎖は、それぞれ、複数のラジカル部位(又はラジカル・サイト)を含むと考えられる。次いで、かかるラジカル部位は、それぞれ、疎水性モノマーを反応混合物に導入する際に、疎水性ポリマー鎖の形成を促進することができると考えられる。ただし、理論に束縛されることは望まない。理解されるように、別々の親水性ポリマー鎖にあるこれらの多くのラジカル部位は、ともに交差反応してよい。そうすることで、2つ(または2以上、例えば、複数)の親水性ポリマー鎖がともに直接的に架橋して、親水性ポリマー鎖のネットワークを形成するようになる。その一方で、まだ他のラジカル部位が保持されており、これは、疎水性モノマーと反応することができるものであり、疎水性ポリマー鎖を形成することができる。さらに、疎水性ポリマー鎖は、親水性ポリマー鎖にあるラジカル部位と反応することよって、鎖を終結(又は終端)させてよい。それによって、2つの親水性ポリマー鎖(または1つの鎖および1つのネットワーク、または2つのネットワーク)が共に間接的に架橋されてもよい。
任意の適切な疎水性モノマーを使用して、本開示において言及する疎水性ポリマー鎖を形成することができる。疎水性モノマーは、ラジカル連鎖反応を受けるができるものである。適切な疎水性モノマーの例として、スチレンおよびその誘導体、アクリレート(類)、アルキルアクリレート(類)およびそれらの組合せが挙げられる。スチレンおよびその誘導体の例として、スチレン、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリレート(類)の例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、およびより具体的にはブチルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキルアクリレート(類)の例として、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示において言及され得る本発明の特定の実施形態では、疎水性モノマーは、スチレンであってよい。
本明細書中に開示されるポリマー粒子において、ポリマー安定化成分:複数の疎水性ポリマー鎖の任意の適切な重量:重量の比を使用してよい。本開示において言及され得るポリマー安定化成分:複数の疎水性ポリマー鎖の適切な重量:重量の比の例は、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5であってよい。
理解されるように、ベースとなるポリマー粒子は、そのままで有用であってよい。しかし、ポリマー粒子にさらなる特性を組み込むことが有利であってよい。それによって、かかる単分散の材料のさらなる潜在的な用途を開拓する可能性がある。このようなことは、コポリマーとして疎水性ポリマー鎖を形成することによって、かつ/または架橋剤を用いて形成することによって達成してよい。
理解されるように、上記の疎水性ポリマー鎖は、すでに、2以上の疎水性モノマー材料によって形成されたコポリマーを含んでよい。従って、本明細書で使用する場合、用語「コポリマー」は、特に、モノマーの導入を指してよい。モノマーは、ペンダントの反応性の官能性(又はペンダントの反応性の官能基又はペンダント反応性ファンクショナリティ)を有する(又は保持する)ものである。これらは、その後、疎水性ポリマー鎖に組み込まれるものである。例えば、疎水性ポリマー鎖がコポリマーである場合、コポリマーは、以下の第1セットのモノマーおよび第2セットのモノマーから形成されてよい。
第1セットのモノマーは、スチレンおよびその誘導体、アクリレート、およびアルキルアクリレートから1以上が選択される疎水性のモノマーである。
第2セットのモノマーは、カルボン酸基を有するモノマー、水酸基(又はヒドロキシル基)を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1以上が選択されるモノマーである。
第1セットのモノマーは、疎水性ポリマー鎖を形成するために使用され得るモノマーとして上述した材料と同一である。例えば、上述の定義がここでも適用されるため、繰り返し記載はしない。第2セットのモノマーは、ペンダントの反応性の官能性(又はペンダントの反応性の官能基又はペンダント反応性ファンクショナリティ)(例えば、遊離ヒドロキシル基、遊離カルボン酸など)を有する材料(又は保持する材料)である。これらは、後に、疎水性ポリマー鎖に組み込まれるものである。このような材料の例として、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアミン、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
理解されるように、疎水性ポリマー鎖は、少なくとも幾つかの疎水性の特徴(又はキャラクター)を有する(又は保持する)ことが意図されているので、第1セットのモノマーは、疎水性ポリマー鎖の大部分に関するものであり、少なくとも50%を形成する。例えば、第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比は、40:1~1:1、例えば20:1~2:1であってよい。
第2セットのモノマーの疎水性ポリマー鎖への導入によって、官能性(又は官能基又はファンクショナリティ)が導入されることに留意すべきである。例えば、カルボン酸基であって、これは、さらなる反応に使用することができる(例えば、免疫診断の用途において、使用することができる)。例えば、上記の反応性の官能基は、それが適用される免疫診断のテストにおいて抗原と反応する抗体とコンジュゲートするために使用することができる。
疎水性ポリマー鎖が共に架橋される場合、第1セットのモノマーおよび/または第2セットのモノマー(ただし、存在する場合)と反応することができる適切な架橋剤を使用してよい。適切な架橋剤の例として、2以上の不飽和基を有する単量体の材料(つまり、疎水性ポリマー鎖のラジカル鎖延長に関与し得るもの)が含まれる。本開示において言及され得る架橋剤の特定の例として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレートおよびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
疎水性ポリマー鎖には、任意の適切な量の架橋剤が、得られる架橋構造に組み込まれてよい。例えば、第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比は、40:1~1:1、例えば20:1~2:1であってよい。本開示で使用する場合、用語「第1セットのモノマー」とは、疎水性のモノマーを指すことが意図される。このモノマーは、架橋剤および/または第2セットのモノマーの非存在下において、疎水性ポリマー鎖の全体を形成するものである。第2セットのモノマーは、ペンダントの反応性の官能性(又はペンダントの反応性の官能基又はペンダント反応性ファンクショナリティ)を有する(又は保持する)ものである。これらは、その後、疎水性ポリマー鎖に組み込まれる。
架橋性のモノマーは、ポリスチレン粒子の溶媒耐性を向上させることができる。
本明細書中に開示される本発明の実施形態において、ポリマー粒子は、式:-SO を有する硫酸塩(又はスルフェート塩又はスルフェート・ソルト)によって官能化されてもよい。ここで、ダッシュ(-)は、ポリマー粒子に結合する点(又はポイント)を表す。Mは、Na、KまたはNH を表してよい。
本開示において言及され得る本発明の特定の実施形態において、ポリマー粒子における疎水性ポリマー鎖は、以下から形成されてよい。
スチレン単独;
スチレンならびに1以上のN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミン(コポリマーとして);
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1以上が選択される架橋剤で架橋されたスチレン;または
スチレンならびに1以上のN,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミン(コポリマーとして)であって、ジビニルベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1以上が選択される架橋剤で架橋されているもの。
また、本開示では、ポリマー粒子を製造(又は生成)する方法を開示する。当該方法は、以下のこと(又は工程又はステップ)を含む。
(A)水溶液のマクロ開始剤複合体(又はマクロ開始剤コンプレックス又はマクロイニシエータ・コンプレックス)を形成するために、水中で水溶性の開始剤(water-soluble initiator)の化合物(又は水溶性の開始剤化合物)と親水性ポリマー安定剤化合物(又は親水性ポリマースタビライザー化合物)を反応させること(又は工程又はステップ)、
(B)1以上の水非混和性モノマー(water-immiscible monomers)を、上記の水溶液のマクロ開始剤複合体に添加して二相の重合反応混合物(biphasic polymerisation reaction mixture)を形成することと、粒子の核形成が生じるまで、第1の期間にわたって反応させること(又は工程又はステップ);および
(C)ポリマー粒子を得るために、第2の期間にわたって反応を継続させるか、あるいは、第1の期間の後に反応をクエンチすること(又は工程又はステップ)。
当該ポリマー粒子は、単分散(又はモノディスパーズ)であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数は、20%未満である。
理解されるように、当該生成物の完全なディテール(又は詳細)については、上述の通りであることから、記載を簡潔にするため、ここでは繰り返し記載はしない。
本開示で使用する場合、用語「マクロ開始剤複合体(又はマクロ開始剤コンプレックス又はマクロイニシエータ・コンプレックス)」は、単一ポリマーストランド(又はシングル・ポリマー・ストランド)または2以上のポリマーストランドの架橋セットのいずれかを指す。単一ポリマーストランドは、親水性ポリマー安定剤化合物のポリマーストランドであり、ポリマー骨格(又はポリマー・バックボーン)に沿って、複数のラジカルを含むものである。ポリマーストランドは、親水性ポリマー安定剤化合物のポリマーストランドである(それぞれ、架橋は、ポリマーストランド間のラジカル反応によって形成されている)。2以上の架橋ポリマーストランドのポリマー骨格(又はポリマー・バックボーン)に沿って、複数のラジカルを含む。上記のマクロ開始剤複合体は、疎水性ポリマー鎖の成長を開始させるために用いられる。ここで、複数の疎水性ポリマー鎖は、各マクロ開始剤複合体の骨格(又はバックボーン)に形成されてよい。理解されるように、マクロ開始剤複合体は、親水性ポリマー安定剤化合物と、水溶性の開始剤化合物との間の反応によって形成される。これにより、親水性ポリマー安定剤化合物から水素原子を引き抜くフリーラジカルが形成(又は生成)されてよく、それによって、上記化合物のポリマー骨格に沿って、フリーラジカルを形成(又は生成)させてよい。
本開示において、任意の適切な水溶性の開始剤を使用してよい。適切な水溶性の開始剤の例として、パーオキシド開始剤(又は過酸化物開始剤又はパーオキシド・イニシエータ)、パースルフェート塩(又は過硫酸塩又はパースルフェート・ソルト)、アゾ開始剤(又はアゾ・イニシエータ)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。水溶性の開始剤の特定の例として、ターシャリーアミルヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニア、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示において言及され得る特定の実施形態において、水溶性の開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、および過硫酸アンモニアから1以上が選択されてよい。本開示において言及され得るよりさらなる特定の実施形態では、水溶性の開始剤は、過硫酸ナトリウムであってよい。
さらに、あるいは、水溶性の開始剤は、レドックス・ペア(又は酸化還元対)であってよい。本開示では、任意の適切なレドックス・ペアを使用してよい。例えば、レドックス・ペアは、アスコルビン酸および過酸化水素、または過硫酸アンモニアおよび重亜硫酸ナトリウムから選択されてよい。
理解されるように、上記の材料は、そのための正しい条件に供されると、ラジカルを自動的に形成(又は生成)することができる。例えば、水溶液中で加熱すると、過硫酸イオンは、熱分解を受けて、2つのスルフェート・イオン・ラジカル(SO ・)を提供する。かかるラジカルは、ポリマー分子から水素原子を引き抜くことができるものである。従って、ポリマー骨格において、ラジカルを形成(又は生成)させることができる。
任意の適切なモル比(水溶性開始剤化合物:親水性ポリマー安定剤化合物)を使用することができる。例えば、水溶性開始剤化合物:親水性ポリマー安定剤化合物のモル比は、10:1~10000:1、例えば20:1~5000:1、例えば30:1~1000:1、例えば50:1~500:1であってよい。疑問を回避するために、同じ特徴に関する多くの数値範囲が本開示に挙げられているところでは、各範囲の両端の値が任意の順序で組み合わされて、さらに企図された範囲(なおかつ暗黙的に開示された範囲)を提供することが意図されることが明らかに考えられている。従って、上記に関する数値範囲に関連して、以下の範囲が開示されている。
10:1~20:1、10:1~30:1、10:1~50:1、10:1~500:1、10:1~1000:1、10:1~10000:1
20:1~30:1、20:1~50:1、20:1~500:1、20:1~1000:1、20:1~10,000:1
30:1~50:1、30:1~500:1、30:1~1000:1、30:1~10,000:1
50:1~500:1、50:1~1000:1、50:1~10000:1、
500:1~1000:1、500:1~10,000:1、および
1000:1~10,000:1
親水性ポリマー安定剤化合物は、複数のポリマー安定剤成分に対応する。それぞれのポリマー安定剤成分は、1以上の親水性ポリマー鎖を含んで成る。例えば、本開示において、親水性ポリマー鎖として上述したのと同じポリマー材料が使用されてよい。本開示において言及され得る特定の実施形態において、親水性ポリマー安定剤化合物は、ポリ(ビニルピロリドン)および/または水溶性の多糖類(又はポリサッカライド)(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)であってよい。
工程(A)(又はステップ(A))の水溶液において、任意の適切な濃度の親水性ポリマー安定剤化合物を使用してよい。例えば、工程(A)(又はステップ(A))の水溶液において、親水性ポリマー安定剤化合物の濃度は、0.01重量%~20重量%、例えば0.05%~10重量%、例えば0.1重量%~5.0重量%であってよい。マクロ開始剤複合体における架橋の程度(又は架橋度)は、この水溶液に添加する親水性ポリマー安定剤化合物の濃度に大きく依存する。その次に、マクロ開始剤複合体における架橋の程度(又は架橋度)は、形成(又は生成)されたポリマー粒子の直径、ビーズの単分散性(又は単分散度)およびビーズの安定性(又は安定度)に影響を与える。マクロ開始剤は、ビーズの凝集を回避するのに役立ち、高度に単分散したポリスチレンのビーズの形成を促進させるものと考えられる(ただし、理論に束縛されることは望まない)。
水非混和性モノマー(water-immiscible monomers)は、ポリマー粒子の生成物において、上記で言及した疎水性ポリマー鎖を形成するために使用されるモノマーであってよい。例えば、水非混和性モノマーは、スチレンおよびその誘導体、アクリレート(類)およびアルキルアクリレート(類)から1以上が選択されてよい。スチレンおよびその誘導体の例として、スチレン、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリレート(類)の例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートが挙げられ、より具体的には、ブチルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキルアクリレート(類)の例として、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示において言及され得る本発明の特定の実施形態において、水非混和性モノマーは、スチレンであってよい。
本発明の実施形態において、親水性ポリマー安定剤化合物:水非混和性モノマーの重量:重量の比は、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5であってよい。
工程(B)(又はステップ(B))の反応混合物において、水非混和性モノマーの濃度は、0.1~40.0重量%、例えば1~30重量%、例えば2~20重量%であってよい。形成(又は生成)されるコロイド溶液は、溶液の重量に対して、0.1重量%~40重量%、好ましくは1重量%~30重量%、より好ましくは2重量%~20重量%の乾燥質量を有してよい。
上述したように、モノマー材料は、水非混和性(water-immiscible)である。これは、ここで説明している方法の成功にとって重要なことである。水非混和性モノマーは、油相(又はオイル相又はオイル・フェーズ)から水相(又はウォーター相又はウォーター・フェーズ)に絶えず溶解して、重合プロセスに供給されるものと考えられる(ただし、理論に束縛されることは望まない)。その結果、水相における水非混和性モノマーの濃度が低くなる。それによって、重合速度が遅くなり、核形成のプロセスが長くなる。このようにして得られる二相の重合反応混合物(biphasic polymerisation reaction mixture)は、従来の均一(又は均質)な分散重合から形成(又は生成)される反応混合物とは異なるものである。なお、ここでは、有機溶媒相におけるモノマー濃度が高い。マクロ開始剤複合体は、親水性であり、そのため、重合生成物を水相に保つことによって、核形成プロセスを遅らせるのにも役立つ。遅く長い核形成のプロセスによって、高度に単分散したポリマー粒子(またはビーズ)が生成すると考えられる(ただし、理論に束縛されることは望まない)。
工程(B)(又はステップ(B))が完了した後、以下にて説明するプロセスの残りの部分では、新しいポリマー粒子を核形成することはできないことに留意されたい。粒子の核形成を得るための期間は、15分~45分であってよい。
上述のように、当該方法の工程(C)(又はステップ(C))では、形成された粒子のクエンチ(又は停止)をもたらし得るか(最小サイズの単分散ポリマー粒子を提供する)、あるいは反応を継続させてよい。新しい材料(例えば、潜在的な共重合材料)を導入することなく反応を継続させる場合、次いで、粒子の寸法(又はサイズ)を単に成長させることによって、本明細書で前述したような単分散のポリマー粒子を提供することができる。あるいは、このとき、追加の官能性(又は官能基又はファンクショナリティ)が望まれる場合、第2セットのモノマーおよび/または架橋剤を反応混合物に添加して生成物を形成する。ここで、疎水性ポリマー鎖にペンダントの反応性の官能性(又はペンダントの反応性の官能基又はペンダント反応性ファンクショナリティ)を有するポリマーを含ませる、かつ/または疎水性ポリマー鎖を一緒に架橋する。
工程(C)(又はステップ(C))において、第2セットのモノマーを反応混合物に添加する場合、カルボン酸基を有するモノマー、水酸基(又はヒドロキシル基)を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1以上が選択されてよい。架橋剤を添加して架橋を形成する場合、架橋剤は、2以上の不飽和基を有するモノマーであってよい。例えば、第2セットのモノマーおよび架橋剤は、ポリマー粒子の生成物に関して、上記で詳細に説明したものと同一である。ここでは、記載を簡潔にするために再度説明はしない。
第2セットのモノマーを反応混合物に添加する場合、第1セットのモノマー(すなわち、水非混和性モノマー):第2セットのモノマーの重量:重量の比は、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である。架橋剤を反応混合物に添加する場合、第1セットのモノマー(すなわち、水非混和性モノマー):架橋剤の重量:重量の比は、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である。
開示の方法によると、マクロ開始剤複合体の分子量および濃度によって、形成(又は生成)するポリマー粒子の粒子サイズ(又は粒子径又は粒径又はパーティクル・サイズ)および分散性(又は分散度)を制御することができる。マクロ開始剤複合体は、親水性である。このことによって、ポリマー粒子の核形成プロセスを遅らせるため、より大きな粒子の寸法(又はサイズ又は粒子径又は粒径)を達成することができる。生成されるポリマーのビーズまたは粒子は、架橋構造を有するものであり、安定であり、なおかつ、有機溶媒および界面活性剤を含まないものである(又は界面活性剤フリーである)。
開示の方法が有する利点として、以下の(1)~(7)が挙げられる。
(1)100~370nmの粒子の寸法(又はサイズ又は粒子径又は粒径)の範囲または平均の直径を有する単分散ポリマー粒子の提供を達成することができる。従来の界面活性剤フリー(又は界面活性剤なし)の方法では、250nmよりも大きなビーズを提供することは不可能であった(特にポリスチレンビーズに関して)。
(2)単分散性(又は単分散度)および寸法(又はサイズ又は粒子径又は粒径)の両方の制御が一貫して達成できる。従来の方法では、より大きな粒径を達成すると単分散性が損なわれることが判明していた。
(3)本方法は、ワンポット・プロセスであり、目標とする免疫診断アッセイの粒径に対応するものである。
(4)従来では、コモノマーや第2セットのモノマーを添加すると、寸法(又はサイズ又は粒子径又は粒径)および単分散性(又は単分散度)に悪影響を与える。本方法では、核形成の後にコモノマーを添加することができ、系全体に顕著な影響を与えることはない。
(5)本方法において、マクロ開始剤複合体は、核形成テンプレートと架橋剤の2つの役割を担っている。
(6)親水性のマクロ開始剤複合体を用いることによって、第2の核形成を抑制して、高度に単分散したビーズをもたらす。
(7)本方法によって、市販のモノマーを直接的に使用できる可能性がある。その場合、安定剤(4-tert-ブチルカテコール)を除去するための精製(例えば、NaOHによる処理)は不要となる。
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の非限定的な実施例において提供される。
(実施例)
本発明は、新規な「モノマー不足重合の開始および核形成(monomer-deficient polymerisation initiation and nucleation)」のストラテジーによって得られる高度に単分散したポリマー粒子またはポリマービーズに関する。当該方法は、従来の分散重合、乳化重合および界面活性剤フリー乳化重合とは異なるものである。
本発明の一実施形態において、100~370nmの粒子の寸法(又はサイズ又は粒子径又は粒径)を有する高度に単分散したポリスチレン粒子(またはポリスチレンビーズ)をワンポット合成で調製する。このワンポット合成では、図1の概略図に示されている通り、溶媒としての水(単独)と、スチレンモノマー40と、親水性のマクロラジカル100(水溶性の開始剤20と、親水性のポリマー安定剤30とを混合することによって形成されるものである)とが関与する。
・工程1(又はステップ1)では、まず、均一(又は均質)な水溶液(B)を形成する。水溶液(B)は、親水性のマクロラジカル100(またはマクロ開始剤複合体)を含むものである。水溶液(B)は、水溶性の開始剤20(例えば、過硫酸塩開始剤)および親水性のポリマー安定剤30(例えば、PVP安定剤)を水中に添加し、その後、溶液(A)を加熱することによって形成されるものである。そうすることで、開始剤を活性化させて、水素を引き抜くこと(又は水素アブストラクション又はハイドロジェン・アブストラクト)によって、親水性のポリマー安定剤30に新たなフリーラジカルが発生するようになる。
・工程2(又はステップ2)では、次いで、(B)にスチレンモノマー40を添加して、油相(又はオイル・フェーズ)と水相(又はウォーター・フェーズ)とを含んで成る二相系(C)を形成する。ここで、油相は、実質的にスチレンモノマー40から形成されている。
・スチレンモノマー40が液滴(又はドロップレット)80としてゆっくり水相中に溶解する。親水性のマクロラジカル100によって、スチレンモノマー40の重合が開始し、それによって、ポリスチレン50が二相系(D)の水相中に沈殿(又は沈降)して核を形成する(工程3(又はステップ3))。
・必要に応じて、ポリスチレン50の核形成が完了した後、コモノマーを添加することができる(図1には示されていない)。
(工程1)
典型的には、工程1において、親水性のポリマー安定剤と、水溶性の開始剤とを室温で水中に完全に溶解させて、均一(又は均質)な混合物(A)を形成する。次に、開始剤の熱分解の温度を超えるまで系を加熱する。熱分解温度は、典型的には、40~100℃(例えば、60~90℃)である。開始剤の熱分解によって、フリーラジカルが形成(又は生成)される。水溶性の開始剤は、過酸化物開始剤(又はパーオキシド開始剤)、過硫酸塩(又はパースルフェート塩又はパースルフェート・ソルト)およびアゾ開始剤から選択することができる。例えば、パースルフェート開始剤は、熱分解して、2種類のラジカル、スルフェート・イオン・ラジカル(SO)およびヒドロキシル・ラジカル(・OH)を与える。これらは、ポリマー分子から水素原子を引き抜くことができ、親水性のマクロラジカルを形成することができる。本発明の一実施形態では、開始剤として過硫酸ナトリウム(SPS)を使用する。これは、KPS、APSおよびAIBAよりも安価である。これは、スチレンの界面活性剤フリー重合において、SPSが初めて使用されることが報告されるものと考えられる。
概して、親水性のポリマー安定剤のアルファ(α)炭素から、水素原子を引き抜くことによって、フリーラジカル部位が形成される。選択した親水性のポリマー安定剤の水素(H)引き抜きのメカニズムを図2に示す。PVPのビニル基から水素(H)の引き抜きが起こり、マクロラジカルを形成する。不対電子の近傍において、不均化(又はディスプロポーショネーション(disproportionation))を介した鎖の切断によって、より安定な状態に再転位してもよい。同様の過程によって、PAAのビニル基においても、水素(H)の引き抜きが起こる。キトサンにおけるラジカルの形成は、C-4炭素へのアニオン性ラジカルの攻撃(又はアタック)によるものであり、C-4炭素(C)にラジカルが移動する。このとき、C-4炭素(C)から水素が除去される。
(工程2)
典型的には、工程2で使用するモノマーは、二相系(C)を形成するために、水に対する溶解度(又は溶解性)が制限されるべきである(または水非混和性であるべきである)。例えば、スチレンの水への溶解度(又は溶解性)は、0.030gスチレン/100g溶液(25℃)(JACS 1950, 72, 5034-5037)、0.058g/100g溶液(65℃)(Ind. Eng. Chem. Anal. Ed. 1946,18, 295-296)である。スチレンが水相にゆっくり溶解すると、工程1から形成されたマクロラジカルにスチレンがグラフトされ、スチレンの連続溶解とスチレンの重合が誘発(又はトリガー)される。
(工程3)
典型的には、工程3において、ポリマーの沈殿(又は沈降)および核形成のプロセスが水相中で進行する。例えば、PVPと、分岐したスチレンオリゴマーとの共役(又はコンジュゲーション)によって、水への溶解度(又は溶解性)が低下することになる。ポリスチレン鎖がより長く成長するにつれて、ポリマーは、水相において、核を形成し始める。ポリスチレンの沈殿(又は沈降)および核形成のプロセスは、均一(又は均質)な分散重合に似ているが、二相系で起こる点で異なる。
重合生成物の単分散性(又は単分散度)は、水相におけるスチレンモノマーの溶解度(又は溶解性)が低いことに起因するようである。スチレンは、油相から水相に絶えず溶解して、重合プロセスに供給され、ポリスチレンビーズを成長させる。このことによって、水相におけるスチレンの濃度が低くなる。特に重合の初期において、水相におけるスチレンの濃度が低くなる。このようなことから、重合の速度が遅くなり、核形成のプロセスが長くなる(約30分)。対象的に、均一(又は均質)な分散重合の核形成のプロセスでは、スチレン濃度が高いことから、かなり速くなる(約10分)。また、親水性マクロラジカルは、核形成プロセスの速度を遅くするのに役立つ。これは、重合生成物を水相中により長い時間にわたって維持させることによるものである。その後、ポリスチレンの沈殿(又は沈降)が開始する。ゆっくりで長い核形成のプロセスによって、高度に単分散したポリスチレンのビーズが形成されるものと考えられる(ただし、理論に束縛されることは望まない)。
核形成の開始後、ポリスチレンの粒子は、膨潤し、そしてスチレンモノマーとともに濃縮される。それによって、重合の速度を加速させることができる。このことによって、ポリスチレンビーズは、より球状になり、滑らかな表面を有するビーズを与えることができる。その結果、粒子は、より大きく、より密に成長する。この重合は、すべてのスチレンモノマーが使用され、単分散のポリスチレンのビーズに取り込まれたときに終了する。
必要に応じて、ポリスチレンビーズにコモノマーを加えることができる(または核形成が完了した後でもよい)。そうすることで、粒子(またはビーズ)の剛性が向上する。あるいは表面が官能化する(官能基を有するコモノマーを加えることによって官能化する)。
(材料および方法)
材料は、以下の供給元から購入した。
スチレン(Tokyo Chemical Industry Co. Ltd. (TCI),4-tert-ブチルカテコールで安定化されている,>99.0%(GC))
過硫酸ナトリム(Na, SPS; Alfa Aesar,結晶性,98%)
ポリビニルピロリドン(PVP; K30, MW= 45000-58000; K60, MW= 270,000-400,000; K90, MW= 1,000,000-1,500,000; TCI、トータルの窒素12.0%~12.8%(無水物質で計算した);水(max)7.0%,K値26.0~34.0)
塩化ナトリム(NaCl; Alfa Aesar, ACS,99.0%(min))
アクリル酸(TCI;>99.0%(GC))
ジビニルベンゼン(DVB; Sigma-Aldrich,85%)
ELGA Ultrapure Water Treatment Systems(PURELAB Option)から脱イオン(DI)水を得た。
塩酸,Sigma-Aldrich,37%
水酸化ナトリム,BioXtra,≧98%(酸滴定),ペレット(無水)
CrystEngComm, 2017,19, 552-561 に記載の手順に従って、JEOL JSM 6700Fを用いて、SEMイメージングを行った。「平均」の直径との記載は、SEMから得られた平均の直径を指す。
メカニカル・スターラーは、WiggensのWB2000-M オーバーヘッド・スターラーであった。
ポリスチレンビーズの変動係数(coefficient of variation)(CV)%をSEM画像の測定から算出した。合成したままのラテックス溶液の液滴を平らな面(例えば、アルミホイル)に滴下し、周囲温度で一晩乾燥させた。導電性の両面カーボンテープを使用して、得られたサンプルをSEMスタブに取り付けた(又はマウントした)。サンプルを取り付けたスタブは、白金の薄膜によって、スパッタリングコーティングされた。この調製したサンプルをSEM(Model JEOL JSM 6700F)で試験した。すべてのサンプルについて、30000倍の画像から、無作為に選んだ100個の粒子の直径を測定し、それに応じて、標準偏差を計算した。
すべての重合プロセスにおいて、メカニカル・スターラー(200rpm)を使用した。使用する前にDI水を窒素で20分間バブリングし、酸素を除去した。SPS、PVP、NaCl、アクリル酸、DVBおよびスチレンを精製することなく受け取ったままの状態で使用した。
(実施例1)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(76mg)、PVP(K60、1g)、NaCl(584mg)およびDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約5分間にわたって撹拌して、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。次いで、70℃のオイルバスで約10分間程度加熱した。必要量のスチレン(10mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、30分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、重合速度と核形成プロセスが遅いことを示すものであった。この重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル1」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図3)は、得られたポリスチレンビーズの直径が260nmであり、CVが1%であることを示している。ポリスチレンビーズに異常な領域(anomalous regions)は観察されなかった。
この実験から、予め形成されたマクロラジカルは、高いイオン強度の反応条件(NaClが寄与する)において、高度に単分散したポリスチレンビーズをもたらすことが示されている。
(実施例2)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(86mg)、PVP(K30、200mg)およびDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約60分間にわたって撹拌して、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。次いで、70℃のオイルバスで約20分間程度加熱した。必要量のスチレン(30mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、30分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、重合速度と核形成プロセスが遅いことを示すものであった。この重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル2」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図4)は、得られたポリスチレンビーズの直径が310nmであり、CVが1%であることを示している。ポリスチレンビーズに異常な領域(anomalous regions)は観察されなかった。
この実験から、予め形成されたマクロラジカルは、低いイオン強度の反応条件(NaCl非存在下)において、高度に単分散したポリスチレンビーズをもたらすことが示されている。
(実施例3)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(57mg)、PVP(K90、1g)およびDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約5分間にわたって撹拌し、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。次いで、70℃のオイルバスで約3分間程度加熱した。必要量のスチレン(10mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、30分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、重合速度と核形成プロセスが遅いことを示すものであった。この重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル3」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図5)は、得られたポリスチレンビーズの直径が120nmであり、CVが2%であることを示している。ポリスチレンビーズに異常な領域(anomalous regions)は観察されなかった。
この実験から、予め形成されたマクロラジカルは、低い開始剤の濃度を用いて120nmという小さな直径を有する高度に単分散したポリスチレンビーズが生成できることが示されている。
(実施例4)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(46mg)、PVP(K60、100mg)およびDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約5分間にわたって撹拌して、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。次いで、70℃のオイルバスで約3分間程度加熱した。必要量のスチレン(30mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、30分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、重合速度と核形成プロセスが遅いことを示すものであった。この重合混合物を70℃で10時間にわたって撹拌した。その後、アクリル酸(スチレンに対して5重量%)を加え、70℃でさらに20時間にわたって重合を続けた。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル4」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
(SEM)
SEM画像(図6)は、得られたポリスチレンビーズの直径が267nmであり、CVが1%であることを示している。ポリスチレンビーズに異常な領域(anomalous regions)は観察されなかった。
(酸滴定)
すでに報告されている酸滴定の方法(Journal of Colloid and Interlace Science, 1974, 49, 3,425-432)を用いて、ポリスチレン粒子の表面にあるカルボキシル基を測定した。正確に秤量したラテックスのサンプル(約1gのポリマー固形分を含む)を脱イオン水で25mlの容量に希釈した(50mL容器中)。希釈したラテックス・サンプルのpH値は、希釈したNaOH溶液を加えることによって、11.0±0.2に調整した。その一方で、pH値は、pHメーター(Hanna Instruments、HI2211)を使用してモニタリングした。次いで、コンダクタンス・プローブ(Hanna Instruments, EC portable meter)を、希釈したラテックスの分散液中に設置した。このサンプルを標準的な0.421Nの塩酸(HCl)水溶液で滴定した。0.050mLの増加(又はインクリメント)に伴って、機械的に撹拌しながら、2回の増加(又はインクリメント)の間に1分間の間隔を置いた。ラテックス分散液の伝導率(又は導電率又はコンダクティビティ)は、ECポータブルメーターを用いてモニタリングした。温度は、滴定プロセスを通して、約25℃に維持した。
文献(Journal of Colloid and Interlace Science, 1974, 49, 3, 425-432)に従って、滴定の終点(又はエンド・ポイント)を決定する。酸の濃度は、ポリマー固形分1グラム当たりのミリ当量チャージ(MEQ/g)として表されている。「表面結合」(した)酸の濃度は、以下の式から算出する。
Figure 2023500898000003
式中、
Vsbは、「表面結合」(した)酸を中和するのに必要なHCl滴定試薬の容量(単位cc)である。
Nは、HCl滴定試薬の規定度である。
Wは、ラテックスのサンプル重量である。
Sは、ラテックス中のポリマー固形分のフラクション(又は画分又は割合)である。
この実験は、表面結合した酸の密度が0.22mmol/gであることを示している。この実験によって、今回の方法を用いて、カルボキシル基が豊富な単分散のビーズが達成できることが示されている。ポリスチレンの核形成が完了した後にコモノマー(例えば、アクリル酸)を添加することができ、それによって、カルボン酸基による表面での官能化(又は官能基化又はファンクショナリゼーション)を達成することができる。
(実施例5)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(476mg)、PVP(K60、50mg)およびDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約5分間にわたって撹拌して、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。次いで、70℃のオイルバスで約3分間程度加熱した。必要量のスチレン(20mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、30分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、重合速度と核形成プロセスが遅いことを示すものであった。重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。その後、反応系をDI水(50mL)で希釈した。続いて、DVB(3.6g)を添加した。重合は70℃でさらに20時間にわたって続けられた。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル5」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図7)は、得られたポリスチレンビーズの直径が250nmであり、CVが1%であることを示している。ポリスチレンビーズに異常な領域(anomalous regions)は観察されなかった。
この実験から、予め形成されたマクロラジカルを用いると、ポリスチレンの核形成が完了した後に架橋剤(例えば、DVB)を添加することができ、溶媒耐性を高めた単分散ビーズが製造されることが示されている。
(実施例6:溶媒耐性試験)
合成したままのラテックス溶液のサンプル1およびサンプル5を溶媒耐性試験に供した。両サンプルに等量のTHFを混合し、1時間インキュベートした。インキュベーション後、サンプル1(図8)およびサンプル5(図9)のSEM画像を撮影した。架橋剤を使用しない場合、ビーズはTHFによってすぐに破壊された。しかし、20%のDVB(w/w、DVB/スチレン)を用いると、ポリスチレン粒子の溶媒耐性が向上した。
(比較例1)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器に、SPS(46mg)およびDI水(100mL)を加えた。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。混合物を約10分間にわたって撹拌して、室温で均一(又は均質)な溶液を得た。必要量のスチレン(20mL)をシリンジで反応器に素早く注入した。得られた混合物を70℃のオイルバスで加熱した。スチレンは、水溶液のトップに油層(又はオイルの層)を形成した。得られた混合物は、ゆっくりと白濁し、10分後には白色の懸濁液(又はサスペンジョン)に変化した。これは、親水性ポリマー安定剤(例えば、PVP)を含む実験と比較した場合、重合速度と核形成プロセスが速いことを示すものであった。この重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。乳白色のコロイド溶液を得た。合成したままのコロイド溶液を「サンプル6」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図10)は、得られたポリスチレンビーズが多分散(又はポリディスパーズ(polydisperse))であることを示している。
この比較例は、予め形成されたマクロラジカルを用いない場合、モノマー不足の重合手順であっても、単分散のポリスチレンビーズを製造することができなかったことを示している。
(比較例2)
メカニカル・スターラーを備えた250mLの2口の丸底のガラス製の反応器にDI水(100mL)を添加した。次いで、反応器のサイドネックをゴム製のセプタムで密閉し、ニードルを介して窒素を導入して、反応器内の空気を掃気した。必要量のスチレン(20mL)をシリンジで反応器に注入した。続いて、10分間にわたってコンスタントに撹拌して、スチレンの飽和水系を形成した。この系を70℃のオイルバスで約3分間程度加熱した。次いで、この系に、10mLのDI水に溶解したSPS(46mg)を注入して、重合を開始させた。この重合混合物を70℃で20時間にわたってオーバーナイトで撹拌した。乳白色のコロイド溶液を形成した。合成したままのコロイド溶液を「サンプル7」とした。走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6700)を用いて、サンプルの表面の形態(又はモルホロジー)を観察した。
SEM画像(図11A)は、得られたポリスチレンビーズが多分散(又はポリディスパーズ(polydisperse))であることを示している。SEM画像(図11B)は、ポリスチレンビーズがその表面に異常な領域(anomalous region)を含んでいたことを示している。
この比較例から、予め形成されたマクロラジカルを用いない場合、単分散(又はモノディスパーズ)のポリスチレンビーズが製造できなかったことが示されている。スチレンが飽和した状態で重合を開始したことから、ビーズに異常な領域(anomalous regions)が観察された(図11B)。これは、ポリスチレン粒子内のモノマー分布が不均一であったことから生じ得るものと考えられる。

Claims (42)

  1. ポリマー粒子であって、複数のポリマー安定化成分と、複数の疎水性ポリマー鎖とを含んで成り、
    前記複数のポリマー安定化成分が、それぞれ、1以上の親水性ポリマー鎖を含んで成り、
    前記複数の疎水性ポリマー鎖が、それぞれ、1以上の前記ポリマー安定化成分に共有結合しており、
    当該ポリマー粒子は、単分散であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、20%未満である、ポリマー粒子。
  2. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である、請求項1に記載のポリマー粒子。
  3. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、2%以下である、請求項2に記載のポリマー粒子。
  4. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、1%以下である、請求項3に記載のポリマー粒子。
  5. 前記ポリマー粒子の平均の直径が、50~1000nm、例えば100~600nm、例えば120~450nm、例えば150~400nm、例えば200~350nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  6. 前記ポリマー安定化成分の親水性ポリマー鎖が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサンおよびそれらのブレンド)、それらのコポリマーおよびそれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  7. 前記ポリマー安定化成分の親水性ポリマー鎖が、ポリ(ビニルピロリドン)である、請求項6に記載のポリマー粒子。
  8. 前記疎水性ポリマー鎖が、スチレンおよびその誘導体、アクリレートならびにアルキルアクリレートから1つ以上が選択されるモノマーから形成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  9. 前記疎水性ポリマー鎖が、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択されるモノマーから形成される、請求項8に記載のポリマー粒子。
  10. 前記疎水性ポリマー鎖が、スチレンから形成される、請求項9に記載のポリマー粒子。
  11. 前記複数のポリマー安定化成分:前記複数の疎水性ポリマー鎖の重量:重量の比が、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5である、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  12. 前記疎水性ポリマー鎖がコポリマーとして形成されている、かつ/または、前記疎水性ポリマー鎖が架橋されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  13. (a)前記疎水性ポリマー鎖がコポリマーである場合、前記コポリマーが、以下の第1セットのモノマーおよび第2セットのモノマーから形成される:
    第1セットのモノマーが、疎水性であり、スチレンおよびその誘導体、アクリレートならびにアルキルアクリレートから1つ以上が選択され、
    第2セットのモノマーが、カルボン酸基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1つ以上が選択される;および/または
    (b)前記疎水性ポリマー鎖が架橋されている場合、架橋されたポリマー鎖は、架橋剤によって形成されるものであり、前記架橋剤が、第1セットのモノマーおよび/または第2セットのモノマー(ただし、存在する場合)と反応し、必要に応じて、前記架橋剤が、2以上の不飽和基を有するモノマーである、請求項12に記載のポリマー粒子。
  14. (ai)第1セットのモノマーが、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択される;および/または
    (bi)第2セットのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアミン、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
    (ci)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレートおよびトリ(プロピレングリコール)ジアクリレートから1つ以上が選択される、請求項13に記載のポリマー粒子。
  15. (aii)第1セットのモノマーがスチレンである;および/または
    (bii)第2セットのモノマーが、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
    (cii)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1つ以上が選択される、
    請求項14に記載のポリマー粒子。
  16. (aiii)第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である;および/または
    (biii)第1セットのモノマー:架橋剤の重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である、
    請求項13~15のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  17. 前記ポリマー粒子が、式:-SO [式中、ダッシュ(-)は、前記ポリマー粒子との結合のポイントを表し、Mは、Na、KまたはNH を表す]を有する硫酸塩で官能化されている、請求項1~16のいずれか1項に記載のポリマー粒子。
  18. ポリマー粒子を製造する方法であって、当該方法は、以下の(A)、(B)および(C):
    (A)水溶液のマクロ開始剤複合体を形成するために、水中で水溶性の開始剤化合物と親水性ポリマー安定剤化合物を反応させること、
    (B)1以上の水非混和性モノマーを前記水溶液のマクロ開始剤複合体に添加して二相の重合反応混合物を形成することと、粒子の核形成が生じるまで、第1の期間にわたって反応させること;および
    (C)ポリマー粒子を得るために、第2の期間にわたって反応を継続させるか、あるいは、第1の期間の後に反応をクエンチすること
    を含み、
    当該ポリマー粒子が、単分散であり、当該ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、20%未満である、方法。
  19. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、15%未満、例えば10%未満、例えば5%未満である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、2%以下である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記ポリマー粒子の直径に基づく変動係数が、1%以下である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ポリマー粒子の平均の直径が、50~1000nm、例えば100~600nm、例えば120~450nm、例えば150~400nm、例えば200~350nmである、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記水溶性の開始剤が、1以上のパーオキシド開始剤、パースルフェート塩およびアゾ開始剤を含んで成る、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記水溶性の開始剤が、ターシャリーアミルヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニア、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]および2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリドから1つ以上が選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記水溶性の開始剤が、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸アンモニアから1つ以上が選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記水溶性の開始剤が、過硫酸ナトリウムである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記水溶性の開始剤が、レドックス・ペアであり、必要に応じて、前記レドックス・ペアが、アスコルビン酸および過酸化水素または過硫酸アンモニアおよび重亜硫酸ナトリウムから選択される、請求項23に記載の方法。
  28. 前記親水性ポリマー安定剤化合物が、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、およびそれらのブレンド)、それらのコポリマーおよびそれらのブレンドからなる群から選択される、請求項18~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記親水性ポリマー安定剤化合物が、ポリ(ビニルピロリドン)である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記親水性ポリマー安定剤化合物が、水溶性の多糖類(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレンおよびその誘導体、アクリレート、およびアルキルアクリレートから1つ以上が選択される、請求項18~30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレン、ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-tert-ブチルスチレンから1つ以上が選択される、請求項31に記載の方法。
  33. 前記1以上の水非混和性モノマーが、スチレンである、請求項32に記載の方法。
  34. 前記親水性ポリマー安定剤化合物:前記水非混和性モノマーの重量:重量の比が、1:1000~1:1、例えば1:500~1:2、例えば1:300~1:3、例えば1:150~1:5である、請求項18~33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 工程(c)において、第2の期間にわたって前記反応を継続させる、請求項18~34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 第2の期間にわたって前記反応を継続させる場合、第2セットのモノマーおよび/または架橋剤を反応混合物に添加し、
    第2セットのモノマーが、カルボン酸基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから1つ以上が選択され、
    架橋剤が、2以上の不飽和基を有するモノマーである、
    請求項35に記載の方法。
  37. (ia)第2セットのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルアミン、(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される:および/または
    (ib)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、およびトリ(プロピレングリコール)ジアクリレートから1つ以上が選択される、
    請求項36に記載の方法。
  38. (iia)第2セットのモノマーが、N,N’-メチレンビス(アクリルアミド)、1,4-ジアミノ-6-ジアリルアミノ-1,3,5-トリアジン、ジアリルアミンおよびトリアリルアミンから1つ以上が選択される;および/または
    (iib)前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメチルアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートから1つ以上が選択される、
    請求項37に記載の方法。
  39. (iiia)第1セットのモノマー:第2セットのモノマーの重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である;および/または
    (iiib)第1セットのモノマー:架橋剤の重量:重量の比(ただし、存在する場合)が、40:1~1:1、例えば20:1~2:1である、
    請求項36~38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記水溶性の開始剤化合物:前記親水性ポリマー安定剤化合物のモル比が、10:1~10000:1、例えば20:1~5000:1、例えば30:1~1000:1、例えば50:1~500:1である、請求項18~39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記水溶液の親水性ポリマー安定剤化合物の濃度が、0.01重量%~20重量%、例えば0.05重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5.0重量%である、請求項18~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 当該方法が、界面活性剤および有機溶媒を実質的に含まない、請求項18~40のいずれか1項に記載の方法。
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