JP4846677B2 - 砒素含有溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、砒素含有溶液の処理方法に関し、特に、非鉄製錬の製錬中間物などの砒素以外の各種の元素を含む砒素含有物質を処理して得られる高純度で高濃度の砒素含有溶液のような砒素含有溶液の処理方法に関する。
非鉄製錬において生成される各種の製錬中間物や製錬原料には、有価金属が含まれているが、砒素などの好ましくない元素も含まれている。
従来、砒素を含む製錬中間物などから砒素を浸出して分離して回収する方法として、湿式反応により砒素を分離して砒素含有溶液を回収する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、砒酸鉄溶液中に存在する砒素を鉄との安定な結晶性で且つ不溶出性の鉄・砒素化合物として除去して固定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、砒素含有溶液に鉄(II)溶液および鉄(III)溶液の少なくとも一方を加えて反応させてスコロダイト(Scorodite)(FeAsO・2HO)を生成させ、固液分離して銅を含む非鉄金属成分を含有するスコロダイトを回収し、得られた銅を含む非鉄金属成分を含有するスコロダイトに水を加えてリパルプし、スコロダイトに含まれる銅を含む非鉄金属成分を液中に溶かしてスコロダイトから分離する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、砒素を含む煙灰から酸溶液により砒素を浸出し、その浸出液に鉄イオンを含む酸性水溶液を混合して非晶質の砒酸鉄(FeAsO)を沈澱させた後、その混合液を加温して非晶質の砒酸鉄を結晶化し、その混合液をろ過して結晶化された砒酸鉄を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特公昭61−24329号公報(第1−3頁) 特開平11−277075号公報(段落番号0013−0014) 特開2000−219920号公報(段落番号0007) 特開2005−161123号公報(段落番号0006)
しかし、特許文献1は、砒素含有溶液を回収するまでの方法を提案しているが、その回収された砒素含有溶液を安定な不溶出性の物質まで固定する方法について提案していない。また、特許文献2〜4の方法によって生成される従来の鉄と砒素の化合物よりもさらに安定な不溶出性の鉄と砒素の化合物を生成することが望まれている。特に、特許文献4の方法では、非晶質の砒酸鉄を沈澱させた後に非晶質の砒酸鉄を結晶化するので、非常に長時間を要するという問題がある。
また、砒素含有溶液からの脱砒素率を高くするとともに、pHが高くても砒素の溶出濃度が非常に小さい鉄と砒素の化合物を生成して回収することができるようにすることが望まれている。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、非鉄製錬の製錬中間物などの砒素以外の各種の元素を含む砒素含有物質を処理して得られる高純度で高濃度の砒素含有溶液のような砒素含有溶液を処理して、砒素含有溶液からの脱砒素率を高くすることができるとともに、pHが高くても砒素の溶出濃度が非常に小さい鉄と砒素の化合物を生成して回収することができる、砒素含有溶液の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、20g/L以上の砒素を含む溶液に2価の鉄イオンを加えて、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)を1以上にし、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させてFeとAsの化合物を生成させた後、さらに溶液に2価の鉄イオンを加え、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させ、その後、固液分離して固形分を回収することにより、砒素含有溶液からの脱砒素率を高くすることができるとともに、pHが高くても砒素の溶出濃度が非常に小さい鉄と砒素の化合物の結晶からなる粉体として回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による砒素含有溶液の処理方法は、20g/L以上の砒素を含む溶液に2価の鉄イオンを加えて、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)を1以上にし、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させてFeとAsの化合物を生成させた後、さらに溶液に2価の鉄イオンを加え、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させ、その後、固液分離して固形分として鉄と砒素の化合物の結晶からなる粉体を回収することを特徴とする。
この砒素含有溶液の処理方法において、溶液中の砒素の濃度が20g/L以上であるのが好ましい。また、2価の鉄イオンとして硫酸鉄(II)七水塩を溶液に加えるのが好ましい。さらに、回収された固形分を水に加えてスラリーとし、このスラリーに酸を加えた後、2価の鉄イオンを加え、酸化剤を加えて撹拌しながら70〜95℃で反応させるのが好ましい。また、酸化剤として酸素ガスまたは空気を使用することができる。
本発明によれば、非鉄製錬の製錬中間物などの砒素以外の各種の元素を含む砒素含有物質を処理して得られる高純度で高濃度の砒素含有溶液のような砒素含有溶液を処理して、砒素含有溶液からの脱砒素率を高くすることができるとともに、pHが高くても砒素の溶出濃度が非常に小さい鉄と砒素の化合物を生成して回収することができる。
図1は、本発明による砒素含有溶液の処理方法の実施の形態を概略的に示す工程図である。図1に示すように、本発明による砒素含有溶液の処理方法の実施の形態は、(1)砒素含有物質をアルカリ溶液に加えてpH10以上、好ましくはpH12以上にして酸化しながらアルカリ浸出した後に固液分離して砒素を含む浸出液を得るアルカリ浸出・酸化工程と、(2)この浸出液にアルカリ土類金属またはその塩を添加した後に固液分離して砒素とアルカリ土類金属の化合物を含む残渣を得るアルカリ土類金属置換工程と、(3)この残渣を洗浄して付着したアルカリ液を除去する洗浄工程と、(4)この洗浄した残渣を硫酸溶液に添加した後に固液分離して高純度で高濃度の砒素含有溶液を得る硫酸溶解工程とを備えた砒素含有溶液の製造方法によって砒素含有溶液を製造し、(5)この砒素含有溶液にFe塩を添加して反応させた後に固液分離し、洗浄して固液分離して鉄と砒素の化合物を得る工程を備えている。このようにして得られた鉄と砒素の化合物は、結晶粒が粗大であり、砒素の溶出濃度が非常に低く、廃棄、堆積または保管することができる。以下、これらの各工程について説明する。
なお、上記の砒素含有溶液の製造方法の原料となる砒素含有物質としては、硫化砒素(As)やFeAsSなどの硫化物のように硫黄と砒素を含む物質を使用することができる。また、亜鉛製錬工程などにより得られる砒化銅(CuAs)を主成分とする残渣なども使用することができる。この砒化銅を主成分とする残渣には、亜鉛や鉄などの他にインジウムやガリウムなどの有価金属も含まれている。なお、実施の形態の砒素含有物質の処理方法によって処理する砒素含有物質が硫黄を含まない場合には、アルカリ浸出・酸化工程前にNaSO塩のような硫酸塩などを添加するか、あるいは、アルカリ浸出・酸化工程後の浸出液に硫酸塩などを添加して、アルカリ土類金属置換工程前の浸出液中にSOイオンが存在するようにしておく必要がある。また、砒素含有物質は、砒素(As)と硫黄(S)の他に、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)およびカルシウム(Ca)の少なくとも一種を含んでもよい。
(1)アルカリ浸出・酸化工程
まず、上記の砒素含有物質を酸化剤とともにアルカリ溶液に添加してpH10以上、好ましくはpH12以上にし、液温50〜100℃に加熱して撹拌しながら反応させることにより、砒素含有物質を酸化しながら浸出する。このアルカリ浸出・酸化工程における反応は、pH10以上、好ましくはpH12以上の強アルカリ性で起こる反応であり、反応速度は非常に速い。
このアルカリ浸出によって、Cuを浸出させずにAsを浸出させてCuとAsを分離することができる。また、このアルカリ浸出では、In、Pb、CdおよびMgも浸出されず、Fe、Sn、SbおよびCaもほとんど浸出されない。しかし、Gaはほとんど浸出されるので、この段階では、AsとGaは分離されない。
なお、Znは、アルカリ濃度が高いと浸出されるが、アルカリ濃度が低いと浸出されないので、砒素含有物質中のZnの品位、砒素の品位および他の不純物(特にSnとSb)の浸出挙動を勘案してアルカリ濃度を決定すればよい。すなわち、SnやSbの品位が低ければ、残渣中にZnを残しておく方がよいが、SnやSbの品位が高いと、ある程度Znを溶解させた方がよい。
アルカリ溶液としてNaOH溶液を使用することができ、その場合、NaOH濃度が50〜300g/Lであるのが好ましい。
酸化剤としては、過マンガン酸カリウムなどの固形酸化剤の他、過酸化水素やオゾンなどを使用することができるが、空気や濃度を高めた酸素などを使用してもよく、その場合、液中にガスを吹き込んでバブリングして撹拌することによって酸化反応が容易に進む。
アルカリ浸出後に固液分離を行う。この固液分離は、フィルタプレス、遠心分離、デカンタ、ベルトフィルタなどの一般的なろ過のいずれでもよく、ろ過性、脱水性、洗浄性などを勘案してその種類および条件が決定される。
一方、固液分離後の固形分は、有価なCuやInなどを含む金属性化合物と、一部酸化された化合物であるので、製錬工程において有効に活用することができる。なお、銅製錬では、自溶炉や反射炉に直接投入してアノードを作成することができる。
(2)アルカリ土類金属置換工程
次に、固液分離後の浸出液(主にNaとAsを含む液)にアルカリ土類を添加する。アルカリ浸出後の浸出液にCaOなどのアルカリ土類を添加すると、アルカリ土類金属が砒素と反応してアルカリ土類金属と砒素の化合物を生成するとともに、NaOHのようなアルカリ液を再生する。
上記の反応のために過剰のアルカリ土類を添加することによって、再生されたアルカリ液にSO塩またはイオンを混在させて、アルカリ液へのアルカリ土類金属の混入を防止する。再生されたアルカリ液中にSO塩がなく、ほぼ純粋なアルカリ液である場合には、過剰にアルカリ土類を添加すると、再生されたアルカリ液中にアルカリ土類金属が溶存してしまう。
再生されたアルカリ液中にアルカリ土類金属が存在すると、そのアルカリ液を砒素の浸出に再利用する際に、砒素とアルカリ土類金属が反応して溶解度が低い沈殿物を生成するので、アルカリ浸出工程における浸出率が極端に悪くなる場合がある。一方、過剰のアルカリ土類金属を加えないと、アルカリ液中に砒素が除去されずに残ってしまうため、砒素の回収効率が非常に悪くなる。また、アルカリ液にSOが混在していると、アルカリ土類としてCaOを使用した場合に、CaOまたはCa(OH)がその状態で溶解せずに固形分中にとどまる。すなわち、NaとSO 2−の濃度を高くすることによって、Ca2+の溶解度が非常に低く抑制されるため、CaOとして固形分中にとどまる。
アルカリ土類の添加量は、砒素とアルカリ土類金属の化合物を生成するための等当量でもよいが、Ca(AsOに加えてCa(OH)を生成するように、等当量よりもややアルカリ土類リッチにするのが好ましい。
(3)洗浄工程
次に、固形分として得られた砒素とアルカリ土類金属の化合物に付着したアルカリ液を水洗する。この水洗では、固形分中に砒素をとどめておく必要がある。砒素が洗浄排水中に溶出すると、その排水中の砒素を除去するための煩雑な操作が必要になるからである。そのような操作を回避するために、洗浄によってアルカリ液を除去するが砒素を除去しないようにすることが必要である。このような洗浄を可能にするために、上述したようにアルカリ土類を添加する際にアルカリ土類リッチにしてアルカリ性にするのが好ましい。また、アルカリ土類リッチにすると、洗浄によってアルカリ液が洗い流されるだけでなく、アルカリ土類金属が優先的に溶出し、砒素とアルカリ土類金属の化合物はそのまま保持される。なお、アルカリ土類の添加量は、洗浄水の量の増加に伴って多くなるが、Asと反応する量よりも0.5〜1.0質量%だけ過剰にするのが好ましい。
(4)硫酸溶解工程
次に、洗浄後の砒素とアルカリ土類金属の化合物を硫酸溶液に添加して、強く撹拌しながら反応させて、砒素を再溶解させるとともに石膏を生成する。この砒素とアルカリ土類金属の化合物は、アルカリ側では不溶性であるが、pHが4以下ではほぼ全量が溶解するので、鉱酸によってpHを4以下にすれば、ほぼ全量を溶解させることが可能である。しかし、砒素とアルカリ土類金属を分離するためには、硫酸を用いて石膏と砒素含有溶液に分離するのが好ましい。砒素とアルカリ土類金属の化合物を硫酸溶液に添加すると、砒素の溶解と同時に、アルカリ土類と硫酸塩の析出反応が起こる。
硫酸溶液の濃度は、100〜500g/Lであるのが好ましく、150〜300g/Lであるのがさらに好ましい。砒素含有溶液中の砒素を高濃度にしたい場合には、硫酸溶液の濃度をより高くする必要があるが、生成する石膏に付着する硫酸溶液の濃度が上昇し、また、溶液の粘度も上昇するので好ましくない。しかし、砒素の未反応を防止する観点では、砒素とアルカリ土類金属の化合物を濃硫酸に添加して、砒素だけでなく石膏も溶解させた後に、水を加えて加水分解により石膏を析出させてもよい。
撹拌は強く行うことが好ましい。砒素の溶解反応と石膏の析出反応が同時に起こり、また、ウェットケーキの状態で硫酸溶液に投入するのが好ましく、局部的な中和などを起こし易い系であるので、均一且つ完全に反応させるために、強く撹拌して十分に砒素を硫酸に接触させて高純度で高濃度の砒素含有溶液にする必要があるからである。
(5)FeとAsの化合物の生成工程
次に、得られた砒素含有溶液に2価の鉄イオンを加えて、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)を1以上にし、酸化剤を加えて撹拌しながら70℃以上で反応させることによってFeとAsの化合物を生成させる。その後、溶液中にさらに2価の鉄イオンを加えて、酸化剤を加えて撹拌しながら70℃以上で反応させた後、固液分離して得られる固形分を乾燥して、乾燥したFeとAsの化合物を得る。このようにFeとAsの化合物を生成させた後に溶液中にさらに2価の鉄イオンを加えて反応させるのは、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)の低下を補うとともに、FeとAsの化合物の結晶を安定して成長させるためである。なお、本実施の形態では、2価の鉄イオンの添加を2回に分けて行っているが、3回以上に分けて行ってもよい。
砒素含有溶液中のAs濃度は、不純物として含まれるNaなどが1g/L以下であれば、それほど高くなくてもよいが、As濃度が低いとFeとAsの化合物の析出から成長過程で粒子が粗大化し難くなる傾向があるので、10g/L以上であるのが好ましく、20g/L以上であるのがさらに好ましい。また、砒素含有溶液のpHが2以下であるのが好ましい。なお、砒素含有溶液中のAs濃度が高ければ、溶液中に不純物としてNa、Mg、Cu、Zn、Mnなどの塩が共存してもよい。
2価のFe源としては、可溶性のFeSO・7HOを使用するのが好ましい。溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)は1以上であるのが好ましく、1.0〜1.5程度であるのがさらに好ましい。
酸化剤としては、Fe2+を酸化することができる酸化剤であれば使用することができるが、酸化速度を制御することができる酸化剤が好ましく、酸素ガスや空気などを使用するのが好ましい。また、酸化剤としてKMnOなどを使用しても、添加量を制御することによって酸化速度を制御することができる。
反応温度は、50℃以上であればFeとAsの化合物を析出させることができるが、Asの溶出濃度を低下させるためには、70〜95℃にするのが好ましく、80〜95℃程度であるのがさらに好ましい。
このようにして得られたFeとAsの化合物を水と混合してスラリーとし、pHが4程度になるように酸を加えた後、2価の鉄イオンを加え、酸化剤を加えて撹拌しながら30℃以上で反応させることにより、FeとAsの化合物の表面に鉄塩を生成させる表面処理を行ってもよい。この鉄塩によってFeとAsの化合物の表面がさらに安定化され、pHが高くても砒素の溶出をさらに抑えることができる。なお、FeとAsの化合物の表面に生成される鉄塩は少量でもよく、FeとAsの化合物の1質量%程度でも十分である。
以下、本発明による砒素含有溶液の処理方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
まず、溶液を撹拌するための撹拌機と、溶液中に酸化ガスや空気などを吹き込むためのガス供給口とを備え、上部が開放されて大気圧下で反応を行うことができる反応槽を用意した。
次に、市販の砒酸液によって作成した砒素濃度30g/Lの砒素含有溶液4.1Lを反応槽に貯留した。この反応槽内の砒素含有溶液に市販の硫酸第一鉄溶液(FeSO・7HO)676gを添加して、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)が1.5となるようにした(1回目の硫酸第一鉄溶液の添加)。この溶液に濃硫酸を加えてpHを1に調整した後、加熱して液温を95℃にし、5L/分で空気を吹き込んで、撹拌しながら5時間反応させた。なお、この反応後に鉄と砒素の化合物の生成を確認した。
5時間反応させた後、市販の硫酸第一鉄溶液451g(1回目に添加した硫酸第一鉄溶液の1.5分の1の量)を添加し(2回目の硫酸第一鉄溶液の添加)、加熱して液温を95℃にし、5L/分で空気を吹き込んで、撹拌しながら2時間反応させた。なお、2回の硫酸第一鉄溶液の添加によって砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)を2.5にした。
次に、No.5Cのろ紙を用いてろ過(固液分離)し、得られた固形分を純水で洗った後、乾燥して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折(XRD)の結果から、スコロダイトと同じ角度でピークがあり、鉄と砒素の化合物の結晶であることがわかった。
また、得られた粉体の表面のFeの量をオージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy(AES))により測定したところ、25質量%であった。なお、AESの測定条件は、電子銃10KV、1×10−7A、分析エリア35nmΦであった。また、粉体中のFeの量は25質量%、Asの量は31.5質量%、Sの量は0.5質量%であった。また、砒素含有溶液からの砒素の分離度合いを示す脱砒素率は98質量%であった。
また、得られた粉体について、環境庁告示13号法に基づいて、固形分100gに対してpH5の水1Lを混合し、溶出試験専用しんとう機で6時間しんとうさせた後、固液分離して得られたろ液(溶出液)中の砒素濃度を分析することによって溶出試験を行った。その結果、砒素の溶出濃度は0.01mg/L以下であった。
また、得られた粉体についての溶出試験を、それぞれpH1、pH2、pH6、pH11、pH13に調整した溶液で行ったところ、砒素の溶出濃度は、pH1では0.04mg/L、pH2では0.01mg/L以下、pH6では0.01mg/L以下であったが、pH11およびpH13では0.3mg/Lよりも高かった。
[実施例2]
1回目の硫酸第一鉄溶液の添加による反応を1時間とし、2回目の硫酸第一鉄の添加による反応を6時間とした(合計の反応時間は7時間で実施例1と同じ)以外は、実施例1と同様の方法により得られた粉体について、実施例1と同様の分析および溶出試験を行った。
この実施例で得られた粉体は、X線回折(XRD)の結果から、スコロダイトと同じ角度でピークがあり、鉄と砒素の化合物の結晶であることがわかった。また、得られた粉体の表面のFeの量は、25質量%であり、粉体中のFeの量は25質量%、Asの量は31.4質量%、Sの量は0.6質量%であった。また、砒素含有溶液からの砒素の分離度合いを示す脱砒素率は99質量%であった。
また、環境庁告示13号法に基づいて行った溶出試験では、砒素の溶出濃度は0.01mg/L以下であった。また、得られた粉体についての溶出試験を、それぞれpH1、pH2、pH6、pH11、pH13に調整した溶液で行ったところ、砒素の溶出濃度は、pH1では0.04mg/L、pH2では0.01mg/L以下、pH6では0.01mg/L以下であったが、pH11およびpH13では0.3mg/Lよりも高かった。
[実施例3]
実施例1で得られた粉体30gを純水0.6Lと混合してスラリーとし、pHが4になるように濃硫酸を添加して調整した後、市販の硫酸第一鉄溶液(FeSO・7HO)90gを添加して、加熱して液温を95℃にし、1.4L/分で空気を吹き込んで2時間反応させた。この反応後、No.5Cのろ紙を用いてろ過(固液分離)し、得られた固形分を水洗し、乾燥することによって、表面処理を行った粉体を得た。このようにして得られた粉体について、実施例1と同様の分析および溶出試験を行った。
この実施例で得られた粉体の表面のFeの量は、27質量%であり、粉体中のFeの量は25質量%、Asの量は31.5質量%、Sの量は0.5質量%であった。また、得られた粉体についての溶出試験を、それぞれpH1、pH2、pH6、pH11、pH13に調整した溶液で行ったところ、砒素の溶出濃度は、pH1では0.04mg/L、pH2では0.01mg/L以下、pH6では0.01mg/L以下、pH11では0.01mg/L以下、pH13では0.3mg/Lであった。
[比較例]
硫酸第一鉄溶液の添加を1回だけにした(反応時間は7時間で実施例1の合計の反応時間と同じ)以外は、実施例1と同様の方法により得られた粉体について、実施例1と同様の分析および溶出試験を行った。
この比較例で得られた粉体は、X線回折(XRD)の結果から、スコロダイトと同じ角度でピークがあり、鉄と砒素の化合物の結晶であることがわかった。また、砒素含有溶液からの砒素の分離度合いを示す脱砒素率は97.5質量%であった。
また、環境庁告示13号法に基づいて行った溶出試験では、砒素の溶出濃度は0.02mg/L以下であった。
本発明による砒素含有溶液の処理方法の実施の形態を概略的に示す工程図である。

Claims (3)

  1. 20g/L以上の砒素を含む溶液に2価の鉄イオンを加えて、溶液中の砒素に対する鉄のモル比(Fe/As)を1以上にし、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させてFeとAsの化合物を生成させた後、さらに溶液に2価の鉄イオンを加え、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら大気圧下において70〜95℃で反応させ、その後、固液分離して固形分として鉄と砒素の化合物の結晶からなる粉体を回収することを特徴とする、砒素含有溶液の処理方法。
  2. 前記2価の鉄イオンとして硫酸鉄(II)七水塩を前記溶液に加えることを特徴とする、請求項に記載の砒素含有溶液の処理方法。
  3. 前記固形分を水に加えてスラリーとし、このスラリーに酸を加えた後、2価の鉄イオンを加え、酸素ガスまたは空気を吹き込んで撹拌しながら70〜95℃で反応させることを特徴とする、請求項1または2に記載の砒素含有溶液の処理方法。
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