JP4853449B2 - SiC単結晶の製造方法、SiC単結晶ウエハ及びSiC半導体デバイス - Google Patents

SiC単結晶の製造方法、SiC単結晶ウエハ及びSiC半導体デバイス Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイス、光学デバイス用基板材料として好適な炭化珪素単結晶の製造方法に関する。本発明では、特に{0001}面から傾斜した結晶面を有する炭化珪素単結晶からなる種結晶基板の表面に、結晶欠陥の少ない(すなわち、低結晶欠陥の)良質な炭化珪素単結晶を溶液成長法によって安定して成長させることができる炭化珪素単結晶の製造方法に関する。本発明の方法を活用することにより、低結晶欠陥の表面を有する結晶面傾斜型の炭化珪素単結晶基板、低結晶欠陥の炭化珪素単結晶エピタキシャルウエハー、ならびに高信頼性・高生産性の炭化珪素電子デバイスといった製品を実現することができる。本発明はこのような製品にも関する。
炭化珪素(SiC)は、広いバンドギャップ、大きな熱伝導率、低い誘電率を有し、熱的、機械的に安定した特性を持っている。従って、SiCを用いた半導体素子は、従来のシリコン(Si)を用いた半導体素子よりも高い性能を持つ。その優れた材料特性によりSiCは、動作損失の少ない電力制御用パワーデバイス材料、高耐圧な高周波デバイス材料、高温の環境で使用される耐環境デバイス材料、耐放射線デバイス材料、といった広い範囲においてデバイス材料としての応用が期待されている。
SiCの結晶構造については、閃亜鉛鉱構造の3Cに加えて、2H、4H、6Hなどを含む200種類を越えるポリタイプを有するウルツ鉱構造が確認されており、SiCの用途や目的に応じて様々な結晶構造の選択が可能である。
代表的な例として、高出力パワーデバイスには、高濃度n型の4H−SiC(4分子層周期の六方晶)の基板上に高耐圧動作のための低濃度n型の4H−SiC結晶層をCVD法(化学的気相成長法)によりエピタキシャル成長させた半導体素子が用いられる。この場合、CVD法によるSiCのエピタキシャル成長はステップフロー成長を基本とするため、基板表面の面方位が(0001)面から(11−20)方向に数度だけ傾斜した基板が使用される。
一方、高周波デバイスでは、高熱伝導性、低誘電率の性質が必要となり、高純度で高抵抗な4Hまたは6H−SiC基板上に窒化物系材料(GaN,AlN等)によるHEMT(High Electron Mobility Transistor)構造をヘテロエピタキシャル成長により積層することにより、これを実現している。
また、青色から紫外光に向けた短波長化を目指した光デバイスが、他の半導体結晶基板に比べてGaN系結晶に対する格子不整が小さい高濃度n型の6H−SiC基板を使用し、この基板上に窒化物系材料のへテロ・エピタキシャル層を積層することにより作成されている。
SiC単結晶の製造方法として従来から知られている主な方法は、気相成長に属する昇華再結晶化法と、液相成長に属する溶液成長法である。
昇華再結晶化法は、比較的高速成長(〜1mm/hr)が可能であることから、基板として利用できるバルク単結晶の成長に適しており、SiC単結晶基板の製造に現在最も広く採用されている。この方法は、原料のSiC粉末を種結晶(SiC単結晶)と対向させて黒鉛製の成長坩堝内に配置し、不活性ガス雰囲気中で1800〜2400℃にSiC原料を加熱し、加熱により発生したSiCの昇華ガスを、結晶成長に適した温度域に保持された種結晶上にてSiC単結晶として再結晶化させるものである。
一方、溶液成長法は、シリコン(珪素、Si)またはシリコン合金(Si−M合金)の融液中に炭素を溶解させて、該融液中にSiCが溶解している高温のSiC溶液(溶媒はSiまたはSi合金の融液)を調製する。このSiCの高温溶液にSiC種結晶(SiC単結晶基板)を浸漬し、少なくとも種結晶近傍の溶液を過冷却状態にすることによって種結晶近傍にSiCの過飽和状態を作り出し、SiC単結晶を種結晶上に成長させる。
溶液成長法には、成長界面であるSiC固相表面の温度が種結晶近傍の溶液温度に比べて低温になるような温度勾配を設ける温度差法(種結晶近傍の溶液だけが過冷却状態となる)と、種結晶を浸漬した溶液全体を冷却により過飽和溶液とする徐冷法とがある。
昇華再結晶化法で成長させたSiC単結晶には、種結晶から引き継がれる転位やマイクロパイプ欠陥が含まれる上、結晶成長中に発生したと考えられる多数の転位が存在するという問題がある。結晶成長中に新たに発生する転位の生成原因としては、昇華再結晶化法が基本的に炭素坩堝内の閉鎖系内で進行する反応であるため、SiC原料の昇華によって供給される昇華ガスの成分が結晶成長中に変動すること、固相・気相反応であるため成長環境に大きな温度勾配が存在し、その結果、結晶中に大きな熱応力が発生してしまうこと、結晶成長に伴って成長界面が坩堝内を移動するために温度環境、原料である昇華ガス濃度が経時的に変化することなどが考えられている。成長に伴い、先に述べた不適正な結晶成長条件や成長条件の変動により欠陥が新たに発生することから、昇華再結晶化法では種結晶を大幅に上回る品質の結晶を得ることは極めて困難である。
昇華再結晶化法によるSiC単結晶の欠陥を低減させるための取り組みが従来から精力的になされている。欠陥の少ない良質な種結晶を得る方法としては、種結晶に由来する欠陥であるマイクロパイプや或る種の転位が伝搬方向に特異性が存在することに着目して、成長方位を変化させるSiC単結晶成長方法が知られている。しかし、これらの方法では、結晶成長方向に直交する方向にインゴットを切断することで種結晶を得るために、大口径の種結晶を得るためには、その口径以上の長さのインゴットを成長させる必要がある。前述したとおり、昇華再結晶化法においては、成長に伴って温度環境やガス組成が変動しやすいため、長尺なインゴットに対して完全結晶を得ることは極めて困難である。
一方、結晶成長中の転位発生を抑制する方法として、成長速度を低く抑えて結晶欠陥発生率を低下させる、あるいは昇華ガス成分の変動が大きくならないように成長時間を短くするといった結晶性向上のための対策が行われてきたが、これらの手法では、未だ実用に供しうるSiC単結晶の品質や生産性が実現されるには至っていない。
液相成長である溶液成長法では、昇華再結晶化法に比べて500℃〜1000℃程度も成長温度を低くすることができることから、昇華再結晶化法に比べると温度制御性に優れている。そのため、結晶中の熱応力を極めて小さくすることができ、転位の発生を抑制することができる。さらに溶液組成などの結晶成長中における変動要因を、実質的になくすことが可能である。これらの結果、結晶成長中に新たに発生する転位を皆無にすることができる。
Journal of Electronic Materials 27 (1998) p.292には、昇華再結晶化法で作製したオン・アクシス(0001)SiC単結晶を種結晶として、当該種結晶上にSiC単結晶を溶液成長させると、種結晶中に含有されていたマイクロパイプ欠陥および転位が低減しながら結晶成長が進行することが報告されており、種結晶の転位低減によって種結晶の結晶品質を向上させることが可能であることを示されている。
米国特許5679153号には、昇華再結晶化法で作製されたマイクロパイプ欠陥を含む結晶(欠陥密度:50〜400cm−2)上にSiC単結晶を溶液成長させると、成長途中でマイクロパイプ欠陥が閉塞されていくことを利用して、表層のマイクロパイプ欠陥が低減した(欠陥密度0〜50cm−2)SiC単結晶層を作製する方法が開示されている。この米国特許に記載の方法は、結晶品質に問題のある昇華再結晶化法で作製されたSiC単結晶基板の表層の結晶品質を溶液成長法により改善する(欠陥を低減させる)方法であると考えられる。
しかし、パワーデバイス等の電子デバイス用のSiC素子の製造においてCVD法によるSiCエピタキシャル層の成長に適している、基板表面の面方位が{0001}面から(11−20)方向に傾斜した(すなわち、オフ面の)SiC単結晶基板を用いて、米国特許5679153号に開示された技術に従ってSiC単結晶の溶液成長を行った場合、このような面方位の傾斜がない{0001}ジャスト面上での成長とは異なり、成長界面に不安定性が生じて3次元成長が起こり、結果として安定した2次元層成長は見込めないという問題が存在することが判明した。
本発明者等が行った8°オフ[{0001}面から8°傾斜]のSiC結晶面を持つ4H−SiCの単結晶基板上へのSiC単結晶の溶液成長実験において見られた、3次元成長したSiC単結晶の断面光学顕微鏡写真を図1に示す。溶液成長直後は、2次元層成長によって結晶成長が進行しているが、やがて成長界面に不安定性が生じ、3次元成長に移行していることが分かる。
Applied Surface Science 184 (2001) p.27には、昇華再結晶化法により作製された{0001}面から8°傾斜したSiC単結晶基板上へ0.1、1、および5μm厚の溶液成長を行った結果が記載されている。5μm厚の溶液成長結晶層には基板からの結晶欠陥がそのまま引き継がれている。また、5μmの結晶厚みにもかかわらず、結晶表面は凹凸が生じ、既に3次元成長に移行し始めていることが示されている。
Journal of Electronic Materials 27 (1998) p.292 Applied Surface Science 184 (2001) p.27 米国特許5679153号明細書
以上のように、電子デバイス用基板として好適な{0001}面から傾斜したSiC単結晶基板については、溶液成長法により高品質のSiC単結晶を表面に成長させて基板表層の品質を改善する目的で、この基板を種結晶基板とし、3次元成長を抑制しつつ表面の品質改善効果が発現する結晶厚を確保することができるSiC単結晶の成長方法の開発が求められていた。
本発明の課題は、電子デバイス用基板として好適な、結晶面が{0001}面から傾斜したSiC単結晶基板の表層の品質改善を安定して行うための技術を提供することである。具体的には、結晶面が{0001}面から傾斜したSiC単結晶基板上に、溶液成長法によって基板よりも高品質なSiC単結晶層を安定して成長させることができる製造方法を提供することと、それらを活用することで実現される、従来技術では実現しえなかった低結晶欠陥の表面を有する結晶面傾斜SiC単結晶基板、低結晶欠陥SiC単結晶エピタキシャルウエハー、ならびに高信頼性・高生産性SiC電子デバイスを提供することが、本発明の課題である。
本発明は、Si金属またはSi−M合金(MはSi以外の1種類以上の金属)の融液を溶媒とするSiC溶液に、{0001}面から傾斜した結晶面を有するSiC種結晶基板を浸漬し、少なくとも基板近傍を過冷却により過飽和状態とすることによって、該基板上にSiC単結晶を成長させることからなるSiC単結晶の製造方法に関する。すなわち、本発明は溶液成長法によって、前記傾斜結晶面を有するSiC種結晶基板上にSiC単結晶を成長させる方法に関する。
1態様において、溶液成長法によるSiC単結晶の成長を温度差法により行う。この場合、種結晶基板の近傍が低温となる温度勾配をSiC溶液に形成することにより基板近傍に過飽和状態を創出するが、この該温度勾配を5℃/cm以下とする。温度差法では、単結晶の成長を持続して行うことができる。温度勾配は、溶液を収容する坩堝が備える加熱手段の制御によって、基板が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるように垂直(高さ)方向に形成してもよい。或いは、種結晶基板を支持する基板保持具を介して種結晶基板を冷却(基板保持具を介して基板から抜熱)することにより、基板周辺の溶液を局部的に低温とする、水平垂直両方向の温度勾配を形成することもできる。もちろん、その両者を併用してもよい。
別の態様では、結晶成長の駆動力となる過飽和状態を、溶液全体を冷却する徐冷法により実現する。この場合は、SiC溶液の全体を冷却して過飽和状態を創出し、その時の冷却速度を0.05℃/分以上、1℃/分以下とする。徐冷法は基本的にはバッチ成長である。しかし、徐冷法においても、SiC溶液の冷却をこの溶液の固相線温度よりも高い温度で終了した後、溶液の加熱と冷却(過冷却温度への)を繰り返すことにより過飽和状態を繰り返して創出し、基板上でのSiC単結晶の成長を続けることができる。
いずれの方法においても、SiC溶液中に浸漬したSiC種結晶基板は、この基板への単結晶成長を開始する前に、基板表層を溶液中に溶解させることが好ましい。これは、種結晶基板として使用するバルク単結晶から切り出されたSiC基板の表層には、加工変質層や自然酸化膜などが存在しているためであり、結晶成長前にこれらを除去することが結晶品質の向上に効果的である。溶解する厚みは、種結晶基板となるSiC単結晶基板の表面の加工状態によって変わるが、およそ5〜50μmである。溶解厚みが5μmより薄いと、加工状態により前記加工変質層や自然酸化膜を十分に除去することができず安定な品質を実現できないことがある。
種結晶基板の表層の溶解は、種結晶基板近傍の溶液温度が高温となるような温度勾配、すなわち、単結晶成長とは逆方向の温度勾配、を溶液に形成することにより実現できる。SiC単結晶成長を徐冷法により行い、溶液を収容した坩堝が備える加熱手段でこの温度勾配を形成できない場合でも、例えば、種結晶基板を支持する基板保持具を介して種結晶基板を加熱することにより、必要な温度勾配を溶液に形成することができる。基板表層の溶解時の温度勾配は、5℃/cm以上、50℃/cm以下とすることが好ましい。温度勾配が5℃/cm以下であると、基板表層の溶解速度が遅くなるので結晶成長開始までに時間がかかる。温度勾配が50℃/cm以上であると、溶解速度が速すぎて溶解量を制御することが難しくなる。
種結晶基板の表層の溶解は、溶液に温度勾配を形成せず、液相線温度より高温に加熱された溶液に種結晶基板を浸漬し続けることでも達成することができる。この場合、溶液温度が高くなるほど、溶解速度は高まるが、溶解量の制御が難しくなり、温度が低いと溶解速度が遅くなる。
種結晶基板表面での単結晶成長時の成長界面の面内温度分布における最大温度差は、後で実施例において例証するように、2℃以下であることが好ましい。それにより、結晶成長時の3次元成長をより効果的に抑制できる。この面内温度分布を小さくする手段については後述する。{0001}ジャスト面上にSiC単結晶を成長させる場合は、成長界面の面内温度分布が大きくなっても、3次元成長が起こりにくく、2次元成長が持続する。しかし、オフ面の基板上に溶液法によりSiC単結晶を成長させる場合には、2次元成長を持続できる成長温度条件のプロセスウインドウが狭いことが明らかとなった。そのため、成長界面の面内温度分布を小さくすることが2次元成長の持続に有利に作用する。
成長界面は、成長開始前は種結晶基板の表面であるので、成長界面温度は実質的に基板温度と同じである。従って、基板の背面側で測定した基板の温度分布を成長界面における面内温度分布とし、こうして測定された基板温度の最高温度と最低温度の温度差が2℃以下になるようにすればよい。
SiC溶液の溶媒となる融液は、Si金属よりもSi−M合金である方が、Cの溶解量が高く、従って、SiCの溶解度を高めることができるので好ましい。特に好ましいSi−M合金はSi−Ti合金である。
種結晶基板は、結晶面の{0001}面からの傾斜角(オフ角ともいう)が0.2°以上、10°以下の昇華再結晶化法により作製されたSiC基板であることが好ましい。この傾斜角が0.2°より小さいと、{0001}ジャスト面とほぼ同じ2次元成長モードで結晶成長が進行するために、本発明の方法を適用する必要性がない。一方、この傾斜角が大きくなると、基板作製時のカットロスが多くなり、CVDエピタキシャル成長において8°の傾斜角で実用上充分に平坦な結晶面が得られていることから、傾斜角が10°以上のSiC基板は実質的に使用されることがないので、やはり本発明の方法を適用する必要性がない。種結晶基板の結晶形は好ましくは4H−SiCである。
昇華再結晶化法により作製されたオフ角を有するSiC単結晶基板の表面改質を目的として、この基板上に本発明の方法に従ってSiC単結晶の層を成長させる場合、成長させるSiC単結晶層の厚みは、10μm以上、100μm以下とすることが好ましい。10μm以上の厚みまで溶液成長させないと、本発明に従った溶液成長法による種結晶基板の表面品質の改善効果が十分には発現しない。溶液成長させる結晶厚みの上限は特にないが、昇華再結晶化法で作製されたSiC単結晶基板の表層の品質改善を目的とする場合、結晶厚みは100μmあれば十分である。
本発明によれば、上記方法により製造されたSiC単結晶の層を、{0001}面からの結晶面傾斜角が0.2°以上、10°以下の昇華再結晶化法により作製された、口径が50mm以上、100mm以下のSiC基板の表面に有することを特徴とする、デバイス作製用のSiC単結晶基板が提供される。このSiC単結晶基板は、{0001}面から8°または4°傾斜した基板上で計測される転位に起因したエッチピット密度の合計が、下地のSiC種結晶基板に比べて低減していることで実証される、改善された表面結晶品質を有する。
本発明はまた、このSiC単結晶基板上に、CVD法によりエピタキシャル成長させたSiC単結晶の薄膜を有するSiC単結晶エピタキシャルウエハー、ならびにこのSiC単結晶エピタキシャルウエハーを用いて作製されたSiC半導体デバイスも提供する。
本発明によれば、電子デバイス応用のためのCVD法によるエピタキシャル成長用基板として好適な{0001}面から傾斜した結晶面を持つSiC単結晶基板上にSiC単結晶を溶液成長法により成長させて基板表面の品質改善を行う場合に、3次元成長を抑制し、高品位な2次元成長を安定して進行させることができるので、昇華再結晶法で作製されたSiC単結晶基板の表層の品質改善を効率的に行うことが可能となる。
本発明者らは、SiまたはSi−Ti合金の融液にほぼ飽和濃度までCを溶解させて準備したSiCの高温溶液に、結晶面が{0001}面から傾斜しているオフ角SiC種結晶基板を浸漬して、溶液成長法により少なくとも該SiC種結晶基板周辺の溶液を過冷却して過飽和状態とすることで新たなSiCを種結晶基板上に成長させる(以下、SiCの溶液成長ともいう)SiC単結晶の成長について、3次元成長を抑制する条件について検討を重ねた。
その結果、SiC溶液成長の成長温度条件を最適化することで、結晶品位の低下をもたらす3次元成長を大幅に抑制することが可能であり、高品位なSiC単結晶を成長させることが可能であることを見出した。
{0001}面から傾斜したオフ角SiC種結晶基板の表面に溶液成長法により新たなSiCを成長させる溶液成長では、{0001}面(ジャスト面)上の溶液成長とは異なり、ステップバンチングが発生しやすいという問題がある。このステップバンチングは、成長時間の延長とともにマクロステップ化し、成長界面には段差が生じてしまう。このようにして、一旦、成長界面が3次元化すると、溶液側に突き出した部分における結晶成長が優先的に進行してしまい、結晶成長の遅れた箇所との結晶の隙間に溶媒成分が取り込まれてしまうため、良質なSiC単結晶を得ることができなくなってしまう。
本発明に従って、結晶成長時に、種結晶から溶液側に種結晶の方が低温になるような温度勾配を形成する場合には該温度勾配を5℃/cm以下とすることにより、また結晶成長の駆動力を徐冷却によって与える場合は、溶液全体の冷却速度を0.05℃/分以上、1℃/分以下にすることによって、安定した2次元層成長を継続させることが可能となる。これは、ステップの前進速度をステップ間で揃えることができ、ステップバンチングが実質的に起こらないようにすることができるためであると考えられる。
溶液成長法によるSiC単結晶の製造に使用される単結晶製造装置の1例を図2に模式的に示す。図示の単結晶製造装置は、SiまたはSi−M合金の融液中にSiCが溶解してなる高温溶液1を収容した坩堝2を備え、昇降可能なシード軸(基板保持具)3の先端に保持された種結晶基板4がこの高温溶液の液面付近に浸漬されている。図示のように、坩堝2とシード軸3は回転させることが好ましい。
高温溶液1はSiまたはSi−M合金の融液(原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製)にC(炭素)を溶解させることによって調製される。図示例では、坩堝を黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝の溶解によりCが融液中に溶解し、SiC溶液が形成される。こうすると、高温溶液中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった別の方法を利用するか、これと坩堝の溶解とを併用して行ってもよい。
坩堝2は、シード軸が貫通する坩堝蓋5により実質的に閉鎖され、保温のために坩堝2の外周は、断熱材6で覆われている。断熱材6の外周には、坩堝および高温溶液を誘導加熱するための高周波コイル7が配置されている。
結晶成長を温度差法により行う場合には、高周波コイルの巻き数や間隔、さらには高周波コイル7と坩堝2との高さ方向の位置関係を調整することによって、高温溶液に高さ方向(垂直方向)の温度勾配を形成することができる。この時の温度勾配は、前述したように、5℃/cm以下とする。それにより、安定して2次元成長を続けることができる。温度勾配の好ましい範囲は1〜3℃/cmである。
これらの坩堝2、断熱材6、高周波コイル7は、高温になるので、水冷チャンバー8の内部に配置される。水冷チャンバー8は、装置内の雰囲気調整可能にするために、ガス導入口9とガス排気口10とを備える。高周波コイルの隙間を通り、断熱材6を貫通して複数のパイロメーター(高温計)を配置し、坩堝2の複数の高さ地点での側面温度を測定できるようにしてもよい。坩堝の側面温度は実質的に高温溶液温度に等しいので、温度の測定値により高周波コイル7による加熱を調整することができる。また、坩堝底における径方向の温度測定は、坩堝を保持する坩堝軸を中空にして複数の熱電対を挿入し測定することができる。
単結晶成長時の成長界面の面内温度分布については、高温溶液に浸漬する種結晶基板背面と接するシード軸の面内温度を測定することで得ることができる。種結晶基板背面と接するシード軸の面内温度は、中空状のシード軸に複数の熱電対を挿入することで測定することが可能である。成長面内の温度分布の調整は、例えば、高温溶液1の自由表面の上部に断熱材構造を配置したり、シード軸内部の断熱材構造を付加することによって可能である。
高温溶液1の溶媒を構成するのは、Si金属またはSi−M合金である。金属Mの種類は、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Mの例としては、Ti、Mn、Cr、Co、V、Feなどが挙げられる。好ましいのはTiおよびMnであり、特にTiが好ましい。好ましい合金元素Mの原子比は、Si−M合金の組成をSi1-xxで表して、MがTiの場合0.1≦x≦0.25、MがMnの場合は0.1≦x≦0.7である。
結晶成長の駆動力となる過飽和状態を、前記温度差法によって実現する他に、種結晶を浸漬した溶液全体の徐冷によって実現することも可能である。徐冷法での冷却速度は前述したように、0.05℃/分以上、1℃/分以下である。溶液全体の冷却速度を1℃/分以下にすると、安定した2次元層成長を継続させることが可能となる。この冷却速度が0.05℃/分以下になると、1バッチあたりの成長時間がかかりすぎる。冷却速度の好ましい範囲は0.1〜1℃/分である。
徐冷法はバッチ式であるが、高温溶液の徐冷却をその溶液の固相線温度よりも高い温度で終了した後、高温溶液の加熱と徐冷却を繰り返すことにより、過飽和状態を繰り返して創出し、基板上でのSiC単結晶の成長を続けることができる。
いずれの方法においても、前述したように、高温溶液中に浸漬したSiC単結晶は、成長前にその表層を高温溶液中に溶解させて除去することが好ましい。
種結晶基板はSiC単結晶基板であれば特に制限されないが、本発明のSiC単結晶の製造方法を基板表面の結晶品質改善の目的で利用する場合には、前述したように、CVD法によるSiCのエピタキシャル成長に適した、結晶面が0.2°以上、10°以下の傾斜角を有するオフ角基板である。
口径50〜100mmの、昇華再結晶化法により作製された上記オフ角を有するSiC単結晶基板に表面に、本発明の方法に従ってSiC単結晶の層を10〜100μm厚で成長させることにより、昇華再結晶化法により作成された基板表面に必然的に発生する欠陥(エッチピット密度で表すことができる)を低減させることができる。こうして表面結晶品質が改質されたSiC単結晶基板上に公知のCVD法によりSiC単結晶の薄膜をエピタキシャル成長させることにより、高品質のSiC単結晶エピタキシャルウエハーを製造することができる。このウエハーはSiC半導体デバイスの製造に利用される。SiC半導体デバイスの製造も公知方法に従って実施すればよい。
本実施例では、図1に示した単結晶製造装置を用いて、温度差法によるSiC単結晶の溶液成長実験を行った。坩堝2に収容した高温溶液1には、溶液を収容する坩堝が備える加熱手段の制御によって、基板が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるように垂直(高さ)方向の温度勾配が形成されており、種結晶基板4の近傍が低温になっている。この溶液の温度勾配により、基板近傍の溶液が過飽和状態となり、SiC単結晶の成長が進行する。
この単結晶製造装置は、溶液1を収容した内径130mm、高さ150mmの高純度黒鉛坩堝2を備え、坩堝2は水冷ステンレスチャンバー8内に配置されている。黒鉛坩堝の外周は断熱材6により保温されており、さらにその外周に誘導加熱用の高周波コイル7が設けられている。単結晶製造装置内の雰囲気は、ガス導入口9とガス排気口10を利用して調整される。
高純度黒鉛坩堝2に、SiとTiとをモル比で80:20の割合で融液原料として仕込み、高周波コイル7に通電して誘導加熱により坩堝内の原料を融解し、Si−Ti合金の融液を形成した。加熱中に容器である黒鉛坩堝の溶解によって炭素が高温溶液に融解し、SiCの高温溶液が形成された。単結晶の成長を行う前に、十分な量の炭素が融液中に溶解するように、生成した融液を1650℃で2時間加熱した。
高周波コイル7の巻き数、巻き間隔および黒鉛坩堝と高周波コイルの相対的な位置関係を調節することによって、高温溶液の高さ方向の温度分布を制御した。種結晶を浸漬予定の箇所(本例では溶液の液面近傍)における温度が、その他の箇所の溶液に比べて低温になるような温度勾配の大きさが3℃/cmとなるように、高温溶液の温度分布を調整した。従来技術では、結晶成長の駆動力を大きく与えるために、前記温度勾配は、5℃/cmよりも大きくしていた。なお、1650℃の加熱温度は、溶液の最高温度(すなわち、坩堝底での溶液温度)である。
上記条件で2時間加熱したところ、黒鉛坩堝2から溶液を過飽和状態にするのに必要な十分な炭素が溶解し、種結晶基板4の近傍での溶液1中のSiC濃度が過飽和状態に達したSiC溶液1が坩堝内に形成された。その後、シード軸3の先端に保持された、結晶面が{0001}面から(11−20)方向に8°傾斜した(8°オフ角の)、50mm口径の4H−SiC種結晶基板4を、溶液1の表層付近に浸漬して、1時間浸漬状態を保持し、温度差法によるSiC結晶成長を行った。結晶成長時間は15時間とした。この間、坩堝2とシード軸3は、互いに逆方向に10rpmで回転させた。
黒鉛坩堝2に挿入され、高温溶液1に浸漬する前の種結晶基板4の面内温度分布を測定したところ、種結晶基板4の中央部で最も温度が低く、外周で最も温度が高く、その温度差は4℃であった。
成長実験の終了後、シード軸3を上昇させて、種結晶基板4を溶液1から切り離して回収した。坩堝内の溶液は室温まで冷却して凝固させた。この種結晶をフッ硝酸で洗浄して、付着していた溶液の凝固物を除去した。種結晶基板4の上には、溶液成長法によってSiC結晶が新たに約200μmの厚みで成長した。
続いて、平坦化加工した前記基板のSiC結晶層の表面に、シランとプロパンを原材料ガスとするCVD法によりn型(1×1016cm−3)SiCエピタキシャル層を10μm積層した。CVD成長には、水素(H2)をキャリアーガスとする常圧のCVD装置を用い、サセプタの加熱は高周波誘導加熱によって行った。SiC単結晶基板を反応炉内に設置した後、ガス置換と高真空排気を数回繰り返した後、H2キャリアガスを反応炉内導入した。1500℃に昇温し、原料のシランとプロパンを導入してエピタキシャル成長を開始した。成長中は、窒素ガスを添加してn型伝導性制御を行った。
SiC種結晶結晶基板上に成長した溶液成長SiC結晶厚みと、CVD法でその上に成長したSiC結晶厚みは、結晶断面の光学顕微鏡観察から求めた。また、得られた単結晶の結晶性に関して、(0001)面に研磨を施した後に、溶融KOHエッチング(500℃、2分)処理を施して、前記結晶面に出現するエッチピット数を数え、密度算出を行い、CVD法SiC結晶、溶液成長SiC結晶および種結晶基板4の間でエッチピット密度を比較した。エッチピット密度比較は、結晶に対して研磨と溶融KOHエッチングを繰り返し、成長厚み方向のエッチピット密度分布を調べることで行った。これらの結果は表1にまとめて示す。
エッチピット密度の判定は、次の基準で行った:
◎:種結晶基板のエッチピット密度に対してCVD結晶および溶液成長最表層のエッチピット密度が1桁以上減少している;
○:種結晶基板のエッチピット密度に対してCVD結晶および溶液成長最表層のエッチピット密度が1桁未満減少している;
×:種結晶基板のエッチピット密度に対してCVD結晶溶液成長最表層のエッチンピット密度が同じかまたは増加している。
本実施例では、図1に示した単結晶製造装置を用いて、徐冷法によるSiC単結晶の溶液成長実験を行った。種結晶基板の近傍は溶液全体の温度と実質的に同じ温度になっており、溶液全体の冷却によって結晶成長は進行する。
この単結晶製造装置は、溶液1を収容した内径130mm、高さ150mmの高純度黒鉛坩堝2を備え、坩堝2は水冷ステンレスチャンバー8内に配置されている。黒鉛坩堝の外周は断熱材6により保温されており、さらにその外周に誘導加熱用の高周波コイル7が設けられている。単結晶製造装置内の雰囲気は、ガス導入口9とガス排気口10を利用して調整される。
高純度黒鉛坩堝2に、SiとTiとをモル比で80:20の割合で融液原料として仕込み、高周波コイル7に通電して誘導加熱により坩堝内の原料を融解し、Si−Ti合金の融液を形成した。加熱中に容器である黒鉛坩堝の溶解によって炭素が高温溶液に融解し、SiCの高温溶液が形成された。単結晶の成長を行う前に、十分な量の炭素が融液中に溶解するように、生成した融液を1650℃で2時間加熱し続けた。溶液内の高さ方向の温度が実質的に均熱になるように、高周波コイルの巻き数と巻き間隔、黒鉛坩堝と高周波コイルの相対的な位置および断熱材6の構造を調節した。
上記条件で2時間加熱したところ、黒鉛坩堝2から融液中に十分な炭素が溶解して、SiCが飽和濃度近くまで溶解した高温溶液1が坩堝内に形成された。その後、シード軸3の先端に保持された、50mm口径の8°オフ角の4H−SiC種結晶基板4を溶液1の内部に浸漬して、1時間保持して溶液温度が安定化した後、高周波コイル7の出力を低減させながら溶液全体の温度を1450℃まで下げることにより、徐冷法によるSiC結晶成長を行った。冷却速度は、0.2℃/分(冷却時間1000分)とした。この間、坩堝2とシード軸3は、互いに逆方向に10rpmで回転させた。この時、種結晶基板の面内温度は、種結晶基板4中央部で最も低く、外周で最も高く、その温度差は4℃の温度分布を有していた。
成長実験の終了後、シード軸3を上昇させて、種結晶基板4と溶液1から切り離し回収した。坩堝内の溶液は室温まで冷却して凝固させた。この種結晶基板をフッ硝酸で洗浄して、付着していた溶液の凝固物を除去した。その他は、実施例1と同様にした。
黒鉛坩堝2に装入した融液原料がSiであった点を除いて、実施例1と同様にして、温度差法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。
黒鉛坩堝2に装入した融液原料がSiであった点を除いて、実施例2と同様にして、徐冷法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。
溶液1に浸漬した種結晶基板の面内温度分布が、種結晶基板4中央部で最も低く、外周で最も高く、その温度差を2℃に調整した他は、実施例1と同様にして、温度差法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。面内温度分布の調整は、種結晶基板を保持するシード軸3の先端内部に断熱材シートを挿入し、その構造を調整することによって行った。
溶液1に浸漬した種結晶基板の面内温度分布が、種結晶基板4中央部で最も低く、外周で最も高く、その温度差を2℃に調整した他は、実施例2と同様にして、徐冷法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。
単結晶の成長を開始する前に、十分な量の炭素が坩堝から溶解するように、坩堝内の融液底中央部の温度を1650℃に調整して2時間の加熱を続ける際に、結晶成長時とは逆向きの溶液高さ方向の温度勾配を形成した。すなわち、種結晶基板の浸漬予定箇所である溶液表層における温度が、底部の溶液に比べて高温になるような高さ方向の勾配を形成し、この時の温度勾配を15℃/cmとなるように調整して、上記の2時間の加熱を行ったところ、種結晶基板4表層が結晶成長前に約5μm溶解した。その後、溶液の高さ方向の温度勾配を結晶成長用の温度勾配(実施例1と同じ、溶液表層が低温で、底部が高温の方向の3℃/cmの温度勾配)に戻し、結晶成長を開始した以外は、実施例1と同様にして温度差法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。
単結晶の成長を開始する前に、十分な量の炭素が坩堝から溶解するように、坩堝内の融液底中央部の温度を1650℃に調整して2時間の加熱を続ける際に、結晶成長時とは逆向きの溶液高さ方向の温度勾配を形成した。すなわち、種結晶基板の浸漬予定箇所である溶液表層における温度が、底部の溶液に比べて高温になるような高さ方向の勾配を形成し、この時の温度勾配を15℃/cmとなるように調整して、上記の2時間の加熱を行ったところ、種結晶基板4表層が結晶成長前に約5μm溶解した。その後、結晶成長時の溶液内温度を均熱化させた以外は、実施例2と同様にして徐冷法によりSiC単結晶を種結晶基板上に溶液成長させた。
(比較例1)
結晶成長時の種結晶基板4を浸漬した溶液近傍の温度勾配を15℃/cmとした以外は、実施例1と同様にして、温度差法によりSiC単結晶を種結晶基板上に成長させた。
(比較例2)
溶液全体の冷却速度を、2℃/分(冷却時間100分)とした以外は、実施例2と同様にして、徐冷法によりSiC単結晶を種結晶基板上に成長させた。
以上の実施例と比較例について結晶成長条件と種結晶基板上に2次元層成長したSiC結晶厚み及び2次元成長部の最表層におけるエッチピット密度判定結果を表1にまとめて示す。
Figure 0004853449
表1から、実施例1〜8では、成長温度条件を、温度差法の場合は温度勾配を5℃/cm以下に、徐冷法の場合は冷却速度を1℃/分以下にすることで、3次元成長を抑制することができ、その結果、溶液成長法によるSiC結晶の品質改善効果が発現していることが分かる。また、本発明に従った成長温度条件でSiC単結晶を成長させた実施例では、形成されたSiC単結晶の層の上にCVD法によりエピタキシャル成長させたSiC単結晶膜においても、エッチピット密度(すなわち転位密度)は昇華再結晶基板に比べて低減し、高品質のSiC単結晶エピタキシャルウエハーが製造できた。
実施例5、6に示すように種結晶基板の面内温度分布を2℃以下にすると、3次元成長の抑制効果が増大することが分かる。また、実施例7、8に示すように、結晶成長を開始する前に、種結晶基板基板の表層を溶液内で溶解して除去すると、溶液成長の品質改善がより効果的に発現することが分かる。
以上に本発明を好適態様および実施例に関して説明したが、以上の説明は全ての点で例示であって、制限的なものでないのは当然である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
従来の溶液成長法によってオフ角を有する結晶上に結晶成長させた3次元成長したSiC単結晶の断面の光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例において使用した結晶成長装置(SiC単結晶製造装置)の基本構成を示す説明図

Claims (15)

  1. Si金属またはSi−M合金(MはSi以外の1種類以上の金属)の融液を溶媒とするSiC溶液にSiC種結晶基板を浸漬し、少なくとも基板近傍を過冷却により過飽和状態とすることによって基板上にSiC単結晶を成長させることからなるSiC単結晶の製造方法であって、
    SiC種結晶基板が{0001}面から(11−20)方向に傾斜した結晶面を有するものであり、この傾斜した結晶面を成長面として用い、
    種結晶基板の近傍が低温となる温度勾配をSiC溶液に形成することにより基板近傍に過飽和状態を創出し、該温度勾配が5℃/cm以下である
    ことを特徴とする、SiC単結晶の製造方法。
  2. Si金属またはSi−M合金(MはSi以外の1種類以上の金属)の融液を溶媒とするSiC溶液にSiC種結晶基板を浸漬し、少なくとも基板近傍を過冷却により過飽和状態とすることによって基板上にSiC単結晶を成長させることからなるSiC単結晶の製造方法であって、
    SiC種結晶基板が{0001}面から(11−20)方向に傾斜した結晶面を有するものであり、この傾斜した結晶面を成長面として用い、
    SiC溶液全体を冷却して過飽和状態を創出し、その時の冷却速度が0.05℃/分以上、1℃/分以下である
    ことを特徴とする、SiC単結晶の製造方法。
  3. 前記SiC溶液の冷却をその溶液の固相線温度よりも高い温度で終了した後、該SiC溶液の加熱と冷却を繰り返すことにより過飽和状態を繰返して創出し、基板上でのSiC単結晶の成長を継続する、請求項2に記載の方法。
  4. 単結晶成長時の成長界面の面内温度分布における最大温度差が2℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. SiC種結晶基板をSiC溶液に浸漬した直後は基板の方がSiC溶液に比べて高温になるような温度勾配を溶液に形成して基板表層をSiC溶液中に溶解させた後、SiC単結晶の成長を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. SiC種結晶基板の表層の溶解厚みが5μm以上である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記融液がSi−M合金であり、MがTiである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. SiC種結晶基板が、{0001}面から0.2°以上、10°以下の角度で傾斜した結晶面を有する、昇華再結晶化法で作製されたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. SiC種結晶基板が4H−SiC結晶構造を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 基板上に成長させたSiC単結晶の厚みが10〜100μmの範囲内である請求項9に記載の方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法により製造されたSiC単結晶の層を、口径50mm以上、100mm以下の昇華再結晶化法により作製されたSiC単結晶基板上に有することを特徴とする、デバイス作製用のSiC単結晶基板。
  12. {0001}面から(11−20)方向に8°傾斜した基板上で計測される転位に起因したエッチピット密度の合計が、下地の昇華再結晶化法で作製されたSiC基板に比べて低減している、請求項11に記載のSiC単結晶基板。
  13. {0001}面から(11−20)方向に4°傾斜した基板上で計測される転位に起因したエッチピット密度の合計が、下地の昇華再結晶化法で作製されたSiC基板に比べて低減している、請求項11に記載のSiC単結晶基板。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載のSiC単結晶基板上に、CVD法によりエピタキシャル成長させたSiC単結晶の薄膜を有することを特徴とする、SiC単結晶エピタキシャルウエハー。
  15. 請求項14に記載のSiC単結晶エピタキシャルウエハーを用いて作製されたことを特徴とするSiC半導体デバイス。
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