JP4859916B2 - 導電性複合繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性複合繊維、特に、熱可塑性樹脂及び導電性粒子からなる導電層と、ポリエステルからなる保護層とが複合されてなる導電性複合繊維に関する。また、そのような導電性複合繊維の好適な製造方法に関する。
従来から、導電性繊維としては様々なものが知られているが、中でも、カーボンブラックなどの導電性粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる導電層と、導電性粒子を含有しない熱可塑性樹脂からなる保護層とを有する導電性複合繊維が広く使用されている。これは、導電性粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物と、導電性粒子を含有しない熱可塑性樹脂とを複合紡糸して得られるものであり、前記導電層は繊維の表面や内部に繊維長方向に連続するように配置される。このような導電性複合繊維については、例えば、特許文献1〜4などに記載されている。
導電性粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物からなる導電層によって十分な導電性能を得るためには、熱可塑性樹脂組成物中に導電性粒子を多量に配合する必要がある。ところが、多量の導電性粒子を配合すると、紡糸性や延伸性が急激に悪化するという問題点を有している。無理に延伸した場合には、導電層が繊維中で切断されたり、あるいは切断されなかったとしても、導電性カーボンブラックのストラクチャーが破壊されたり、さらには実際の使用時に、導電性繊維にわずかな外力がかかることで導電層が容易に切断され、導電性能が失われたりする場合があった。したがって、導電性複合繊維を製造する際に、必ずしも十分に延伸できない場合も多く、伸度や沸水収縮率などの糸物性が経時的に変化するおそれがあった。特に、混繊糸などとして使用するために、一定以上の伸度や沸水収縮率を有することが求められる導電性複合繊維を製造する場合には、経時的な物性変化が一段と顕著であり問題であった。
特許文献5には、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンナフタレートとをブレンドしたポリエステル樹脂組成物からなる高収縮性ポリエステル繊維が記載されている。当該高収縮性ポリエステル繊維は、高い収縮率及び収縮応力を示し、かつ70℃以上の高温下での保存安定性に優れていることが記載されている。しかしながら、特許文献5には、上記ポリエステル樹脂組成物のみからなる高収縮性繊維が記載されているだけであって、多量の導電性粒子を含有する樹脂組成物からなる繊維について記載されているわけではないし、複合繊維について記載されているわけでもない。
特開昭57−29611号公報 特開昭58−132119号公報 特開平9−279416号公報 特開2003−278031号公報 特開2001−288618号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、長期間持続する優れた導電性を有し、しかも一定以上の伸度を有しながらも、輸送中や保管中において、伸度や沸水収縮率などの力学物性の経時変化が小さい導電性複合繊維を提供することを目的とするものである。また、そのような導電性複合繊維の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる導電層(A)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる保護層(B)とが複合され、伸度(DE)が100〜350%であることを特徴とする導電性複合繊維を提供することによって解決される。
このとき、導電層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリブチレンテレフタレート又はポリアミドであることが好適である。導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)が5/95〜50/50であることも好適である。沸水収縮率(Wsr)が20〜60%であることも好適である。また、60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の伸度(DE60)が、紡糸から1日後の伸度(DE)の1.3倍以下であること、紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が、紡糸から1日後の沸水収縮率(Wsr)の0.3倍以上であること、及び紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が10%以上であることがいずれも好適である。また、このような導電性複合繊維を延伸した繊維が用いられたカーペットが、本発明の好適な実施態様である。
また上記課題は、熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる樹脂組成物(a)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる樹脂組成物(b)とを複合紡糸する導電性複合繊維の製造方法であって、溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させ、1500〜3000m/分の速度で巻き取ることを特徴とする導電性複合繊維の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、下記(1)〜(5)をその順序で行い、かつ下記(2)及び(3)を、吐出糸条が最初にローラー又はガイドに接する前に行うことが好ましい。
(1)溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させる
(2)吐出された溶融樹脂組成物を、一旦ガラス転移点未満の温度に冷却する
(3)次いで加熱装置内を走行させて延伸熱処理する
(4)その後に油剤を付与する
(5)1500〜3000m/分の速度で巻き取る
本発明の導電性複合繊維は、長期間持続する優れた導電性を有し、しかも一定以上の伸度を有しながらも、輸送中や保管中において、伸度や沸水収縮率などの力学物性の経時変化が小さい。したがって、国際輸送など遠距離の輸送や、長期間の保管においても繊維物性が安定していて、その後の工程、例えば混繊、撚糸、製織、製編などの工程通過性が良好であるとともに、均質な製品を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような導電性複合繊維を得ることが容易である。
実施例1で得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した結果を示したグラフである。 実施例2で得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した結果を示したグラフである。 実施例3で得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した結果を示したグラフである。 実施例4で得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した結果を示したグラフである。 比較例1で得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した結果を示したグラフである。
本発明の導電性複合繊維は、熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる導電層(A)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる保護層(B)とが複合されてなるものである。
導電層(A)に含まれる熱可塑性樹脂は、繊維形成性の熱可塑性樹脂であればよく、その種類は特に限定されない。通常、熱可塑性ポリエステルや熱可塑性ポリアミドが好適に用いられる。また、導電層(A)を構成する樹脂の融点は200℃以上であることが実用耐久性の点から好ましい。融点は、より好ましくは210℃以上であり、250℃以下である。
導電層(A)に使用される熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。中でも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレート単位あるいはブチレンテレフタレート単位を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリエステルが好ましい。
特に、ポリブチレンテレフタレート、すなわちブチレンテレフタレート単位を80モル%以上含有するポリエステルが、導電性粒子を練り込みやすく結晶化しやすいことから、高い導電性能が得られるので好ましい。ポリエチレンテレフタレートも使用可能であるが、導電性粒子を多量に添加すると溶融紡糸の際の紡糸性が低下することとなり、紡糸性を高めるために共重合ポリエチレンテレフタレートを用いるということも考えられるが、共重合ポリエチレンテレフタレートを使用すると一般に結晶性が低下し、導電性能が低下することとなる。以上のことから、結晶を形成しやすいポリエステルであるポリブチレンテレフタレートが特に優れている。ポリブチレンテレフタレートに対してポリエチレン−2,6−ナフタレートを配合しても良い。
導電層(A)に使用される熱可塑性ポリアミドとしては、ポリヘキサメチレンアジペート(ナイロン−6,6)、ポリε−カプロラクタム(ナイロン−6)あるいはこれらの共重合体が好適に使用される。このような熱可塑性ポリアミドは導電性粒子を多量に練り込み易いという理由で、ポリブチレンテレフタレート同様に好適に使用される。
導電層(A)に含まれる導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば特に限定されず、導電性カーボンブラック、導電性金属酸化物粒子、金属粒子などを使用することができる。なかでも、導電性能やコストのバランスなどから、導電性カーボンブラックが好ましく採用される。導電性粒子の粒径も、紡糸することの可能な寸法であれば特に限定されないが、平均粒子径0.01〜1μmであることが好適である。
本発明において用いられる導電性カーボンブラックは、10−3〜10Ω・cmの固有電気抵抗を有するものがよい。カーボンブラックが完全に粒子状分散をしている場合は一般に導電性が不良であって、ストラクチャーと呼ばれる連鎖構造を形成している場合には、導電性能が向上して導電性カーボンブラックと称されるものになる。したがって、導電性カーボンブラックによってポリマーを導電化するに当たっては、このストラクチャーを破壊しないでカーボンブラックを分散させることが重要である。そのため、十分な延伸操作を行うことができない場合も多く、寸法安定性が不十分な繊維となりやすい。
また、導電性金属酸化物粒子は、カーボンブラックと異なり黒色でないために、白色の繊維に導電性を付与することも可能であり、意匠面で有用である。本発明において用いられる導電性金属酸化物粒子は、白色または無色の金属酸化物の微粒子、あるいは該金属酸化物が無機微粒子を核としてその表面に被覆された状態の微粒子をいう。金属酸化物の多くのものは絶縁体に近い半導体であって充分な導電性を示さないことが多い。しかしながら、金属酸化物に対する導電性強化剤(ドーピング剤)として、酸化錫に対して酸化アンチモン、酸化亜鉛に対してアルミニウム、カリウム等が知られている。例えば、平均粒子径0.1μmの酸化錫の比抵抗は約10Ω・cmであるが、酸化アンチモンと酸化錫との固容体の比抵抗は1〜10Ω・cmであり導電性が強化されている。該固容体中に占める酸化アンチモンの割合は0.01〜0.10(重量比)とすることが総合的な性能からいって必要である。酸化アンチモンの被覆量が少ないと、導電性が不足し、逆に多いと目的の白色系の方向から遠ざかってしまう。本発明において使用される導電性粒子としては、上記の被覆された酸化亜鉛、酸化錫が導電性、白色度等に優れ好適であるが、これら以外の金属酸化物を用いることもできる。
本発明においては、導電性粒子を1種類又は2種類以上混合して用いることができる。このとき、導電性カーボンブラックと導電性金属酸化物粒子とを併用しても構わない。さらに金属粒子などを用いても構わない。また、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種の添加剤を配合しても構わない。
本発明の導電層(A)は、熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなるものである。導電性粒子の含有量が20重量%未満の場合には、導電性が不十分になるおそれがある。導電性粒子の含有量は、好適には23重量%以上であり、このとき、熱可塑性樹脂の含有量は77重量%以下である。一方、導電性粒子の含有量が40重量%を超える場合には、紡糸性や延伸性が悪化するおそれがある。導電性粒子の含有量は、好適には33重量%以下であり、このとき、熱可塑性樹脂の含有量は67重量%以上である。
本発明の保護層(B)は、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなるものである。保護層(B)が、ポリエチレンテレフタレートを主成分として、それにポリエチレン−2,6−ナフタレートを配合したものであることによって、紡糸後の繊維物性の経時変化を抑制することができる。導電性複合繊維の場合には、導電層に使用される樹脂組成物は大量の導電性粒子を含有しているために、複合繊維全体の力学性能に対する導電層の寄与はそれほど大きくなく、保護層の力学物性が特に重要である。
保護層(B)に用いられるポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレート単位を80モル%以上、好適には90モル%以上含有するポリエステルである。本発明の目的を阻害しない範囲で第三成分が共重合されていてもかまわない。好ましく用いられる共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸、スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩などの酸成分、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどのグリコール成分が挙げられる。
保護層(B)に用いられるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を80モル%以上、好適には90モル%以上含有するポリエステルである。本発明の目的を阻害しない範囲で第三成分が共重合されていてもかまわない。好ましく用いられる共重合成分としては、テレフタル酸のほか、上記ポリエチレンテレフタレートの説明で記載したものが使用できる。
保護層(B)に用いられるポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートには、平均粒子径0.01〜1μmの無機微粒子が0.05〜10重量%の割合で含有されていることが紡糸性あるいは製編織性の点で好ましい。すなわち、無機微粒子の含有量が0.05重量%未満の場合には、得られた導電性繊維にループ、毛羽、繊度斑等を生じ易くなり、10重量%を超えると工程通過性が悪く断糸の原因となる。より好ましくは0.2〜5重量%の割合で無機微粒子を含有する。無機微粒子の添加方法については特に制限されず、ポリエステルの重合時から溶融紡出直前までの任意の段階でポリエステル中に無機微粒子が均一に混合されているように添加、混合すればよい。このような無機微粒子としては酸化チタンが代表的である。
保護層(B)は、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなるものである。ポリエチレン−2,6−ナフタレートの含有量が5重量%未満である場合には、紡糸後の繊維物性の経時変化を十分に抑制することができない。ポリエチレン−2,6−ナフタレートの含有量は、好適には10重量%以上であり、より好適には15重量%以上である。このとき、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、好適には90重量%以下であり、より好適には85重量%以下である。一方、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの含有量が50重量%を超える場合には、製造コストが上昇するだけでなく、紡糸の際にフィルター圧が高くなり、製糸が難しくなり、得られる導電性複合繊維の伸度も低下する。ポリエチレン−2,6−ナフタレートの含有量は、好適には40重量%以下であり、より好適には30重量%以下である。このとき、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、好適には60重量%以上であり、より好適には70重量%以上である。
本発明の導電性複合繊維は、熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる樹脂組成物(a)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる樹脂組成物(b)とを複合紡糸することによって製造される。すなわち、溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させて、導電性複合繊維が製造される。
本発明の導電性複合繊維の製造方法は複合繊維を製造するために使用される一般的な溶融紡糸装置を使用することができる。このとき、熱可塑性樹脂及び導電性粒子を予め溶融混練して得られた樹脂組成物(a)のペレットを溶融紡糸装置に供給して導電層(A)を形成することが分散性の点から好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン−2,6−ナフタレートとを予め溶融混練して樹脂組成物(b)のペレットを得てから溶融紡糸装置に供給して保護層(B)を形成してもよいが、それぞれのペレットを同時に溶融紡糸装置に供給して当該装置内で樹脂組成物(b)を得てから保護層(B)を形成してもよい。
このときの巻き取り速度は、1500〜3000m/分であることが好ましい。巻き取り速度が1500m/分未満の場合、伸度、沸水収縮率ともに大きくなりすぎ、寸法安定性の低下が著しい。巻き取り速度は、より好適には1800m/分以上であり、さらに好適には2000m/分以上である。一方、巻き取り速度が3000m/分を超える場合、紡糸時の糸切れが発生するおそれがあるとともに、伸度、沸水収縮率ともに小さくなりすぎる。特に、混繊糸などとして使用するために、一定以上の伸度や沸水収縮率を有することが求められる導電性複合繊維を製造する場合には、巻き取り速度を遅くすることが好ましく、より好適には2600m/分以下であり、さらに好適には2400m/分以下である。
紡糸するに際しては、紡出された糸条に対して冷風を吹き付けるなどして冷却してから巻き取るだけでもよいが、導電層(A)の切断を効果的に防止するには、以下のような紡糸方法を採用することが好ましい。すなわち、下記(1)〜(5)をその順序で行い、かつ下記(2)及び(3)を、吐出糸条が最初にローラー又はガイドに接する前に行う方法が好適に採用される。
(1)溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させる
(2)吐出された溶融樹脂組成物を、一旦ガラス転移点未満の温度に冷却する
(3)次いで加熱装置内を走行させて延伸熱処理する
(4)その後に油剤を付与する
(5)1500〜3000m/分の速度で巻き取る
上記方法の特徴点は、溶融吐出した複合ポリエステルフィラメントを、一旦冷却した後、チューブヒーターなどの加熱帯域を用いて加熱延伸処理するものであり、しかも、上記溶融吐出から加熱延伸までをローラーやガイドに実質的に接触させることなく行うものである。このような方法を用いることにより、導電性繊維はローラー間やガイド−ローラー間で無理やり延伸されるのではなく、吐出された溶融ポリマーから加熱装置内のゾーンにおいて、延伸倍率が自動的に調節されることとなるため、導電層(A)が切断されるほど延伸されることがない。しかも、導電層(A)も適度に延伸されて結晶化されており、且つその非晶部分は、分子運動が可能な状態となっており、その結果、導電層(A)に張力がかかっても、導電層(A)は切断せずに伸びる余地が大きく導電性能を失うことがない。加熱延伸する際の加熱温度は、樹脂組成物(a)を構成する樹脂のガラス転移温度以上で融点以下の温度範囲にあり、かつ樹脂組成物(b)を構成する主成分であるポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度以上で融点以下の温度範囲にあることが好ましい。
上記(2)の冷却方法としては、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風の湿度を約20〜60%RH、冷却風の吹付け速度を0.4〜1m/秒程度とすることにより、繊度斑、性能斑を起こすことなく高品質の繊維を得ることができる。また、上記(3)で用いる加熱帯域の長さとしては0.6m以上4m以下、加熱帯域の温度は150℃以上220℃以下の範囲にあることが均一かつ円滑に延伸を行う上で望ましい。
こうして得られる本発明の導電性複合繊維における、導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)は5/95〜50/50であることが好ましい。重量比(A/B)が5/95未満の場合には、導電性が不十分になりやすく、導電層(A)の切断も発生しやすい。重量比(A/B)は、より好適には、10/90以上であり、さらに好適には15/85以上である。一方、重量比(A/B)が50/50を超える場合には、強度が不十分になりやすく、繊維物性の経時変化も大きくなりやすい。重量比(A/B)は、より好適には40/60以下であり、さらに好適には30/70以下である。
本発明の導電性複合繊維の伸度(DE)は100〜350%である。伸度(DE)が100%未満の場合には、延伸が強すぎて導電層(A)が切断されるおそれがあるとともに、混繊糸などとして使用する際に、要求される伸度や沸水収縮率を有することができない。伸度(DE)は、好適には150%以上であり、より好適には180%以上であり、さらに好適には200%以上である。一方、伸度(DE)が350%を超える場合には、他の繊維と合糸延伸する際に、延伸斑を生じやすく、その後の加工工程で切断し易くなる。伸度(DE)は、好適には300%以下であり、より好適には250%以下である。ここで、伸度(DE)は、JIS L1013に準じて測定した値である。
また、本発明の導電性複合繊維の沸水収縮率(Wsr)は20〜60%であることが好ましい。沸水収縮率(Wsr)が20%未満の場合には、混繊糸などとして使用する際に、合糸して加工する際の加工性が低下する。沸水収縮率(Wsr)は、より好適には25%以上であり、さらに好適には30%以上である。一方、沸水収縮率(Wsr)が60%を超える場合には、例えば織物にした場合に収縮斑による筋が発生し、風合いが悪化する。沸水収縮率(Wsr)は、より好適には50%以下であり、さらに好適には40%以下である。ここで、沸水収縮率(Wsr)は、JIS L1013に準じて測定した値である。
本発明の導電性複合繊維は、一定以上の伸度を有しながらも、輸送中や保管中において、伸度や沸水収縮率など繊維物性の経時変化が小さい。特に、高温化に保持されても繊維物性の変化が小さいことが特徴である。
具体的には、60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の伸度(DE60)が、紡糸から1日後の伸度(DE)の1.3倍以下であることが好適であり、1.2倍以下であることがより好適である。ここで、紡糸から1日後を起点とするのは、水分の吸収や温度変化による伸度(DE)の変化をキャンセルして、経時的な繊維物性の変化をより正確に把握するためである。通常、伸度(DE60)は、伸度(DE)の0.9倍以上である。
また、60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が、紡糸から1日後の沸水収縮率(Wsr)の0.3倍以上であることが好適であり、0.5倍以上であることがより好適であり、0.7倍以上であることがさらに好ましい。ここで、紡糸から1日後を起点とする理由は、上記伸度についての場合と同じ理由からである。通常、沸水収縮率(Wsr60)は、沸水収縮率(Wsr)の1.05倍以下である。そして、60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
本発明の導電性複合繊維は、色々な形態で、種々の除電性が要求される用途に用いられる。例えば、本発明の導電性マルチフィラメントと非導電性マルチフィラメントを混繊し、かつ導電性マルチフィラメントが側糸、非導電性マルチフィラメントが芯糸となるように、導電性マルチフィラメントに1〜30%糸長が長くなるように混繊して用いることができる。芯糸としてはポリエステル系のマルチフィラメントが好ましい。芯糸となる非導電性マルチフィラメントのトータル太さとしては20〜120デシテックスの範囲が好ましい。混繊糸とする場合には、芯糸と側糸が分離しないように交絡を付与するのが一般的であり、交絡を付与した後、混繊糸に撚を付与しても良い。
また、非導電性のマルチフィラメントを芯糸とし、その周りに導電性マルチフィラメントを螺旋状に巻きつけても良い。芯糸の太さとしては上記混繊糸の場合と同様のものが用いられ、芯糸としてポリエステル系マルチフィラメントが好適であることも同様である。このような導電性繊維を使用したマルチフィラメント糸は、織物や編物等の布帛に、5mm〜50mmに一本の割合で経糸及び/又は緯糸の一部として打ち込まれる。その結果、得られる織編物は除電性能を有するものとなる。
このように混繊する際に、適度な伸度(DE)及び沸水収縮率(Wsr)を有することで性能に優れた混繊糸を得ることができる。そして、輸送中や保管中など、長時間に亘って繊維物性の経時変化が小さいので、国際輸送など遠距離の輸送や、長期間の保管においても繊維物性が安定していて、その後の工程、例えば混繊、撚糸、製織、製編などの工程通過性が良好であるとともに、均質な製品を得ることができる。
以上のようにして得られた織編物は、長期間に亘る除電性が要求される用途に用いられ、例えば、クリーンルームで着用される防塵衣として、また、化学プラントで従事する作業者や化学薬品を扱う作業者のように、静電気により爆発の可能性のある職場で従事する労働者の除電用ワーキングウエアーとして使用することができる。更に、本発明の導電性繊維は、除電カーペットのパイルの一部として、さらに複写機の除電ブラシとしても用いることができる。
本発明の導電性複合繊維が特に好適に用いられる用途は、静電気が発生しやすいカーペットである。本発明の導電性複合繊維は、カーペットにおける除電繊維として好適に用いられる。例えばナイロンカーペットであれば、1000〜10000dtex程度の未延伸又は半延伸のナイロンマルチフィラメント糸に、本発明の導電性複合繊維を2〜10本加えて引き揃え、そして引き揃え糸を2〜4倍に延伸し、得られた延伸糸を織物又は編物にし、カットパイルカーペット又はループパイルカーペットにする。本発明の導電性複合繊維は適度な伸度(DE)を有するとともに、繊維物性の経時変化が小さいので、上記延伸工程における工程通過性が良好である。導電性複合繊維を製造してからカーペットを製造するまでには、時間がかかる場合が多いし、長距離の輸送を行うことも多いので、本発明の導電性複合繊維が好適に使用される。特に、上記延伸糸をパイル糸として基布に刺し込み、裏面にパイルの抜けを防ぐためのラテックスを塗り、化粧裏地を貼り付けた、いわゆるタフテッドカーペットに適している。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。本実施例における試験方法は以下のとおりである。
(1)伸度(DE)の経時変化
伸度(DE)は、JIS L1013に準じて測定した。紡糸直後の伸度(DE)を測定してから、60℃、80%RHの条件下で保管し、紡糸から1日後の伸度(DE)を測定するとともに、その後も上記条件下で保管し、適当な期間を空けて90日後くらいまで測定した。紡糸から60日後の伸度(DE60)については、ちょうど60日後に測定したデータがない場合、その前に測定した伸度とその後に測定した伸度との間で、伸度が直線的に変化するとして算出した。
(2)沸水収縮率(Wsr)の経時変化
沸水収縮率(Wsr)は、JIS L1013に準じて測定した。紡糸直後の沸水収縮率(Wsr)を測定してから、60℃、80%RHの条件下で保管し、紡糸から1日後の沸水収縮率(Wsr)を測定するとともに、その後も上記条件下で保管し、適当な期間を空けて90日後くらいまで測定した。紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)については、ちょうど60日後に測定したデータがない場合、その前に測定した伸度とその後に測定した伸度との間で、伸度が直線的に変化するとして算出した。
(3)導電性能
導電性能については、60℃、80%RHの条件下で保管した複合繊維が、10−8Ω/cm以下の抵抗値を維持する期間に基づき、以下のように判定した。複合繊維の抵抗値は、東亜電波工業株式会社製超絶縁計「SM8220」及び「SME8350」によって測定した。
○:紡糸から1年以上の間、上記抵抗値を維持する。
△:紡糸から6ヶ月以上、1年未満の間上記抵抗値を維持する。
×:紡糸から6ヶ月未満の間しか上記抵抗値を維持できない。
実施例1
導電層(A)用の原料として、導電性カーボンブラックを25重量%含有したポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる樹脂組成物(a)のペレットを用いた。また、保護層(B)用の原料として、平均粒子径0.4μmの酸化チタンを3重量%含有するポリエチレンテレフタレート(PET)ペレット90重量部に対し、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)ペレット10重量部を配合して使用した。樹脂組成物(a)からなる導電層(A)が鞘を形成し、樹脂組成物(b)からなる保護層(B)が芯を形成するように、導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)を20/80として複合紡糸を行い、紡糸温度285℃で紡出し、38dtex/2fの導電性マルチフィラメントを得た。
紡糸方法として、樹脂組成物(a)と樹脂組成物(b)の溶融物を合流して複合紡糸口金より溶融吐出し、吐出された溶融ポリマーを、一旦ガラス転移点未満の温度に冷却し、次いで加熱装置内を走行させて延伸熱処理し、その後に油剤を付与し、そして2200m/分の速度で巻き取る方法を用い、上記吐出糸条が最初にローラーあるいはガイドに接する以前に上記延伸熱処理を行った。なお、上記冷却方法として、25℃、60%RHの冷却風を0.5m/秒の速度でノズル直下の繊維に吹き当てた。また、延伸熱処理方法として、ノズル直下1.5mの位置に、直径3cm、長さ1mの加熱チューブを設け、チューブ内を180℃に保つ方法を用いた。繊維化工程性は良好で問題なかった。こうして得られた複合繊維について、伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能について経時的に測定した。その結果を図1に示すとともに、複合繊維の構成と評価結果について表1にまとめて示した。
実施例2
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット80重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット20重量部を配合して使用した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例1と同様に評価した。その結果と複合繊維の構成について、図2及び表1に示した。
実施例3
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット70重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット30重量部を配合して使用した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例1と同様に評価した。その結果と複合繊維の構成について、図3及び表1に示した。
実施例4
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット50重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット50重量部を配合して使用した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例1と同様に評価した。その結果と複合繊維の構成について、図4及び表1に示した。
比較例1
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレットのみを使用した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例1と同様に評価した。その結果と複合繊維の構成について、図5及び表1に示した。
実施例5
実施例2において、紡糸速度を2200m/分から1800m/分に変更した以外は実施例2と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、紡糸直後の伸度(DE)及び沸水収縮率(Wsr)を測定し、導電性能について経時的に測定した。評価結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
実施例6
実施例2において、紡糸速度を2200m/分から2900m/分に変更した以外は実施例2と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
実施例7
実施例2において、保護層(B)用の原料として、ポリエチレンテレフタレートペレットを用いる代わりに、全ジカルボン酸成分に対してイソフタル酸成分を8モル%含む変性ポリエチレンテレフタレートペレットを用い、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更した以外は、実施例2と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
実施例8
実施例1において、導電層(A)用の原料として、導電性カーボンブラックを35重量%含有したナイロン−6(NY)からなる樹脂組成物(a)のペレットを用い、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット85重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット15重量部を配合して使用し、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
実施例9
実施例1において、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更し、実施例1と同じ組成の導電層(A)が芯を形成し、実施例1と同じ保護層(B)が鞘を形成するように、導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)を45/55として複合紡糸を行った以外は、実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
実施例10
実施例1において、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更し、実施例1と同じ組成の導電層(A)が島を形成し、実施例1と同じ組成の保護層(B)が海を形成するように、導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)を20/80として複合紡糸を行って、4島を有する海島型の複合繊維を得た以外は、実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
比較例2
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット97重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット3重量部を配合して使用し、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
比較例3
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレット40重量部に対し、実施例1で用いたのと同じポリエチレン−2,6−ナフタレートペレット60重量部を配合して使用し、紡糸速度を2200m/分から2500m/分に変更した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
比較例4
実施例1において、保護層(B)用の原料として、実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレートペレットのみを使用し、紡糸速度を2200m/分から2900m/分に変更した以外は実施例1と同様にして導電性マルチフィラメントを得た。こうして得られた複合繊維について、実施例5と同様に評価した結果を、複合繊維の構成とともに表2に示した。
Figure 0004859916
Figure 0004859916
表1及び表2からわかるように、保護層(B)を構成する樹脂組成物(b)が、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなることによって、導電性複合繊維の伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能の経時変化が小さくなる(実施例1〜10)。これに対し、保護層(B)を構成する樹脂組成物(b)のポリエチレン−2,6−ナフタレートの含有量が5重量%未満である場合には、導電性複合繊維の伸度(DE)、沸水収縮率(Wsr)及び導電性能の経時変化が大きくなる(比較例1、2及び4)。すなわち、保護層(B)を構成する樹脂組成物(b)のポリエチレン−2,6−ナフタレートの添加効果が明らかである。
実施例1で得られた導電性マルチフィラメント糸(38dtex/2f)と、ナイロン−6,6からなる3500dtexの未延伸マルチフィラメント糸を引き揃え、それを2.6倍に延伸して延伸マルチフィラメント糸を製造した。また、実施例1で得られた導電性マルチフィラメント糸を一成分として用いて基布を製造した。この基布に、上記延伸マルチフィラメント糸をパイル糸として刺し込み、裏面に合成ゴムラテックスを塗布し、さらに化粧裏地を貼り付けてタフテッドカーペットを製造した。この製造工程、特に延伸工程において、導電性複合繊維の破断は全く見られず、導電性複合繊維が原因で製造工程にトラブルを招くことはなかった。得られたカーペットを冬場の特に乾燥した室内の床面に敷いて、その上を繰り返し歩行しても静電気は全く発生しなかった。また、カーペットに手を触れても静電気による不快感は全くなかった。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる導電層(A)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる保護層(B)とが複合され、伸度(DE)が100〜350%であることを特徴とする導電性複合繊維。
  2. 導電層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリブチレンテレフタレート又はポリアミドである請求項1記載の導電性複合繊維。
  3. 導電層(A)と保護層(B)との重量比(A/B)が5/95〜50/50である請求項1又は2記載の導電性複合繊維。
  4. 沸水収縮率(Wsr)が20〜60%である請求項1〜3のいずれか記載の導電性複合繊維。
  5. 60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の伸度(DE60)が、紡糸から1日後の伸度(DE)の1.3倍以下である請求項1〜4のいずれか記載の導電性複合繊維。
  6. 60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が、紡糸から1日後の沸水収縮率(Wsr)の0.3倍以上である請求項1〜5のいずれか記載の導電性複合繊維。
  7. 60℃、80%RHの条件下で保管した場合に、紡糸から60日後の沸水収縮率(Wsr60)が10%以上である請求項1〜6のいずれか記載の導電性複合繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか記載の導電性複合繊維を延伸した繊維が用いられたカーペット。
  9. 熱可塑性樹脂60〜80重量%及び導電性粒子20〜40重量%からなる樹脂組成物(a)と、ポリエチレンテレフタレート50〜95重量%及びポリエチレン−2,6−ナフタレート5〜50重量%からなる樹脂組成物(b)とを複合紡糸する導電性複合繊維の製造方法であって、溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させ、1500〜3000m/分の速度で巻き取ることを特徴とする導電性複合繊維の製造方法。
  10. 下記(1)〜(5)をその順序で行い、かつ下記(2)及び(3)を、吐出糸条が最初にローラー又はガイドに接する前に行うことを特徴とする請求項9記載の導電性複合繊維の製造方法:
    (1)溶融した樹脂組成物(a)と溶融した樹脂組成物(b)とを合流させて複合紡糸口金より溶融吐出させる
    (2)吐出された溶融樹脂組成物を、一旦ガラス転移点未満の温度に冷却する
    (3)次いで加熱装置内を走行させて延伸熱処理する
    (4)その後に油剤を付与する
    (5)1500〜3000m/分の速度で巻き取る。
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