JP2011177651A - ヒ素含有溶液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄を始めとする他元素も含有しているヒ素含有溶液から、ヒ素化合物としての安定性が低く、粒子径が小さくて溶液から分離が困難なヒ素化合物の沈殿物が生成することを抑制することの出来るヒ素含有溶液の処理方法を提供する。
【解決手段】5価ヒ素と3価鉄とを含み大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ、酸化剤を加えることを特徴とする、ヒ素含有溶液の処理方法を提供する。
【選択図】なし

Description

各種の工程で発生する、ヒ素を含有する溶液の処理方法である。
ヒ素含有溶液を処理する際、ヒ素と鉄とを反応させ、スコロダイトのような化合物を生成させる方法が知られている。そこで、産業上、各種の工程で発生するヒ素含有溶液中のヒ素を、スコロダイトのような安定な化合物へと処理することで、ヒ素を固定化して処理することが提案されている。
ここで、ヒ素と鉄とを反応させて固定化する際、両者の液中濃度、反応時期には一定の管理が必要である。ところが、特に、非鉄製錬工程において発生するヒ素含有溶液には、鉱石、添加剤等に由来する鉄を始めとする元素が含まれている。このため、前記ヒ素含有溶液の処理の際に、ヒ素と鉄との不用意で自然発生的な反応が起きてしまう。当該ヒ素と鉄とので自然発生的な反応を回避する為に、ヒ素含有溶液の鉄を事前に除去するか、または、ヒ素含有溶液に鉄が混入しないプロセスを設計した上で、工程管理をする必要があった。
一方、ヒ素含有溶液中における鉄とヒ素とのモル比を制御することで、スコロダイトを生成可能とする技術も開示されている。例えば、特許文献1は、ヒ素と鉄とを含む多様な条件下のヒ素含有溶液中において、鉄モル比を低めに設定し、塩基性ナトリウムを添加することでヒ酸鉄を生成することを提案している。
他に、オートクレーブによる175℃の高温、加圧雰囲気にてヒ素と鉄とを反応させてスコロダイトを生成させる方法がある。
特開2008−231478号公報
上述したように、ヒ素と鉄とが共存している多様な条件下のヒ素含有溶液を対象とし、スコロダイトの生成反応を進行させる方法が提案されている。
一方、各種工程にて発生してくるヒ素含有溶液を直ちに処理して、例えばスコロダイトを生成させて、安定化させることが考えられる。しかしながら、各種工程にて発生してくるヒ素含有溶液は、各々の発生量が少ないながら、その成分、性状等が多様である場合が多い。このような場合、当該発生してくる各々のヒ素含有溶液を直ちに処理して、例えばスコロダイトを生成させて安定化せるのは、多くの作業工数を必要とする。そこで、これら各々のヒ素含有溶液を所定期間、貯留、保管処理してバッチ量を大きくし、一度に安定化処理してしまうことが考えられる。
しかしながら本発明者らの検討によると、前記発生してくる各々のヒ素含有溶液は、ヒ素以外に、3価鉄を始めとする多様な元素をも含有しているものである。この為、前記所定期間の貯留、保管処理において、所望も制御もされていない自然発生的なヒ素−鉄反応による、ヒ素−鉄化合物沈殿が生成してしまう。これら自然発生的なヒ素−鉄化合物沈殿の大部分は、ヒ素化合物としての安定性が低くヒ素の溶出量が多いという問題、および、粒子径が小さくて溶液から分離が困難な為、操作性が悪いという問題を抱えている。
本発明は、上述の状況もとでなされたものであり、その解決しようとする課題は、鉄を始めとする他元素も含有しているヒ素含有溶液から、ヒ素化合物としての安定性が低く、粒子径が小さくて溶液から分離が困難なヒ素化合物の沈殿物が生成することを抑制することの出来るヒ素含有溶液の処理方法を提供することである。
上述の課題を解決する為、本発明者らは鋭意研究を行った。
その結果、ヒ素含有溶液(5価ヒ素含有溶液)が、さらに3価鉄を始めとする多様な元素をも含有しているものであるときでも、当該ヒ素含有溶液へ酸化剤を添加すると、所望も制御もされていない自然発生的なヒ素−鉄反応による、ヒ素−鉄化合物沈殿の生成を抑制出来ることを知見し、本発明を完成した。
さらに、当該自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物生成が抑制されているヒ素含有溶液へ、例えば、所定量の2価鉄と酸化剤とを添加することで、粒子径が大きくヒ素溶出量の小さなスコロダイトを生成させることが出来る。
即ち、上述の課題を解決する為の第1の手段は、
5価ヒ素と3価鉄とを含み大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ、酸化剤を加えることを特徴とする、ヒ素含有溶液の処理方法である。
第2の手段は、
前記酸化剤を加える際に、前記ヒ素含有溶液のpH値を1以下とすることを特徴とする、第1の手段に記載のヒ素含有溶液の処理方法である。
第3の手段は、
前記ヒ素含有溶液の(3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の値を1以上とすることを特徴とする、第1または第2の手段に記載のヒ素含有溶液の処理方法である。
第4の手段は、
5価砒素と3価鉄とを含み、大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ酸化剤を加える工程と、
前記酸化剤を加えられたヒ素含有溶液へ、2価鉄と酸化剤とを投入する工程と、を有することを特徴とするヒ素含有溶液の処理方法である。
第5の手段は、
前記5価砒素と3価鉄とを含み、大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ酸化剤を加える工程を経たヒ素含有溶液を、所定期間保管した後、前記2価鉄と酸化剤とを投入する工程を実施することを特徴とする、第4の手段に記載のヒ素含有溶液の処理方法である。
第6の手段は、
前記2価鉄と酸化剤とを投入する工程で得られた反応後液を2価鉄源として、再度、2価鉄と酸化剤とを投入する工程にて添加する、ことを特徴とする第4または第5の手段に記載のヒ素含有溶液の処理方法である。
第7の手段は、
前記酸化剤を加えることとは、酸素ガス、空気、酸素を含むガス、窒素等で希釈された空気、オゾンから選択される1種以上を前記ヒ素含有溶液へ吹き込むことであるか、または、過酸化水素水を前記ヒ素含有溶液へ添加することである、ことを特徴とする第1から第6の手段のいずれかに記載のヒ素含有溶液の処理方法である。
本発明に係るヒ素含有溶液の処理方法によれば、ヒ素含有溶液が、3価鉄を始めとする他元素を含有しているときでも、自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物が生成することを抑制出来る。
本発明を実施するにあたり、ヒ素含有溶液中のヒ素は、5価ヒ素であることが望ましい。もし、含有されるヒ素が3価ヒ素の場合は、予め、5価ヒ素へ酸化しておくことが好ましい。尤も、本発明を実施中に添加する酸化剤量を増加させることで、本発明を実施中に3価ヒ素を5価ヒ素へ酸化することも出来る。
本発明を実施するにあたり、ヒ素含有溶液中の含まれている鉄を始めとする元素において、鉄は、3価鉄の鉄化合物または3価鉄イオンであることが望ましい。2価鉄の鉄化合物または2価鉄イオンであると、上述したヒ素の酸化時に、当該2価鉄が3価鉄へ酸化される為、酸化剤の消費が増大するからである。尤も、当該酸化剤の消費増大を許容出来る場合や、2価鉄量が少ない場合は特に問題とならない。
自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物が生成することを抑制する工程において使用される酸化剤は、酸素ガス、空気、酸素を含むガス、空気を含むガス、窒素等で希釈された空気、オゾン、過酸化水素水のいずれから選択される1種以上を用いることが出来る。
前記酸化剤を加える方法は、酸素ガス、空気、酸素を含むガス、窒素等で希釈された空気、オゾンから選択される1種以上の場合は、ヒ素含有溶液へ吹き込めば良いし、過酸化水素水は、ヒ素含有溶液へ直接添加すれば良い。
尤も、酸化時の形態は気体である方、吹き込み、添加を行いの酸化の程度を制御しやすく、設備費用も安価である。
酸化剤の吹き込み量、添加量は、液量や各種濃度に応じて適宜行えばよく、撹拌も同時に実施してもよい。具体的には、ヒ素含有溶液の状態を観察しながら、酸化剤の吹き込み、添加を行い、自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物の生成が起きていないことを確認すれば良い。
ヒ素含有溶液へ前記酸化剤を吹き込み、添加を行う際、ヒ素含有溶液は大気圧下に置いて実施することが出来るので、装置設備は簡便なものを用いることが出来る。
また、ヒ素含有溶液へ前記酸化剤を吹き込み、添加を行う際、ヒ素含有溶液のpH値は1.5以下、さらには1.0以下とすることが好ましい。当該pH値の制御を行うことで、保管中のヒ素含有溶液における自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物生成をさらに抑制することが出来る。pH調整剤としては、水酸化マグネシウム、硫酸、等が好適である。
さらに、ヒ素含有溶液へ前記酸化剤を吹き込み、添加を行う際、ヒ素含有溶液中の(3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の比の値を1以上とすることが好ましい。当該3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の比の値を1以上とする制御を行うことで、保管中のヒ素含有溶液における自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物生成をさらに抑制することが出来る。処理対象のヒ素含有溶液中の3価鉄のモル数が不足の場合は、さらに、必要量の3価鉄塩を補充添加すれば良い。
当該(3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の比の値の上限は、特にはないが、鉄も有用な金属である為、使用量を少なくすることが生産コスト削減の観点から望ましい為、3以下が適宜である。
前記酸化剤を吹き込んだヒ素含有溶液は、保管しておくことが出来る。当該ヒ素含有溶液の保管中における自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物の生成が抑制されているからである。
工業的には、各工程にて発生してくる多様なヒ素含有溶液に、上述の処理を行って自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物の生成が抑制した状態で保管しておき、所定量が溜まった時点で、当該ヒ素含有溶液中のヒ素をスコロダイト化、等にすることで処理することが出来る。
当該ヒ素含有溶液の処理方法は、自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物の生成が抑制された所定量のヒ素含有溶液から、結晶粒子が大きくヒ素の溶解性の小さなスコロダイト等を生成させるので、処理コストの削減、処理困難な産物の生成抑制の観点から、有効である。
以下、前記保管されていた所定量のヒ素含有溶液から、スコロダイトを生成させるのに、好適な処理方法例について説明する。尤も、所望により、他の処理方法を適用することも可能である。
前記自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物が生成することを抑制する工程を経た後、スコロダイトを生成させる工程を実施する前のヒ素含有溶液の液温は、低い方が自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物が生成することを抑制出来る。一方、スコロダイトを生成する時点では、70℃以上の液温が望まれる。
また、スコロダイトを生成させるにあたり、生成反応前のヒ素含有溶液中のヒ素濃度は10g(As換算)/L以上に調整することが望ましい。ヒ素濃度が高い方が、スコロダイトの生産性が高く、生成反応も安定し易いからである。さらに好ましくはヒ素濃度が、20〜40g(As換算)/Lあると良い。
スコロダイトを生成させる工程において使用される酸化剤も、酸素ガス、空気、酸素を含むガス、空気を含むガス、窒素等で希釈された空気、オゾン、過酸化水素水のいずれから選択される1種以上を用いることが出来る。尤も、形態が気体である方が、酸化の程度を制御しやすく、設備費用も安価である。形態が液体である過酸化水素水は、直接、ヒ素含有溶液中へ添加すれば良い。
当該酸化剤の吹き込み量や添加量は、ヒ素含有溶液量や含有される各種成分濃度に応じて適宜行えばよく、撹拌も同時に実施してもよい。
当該スコロダイトの生成反応の終期は、例えば、原料溶液中のヒ素濃度をモニターまたは所定時間毎にサンプリングし、当該ヒ素濃度が所定値以下になることで判断することが出来る。さらに、工程が安定していれば反応完了時間を定め、当該時間の経過を以て反応の終期と判断することも可能である。
さらに所望により、当該スコロダイトの生成反応の後半期(全反応時間における後半の50%以後、またはヒ素濃度が70%以上低下した時)において原料溶液のpH値を当初より上昇させる新たな所定値へ再設定し、その後は、当該再設定された所定pH値の所定範囲内(所定pH値の±0.1)に保持するように制御してもよい。当該反応の後半期にpH値を再設定する構成を採ることで、生成するスコロダイトの結晶化が促進され、原料液中のヒ素が消費されることでヒ素濃度が低減する。
一方、原料液中のヒ素の殆どが安定化され、3価鉄の殆どがヒ素の安定化の為に使用される。この結果、得られた反応後液は殆ど2価鉄の溶液となり、当該反応後液は新たな2価鉄源溶液として、再度、スコロダイトを生成させる工程に添加することが出来る。当該構成は、原料コストの削減の観点から好ましい構成である。
以上、詳細に説明したように本発明によれば、ヒ素と鉄とが溶液中に共存しているとき、所望も制御もされていないヒ素−鉄の自然発生的反応により、微細であったり、ヒ素の
溶出値が大きなものであったりする鉄−ヒ素化合物の沈殿物が生成することを抑制出来る。
そして、当該溶液中にヒ素と鉄とを共存的に溶解させたまま、当該溶液を安定的に保管することが出来る。
さらに所望時には、当該保管されていた溶液から、粒子径が大きく、ヒ素の溶出が少ない結晶性スコロダイトを生成させることが出来た。その上、当該生成する結晶性スコロダイト粒子は濾過性が良好であり、実操業上のハンドリングに優れるものであった。
また、好ましいことに本発明の実施は、安価な薬剤と簡易な装置とで実施可能である。また本発明の実施過程で生成するヒ素含有溶液は、非常に簡便に保管出来る上、残さ等の二次的処理を要する生成物も発生しない。従って、酸化剤の添加によるヒ素と3価鉄とのヒ素−鉄反応の抑制効果は、工業的に大いに有益である。
現実の工業的工程において、ヒ素含有溶液は、排液や残物である為、液組成を一定の品位に保つことが難しい。だからといって、ヒ素のみ、鉄のみ、の溶液として個別組成毎に管理・保管しようとすれば、組成毎の分離処理が必要になりコスト高になってしまう。
しかし、本発明の実施により、まず、ヒ素含有溶液の管理・保管の際は、含有されるヒ素と3価鉄との反応を抑制しておくことにより、コストは圧倒的に減額される。そして、所望の折に、当該管理・保管されているヒ素含有溶液へ、酸化剤、2価鉄、所望により3価鉄を添加することで、結晶粒子が大きく、ヒ素の溶解性の小さな結晶性スコロダイトの生成を可能にしたものである。
以下、本発明に関し、実施例を参照しながら説明する。
(実施例1)
1)試験ユニットおよび試験規模
試験容器としては1Lビーカーを使用した。当該試験容器に設置する撹拌装置は、4枚邪魔板付き、2段タービン羽根、回転数600rpmのものを使用した。
尚、1バッチ当たりにおけるヒ素、鉄混合液の処理量は総量で650mLとした。当該実施例1を始め、いずれの実施例も大気圧(常圧)下、室温にて処理を行った。ビーカー等の容器においても圧力制御はしていない。
2)3価鉄溶液の調製
試薬硫酸鉄(3価)n水和物(Fe品位として21.6%)1,815gを量り取り5Lビーカーに投入し、純水を加えて液量を1,900mLとした。そして、当該溶液を80℃に加温し、攪拌しながら当該硫酸鉄(3価)を溶解させた。
硫酸鉄(3価)溶解後、室温まで放冷し、液量が2,000mLになるように純水を補加し、実施例1および各実施例に係る3価鉄溶液を得た。
分析の結果、当該3価鉄溶液のFe濃度は196g/Lであることが判明した。
3)ヒ素、鉄混合溶液の調製
5価ヒ素として試薬60%砒酸溶液を準備した。
3価鉄として、上述した2)の3価鉄溶液を準備した。
ここで、5価ヒ素試薬60%砒酸溶液と3価鉄溶液と水とを混合して、3価鉄が5価ヒ素総モル量にたいして0.9倍当量(0.9倍モル)となるヒ素と鉄との混合溶液を製造した。
具体的には、試薬60%砒酸溶液32.5mLと、上述した2)の3価鉄溶液55.8mLとを混合し、さらに、水を加えて全量を650mLにした。
こうして得られたヒ素と鉄との混合溶液は、ヒ素濃度25.0g/L、3価鉄濃度16.8g/Lであった。
4)pH調整剤
本実施例においては、pH調整剤としてキシダ化学株式会社製試薬、水酸化マグネシウムMg(OH)(assay min95%)を用いた。
5)酸化剤の添加
上述したヒ素と鉄との混合溶液を95℃へ加温する。このとき、95℃到達時点で混合溶液のpH値が1を超えないようにする為、加温中に混合溶液へ硫酸を添加した。そして、当該混合溶液の液温が95℃到達時点で、混合溶液のpH値が1となるように、添加する硫酸量を調整した。
混合溶液の液温が95℃、pH1であることを確認して酸化剤の添加を開始し、反応を開始した。酸化剤の添加は、酸素ガスを、反応開始から該溶液中に吹き込むことで行った。
具体的には、酸素ガスを、ガラス管を介してビーカー底部より1L/minで吹き込み、反応終了までの180分間、当該吹き込みを継続した。
6)反応
混合溶液のpH値は、反応開始当初は1.0であったが、pH調整剤としてMg(OH)を粉末のまま添加し、反応中の溶液のpH値を0.94〜0.98間にて制御した。反応終了後は反応生成物をろ過し、液体成分をICPにより分析した。
当該実施例1に係る反応当初のヒ素濃度および鉄濃度、反応終了後のヒ素濃度および鉄濃度の値、および、反応前後におけるヒ素濃度および鉄濃度の減少率を、表1に記載した。
(実施例2)
(3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の比を1.15とした以外は、実施例1と同様の操作を実施した。
当該実施例2に係る反応当初のヒ素濃度および鉄濃度、反応終了後のヒ素濃度および鉄濃度の値、および、反応前後におけるヒ素濃度および鉄濃度の減少率を、表1に記載した。
(比較例1)
酸素添加を行わない以外は、実施例1と同様の操作を実施した。
尚、撹拌は、溶液に大気が巻き込まれない程度の弱撹拌とした。
当該比較例1に係る反応当初のヒ素濃度および鉄濃度、反応終了後のヒ素濃度および鉄濃度の値、および、反応前後におけるヒ素濃度および鉄濃度の減少率を、表1に記載した。
Figure 2011177651
表1の結果から、3価鉄を含有するヒ素含有溶液へ酸化剤を投入し、撹拌した場合のヒ素の減少率は10%未満であった。これに対し、3価鉄を含有するヒ素含有溶液を撹拌した場合は、弱撹拌であったにも拘らずヒ素の減少率は23%以上であった。
即ち、3価鉄を含有するヒ素含有溶液へ酸化剤を添加することで、ヒ素と3価鉄との反応を抑制出来ることが判明した。即ち、自然発生的なヒ素−鉄化合物の沈殿物が生成することを抑制しながら、当該3価鉄を含有するヒ素含有溶液を出来ることが判明した。
出来る。
(実施例3)
1)試験ユニット
ヒ素−鉄混合溶液の調製
5価ヒ素として試薬60%砒酸溶液を準備した。
3価鉄として、上述した2)の3価鉄溶液を準備した。
2価鉄として試薬硫酸鉄(2価)・7水和物を準備した。
ここで、5価ヒ素濃度が42g/Lであって、3価鉄が5価ヒ素総モル量に対して0.75倍当量(0.75倍モル)存在するヒ素と3価鉄との混合溶液を製造した。
具体的には、試薬60%砒酸溶液72mLと、上述した2)の3価鉄溶液103mLと、純水670mLとを混合した。
こうして得られた5価ヒ素と3価鉄との混合溶液は、ヒ素濃度42.6g/L、3価鉄濃度23.9g/Lであった。
次に、当該混合溶液へ、5価ヒ素総モル量にたいして0.75倍当量(0.75倍モル)の2価鉄を添加した。
具体的には、当該上記混合溶液に、試薬硫酸鉄(2価)・7水和物100gを添加し、完全に溶解させて混合した。
こうして得られた5価ヒ素と3価鉄と2価鉄との混合溶液は、5価ヒ素濃度40.4g/L、3価鉄濃度22.7g/L、2価鉄濃度22.6g/Lであった。当該5価ヒ素と3価鉄と2価鉄との混合溶液を、スコロダイト生成用の原料液とした。
pH調整剤
本実施例においては、pH調整剤としてキシダ化学株式会社製試薬、水酸化マグネシウムMg(OH)(assay min95%)を準備した。
2)スコロダイト生成反応
上述した原料液を95℃へ加温する。このとき、95℃到達時点で混合溶液のpH値を1とする為、加温中に原料液へpH調整剤(水酸化マグネシウム)を添加した。
原料液の液温が95℃、pH1であることを確認し、酸化剤の添加を開始しスコロダイト生成反応開始とした。尚、酸化剤には酸素ガスを用い、当該酸素ガスを、ガラス管を介しビーカー底部より1L/minで吹き込んだ。
原料液のpH値は、反応開始当初は1.0であったが、反応中においてはpH調整剤(水酸化マグネシウム)を粉末のまま添加し、溶液のpH値を0.93〜0.99間にて制御した。次いで、反応開始から120分間後に溶液のpH値を2.0迄上昇させ、pH値を1.96〜2.0間にてさらに60分間制御した。結局、スコロダイト生成反応時間は、全体で3時間となった。
反応終了後は生成物を濾過し、反応後液と生成残さ(スコロダイト)とを得た。なお、本実施例において濾過は極めてスムーズに進行し、10秒間とかからず数秒間で完了した。
本例に係る液成分の反応時間毎における各元素の濃度と、原料液に対する反応後液における各元素の減少率とを表2に示す。
Figure 2011177651
表2の結果から、本発明により当初のヒ素−鉄混合溶液中のヒ素の99%が安定化されたことが判明した。 また、当初のヒ素−鉄混合溶液中の3価鉄の99%が、ヒ素の安定化の為に使用されたことが判明した。これに対し、当初のヒ素−鉄混合溶液中の2価鉄は34%が使用されたことが判明した。
当該結果より、得られた反応後液は殆ど2価鉄の溶液であり、再度、当該反応後液は新たな2価鉄源溶液としてスコロダイトを生成させる工程に添加することが出来ることも判明した。
3)生成したスコロダイトの評価
反応終了時点で得られた濾過物を純水洗浄した後、X線回折測定を行ってスコロダイト生成状況を評価した。当該X線回折結果より、反応終了時点での濾過物には、スコロダイト(FeAsO・2HO)の結晶を示すシャープなピークが、広い回折角の範囲で確認された。これから、得られた濾過物はスコロダイト結晶であると同定した。
尚、得られたスコロダイトの粒子径は20μmであった。

Claims (7)

  1. 5価ヒ素と3価鉄とを含み大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ、酸化剤を加えることを特徴とする、ヒ素含有溶液の処理方法。
  2. 前記酸化剤を加える際に、前記ヒ素含有溶液のpH値を1以下とすることを特徴とする、請求項1に記載のヒ素含有溶液の処理方法。
  3. 前記ヒ素含有溶液の(3価鉄のモル数/5価ヒ素のモル数)の値を1以上とすることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒ素含有溶液の処理方法。
  4. 5価砒素と3価鉄とを含み、大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ酸化剤を加える工程と、
    前記酸化剤を加えられたヒ素含有溶液へ、2価鉄と酸化剤とを投入する工程と、を有することを特徴とするヒ素含有溶液の処理方法。
  5. 前記5価砒素と3価鉄とを含み、大気圧下にある酸性のヒ素含有溶液へ酸化剤を加える工程を経たヒ素含有溶液を、所定期間保管した後、前記2価鉄と酸化剤とを投入する工程を実施することを特徴とする請求項4に記載のヒ素含有溶液の処理方法。
  6. 前記2価鉄と酸化剤とを投入する工程で得られた反応後液を2価鉄源として、再度、2価鉄と酸化剤とを投入する工程にて添加する、ことを特徴とする請求項4または5に記載のヒ素含有溶液の処理方法。
  7. 前記酸化剤を加えることとは、酸素ガス、空気、酸素を含むガス、窒素等で希釈された空気、オゾンから選択される1種以上を前記ヒ素含有溶液へ吹き込むことであるか、または、過酸化水素水を前記ヒ素含有溶液へ添加することである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のヒ素含有溶液の処理方法。
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