JP7359059B2 - カドミウム水酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カドミウムを含む溶液から、カドミウム水酸化物を製造する方法に関する。
亜鉛製錬所における亜鉛地金の原料として、粗酸化亜鉛等から不純物を分離回収して得た酸化亜鉛鉱が広く用いられている。この粗酸化亜鉛は、例えば、鉄鋼業における高炉や電気炉等の製鋼炉から発生する鉄鋼ダストから還元焙焼処理を経て得ることができ、資源リサイクルの促進の観点からは、鉄鋼ダストの亜鉛原料としての再利用は望ましいものである。
このような鉄鋼ダスト由来の粗酸化亜鉛には、その主成分である酸化亜鉛以外に、塩素やフッ素等のハロゲン成分及びカドミウム等の不純物が高い割合で含有されている。これらの不純物のうち、特にカドミウムについては有害金属としての性質を持っており、酸化亜鉛の製造プラントにおいては、カドミウムを分離回収する処理が必須となっている。
一方、カドミウムはニッケルカドミウム電池の負極材として使用されるなど、電子エレクトロニクス材料として重要な有用金属のひとつとなっている。
ところで、カドミウムを分離回収する方法としては、例えば、湿式処理で不純物を粗分離後、乾式処理によって精分離する方法が一般的に行われている。
しかしながら、乾式処理は化石燃料や、電力の使用において環境やエネルギー負荷が高いという問題があった。よって、不純物の分離を一層高度に行い、湿式工程に続く乾式工程での化石燃料や電力の使用を抑制する、湿式処理技術の開発が望まれている。
セメンテーション法や電解採取法で目的金属を析出させる湿式工程を含む湿式処理技術においては、前記の析出過程において、目的金属以外の不純物の混入を予め抑制しておくことが重要である。そのため、析出母液となる溶液から目的金属以外の不純物を予め粗分離することが行われている。
例えば、特許文献1に開示される技術は、ダストから硫酸浸出させたカドミウム溶液から浄液によって不純物を粗分離し、前記粗分離したカドミウム溶液を析出母液として金属カドミウムを得る、湿式処理技術であるが、酸化剤やアルカリ剤、そして炭酸化剤等の複数の薬剤を使用し、操作が複雑な工程を経て浄液を行う反面、析出母液に含有されるカドミウムの量が4.7g/Lと低濃度であり、一方で、不純物である亜鉛については目的金属であるカドミウムのおよそ4倍の量となる、18.4g/Lが含まれ、低分離であった。
このような背景から、カドミウムを高純度に、且つ高濃度に含有するカドミウム溶液を製造する湿式処理技術が期待されていた。
特許第3762047号公報
本発明の目的は、このような問題を解決するため、高純度なカドミウム溶液を製造する湿式処理技術、具体的には、このカドミウム溶液を製造する際の出発物質となる、高純度なカドミウム水酸化物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、カドミウムを含有する溶液を原料溶液に用い、その原料溶液のpHを第1のpH調整工程と、第2のpH調整工程の2つの工程で調整、処理することによって、高純度なカドミウム水酸化物を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の発明は、カドミウムを含有する原料溶液にpH調整剤を添加して、前記原料溶液中の亜鉛と鉛が水酸化物を形成して沈殿物となる範囲に前記原料溶液のpHを調整して、前記原料溶液から前記沈殿物と濾液とからなる第1スラリーを形成した後、前記第1スラリーを固液分離処理により、前記濾液と前記沈殿物を得る第1のpH調整工程と、前記第1のpH調整工程で得られた濾液に、pH調整剤を添加して前記第1のpH調整工程で調整したpHよりも大きく、且つ、前記濾液に含まれるカドミウムがカドミウム水酸化物を形成して前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物となる一方で、タリウム沈殿物の生成が抑制される範囲に前記濾液のpHを調整して前記カドミウム沈殿物を含む第2スラリーを生成した後、前記第2スラリーに固液分離処理を施し、前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物を得る第2のpH調整工程と、からなるカドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記第1のpH調整工程のpHを7.0以上、9.0以下の範囲に調整することを特徴とする、カドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1の発明において、前記第1のpH調整工程のpHを7.5以上、8.5以下の範囲に調整することを特徴とする、カドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1~第3の発明において、前記第2のpH調整工程のpHを8.5以上、11.0以下となるように調整することを特徴とする、カドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第1~第3の発明において、前記第2のpH調整工程のpHを9.5以上、10.5以下となるように調整することを特徴とする、カドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明において、前記カドミウムを含有する原料溶液が、カドミウムを0.005質量%以上、亜鉛を0.3質量%以下、鉛を0.01質量%以下、タリウムを0.005質量%以下、を含むことを特徴とする、カドミウム水酸化物の製造方法である。
本発明によれば、カドミウムを含有する溶液を原料溶液とし、その原料溶液から不純物元素である亜鉛と鉛とタリウムの含有量、特にタリウムの含有量が低減され、且つカドミウム濃度が効果的に高められた、カドミウム水酸化物を得ることができる。
このカドミウム水酸化物を酸浸出させて作製したカドミウム溶液は、高純度の金属カドミウムを析出させる際の析出母液として好適に用いることが可能である。
金属成分を含む原料溶液のpHが、前記原料溶液に含まれる各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を示す図である。 図1とは異なる組成の原料溶液における金属成分を含む原料溶液のpHが、前記濾液に含まれる各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を示す図である。 金属成分を含む濾液のpHが、前記濾液に含まれる各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱しない内容において、種々の変更が可能である。
本実施の形態に係るカドミウム水酸化物の製造方法は、カドミウムを含有する原料溶液を出発物質とし、第1のpH調整工程と、第2のpH調整工程とからなる製造工程で処理することによって、亜鉛と鉛とタリウムの含有量が低減され、特にタリウムの含有量が低減されたカドミウム水酸化物を得る、カドミウム水酸化物の製造方法である。ここで、本実施の形態に係るカドミウム水酸化物は、具体的にカドミウムが30質量%以上、亜鉛が10質量%以下、鉛が1質量%以下、タリウムが0.1質量%以下、であるカドミウム水酸化物を意味する。
このようにして得られたカドミウム水酸化物に酸を付し、カドミウムを浸出させて作製した高純度、且つ高濃度にカドミウムを含むカドミウム溶液を析出母液とし、金属カドミウムの析出を行うことによって、高純度の金属カドミウムを効率的に製造することが可能となる。
出発物質となるカドミウムを含有する原料溶液としては、カドミウムを含む電気炉由来のダストを硫酸溶液に付し、カドミウムを浸出させたダスト浸出後液や、製錬の過程で生じるカドミウムを含む排水を挙げることができる。この場合、出発物質となるカドミウムを含有する原料溶液の組成は、カドミウムを0.005質量%以上、亜鉛を0.3質量%以下、鉛を0.01質量%以下、タリウムを0.005質量%以下の範囲内で含むことが好ましい。
この組成を満たす溶液を原料溶液に用いることで、亜鉛と鉛とタリウムの含有量、このうち特にタリウムの含有量が低減され、且つカドミウム濃度が効果的に高められたカドミウム水酸化物を製造することができる。
以下、それぞれの工程を説明する。
<第1のpH調整工程>
第1のpH調整工程は、カドミウムを含有する原料溶液に対し、pH調整剤を添加し、亜鉛と鉛が水酸化物を形成して沈殿物となる範囲に、原料溶液をpH調整し、亜鉛と鉛の水酸化物の沈殿物と、濾液からなる第1スラリーを形成し、このスラリーを固液分離して亜鉛と鉛の水酸化物の沈殿物を系外に除去し、カドミウムとタリウムを含む濾液を得る工程である。この場合、前記亜鉛と鉛が水酸化物を形成して沈殿物となる範囲にpH調整される限り、その調整範囲は特に限定されないが、本実施の形態に係る好ましい一態様として、例えば、pH7.0以上、9.0以下の範囲に調整する態様を挙げることができる。これにより、沈殿分離を効果的に行うことができる。
pH調整のために使用するpH調整剤は、工業的に使用可能な水酸化物のアルカリであればいずれも使用可能である。例えば、水酸化カルシウムだけでなく、水酸化ナトリウムや水酸化マグネシウム、水酸化カリウム等を使用してよい。
カドミウム濃度0.380g/L(0.038質量%)、亜鉛濃度0.880g/L(0.088質量%)、鉛濃度0.019g/L(0.0019質量%)、タリウム濃度0.021g/L(0.0021質量%)である溶液を原料溶液とし、25℃の常温で撹拌しながら、水酸化カルシウム粉末を添加し、原料溶液のpHを6.9~12.4に調整し、60分撹拌しながら保持した時に、発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過し、得られた沈殿物と濾液をそれぞれ分析して纏め、その濾液に含まれる各金属成分の含有量を、濾液のpHとの関係により表1に示す。
表1の結果から、各金属成分を含む溶液のpHが各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を図1に示す。なお、濾液のpHは、pH調整した原料溶液のpHでもある。
Figure 0007359059000001
まず、表1及び図1を参照する。表1、図1においては、カドミウムを0.05g/L(0.005質量%)以上、亜鉛を3.0g/L(0.3質量%)以下、鉛を0.1g/L(0.01質量%)以下、タリウムを0.05g/L(0.005質量%)以下、を満たす溶液を原料溶液とする場合の一例を示している。
pHを7.0以上、9.0以下の範囲に調整することによって、亜鉛の沈殿率が50%以上、鉛の沈殿率が40%以上となる高い亜鉛や鉛の沈殿率が得られ、且つ、カドミウムの沈殿率50%以下となる低いカドミウムの沈殿率が得られることがわかる。
さらに、pHを7.5以上、8.5以下に調整することによって、カドミウムの沈殿率を40%以下に抑えつつも、亜鉛の沈殿率が90%以上、鉛の沈殿率が80%と以上となる極めて高い亜鉛や鉛の沈殿率が得られることがわかる。
また、カドミウム濃度0.23g/L(0.023質量%)、亜鉛濃度0.52g/L(0.052質量%)、鉛濃度を0.022g/L(0.0022質量%)、タリウム濃度0.026g/L(0.0026質量%)である溶液を原料溶液とし、25℃の常温で撹拌しながら、水酸化カルシウム粉末を添加し、原料溶液のpHを7.0~9.2に調整し、60分撹拌しながら保持した時に、発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過し、得られた沈殿物と濾液をそれぞれ分析して纏め、その濾液に含まれる各金属成分の含有量を、濾液のpHとの関係により表2に示す。
表2から、各金属成分を含む溶液のpHが各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を図2に示す。なお、濾液のpHは、pH調整した原料溶液のpHでもある。
Figure 0007359059000002
さらに、表2及び図2を参照すると、これは、カドミウムを0.05g/L(0.005質量%)以上、亜鉛を3.0g/L(0.3質量%)以下、鉛を0.1g/L(0.01質量%)以下、タリウムを0.05g/L(0.005質量%)以下、を満たす溶液を原料溶液とする場合の上記とは別の一例を示している。
この場合においても、pHを7.0以上、9.0以下の範囲に調整することによって、亜鉛の沈殿率が50%以上、鉛の沈殿率が40%以上となる高い亜鉛や鉛の沈殿率が得られ、且つ、カドミウムの沈殿率50%以下となる低いカドミウムの沈殿率が得られることがわかる。
さらに、この場合も上記と同様に、pHを7.5以上、8.5以下に調整することによって、カドミウムの沈殿率を40%以下に抑えつつも、亜鉛の沈殿率が90%以上、鉛の沈殿率が80%と以上となる極めて高い亜鉛や鉛の沈殿率が得られることがわかる。
このように、第1のpH調整工程における金属成分を含む溶液のpH7.0以上、9.0以下の範囲となるように調整することによって、効果的に固相部に亜鉛と鉛を分配し、且つ、効果的に液相部にカドミウムを分配することが可能である。
以上は、目的物であるカドミウムに対して、亜鉛や鉛を優先的に沈殿分離できることを示すものであり、このように調整された溶液を固液分離して得られる濾液に対し、後述の第2のpH調整工程を適用することによって、カドミウムが30質量%以上、亜鉛が10質量%以下、鉛が1質量%以下、タリウムが0.1質量%以下、であるカドミウム水酸化物を得ることが可能である。
<第2のpH調整工程>
第2のpH調整工程は、前工程の第1のpH調整工程で得た濾液に対し、さらにpH調整剤を添加し、前記濾液に含まれるカドミウムがカドミウム水酸化物を形成して前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物となり、且つ、タリウムを沈殿物としない範囲に濾液のpHを調整することにより、固相部に前記カドミウム水酸化物が分配され、液相部にタリウムが分配された第2スラリーを形成し、このスラリーを固液分離してタリウムを除外したカドミウム水酸化物を得る工程である。
この場合、前記第1のpH調整工程で調整した濾液のpHよりも大きく調整する。この場合、前記濾液に含まれるカドミウムがカドミウム水酸化物を形成して前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物となり、且つ、タリウムを沈殿物としない範囲にpH調整される限り、その調整範囲は特に限定されないが、本実施の形態に係る好ましい一態様として、例えば、pH8.5以上、11.0以下となるように調整する態様を挙げることができる。これにより、沈殿分離を効果的に行うことができる。
pH調整のために使用するpH調整剤は、前工程と同様に、工業的に使用可能なアルカリであればいずれも使用可能である。例えば、水酸化カルシウムだけでなく、水酸化ナトリウムや水酸化マグネシウム、水酸化カリウム等を使用してよい。
図1及び図2を参照すると、pHを前記第1のpH調整工程で調整した濾液のpHよりも大きく、且つ、pH8.5以上となる範囲に調整することによって、カドミウムの沈殿率が10%以上となり、この領域においてカドミウムの収率が向上する様子が窺える。さらに、pH9.5以上となる範囲に調整することによって、カドミウムの沈殿率が50%以上となり、この領域において、さらにカドミウムの収率が向上する様子が窺える。
なお、カドミウムの水酸化物を得るために第2のpH調整を行った後の原料溶液のpHは、前記第1のpH調整工程で調整した濾液のpHよりも大きくなるようなpHに調整する。前記第1のpH調整工程で調整した濾液のpHと等しい、或いは小さくなるようなpHに調整した場合は、カドミウムを沈殿物とすることが出来ない。
一方で、pHが11.0を超える範囲に調整すると、後述するが、タリウム沈殿物の生成が抑制できなくなる恐れが生じる。
カドミウム濃度0.23g/L(0.023質量%)、亜鉛濃度0.52g/L(0.052質量%)、鉛濃度を0.022 g/L(0.0022質量%)、タリウム濃度0.026g/L(0.0026質量%)である溶液を原料溶液とし、原料溶液のpHを8.9に調整して亜鉛及び鉛を沈殿物とした後、固液分離して得られた濾液(pH調整した原料溶液で、亜鉛及び鉛が除去されている溶液となっている。)に対し、さらに水酸化カルシウム粉末を添加してpHを9.4以上、12.4以下に調整し、60分撹拌しながら保持した時に、発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過し、得られた沈殿物と濾液をそれぞれ分析して纏め、その濾液に含まれる各金属成分の含有量を、濾液のpHとの関係により、表3に示す。
さらに、表3の結果から各金属成分を含む濾液のpHが各金属成分の沈殿率に及ぼす影響を図3に示す。なお、なお、この場合の濾液のpHは、第1のpH調整及び第2のpH調整を受けた後の原料溶液のpHでもある。
表3及び図3を参照すると、pHが11.0以下の領域ではタリウムの沈殿率が10%以下となりタリウム沈殿物の生成が抑制されるが、一方で、pHが11.0を超える領域ではタリウムの沈殿率が急激に上昇し、タリウム沈殿物の生成が抑制できなくなる様子が窺える。さらにpHが10.5以下の領域ではタリウムの沈殿率が1%以下となり、より効果的にタリウム沈殿物の生成が抑制されている様子が窺える。
このように、第2のpH調整工程における金属成分を含む溶液のpHを、8.5以上、11.0以下となるように調整することによって、効果的に固相部に前記カドミウム水酸化物を分配し、且つ、効果的に液相部にタリウムを分配することが可能である。
Figure 0007359059000003
以下、本発明の実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
カドミウム濃度0.4g/L(0.040質量%)、亜鉛濃度0.9g/L(0.09質量%)、鉛濃度0.02g/L(0.002質量%)、タリウム濃度0.02g/L(0.002質量%)である溶液を原料溶液として用いた。
<第1のpH調整工程>
分取した原料溶液を25℃の常温で撹拌しながら、水酸化カルシウム粉末を添加し、pHを8.0に調整し、60分撹拌しながら保持して沈殿物と濾液からなる第1スラリーを得た。発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過し、沈殿物と濾液に分離した。
なお、この濾液を成分分析したところ、カドミウムの濃度は原料溶液の濃度と殆ど変化せずに、亜鉛、鉛、及びタリウムの各濃度が低減されているのを確認した。
<第2のpH調整工程>
続けて、上記濾液を分取し、25℃の常温で撹拌しながら、水酸化カルシウム粉末を添加することでpHを11.0に調整し、60分撹拌しながら保持してカドミウム水酸化物からなる沈殿物を発生させた。
その発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過、採取し、発生した沈殿物を分析して、その結果を表4に示した。
「第1のpH調整工程」におけるpHを、7.0とし、「第2のpH調整工程」におけるpHを9.5に調整した以外は、実施例1と同じ条件でカドミウム水酸化物からなる沈殿物を採取し、成分分析を行った。
その発生した沈殿物をメンブレン濾紙で濾過、採取し、発生した沈殿物を分析して、その結果を表5に示した。
Figure 0007359059000004
Figure 0007359059000005
実施例1、2の何れにおいても、カドミウムが30質量%以上、亜鉛が10質量%以下、鉛が1質量%以下、タリウムが0.1質量%以下であるカドミウム水酸化物を得ることができていた。

Claims (6)

  1. カドミウムを含有する原料溶液にpH調整剤を添加し、前記原料溶液中の亜鉛と鉛が水酸化物を形成して沈殿物となる範囲に前記原料溶液のpHを調整して前記原料溶液から前記沈殿物と濾液とからなる第1スラリーを形成した後、前記第1スラリーを固液分離処理により、前記濾液と前記沈殿物を得る第1のpH調整工程と、
    前記第1のpH調整工程で得られた濾液に、pH調整剤を添加して前記第1のpH調整工程で調整したpHよりも大きく、且つ、前記濾液に含まれるカドミウムがカドミウム水酸化物を形成して前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物となる一方で、タリウム沈殿物の生成が抑制される範囲に前記濾液のpHを調整して前記カドミウム沈殿物を含む第2スラリーを生成した後、前記第2スラリーに固液分離処理を施し、前記カドミウム水酸化物を含むカドミウム沈殿物を得る第2のpH調整工程と、
    からなるカドミウム水酸化物の製造方法。
  2. 前記第1のpH調整工程のpHを7.0以上、9.0以下の範囲に調整することを特徴とする、請求項1に記載のカドミウム水酸化物の製造方法。
  3. 前記第1のpH調整工程のpHを7.5以上、8.5以下の範囲に調整することを特徴とする、請求項1に記載のカドミウム水酸化物の製造方法。
  4. 前記第2のpH調整工程のpHを8.5以上、11.0以下となるように調整することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のカドミウム水酸化物の製造方法。
  5. 前記第2のpH調整工程のpHを9.5以上、10.5以下となるように調整することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のカドミウム水酸化物の製造方法。
  6. 前記カドミウムを含有する原料溶液が、カドミウムを0.005質量%以上、亜鉛を0.3質量%以下、鉛を0.01質量%以下、タリウムを0.005質量%以下、を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のカドミウム水酸化物の製造方法。
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