JP4879686B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法、炭化珪素単結晶インゴット、及び炭化珪素単結晶基板 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法、炭化珪素単結晶インゴット、及び炭化珪素単結晶基板 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法、炭化珪素単結晶インゴット及び炭化珪素単結晶基板に関するものである。本発明の炭化珪素単結晶基板は、主に各種電子デバイス等の製造用基板として用いられる。
炭化珪素(SiC)は、優れた半導体特性、耐熱性及び機械的強度等から、特に大電力制御用パワーデバイスを含む、各種半導体デバイスの基板用材料として注目を集めている。デバイス製造に適した、2インチ(約50mm)以上の大口径を有する単結晶のインゴットは、目下のところ、改良レーリー法と称される昇華再結晶法によって、製造されることが一般的になっている(非特許文献1)。近年、SiC単結晶製造技術が進捗し、SiC単結晶中の各種の転位欠陥密度の低減化、及び口径4インチ(約100mm)に及ぶSiC結晶の大口径化が実現しつつある(非特許文献2)。実用化においても、GaN系青色発光ダイオードやショットキーバリアダイオード等が既に商品化されており、また他方で、GaN系高周波デバイス、及びMOSFETに代表される低損失パワーデバイス等々も試作されるに至っている。
耐圧特性及び動作信頼性に優れるパワーデバイス用を製造するための一要件として、使用する基板の転位欠陥密度が小さく、結晶品質に優れる必要がある。SiC単結晶基板の場合、特徴的な欠陥であるマイクロパイプ欠陥が知られている。マイクロパイプ欠陥とは、大型の螺旋転位の中心部分に微細な穴が貫通したものであり、このような欠陥が存在すると、高電圧印加下で電流リークの発生原因となるため、デバイスの耐圧特性等に深刻な影響を与えてしまう。したがって、マイクロパイプ欠陥密度をできる限り低減化することが応用上重要である。
マイクロパイプ欠陥が発生する原因の一つとして、異種ポリタイプの発生が挙げられる。したがって、マイクロパイプの増加を抑えて高い結晶性を有するSiC単結晶を製造するためには、異種ポリタイプ発生が皆無な安定成長製造法の確立が必須である。近年、安定製造技術の進歩があり、最近では単位面積(1cm2)当たりのマイクロパイプ欠陥の数が数個以下の良質単結晶が報告されるに及んでいる(非特許文献3)。
一方、損失低減化等、デバイス特性の向上や、最適化の観点から、様々な半導体特性が基板自身に求められる。基板の電気抵抗率もその一例である。成長結晶の電気抵抗率の制御は、成長時の不活性ガスからなる雰囲気中に、不純物元素を含む気体状原料ガスを添加して行うことが一般的である。特に、代表的なn型不純物である窒素の場合、気体状原料ガスは窒素ガスであり、目的とする結晶中濃度が得られるように窒素ガスを導入して成長を行うことで、電気抵抗率を制御することが可能である(非特許文献4)。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146 C. H. Carter, et al., FEDジャーナル, vol.11 (2000) pp.7 A. H. Powell, et al., Material Science Forum, vol.457-460 (2004) pp.41 N. Ohtani, et al., Electronics and Communications in Japan, Part2, vol.81 (1998) pp.8
しかしながら、例えば、改良レーリー法のような昇華再結晶法において、使用する種結晶と成長結晶の不純物濃度が著しく異なる場合、成長中に、異種ポリタイプの発生によるマイクロパイプ欠陥を含む、各種転位欠陥の発生により、成長結晶の結晶性が大きく劣化することが確認された。本発明者らは、この問題を解決するために、成長結晶中の不純物濃度が、成長結晶中で種結晶中と同じ濃度から所定の濃度変化率の範囲内にて漸増あるいは漸減して所望の濃度まで変化させる方法を提案している(特願2005-109194号)。種結晶と成長結晶中の不純物濃度が異なる場合、SiC結晶格子間隔の差に起因する歪エネルギーが発生し、所定の臨界値を越えると成長結晶中に各種欠陥が発生する原因になるが、この歪エネルギーが上記の欠陥発生の臨界値以下に保たれるように、成長方向における成長結晶中の窒素濃度変化率を所定の値以下に保つことが、特願2005-109194号における発明の主旨である。即ち、成長結晶中の不純物濃度勾配条件を維持しながら、所望の濃度まで不純物濃度を変化させることにより、成長中に新たな結晶欠陥を発生させずに、種結晶と同様な良好な結晶性を有した成長結晶を得ることができるようになる。
前記発明は極めて有効であり、例えば不純物として窒素を採用した場合、結晶中の窒素濃度を変化させる際に、成長方向における成長結晶中の窒素濃度変化率を所定の値以下に保つ方法を採用することにより、欠陥発生を抑制する傾向が顕現する。しかしながら、成長回数を増やして統計的な観点から、欠陥の発生確率を調べたところ、3C-SiCと思われる微細結晶、あるいは異種ポリタイプの発生するケースが、完全には皆無では無いことが発明者らの調査によって判明した。このような状況では、目的とする所定の窒素濃度に有する、高品質なSiC単結晶を工業的に製造する場合に、製造コストや生産効率性の点で問題が生じてしまう。
上記のような理由から、目的とする所定の結晶中不純物濃度を有し、かつ転位欠陥が少ない高結晶品質のSiC単結晶インゴットがより安定に製造できるようになることが望ましく、例えば、成長中に窒素濃度を変化させる場合でも、結晶欠陥発生の原因となるような微細3C-SiC結晶粒、あるいは異種ポリタイプの発生を更に抑制できる技術が必要である。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、結晶成長中に窒素等々の不純物濃度を変化させても、結晶性に優れる高品質SiC単結晶が安定的に製造できる方法を提供するものである。
本発明は、上記の従来技術での問題を解決し、欠陥の少ない結晶性に優れた炭化珪素単結晶基板を取り出せる炭化珪素単結晶を安定に製造する方法、及びその炭化珪素単結晶インゴットより作製される炭化珪素単結晶基板に関するものであって、
(1) 種結晶上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造方法であって、成長中に結晶中の不純物として、窒素、アルミニウム、又は硼素の濃度を漸増あるいは漸減させる際に、成長温度が一定になるように温度制御することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法、
(2) 前記炭化珪素単結晶の製造方法であって、成長中に雰囲気ガス中の不純物としての窒素濃度を漸増あるいは漸減させることによって、結晶中の窒素濃度を変化させることを特徴とする(1)記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
(3) 前記炭化珪素単結晶が、高周波誘導加熱によって加熱された、主として黒鉛からなる坩堝内で作製されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
(4) 前記雰囲気ガスが、アルゴン、ヘリウム、あるいはこれらの混合ガスのいずれかであることを特徴とする(2)又は(3)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法で得られた炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が50mm以上である炭化珪素単結晶インゴット、
(6) (5)に記載の炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が75mm以上である炭化珪素単結晶インゴット、
(7) (5)又は(6)に記載の炭化珪素単結晶インゴットから切断され、研磨して得られる炭化珪素単結晶基板であって、該基板が単一のポリタイプからなる炭化珪素単結晶基板、
(8) (7)に記載の炭化珪素単結晶基板上に、炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長してなる炭化珪素単結晶エピタキシャル基板、
(9) (7)に記載の炭化珪素単結晶基板上に、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、又はこれらの混晶のいずれかの薄膜をエピタキシャル成長してなるヘテロエピタキシャル基板、
である。
本発明によれば、種結晶を用いた改良型レーリー法等々のような、種結晶上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造法により、所望の不純物濃度を有し且つ良質のSiC単結晶を、再現性良く成長させることができる。このような結晶から極めて小さな高性能電力制御用パワーデバイスを歩留り良く作製することができる。
所定の窒素濃度を有するSiC単結晶の安定製造を妨げている原因を究明する過程において、発明者らは、雰囲気ガス中の窒素濃度を結晶成長中に変化させると、黒鉛製坩堝を含むホットゾーンの温度が変化することを見出した。以下に、その実験概要と結果を説明する。
図1に、本実験で用いた単結晶成長装置の概略図を示す。通常のSiC単結晶成長では、主として黒鉛からなる坩堝を用い、この坩堝内にアチソン法等々により作製したSiC結晶原料粉末を充填し、その対向位置に種結晶を配置する。本実験では、雰囲気ガス中の窒素濃度以外の影響を排除するために、SiC原料の充填及び種結晶の装着は実施せず、空の坩堝をそのまま用いた。何も充填しない空の坩堝を成長炉内にセットし、石英管の内部を一度真空排気した後に、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させて石英管内圧力を約1.3kPaに保った。引き続いて、ワークコイルに電流を流して高周波誘導加熱を開始し、そのままワークコイル電流を一定にして約10時間放置した。坩堝温度の計測は、坩堝上部を覆う断熱材の中央部に予め設けた直径約3mmの光路を通して輻射光を取り出し、二色温度計を用いて行った。ホットゾーン全系の温度が安定化したことを確認後、雰囲気ガス中の窒素濃度を変化させ、このときの坩堝上部の表面温度を測温した。ここで窒素濃度は、アルゴンガス(純度99.9995%)と窒素ガス(純度99.9995%)の体積混合比で定義する。
図2に、窒素濃度を50%まで変化させた場合の、上部表面温度の測定結果を示す。窒素濃度が0%(純Ar雰囲気)の場合、表面温度は約2150℃であったが、Arガス中の窒素濃度を順次増加させると、それに伴って表面温度が順次低下することが判る。窒素濃度50%の場合に、温度は2115℃となり、窒素濃度0%の場合と比較して、約35℃の温度減少が起こった。なお、窒素濃度50%での測温終了後に、雰囲気ガスを純Arに切り替えると、温度は漸次増加し始め、最終的に約2145℃まで回復することが確認された。本結果より、観察された窒素濃度の増加に伴う表面温度の減少が、ホットゾーン全系の加熱ダメージ等々による非可逆的な構造変化によるものではないことが判る。また、雰囲気ガスとして使用したアルゴンを、ヘリウム、あるいはアルゴンとヘリウムの混合ガスとした場合でも、ほぼ同様の結果が得られた。また、SiC単結晶基板の電気抵抗率に影響を与え得る、他の不純物として、アルミニウムや硼素が挙げられるが、これらの元素についても、雰囲気ガスにトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3)や、トリメチルボロン(B(CH3)3)等の原料ガスを、所定の割合で混合することで、SiC単結晶中に導入することが可能であり、これらの混合ガスを用いて上記と同様な実験を行った結果、同様な傾向を示す結果が得られている。
前記の実験結果は、2000℃に及ぶ高温域において、雰囲気中の窒素濃度を変化させると、黒鉛坩堝を含むホットゾーンの温度が変化することを示しており、同様な現象は、坩堝内にSiC原料粉末と種結晶を組み込んで、実際にSiC単結晶成長を行った場合にも起こっているものと十分に推量できると考えられる。成長中の温度変化は、SiC単結晶の成長速度に影響を与え、成長速度が過大になると原子レベルでの正常なSi-C積層による安定成長が妨げられると同時に、特に成長温度の低温化が著しい場合には、異種ポリタイプ、特に低温で安定である3C-SiCの発生確率が高くなるため、これらを原因とする結晶性の劣化が起こる可能性が高くなる。
成長中に窒素濃度が変化する際に、坩堝表面の温度が一定となるように、図2に示す結果に準拠して、ワークコイルに流れる電流を制御することで、成長中の温度変化に起因する結晶性劣化を回避できる。また、二色温度計による温度測定データをワークコイル電流へフィードバックさせ、自動温度制御することも考えられるが、成長するSiC単結晶の口径が大きくなると、坩堝の容積も大きくなるために温度制御レスポンスが過大に大きくなり、自動温度制御は著しく困難になる傾向が強くなる。このような傾向は、特に成長するSiC単結晶の口径が75mm以上になると顕著になるため、図2に示す結果に準拠してワークコイルに流れる電流を制御する本発明の製造方法が安定な製造を行う上で極めて有利になる。
本法を用いれば、成長時に結晶の口径が拡大するような構造を有する坩堝を用いることにより、結晶中の不純物濃度が種結晶中のそれと異なった、種結晶口径よりも大きな口径を有するSiC単結晶インゴットを得ることができる。更に、この手法を繰り返すことにより、口径として50mm〜300mmまでの口径を有するSiC単結晶インゴットを得ることができるが、SiC単結晶の口径の上限については、特に制限を設ける技術的な理由はない。
さらに、これらの単結晶を切断、研磨加工を施すことにより、50mm以上300mm以下の口径を有する炭化珪素単結晶基板が作製可能である。さらに、これらのSiC単結晶インゴットから、切断及び研磨によって作製したSiC単結晶基板上に化学気相蒸着法(CVD法)等により、SiC、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム等々の薄膜をエピタキシャル成長させることにより、ホモあるいはヘテロエピタキシャル基板を作製することができる。このエピタキシャル基板は、各種の電子デバイス作製用基板として用いられる。特に、SiCエピタキシャル薄膜は、基板として用いた炭化珪素単結晶基板の良好な結晶性を継承しており、電子デバイスを作製した際に優れた特性を発揮するデバイスを得ることができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
まず、結晶成長時の窒素濃度を変化させた場合の、坩堝上部温度変化を調べることを目的とする予備実験として、図1に示す単結晶成長装置を用いて以下に記すSiC単結晶成長を実施した。
成長方法は、前述の方法とほぼ同一であるが、坩堝3内にはSiC結晶粉末原料2を充填し、種結晶1として、口径50mmの(0001)面を有した4H-SiC単結晶基板を坩堝内の対向面に取り付けた。使用した種結晶のマイクロパイプ欠陥密度は5個/cm2以下であり、ド−ピング元素としての窒素の濃度は1×1019cm-3であった。黒鉛坩堝3は、二重石英管4の内部に、黒鉛の支持棒上に静置され、坩堝周囲は、熱シールドのための断熱材5によって覆われている。石英管4の内部を真空排気した後、ワークコイル7に電流を流し、坩堝上部の表面温度を1700℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、温度を目標温度である2250℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後、約20時間成長を継続した。この成長時間中、成長開始時には雰囲気ガス中の窒素濃度を7%とし、成長開始後から窒素濃度を一定速度で増加させ、5時間で20%まで増加させ、その後は、20%で一定として成長終了時まで保った。二色温度計による坩堝上部の表面温度を計測したところ、窒素濃度変化前後で約35℃の温度低下を確認した。成長終了後、坩堝内より成長結晶と取り出したところ、結晶の口径は51mmで、成長結晶の高さから計算される成長速度は約0.9mm/hであった。この結晶を成長方向に平行に切断し、窒素濃度を変化した前後の結晶部分の結晶中窒素原子数密度をSIMSにより調べたところ、窒素濃度増加前後でそれぞれ、9.8×1018/cm3、及び7.2×1019/cm3であった。このときの成長100μm当たりの結晶中窒素濃度変化率は、735%/(0.9mm/h×5時間)=約16.3%/100μmであった。
上記の予備実験の結果を元に、窒素濃度を変化させる時間中にワークコイル電流を、坩堝上部の表面温度が2250℃にほぼ一定になるように、増加させた。二色温度計の測温実績記録では、2248〜2253℃の範囲内で制御されていることが確認できた。これ以外の成長条件は変えずに、同様な成長を計20回行い、得られた総計20個の成長結晶について、それぞれ成長端近くより口径51mm、厚さ1.0mmのSiC単結晶基板を切り出し、引き続いてラマン散乱によるポリタイプ同定調査を実施したところ、20個の成長中の19個の成長では、全面に亘り4H-SiC単結晶が成長しており、マイクロパイプ密度も、結晶と同等の低い密度を有していることが確認できた。また、520℃に溶融した水酸化カリウム溶液中で5分間エッチングを施し、エッチピット数密度を調べたところ、目視観察と同様のマイクロパイプ密度の貫通中空状欠陥が検出され、種結晶と同等の品質が実現できていることを確認した。また更に、種結晶と同等の高品質結晶が得られていることを確認するため、予め測定していた種結晶のX線トポグラフ撮影デ−タと、成長した結晶から切り出した基板のX線トポグラフ撮影デ−タを比較したところ、新たに欠陥は成長中に発生しておらず、種結晶と同等の高品質を有していることがX線トポグラフ撮影によっても確認できた。
この基板の電気抵抗率を測定した。使用した装置は、ナプソン社製NC80MAPシート抵抗非接触測定装置である。測定の結果、基板全面の平均抵抗率は、0.012Ωcmであり、低い抵抗率を有していることが確認された。
こうして得られた基板に、化学気相蒸着法(CVD法)によりSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、SiC単結晶エピタキシャル基板を作製した。このエピタキシャル基板の結晶性について調べるために、溶融水酸化カリウム溶液中に浸漬してエピタキシャル基板表面のエッチングを実施した。その結果、SiC単結晶基板が有していた良好な結晶品質がSiC単結晶薄膜においても継承されていることが確認できた。
比較実験として、窒素濃度が変化する間もワークコイル電流は一定とする以外は、上記の予備実験とほぼ同一の成長条件で成長して得られた総計20個のSiC単結晶について、成長端近くより口径51mm、厚さ1.0mmのSiC単結晶基板を切り出し、上記と同様のポリタイプ同定調査を行った。20個中の14個の結晶では、全面に亘り4H-SiC単結晶が成長していることが判明したが、残り6個の結晶では、窒素濃度が変化した結晶部分、あるいは変化後部分の近傍において、微細3C-SiC結晶粒(4個)あるいは異種ポリタイプ(2個)の発生していることが判明した。発生した異種ポリタイプは、主に6H-SiCであった。これらの結晶では、そこから結晶亜粒界やマイクロパイプ欠陥等が発生し、結晶性が大きく劣化した。
以上の結果より、本発明の窒素濃度変化時のワークコイル電流制御による成長温度一定化が、転位欠陥密度が小さい、結晶性の良好なSiC単結晶の安定成長に有効であることが判る。
(実施例2)
4Hポリタイプの種結晶の口径が76mmであり、この種結晶を用いて口径76mmのSiC単結晶インゴットを成長させたこと以外は、実施例1とほぼ同様な成長条件にて、単結晶成長を実施した。成長を20回行い、得られた総計20個について、それぞれ成長結晶の成長端近くより切り出した口径76mm、厚さ1.0mmのSiC単結晶基板の結晶性を実施例1と同様の方法により評価した。表1にその結果を示す。なお、成功率とは、種結晶の結晶品質とほぼ同等の良結晶性4HポリタイプSiC単結晶インゴットが得られた確率を表す。比較例では、窒素濃度を変化させた時間帯以降もワークコイル電流は一定とした。
Figure 0004879686
さらに、本発明の口径76mmインゴットから、実施例1と同様の切断及び研磨により、(0001)面ジャストの面方位を有する、口径76mm、厚さ360μmの鏡面基板を作製し、この鏡面基板上に、窒化ガリウム薄膜を有機金属化学気相成長法(MOCVD法)によりエピタキシャル成長させた。窒化ガリウム薄膜の成長条件は、成長温度1050℃、トリメチルガリウム(TNG)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)の流量を、それぞれ55×10-6モル/min、4リットル/min、23×10-11モル/minとし、さらに、成長圧力を大気圧とした。約1時間の成長により、n型窒化ガリウム薄膜が厚さ約3μm成長していることを確認した。このようにして得られたエピタキシャル薄膜を、ノルマルスキー光学顕微鏡により観察したところ、基板全面に渡って平坦性に優れ、良好なモフォロジ―を有する、品質の高い窒化ガリウムエピタキシャル薄膜が形成されていることが確認できた。
本発明の製造方法が、口径76mmの大型単結晶成長においても、欠陥密度が低い良質な単結晶を安定に製造する上で有効であり、各種のデバイス用基板として産業上極めて効果のある製造方法であることを示している。
(実施例3)
4Hポリタイプの種結晶の口径が76mmであり、この種結晶を内径100mmの黒鉛製坩堝内部の上面中央付近に設置し、SiC単結晶インゴットを成長させた。成長条件は実施例1とほぼ同様である。ただし、アルゴンガス中の窒素濃度については約30%とした。成長後、坩堝内部より成長結晶を取り出したところ、成長結晶端付近で直径がほぼ100mmの単結晶部分が実現されていた。この成長を個別に10回実施し、得られた10個の結晶について、それぞれ成長端近くより、口径100mm、厚さ1.0mmのSiC単結晶基板を切り出し、その中心付近の結晶性を実施例1と同様に評価した。その結果。10個の単結晶の内、9個について、ほぼ4Hポリタイプのみから構成されるSiC単結晶が実現されており、マイクロパイプ密度についても、種結晶とほぼ同等の密度を有していることが確認できた。更に、この基板の電気抵抗率を、実施例1と同様に測定したところ、平均抵抗率は0.009Ωcmであった。
昇華再結晶法(改良レーリー法)の原理を説明する図 ワークコイル電流を一定に保った場合に、坩堝表面温度の雰囲気ガス中窒素濃度依存性を説明する図
符号の説明
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝
4 二重石英管(水冷)
5 断熱材
6 真空排気装置
7 ワークコイル
8 測温用窓
9 二色温度計(放射温度計)

Claims (9)

  1. 種結晶上に炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造方法であって、成長中に結晶中の不純物として、窒素、アルミニウム、又は硼素の濃度を漸増あるいは漸減させる際に、成長温度が一定になるように温度制御することを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記炭化珪素単結晶の製造方法であって、成長中に雰囲気ガス中の不純物としての窒素濃度を漸増あるいは漸減させることによって、結晶中の窒素濃度を変化させることを特徴とする請求項1記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記炭化珪素単結晶が、高周波誘導加熱によって加熱された、主として黒鉛からなる坩堝内で作製されることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記雰囲気ガスが、アルゴン、ヘリウム、あるいはこれらの混合ガスのいずれかであることを特徴とする請求項2又は3に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られた炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が50mm以上である炭化珪素単結晶インゴット。
  6. 請求項5に記載の炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が75mm以上である炭化珪素単結晶インゴット。
  7. 請求項5又は6に記載の炭化珪素単結晶インゴットから切断され、研磨して得られる炭化珪素単結晶基板であって、該基板が単一のポリタイプからなる炭化珪素単結晶基板。
  8. 請求項7に記載の炭化珪素単結晶基板上に、炭化珪素薄膜をエピタキシャル成長してなる炭化珪素単結晶エピタキシャル基板。
  9. 請求項7に記載の炭化珪素単結晶基板上に、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、又はこれらの混晶のいずれかの薄膜をエピタキシャル成長してなるヘテロエピタキシャル基板。
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