JP4876361B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力伝達装置に係り、詳しくは、スタンバイ四輪駆動車に設ける際に好適な動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
四輪駆動車にはスタンバイ四輪駆動車があり、例えば前輪だけがエンジンによって常に駆動可能になっているものがある。このスタンバイ四輪駆動車は、エンジンで発生する駆動トルクが、カップリングを備えた動力伝達装置により、前輪と後輪との回転速度差に応じて後輪側に伝達されて四輪駆動状態になるように構成されている。
【0003】
また、この動力伝達装置にはワンウェイクラッチが設けられている。このため、前輪に対する制動力が後輪に伝達されないようになっており、ABSやVSC(Vehicle Stability Control)などのブレーキ制御システムが支障なく作動できるようになっている。
【0004】
しかし、この動力伝達装置では、後退時にはワンウェイクラッチが常に切り離された状態であるため、後輪に駆動トルクが伝達されない。このため、例えば後退登坂が困難という問題がある。
【0005】
そこで、上記の問題に対応した動力伝達装置として、例えば特開2000−118253号公報で開示されるものがある。
図5に示すように、特開2000−118253号公報の動力伝達装置81は、エンジンによって回転駆動される入力軸82と、出力軸83と一体回転するポンプケーシング84との間に、オイルポンプ85からのオイルの吐出圧によって接続可能な摩擦クラッチ86が配置されている。
【0006】
車両が前進走行時及び後退走行時において、前輪と後輪の回転速度がほぼ同じ通常走行状態では、オイルポンプ85のポンプ仕事が小さいため、動力伝達装置81は非接続状態になって後輪にはエンジンの駆動トルクが伝達されず、車両は前輪駆動のみの二輪駆動状態になる。また、前進走行時及び後退走行時において、雪道などで前輪が空転して前輪の回転速度が後輪の回転速度より大きくなった場合は、動力伝達装置81が接続状態になって後輪にエンジンの駆動トルクが伝達され、車両は四輪駆動状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、動力伝達装置81では、オイルポンプ85と摩擦クラッチ86とが軸方向に並ぶように配置されているため、ポンプケーシング84が軸方向に長くなっている。また、動力伝達装置81には、オイルポンプ85にオイルを供給するためにオイルを溜めるオイルチャンバ87が、ポンプケーシング84に対して軸方向外側に露出しているため、軸方向にさらに長くなっている。また、オイルチャンバ87には、パイプ88が外側に延びるように形成され、パイプ88は、さらに外側に設けられた図示しないオイルタンクに接続されている。オイルチャンバ87内に供給されるオイルはこのオイルタンクからパイプ88を介して供給されるようになっているため、動力伝達装置81はオイルタンクの分、さらに大きくなっている。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両の前進及び後退状態で入力軸の回転速度が出力軸の回転速度より大きなときに駆動力を伝達可能で、しかも構成をコンパクトにできる動力伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、駆動源の駆動力によって回転する入力軸と一体回転可能な入力部材と、前記入力部材の径方向内側に位置して前記入力部材に対して相対回転可能な中間部材と、前記入力部材と前記中間部材との間に設けられたカップリングと、前記中間部材に対して径方向内側に位置して、前記中間部材と出力軸との間に設けられた2ウェイクラッチとを備え、前記2ウェイクラッチは、前記中間部材の回転速度が前記出力軸の回転速度より大きいとき、それら中間部材と出力軸との回転速度差に基づいて接続状態となるものであり、前記2ウェイクラッチの接続を通じて、前記入力軸の回転速度が前記出力軸の回転速度より大きなときに、前記入力軸から前記出力軸へ駆動力を伝達可能なことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、入力軸の回転速度と出力軸の回転速度とがほぼ同じ状態では、2ウェイクラッチが非接続状態になって出力軸には駆動源の駆動力が伝達されない。また、入力軸の回転速度が出力軸の回転速度より大きくなると、2ウェイクラッチが接続され、カップリングを介して回転速度差に応じた駆動力が入力軸から出力軸へ伝達される。
【0011】
例えば、前輪がエンジンによって常に駆動され、エンジンと後輪との間に動力伝達装置が配置された場合、車両が前進走行時及び後退走行時において、前輪と後輪の回転速度がほぼ同じ通常走行状態では、2ウェイクラッチが非接続状態になって後輪には駆動源の駆動力が伝達されず、車両は前輪駆動のみの二輪駆動状態になる。また、前進走行時及び後退走行時において、雪道などで前輪が空転して前輪の回転速度が後輪の回転速度より大きくなった場合は、2ウェイクラッチが接続状態になり、カップリングを介して、回転速度差に応じた駆動力が後輪に伝達され、車両は四輪駆動状態になる。このため、前進時だけでなく、後退時においても四輪駆動状態になるため、例えば後退登反にも適応できる。
【0012】
また、2ウェイクラッチが、カップリングに対して径方向内側に設けられているため、動力伝達装置は軸方向に大きくならず、コンパクトになる。従って、車両の前進及び後退状態で入力軸の回転速度が出力軸の回転速度より大きなときに駆動力を伝達可能で、しかも構成をコンパクトにできる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記カップリングはビスカスカップリングであることを特徴とする。この発明によれば、コンパクトなカップリングを比較的容易に形成できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記2ウェイクラッチは、スイッチングプレートを備えていることを特徴とする。この発明によれば、2ウェイクラッチを比較的迅速に切り換えできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をスタンバイ四輪駆動車の動力伝達装置に具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0016】
図2は車両の動力伝達系の模式構成図を示す。
図2に示すように、車両11は、車体前部に駆動源としてのエンジン12が設けられている。エンジン12で発生する動力は、変速機13を介して主駆動輪としての前輪15に伝達されるように構成されている。また、エンジン12の動力は、トランスファ装置16から延びる入力軸としてのプロペラシャフト17から、動力伝達装置18を介して、所定条件下でリヤデファレンシャル装置19に伝達可能に構成されている。リヤデファレンシャル装置19に伝えられた動力は、補助駆動輪としての後輪20に伝達されるように構成されている。
【0017】
図1は動力伝達装置の一部省略模式断面図を示す。
図1に示すように、動力伝達装置18は、筒状の第1ハウジング22が、リヤデファレンシャル装置19が取り付けられている図示しないリヤサスペンションメンバに固定されている。また、第1ハウジング22のリヤ側を覆う第2ハウジング23は、リヤデファレンシャル装置19に固定、又はリヤデファレンシャル装置19と一体構成されている。
【0018】
第1ハウジング22内には、入力部材としての入力回転筒25が回転可能に支持されている。入力回転筒25は略有底筒状に形成されており、底部がフロント側に位置するようにして第1ハウジング22内に収容されている。入力回転筒25は、底部近くに取り付けられたベアリング26により、第1ハウジング22に対して回転可能になっている。
【0019】
入力回転筒25の底部には、中央部の外側に嵌合筒部27が形成されている。嵌合筒部27にはプロペラシャフト17がスプライン結合され、入力回転筒25がプロペラシャフト17と一体回転可能になっている。入力回転筒25は、プロペラシャフト17を介して前輪15と連動して回転するようになっている。
【0020】
入力回転筒25の径方向内側には、中間部材としての筒状の第1インナーハブ30が配置されている。第1インナーハブ30は、フロント側とリヤ側とに取り付けられた軸受32,33を介して、入力回転筒25に対して回転可能になっている。
【0021】
入力回転筒25は、第1インナーハブ30と対向する部分が大径部になっている。入力回転筒25の大径部と第1インナーハブ30との間には、カップリングとしてのビスカスカップリング40が形成されている。大径部と第1インナーハブ30とによって囲まれる空間は、作動室41になっている。作動室41内において、大径部の内周面には、アウタプレート42がスプライン結合されている。また、作動室41内において、第1インナーハブ30の外周面には、リング状のインナプレート43がスプライン結合されている。アウタプレート42とインナプレート43とは、互いに向かい合うように交互に配置されている。なお、図1では、アウタプレート42及びインナプレート43の図示を一部省略している。
【0022】
作動室41内には、高粘度の粘性流体(この実施形態では、シリコンオイル)が充填されている。作動室41を液密に保つように、大径部と第1インナーハブ30との間には、オイルシール44,45が取り付けられている。
【0023】
第1インナーハブ30の径方向内側には、筒状の第2インナーハブ50が配置されている。第2インナーハブ50は、フロント側に取り付けられたベアリング51を介して、第1インナーハブ30に対して回転可能に支持されている。第2インナーハブ50は、軸方向長さが第1ハウジング22より長く形成されており、フロント側で第1インナーハブ30と対向するとともに、リヤ側で第1インナーハブ30より突出している。
【0024】
第2インナーハブ50内には、中央からリヤ側の部分に渡って、出力軸53がスプライン結合されている。出力軸53は第2インナーハブ50と一体回転可能になっており、プロペラシャフト17と同軸上に延びるように配置されている。出力軸53は、リヤデファレンシャル装置19に接続されており、リヤデファレンシャル装置19を介して後輪20と連動して回転するように形成されている。
【0025】
第1インナーハブ30と第2インナーハブ50との間には、2ウェイクラッチ55が形成されている。2ウェイクラッチ55は、スイッチングプレート方式であって、特開平9−25959号公報で開示されたものと同様の構成になっている。
【0026】
図3は2ウェイクラッチの模式部分断面図を示す。
図1及び図3に示すように、第1インナーハブ30の内周面には、略筒状のアウタリテーナ61が第1インナーハブ30と一体に形成されている。アウタリテーナ61には、厚さ方向に貫通するポケット62が、等間隔で複数個形成されている。
【0027】
第2インナーハブ50の外側には、略筒状のインナリテーナ63が配置されている。インナリテーナ63は、第2インナーハブ50とほぼ同じ長さに形成されている。インナリテーナ63は、入力回転筒25のリヤ側端部付近と対向する位置に取り付けられた軸受63aを介して、入力回転筒25に対して相対回転可能になっている。また、入力回転筒25とインナリテーナ63との間には、軸受63aよりリヤ側の部分にオイルシール63bが取り付けられている。また、インナリテーナ63は、リヤ側端部において径方向内側に設けられたベアリング64を介して、第2インナーハブ50に対して相対回転可能になっている。
【0028】
インナリテーナ63は、アウタリテーナ61のポケット62と対向する部分にそれぞれポケット65が形成されている。各ポケット65の周方向長さは、各ポケット62の周方向長さより長く形成されている。
【0029】
ポケット62及びポケット65内には、スプラグ66が配置されている。各スプラグ66は、断面形状が略ひょうたん形状に形成されている。スプラグ66は、外側に凸になっている円弧面のうち、第1インナーハブ30と対向する側が第1カム面67になり、第2インナーハブ50と対向する側が第2カム面68になっている。スプラグ66の断面形状は、断面の中心を通り、第1及び第2カム面67,68の中心を通る線Lに対して対称になるように形成されている。
【0030】
インナリテーナ63には、ポケット65に対向する面の第2インナーハブ50側の端部に、それぞれ板ばね69が取り付けられている。板ばね69は斜めに延びて、スプラグ66の凹んだ箇所に当接するように配置されている。
【0031】
図1に示すように、インナリテーナ63には、入力回転筒25よりリヤ側の所定位置に、フランジ71が形成されている。フランジ71のリヤ側には、略リング状のスイッチングプレート72が、インナリテーナ63に対して回転可能に嵌合されている。インナリテーナ63には、スイッチングプレート72よりリヤ側の位置に、スイッチングプレート72をフランジ71に圧接するように板ばね73が配置されている。スイッチングプレート72は、固定ピン74により、第1ハウジング22のリヤ側端部のフランジに固定されて回り止めされている。
【0032】
上記のように、動力伝達装置18は、ビスカスカップリング40においてインナーハブが二重構造化されて径方向外側の第1インナーハブ30と径方向内側の第2インナーハブ50とが設けられ、第1及び第2インナーハブ30,50の間に2ウェイクラッチ55が組み込まれた構成になっている。即ち、ビスカスカップリング40の径方向内側に、2ウェイクラッチ55が組み込まれた構成になっている。
【0033】
この実施形態では、車両が前進走行するように前輪15及び後輪20が回転する場合には、第1及び第2インナーハブ30,50が図3中、時計方向に回転するように構成されている。逆に、車両が後退走行するように前輪15及び後輪20が回転する場合には、第1及び第2インナーハブ30,50が図3中、反時計方向に回転する。
【0034】
次に、上記のように構成された動力伝達装置の作用を説明する。
車両11が前進走行をしている状態で、前輪15及び後輪20がスリップなどしていない状態では、前輪15と後輪20の回転速度はほぼ同じであり、入力回転筒25と第1インナーハブ30とは同じ回転速度で図3中、時計方向に回転する。このため、スプラグ66が第1インナーハブ30の径方向に延びるように立った状態であることにより、第2インナーハブ50と第1インナーハブ30とが非接続状態になって、プロペラシャフト17から出力軸53に駆動トルクが伝達されなくなる。従って、車両11は二輪駆動状態になる。
【0035】
また、例えば雪道を走行中に前輪15がスリップした場合、前輪15の回転速度が後輪20の回転速度より大きくなり、プロペラシャフト17の回転速度が出力軸53の回転速度より大きくなる。このため、第1インナーハブ30に対して、出力軸53と一体回転する第2インナーハブ50の回転速度が小さくなる。また、第1ハウジング22に固定ピン74を介して回り止めされているスイッチングプレート72に、インナリテーナ63のフランジ71が板ばね73によって押し当てられているため、第1インナーハブ30及びアウタリテーナ61に対してインナリテーナ63の回転速度が相対的に小さくなる。
【0036】
このため、図4(a)に示すように、スプラグ66が右側に傾き、第1カム面67が第1インナーハブ30の内周面に係合するとともに、第2カム面68が第2インナーハブ50の外周面に係合する。このように、スプラグ66が傾いて第2インナーハブ50と第1インナーハブ30とが接続されることにより、第1インナーハブ30の回転速度が低下して、第2インナーハブ50の回転速度と同じになる。このため、第1インナーハブ30の回転速度と入力回転筒25の回転速度との間に差が発生する。
【0037】
この回転速度差により、ビスカスカップリング40内でシリコンオイルがせん断されて、入力回転筒25から第1インナーハブ30へ駆動トルクが伝達される。この伝達トルクが、第2インナーハブ50と接続状態の第1インナーハブ30へ伝達され、出力軸53に伝達されて後輪20に伝達される。このため、後輪20が駆動状態になり、車両11は四輪駆動状態になる。
【0038】
前輪15と後輪20の回転速度が再び同じになると、スプラグ66が第1インナーハブ30の径方向に延びるように立った状態になるため、第2インナーハブ50と第1インナーハブ30とが非接続状態になり、後輪20が非駆動状態になって車両11は再び二輪駆動状態になる。
【0039】
また、車両11が後退走行をしている状態では、前進走行状態と、回転方向が反対になること以外同様である。まず、前輪15及び後輪20がスリップなどしていない状態では、前輪15と後輪20の回転速度はほぼ同じであり、入力回転筒25と第1インナーハブ30とは同じ回転速度で図3中、反時計方向に回転する。このため、スプラグ66が立った状態で第2インナーハブ50と第1インナーハブ30とが非接続状態になり、駆動トルクが伝達されず、後輪20が非駆動状態になって車両11は二輪駆動状態になる。
【0040】
また、後退走行状態で例えば雪道を走行中に前輪15がスリップした場合、前輪15の回転速度が後輪20の回転速度より大きくなり、プロペラシャフト17の回転速度が出力軸53の回転速度より大きくなる。このため、第1インナーハブ30に対して第2インナーハブ50の回転速度が小さくなる。また、第1ハウジング22に回り止めされているスイッチングプレート72に、インナリテーナ63のフランジ71が板ばね73によって押し当てられているため、第1インナーハブ30及びアウタリテーナ61に対してインナリテーナ63の回転速度が相対的に小さくなる。
【0041】
このため、図4(b)に示すように、スプラグ66が左側に傾き、第1カム面67が第1インナーハブ30の内周面に係合するとともに、第2カム面68が第2インナーハブ50の外周面に係合する。このように第1及び第2インナーハブ30,50が接続されることにより、第1インナーハブ30の回転速度が低下して、第2インナーハブ50の回転速度と同じになり、第1インナーハブ30の回転速度と入力回転筒25の回転速度との間に差が発生する。
【0042】
この回転速度差により、ビスカスカップリング40内でシリコンオイルがせん断されて、入力回転筒25から第1インナーハブ30へ駆動トルクが伝達され、さらに、第2インナーハブ50と接続状態の第1インナーハブ30へ伝達され、次に出力軸53に伝達されて後輪20に伝達される。このため、後輪20が駆動状態になり、車両11は四輪駆動状態になる。
【0043】
前輪15と後輪20の回転速度が再び同じになると、スプラグ66が立った状態になるため、第2インナーハブ50と第1インナーハブ30とが非接続状態になり、駆動トルクが伝達されず、後輪20が非駆動状態になって車両11は再び二輪駆動状態になる。
【0044】
この実施形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)動力伝達装置18は、ビスカスカップリング40において、インナーハブを二重構造化して径方向外側の第1インナーハブ30と径方向内側の第2インナーハブ50とを設け、第1及び第2インナーハブ30,50の間に2ウェイクラッチ55を組込んだ構成になっている。従って、車両の前進及び後退状態で前輪の回転速度が後輪の回転速度より大きなときに駆動トルクを伝達可能で、例えば雪道などの低摩擦路面での後退登反にも適応でき、しかも動力伝達装置18の構成をコンパクトにできる。
【0045】
(2)カップリングはビスカスカップリング40であるため、コンパクトなカップリングを比較的容易に形成できる。
(3)2ウェイクラッチ55は、スイッチングプレート72を備えているため、接続状態と非接続状態とを比較的迅速に切り換えできる。
【0046】
なお、実施形態は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変更してもよい。
・カップリングは、ビスカスカップリングであることに限られず、例えばロータリブレードカップリングであってもよい。また、アキシャルプランジャポンプカップリングであってもよい。
【0047】
・スタンバイ四輪駆動車は、前輪が常にエンジンによって駆動可能で、後輪への駆動トルクの伝達が動力伝達装置18によって切り換えられることに限られず、例えば後輪が常にエンジンによって駆動可能で、前輪への駆動トルクの伝達が動力伝達装置18によって切り換えられるように形成してもよい。この場合、前進及び後退状態で後輪の回転速度が前輪の回転速度より大きなときに駆動トルクを伝達可能になるように構成する。
【0048】
・2ウェイクラッチは、スイッチングプレート方式に限られず、例えばいわゆるサブギヤ方式であってもよい。
・動力伝達装置18は、リヤデファレンシャル装置に取り付けられることに限られず、例えば車両にセンターデファレンシャル装置を設け、このセンターデファレンシャル装置に取り付けてもよい。
【0049】
・プロペラシャフト17は、電動モータによって駆動されてもよい。
・入力回転筒25は、底部に嵌合筒部27が形成され、この嵌合筒部27にプロペラシャフト17がスプライン結合されてプロペラシャフト17と一体回転可能に形成されることに限られない。例えば、嵌合筒部27を形成せず、入力回転筒25にプロペラシャフト17をボルト締付することにより、プロペラシャフト17と入力回転筒25とを一体回転可能に形成してもよい。
【0050】
上記各実施形態から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(1) 請求項1に記載の発明において、前記カップリングは、アキシャルプランジャポンプカップリングである。
【0051】
(2) 請求項1に記載の発明において、前記カップリングは、ロータリブレードカップリングである。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力伝達装置の一部省略模式断面図。
【図2】車両の動力伝達系の模式構成図。
【図3】2ウェイクラッチの模式部分断面図。
【図4】(a)は2ウェイクラッチの作用を示す模式部分拡大断面図、(b)は同じく作用を示す模式部分拡大断面図。
【図5】従来の動力伝達装置の模式断面図。
【符号の説明】
12…駆動源としてのエンジン、17…入力軸としてのプロペラシャフト、18…動力伝達装置、25…入力部材としての入力回転筒、30…中間部材としての第1インナーハブ、40…ビスカスカップリング、53…出力軸、55…2ウェイクラッチ、72…スイッチングプレート。
Claims (3)
- 駆動源の駆動力によって回転する入力軸と一体回転可能な入力部材と、
前記入力部材の径方向内側に位置して前記入力部材に対して相対回転可能な中間部材と、
前記入力部材と前記中間部材との間に設けられたカップリングと、
前記中間部材に対して径方向内側に位置して、前記中間部材と出力軸との間に設けられた2ウェイクラッチとを備え、
前記2ウェイクラッチは、前記中間部材の回転速度が前記出力軸の回転速度より大きいとき、それら中間部材と出力軸との回転速度差に基づいて接続状態となるものであり、
前記2ウェイクラッチの接続を通じて、前記入力軸の回転速度が前記出力軸の回転速度より大きなときに、前記入力軸から前記出力軸へ駆動力を伝達可能なことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記カップリングはビスカスカップリングであることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記2ウェイクラッチは、スイッチングプレートを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の動力伝達装置。
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