JP6420141B2 - 導電性糸条およびその製造方法 - Google Patents

導電性糸条およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6420141B2
JP6420141B2 JP2014265056A JP2014265056A JP6420141B2 JP 6420141 B2 JP6420141 B2 JP 6420141B2 JP 2014265056 A JP2014265056 A JP 2014265056A JP 2014265056 A JP2014265056 A JP 2014265056A JP 6420141 B2 JP6420141 B2 JP 6420141B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
crystalline thermoplastic
conductive
fiber
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014265056A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016125152A (ja
Inventor
中塚 均
均 中塚
宣広 古賀
宣広 古賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2014265056A priority Critical patent/JP6420141B2/ja
Publication of JP2016125152A publication Critical patent/JP2016125152A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6420141B2 publication Critical patent/JP6420141B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Knitting Of Fabric (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、除電性能に優れた糸条に関する。詳しくは、実使用時の発塵性が抑えられ、拭取り性能に優れ、かつ導電性能が長期に亘り保持することができる多層貼り合わせ型複合繊維から得られる糸条に関する。
ハードディスクや磁気テープ等の精密電子機器部品や自動車のボディーでは、それらの表面にできる油膜や塵などの汚れの有無が品質・性能に重大な影響を及ぼすため、これら部品の製造工程には汚れの拭取り工程が設けられて、製品の清浄処理が行なわれるようになっている。
従来、このような拭き取り工程の拭き取り手段としては、例えば極細繊維を用いた布帛をスリットしたワイピングテープを使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この極細繊維を用いた布帛からなるワイピングテープは、通常繊度の繊維からなるワイピングテープに比べて被処理面への拭き残しが少ないため、より高い拭き取り性能を発揮することができるものであった。しかしながら、拭取り時の摩擦により発生する静電気によって塵・埃などが再付着する問題があった。
これらを防止するために、制電加工剤を塗布する制電加工によって静電気抑制が得られるものがあるが、低湿度などの環境や、洗濯を含めた耐久性に問題があるため安定な拭取り性が得られなかった。
さらに、特許文献1ではワイパー中に除電性能に優れた導電性繊維を使用する方法も提案されているが、導電性繊維の繊度が大きいため、拭取り時のキズや損傷など精密材料への品質に影響するため使用できなかった。
導電性繊維として、例えば導電性を有さない繊維の表面に金属メッキを施して導電性を付与したものや導電性カーボンブラックを樹脂やゴム類に分散させ、これを繊維表面にコートすることによって導電性被覆層を形成せしめたもの等がある。しかし、これらは製造工程が複雑で技術的に困難な方法によって得られるものであったり、導電性繊維を実用に供するための準備段階、例えば製織編のための精練工程での薬品処理や実使用における摩耗や繰返し洗濯といった外的作用によって導電性が容易に低下し実用の域を脱したりするという問題があつた。
他の導電性繊維として、スチール繊維のような金属繊維が挙げられるが、コストが高いこと、製織、染仕上工程でのトラブルの原因となること、あるいは拭き取り時に脱落が生じやすくトラブルの原因となること等が課題である。
さらに、導電性カーボンブラックを均一に分散させたポリマーを繊維化して導電性繊維を得る方法が提案されているが、導電性カーボンブラックを多量に含有するために繊維の製造が難しく、収率も悪く、コスト高であり、かつ繊維物性が著しく低下し、細繊度の導電性繊維を製造することが困難であった。
さらにまた別の導電性繊維として、例えば、芯鞘型複合繊維の芯成分ポリマーに導電性カーボンブラックを含有させ、それを通常の繊維形成性ポリマーからなる鞘で被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、導電性カーボンブラックを含む芯成分のかなりの部分が鞘成分を貫通して繊維の表面に露出している導電性繊維も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1の場合、繊維物性を保つため芯成分を50%以下にする必要があり、そのため非導電性の鞘成分が芯成分を厚く被覆し、芯成分中のカーボンブラック含有量を多くしないと充分な性能が発揮されないため細繊度のものはできないという課題があった。特許文献2は、前述した特許文献1の課題を解消しようとするものであるが、カーボンブラックを含む芯成分が表面に露出している割合が大きいため、細繊度にすることができなかった。
導電性ポリマー層と非導電性ポリマー層を組み合わせた複合繊維によって、細繊度の導電性繊維を製造することは可能であるが、分割後に導電性ポリマー層は単独の細繊度となり、低強度や実用時に導電性カーボンが剥離するなど、実用できる細繊度のものは得られなかった。
このように、長期耐久性に優れた除電性能と拭き取り性能が得られるワイパーやそれに用いることのできる特に細繊度の糸条は従来提案されていなかった。
特開平11−50350号公報 米国特許第3,803,453号公報 特公昭53−044579号公報
本発明の目的は、除電性能に優れ、該糸条を含む繊維製品を用いた拭き取り後の清浄度をこれまで以上に向上することができる糸条を提供することにあり、長期に安定な除電性能と同時に拭取り性能に優れる糸条を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、異なる2種類の結晶性熱可塑性樹脂を用い、その結晶性熱可塑性樹脂の片方に導電性樹脂組成物を含有する多層貼り合わせ型複合繊維からなる糸条が、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の構成は、異なる2種類の結晶性熱可塑性樹脂(A)および結晶性熱可塑性樹脂(B)を含有する多層貼り合わせ型複合繊維を分割させることにより製造される糸条であって、前記結晶性熱可塑性樹脂(B)は導電性樹脂組成物(C)を含有し、
前記結晶性熱可塑性樹脂(B)に対する前記導電性樹脂組成物(C)の含有比率が1〜50質量%であり、
前記導電性樹脂組成物(C)に対する導電性化合物の含有比率が15〜50質量%であり、
前記結晶性熱可塑性樹脂(A)のSP値(ΦA)、および結晶性熱可塑性樹脂(B)のSP値(ΦB)が5.0≧|(ΦB)−(ΦA)|≧1.2であり、
前記糸条の繊維横断面の長軸の長さ(a)および短軸の長さ(b)が(a)/(b)≧1.2であり、
前記糸条の単繊維繊度が0.05〜1.0dtexであり、
前記糸条の電気抵抗率が5.0×106〜5.0×108Ω/(cm・ヤーン)である、糸条である。
前記結晶性熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミドまたはポリエステルを含む糸条であってもよく、結晶性熱可塑性樹脂(B)が、ポリアミドを含んでいてもよい。
また、前記結晶性熱可塑性樹脂(B)のポリアミドが、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であるジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60%モル以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン成分と、からなる熱可塑性ポリアミドであってもよい。
前記導電性樹脂組成物(C)が、少なくとも導電性化合物(D)および熱可塑性樹脂(E)を含んでいてもよい
本発明の第2の構成は、これら糸条を少なくとも一部に含有する繊維集合体であってもよく、また、糸条を少なくとも一部に含有する繊維製品であってもよく、該繊維集合体を少なくとも一部に含有する繊維製品であってもよい。
本発明の第3の構成は、アルカリ熱水溶液または酸熱水溶液を用いた化学的方法、および/または物理的方法により前記多層張り合わせ複合繊維を剥離分割させる糸条の製造方法である。
本発明の糸条は、長期に安定な除電効果と同時に優れた拭取り性能を有する。
本発明における多層貼り合わせ型複合繊維の断面に関する、一実施形態の模式図。 本発明における図1とは異なる多層貼り合わせ型複合繊維の断面に関する、一実施形態の模式図。 本発明とは異なる複合繊維の断面に関する、一形態の模式図。
本発明の導電性糸条は、異なる2種類の結晶性熱可塑性樹脂(A)、(B)を含有する多層貼り合わせ型複合繊維を分割させることにより製造されることが重要であり、結晶性熱可塑性樹脂(A)からなる極細繊維、および導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)からなる極細繊維を含有する糸条である。
まず、本発明における導電性樹脂組成物(C)について詳細を説明する。本発明において、導電性樹脂組成物(C)は少なくとも樹脂と導電性化合物を含む。該導電性化合物としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボン系導電性化合物が例示されるが、本発明においてはカーボンブラックを用いることが好ましく、後述する導電性カーボンブラックを用いることがより好ましい。
本発明に用いるカーボンブラックは、10−3〜10Ω・cmの固有電気抵抗を有する導電性カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックが完全に粒子状分散をしている場合は一般に導電性が不良であり、ストラクチヤーと呼ばれる連鎖構造を形成している場合には、導電性能が向上して導電性カーボンブラックと称されるものになる。したがって、導電性カーボンブラックによって樹脂組成物を導電化するに当たっては、このストラクチヤーを破壊しないでカーボンブラックを分散させることが肝要となる。
一般に、通常の延伸を行うとストラクチャーが破壊され易いこととなるため、本発明では、特許第4902652号公報(段落0056および段落0057)において開示されている特殊な延伸方法を使用することが好ましい。該延伸方法は、繊維が延伸されているにもかかわらず、ストラクチャーがほとんど破壊されないという特長を有している。すなわち、従来の一般的な延伸方法は、ローラー間の速度差により無理に延伸する方法であるため、繊維が無理に延伸されストラクチャーが切断されることとなるが、本発明のように、ローラー間で延伸を行う方法ではなく、繊維の自由延伸に委ねるような方法の場合には、無理な張力が繊維にかからないため、ストラクチャーが切断され難くなる。
そして、導電性カーボンブラックを含有する組成物の電気伝導メカニズムとしては、カーボンブラック連鎖の接触によるものとトンネル効果によるものが考えられているが、前者の方が主と考えられている。したがって、カーボンブラックの連鎖は長い方が、また高密度で樹脂組成物中にカーボンブラックが存在する方が、カーボンブラック同士の接触確率が大きくなり高導電性となる。連鎖を長くするためには、導電性樹脂組成物(C)を結晶化させ、かつ非晶部が分子運動できるようなルーズな構造にすると、カーボンブラックが非晶部に集中して非晶部のカーボン濃度が高くなり、導電性能が高くなる。
本発明において、導電性樹脂組成物(C)に含まれる導電性化合物は、導電性樹脂組成物(C)に対して好ましくは15〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%含有される。導電性化合物の含有量が15質量%より少ない場合には目的とする導電性が得られず、充分な除電性能は発揮されない場合がある。一方、50質量%を超える場合は、導電性のより一層の向上は認められず、樹脂組成物(C)の流動性が著しく低下して紡糸性が極端に悪化するので好ましくない。
次に、本発明の導電性樹脂組成物(C)を構成する樹脂について説明する。該樹脂組成物(C)を構成する樹脂としては、200℃以上の融点を有することが実用耐久性の点で好ましく、そのような樹脂として熱可塑性ポリアミドまたは熱可塑性ポリエステルであることが好ましい。特に、導電性化合物を多量に添加でき導電性能をより高められる点から、熱可塑性ポリアミドを用いることがより好ましく、具体的にはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンエラストマー、半芳香族ポリアミド等を挙げることができる。
また、熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。なかでも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレート単位あるいはブチレンテレフタレート単位を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリエステルが好ましい。
特に、ポリブチレンテレフタレート系の樹脂、すなわちブチレンテレフタレート単位を80モル%以上含有するポリエステル系の樹脂が導電性化合物を練り込みやすく、且つ結晶化しやすいことから高い導電性能が得られるので好ましい。ポリエチレンテレフタレート系の樹脂も使用可能であるが、導電性化合物を多量に添加すると溶融紡糸の際の紡糸性が低下することとなる。その際、紡糸性を高めるために共重合ポリエチレンテレフタレートを用いるということも考えられるが、共重合ポリエチレンテレフタレートを使用すると一般に結晶性が低下し、導電性能が低下することとなる。以上のことから、結晶を形成しやすいポリエステル系の樹脂であるポリブチレンテレフタレート系樹脂が特に優れていることとなる。また、導電層を構成する樹脂の融点は200℃以上であることが実用耐久性の点で必要である。好ましくは210℃以上250℃以下である。
導電性樹脂組成物(C)を構成する樹脂は、結晶性熱可塑性樹脂(B)との接着性が向上するため、以下に記載する結晶性熱可塑性樹脂(B)と同一であることが好ましい。
次に、結晶性熱可塑性樹脂(B)について説明する。結晶性熱可塑性樹脂(B)は、良好な工程性を維持することと導電性樹脂組成物(C)との界面剥離を生じさせず、長期耐久性能を維持するための重要な役割を担っている。結晶性熱可塑性樹脂(B)に含まれる樹脂の好ましい例としては、熱可塑性ポリアミドや熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等を使用することができる。特に融点が210℃以上の熱可塑性結晶性樹脂が、耐久性能の点で好ましく使用される。曳糸性に劣る樹脂は基本的には本発明の結晶性熱可塑性樹脂(B)に含まれる樹脂としては不適である。
前述したように、本発明において、結晶性熱可塑性樹脂(B)として熱可塑性ポリアミドを用いることが好ましく、4,6−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等の脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミドが挙げられる。より好ましいものとしては、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,12−ナイロン、12−ナイロンが挙げられるが、特に、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であるジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン成分と、からなる熱可塑性ポリアミドが、低吸湿性であり導電性能の安定性につながる点から好ましい。
また、熱可塑性ポリエステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールAまたはビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールなどのジオール成分を用いて形成された繊維形成性ポリエステルを挙げることができる。なかでも汎用ポリエステルであるエチレンテレフタレート単位および/またはブチレンテレフタレート単位を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリエステルを挙げることができ、少量の第3成分を含む変性ポリエステルも使用することが可能である。さらに、これらに少量の添加剤、蛍光増白剤、安定剤等を含んでいてもよい。これらのポリエステルは、繊維化する際の溶融粘度特性が良好であり、更に繊維物性、耐熱性が優れたものとなる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート系のポリエステルが繊維化工程性、繊維物性、耐久性の点で好ましい。特に、融点が240℃以上、280℃以下のポリエステルが好ましい。さらに、導電性樹脂組成物(C)を構成する樹脂よりも融点が10〜50℃高い樹脂が、結晶性熱可塑性樹脂(B)に含まれることが好ましい。
さらに、本発明においては、導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)のSP値(ΦB)と導電性樹脂組成物(C)のSP値(ΦC)が0≦|(ΦB)−(ΦC)|≦1.1を満足することが好ましい。この条件を満足する組み合わせのものは、両ポリマーの接着性が良好で、界面剥離が生じ難く、繊維物性の点でも優れている。|(ΦB)−(ΦC)|が1.1を超える場合には、界面剥離が生じ易く、実用における耐久性は得られにくい。
前述した結晶性熱可塑性樹脂(B)が導電性樹脂組成物(C)を含有する態様としては、導電性能および拭き取り性能の点から、繊維断面において、導電性樹脂組成物(C)の周囲を結晶性熱可塑性樹脂(B)が被覆していることが好ましい。特に、導電性樹脂組成物(C)が芯成分、結晶性熱可塑性樹脂(B)が鞘成分となった芯鞘型の構造を有していることが好ましい。また、結晶性熱可塑性樹脂(B)中の導電性樹脂組成物(C)の含有量は、結晶性熱可塑性樹脂(B)に対して1〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは3〜45質量%であり、さらに好ましくは5〜40質量%である。
一方、本発明における多層貼り合わせ型複合繊維において、導電性化合物を含有しない結晶性熱可塑性樹脂(A)は、良好な工程性を維持することと多層貼り合わせ型複合繊維を容易に分割させることが重要であるため、結晶性熱可塑性樹脂(B)と異なる樹脂により多層貼り合わせ型複合繊維を構成する必要がある。なお、結晶性熱可塑性樹脂(A)の好ましい例としては、前記した結晶性熱可塑性樹脂(B)として挙げた熱可塑性ポリアミドや熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンおよびその共重合体、エチレン単位を25モル%〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
さらに、本発明の多層貼り合わせ型複合繊維に含有される結晶性熱可塑性樹脂のSP値(ΦA)、および結晶性熱可塑性樹脂(B)のSP値(ΦB)が5.0≧|(ΦB)−(ΦA)|≧1.2であることが好ましい。|(ΦB)−(ΦA)|が1.2より小さい場合、多層貼り合わせ型複合繊維の分割性が得られず、狙いとする極細繊維が得られない。また、|(ΦB)−(ΦA)|が5.0より大きい場合は、安定な繊維化工程通過性が得られない。好ましくは4.0≧|(ΦB)−(ΦA)|≧1.5であり、より好ましくは3.5≧|(ΦB)−(ΦA)|≧2.0である。
ここで本発明の溶解度パラメーターSP値〔(cal/cm1/2〕は、ポリマーハンドブック第2版(Polymer Handbook SECOND EDITION)(John Wiley & Sons, Inc. 1975)IV−339頁表B1又は表B2記載のGroup Molar Attraction Constants(G)と分子量(M)、密度(d)、樹脂の構造式、SP値=d×ΣG/Mの式を用いて計算される値である。
また本発明においては、結晶性熱可塑性樹脂(A)および/または結晶性熱可塑性樹脂(B)中に、平均粒径0.01〜1μmの導電性化合物以外の無機微粒子が0.05〜10質量%の割合で含有されていてもよく、多層貼り合わせ型複合繊維の紡糸性の点で、さらには製編織性の点で好ましい。無機微粒子の含有量が0.05質量%未満の場合には、得られた導電性糸条にループ、毛羽、繊度斑等を生じ易くなり、10質量%を超えると工程通過性が悪く断糸の原因となる。より好ましくは0.2質量%〜5質量%の割合で無機微粒子が含有していてもよい。
前記無機微粒子の種類としては、樹脂に対して実質的に劣化作用をもたず、それ自体で安定性に優れるものであればいずれも使用できる。かかる無機微粒子の代表例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機微粒子を挙げることができ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。
前記無機微粒子の平均粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.6μmである。平均粒径が0.01μm未満であると延伸時の糸条にかかる張力などに僅かな変動を生じても得られる繊維にループや毛羽、繊度斑などが発生するようになる。一方、平均粒径が1μmを超えると繊維の紡糸性、延伸性の低下をもたらし、紡糸断糸、延伸捲付などを発生し易くなる。尚、ここでいう無機微粒子の平均粒径とは遠心沈降法を用いて求めた値をいう。また本発明の平均粒径は、一次平均粒径を表す。
前記無機微粒子の添加方法については特に制限されず、ポリマーの重合時から溶融紡出直前までの任意の段階で樹脂中に無機微粒子が均一に混合されるように添加、混合すればよい。
また本発明においては、結晶性熱可塑性樹脂(A)および/または結晶性熱可塑性樹脂(B)中に、必要に応じて、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤およびその他の添加剤の1種または2種以上を含有してもよい。
前述した結晶性熱可塑性樹脂(A)、結晶性熱可塑性樹脂(B)、導電性樹脂組成物(C)を用いて、図1および図2に示すような多層貼り合わせ型複合繊維を製造することにより、本発明の導電性糸条を得ることができる。該多層貼り合わせ型複合繊維において、(A)、(B)、(C)の各成分の複合比率は、(A):(B):(C)=20:79.1:0.9〜(A):(B):(C)=50:25:25(質量比)であることが好ましい。結晶性熱可塑性樹脂(A)が20質量%未満、または50質量%より大きい場合、安定した複合構造として紡糸することが困難となる。特に、繊維断面において導電性樹脂組成物(C)とそれを含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)が安定に連続性をもつ繊維を得るのが難しくなる。好ましい態様において導電性樹脂組成物(C)の周囲を被覆する結晶性熱可塑性樹脂(B)の比率が25質量%未満では、ワイパー時の外的作用に対する耐久性が不十分となる場合があり、79.1質量%より大きい場合は繊維断面の安定な連続性が得られない場合がある。さらに、導電性樹脂組成物(C)が0.9質量%未満では安定した導電性能が得られず、25質量%より大きい場合は複合繊維の安定な断面形成性が得られない場合が多い。各成分の複合比率は、より好ましくは(A):(B):(C)=30:62:8〜(A):(B):(C)=45:37:18の範囲である。なお、ここで(A)、(B)、(C)の比率は(A)+(B)+(C)=100を満たす。
前述したような異なる2種類の結晶性熱可塑性樹脂(A)および結晶性熱可塑性樹脂(B)を含有し、結晶性熱可塑性樹脂(B)に導電性樹脂組成物(C)を含有する多層貼り合わせ型複合繊維に対し、アルカリ熱水溶液または酸熱水溶液を用いた化学的方法、および/または物理的方法により剥離分割させることで、本発明の糸条が得られる。具体的には、アルカリ水溶液による処理、ポリアミド膨潤剤による処理等の化学的方法および/または仮撚加工等の物理的方法を施すことにより容易に分割することである。化学的方法の場合は、結晶性熱可塑性樹脂(A)を一部溶解する処理方法を選択することが好ましい。このように多層貼り合わせ型複合繊維を剥離分割することで製造される、本発明の糸条は、極細繊維となる。結晶性熱可塑性樹脂(A)からなる極細繊維、および導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)からなる極細繊維は、繊維横断面が角を有する形状となりエッジ効果が生じるため、たとえば図3に示す丸断面と比較して優れた拭き取り性能を発現する。
本発明の糸条において、多層貼り合わせ型複合繊維を分割した後の結晶性熱可塑性樹脂(A)からなる糸条および導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)糸条の繊維横断面は(a)/(b)≧1.2を満たすことが重要である。ここで(a)は繊維横断面の長軸の長さを表し、(b)は繊維横断面の短軸の長さを表す。繊維横断面が(a)/(b)≧1.2を満足する扁平な断面とすることにより、ワイピング性において接触面積の増加とエッジ効果により、優れた拭き取り性能が発現する。好ましくは(a)/(b)≧1.5であり、より好ましくは(a)/(b)≧2.0である。なお、本発明において、繊維横断面の長軸の長さ(a)と短軸の長さ(b)は、繊維横断面の拡大写真を用いて繊維断面形状に沿って切り取り、該断面の長軸および短軸の長さをそれぞれ測定し、その比を簡単に求めることができる。
また、本発明の糸条において、多層貼り合わせ型複合繊維を剥離分割させた後の結晶性熱可塑性樹脂(A)からなる糸条および導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)からなる糸条の単繊維繊度は0.05〜1.0dtexであることが、拭き取り性能の点から重要である。好ましくは0.1〜0.8dtexであり、より好ましくは0.2〜0.5dtexである。
本発明の糸条の電気抵抗率は、5.0×10〜5.0×10Ω/(cm・ヤーン)であることが好ましい。電気抵抗率がこの範囲を満たすことで、安定な除電効果を発現し、その結果長期にわたり優れた拭き取り性能を有する。さらに好ましい電気抵抗率は、6.0×10〜3.0×10Ω/(cm・ヤーン)である。電気抵抗率を5.0×10未満にするためには、導電性樹脂組成物(C)の含有率を上げる必要があるが、繊維化工程性の悪化や拭き取り時の脱落の問題が発生するため好ましくない。電気抵抗率が5.0×10を超えると十分な拭き取り性能が得られない。本発明において、多層貼り合わせ型複合繊維を分割するが、分割後に結晶性熱可塑性樹脂(A)からなる極細繊維が存在することが重要であり、導電性樹脂組成物(C)を含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)からなる極細繊維に長期耐久性を与え、安定に拭き取り性能を維持することが可能となる。
本発明における多層貼り合わせ型複合繊維の製造方法は特に限定されず、例えば、公知の多層貼り合わせ型複合繊維を製造するために使用される溶融紡糸装置を用い、複合紡糸を行い、その後延伸する方式で製造してもよいし、高速紡糸を行い、延伸工程を省略する方式で製造してもよい。ただし、結晶性熱可塑性樹脂(B)が導電性樹脂組成物(C)を出来る限り被覆するようにするために、紡糸装置内での分配板における導電性樹脂組成物(C)の導入孔と結晶性熱可塑性樹脂(B)用の導入孔の位置関係を調節したり、導電性樹脂組成物(C)と結晶性熱可塑性樹脂(B)の複合比率を調整したりすることが好ましい。
本発明における多層貼り合わせ型複合繊維の分割処理後における分割度が30%以上であることが好ましい。ここで、分割度とは、次の方法によって測定された値をいう。即ち、測定すべき区域にある複合繊維(分割されて繊維束の状態となっているもの、一部分割化していないものを含む)について任意の100本の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、実際に分割されて存在する分割後の極細繊維の本数(N)を計数する。この場合全く分割されていない複合繊維は1本と数え、また一部分割化しているものは半分割の複合繊維とそれから分割されて存在する極細繊維とを合計して数える。次に該100本の複合繊維が完全に分割されたと想定した場合に得られる分割後の極細繊維の本数(Np)を算出し、N/Np×100の値を、本発明の糸条における分割度とする。なお、上記分割度は、分割処理条件として、本発明の複合繊維をアルカリ水溶液(NaOH濃度4g/L)、または酸溶液(安息香酸1g/L)中で、98℃で5〜20分間、浸漬撹拌処理し、乾燥させたものについて求める。
本発明では、多層貼り合わせ型複合繊維の単繊維繊度や総dtex数は、最終的に分割後の単繊維繊度が0.05〜1.0dtexにするために調整することが必要である。用途などに応じて適宜調節することができるが、本発明の方法は、特に分割前の多層貼り合わせ型複合繊維としての単繊維繊度が0.5〜6dtex、総dtex数が30〜200dtexの複合繊維(マルチフィラメント糸)を製造するのに適している。ここで総dtexとはマルチフィラメントとしての繊度を表す。
本発明の多層貼り合わせ型複合繊維から製造される糸条は、各種繊維集合体として用いることが可能である。本発明における繊維集合体とは、本発明の糸条よりなる編織布、不織布は言うに及ばず、該糸条を一部使用してなる編織布や不織布、例えば通常の天然繊維、化学繊維、合成繊維との交編織布、あるいは混紡糸としての編織布、不織布等であっても良い。編織布あるいは不織布に占める本発明の糸条は、1質量%以上、特に3質量%以上である事が本発明の十分な効果が得られる点で好ましい。また編成、製織或いは不織布とした後に、必要に応じて針布起毛等による起毛を行ったものであっても本発明には何ら差しつかえない。
本発明の糸条は、各種繊維製品として用いることが可能である。さらに前記繊維集合体を繊維製品に用いてもよい。具体的にはワイパー等の繊維製品に好適に用いることができる。
以下に本発明について実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例において、多層貼り合わせ型複合繊維の紡糸性、糸条の電気抵抗率の測定、得られた編物(ワイピングクロス)の拭き取り性、および帯電電荷量は以下のようにして測定または評価した。
[多層貼り合わせ型複合繊維の紡糸性]
多層貼り合わせ型複合繊維を20kg紡糸し、紡糸時の断糸の有無を調べると共に得られた複合繊維における毛羽の発生の有無を目視により観察して、下記に示す評価基準にしたがって評価した。
<複合繊維の紡糸性の評価基準>
◎:紡糸時に断糸が何ら発生せず、しかも得られた多層貼り合わせ型複合繊維には毛羽が全く発生しておらず、紡糸性が極めて良好である。
○:紡糸時に断糸が発生せず、そして得られた多層貼り合わせ型複合繊維には毛羽が僅かに発生していたが、紡糸性がほぼ良好である。
△:100kgを紡糸したときに、断糸が3回まで発生し、紡糸性が不良である。
×:100kgを紡糸したときに、断糸が3回よりも多く発生し、紡糸性が極めて不良である。
[繊維の電気抵抗率R]
電圧電流計法により、平行クリップ電極にセットされた糸条(ヤーン)の試料に、直流電圧25〜500Vを印可し、その電圧とその時の試料に流れる電流値からオームの法則により求めた。また、本発明で規定される電気抵抗率R(Ω/(cm・ヤーン)は、100V印可時で求めたものである。
[ワイピングクロスの拭き取り性]
本発明の糸条を含有するワイピングクロスを試験布として、拭き取り性能評価用の汚染物質を付着させたスライドグラスを摩擦試験機(JIS L 0823に準拠した試験機)の平面型試験台に仮接着し、試験布を装着した摩擦子により拭き取りを実施した。拭き取り荷重は200g、拭き取り幅は20mm、拭き取り応力は100g/mmの条件で拭き取りを数回行い、拭き取り前後の透過光率を測定し、下記により算出した。
拭き取り率(%)=[(Wn−W)/(Wb−W)]×100
Wb:スライドグラスの380nmまたは580nmにおける透過率
Wn:拭き取り後の透過率
:拭き取り前の透過率
<汚染物質を付着させた試料の調製>
a.ニコチン
燻蒸箱中にスライドグラス(20枚)を水平に設置し、タバコ(ピ−ス)約20本にて燻蒸し、ニコチンを主体として汚染物質を付着させた。可視光線透過率は20%以下になるように調整した。
b.潤滑油
スライドグラスに枠を設置し、市販の潤滑油を30cmの距離から3秒間スプレーして試料とした。
c.糊
スライドグラスにコーンスターチ10g/Lよりなる糊(0.5g/cm2 )を塗布した。
[ワイピングクロスの帯電電荷密度]
本発明の糸条を含有するワイピングクロスを試験布として、労働省安全研究所発行の静電気安全指針のRIISTR78−1によって行った(22℃、30%RHの部屋に24時間放置後測定)。洗濯は、浴比1:30、合成洗剤(弱アルカリ性)を標準使用量添加して、40℃で5分間洗濯し、ついで浴比1:30の水で2回溜め濯ぎを行い、5分間脱水を行う過程を250回繰り返し、初期の帯電電荷密度(μC/m)と洗浄後の帯電電荷密度(μC/m)とを比較した。
[単繊維繊度の測定方法]
オートバイブロ式繊度測定器(サーチ制御電気社製、Denior ComputerDC−11)を使用し、温度25℃、湿度65%の条件下で測定した。測定は5回行い、平均値を使用した。
[実施例1]
導電性樹脂組成物(C)として導電性カーボンブラック(吸油量;115cc/100g)を35質量%含有したナイロン6を、結晶性熱可塑性樹脂(B)として一次平均粒径0.4μmの酸化チタンを0.5質量%含有するナイロン6(宇部興産社製「1013BK」)を、結晶性熱可塑性樹脂(A)として一次平均粒径0.5μmの酸化チタン0.5質量%含有するポリエチレンテレフタレート(溶融粘度0.65)を用い、(A):(B):(C)=30:56:14(質量比)の複合比率とし、それぞれギアポンプで計量した後、紡糸パック内に供給し、口金温度290℃で吐出し、速度1000m/分で巻き取った。ついで倍率2.5倍で75℃のローラヒーターで延伸を施し、130℃のプレートヒーターで熱セットして56dtex/12フィラメントの延伸糸を得た。糸条の断面は、図1に示すような縦割り分割型断面(11層交互貼り合わせ型)構造とした。この多層貼り合わせ型複合繊維を仮撚数4100T/M、温度170℃で仮撚を施し、分割処理し、単繊維繊度0.47dtexの極細繊維からなる導電性糸条を得た。
次にナイロン6(宇部興産社製「1013BK」)と極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレ−トを用い、別々の押出機で溶融押出し、複合割合がナイロン6:ポリエチレンテレフタレ−ト=33:67(質量比)となるようにそれぞれギアポンプで計量した後、紡糸パック内に供給し、口金温度290℃で吐出し、速度1000m/分で巻き取った。ついで倍率2.9倍で75℃のローラヒーターで延伸を施し、130℃のプレートヒーターで熱セットして84dtex/24フィラメントの延伸糸を得た。糸条の断面は、縦割り分割型断面(11層交互貼り合わせ型)構造とした。続いて、この延伸糸に仮撚数3390T/M、温度170℃で仮撚を施し、分割処理を行った。得られたポリエステルおよびポリアミドからなる捲縮加工糸の単繊維繊度は約0.32dtexであった。この極細繊維を2本に合糸し(167dtex/48フィラメント)、さらに上述の結晶性熱可塑性樹脂(A)、結晶性熱可塑性樹脂(B)および導電性樹脂組成物(C)からなる導電性糸条を混繊して筒編地を作成し、リラックス、水洗、乾燥、プレセット、微アルカリ減量(5wt%減量)、水洗処理を施して乾燥し、布帛を得た。この布帛を用いて、ワイピングクロスとしての性能評価を行った。結果を表1、表2に示す。
[実施例2〜7]
導電性樹脂組成物(C)、それを含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)、および結晶性熱可塑性樹脂(A)の種類と複合比率と断面を形成する紡糸ノズル部品を変更し、表1に示す値とした以外は実施例1と同様にして、多層貼り合わせ型複合繊維、それから得られる導電性糸条、さらにそれを用いてワイピングクロスを作成し、性能評価に供した。結果を表2に示す。
[比較例1、比較例2]
導電性樹脂組成物(C)を芯とし、それを含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)を鞘成分とする芯鞘断面を形成する紡糸ノズル部品を変更し、表1および表2に示す値と断面とする以外は実施例1と同様にして、図3に表す丸断面の芯鞘型複合繊維を作成し、さらにそれを用いてワイピングクロスを作成し、性能評価に供した。結果を表1、表2に示す。
[比較例3、比較例4]
導電性樹脂組成物(C)、それを含有する結晶性熱可塑性樹脂(B)、および結晶性熱可塑性樹脂(A)の種類と複合比率と断面を形成する紡糸ノズル部品を変更し、表1に示す値とする以外は実施例1と同様にして多層貼り合わせ型複合繊維および多層貼り合わせ型複合繊維を分割して得られる糸条を得、さらにワイピングクロスを作成して性能評価に供した。結果を表2に示す。
実施例1〜7について、いずれも初期と洗濯後も優れたワイピング性能を示すもので長期耐久性能に優れている。比較例1〜3はいずれも拭き取り性能が不十分であったが、極細化が不十分で表面積と除電不足による性能不良であった。比較例4は繊維化工程性が得られないこととワイピング性能不良であった。
本発明により、除電性能に優れる糸条、特に拭き取り後の清浄度をこれまで以上に向上することができる糸条を提供することができ、さらに長期に安定な除電効果と同時に拭取り性能に優れる糸条を提供することができる。
1 導電性樹脂組成物(C)
2 結晶性熱可塑性樹脂(B)
3 結晶性熱可塑性樹脂(A)

Claims (9)

  1. 異なる2種類の結晶性熱可塑性樹脂(A)および結晶性熱可塑性樹脂(B)を含有する多層貼り合わせ型複合繊維を分割させることにより製造される糸条であって、前記結晶性熱可塑性樹脂(B)は導電性樹脂組成物(C)を含有し、
    前記結晶性熱可塑性樹脂(B)に対する前記導電性樹脂組成物(C)の含有比率が1〜50質量%であり、
    前記導電性樹脂組成物(C)に対する導電性化合物の含有比率が15〜50質量%であり、
    前記結晶性熱可塑性樹脂(A)のSP値(ΦA)、および結晶性熱可塑性樹脂(B)のSP値(ΦB)が5.0≧|(ΦB)−(ΦA)|≧1.2であり、
    前記糸条の繊維横断面の長軸の長さ(a)および短軸の長さ(b)が(a)/(b)≧1.2であり、
    前記糸条の単繊維繊度が0.05〜1.0dtexであり、
    前記糸条の電気抵抗率が5.0×10〜5.0×10Ω/(cm・ヤーン)である、糸条。
  2. 前記結晶性熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミドまたはポリエステルを含む、請求項1に記載の糸条。
  3. 前記結晶性熱可塑性樹脂(B)が、ポリアミドを含む、請求項1または請求項2に記載の糸条。
  4. 前記ポリアミドが、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であるジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであるジアミン成分と、からなる熱可塑性ポリアミドである、請求項3に記載の糸条。
  5. 導電性樹脂組成物(C)が、少なくとも導電性化合物(D)および熱可塑性樹脂(E)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の糸条。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の糸条を少なくとも一部に含有する繊維集合体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の糸条を少なくとも一部に含有する繊維製品。
  8. 請求項に記載の繊維集合体を少なくとも一部に含有する、請求項に記載の繊維製品。
  9. アルカリ熱水溶液または酸熱水溶液を用いた化学的方法、および/または物理的方法により前記多層張り合わせ複合繊維を剥離分割させる、請求項1〜のいずれか1項に記載の糸条の製造方法。
JP2014265056A 2014-12-26 2014-12-26 導電性糸条およびその製造方法 Active JP6420141B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014265056A JP6420141B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 導電性糸条およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014265056A JP6420141B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 導電性糸条およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016125152A JP2016125152A (ja) 2016-07-11
JP6420141B2 true JP6420141B2 (ja) 2018-11-07

Family

ID=56356712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014265056A Active JP6420141B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 導電性糸条およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6420141B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57143525A (en) * 1981-02-26 1982-09-04 Toray Ind Inc Preparation of ultrafine electrically conductive fiber
JPS59201366A (ja) * 1983-04-27 1984-11-14 Kanai Hiroyuki アルカリ電池用セパレ−タ−
JP4482209B2 (ja) * 2000-08-24 2010-06-16 株式会社クラレ 黒板拭き

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016125152A (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4902545B2 (ja) 導電性複合繊維及びその製造方法
JP4902652B2 (ja) 導電性芯鞘型複合繊維及びその製造方法
JP4923174B2 (ja) 導電性複合糸及び導電性布帛
JP2005054277A (ja) 繊維および布帛
JP4859916B2 (ja) 導電性複合繊維及びその製造方法
JP3778088B2 (ja) スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP2004225214A (ja) 導電性複合繊維
JP6420141B2 (ja) 導電性糸条およびその製造方法
JP2004044071A (ja) 導電性複合繊維及び導電性織編物
JP3753658B2 (ja) ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸
JP6231858B2 (ja) 極細導電性複合繊維及びその製造方法
JP6118561B2 (ja) 導電性複合繊維
JP2005002535A (ja) 導電性複合繊維
JP7340183B1 (ja) 芯鞘型ポリエステル複合繊維、及びその製造方法
JP2007224448A (ja) 導電性複合繊維
JP3210787B2 (ja) 導電性混繊糸
JP4298675B2 (ja) ポリトリメチレンテレフタレートマルチフィラメント糸
JP3958227B2 (ja) 混繊糸
JP2007056382A (ja) 高比重複合繊維の製造方法
JP2813368B2 (ja) 制電性複合繊維
JP2007224447A (ja) 導電性複合繊維およびその製造方法
CN117813425A (zh) 芯鞘型聚酯复合纤维及其制造方法
JPH0253915A (ja) 導電性複合繊維及びその製造方法
JP2006274512A (ja) 導電性複合繊維の製造方法
JPH05195323A (ja) 導電性複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170628

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181011

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6420141

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150