JP4886041B2 - 埋め込みオーディオ・ルーティング切換器 - Google Patents

Description

〈関連出願への相互参照〉
本願は[未定]に出願された米国仮出願第[未定]号の利益を主張するものであり、前記仮出願はここに参照によってその全体において組み込まれる。

〈技術分野〉
本願は概括的には切り換えシステムに、より詳細には、ビデオ切り換えとは独立な完全な埋め込まれたオーディオ切り換え機能をもつシリアル・デジタル・ビデオ・ルーター切り換えマトリクスを含むシステムおよび方法に関する。

ルーティング切換器（routing switcher）は信号選択器、オーディオ／ビデオ（AV）選択器または単にルーター（router）とも呼ばれうる。標準的なルーティング切換器は、ビデオ・テープ・レコーダー、メディア・サーバー、衛星受信器などといったルーター入力に接続されたいくつかのソースからの複数のビデオおよびオーディオ入力をもちうる。どの入力がどの出力（単数または複数）に接続されるかは、オーディオおよびビデオ・ケーブルを外したり接続し直したりすることなく、ユーザーによって、ボタン押下により選択されうる。

テレビ設備では、単一の番組が複数の異なるチャンネルまたは局への切り換えを要求することがありうる。状況によっては、埋め込まれているオーディオはそのチャンネルにとって適切ではないことがありうる。たとえば、異なる言語が必要とされることがありうるし、あるいはオーディオ・トラックの吹き替えされたバージョンが要求されることがありうる。これらの状況では、オーディオ出力はビデオとは独立して切り換えられなければならない。ルーティング切換器はこのタスクを実行するために用いられうる。

テレビ設備のための信号切り換えインフラストラクチャーを構築するとき、埋め込まれたオーディオをもつビデオを単一の切り換えレベルとして使用するか、オーディオをビデオとは別個に切り換えるために独立したオーディオ・ルーティング・マトリクスを使用するかの選択をする必要がある。埋め込まれたオーディオをもつビデオを切り換えることの利点は、別個のオーディオ切り換えマトリクスに比べて、切り換えハードウェアおよびシステム・ケーブル配線がかなり削減されるということを含む。ビデオ・テープ・レコーダー、メディア・サーバーおよびマスター・コントロール切換器のような多くの現代のデバイスは、埋め込まれたオーディオをもつビデオ入力および出力をサポートする。

主要な欠点は、従来のシリアル・デジタル・ビデオ切り換えマトリクスが、ビデオ信号内の埋め込まれたオーディオ・ストリームの独立した切り換えを許容しないということである。これは、たとえば、切り換えマトリクスの出力において入力１からのビデオを入力２からのオーディオと組み合わせることを難しくする。多くの設備、特に制作／ポストプロダクションでは、あるいはマルチチャンネルおよび／または多言語オーディオを考える必要がある場合には、この制限のため、別個のオーディオ切り換えインフラストラクチャーの使用が必然となっていた。

過去には、別個のオーディオ切り換えインフラストラクチャーが用いられてきた（それに伴い、コスト、必要とされるスペース、ケーブル配線および電力消費が増大していた）。シリアル・デジタル・ビデオ切り換えマトリクスと一緒にボード外オーディオ埋め込みおよび埋め込み解除装置を使うハイブリッド・システムも用いられてきた。この代替法もコスト高であり、実装が複雑である。

本発明のある側面では、装置は、オーディオをもつビデオを含む入力信号からオーディオを選択的に分離する分離器と、前記入力信号を少なくとも一つの出力に選択的に転送するための切換器と、前記の分離されたオーディオ信号を前記少なくとも一つの出力に送るための多重化された経路とを有し、前記少なくとも一つの出力は、前記入力信号および分離されたオーディオ信号を選択的に差し向ける（direct）よう構成されている。

本発明のもう一つの側面では、装置は、埋め込まれたオーディオをもつビデオを含むデジタル入力信号を受信するよう構成された少なくとも一つの入力ボードを含み、前記少なくとも一つの入力ボードは：前記デジタル入力信号のそれぞれからオーディオを埋め込み解除するよう構成された埋め込み解除モジュールと、前記埋め込み解除されたオーディオのすべてを少なくとも一つの出力ボードに多重化するよう構成された時分割マルチプレクサとを有し、当該装置は、前記デジタル入力信号を受信して前記デジタル入力信号を前記少なくとも一つの出力ボードに転送するよう構成されたクロスポイント・マトリクス（ｃｒｏｓｓｐｏｉｎｔ ｍａｔｒｉｘ）と、前記埋め込み解除されたオーディオ信号を、前記デジタル入力信号とは別個に前記少なくとも一つの出力ボードに転送するよう構成された時分割多重化された経路と、前記少なくとも一つの出力ボードとを有し、前記少なくとも一つの出力ボードは、ルーティング制御設定に従って、前記デジタル入力信号の一つおよび選択された埋め込み解除されたオーディオ信号をルーティングするよう構成されている。

本発明のあるさらなる側面では、方法が、オーディオをもつビデオを含む入力信号からオーディオを分離する段階と、前記入力信号を少なくとも一つの出力に選択的に転送する段階と、前記の分離されたオーディオ信号を前記少なくとも一つの出力に送る段階と、前記少なくとも一つの出力に前記入力信号および分離されたオーディオ信号を選択的に差し向ける段階とを含む。

本発明のあるさらなる側面では、ルーティング切換器を通じて埋め込まれたオーディオをもつビデオ信号をルーティングする方法が、埋め込まれたオーディオをもつデジタル入力ビデオ信号を受信する段階と、前記デジタル入力信号を別個に維持しながら前記デジタル入力信号からオーディオ部分を埋め込み解除する段階と、前記デジタル入力信号全部のオーディオ部分を時分割多重化された経路上での出力段への転送のために時分割多重化する段階とを含む。前記デジタル入力信号は、時分割多重化されたオーディオ信号とは別個に出力段に転送される。前記デジタル入力信号の少なくとも一つおよび前記時分割多重化されたオーディオ信号が宛先にルーティングされる。

本発明の利点、性質およびさまざまな追加的な特徴は、これから付属の図面との関連で詳細に記述される例示的な実施形態を考えることで、より十全に現れるであろう。

図面は本発明の概念を示す目的のためであり、必ずしも本発明を示すための唯一可能な構成ではないことは理解しておくべきである。

ある実施形態に基づく、オーディオが埋め込まれた信号をルーティングする例示的なルーティング切換器を示す図である。 出力段をより詳細に示すブロック図である。 別の実施形態に基づく、オーディオが埋め込まれた信号をルーティングするための例示的なルーティング切換器であって、クロスポイント・マトリクスが別個に転送されるオーディオ信号のための時分割多重化経路を提供するよう適応されているものを示す図の前半である。 図３Ａに続く後半を示す図である。 別の実施形態に基づく、オーディオが埋め込まれた信号をルーティングするための別の例示的なルーティング切換器であって、クロスポイント・マトリクスが別個に転送されるオーディオ信号のための時分割多重化経路を提供するよう適応されているものを示す図の前半である。 図４Ａに続く後半を示す図である。 ある実施形態に基づく、オーディオが埋め込まれた信号をルーティングするための例示的な方法を示す流れ図である。

本発明は、シリアル・デジタル・ビデオ・ルーターのための完全に埋め込まれたオーディオの切り換え機能のためのシステムおよび方法を提供する。シリアル・デジタル・ビデオ・ルーター切り換えマトリクスは、ビデオ切り換えとは独立に、完全に埋め込まれたオーディオ切り換えを提供できる。本ルーターは高精細度および／または標準精細度の用途に用いられることができる。シリアル・デジタル・ビデオ・ビットストリームに含まれるオーディオ信号の完全な独立した切り換えを提供することによって、コストおよび複雑さの軽減がもたらされ、システムのために入力および出力を選択することにおけるより大きな柔軟性が達成される。

本発明はテレビ設備との関連で記載されるが、本発明はそれよりずっと広いものであり、一つまたは複数の宛先にルーティングされるべき一つまたは複数のソースからの複数のオーディオおよびビジュアル信号を受信するいかなるオーディオ／ビデオ・システムをも含みうることは理解しておくべきである。コンテンツはいかなる方法によって受信されてもよく、たとえば、ネットワーク、たとえば電話、ケーブル、コンピュータ、衛星などを通じて送達されてもよい。本発明は、テレビ・ネットワーク用途との関連で記載されるが、本発明の概念は他の用途、たとえばケーブル、衛星ネットワーク、各種無線および有線ネットワークにも拡張されうるものである。

図面に示される要素はさまざまな形のハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実装されうることは理解しておくべきである。好ましくは、これらの要素は、プロセッサ、メモリおよび入出力インターフェースを含みうる一つまたは複数の適切にプログラムされた汎用デバイス上でハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにおいて実装される。

本記述は、本発明の原理を例解する。よって、当業者は、明示的に本稿に記載や図示はされていないものの本発明の原理を具現し、その精神および範囲内に含まれるさまざまな構成を考案できるであろうことは理解されるであろう。

さらに、本発明の原理、側面および実施形態ならびにその個別的な例を記載する本稿のあらゆる陳述は、その構造的および機能的な等価物の両方を包含することが意図されている。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造に関わりなく同じ機能を実行する任意の開発された要素を含む。

こうして、たとえば、当業者は、本稿に呈示されるブロック図が本発明の原理を具現する例示的な回路の概念図を表すことを理解するであろう。同様に、フローチャート、流れ図、状態遷移図、擬似コードなどがあればそれは、コンピュータ可読媒体において実質的に表現され、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行されうるさまざまなプロセスを表すことは理解されるであろう。

図面に示されるさまざまな要素の機能は、専用のハードウェアのほか適切なソフトウェアと関連しソフトウェアを実行できるハードウェアの使用を通じて提供されうる。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有されるプロセッサによって、あるいは一部が共有されていてもよい複数の個別プロセッサによって提供されてもよい。さらに、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみを指すものと解釈されるべきではなく、限定なく、デジタル信号プロセッサ（「DSP」）ハードウェア、ソフトウェアを記憶する読み出し専用メモリ（「ROM」）、ランダム・アクセス・メモリ（「RAM」）および不揮発性記憶装置を暗黙的に含みうる。

本願の請求項では、特定の機能を実行する手段として表現されているいかなる要素も、その機能を実行するいかなる仕方をも包含することが意図されている。それにはたとえば、ａ）その機能を実行する回路要素の組み合わせまたはｂ）任意の形の、よってファームウェア、マイクロコードなどを含むソフトウェアを、前記機能を実行するためにそのソフトウェアを実行するための適切な回路と組み合わせたものが含まれる。そのような請求項によって定義される発明は、挙げられているさまざまな手段によって提供される機能が、その請求項が求める仕方で組み合わされ、一緒にされるという事実に存する。よって、これらの機能性を提供できるいかなる手段もここに示される手段と等価であると見なされる。

ここで、個別的詳細において図面を参照する。図面において、同様の参照符号はいくつかの図を通じて似たまたは同一の要素を特定する。まず図１を参照すると、例示的なシステム１０は、テレビ設備のためのシリアル・デジタル・ルーティング切換器のための内部回路の一部を示している。システム１０は、複数の入力ボード１２および複数の出力ボード１４を含む。各入力ボード１２は一つまたは複数のビデオ入力１６を含む。この例において、すべての入力は埋め込まれたオーディオを含む。入力１６は好ましくは、埋め込まれたデジタル・オーディオ・ストリーム１５をもつシリアル・デジタル・ビデオ（SDV: serial digital video）を含む。埋め込まれたデジタル・オーディオ・ストリームは、たとえば、オーディオ工学協会（Audio Engineering Society）／欧州放送連合（European Broadcasting Union）（AES/EBU）規格または略してAESに準拠するストリームである。この例では、各入力ボードがいくつかの機能を提供する。これらの機能はプロセッサ１９によるSDV信号処理を含む。信号処理は、多くの異なるプロセスを含みうる。たとえば、信号検出、ストリームの等化、データの再クロック同期（reclocking）などである。

各シリアル・デジタル・ビデオ（SDV）入力１６について、統合されたオーディオ埋め込み解除（de-embedding）が用いられる。各入力ボード１２は、埋め込み解除モジュール２０を用いることによって、SDV入力からオーディオ（AES/EBUまたは単にAES）を埋め込み解除する。埋め込み解除されたオーディオ信号のすべては次いで、時分割マルチプレクサ（TDM: time division multiplexer）２２によって、一つまたは複数の時分割多重化された（TDM）ビットストリーム２４に一緒に組み合わされる。TDMビットストリーム２４は、出力ボード１４上のビデオ切り換えマトリクス出力回路２６に直接接続される。埋め込まれたオーディオ１５をもつシリアル・デジタル・ビデオ信号は、ビデオ切り換えマトリクス３０の入力にも接続される。

所与の出力が、もとの埋め込まれたオーディオ信号１５をもつビデオを必要とする場合、ビデオ切り換えマトリクス３０（たとえばシリアル・デジタル・ビデオ・クロスポイント・マトリクス）の出力が所与の出力（出力ボード１４）に直接接続され、もとの埋め込まれたオーディオは単にビデオ１５′とともに通過させられる。所与の出力（出力ボード１４）がビデオ信号に埋め込まれている異なるオーディオ信号を必要とする場合、オーディオはルーター制御システムによってTDMストリーム２４から選択され、時分割デマルチプレクサ３２が信号を多重分離し、前記所与の出力と関連付けられたオーディオ埋め込み回路３４を使ってビデオを組み合わせる。所望される信号は、出力ボード１４上の時分割デマルチプレクサ３２を使って選択されてもよい。

オーディオは好ましくは、映画テレビ技術者協会（Society of Motion Picture and Television Engineers）（SMPTE）によって定義された信号フォーマット規格に従った水平補助データ（Horizontal Ancillary Data）スペースにおいてデジタル・ビデオ・ビットストリーム１５内に埋め込まれている。オーディオは、モジュール２０によって、シリアル・デジタル・ビデオ・ビットストリーム１５から所望されるオーディオ・チャンネル補助データを選択し、そのデータをバッファリングし、AES/EBUデジタル・オーディオ・ビットストリームとして再フォーマットすることによって、埋め込み解除される。ビデオおよびオーディオの信号選択は、ルーティング切換器制御システム５２によって制御される。ビデオおよびオーディオは通例、操作者に、別個の信号レベルとして、ルーティング・コントロール・パネルおよびグラフィカル・ユーザー・インターフェース（たとえばコントロール５２）上で、呈示される。これは、操作者が、同じ入力からビデオおよびオーディオの両方を選択することを可能にし（この場合、ビデオにすでに埋め込まれているオーディオが使用される）、あるいは操作者は、ビデオをある入力から、オーディオを一つまたは複数の代替的な入力から選択しうる（この場合、所望されるオーディオ信号はオーディオTDMストリーム２４から選択され、適切な出力のオーディオ埋め込み回路３４に加えられる）。ルーティング選択は、動作条件または事前設定に基づいて、操作者によって、プログラムによって、あるいはハードウェアによってされてもよい。

ある実施形態では、第一のSDV信号が埋め込まれたオーディオとともに受信され、第二のSDV信号が異なるソースから受信される。この実施形態によれば、第一および第二の信号のオーディオが埋め込み解除され、出力ボードに与えられる。出力ボードは、第一の信号からのオーディオを第二の信号中に埋め込むことができ、逆に第二の信号からのオーディオを第一の信号中に埋め込むことができる。あるいはまた、出力された第一および第二の信号は両方とも、もとの第一の信号のオーディオを使うことができてもよいし、あるいは出力された第一および第二の信号が両方とももとの第二の信号のオーディオを使うことができてもよい。すべてのオーディオ・ストリームが利用可能なので、完全に埋め込まれたオーディオ・ストリームをもつSDVを含め、いかなるオーディオまたはオーディオ・チャンネルの組み合わせも選択され、出力されることができる。このことは、多くの利点をもち、システムの出力をエンターテインメント価値のためまたは他の理由のために最適化するための出力ハードウェアの選択において多大な柔軟性を提供する。

図２を参照すると、出力ボードまたは段１４は、TDMオーディオ・デマルチプレクサ３２、オーディオ埋め込み回路３４およびシリアル・デジタル・ビデオ（SDV）再クロック同期回路３６を含む。SDV信号は、クロスポイント・マトリクス（図１の３０）の出力からオーディオ埋め込み回路３４のビデオ入力に供給される。TDMオーディオ・デマルチプレクサ３２はTDMオーディオ・ストリームを受信し、ルーティング制御システム５２（図１）の制御のもとで、TDMオーディオ・ストリームからの選択されたオーディオ信号をデコードし、そのオーディオをオーディオ埋め込み回路３４のオーディオ入力に加えることができる。オーディオ埋め込み回路３４は、ルーター制御システム５２によって、SDV信号にすでに埋め込まれているオーディオの一つまたは複数のチャンネルを通すよう（ビデオにもともと関連付けられていたオーディオが必要とされる場合）、あるいはTDMオーディオ・デマルチプレクサ３２からの一つまたは複数のオーディオ信号を埋め込むよう（異なるオーディオ信号が必要とされる場合）、指示される。オーディオ埋め込み回路３４の出力は、ビデオおよび一つまたは複数のチャンネルの埋め込まれたオーディオの両方を含む。この出力が、SDV信号からクロック信号を抽出して、そのクロック信号を使ってSDV信号を再クロック同期してそれによりジッタを取り除く、SDV再クロック同期モジュール３６に加えられる。

もう一つの実施形態では、入力から出力までの特定の目的で構築された諸TDM経路をもつ新しいシステムを構築することに加えて、またはそれに代えて、既存のシリアル・デジタル・ビデオ切り換えマトリクスにおいて本願の原理を実装することも可能である。これをする一つの方法は、従来の入力および出力回路を、オーディオ埋め込み解除、埋め込みおよび時分割多重化（TDM）バス輸送（bussing）を含むもので置き換えることを含んでいてもよい。TDMバスは、ビデオ切り換えマトリクス内の既存の諸経路をTDMの使用の専用とすることによって、入力回路から出力回路まで分散されることになる。これは、図１に概略的に表されているものと等価なシステムにつながる。

既存のハードウェアを使ったこのアプローチのために、TDMビットレートは好ましくは、ビデオ切り換えマトリクスと適合するものであり、実際上は、標準精細度コンポーネント・シリアル・デジタル・ビットレート270Mb/s（64オーディオ・チャンネル）または1.48Gb/sの高精細度コンポーネント・シリアル・デジタル・ビットレート（352オーディオ・チャンネルまで）が用いられるべきである。この方式は、TDMバスのためにビデオ・ルーティング経路のいくつかを使うので、有効マトリクス・サイズが小さくなりうる。図３および図４は、本願の原理に基づく修正されたルーター・スイッチ設計の例示的な例を示している。

図３および図４を参照すると、グラス・ヴァレー（Grass Valley）トリニックス（Trinix）（商標）128×128マトリクス（図３）およびグラス・ヴァレー・トリニックス（商標）256×256マトリクス（図４）が例示的に示されている。これらの例示的なデバイスは、システムにオーディオのみの入力および出力を含める可能性を示している。これは、オーディオと組み合わされるべき追加的なオーディオ・トラックを提供できる。別個のオーディオ入力／出力は、図１に示された実施形態と一緒に用いられてもよい。デバイス２００および２２０は、単一のAES/EBU（オーディオ工学協会／欧州放送連合）デジタル・オーディオ・ストリームを含むことができ、あるいは先述の270Mb/sおよび1.485Gb/sのストリームまたは業界標準のマルチチャンネル・オーディオ・デジタル・インターフェース（MADI: Multichannel Audio Digital Interface）フォーマットのような複数のオーディオ・チャンネルを含むTDMストリームを含むことができる。

図３を参照すると、ルーター２００は、128×128の広帯域デジタル・クロスポイント・マトリクス１３０が124×112マトリクスに縮小されたものを含んでいる。縮小されたマトリクス・サイズは、マトリクス１３０を通じてTDM経路１１１を提供するために用いられる。この実施形態では、埋め込まれたオーディオ入力１５をもつSDVは入力ボード１４当たり31の入力を含む。この設計は四つの入力ボードを含むので、全部で124の入力がある。さらに、オーディオのみの入力またはTDM入力ストリーム１１０が、たとえばボード当たり一つ（計四つ）設けられてもよい。入力１１０は、テレビについては270Mb/sおよび1.485Gb/sのストリームのような複数のオーディオ・チャンネルを含んでいてもよい。

上記したように、プロセッサ１９による信号処理が実行され、オーディオは埋め込み解除される（２０）。時分割多重化（２２）が実行され、これはTDM入力１１０と、信号１５からの埋め込み解除されたオーディオのすべてとを含めうる。これは経路１１１上に載せられ、マトリクス１３０を通じて転送される。埋め込まれたオーディオ信号１５′をもつビデオも出力ボード１６に転送される。この例では、四つの出力ボード１６が利用可能である。各出力ボード１６は、28の出力を含む（計112の出力）。このシステムについてのオーディオ出力１１０′（AESまたはTDM）はボード当たり四つ（計16）を含みうる。ルーティング（３２）、埋め込み（３４）および再クロック同期（３６）も先述したように実行される。

図４を参照すると、ルーター２２０は、256×256の広帯域デジタル・クロスポイント・マトリクス１３２が248×192マトリクスに縮小されたものを含んでいる。縮小されたマトリクス・サイズは、マトリクス１３２を通じてTDM経路１１１を提供するために用いられる。この実施形態では、埋め込まれたオーディオ入力１５をもつSDVは入力ボード１４当たり31の入力を含む。この設計は八つの入力ボードを含むので、全部で248の入力がある。さらに、オーディオのみの入力またはTDM入力１１０が、たとえばボード当たり一つ（計八つ）設けられてもよい。入力１１０は、テレビについては270Mb/sおよび1.485Gb/sのストリームのような複数のオーディオ・チャンネルを含んでいてもよい。

上記したように、プロセッサ１９による信号処理が実行され、オーディオは埋め込み解除される（２０）。時分割多重化（２２）が実行され、これはTDM入力１１０と、信号１５からの埋め込み解除されたオーディオのすべてとを含めうる。これは経路１１１上に載せられ、マトリクス１３２を通じて転送される。埋め込まれたオーディオ信号１５′をもつビデオも出力ボード１６に転送される。この例では、八つの出力ボード１６が利用可能である。各出力ボード１６は、24の出力を含む（計192の出力）。このシステムについてのオーディオ出力１１０′（AESまたはTDM）はボード当たり八つ（計64）を含みうる。ルーティング（３２）、埋め込み（３４）および再クロック同期（３６）も先述したように実行される。図３および図４では、オーディオ入力１１０は、いかなるソースからのオーディオ・ストリームを含んでいてもよく、ルーティング制御システム（図示せず）による選択のために所望されるオーディオ・ストリームを提供するよう用いられてもよい。マトリクス１３０および１３２は、必要に応じて他の量だけ縮小されてもよい。

図５を参照すると、ある実施形態に基づき、埋め込まれたオーディオをもつビデオ信号をルーティング切換器を通じてルーティングする例示的な方法が描かれている。ブロック３０２では、埋め込まれたオーディオをもつデジタル入力ビデオ信号（またはオーディオのみの信号）が受信される。これらの信号は好ましくは、埋め込み解除モジュールをもつ入力ボードを使って受信される。ブロック３０４では、前記デジタル入力信号を別個に維持しながら（オーディオのみの信号も維持される）、オーディオ部分がデジタル入力信号から埋め込み解除される。このオーディオ部分は、ブロック３０６で、時分割多重化された経路上での出力段への転送のために、前記デジタル入力信号の全部について、時分割多重化される。時分割多重化された経路は、別個のバスを含んでいてもよく、あるいはクロスポイント・マトリクスを通じる経路であって、クロスポイント・マトリクスの少なくとも一部分が前記経路を実装するために使用されるものを含んでいてもよい。マトリクス・サイズの縮小は、マトリクスを通じて時分割多重化された経路を許容するために用いられうる。

ブロック３１０では、デジタル入力信号が出力段に、時分割多重化されたオーディオ信号とは別個に転送される。デジタル入力信号は好ましくは、クロスポイント・マトリクスを使って転送され、もとの埋め込まれたオーディオとともに転送される。ブロック３１２では、必要であれば個別の要求に従って、信号を特定の宛先に提供するか、あるいは単に同じまたは異なるビデオ信号に再び埋め込むべきオーディオを再現するために、時分割多重化されたオーディオ信号が多重化解除される。ブロック３１４では、時分割多重化されたオーディオ信号の、デジタル入力信号またはビデオ信号中への埋め込みが実行されて、新しい埋め込まれたオーディオをもつビデオ信号が再構成される。ブロック３１６では、必要であれば、SDV信号からクロック信号を抽出することによって再クロック同期が実行され、SDV信号を再クロック同期してそれによりジッタを取り除いてもよい。

ブロック３２０では、オーディオのみの入力が与えられてもよく、出力段に転送するためのオーディオ信号または時分割多重化されたオーディオ信号を受け取るよう構成されてもよい。オーディオのみの信号は、埋め込み解除されたオーディオ信号の場合と同様に、ビデオ信号と混合するために利用可能である。オーディオのみの入力は、動作中の任意の時点において受信され、用いられうる。ブロック３２２では、デジタル入力信号の少なくとも一つおよび時分割多重化されたオーディオ信号が、出力段から宛先にルーティングされる。宛先は、通例、事前選択された条件等に従って、ルーティング制御システムによって、ユーザーによって、プログラムによって選択される。たとえば、もとのオーディオ・ストリームが英語のオーディオとともに送られ、映画がスペイン語の局に送られる場合、特定の出力ボードまたは段からの所与の宛先について、スペイン語のオーディオが事前選択されうる。信号は、ルーター制御システムまたはプログラムされた選択（たとえばルーティング設定）に基づいて宛先にルーティングされる。

埋め込まれたオーディオのルーティング切換器のための好ましい実施形態（限定ではなく例解することが意図されている）を記載してきたが、上記の教示に照らして、当業者によって、修正および変形がなしうることを注意しておく。したがって、開示される本発明の個別的な実施形態に、付属の請求項によって述べられる本発明の範囲および精神内にある変更がなしうることは理解されるものとする。

Claims (25)

1. オーディオをもつビデオを含む入力信号からオーディオを選択的に分離する分離器と、
   前記入力信号を少なくとも一つの出力に選択的に転送するための切換器と、
   前記の分離されたオーディオ信号を前記少なくとも一つの出力に送るための多重化された経路とを有し、
   前記少なくとも一つの出力は、前記入力信号および分離されたオーディオ信号を選択的に少なくとも一つの宛先にルーティングするよう構成されている、装置。
2. 前記切換器に結合された、デジタル入力信号を含む前記入力信号を受信するための少なくとも一つの入力をさらに有し、
   前記少なくとも一つの入力は、前記デジタル入力信号を等化するよう構成されたプロセッサに接続されている、請求項１記載の装置。
3. 前記少なくとも一つの入力が、前記分離されたオーディオ信号を多重化するマルチプレクサに結合されている、請求項２記載の装置。
4. 前記少なくとも一つの出力が、前記分離されたオーディオ信号を指定された出力にルーティングすることを提供するデマルチプレクサを含む、請求項１記載の装置。
5. テレビジョン信号をルーティングするよう構成されたシリアル・デジタル切換器をさらに有する、請求項１記載の装置。
6. 前記テレビジョン信号が、標準精細度信号および高精細度信号の少なくとも一方を含む、請求項５記載の装置。
7. 多重化された経路が時分割多重化されたバスを含む、請求項１記載の装置。
8. 前記多重化された経路が、前記経路を実装するために前記切換器の少なくとも一部分を使って、前記切換器を通じた経路を含む、請求項１記載の装置。
9. 前記少なくとも一つの出力への転送のための、オーディオ信号および時分割多重化されたオーディオ信号の一方を受信するよう構成された、オーディオのみの入力をさらに有する、請求項１記載の装置。
10. 埋め込まれたオーディオをもつビデオを含むデジタル入力信号を受信するよう構成された少なくとも一つの入力ボードを有する装置であって、前記少なくとも一つの入力ボードは、前記デジタル入力信号のそれぞれからオーディオを埋め込み解除するよう構成された埋め込み解除モジュールと、
    前記埋め込み解除されたオーディオのすべてを少なくとも一つの出力ボードに多重化するよう構成された時分割マルチプレクサとを含み、
    当該装置はさらに、
    前記デジタル入力信号を受信して前記デジタル入力信号を前記少なくとも一つの出力ボードに転送するよう構成されたクロスポイント・マトリクスと、
    前記埋め込み解除されたオーディオ信号を、前記デジタル入力信号とは別個に前記少なくとも一つの出力ボードに転送するよう構成された時分割多重化された経路と、
    前記少なくとも一つの出力ボードとを有し、前記少なくとも一つの出力ボードは、ルーティング制御設定に従って、前記デジタル入力信号および選択された埋め込み解除されたオーディオ信号を選択的にルーティングするよう構成されている、
    装置。
11. 前記少なくとも一つの入力ボードが、前記デジタル入力信号を等化するよう構成されたプロセッサを含む、請求項１０記載の装置。
12. 前記少なくとも一つの出力ボードが、オーディオ信号を前記デジタル入力信号の一つまたは複数に埋め込んで、ビデオおよび埋め込まれたオーディオをもつ第二の信号を与える埋め込みモジュールを含み、
    前記少なくとも一つの出力ボードが、前記デジタル入力信号と、前記埋め込み解除されたオーディオ信号、及び、前記第二の信号を選択的にルーティングするように構成されている、請求項１０記載の装置。
13. 前記少なくとも一つの出力ボードが、前記埋め込み解除されたオーディオ信号を指定された出力にルーティングすることを提供するデマルチプレクサを含む、請求項１０記載の装置。
14. 前記クロスポイント・マトリクスが、テレビジョン信号をルーティングするよう構成されたシリアル・デジタル切換器を含む、請求項１０記載の装置。
15. 前記テレビジョン信号が、標準精細度信号および高精細度信号の少なくとも一方を含む、請求項１４記載の装置。
16. 前記時分割多重化された経路が時分割多重化されたバスを含む、請求項１０記載の装置。
17. 前記時分割多重化された経路が、前記経路を実装するために前記クロスポイント・マトリクスの少なくとも一部分を使って、前記クロスポイント・マトリクスを通じた経路を含む、請求項１０記載の装置。
18. 前記少なくとも一つの出力ボードへの転送のための、オーディオ信号および時分割多重化されたオーディオ信号の一方を受信するよう構成された、オーディオのみの入力をさらに有する、請求項１０記載の装置。
19. オーディオをもつビデオを含む入力信号からオーディオを分離する段階と、
    前記入力信号を少なくとも一つの出力に選択的に転送する段階と、
    前記の分離されたオーディオ信号を前記少なくとも一つの出力に送る段階と、
    前記少なくとも一つの出力をもって前記入力信号および分離されたオーディオ信号を選択的に宛先にルーティングする段階とを有する、
    方法。
20. 前記入力信号を等化する段階をさらに有する、請求項１９記載の方法。
21. 埋め込まれたオーディオをもつビデオ信号をルーティング切換器を通じてルーティングする方法であって、
    埋め込まれたオーディオをもつデジタル入力ビデオ信号を受信する段階と、
    前記デジタル入力信号を別個に維持しながら前記デジタル入力信号からオーディオ部分を埋め込み解除する段階と、
    前記デジタル入力信号全部のオーディオ部分を時分割多重化された経路上での出力段への転送のために時分割多重化する段階と、
    前記デジタル入力信号を、時分割多重化されたオーディオ信号とは別個に出力段に転送する段階と、
    前記デジタル入力信号の少なくとも一つおよび前記時分割多重化されたオーディオ信号を宛先に選択的にルーティングする段階とを有する、
    方法。
22. 指定された出力へのルーティングを提供するよう、前記時分割多重化されたオーディオ信号を多重解除する段階をさらに有する、請求項２１記載の方法。
23. 前記経路を実装するためにクロスポイント・マトリクスの少なくとも一部分を使って、前記時分割多重化された経路が前記クロスポイント・マトリクスを通じた経路を含む、請求項２１記載の方法。
24. 前記少なくとも一つの出力への転送のための、オーディオ信号および時分割多重化されたオーディオ信号の一方を受信するよう構成された、オーディオのみの入力を提供する段階をさらに有する、請求項２１記載の方法。
25. 時分割多重化されたオーディオ信号を前記デジタル入力信号に埋め込んで新しい埋め込まれたオーディオをもつビデオ信号を再構成し、
    前記新しい埋め込まれたオーディオをもつ再構成されたビデオ信号を選択的にルーティングする段階をさらに有する、請求項２１記載の方法。

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