JP2015224169A - 炭化珪素インゴットの製造方法 - Google Patents

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俊策 上田
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勉 堀
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Abstract

【課題】炭化珪素インゴットの製造において異種ポリタイプの混入を抑制しつつ結晶成長速度を高速化する。【解決手段】炭化珪素インゴットの製造方法は、原料および種結晶を準備する工程と、該原料を昇華させ、昇華した該原料を該種結晶上に再析出させて単結晶を成長させる結晶成長工程と、を備える。原料と成長中の単結晶との温度差は、200℃以下である。結晶成長工程は、1.33kPa以上2.67kPa以下の圧力条件で、単結晶の温度を第1の温度帯で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って単結晶を成長させる第1の工程と、単結晶の温度を、第1の温度帯よりも高い第2の温度帯に昇温し、第2の温度帯で保持しながら単結晶をさらに成長させる第2の工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素(SiC)インゴットの製造方法に関する。
シリコン(Si)に代わる次世代パワーデバイス用素材としてSiCが注目されている。現在、SiC単結晶の多くは昇華法(「改良Lely法」とも呼ばれる)によって製造されている〔たとえば米国特許第6780243号明細書(特許文献1)参照〕。
米国特許第6780243号明細書
昇華法は、原料を高温下で昇華させ、昇華した原料を種結晶上に再析出させる結晶成長方法であり、既にSiC単結晶(インゴット)の量産技術として確立されつつある。SiCには多種のポリタイプ(結晶多形)が存在することが知られている。これらのうち4H−SiCがパワーデバイス用素材として有力である。
しかし昇華法によって4H−SiCインゴットを製造する場合、成長の初期段階で異種ポリタイプが発生し易い。さらに成長中の結晶温度(成長温度)が高い場合にも異種ポリタイプが発生し易いことが分かっている。こうした異種ポリタイプの混入は結晶品質を著しく劣化させることから、各種対策が提案されている。
特許文献1には、成長開始から結晶温度および原料温度を終始一定に制御する製造方法が開示されている。この方法によれば成長初期から一定の結晶品質を保ったSiCインゴットが製造できるとされている。
しかしながら当該方法には未だ改善の余地が残されている。すなわち成長初期から異種ポリタイプの発生を抑制しようとすれば、初期のみならず成長中においても結晶温度および原料温度を低く維持せざるを得ず、結晶成長速度が非常に遅く著しく量産性を欠く。こうした問題は昨今のインゴットの大口径化に伴って深刻さの度合いを深めている。
以上の課題に鑑み、SiCインゴットの製造において異種ポリタイプの混入を抑制しつつ結晶成長速度を高速化することを目的とする。
本発明の一態様に係る炭化珪素インゴットの製造方法は、原料および種結晶を準備する工程と、該原料を昇華させ、昇華した該原料を該種結晶上に再析出させて単結晶を成長させる結晶成長工程と、を備え、該原料と成長中の該単結晶との温度差は、200℃以下であり、当該結晶成長工程は、1.33kPa以上2.67kPa以下の圧力条件で、該単結晶の温度を第1の温度帯で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って該単結晶を成長させる第1の工程と、該単結晶の温度を、該第1の温度帯よりも高い第2の温度帯に昇温し、該第2の温度帯で保持しながら該単結晶をさらに成長させる第2の工程と、を含む。
上記によれば、異種ポリタイプの混入を抑制しつつ結晶成長速度を高速化することができる。
本発明の一態様に係る結晶成長工程における温度条件および圧力条件の一例を示すグラフである。 本発明の一態様に係る結晶成長工程における原料と成長中の単結晶との温度差の推移の一例を示すグラフである。 本発明の一態様に係る炭化珪素インゴットの製造方法の概略を示すフローチャートである。 本発明の一態様に係る結晶成長工程を図解する模式的な断面図である。 本発明の一態様に係る炭化珪素インゴットの構成の一例を示す模式的な断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。また本明細書の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常”−”(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書では数字の前に負の符号を付すことによって結晶学上の負の指数を表現している。
本発明者は、異種ポリタイプ混入の抑制と結晶成長速度とを両立するためには、成長面が安定なファセット面で覆われた状態を迅速につくり出せばよいとの着想を得、該着想に基づき各種検証を行ったところ、ごく短時間でファセット面が成長面に表出する特定の条件を見出した。さらに驚くべきことに、この条件下で成長面がファセット面で覆われた後は、成長速度を高速化しても異種ポリタイプの発生が極めて少ないことを見出し、本発明の一態様を完成させるに至った。
すなわち本発明の一態様に係る炭化珪素インゴットの製造方法は、
〔1〕原料および種結晶を準備する工程と、該原料を昇華させ、昇華した該原料を該種結晶上に再析出させて単結晶を成長させる結晶成長工程と、を備え、該原料と成長中の該単結晶との温度差は、200℃以下であり、当該結晶成長工程は、1.33kPa以上2.67kPa以下の圧力条件で、該単結晶の温度を第1の温度帯で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って該単結晶を成長させる第1の工程と、該単結晶の温度を、該第1の温度帯よりも高い第2の温度帯に昇温し、該第2の温度帯で保持しながら該単結晶をさらに成長させる第2の工程と、を含む。
上記製造方法によれば、異種ポリタイプの混入を抑制しかつ結晶成長速度を高速化することができる。本発明者の研究によれば、異種ポリタイプの混入を抑制するためには、原料と成長中の単結晶との温度差を低く維持することが重要である。そのため上記製造方法では該温度差を200℃以下に規制している。200℃を超えると異種ポリタイプの発生を十分抑制できないからである。ここで原料および単結晶の温度は、結晶成長に使用する容器(典型的にグラファイト製の坩堝)の外壁温度を放射温度計で測定して推定するものとする。
第1の工程の如く、原料と成長中の単結晶との温度差を200℃以下に制御しながら、1.33kPa以上2.67kPa以下(10Torr以上20Torr以下)の圧力条件で単結晶の温度を第1の温度帯で保持して単結晶を成長させることにより、10分間という短時間で単結晶の成長面をファセット面〔たとえば{0001}ファセット面〕で覆わせることができる。これにより単結晶の外観は結晶成長に理想的な凸形となる。ただし第1の工程の成長時間は10時間以下に制限される。10時間を超えても結晶品質がそれ以上向上することはなく、そればかりか平均成長速度を低下させることとなるからである。
次いで上記製造方法では、原料と成長中の単結晶との温度差を200℃以下に維持したまま、単結晶の温度を第1の温度帯から第2の温度帯に昇温し、第2の温度帯で保持することにより結晶成長を加速させる。これにより第1の工程から引き続いて異種ポリタイプの混入を抑制しつつ平均成長速度を高速化することができる。
ここで本明細書における「温度帯(第1の温度帯および第2の温度帯)」とは、目的温度(一定値)からの誤差が5℃以内となるように制御された温度範囲を示すものとする。
〔2〕第1の温度帯と第2の温度帯との温度差は、20℃以上300℃以下であることが好ましい。より確実に異種ポリタイプの混入を抑制し、平均成長速度を高速化できるからである。ここで「第1の温度帯と第2の温度帯との温度差」とは、第1の温度帯の最高温度と第2の温度帯の最低温度との差を示すものとする。
〔3〕第1の温度帯は、2000℃以上2200℃以下であり、第2の温度帯は、2020℃以上2500℃以下であることが好ましい。異種ポリタイプの混入を更に低減しかつ平均成長速度を高速化できるからである。
〔4〕第2の工程における原料と単結晶との温度差は、第1の工程における原料と単結晶との温度差よりも大きいことが好ましい。平均成長速度をいっそう高速化できるからである。
〔5〕種結晶の{0001}面からのオフ角度は、1°以上10°以下であることが好ましい。基底面転位等の結晶欠陥の発生を防止できるからである。
〔6〕単結晶の直径は、100mm以上であることが好ましい。異種ポリタイプの混入はSiCインゴットの直径が大きくなるほど起こり易い。こうした理由から、従来100mm以上(たとえば4インチ以上)のSiCインゴットは、低コストでの量産が困難であった。しかし上記製造方法によれば、直径が100mm以上のSiCインゴットであっても、商業的に成立し得る品質および平均成長速度で製造することができる。これにより一枚のウェーハから取り出せるチップの個数が増加し、SiC半導体装置の生産コストを削減することができる。
〔7〕単結晶の直径は、150mm以上であることが好ましい。上記製造方法によれば、直径が150mm以上(たとえば6インチ以上)のSiCインゴットをも製造可能である。これによりSiC半導体装置の生産コストを大幅に削減することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」とも記す)について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<炭化珪素インゴットの製造方法>
図3は本実施形態の製造方法の概略を示すフローチャートである。図3を参照して当該製造方法は、原料準備工程(S100)と結晶成長工程(S200)とを備えており、結晶成長工程(S200)は、第1の工程(S201)と第2の工程(S202)とを含む。当該製造方法はこれらの工程を備える限り、その他の工程を備えていても差し支えない。たとえば結晶成長工程の後にSiCインゴットの側面を研削する工程等を備えることもできる。以下、各工程について説明する。
(原料準備工程:S100)
原料準備工程(S100)では、原料2(図4参照)および種結晶20(図4参照)が準備される。原料2には、従来公知のSiC原料を使用できる。たとえばSiC多結晶またはSiC単結晶を粉砕した粉末あるいはSiC焼結体等を使用できる。
種結晶20は、たとえばポリタイプ4HのSiC(4H−SiC)インゴットを所定の厚さにスライスして準備すればよい。スライスには、たとえばワイヤーソー等を使用できる。スライス後、種結晶20をダイヤモンドスラリー等で研磨して、その表面を平坦化してもよい。
このとき種結晶20の{0001}面からのオフ角度が1°以上10°以下となるように準備することが望ましい。すなわち種結晶20の主面が、(0001)面〔いわゆるSi面〕に対して1°以上10°以下傾斜するようにスライスするか、または(000−1)面〔いわゆるC面〕に対して1°以上10°以下傾斜するようにスライスすることが望ましい。基底面転位等の結晶欠陥の発生を防止するためである。こうした欠陥の発生をいっそう低減するために、当該オフ角度はより好ましくは1°以上8°以下であり、特に好ましくは2°以上8°以下である。その際オフ方向は、たとえば<11−20>方向である。
種結晶20の直径は好ましくは100mm以上であり、より好ましくは150mm以上である。直径が100mm以上、さらには150mm以上の単結晶を成長させるためである。
(結晶成長工程:S200)
結晶成長工程(S200)では、昇華法によりSiC単結晶(SiCインゴット)を成長させる。結晶成長工程(S200)は、第1の工程(S201)と第2の工程(S202)とを含む。結晶成長工程は、これらの工程を含む限り、その他の工程を含んでいても差し支えない。たとえば第2の工程の後に、第2の温度帯よりも更に高い第3の温度帯に昇温し、該第3の温度帯で保持しながら単結晶を成長させる第3の工程を含んでいてもよい。
先ず結晶成長工程の概要を説明する。図4は結晶成長工程を図解する模式的な断面図である。図4を参照して、たとえばグラファイト製である坩堝50の底部に原料2が配置される。坩堝50は、典型的には坩堝本体と蓋とから構成される。種結晶20は、原料2と離間して坩堝50の上部に配置される。具体的には接着剤を使用して、種結晶20を坩堝50の蓋に接着すればよい。接着剤には、たとえば日清紡ケミカル株式会社製の「ST−201」等を使用できる。
坩堝50内の高温環境は、坩堝50の周囲に配置された断熱材52およびコイル54によって制御される。すなわちコイル54に高周波電流を流すことにより坩堝50を誘導加熱し、断熱材52によって高温環境を維持する。加熱によって原料2は図4中の矢印の方向に昇華し、原料2よりも温度の低い種結晶20上で再結晶化して単結晶200(SiCインゴット)となって成長する。結晶成長は、坩堝50内にアルゴン(Ar)ガスを供給することにより、Ar雰囲気中で実行される。このときArとともに適量の窒素(N2)ガスを供給すれば、窒素がドーパントとなってSiCインゴットにn型の導電型を付与できる。
結晶成長工程では、原料2および成長中の単結晶200の温度を制御する。すなわち温度計を使用して、これらの温度を監視しながらコイル54に流れる高周波電流を調節する。第1の温度計60および第2の温度計62は、たとえば放射温度計である。第1の温度計60は、坩堝50の底部外壁の中央(原料2の直下)に位置する第1の計測部60aの温度を計測、監視する。第1の計測部60aの温度は、原料2の温度とみなすことができる。第2の温度計62は、坩堝50の上部外壁の中央(種結晶20の直上)に位置する第2の計測部62aの温度を計測、監視する。第2の計測部62aの温度は、単結晶200および種結晶20の温度とみなすことができる。以下、図1および図2を参照して結晶成長工程に含まれる操作を詳しく説明する。
(第1の工程:S201)
図1は結晶成長工程における温度条件および圧力条件の一例を示すグラフである。図1中、左側の縦軸は単結晶200および種結晶20の温度を示し、右側の縦軸は坩堝50内の圧力を示し、横軸は時間を示している。また図1中の実線は温度の推移を示し、一点鎖線は圧力の推移を示している。図1を参照して第1の工程では、先ず種結晶20の温度(第2の計測部62aの温度)を第1の温度帯に含まれる第1の温度T1まで昇温する。次いで種結晶20の温度が第1の温度T1に達した時点t1後、時点t2から坩堝50内の圧力Pを1.33kPa以上2.67kPa以下となるまで減圧する。
坩堝50内の圧力Pが2.67kPa以下となる時点t3後、種結晶20上において結晶成長が始まる。第1の工程では、種結晶20および単結晶200の温度(第1の温度T1)を第1の温度帯内に入った状態で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って単結晶200を成長させる。これより単結晶200の成長面はファセット面に覆われた状態となり、この後における異種ポリタイプの混入確率が顕著に低減される。ここで圧力Pの下限値を1.33kPa(10Torr)としたのは、設備負荷を考慮したからであり、1.33kPa未満の減圧環境を実現可能な設備であれば、これ未満に減圧しても構わない。
図2は結晶成長工程における原料と成長中の単結晶との温度差の推移の一例を示すグラフである。図2の縦軸は、原料2(第1の計測部60a)の温度と単結晶200(第2の計測部62a)との温度差を示し、横軸は時間を示している。図2を参照して、第1の工程での原料2と成長中の単結晶200との温度差ΔT1は、200℃以下に制御される。異種ポリタイプの混入を抑制するとの観点から、温度差ΔT1は小さいほど好ましい。しかし温度差がないと再結晶化自体が起こらないことから、温度差ΔT1は少なくとも0℃を超えることを要する。温度差ΔT1は好ましくは20℃以上180℃以下であり、より好ましくは50℃以上150℃以下である。かかる範囲であれば成長速度と結晶品質とを高度に両立できるからである。
第1の温度帯は、好ましくは2000℃以上2200℃以下に設定される。第1の工程において単結晶200の温度が2000℃未満であると効率的に結晶成長が進行しない場合があり、2200℃を超えると成長面をファセット面で覆うことが困難となる場合もあるからである。異種ポリタイプの混入を抑制しつつ、より効率的に結晶成長を進行させるとの観点から、第1の温度帯は2020℃以上2180℃以下がより好ましく、2050℃以上2150℃以下が特に好ましい。
第1の温度帯での保持時間(時点t3と時点t4との間の時間)は、10分間以上10時間以下である限り特に制限されるものではないが、平均成長速度をより高速化するとの観点から、当該時間は、好ましくは10分間以上8時間以下であり、より好ましくは10分間以上5時間以下であり、特に好ましくは10分間以上2時間以下である。
(第2の工程:S201)
第1の工程の後、第2の工程が実行される。図1を参照して第2の工程では、時点t4の後、第1の温度T1よりも高い第2の温度帯に含まれる第2の温度T2に昇温し、第2の温度T2を第2の温度帯内に入った状態で保持しながら、単結晶200をさらに成長させる。このとき圧力Pは第1の工程から引き続き1.33kPa以上2.67kPa以下に保持される。これにより結晶成長が促進され、平均成長速度を高速化できる。本実施形態では第1の工程を経ることにより単結晶200の成長面がファセット面で覆われているため、結晶成長を高速化しても異種ポリタイプが混入する確率が極めて低い。
第1の温度帯と第2の温度帯との温度差は、20℃以上300℃以下が好ましい。20℃未満であると結晶成長が十分促進できず、300℃を超えると異種ポリタイプが僅かに混入する可能性もあるからである。異種ポリタイプの混入を抑制しつつ、より結晶成長を促進させるとの観点から、第1の温度帯と第2の温度帯との温度差は、より好ましくは50℃以上300℃以下であり、更に好ましくは100℃以上300℃以下であり、特に好ましくは200℃以上300℃以下である。
図2を参照して第2の工程でも原料2と成長中の単結晶200との温度差ΔT2は200℃以下に制御されるが、温度差ΔT2は温度差ΔT1よりも大きくしてもよい。これにより更に結晶成長が促進され、平均成長速度を高速化できるからである。温度差ΔT2は好ましくは40℃以上200℃以下であり、より好ましくは100℃以上200℃以下である。かかる範囲であれば成長速度と結晶品質とを高度に両立できるからである。
第2の温度帯は、好ましくは2020℃以上2500℃以下に設定される。第2の工程において単結晶200の温度が2020℃未満であると結晶成長を十分促進できない場合があり、2500℃を超えると異種ポリタイプが僅かに混入する可能性もあるからである。異種ポリタイプの混入を抑制しつつ、より結晶成長を促進させるとの観点から、第2の温度帯は2040℃以上2480℃以下がより好ましく、2070℃以上2450℃以下が特に好ましい。
第2の工程における成長時間(時点t5と時点t6との間の時間)は、特に制限されない。しかしSiCインゴットの製造コストを可能な限り削減するとの観点から、単結晶200の平均成長速度が0.2mm/hourを超えるように第2の工程の成長時間を設定することが望ましい。ここで「平均成長速度」は最終的に得られたSiCインゴットの成長方向の長さ(図4の縦方向の長さ)を結晶成長に要した総時間で除することにより算出できる。平均成長速度は速いほど製造コストを削減できる。よって第2の工程における成長時間は、より望ましくは平均成長速度が0.3mm/hour以上となるように設定され、特に望ましくは平均成長速度が0.45mm/hour以上となるように設定される。本実施形態によれば、異種ポリタイプの混入を抑制しながら、こうした範囲の平均成長速度を実現できるからである。
<炭化珪素インゴット>
次に以上の工程を経て製造された炭化珪素インゴット(単結晶200)について説明する。以下の特徴を有する炭化珪素インゴットは上記製造方法によって製造されたものと推定することができる。
図5は上記製造方法で得られた単結晶200を種結晶20とともに成長方向と平行な面で切断したときの切断面の様子を示す模式図である。図5を参照して単結晶200は、第1の工程での結晶成長に対応する第1の成長部201と、第2の工程での結晶成長に対応する第2の成長部202とを含む。
第1の成長部201と第2の成長部202とでは、成長温度の違いに基づきドーパント濃度が異なっている。ドーパント濃度(典型的には窒素濃度)の違いは色味あるいは色の濃さとなって現れることから、第1の成長部201と第2の成長部202との境界は光学顕微鏡を使用すれば十分判別でき、ドーパントの種類および濃度によっては目視で判別できる場合もある。
上記製造方法では、第1の工程において単結晶の成長面がファセット面で覆われるまで成長させているため、第1の成長部201と第2の成長部202との界面にはファセット面が表出している。たとえば、種結晶20が{0001}面に対して4°のオフ角度を有する場合、当該界面も種結晶20の表面に対しておよそ4°傾斜し、かつ当該界面には{0001}ファセット面が表出している。
第1の成長部201の厚さh(第1の成長部201の先端と種結晶20との最短距離)は、第1の工程での成長速度および成長時間を反映している。上記製造方法が使用されていれば厚さhは、少なくとも0.01mm以上1.00mm以下である。
単結晶200の直径dは大きいほど、半導体チップの取り数を多くできるため望ましい。本実施形態によれば、直径dは100mm以上とすることが可能であり、さらには150mm以上とすることも可能である。
以下、実施例を用いて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
〔炭化珪素インゴットの製造〕
表1に示すように各種製造条件を使用して、各製造条件につきSiCインゴットを5個ずつ製造し、平均成長速度と異種ポリタイプの発生率とを評価した。表1中、製造条件A1およびA2が実施例に相当し、製造条件B1およびB2が比較例に相当する。
Figure 2015224169
<製造条件A1>
(原料準備工程:S100)
原料2としてSiC多結晶を粉砕した粉末を準備した。また種結晶20として直径が100mmであり、(0001)面からのオフ角度が4°である4H−SiC基板を準備した。
(結晶成長工程:S200)
図4を参照して坩堝本体と蓋とからなるグラファイト製の坩堝50を準備した。坩堝本体の底部に原料2を収容し、カーボン接着剤を使用して蓋に種結晶20を接着し、さらに坩堝本体と蓋とを接合した。
(第1の工程:S201)
第1の温度計60および第2の温度計62として放射温度計を準備した。第1の温度計60および第2の温度計62によって、第1の計測部60a(原料2)および第2の計測部62a(種結晶20)の温度を監視しながら、コイル54に高周波電流を流して、各計測部の温度が表1に示す温度になるように坩堝50を誘導加熱した。
次いで坩堝50内の圧力Pを2kPaまで減圧し、単結晶200の温度(第1の温度T1)を第1の温度帯内に入った状態で保持しながら、1時間に亘って単結晶200を成長させた。このとき坩堝50の内部にはArガスとN2ガス(ドーパント)を供給した。
(第2の工程:S202)
次いで第1の工程と同じく第1の計測部60aおよび第2の計測部62aの温度を監視しながら、各計測部の温度が表1に示す温度になるように坩堝50を誘導加熱し、単結晶200の温度を第1の温度T1よりも高い第2の温度T2に昇温した。次いで単結晶200の温度(第2の温度T2)を第2の温度帯内に入った状態で保持しながら、2時間に亘って単結晶200をさらに成長させた。こうして得られた単結晶200の側面を研削して、直径が100mmである単結晶(SiCインゴット)を得た。
<製造条件A2、B1およびB2>
表1に示すように、T1、T2およびΔT2を変更することを除いては製造条件A1と同様にしてSiCインゴットを得た。
〔評価〕
SiCインゴットの成長方向の長さを結晶成長に要した総時間で除することにより平均成長速度を算出した。またSiCインゴットを成長方向と平行な面で切断し、切断面を目視で観察して異種ポリタイプの発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
表1中「異種ポリタイプ発生率」の欄において、たとえば「1/5」とは、5個のSiCインゴットのうち1個のSiCインゴットで異種ポリタイプの発生が認められたことを示している。
〔結果と考察〕
表1より、原料2と成長中の単結晶200との温度差は、200℃以下であり、結晶成長工程(S200)は、1.33kPa以上2.67kPa以下の圧力条件で、単結晶200の温度を第1の温度帯で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って単結晶200を成長させる第1の工程(S201)と、単結晶200の温度を、第1の温度帯よりも高い第2の温度帯に昇温し、第2の温度帯で保持しながら単結晶200をさらに成長させる第2の工程(S202)と、を含む、製造条件A1およびA2は、かかる条件を満たさない製造条件B1およびB2に比し異種ポリタイプの発生率が低く、かつ平均成長速度が速いことが分かる。
また製造条件A1とA2とを比較すると、第2の工程(S202)における原料2と単結晶200との温度差ΔT2を、第1の工程(S201)における原料2と単結晶200との温度差ΔT1よりも大きくすることにより、平均成長速度をいっそう高速化できることが分かる。
以上、実施形態および実施例について説明したが、今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 原料
20 種結晶
50 坩堝
52 断熱材
54 コイル
60 第1の温度計
60a 第1の計測部
62 第2の温度計
62a 第2の計測部
200 単結晶(SiCインゴット)
201 第1の成長部
202 第2の成長部
T1 第1の温度
T2 第2の温度
ΔT1,ΔT2 温度差
t1,t2,t3,t4,t5,t6 時点
P 圧力
d 直径
h 厚さ

Claims (7)

  1. 原料および種結晶を準備する工程と、
    前記原料を昇華させ、昇華した前記原料を前記種結晶上に再析出させて単結晶を成長させる結晶成長工程と、を備え、
    前記原料と成長中の前記単結晶との温度差は、200℃以下であり、
    前記結晶成長工程は、
    1.33kPa以上2.67kPa以下の圧力条件で、前記単結晶の温度を第1の温度帯で保持しながら、10分間以上10時間以下に亘って前記単結晶を成長させる第1の工程と、
    前記単結晶の温度を、前記第1の温度帯よりも高い第2の温度帯に昇温し、前記第2の温度帯で保持しながら前記単結晶をさらに成長させる第2の工程と、を含む、炭化珪素インゴットの製造方法。
  2. 前記第1の温度帯と前記第2の温度帯との温度差は、20℃以上300℃以下である、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
  3. 前記第1の温度帯は、2000℃以上2200℃以下であり、
    前記第2の温度帯は、2020℃以上2500℃以下である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
  4. 前記第2の工程における前記原料と前記単結晶との温度差は、前記第1の工程における前記原料と前記単結晶との温度差よりも大きい、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
  5. 前記種結晶の{0001}面からのオフ角度は、1°以上10°以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
  6. 前記単結晶の直径は、100mm以上である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
  7. 前記単結晶の直径は、150mm以上である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
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