以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図1は、本発明の実施の第1の形態である自動精算システム1の全体の構成を示す図である。なお、本実施の形態では、スポーツジム施設に、本発明の自動精算システム1を適用した場合として説明する。
本実施の形態における自動精算システム1は、施設内のフロントに設置され、後述の受付処理および退場処理を実行する受付端末装置2と、施設内の売店、食堂、レンタル店、自動販売機、トレーニングルームおよびプールサイドにそれぞれ設置され、施設内での取引に関する後述の取引処理を実行する取引端末装置3と、施設内のフロント付近に設置され、後述する精算処理を実行する自動精算装置4と、これらの装置2,3,4と通信回線5を介して接続される管理装置6とを含んで構成される。
本実施の形態において、施設A,Bは複数存在し、受付端末装置2、取引端末装置3および自動精算装置4は、各施設A,Bに設置される。管理装置6は、施設A,Bとは隔離された管理センタ内に設置され、各施設A,Bに設置されたこれらの装置2,3,4との間で、通信回線5を介して、各種情報を送受信し、各装置2,3,4から送信される情報を、一括して管理する。したがって、管理装置6は、たとえば施設Aに設置される取引端末装置3から受信した取引に関する情報を、別の施設Bに設置される自動精算装置4からの送信要求に従って送信することも可能である。これによって、施設A,Bの利用者は、ある施設Aにおける取引を、別の施設Bにおいて精算することが可能となる。
本実施の形態において用いられる通信回線5は、専用回線であり、通信ケーブルには、光ファイバなどが用いられる。管理装置6はまた、金融機関の管理センタ7と、通信回線8を介して接続される。
本実施の形態における施設A,Bは、会員制のスポーツジムであり、会員である利用者には、会員証である会員カード10が予め発行される。会員である利用者は、施設に入場する際に、フロントにおいて待機するフロント従業員に、会員カード10を提示する。フロント従業員は、利用者から会員カード10を預かり、受付端末装置2に後述する受付処理を実行させた後、会員カード10と引き換えに、リストバンド11を貸与する。利用者は、施設の利用を終了すると、リストバンド11をフロント従業員に返却し、フロント従業員は、受付端末装置2に後述する退場処理を実行させた後、会員カード10を利用者に返却する。
図2は、本実施の形態において用いられる会員カード10を示す図であり、図3は、本実施の形態において用いられるリストバンド11を示す図である。本実施の形態において用いられる会員カード10は、図2に示すとおり、クレジットカードと同寸法のカード状の形態を有する非接触型のICカードである。本実施の形態において用いられるリストバンド11は、図3に示すとおり、手首に装着することで、施設の利用中に携帯可能に構成されるプラスチック製の帯状の携帯物である。このリストバンド11は、衣服および持ち物などを収納するロッカーを施錠または開錠するためのロッカーキーの機能を有する。このロッカーキーは、いわゆるトランスポンダキーであり、リストバンドの内部に非接触型のICタグが内蔵されている。本実施の形態において会員カードに用いられる非接触型のICカードおよびリストバンドに用いられる非接触型のICタグは、書換え可能な不揮発性メモリとマイクロプロセッサとを内蔵したICチップ12a,12bとアンテナコイル13a,13bとを備え、磁界を利用して外部のリーダとの間でデータを無線で送受信可能とする記録媒体である。
会員カード10のICチップ12aのメモリには、会員番号が予め記憶されている。会員番号は、会員毎に与えられる異なる6桁の数字であって、各会員を識別することができる番号である。リストバンド11のICチップ12bのメモリには、リストバンド番号が予め記憶されている。リストバンド番号は、リストバンド11毎に与えられる異なる4桁の数字であって、各リストバンド11を識別することができる番号である。このリストバンド番号は、ロッカーキーに対応するロッカーの識別情報としても用いられ得る。
図4は、図1に示す本実施の形態における自動精算システム1の全体の構成を示すブロック図であり、図5は、本実施の形態における自動精算装置4の外観斜視図である。
受付端末装置2は、図4に示すとおり、受付端末装置2に電力を供給する電源部20と、各種指示およびデータの入力を受け付ける入力部21と、各種表示画面およびメッセージを表示する表示部22と、会員カード10から会員番号を読取る会員カード用読取部23と、リストバンド11からリストバンド番号を読取るリストバンド用読取部24と、管理装置5との間で各種データの送受信を行う通信部25と、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶部26と、受付端末装置2全体を制御する制御部27とを含んで構成される。
受付端末装置2の入力部21は、キーボードおよびマウスなどの入力装置を含んで構成される。受付端末装置2の表示部22は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含んで構成され、記憶部26に記憶された各種データおよびメッセージを表示可能に構成される。
受付端末装置2の会員カード用読取部23およびリストバンド用読取部24にはそれぞれ、各ICカードまたはICタグの規格に適したリーダが用いられ、このリーダは、所定の領域内にかざされるICカードまたはICタグに対して、磁界を介して電力を供給し、ICカードまたはICタグとの間で各種信号を送受信することができる。
受付端末装置2の通信部25は、通信制御装置、データ回線終端装置などの各種通信装置を含んで構成される。
受付端末装置2の記憶部26は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスクなどの補助記憶装置とを含んで構成され、制御部27に後述する受付処理および退場処理を実行させるプログラムを予め記憶している。
受付端末装置2の制御部27は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部26に記憶されたプログラムを読出し、そのプログラムの指示に従って、後述する受付処理および退場処理を実行するように構成される。受付処理は、利用者が施設に入場する際に、施設のフロントで待機する従業員の操作に従って実行される。制御部27は、受付処理において、会員カード用読取部23によって会員カード10から会員番号を読取り、リストバンド用読取部24によってリストバンド11からリストバンド番号を読取り、読取った会員番号とリストバンド番号とを互いに関連付けて、通信部26によって管理装置6に送信するように構成される。
退場処理は、利用者が施設から退場する際に、施設のフロントで待機するフロント従業員の操作に従って実行される。制御部27は、退場処理において、リストバンド用読取部24によってリストバンド11からリストバンド番号を読取り、読取ったリストバンド番号を、通信部25によって管理装置6に送信するように構成される。
取引端末装置3は、図4に示すとおり、取引端末装置3に電力を供給する電源部30と、会員カード10から会員番号を読取る会員カード用読取部31と、リストバンド11からリストバンド番号を読取るリストバンド用読取部32と、バーコードから、商品コードを読取るバーコードリーダ33と、管理装置6との間で各種データの送受信を行う通信部34と、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶部35と、取引端末装置3全体を制御する制御部36とを含んで構成される。
取引端末装置3の会員カード用読取部31およびリストバンド用読取部32にはそれぞれ、前述の受付端末装置2の会員カード用読取部23およびリストバンド用読取部24と同様に、各ICカードまたはICタグの規格に適したリーダが用いられる。
取引端末装置3の通信部34は、通信制御装置およびデータ回線終端装置などの各種通信装置を含んで構成される。
取引端末装置3の記憶部35は、RAMなどの主記憶装置と、ROMと、フラッシュメモリなどの補助記憶装置とを含んで構成され、商品データテーブルと、制御部36に後述する取引処理を実行させるプログラムとが予め記憶されている。商品データテーブルの各レコードは、施設内での取引の対象となる商品を識別するための商品コードと、その商品コードに対応する商品名および商品価格データを含む商品データとから構成される。本実施の形態において取引の対象となる商品には、衣服および運動用品、飲食物のほか、衣服および運動用品のレンタル、有料トレーニングプログラムなどの各種サービスも含まれる。商品コードは、商品の種類毎に与えられる商品の各種類固有の番号である。
取引端末装置3の制御部36は、CPUを含んで構成され、記憶部35に記憶されたプログラムを読出し、そのプログラムの指示に従って、後述する取引処理を実行するように構成される。取引処理は、利用者が、施設内の売店等において、商品を購入する際に、利用者、または各取引端末装置3が設置される場所に待機する従業員の操作によって、実行される。制御部36は、取引処理において、バーコードリーダ33にバーコードが印字された荷札などから商品コードを読取らせて、その商品コードに対応する商品データを記憶部35から抽出し、抽出した商品データとその商品コードとに基づいて、取引データを生成するように構成される。制御部36はまた、会員カード用読取部31に会員カード10から会員番号を、またはリストバンド用読取部32にリストバンド11からリストバンド番号を読取らせて、生成された取引データを、読取った会員番号またはリストバンド番号に関連付けて、管理装置6に送信するように構成される。
図4および図5に示すように、自動精算装置4は、自動精算装置4に電力を供給する電源部40と、会員カード10から会員番号を読取る会員カード用読取部41と、リストバンド11からリストバンド番号を読取るリストバンド用読取部42と、各種表示画面およびメッセージを表示するとともに、操作者からの各種指示およびデータの入力を受け付ける表示操作部43と、操作者からの各種指示およびデータの入力を受け付けるテンキーボード44と、クレジットカードおよびデビットカードなどの各種カードの処理を行うための機構を有するカード処理部45と、現金、すなわち硬貨または紙幣の入出金処理を行うための機構を有する貨幣処理部46と、レシート47を発行するレシート発行部48と、現在の時刻を計時する時計部49と、管理装置との間で各種データの送受信を行う通信部50と、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶部51と、自動精算装置4全体を制御する制御部52とを含んで構成される。
自動精算装置4の会員カード用読取部41およびリストバンド用読取部42にはそれぞれ、前述の受付端末装置2および取引端末装置3の会員カード用読取部23,31およびリストバンド用読取部24,32と同様に、各ICカードまたはICタグの規格に適したリーダが用いられる。
表示操作部43は、タッチパネル式液晶ディスプレイを含んで構成される。タッチパネル式液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイを、接触を感知する素子を配列してなる透明のタッチパネルで覆って形成され、操作者は、液晶ディスプレイの表示画面を指で触れることによって、入力操作を行うことができる。また、表示操作部43に用いられる表示装置は、CRTであってもよい。
テンキーボード44は、「0」〜「9」の数字入力キーと、表示操作部上のカーソルを上下左右方向に移動させるための方向指示キーと、「実行」「取消」などの指示を入力するためのキーとを含んで構成される。
カード処理部45は、クレジットカードなどを挿入するためのカード挿入口52と、カードから各種データを読取るカードリーダと、カードをカード読取位置とカード挿入口53との間で搬送する機構とを含んで構成される。
貨幣処理部46は、硬貨の入出金を制御する硬貨入出金部と、紙幣の入出金を制御する紙幣入出金部とを含んで構成され、各入出金部は、硬貨または紙幣を投入または出金するための入出金口54a,54bと、硬貨または紙幣を搬送する機構と、硬貨または紙幣の種類を識別する機構とを含む。
レシート発行部48は、レシート用紙を格納する用紙格納部と、レシート用紙に印字するプリンタと、プリンタによって印字されたレシート47を外部に排出するためのレシート発行口55とを含む。
自動精算装置4の通信部50は、通信制御装置およびデータ回線終端装置などの各種通信装置を含んで構成される。
自動精算装置4の記憶部51は、RAMなどの主記憶装置と、ROMと、フラッシュメモリなどの補助記憶装置とを含んで構成され、制御部52に後述する精算処理を実行させるプログラムと、自動精算装置4を識別するための精算機番号と、レシート47に印字される書式を示す印字書式データと、レシートに印字されるメッセージを示すメッセージデータとが予め記憶されている。
自動精算装置4の制御部52は、CPUを含んで構成され、記憶部51に記憶されたプログラムを読出し、そのプログラムの指示に従って、後述する精算処理を実行するように構成される。制御部52は、精算処理において、会員カード用読取部41によって会員カード10から会員番号を、またはリストバンド用読取部42によってリストバンド11からリストバンド番号を読取らせて、読取った会員番号またはリストバンド番号を、管理装置6に送信し、管理装置6に対して精算用データの送信を要求するように構成される。制御部52はまた、管理装置6から受信した精算用データを、表示操作部43に表示させ、カード処理部45または貨幣処理部46を制御して、予め定められる決済処理を実行するように構成される。制御部52はまた、決済処理が完了した精算用データに対応する利用データの削除を管理装置4に要求し、利用データの削除通知を管理装置6から受信した後、レシート発行部48を制御して、予め定められるレシート発行処理を実行するように構成される。
図4に示すとおり、管理装置6は、管理装置6に電力を供給する電源部60と、各種指示およびデータの入力を受け付ける入力部61と、各種表示画面およびメッセージを表示する表示部62と、各種プログラムおよびデータを記憶する記憶部63と、各施設内に設置される受付端末装置2、取引端末装置3および自動精算装置4との間で、データを送受信する通信部64と、現在の時刻を計時する時計部65と、管理装置全体を制御する制御部66とを含んで構成される。
管理装置6の入力部61は、キーボードおよびマウスなどの入力装置を含んで構成される。管理装置6の表示部62は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含んで構成され、後述する利用履歴表67などを表示する。
管理装置6の記憶部63は、RAMなどの主記憶装置と、ROMと、磁気ディスクなどの補助記憶装置とを含んで構成される。記憶部63は、制御部66に後述する各種処理を実行させるプログラムと、会員データテーブル70と、識別情報テーブル71と、利用データテーブル72と、精算金額データテーブル73と、直前に受信した取引データを識別するための取引番号とを含んで構成される。取引番号は、12桁の数字列からなり、取引端末装置3から受信した取引データ毎に異なる番号が与えられる。
図6は、管理装置6の記憶部63に記憶される各データの構成を示す図であり、図6(a)は、会員データテーブル70の各レコードの構成を示し、図6(b)は、識別情報テーブル71の各レコードの構成を示し、図6(c)は、利用データテーブル72の各レコードの構成を示し、図6(d)は、利用データの構成を示し、図6(e)は、取引データの構成を示し、図6(f)は、精算金額データテーブル73の各レコードの構成を示す。
図6(a)に示すとおり、会員データテーブル70の各レコードは、会員番号とその会員番号に対応する会員名とから構成される。
図6(b)に示すとおり、識別情報テーブル71の各レコードは、会員番号と、その会員番号に対応するリストバンド番号とから構成される。
図6(c)に示すとおり、利用データテーブル72の各レコードは、利用データと、その利用データに対応する会員番号と、カード取引フラグと、リストバンド取引フラグとから構成される。
図6(d)に示すとおり、利用データは、取引端末装置3から受信した取引データと、取引番号と、取引端末装置3から受信した年月日および時刻を示す利用日時データとを含む。取引番号は、記憶部63に記憶された取引番号に1をインクリメントすることによって生成される。利用日時データは、管理装置6の時計部65によって計時された時刻に基づいて生成される。図6(e)に示すとおり、取引データは、商品コードと、その商品コードに対応する商品名および商品価格データとを含む。
カード取引フラグは、対応する利用データの取引が会員カード10による取引である場合に「オン」にされる。リストバンド取引フラグは、対応する利用データの取引がリストバンド11による取引である場合に「オン」にされる。
図6(f)に示すとおり、精算金額データテーブル73の各レコードは、会員番号と、その会員番号に対応する精算金額データとから構成される。精算金額データは、会員が精算すべき金額である精算金額を示し、取引端末装置3および自動精算装置4から受信した情報に基づいてリアルタイムに更新される。
管理装置6の通信部64は、通信制御装置およびデータ回線終端装置などの各種通信装置を含んで構成される。
管理装置6の制御部66は、CPUを含んで構成され、記憶部63に記憶されたプログラムを読出し、そのプログラムの指示に従って、各種処理を実行するように構成される。制御部66は、受付端末装置2の受付処理において、受付端末装置2から受信した会員番号とリストバンド番号とを、記憶部63の識別情報テーブル71に格納するように構成される。
制御部66はまた、取引端末装置3の取引処理において、取引端末装置3から受信した取引データに基づいて、前述の利用データを生成し、取引端末装置3から受信した会員番号またはリストバンド番号とともに、利用データテーブル72に格納し、受信した会員番号またはリストバンド番号に基づいて、カード取引フラグまたはリストバンド取引フラグを「オン」にする。
制御部66はまた、生成した利用データに含まれる商品価格データと、その利用データに関連付けられた会員番号に対応する精算金額データテーブル73に格納されている精算金額データとに基づいて、対応する会員が精算すべき金額を算出し、算出した金額に基づいて、精算金額データテーブル73の精算金額データを更新する。
制御部66はまた、自動精算装置4の精算処理において、自動精算装置4から精算用データの送信要求を受け、自動精算装置4から会員番号を受信したと判断した場合は、利用データテーブル72と精算金額データテーブル73とを参照して、その会員番号に対応する利用データと精算金額データとを抽出し、自動精算装置4からリストバンド番号を受信したと判断した場合は、識別情報テーブル71を参照して、そのリストバンド番号に対応する会員番号を抽出した後、会員データテーブル70と利用データテーブル72と精算金額データテーブル73とを参照して、抽出した会員番号に対応する会員名と利用データと精算金額データとを抽出するように構成される。制御部66はまた、抽出した会員名と利用データと精算金額データとに基づいて、精算用データを生成し、自動精算装置4に送信する。精算用データは、会員番号と、その会員番号に対応する会員名、利用データおよび精算金額データとを含む。
図7は、管理装置6の表示部62に表示される利用履歴表67の一例を示す図である。利用履歴表67は、管理装置6を操作する操作者が、入力部61を操作して利用履歴表示の指示を入力することによって、制御部66の制御のもと、表示部62に表示される。図6に示すように、利用履歴表67は、複数の行と列とからなり、会員番号が表示される列80と、会員名が表示される列81と、利用履歴が表示される列82と、会員カード取引の有無が表示される列83と、リストバンド取引の有無が表示される列84とを有する。
利用履歴表67の各行のデータは、会員番号の昇順に整列して表示される。利用履歴の列82には、利用データテーブル72に格納された利用データが表示される。会員番号の列80には、利用データテーブルにおいて利用データに関連付けられた会員番号が表示される。会員名の列81には、会員データテーブル70において会員番号に関連付けられた会員名が表示される。同一の会員番号に対応する利用履歴は、対応する利用データに含まれる利用日時データの昇順に整列して表示される。
会員カード取引の列83には、利用データテーブル72において、カード取引フラグが「オン」である場合、記号「○」が表示される。リストバンド取引の列84には、利用データテーブル72において、リストバンド取引フラグが「オン」である場合、記号「○」が表示される。これによって、操作者は、対応する利用データが、会員カード10を用いた取引か、リストバンド11を用いた取引かを判別することができる。
本実施の形態における利用履歴表67には、精算金額の合計が表示され、この精算金額の合計は、精算金額データテーブルに格納される精算金額データである。精算金額の合計は、対応する会員番号のデータが表示される最も下の行の次の行と、利用履歴が表示される列とが交差するセル86に表示される。
図8は、受付端末装置2が受付処理を実行する際の受付端末装置2および管理装置6の処理の流れを示すフローチャートであり、図8(a)は、受付端末装置2の動作を示し、図8(b)は、管理装置6の動作を示す。受付処理は、操作者が受付端末装置2の入力部21を操作して、受付処理開始の入力を行うことによって開始される。
図8(a)に示すとおり、まず、会員カード用読取部23に、利用者によって提示された会員カード10がかざされると、受付端末装置2の制御部27は、会員カード用読取部23を制御して、会員カード10から、会員番号を読取る(ステップa1)。次いで、リストバンド用読取部24に、フロント従業員によって無作為に選択されたリストバンド11がかざされると、制御部27は、リストバンド用読取部24を用いて、リストバンド11から、リストバンド番号を読取る(ステップa1)。その後、制御部27は、読取った会員番号とリストバンド番号とを互いに関連付けて、通信部25によって管理装置6に送信し(ステップa3)、受付端末装置2は、処理を終了する。
管理装置6は、受付端末装置2からの会員番号およびリストバンド番号の受信を検知すると、以下の処理を開始する。図8(b)に示すとおり、管理装置6の制御部66は、通信部64によって会員番号およびリストバンド番号を受信した後(ステップb1)、管理装置6の記憶部63の識別情報テーブル71の更新処理を実行する(ステップb2)。識別情報テーブル71の更新処理において、制御部66は、受信した会員番号およびリストバンド番号を互いに関連付けたレコードを、識別情報テーブル71に追加して、識別情報テーブル71を更新する。管理装置6は、識別情報テーブル71の更新処理の終了後、処理を終了する。
図9は、取引端末装置3が取引処理を実行する際の取引端末装置3および管理装置6の処理の流れを示すフローチャートであり、図9(a)は、取引端末装置3の動作を示し、図9(b)は、管理装置6の動作を示す。取引処理は、取引端末装置3の制御部36が、取引端末装置3のバーコードリーダ33を制御して、商品の荷札などに付されたバーコードから商品コードが読取られたことを検知すると、開始される。
図9(a)に示すとおり、取引端末装置3の制御部36は、バーコードリーダ33を制御して、商品の荷札などに付されたバーコードから商品コードを読取った後(ステップc1)、読取った商品コードに基づいて、記憶部35の商品データテーブルを参照して、対応する商品コードに対応する商品データを抽出し、読取った商品コードと抽出した商品データとを記憶部35に一時記憶させる(ステップc2)。その後、取引端末装置3は、操作者からの取引終了の指示を待機する状態となり(ステップc3)、取引終了の指示がない間(ステップc3のNO)、ステップc1に戻って、商品コードの読取り、商品データの抽出を繰り返し実行することができる(ステップc1〜c3)。これによって1回の取引処理で、複数の商品に関するデータを抽出することが可能となる。本実施の形態において、取引終了の指示は、予め定められるバーコードから、バーコードリーダ33を用いてコードを読取ることで与えられる。ステップc3において、制御部36が取引終了の指示が与えられたと判断した場合(ステップc3のYES)、制御部36は、ステップc2において記憶部35に一時記憶された商品コードおよび商品データに基づいて、取引データを生成する(ステップc4)。次いで、取引端末装置3は、会員番号またはリストバンド番号の読取りを待機する状態となり、会員カード用読取部31のリーダに会員カード10がかざされると、制御部36は、会員カード用読取部31を制御して、会員カード10から会員番号を読取り、リストバンド用読取部32のリーダにリストバンド11がかざされると、リストバンド用読取部32を制御して、リストバンド11からリストバンド番号を読取る。制御部36は、会員番号を読取ったか、またはリストバンド番号を読取ったかを判断し(ステップc5)、会員番号を読取ったと判断した場合は(ステップc5の「会員番号」)、ステップc4において生成された取引データを、読取った会員番号に関連付けて、通信部34によって管理装置6に送信する(ステップc6)。他方、リストバンド番号を読取ったと判断した場合は(ステップc5の「リストバンド番号」)、ステップc4において生成された取引データを、読取ったリストバンド番号に関連付けて、通信部34によって管理装置6に送信する(ステップc7)。取引端末装置3は、取引データを送信した後、取引処理を終了する。
管理装置6は、取引端末装置3から取引データの受信を検知すると、以下の処理を開始する。図9(b)に示すとおり、管理装置6の制御部66は、通信部64によって取引データとその取引データに関連付けられた識別情報とを受信した後(ステップd1)、受信した取引データと、記憶部63に記憶されている取引番号に1をインクリメントして生成された取引番号と、時計部65が受信の際に計時する時刻に基づいて生成された利用日時データとに基づいて、利用データを生成し、記憶部63に一時記憶する(ステップd2)。さらに、制御部66は、受信した取引データに関連付けられて受信した識別情報が、会員番号であるか、リストバンド番号であるかを判断し(ステップd3)、リストバンド番号を受信したと判断した場合は(ステップd3の「リストバンド番号」)、記憶部63の識別データテーブル71を参照して、対応するリストバンド番号に関連付けられた会員番号を抽出する(ステップd4)。本実施の形態において、制御部66は、識別情報の番号の桁数を検知することによって、会員番号とリストバンド番号とを判別する。
ステップd3において会員番号を受信したと判断した場合(ステップd3の「会員番号」)、またはステップd4において会員番号を抽出した後、制御部66は、記憶部63の利用データテーブル72の更新処理を実行する(ステップd5)。利用データテーブル72の更新処理は、次の流れで実行される。まず、ステップd1において受信した会員番号、またはステップd4において抽出した会員番号と、ステップd5において生成され一時記憶された利用データとを、互いに関連付けてレコードを生成し、生成されたレコードを利用データテーブル72に追加する。次いで、ステップd3において会員番号を受信した判断した場合は、カード取引フラグを「オン」にする。ステップd3においてリストバンド番号を受信したと判断した場合は、リストバンド取引フラグを「オン」にする。このようにして、利用データテーブル72は更新される。
利用データテーブル72の更新が完了すると、制御部66は、ステップd2において生成された利用データに含まれる商品価格データが示す金額を合計し、記憶部63の精算金額データテーブル73から、受信または抽出した会員番号に対応する精算金額データを抽出し、ステップd2において生成された利用データから算出した金額と、この精算金額データが示す金額とを合計することで、精算金額を算出する(ステップd6)。次いで、制御部66は、算出された精算金額に基づいて、精算金額データテーブル73の更新処理を実行する(ステップd7)。精算金額データテーブル73の更新処理は、精算金額データテーブル73に格納されている精算金額データを、ステップd6において算出された精算金額を示す精算金額データと置換することによって実行される。精算金額データテーブル73の更新処理が終了すると、管理装置6は、処理を終了する。
図10は、自動精算装置4が精算処理を実行する際の自動精算装置4および管理装置6の処理の流れを示すフローチャートであり、図10Aは、自動精算装置4の動作を示し、図10Bは、管理装置6の動作を示す。精算処理は、自動精算装置4の制御部52が、自動精算装置4の表示操作部43のタッチパネル上に操作者の指が接触したことを検知すると、開始される。
図10Aに示すとおり、自動精算装置4は、精算処理を開始すると、会員番号またはリストバンド番号の読取りを待機する状態となり、会員カード用読取部41のリーダに会員カード10がかざされると、制御部52は、会員カード用読取部41を制御して、会員カード10から会員番号を読取る。他方、リストバンド用読取部42のリーダにリストバンド11がかざされると、制御部52は、リストバンド用読取部42を制御して、リストバンド11からリストバンド番号を読取る。制御部52は、会員番号を読取ったか、またはリストバンド番号を読取ったかを判断し(ステップe1)、会員番号を読取ったと判断した場合は(ステップe1の「会員番号」)、通信部50によって、会員番号を管理装置6に送信し、管理装置6に対して、精算用データの送信要求を行う(ステップe2)。他方、リストバンド番号を読取ったと判断した場合は(ステップe1の「リストバンド番号」)、通信部50によって、リストバンド番号を管理装置6に送信し、管理装置6に対して、精算用データの送信要求を行う(ステップe3)。自動精算装置4は、精算用データの送信要求を行った後、精算用データの受信を待機する状態となる(ステップe4)。
管理装置6は、制御部66が自動精算装置4からの精算用データの送信要求を検知すると、以下の処理を開始する。図10Bに示すとおり、管理装置6の制御部66は、精算用データの送信要求と識別情報とを受信した後、受信した識別情報が、会員番号か、リストバンド番号かを判断し(ステップf1)、リストバンド番号を受信したと判断した場合は(ステップf1の「リストバンド番号」)、記憶部63の識別データテーブル71を参照して、対応するリストバンド番号に関連付けられた会員番号を抽出する(ステップf2)。次いで、制御部66は、抽出した会員番号に基づいて、記憶部63の利用データテーブル72から、対応する利用データを抽出する(ステップf3)。ステップf1において会員番号を受信したと判断した場合は(ステップf1の「会員番号」)、受信した会員番号に基づいて、記憶部63の利用データテーブル71から、対応する利用データを抽出する(ステップf3)。
次いで、管理装置6の制御部66は、抽出または受信した会員番号に基づいて、記憶部63の精算金額データテーブル73から、その会員番号に対応する精算金額データを抽出する(ステップf4)。さらに、制御部66は、抽出または受信した会員番号に基づいて、記憶部63の会員データテーブル70から、その会員番号に対応する会員名を抽出し、その会員番号と、抽出した会員名と、ステップf3において抽出した利用データと、ステップf4において抽出した精算金額データとに基づいて、精算用データを生成し(ステップf5)、生成した精算用データを、通信部64によって、送信要求のあった自動精算装置4に送信する(ステップf6)。
図10Aのステップe4において、自動精算装置4の制御部52が、管理装置6から精算用データの受信があったと判断した場合(ステップe4のYES)、表示操作部43は、制御部52の制御のもと、後述する精算金額画面91を表示する(ステップe5)。精算金額画面91が表示されると、自動精算装置4は、決済方法の選択入力を待機する状態となる。本実施の形態において、決済方法には、現金による決済方法と、クレジットカードによる決済方法と、デビットカードによる決済方法と、マルチペイメントシステムによる決済方法と、電子マネーによる決済方法とが存在する。操作者によって所望の決済方法が選択入力されると(ステップe6)、選択された決済方法に従って決済処理が実行される(ステップe7)。たとえば、現金による決済方法が選択された場合、制御部52は、貨幣処理部46を制御して、現金の投入を受け付け、投入された現金の金額を算出して、その金額が、精算金額よりも高い場合は、その差額を釣銭として出金するように構成される。また、クレジットカードによる決済方法が選択された場合、制御部52は、カード処理部45を制御して、カード挿入口53からクレジットカードの挿入を受け付け、通信部50によって管理装置6との間でデータを送受信して、認証手続きおよび決済手続きを実行し、その後クレジッドカードをカード挿入口53から排出するように構成される。
ステップe7の決済処理が終了すると、自動精算装置4の制御部52は、通信部64によって、管理装置6に対して、決済処理の対象となった利用データの削除要求を行う(ステップe8)。自動精算装置4は、利用データの削除要求を行った後、管理装置6からの削除通知の受信を待機する状態となる(ステップe9)。
図10Bに示すとおり、管理装置6の制御部66は、自動精算装置4から利用データの削除要求を受信したと判断すると(ステップf7のYES)、削除要求のあった利用データを含むレコードを、利用データテーブル72から削除して、利用データテーブル72を更新し(ステップf8)、削除通知を、削除要求のあった自動精算装置4に送信した後(ステップf9)、処理を終了する。また、ステップf8における利用データテーブル72の更新に伴って、精算金額データテーブル73も更新される。
図10Aに示すとおり、自動精算装置4の制御部66は、管理装置6から削除通知を受信したと判断すると(ステップe9のYES)、レシート発行部48を制御して、レシート47の発行処理を実行し(ステップe10)、精算処理を終了する。
図11は、自動精算装置4の表示操作部43が表示する精算金額画面91を示す。図11に示すとおり、精算金額画面91は、会員名の表示領域110と、精算金額の表示領域111と、「精算方法を選択してください。」のメッセージ表示領域112と、「現金」の表示領域113と、「クレジット」の表示領域114と、「デビット」の表示領域115と、「マルチペイメント」の表示領域116と、「電子マネー」の表示領域117とを含む。会員名の表示領域110には、精算用データに含まれる会員名が表示される。精算金額の表示領域111には、精算用データに含まれる精算金額が表示される。「現金」の表示領域113が、操作者によって指で押下されると、現金による決済処理が開始される。「クレジット」の表示領域114が、操作者によって指で押下されると、クレジットカードによる決済処理が開始される。「デビット」の表示領域115が、操作者によって指で押下されると、デビットカードによる決済処理が開始される。「マルチペイメント」116の表示領域が、操作者によって指で押下されると、マルチペイメントシステムによる決済処理が開始される。「電子マネー」の表示領域117が、操作者によって指で押下されると、電子マネーによる決済処理が開始される。
図12は、自動精算装置4のレシート発行部48が発行するレシート47の一例を示す図である。図12に示すレシート47は、現金による決済方法を選択した場合に発行されるものであり、その他の決済方法を選択した場合は、選択した決済方法に適した印字内容にされる。
レシート47は、図12に示すとおり、施設名、住所、電話番号などを含む施設情報の印字領域120と、販促メッセージの印字領域121と、発行日時の印字領域122と、取引番号の印字領域123と、会員名の印字領域124と、利用明細の印字領域125と、精算金額の印字領域126と、消費税の印字領域127と、預り金の印字領域128と、釣銭金額の印字領域129と、「領収いたしました。」などの領収メッセージの印字領域130と、精算機番号の印字領域131と、印紙税納付に関する書式の印字領域132とを含む。施設情報、販促メッセージおよび領収メッセージは、自動精算装置4の記憶部51に記憶されている印字書式データに含まれる。発行日時の印字領域122には、レシート発行時に自動精算装置4の時計部49が計時する時刻が印字される。取引番号の印字領域123には、精算用データに含まれる利用データの取引番号が印字される。会員名の印字領域124には、精算用データに含まれる会員名が印字される。利用明細の印字領域125には、精算用データに含まれる利用データであって、精算が完了した商品の利用データに含まれる商品名およびその商品価格とが印字される。精算金額の印字領域126には、精算された合計金額が印字される。消費税の印字領域127には、精算金額の印字領域126に印字された金額に含まれる消費税の金額が表示される。精算機番号128の印字領域には、自動精算装置4の記憶部52に記憶された精算機番号が印字される。
図13は、受付端末装置2が退場処理を実行する際の受付端末装置2および管理装置6の処理の流れを示すフローチャートであり、図13(a)は、受付端末装置2の動作を示し、図13(b)は、管理装置6の動作を示す。退場処理は、受付端末装置2の制御部27が、入力部21によって退場処理開始が入力されたことを検知すると、開始される。
図13(a)に示すとおり、受付端末装置2は、退場処理を開始すると、リストバンド番号の読取りを待機する状態となり、リストバンド用読取部24のリーダに利用者から返却されたリストバンド11がかざされると、制御部27は、リストバンド用読取部24を制御して、リストバンド11からリストバンド番号を読取る(ステップg1)。次いで、制御部27は、通信部25によって、読取ったリストバンド番号を管理装置6に送信し(ステップg2)、受付端末装置2は、後述する精算済通知または未精算通知の受信を待機する状態となる。
管理装置6の制御部66は、受付端末装置2からリストバンド番号を受信したことを検知すると、処理を開始する。図13(b)に示すとおり、まず、制御部66は、リストバンド番号を受信した後(ステップh1)、記憶部63の識別情報テーブル71を参照して、受信したリストバンド番号に対応する会員番号を抽出する(ステップh2)。次いで、制御部66は、抽出した会員番号に基づいて、利用データテーブル72に、その会員番号に対応する利用データを検索する(ステップh3)。制御部66は、会員番号に利用データが存在するか否かを判断し(ステップh4)、利用データが存在すると判断した場合(ステップh4のYES)、未精算の利用データが存在することを通知する未精算通知を、通信部64によって受付端末装置2に送信する(ステップh5)。ステップh4において、制御部66が、利用データが存在しないと判断した場合は(ステップh4のNO)、全ての利用データについて精算されたことを示す精算済通知を、受付端末装置2に送信する(ステップh6)。ステップh5において未精算通知を送信した後、またはステップh6において精算済通知を送信した後、制御部66は、記憶部65の識別情報テーブル71の更新処理を実行する(ステップh7)。識別情報テーブル71の更新処理は、受信したリストバンド番号または抽出した会員番号に対応するレコードを、識別情報テーブル71から削除して更新することによって実行される。識別情報テーブル71の更新処理が終了した後、管理装置6は処理を終了する。退場処理の都度、識別情報テーブル71を更新することによって、退場した利用者が使用していたリストバンド11のリストバンド番号を、別の利用者の会員番号に関連付けて使用することができるほか、別の利用者が同じリストバンド11を使用したとしても、その取引によって生じた利用データと前の利用者の利用データとが混同しないようにすることができる。
受付端末装置2の制御部27は、図13(a)に示すとおり、管理装置6から未精算通知を受信したか、または精算済通知を受信したかを判断する(ステップg3)。制御部27が精算済通知を受信したと判断した場合(ステップg3の「精算済」)、表示部22は、制御部27の制御のもと、精算済通知を表示する(ステップg4)。本実施の形態において、表示部22は、精算済通知として、「全データが精算済みです。」というメッセージを表示する。ステップg3において、制御部27が未精算通知を受信したと判断した場合(ステップg3の「未精算」)、表示部22は、制御部27の制御のもと、未精算通知を表示する(ステップg5)。本実施の形態において、表示部22は、未精算通知として、「まだ精算されていないデータが存在します。」というメッセージを表示する。これによって、フロント従業員は、施設から退場しようとする利用者が全ての取引について精算したか否かを確認することができ、利用者に対して、精算を促すことが可能となる。受付端末装置2は、精算済通知または未精算通知の表示後、退場処理を終了する。
以上のとおり、本実施の形態における自動精算システム1によれば、受付端末装置2、取引端末装置3および自動精算装置4において、会員カード10から会員番号を読取り、リストバンド11からリストバンド番号を読取り可能に構成され、これらの装置2,3,4と通信回線5を介して接続された管理装置6において、会員番号毎に、取引に関するデータを一括して管理可能に構成される。また、管理装置6は、自動精算装置4からの送信要求に従って、会員番号毎の精算用データを送信することができ、自動精算装置4は、受信した精算用データに基づいて精算処理を実行することができる。こうして、2種類の記録媒体であって、互いに異なる識別情報が記録された記録媒体を用いて、施設内での取引および精算を行うことが可能となる。利用者は、利用者の状況に応じて適切な媒体を用いて取引および精算を行うことができ、たとえば施設利用中はリストバンド11を、施設利用の前後は会員カード10を用いて取引および精算を行うことができる。
本実施の形態における自動精算システム1によれば、管理装置6は、会員番号毎の精算金額データを格納する精算金額データテーブル72を有し、精算金額データテーブル72は、利用データテーブル71の更新の度に更新されるので、現在の精算金額をリアルタイムに管理することができる。また、利用データおよび精算金額データは、利用履歴表67として表示可能に構成されるので、現在の利用状況を容易に確認することが可能となる。
本実施の形態における自動精算システム1によれば、自動精算装置4は、複数の施設にそれぞれ設置され、各自動精算装置4は、通信回線5を介して、1つの管理装置6に接続される。これによって、異なる施設内に設置されるいずれの自動精算装置4を用いても精算することが可能となり、異なる施設に設置された自動精算装置4によって実行される精算処理に関する情報を、1つの管理装置において集中的に管理することができる。したがって、利用者にとって利便性の高い自動精算システムを実現することが可能となる。
図14は、本発明の実施の第2の形態における自動精算システム1Aの自動精算装置4Aが精算処理を実行する際の自動精算装置4Aの処理の流れを示すフローチャートである。図15は、本発明の実施の第2の形態における自動精算システム1Aの自動精算装置4Aの表示操作部43が表示する画面の一例を示す図であり、図15(a)は、一部精算選択画面90を示し、図15(b)は、選択項目選択画面92を示し、図15(c)は、精算金額画面91Aを示す。実施の第2の形態の自動精算システム1Aは、実施の第1の形態の自動精算システム1と同一の構成を有し、自動精算装置4Aの制御部52Aの動作とそれに伴って一部の表示画面とが異なるのみである。したがって共通する点については、その説明を省略し、異なる点だけを説明する。
以下、図14を参照して、自動精算装置4Aの制御部52Aの動作を説明する。本実施の形態における制御部52Aの動作は、実施の第1の形態における制御部52の動作のステップe5以降を変更するものである。したがって制御部52Aの動作に関して、フローチャートの各ステップの符号の「e」を「i」に代えて付し、ステップe5のステップ符号を「i7」に代えて付し、ステップe6以降のステップ符号を、「i10」以降に代えて付し、ステップi6〜ステップi9についてだけ説明し、他のステップについては、その説明を省略する。
制御部52Aは、表示操作部43に後述する一部精算選択画面90を表示させ(ステップi5)、自動精算装置4は、「全部選択」または「一部選択」の押下を待機する状態となる。次いで、制御部52Aは、操作者によって表示操作部43のタッチパネル上の「全部精算」が押下されたか、または「一部精算」が押下されたかを判断する(ステップi6)。制御部52Aが「全部精算」が押下されたと判断した場合(ステップi6の「全部精算」)、表示操作部43は、制御部52Aの制御のもと、後述する精算金額画面91Aを表示する(ステップi7)。制御部52Aが「一部精算」が押下されたと判断した場合(ステップi6の「一部精算」)、表示操作部43は、制御部52Aの制御のもと、後述する精算項目選択画面92を表示し(ステップi8)、自動精算装置4Aは、精算項目の選択入力を待機する状態となる。操作者によって、精算を希望する取引に対応する精算項目が選択入力されると(ステップi9)、制御部52Aは、選択された取引に対応する利用データに含まれる商品価格データに基づいて、精算金額を算出し、表示操作部43は、制御部52Aの制御のもと、後述する精算金額画面91Aを表示し(ステップi7)、ステップi10に移行する。
図15(a)に示すとおり、一部精算選択画面90は、「全部精算」の表示領域100と、「一部精算」の表示領域101と、「選択してください。」のメッセージ表示領域102とを含む。操作者は、「全部精算」の表示領域100、または「一部精算」の表示領域101を指で押下することによって、図14のステップi6における全部精算または一部精算を選択することができる。「全部精算」の表示領域100が押下されると、自動精算装置4Aの制御部52Aの制御のもと、図15(c)の精算金額画面91Aが表示される。「一部精算」の表示領域101が押下されると、自動精算装置4Aの制御部52Aの制御のもと、図15(b)に示す選択項目選択画面92が表示される。
図15(b)に示すとおり、精算項目選択画面92は、会員名の表示領域103と、選択項目の表示領域104と、利用合計の表示領域105と、「選択してください。」のメッセージ表示領域106と、選択合計の表示領域107と、「OK」の表示領域108と、「キャンセル」の表示領域109とを含む。会員名の表示領域103には、精算用データに含まれる会員名が表示される。選択項目の表示領域104には、精算用データに含まれる全ての利用データが、商品毎に表示され、各商品の表示領域には、商品名と商品価格とが表示される。操作者は、各商品の表示領域を指で押下することによって、精算しようとする商品を選択することができる。操作者によって、各商品の表示領域が押下されると、押下された各商品の表示領域は、押下されていない商品の表示領域と異なる色で表示される。利用合計の表示領域105には、精算用データに含まれる精算金額データが示す精算金額が表示される。選択合計の表示領域107には、操作者によって表示領域が押下された商品、すなわち選択された商品の商品価格の合計金額が表示される。自動精算装置4Aの制御部52Aは、操作者によって表示領域が押下される度に、選択された商品の商品価格の合計金額を算出し、表示するように構成される。操作者によって、「OK」の表示領域108が押下されると、自動精算装置4Aの制御部52Aの制御のもと、図15(c)に示す精算金額画面91Aが表示される。操作者によって、「キャンセル」の表示領域109が押下されると、商品の選択が解除され、選択された各商品の表示領域の色が元に戻される。
図15(c)に示すとおり、精算金額画面91Aの精算金額の表示領域111には、「全部精算」が選択された場合は、制御部52Aの制御のもと、精算用データに含まれる精算金額が表示され、「一部精算」が選択された場合は、制御部52Aの制御のもと、図15(b)の精算項目選択画面92において操作者によって押下された商品の商品価格の合計が表示される。
本実施の形態における自動精算システム1Aによれば、精算項目選択画面92の精算項目の表示領域104を押下することによって、精算すべき取引を選択することができ、制御部52Aの制御のもと、選択された取引に対応する精算金額を、精算用データに含まれる利用データに基づいて算出することができる。これによって、自動精算装置4Aは、精算すべき取引の選択に応じて、受信した精算用データに含まれる一部の取引について精算処理を実行することができる。したがって、自動精算装置4Aを操作する者は、取引の選択の結果、精算する金額を調整することができるので、利用者が精算可能な範囲内で精算を行うことが可能となる。
図16は、本発明の実施の第3の形態における自動精算システム1Bの管理装置6Aの記憶部63Aに記憶される利用データテーブル72Aのレコード構成を示す図である。図17は、本発明の実施の第3の形態における自動精算システム1Bの管理装置6Aの表示部62に表示される利用履歴表67Aの一例を示す図である。実施の第3の形態の自動精算システム1Bは、実施の第1および第2の形態の自動精算システム1と同一の構成を有し、管理装置6Aの制御部66Aの動作と、利用データテーブル72Aのレコード構成と、利用履歴表67Aの表示内容とが異なるのみである。したがって共通する点については、その説明を省略し、異なる点だけを説明する。
図16に示すとおり、本実施の形態における利用データテーブル72Aは、会員番号と、利用データと、カード取引フラグと、リストバンド取引フラグと、未精算フラグとを含む。未精算フラグは、利用データに対応する取引が、その取引が行われた当日の営業時間内に精算されなかった場合に、すなわち利用データが、取引が行われた当日の営業時間内に削除されなかった場合、「オン」にされる。管理装置6Aの制御部66は、時計部65の計時する時刻が予め定められる営業終了時間となると、利用データテーブル72Aに未だ格納されている利用データの未精算フラグを、「オン」にするように構成される。
図17に示すとおり、管理装置6Aの表示部62に表示される利用履歴表67Aにおいて、利用データテーブル72Aの各レコードに含まれる未精算フラグが「オン」である場合は、対応するレコードの利用データが表示される利用履歴の表示領域85に、網掛けが施される。
本実施の形態における自動精算システム1Bによれば、管理装置6Aに記憶される利用データに対応する取引が、予め定められる期間内に精算されていないことを報知することができるので、管理装置を操作する操作者は、未精算の取引データを容易に認識することが可能となる。これによって、操作者は、網掛けが施された利用データに対応する取引が、その取引が行われた当日の営業時間中に精算されなかったことを認識することができる。
本実施の形態において、未精算を報知する手段として、対応する利用データが表示される領域に網掛けが施されるが、点灯表示、点滅表示または反転表示などであってもよい。本実施の形態において、未精算フラグは、取引が行われた当日の営業終了時間に「オン」にされるけれども、いずれのタイミングで「オン」にされてもよく、たとえば取引が行われた週の日曜日の営業終了時間でもよい。本実施の形態において、予め定められる期間内に精算されていない取引を識別するために未精算フラグを用いるが、利用履歴表67Aを表示する際に、制御部66Aが、対応する取引が当日行われたものであるか前日以前に行われたものであるかについて、利用データに含まれる利用日時データに基づいて判断し、前日以前に行われたと判断すると、未精算を所定の方法で報知するように構成されてもよい。
本実施の形態において、管理装置6,6Aの利用データテーブル72,72Aは、会員番号毎に利用データを格納するが、リストバンド番号に対応するリストバンド利用データテーブルと、会員番号に対応する会員番号利用データテーブルとを分けて設けてもよい。この場合におけるリストバンド利用データテーブルの各レコードは、リストバンド番号と、それに対応する利用データとを含み、会員番号利用データテーブルの各レコードは、会員番号と、それに対応する利用データとを含む。この場合における管理装置6,6Aは、自動精算装置4,4Aからの精算用データの送信要求がある度に、自動精算装置4,4Aから受信した識別情報に基づいて、受信した識別情報に対応する利用データを、対応する利用データテーブルから抽出するとともに、識別情報テーブル71を参照して、受信した識別情報に対応する他方の識別情報に対応する利用データを利用データテーブルから抽出し、抽出した利用データに基づいて、精算用データを生成する。たとえば、管理装置6,6Aの制御部66,66Aは、自動精算装置4,4Aから会員番号を受信したと判断すると、受信した会員番号に対応する利用データを、会員番号利用データテーブルから抽出するとともに、識別情報テーブル71を参照して、受信した会員番号に対応するリストバンド番号に対応する利用データを、リストバンド番号利用テーブルから抽出し、抽出した利用データに基づいて、精算用データを生成する。あるいは、一方の利用データテーブルから一方の識別情報に対応する利用データのみを抽出し、識別情報毎の精算用データを生成するようにしてもよい。
本実施の形態において、受付端末装置2、取引端末装置3および自動精算装置4,4Aはそれぞれ、会員カード用読取部とリストバンド用読取部とを備えるが、これらの読取部のリーダは、読取部毎に別々に設けても、各読取部共通の1つのリーダを設けてもよい。
本実施の形態において、会員番号およびリストバンド番号をそれぞれ記憶する会員カード10およびリストバンド11に非接触型のICカードまたはICタグを用いているが、これらの識別情報を記録可能な記録媒体であればよく、接触型のICカードまたはICタグでも、磁気カードなどの磁気記録媒体でも、バーコードであってもよい。
本実施の形態において、自動精算システム1,1A,1Bは、2種類の記録媒体を用いているが、2種類以上の記録媒体を用いるように構成してもよく、それぞれの記録媒体が互いに異なる識別情報を記録するものであってもよい。
本実施の形態において、受付端末装置2、取引端末装置3および自動精算装置4,4Aは、それぞれ通信回線5を介して管理装置6に接続されるが、各施設内でこれらの端末装置2,3,4,4Aを互いに接続するLAN(Local Area Network)を構成し、LANと外部の通信回線5とを接続するルータなどの通信装置を介して、管理装置6,6Aに接続されてもよい。また、本実施の形態において、通信回線5は、専用回線とされるが、公衆回線であってもよい。
本実施の形態において、管理装置6,6Aは、会員番号とリストバンド番号とを番号の桁数を検知することで、識別情報の種類を判別するように構成されるが、識別情報の種類を判別するためのあらゆる方法およびアルゴリズムを用いることができる。
本実施の形態において、受付端末装置2は、退場処理において未精算の利用データの存在を管理装置6に問い合わせるように構成されるが、受付処理において未精算の利用データの存在を管理装置6に問い合わせるようにしてもよい。この場合、管理装置6は、受付端末装置2から受信した会員番号に基づいて、利用データテーブル72に利用データが存在するか検索し、利用データが存在する場合は、未精算通知を受付端末装置2に送信するように構成される。これによって、フロント従業員は、受付処理の際にも、利用者の精算状況を確認することができ、利用者に対して精算を催促することが可能となる。
本実施の形態において、自動精算装置4,4Aは、操作者の操作を表示操作部43によって行うように構成されるが、表示操作部43の操作に代わって、テンキーボード44を用いてもよい。
本実施の形態における自動精算システム1,1A,1Bは、スポーツジム施設に適用した例として説明されるが、その他の施設、たとえば、ゴルフ場などの運動施設、遊園地などの娯楽施設、ホテルなどの宿泊施設、公衆浴場、または病院もしくは診療所などの医療施設などにも適用可能である。