JP4838936B2 - 装荷量を改善しおよび脱/会合速度を制御可能とするための、巨大分子と複合凝集体との会合体を開発し、テストし、かつ利用する方法 - Google Patents

装荷量を改善しおよび脱/会合速度を制御可能とするための、巨大分子と複合凝集体との会合体を開発し、テストし、かつ利用する方法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、両親媒性を示し、かつ液状媒体と接触した際に、伸長された表面、特に膜-様の表面を形成し得る物質の組合わせに関するものである。より詳しくは、本発明は、分子レベルでの、このような表面と他の両親媒性物質との会合に関連し、かかる他の両親媒性の表面会合物質は、典型的には繰り返しサブユニットをもつ大きな分子、例えばオリゴマーおよびポリマーであり、しばしば生物学的に活性な薬物を由来とする。
本発明は、更にこのような表面の製法およびこのような大きな分子と表面との会合体並びにかかる表面および会合体の様々な利用にも関連する。
両親媒性鎖状分子および関連する巨大分子、例えばタンパク質はあらゆる種類の表面に吸着するが、その量は同一ではなく、最も頻繁には異なる配座で吸着する。本発明は、当技術の現状を説明し、柔軟で複雑な表面と巨大分子との結合を最適化し、かつ制御するための新規な原理を提供する。このことは、将来の生物学上、生物工学上、薬理学上、治療上および診断上の用途にとって価値あるはずである。
【0002】
(背景技術)
(巨大)分子の、吸着表面への吸着/結合(吸着剤/吸着質会合)は、多段工程である:
i) その第一段階は、吸着剤/溶液界面における、吸着質の再配列、好ましくは蓄積を含む。この段階は、典型的には迅速かつ制御された拡散速度をもつ段階である。
ii) その第二段階においては、吸着質分子が、該軟質の(膜)表面に、疎水的に会合する。この工程は、数段階、例えば部分的な分子の結合および周期的な再配列を含み、少なくともその幾つかは、しばしば緩慢である。
大きな分子が、「軟質の」脂質膜中に埋設された表面結合リガンドと、特異的に結合する確率が、界面の近接性(proximity)のために低下されることが問題となっている(Cevc, G., Strohmaier, L., Berkholz, J., Blume, G., Stud. Biophys., 1990, 138:57ff)。これは、同様な非-クーロン性の水和-依存性の力によるものと思われ、この力はまた隣接脂質膜の相互のコロイド的つぶれをも防止する。発生する全ての力は、該脂質-溶液界面の親水性および剛性の減少に伴って低下する(Cevc, G., Hauser, M., Kornyshev, A.A., Langmuir, 1995, 11:3103-3110)。
【0003】
脂質二重層への非-特異的タンパク質吸着の程度(Cevc等, op. Cit., 1990)が、膜中の疎水性結合サイトの利用可能性に比例することも、推定されている。該脂質二重層における、機械的な(例えば、超音波照射)または脂質相の転移を誘発することによる欠陥の生成が、膜結合タンパク質の量を増大することが分かった。
一般的に、該表面が疎水性であればあるほど、両親媒性巨大分子の吸着の程度も大きくなると考えられている。例えば、疎水性アミノ酸結合を介する、タンパク質吸着を系統的に変化させるために、異なる疎水性を有する末端基をもつ長鎖アルカンの自動的に会合した単層を使用した、K. Prime & G.M. Whitesides (Science, 1991, 252:1164-1167)は、この「規則」または「原理」を確認した。従って、これまでは、「疎水性引力」がタンパク質の吸着における支配的な力であると考えられていた。
【0004】
他方、中性pHにおいて水性溶液に浸漬された、親水性巨大分子、例えばタンパク質と、親水性表面、例えばガラスまたはモンモリロナイトクレーとの間における正味の巨視的な相互作用は、強力な反発力により支配されていることが、広く受け入れられていた。従って、ファンデルワールス、ルイス酸-塩基、および電気二重層相互作用の、巨視的な尺度の規則が適用できる条件下では、親水性無機表面への親水性タンパク質の吸着は通常弱いものである(H. Quiquampoix, 土壌無機物表面上でのタンパク質吸着のメカニズムおよびその結果(Mechanisms and Consequences of Protein Adsorption on Soil Mineral Surfaces), 界面におけるタンパク質(Proteins at Interfaces) (PAI), 第23章, T.A. Horbett & J.L. Brash, ACS シンポジウムシリーズ(Symposium Series), 602, 1995, NY: 321-333)。幾つかの親水性タンパク質は、溶液からガラスへの吸着を示すとはいえ、疎水性表面への吸着よりも一層疎らである。このようなタンパク質は、またモンモリロナイトクレー表面にも吸着する。この重大な現象を説明するために、タンパク質が、水性媒体中に浸漬された等しく(例えば、負に)帯電した親水性無機物表面に、該(負に)帯電した親水性タンパク質と結合する多価対イオン(例えば、カルシウム)を介して結合できることが提案され、またこのことは実験データによって支持されている。その他の巧妙な電荷効果は、水素結合の形成、タンパク質の塩溶および対イオンの結合を含む。例えば、「タンパク質分子における構造上の再配列、収着剤表面の脱水、帯電した基の再分配およびタンパク質表面の極性」全てが、タンパク質の吸着に影響を与える可能性のあることが示唆された(Haynes, C.A.等, Colloids Surface B: Biointerfaces, 2, 1994:517-566)。これと矛盾することなしに、重要ではあるが、クーロン相互作用は一般的にタンパク質の固体表面への吸着を支配せず、このことはタンパク質が実質的に正味の負の電荷をもつ条件下におけるα-LA(α-ラクトアルブミン)のPS(ポリスチレン)への強力な吸着の場合と同様である。もう一つの最近の測定は、「これまでに、タンパク質の吸着に及ぼす電荷効果の程度について明確な合意が得られていない」ことを認めた(タンパク質吸着の可逆性およびメカニズム(Reversibility and the Mechanism of Protein Adsorption), W. Norde & C. Haynes, PAI, 第2章, op. Cit.: 26-40)。
【0005】
膜等の軟質の表面に対して、タンパク質吸着の少なくとも第一段階は、静電的に誘発されおよび/または電荷支配的である、という見方が一般的に優勢である(例えば、Deber, C.M.等, Arch. Biochem. Biophys., 1986, 245:455-463; Zimmerman, R.M.等, J. Colloid Int. Sci., 1990, 139:268-280; Hernandez-Caseldis, T.等, Mol. Cell Biochem., 1993, 120:119-126を参照のこと)。指導的な研究者は、また静電力が分泌されたホスホリパーゼの種々の脂質凝集体に対する結合にとって重要であるとも結論づけている(Scott, D.等, Biophys. J., 1994, 67:493-504)。
これまで当業者は、最終的なタンパク質吸着の主な決定因子が疎水性引力であり、一方、タンパク質の吸着中のその配座変化により生じるエントロピーゲインと組み合わせたイオン性の相互作用も幾分かの役割を担っているものと考えていた。
典型的には、タンパク質は反対電荷をもつ表面に強く吸着されるが、等しい電荷をもつ表面には吸着されない。タンパク質吸着のpH依存性はこの事実を反映している。この電荷の効果は、しばしば「隠れている(lurking)」因子、例えば小さな対イオン等により乱される恐れがあり、この因子は、通常は相互に反発するものと予想される同様な電荷をもつ表面サイトとタンパク質とを橋架けする可能性がある。
【0006】
吸着されたタンパク質の最終的な配座は、その初めの配座と同一であることは殆どない。これが、殆どのタンパク質吸着に関するモデルが、可逆的に吸着された状態からより堅固に維持された状態への遷移に頼る理由であり、この遷移の結果、該表面上の該タンパク質の分子的な再構造化または緩みを生じる。吸着の際における巨大分子の再配列はしばしば破局的であり、かつタンパク質の変性において最大となる。しかし、酵素および抗体が、その吸着状態において少なくとも幾分かの生物学的活性を維持しており、また生物学的活性が本来の構造の維持に強く依存しているという事実から、吸着されたタンパク質の配座における変化は、しばしば時間およびその範囲において限られたものである。タンパク質のフォールディングは疎水性相互作用によって最も強い影響を受ける。タンパク質の結合およびその配座の変化という2つの現象は、ある種の両親媒性物質、例えば界面活性剤およびリン脂質の存在に対して敏感である。タンパク質の吸着はこのような分子の添加によって減少され、もしくは逆転されるものと考えられた。
【0007】
従って、タンパク質は、通例非-特異的タンパク質吸着および損失を最小化するために、単離の際に界面活性剤と混合される。特別な研究の一例においては、タンパク質の吸着は、グラフトされたプルロニック(Pluronic)界面活性剤の表面濃度が増大するにつれて、無視できるレベルまで減少した。界面活性剤のモノマー側鎖におけるエチレングリコール(EG)単位の数は、4、9および24であり、最少数のEG単位(4)をもつモノマーが、血中成分に対して最も「不活性な」ものである(立体的反発理論による、タンパク質吸着阻害の分析(Analysis of the Prevention of Protein Adsorption by Steric Repulsion Theory), T.B. McPherson等, PAI, 第28章, op. Cit., 395-404)。
表面に共有結合的に付着した短いポリマーは界面の厚みおよび親水性を増大させ、結果として下部の疎水性結合サイトの利用性を低下させ、該変性された表面に対するタンパク質の結合確率および該変性表面における変性の確率をも低下させることが占めされた。
一端に短いポリマーセグメントをもしばしば含む界面活性剤は、タンパク質の種々の表面に対する結合に抵抗し、あるいは部分的に阻害さえする傾向がある、という事実は、上記発見と一致する。この現象は、恐らく界面活性剤-表面相互作用および界面活性剤-タンパク質結合の相対的な強さに依存して、タンパク質の可溶化または置換を含む。通常、これら両因子は幾分かの役割を演ずる。
【0008】
もう一つの実験において、Brij型の非イオン性界面活性剤(アルキル-ポリオキシエチレンエーテル)を、pH 7.0で、約10-4質量%の濃度にて、該水性相に添加すると、空気/水界面からのタンパク質の実質的な転位が誘発された(T. Arnebrant等, op. cit.)。
予め吸着されたタンパク質の界面活性剤による除去は広範に研究されている(固体表面におけるタンパク質界面活性剤相互作用(Protein-Surfactant Interaction at Solid Surface), T. Arnebrant等,PAI, 第17章, op. cit.: 240-254)。3種の型の相互作用が認識されている:
i) α-ラクトグロブリンまたは血清アルブミン等の、タンパク質中の特異的サイトに対する静電的または疎水性相互作用による界面活性剤の結合、
ii) 大きな配座変化なしに、該タンパク質に対する界面活性剤の協働的な吸着、および
iii) 配座変化に伴う協働的な界面活性剤の結合。
【0009】
例えば、メチル化(疎水性)シリカ表面からのタンパク質の除去は、種々の界面活性剤について類似しており、このことは、該界面活性剤のより高い界面活性による置換を介して該タンパク質が除去されることを示している。界面活性剤の頭部基効果(headgroup effects)は、親水性表面において最も顕著であるが、疎水性表面においては余り重要ではないものと結論つけることができる(固体表面におけるタンパク質界面活性剤相互作用(Protein-Surfactant Interaction at Solid Surface), T. Arnebrant等,PAI, 第17章, op. cit.: 240-254)。
他の脂質についても同様な結論が成り立つ。プラスチック表面に吸着された血漿タンパク質の量は、DPPCリポソーム懸濁液で予備処理した場合には減少する。カテーテル表面におけるインシュリンの吸着は同様な傾向を示す。
【0010】
我々は、予想外のことに、両親媒性物質、特に巨大分子が、界面活性分子を含まない脂質凝集体に対するよりも一層効果的に、脂質と界面活性剤との混合物を含む軟質の表面に吸着されることを見出した。もっと一般的に言えば−典型的には脂質小胞(リポソーム)の形態であるが、必然的ではない−安定な膜を形成する分子および少なくとも1種の強力な両親媒性物質、即ち比較的高い水溶性の、二重層-不安定化成分(しばしば界面活性剤である) の配合物、例えばリン脂質と界面活性剤との混合物は、純粋なリン脂質表面、特に、リン脂質のみ、あるいはまたコレステロールのような少なくとも1種の二重層安定化脂質群の物質も含む小胞またはリポソームよりも、一層両親媒性物質、例えばタンパク質を結合し易い。我々は、また、結合する巨大分子(タンパク質)の相対的数が、吸着する実在物の正味の電荷と同じ符号をもつ正味の電荷を有する表面について、予想外なことに高いことをも見出した。このことは、静電結合が、その結合が強力であるためには該相互作用する実在物上に反対電荷を必要とする、ということを教示する公表された情報とは明らかに矛盾している。
【0011】
(発明の開示)
我々は、超分子(例えば、薬物担体)の会合に関する上記改善を達成するための要件の一つが、該吸着剤表面の一般的な適合性であることを提案する。この吸着促進能力は、該吸着性の巨大分子が、
i) まず、局所的に引き合う電荷-電荷およびその他の相互作用により、該吸着剤近傍の表面を大きくすることを可能とし、
ii) 第二に、該吸着剤表面との非-静電相互作用/結合を最適化することを可能とする。(後者の過程は、典型的には疎水性結合およびH-結合の結合サイトの存在を必要とし、該サイトは表面可撓性(柔軟性)および/または適合性により作り出されあるいは利用可能となる)。
これら要件を満たし、かつその調節を可能とする、(巨大分子型)薬物-担体の組合わせは実際の用途に最もふさわしい。
【0012】
我々は、更に軟質の(膜)表面へのタンパク質の吸着に関与する各段階が、種々の程度に、該膜/溶液界面における該疎水性結合サイトの近接性および数に依存することを提案する。従って、巨大分子と結合表面との間の疎水性会合速度は、利用可能名結合サイトの数に敏感であるはずであり、結果として該サイトは、界面活性成分の存在および該膜の柔軟性により増加する。
吸着性(巨大)分子が、多数の結合サイトに対して配座的に調節できる速度も重要である。例えば、電荷をもたない可撓性の(トランスファーソーム(Transfersome)R)膜の場合、疎水性相互作用がインシュリン-表面会合に関する主な原因である。しかし、関連する多段結合は、通常実質的な系の再配列を完了する必要があるが、そのために長い吸着時間を必要とする。トランスファーソーム(登録商標)-インシュリン複合体を形成するための最適のインキュベーション時間は、結局寧ろ長くなる可能性がある。
【0013】
前節において提唱した該吸着スキームは、詳説された文献中に記載されている、基本的な吸着シナリオと一致している。それにもかかわらず、幾つかの差違および争点さえも、これまでに記載された公知の知見から我々の発見を明確に区別している。
予想外のことに、本発明に従って、表面に帯電した界面活性剤を添加すると、該表面へのタンパク質の結合過程が促進され、かつ巨大分子-膜結合の程度およびその速度を調節する手段が提供される。このことは、界面活性剤がタンパク質の結合を抑制するという、上記の広く受け入れられている教示と矛盾する。他方、このような表面からの、少なくとも部分的な界面活性剤の除去は、巨大分子の脱着過程を促進し、かつ幾分かの巨大分子を遊離させる。これも公開された知見と全く反対である。
【0014】
予想外に、我々は、本発明による軟質の変形性表面、特に対応する膜への巨大分子の吸着が、変形性の低い表面よりも強力であることを見出した。関連する文献は、軟質の膜が、適合性の低いものよりも高い疎水性を示し、かつ相互の反発性も高いことを記載しているので、この発見は予想とは全く反対である。
従って、本発明の目的の一つは、大きな、しばしば巨大分子状の両親媒性分子、例えばタンパク質または任意の他の型の適当な鎖状分子と、複雑な吸着剤表面との結合性を最大にする条件を特定することにある。
本発明のもう一つの目的は、複雑な表面への巨大分子の結合速度、あるいは該表面からのその対応する脱着速度を制御する、有利な因子を規定することにある。
【0015】
本発明の更に別の目的は、(生物)工学および医学的用途に対して適した製剤を調製する方法を提供することにある。
本発明の目的の一つは、得られる製剤の実際の使用にとって特に適した、モダリティーを説明することにあり、該使用は、得られた吸着質の使用、例えば医学または獣医学における、、診断、分離技術および(生物学的)処理、生物工学、遺伝子操作、薬物安定化、濃縮またはデリバリーにおける使用を含むが、これらに限定されない。
本発明によるこれら問題点の解決法は、上記特許請求の範囲に規定されている。
特別な利点を与える有利な解決法は、従属請求項に規定されている。
【0016】
定義
本特許出願において使用される定義によれば、「会合体(associate)」とは、2またはそれ以上の分子間の複合体であり、該分子の少なくとも一つは、複合体の生成理由とは無関係に、しかも共有結合以外で、1または数個の十分に規定された表面と凝集体を形成する。異なる種の分子間の会合は、封入(例えば、該表面形成性分子を含む小胞内への収容)、挿入(例えば、該表面における、あるいはその下部への該凝集体の組込み)または吸着(該凝集体表面での)に基くものであり得、2以上のこれら原理の組合わせも可能である。
用語「吸着質」、「吸着性(巨大)分子」、「結合性(巨大)分子」、「会合性(巨大分子」等は、本特許出願においては、選択された条件下においては伸長された(extended)表面を形成しない分子と「吸着剤」または「結合性表面」等との間の、上記意味における会合を説明するために互換的に使用される。
【0017】
「担体」とは、特性および生成源とは無関係に、ヒトまたは動物身体への適用またはその内部へのデリバリー等の、実際の目的のために使用される、1種以上の巨大分子と会合し得る凝集体を意味する。
本発明においては、「脂質」とは、脂肪と類似する性質を持つ任意の物質を意味する。概して、この種の分子は、長い非極性領域(連鎖X)、および大多数の場合に、所謂頭部基(Y)と呼ばれる水溶性の極性親水性基をも有している。このような物質の基本的な構造式1は以下の通りである:
X - Yn (1)
ここで、nはゼロ以上である。n=0 の脂質は、非極性脂質と呼ばれる。n≧1の脂質は、極性脂質である。本明細書の内容において、全ての両親媒性物質、例えばグリセリド、グリセロリン脂質、グリセロホスフィノ脂質、グリセロホスホノ脂質、スルフォ脂質、スフィンゴ脂質、イソプレノイド脂質、ステロイド、ステリンまたはステロール等、および炭水化物残基をもつ全ての脂質を、単に脂質と呼ぶ。より明確な定義について、我々はPCT/EP91/01596を参照する。
【0018】
「端部活性(edge-active)」物質または「界面活性剤」とは、本明細書において、端部、突出部またはその他の大きく屈曲した構造および欠陥に富む領域を形成する、系の性質を高める任意の物質を意味する。一般的な界面活性剤に加えて、より一般的な界面活性剤の存在下で、脂質の可溶化を促進する、補助界面活性剤およびその他の分子もこの部類に入る。従って、該吸着剤の(ヘテロ)凝集体中に、(少なくとも部分的に疎水性の)欠陥の形成を誘発または促進する分子もこの部類に入る。関連分子に及ぼす、直接的な界面活性作用、(部分的な)分子の脱混合という間接的な触媒作用、あるいはまた界面活性剤-誘発性配座変更作用が、しばしばこの効果に応答する。結局、多くの溶媒並びに非対称で両親媒性の分子およびポリマー、例えば多数のオリゴおよびポリ炭水化物、オリゴおよびポリペプチド、オリゴおよびポリヌクレオチドおよび/またはその誘導体は、従来の界面活性剤に加えて、上記の部類に属する。最も良く知られた極性の標準的な界面活性剤、幾つかの適当な溶媒(他に補助界面活性剤とも呼ばれる)および多くの他の関連する端部活性物質の比較的広範に渡るリストが、PCT/EP91/01596に見られ、従って詳細について、我々はこれを参照する。より完全なリストは、工業的界面活性剤のハンドブック(Handbook of industrial surfactants); Michael Ash等編, ゴーワー出版社, 1993に見られる。
【0019】
「鎖状分子」または「巨大分子」とは、該「吸着性表面」に対して異なるアフィニティーをもつ、少なくとも2種のまたは2つの状態にある基を含む、任意の直鎖または分岐鎖分子である。本発明の対応する別の(請求項2)または組合わせの(請求項3)特徴に対する、その他の特別な要件は、このような基の少なくとも1種が該ドナー溶液中でおよび/または該吸着性表面において(部分的に)帯電している必要がある。個々の基に関する該表面アフィニティーにおける差違は、その異なる両親媒性、即ち異なる親水性/疎水性によるものである。種々の基を該連鎖に沿って任意的に分配できるが、しばしば幾つかの物理的に関連する(例えば、幾つかの親水性または1を越える疎水性)基が、1個の連鎖セグメント中に位置している。
【0020】
本明細書で使用する意味において、「巨大分子」は特に以下に列挙するものを包含する:
基本的な式: Cx(H2O)yをもつ炭水化物、例えば糖、澱粉、セルロース等(炭水化物のより完全な定義について、我々はPCT/EP91/01596を参照する)は、本発明の目的にとって、該結合性表面に対する付随的なアフィニティーを達成するために、最もしばしば誘導体化することが必要となる。これは、例えば(部分的に)疎水性の表面と会合するために疎水性の残基を該炭水化物に付加することによって、あるいは該より親水性結合表面との他の非クーロン性(例えば、水素結合)相互作用に関与できる基を導入することにより達成できる。
オリゴまたはポリヌクレオチド、例えばデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のホモまたはヘテロ鎖並びにその化学的、生物学的、または分子生物学的(遺伝子)改変物(より詳しい定義については、PCT/EP91/01596に与えられたリストを考慮のこと)。
【0021】
オリゴペプチドまたはポリペプチドは、3-250、頻繁には4-100および最も頻繁には10-50個の同じまたは異なるアミノ酸を含み、これらアミノ酸は当然アミド結合により結合しているが、タンパク質類似物質の場合には、種々の重合スキームに依存し、また部分的にまたは完全に環状であっても良く、光学的に純粋な化合物またはラセミ混合物の使用が、可能である(より明確かつ完全な定義については、PCT/EP91/01596を参照のこと)。
長鎖ポリペプチドは、その詳細な配座または正確な重合度とは無関係に、通常タンパク質と呼ばれている。全てではないにしても、殆どのタンパク質は、本研究において概説するように、寧ろ表面と効率的に会合する。従って、我々はここでの関連する物質の引用を避け、寧ろ部分的なリストについてはPCT/EP91/01596を、および最新のリストについては、専門の文献を参照する。
【0022】
例示のみの目的で、以下に少数の関連する組を簡単にまとめる。
酵素は、オキシドリダクターゼ(種々のデヒドロゲナーゼ、(パー)オキシダーゼ、(スーパーオキシド)ジスムターゼ等)、トランスフェラーゼ(例えば、アシルトランスフェラーゼ、ホスホリラーゼおよびその他のキナーゼ)、トランスペプチダーゼ(例えば、エステラーゼ、リパーゼ等)、リアーゼ(デカルボキシラーゼ、イソメラーゼ等を含む)、種々のプロテアーゼ、補酵素等を含む。
天然の型の、または化学的、生化学的もしくは遺伝子的に操作された、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM群の免疫グロブリンおよびその全てのサブタイプ、そのフラグメント、例えばFab-またはFab2-フラグメント、単鎖抗体またはその一部、例えば可変または超可変領域が本発明にとって有益である可能性がある。これは、IgG-γ鎖、IgG-F(ab')2フラグメント、IgG-F(ab)、IgG-Fcフラグメント、Ig-κ鎖、Ig-sの軽鎖(例えば、κおよびλ鎖)およびより小さな免疫グロブリンフラグメント、例えば可変または超可変領域または任意のこれら物質またはそのフラグメントの改変体を含むがこれらに制限されない。
【0023】
抗体以外の免疫学的に活性な巨大分子(エンドトキシン、サイトカイン、リンホカイン、およびその他の大型の免疫調節性物質または生物学的メッセンジャー)も、この組の非相同性鎖状分子に属する。フィトヘマグルチニン、レクチン、ポリイノシン、ポリシチジン酸(poli I:C)、エリスロポエチン、「顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子」(GM-CSF)、インターロイキン1-18、インターフェロン(α、βまたはγおよびその(生)合成改変体)、腫瘍壊死因子(TNF)、あらゆる大きなかつ両親媒性の組織および植物抽出液、その化学的、生化学的または生物学的誘導体または置換体、その一部等もこれに属する。従って、すべてのこのような分子は、本明細書に記載したような複合表面と、有利にかつ効率的に会合できる。
更なる生物学的に関連する例は、局所的にまたは一般的に成長に影響を与える物質、例えば塩基性繊維芽細胞増殖因子(BFGF)、内皮細胞増殖因子(ECGF)、上皮増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、インシュリン、インシュリン-様増殖因子(例えば、LGF IおよびLGF II)、神経増殖因子(例えば、NGF-β、NGF 2,5s、NGF 7s等)、血小板由来増殖因子(PDGF)等を含む。
【0024】
本発明の目的にとって特に有用な誘導体化は、(生)化学、生物学または遺伝学的の如何によらず、吸着質が、幾つかの、しばしば3以上の、非極性(疎水性)残基、例えば適当なものとしては、1-24個の炭素原子をもつアリール、アルキル、アルケニル、アルケノイル、ヒドロキシアルキル、アルケニルヒドロキシまたはヒドロキシアシル-鎖で置換される改変、または、該吸着質と該吸着剤との間の、他の非クーロン性相互作用を引き起こす傾向を高める反応である。巨大分子を疎水化する場合、側鎖当たり比較的少数の(1-8あるいはより好ましくは1-4)の炭素原子が、有利である。関連する科学文献は、鎖状分子を、如何にして種々の目的に対して、疎水性化すべきかについて、豊富な情報を与えている。本開示の目的にとって、他の刊行物(例えば、Torchilin, V.P.等, Biochem. Biophys. Res. Comm., 1978, 85:983-990を参照のこと)により網羅されている、該吸着剤の強力なアンカー作用は、その公知技術における性質ばかりでなく、貧弱な可逆性会合をもたらす傾向があることから、排除される。
【0025】
当分野においては、両親媒性物質から形成した膜に対する界面活性剤の添加が該膜の適合性を変更することは既に知られている。更に、薬対応する膜で囲まれた、適当な液状媒体に懸濁した微細な液滴中に該薬物を組み込むことによって、バリヤー中の制限されている孔を介する薬物の輸送を改善するために、この事実が利用できることが既に示唆されている。このことは、我々の初期の特許出願PCT/EP91/01596およびPCT/EP96/04526に、より詳細に記載されている。
バリヤー孔浸透にとって著しく適した膜により該小胞を最適化するために行う必要のある選択は、一方の鎖状分子と、他方のこのような膜との間の、会合の程度およびその速度を達成しもしくはこれを調節するための工程とは、一般的に同一ではない。更に、該小胞を取り囲むこのような膜表面の3次元適合性(従って、該小胞自身の変形性)は、巨大分子が会合している該表面が固体により支持されている場合には、会合過程に対して必ずしも適切ではなく、従って非-担持膜の3次元適合性をもたない。
本発明の着目している、巨大分子の表面との会合過程を生ぜしめおよび/またはこれを調節するために、既に上に示したような2つの主な効果を利用する。
【0026】
その第一の重要な現象は、両親媒性分子、即ち既に議論した巨大分子または鎖状分子が伸長された表面と良好に会合することにあり、該表面は伸長された表面を形成する傾向のある少なくとも1種の両親媒性物質と、該懸濁用液状媒体中により一層可溶性であって、かつ、該前者の両親媒性物質よりも伸長された表面を形成する傾向の小さい少なくとも1種のもう一つの物質を含む。換言すれば、表面を不安定化する傾向をもつ物質の存在は、より可溶性の表面不安定化第二物質の不在下で溶解性の低い表面形成物質のみから形成された対応する表面と比較して、表面-溶液界面を吸着性巨大分子に対して比較的引力の高いものとする。本明細書の内容において、表面は、2次元における協働的な表面励起の伝播および/または発生が可能である場合には、伸長されるものとみなされる。例えば、小胞の表面は、表面の波状運動および揺らぎを維持することによりこの基準を満足する。膜の柔軟性に依存して、20nm〜数百nmの範囲の平均小胞径がこのために必要とされる。少なくとも1方向においてこの寸法に達しない(混合)脂質ミセルはこの要件を満足しない;そうであるならば、その表面は本発明の意味において伸長されたものとは解されない。
【0027】
第二の、より溶解性の高いかつ表面不安定化物質は、一般的に端部活性物質、即ち界面活性剤である。
第二の新たに記載される効果は、予想とは逆に、電気的に帯電した巨大分子または鎖状分子と同じに帯電した表面が複合体であり、かつその表面が少なくとも2種の両親媒性物質を含み、その一方が他方よりも高い溶解性をもち、かつ該溶解性の低い物質によって形成された表面を不安定化する傾向を持っている場合には、電気的に帯電した巨大分子または鎖状分子が、等しい電荷をもつ(即ち、両者ともに負または両者ともに正)表面と容易かつ良好に会合することである。換言すれば、同様な電荷は相互に反発し合ううことは一般に真実であるが、帯電した巨大分子または鎖状分子は、会合性物質および基体表面が負である場合、または会合過程に関連する両者が正味の正の電荷をもつ場合に、同一の電荷に帯電した表面と会合できる。但し、表面の複雑性は、該必要な分子内および分子間再配列を可能とすることを条件とする。既存の証拠に基づくと、負に帯電した巨大分子が正に帯電した表面と会合する場合、即ち静電引力により補助された場合、あるいはその逆の場合に、該会合は容易かつ強力になるものと予想される。
前節に記載した2つの効果は、独立請求項3に特別に規定したように、有利に組み合わせることもできる。
【0028】
両親媒性表面形成性物質の選択は、一緒に膜または表面を形成し、巨大分子または鎖状分子が結合することになる、かつ最もしばしば液状媒体中に懸濁した小胞として存在する、関連物質の溶解度差によって規定することができる。一般的に、本発明の効果は、該関連する分子間の溶解度差が大きい場合には、より顕著、即ち該結合性巨大分子に対する表面の引がより高いものとなる。より溶解性の高い膜成分は、溶解性の低い表面形成性分よりも、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、溶解性が高くなければならない。かくして、両親媒性表面形成物質、例えばリン脂質が、水等の適当な液状媒体中で界面活性剤などの第二の物質と組み合わされる場合には、該第二の物質として、リン脂質よりも水中における溶解度が高い界面活性剤を使用することが一層有利である。
【0029】
他方、行う必要のある選択は、また得られる表面の曲率によっても規定することができる。水(液状媒体として使用する)中で、(表面不活性化剤、即ちより溶解性の高い第二成分として)界面活性剤と混合したリン脂質(該基本的表面形成物質として)の上記例を使用すると、得られる小胞は、ある特徴的な表面の曲率を達成する。その(平均の)曲率は、一般的に言えば、考察中の表面により囲まれる領域の平均半径の逆数として定義される。一般的に、界面活性剤の添加は、界面活性剤を含まないリン脂質小胞の曲率と比較して、混合脂質小胞表面の曲率を増大させる。曲表面の安定性と破局的に妥協し得ない界面活性剤飽和濃度が存在する場合、最適の界面活性剤濃度は、典型的にはこのような飽和濃度の99%以下として選択され、より一般的には、この選択は1-80モル%なる範囲で行われ、より一層好ましくは10〜60モル%、および最も好ましくは該飽和濃度の20〜50モル%なる範囲にて行われる。
【0030】
他方、界面活性剤の添加後、その飽和濃度に達する前に表面が崩壊してしまうという事実のために各系における飽和濃度へ到達できない場合には、使用すべき界面活性剤の量は典型的には飽和濃度の99%よりも低い。この系における界面活性剤の最適濃度は、しばしば吸着剤の表面形成を制限する濃度の1〜80%、より頻繁には10〜60%、および好ましくは20〜50%、即ち可溶化された混合脂質凝集体のより一層小さな平均表面によって伸長された表面が置換される濃度以上である。
【0031】
便利かつ実際に有用な物質のブレンドは、また該表面の平均の曲率によっても定義できる。請求項7に示したように、該表面は、平均半径15〜5000nm、しばしば30〜1000nm、より頻繁には40〜300nmおよび最も好ましくは50〜150nmに対応する平均の曲率(該表面により囲まれた領域の平均半径の逆数として定義される)を有する。しかし、吸着剤表面の該曲率は、必ずしも該吸着剤膜の特性によって支配されないことは強調すべきである。固体で支持した表面を使用する場合には、また本発明に従って選択された両親媒性物質のブレンドから該表面を形成した場合には、該表面の平均の曲率は、通常該支持固体表面の曲率によって決定される。
【0032】
更に、少なくとも同様な電荷間の会合を使用する場合には、本発明を該表面関連帯電成分の相対的濃度により表すことができる。このような表面関連帯電成分の相対的濃度は、一緒に使用された全表面形成性両親媒性物質の濃度の、5〜100モル%、より好ましくは10〜80モル%、および最も好ましくは20〜60モル%である。正味の表面電荷密度で表した場合には、該表面は、0.05 Cb/m2(クーロン/m2)〜0.5 Cb/m2、より好ましくは0.075〜0.4 Cb/m2、および最も好ましくは0.10〜0.35 Cb/m2の範囲の値によって特徴付けられる。
多価イオン(oligovalent ions)を含む、背景電解液の濃度および組成を、所定の会合に及ぼす電荷間相互作用の正の効果が最大となるように選択することが好ましい。一般的には、バルクのイオン強度を、I=0.001〜I=1、好ましくはI=0.02〜I=0.5およびより一層好ましくはI=0.1〜I=0.3なる範囲に維持する。
【0033】
本発明のもう一つの有用な定義は、流体の小さな滴を取り囲む膜の形状にある吸着剤表面に関するものである。このような膜はしばしば二重層状態にあり、また少なくとも2種または2形態の(自己-)凝集性両親媒性物質を含み、これらは該液滴を懸濁するのに使用した、(好ましくは水性の)液状媒体に対する溶解度において、少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍異なっている。このような場合においては、膜を形成する物質の選択は、より溶解性の高い物質のホモ-凝集体の平均径または両物質を含むヘテロ-凝集体の平均径を溶解性の劣る物質のみを含むホモ-凝集体の平均径よりも小さくするという要件によって、特定することができる。
表面を形成できる、この系における全ての両親媒性物質の全含有率は、特にこの組合わせを使用して、主として医学的な目的で、ヒトまたは動物の身体に適用すべき製剤を製造する場合には、好ましくは全乾燥質量の0.01〜30質量%、特に0.1〜15質量%、および最も好ましくは1〜10質量%である。
【0034】
表面形成または表面支持物質、即ち伸長された表面を形成し得る物質は、特に吸着剤表面が二重層構造を持つ必要がある場合には、生体適合性極性または非極性脂質から選択されるのが有利である。具体的には、この主な表面形成物質は、適当な任意の生物起源の脂質またはリポイド、あるいは対応する合成脂質、もしくはこのような脂質の修飾体として選択でき、好ましくはグリセリド、グリセロリン脂質、イソプレノイド脂質、スフィンゴ脂質、ステロイド、ステリンまたはステロール、硫黄-または炭水化物-含有脂質、または二層膜を形成できる任意の他の脂質、特に半-プロトン化流動脂肪酸であり、および好ましくはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリンまたはスフィンゴリン脂質、グリコスフィンゴ脂質(例えば、セレブロシド、セラミドポリヘキソシド、スルファチド、スフィンゴプラスマローゲン)、ガングリオシド、または他の糖脂質または合成脂質、特にジオレオイル、ジリノレイル、ジリノレニル、ジリノレノイル、ジアラキドイル、ジラウロイル、ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル糖脂質、あるいは対応するスフィンゴシン誘導体、またはジアシル、ジアルケノイル、またはジアルキル-脂質の群から選択できる。
【0035】
他の表面不安定化およびより高い溶解性をもつ物質は、有利には界面活性剤であり、該界面活性剤は、非イオン性、両性、アニオン性またはカチオン性洗浄剤に属するものであり得、特に有利に使用できるものは、長鎖脂肪酸またはアルコール、アルキル-トリ/ジ/メチルアンモニウム塩、アルキルスルフェート、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、またはタウロコール酸塩の一価の塩、アシル-またはアルカノイル-ジメチルアミンオキシド、特にドデシルジメチルアミンオキシド、アルキル-またはアルカノイル-N-メチルグルカミド、N-アルキル-N,N-ジメチルグリシン、3-(アシルジメチルアンモニオ)-アルカンスルフォネート、N-アシルスルフォベタイン、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、特にノナエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレンアシルエーテル、特にノナエチレンドデシルエーテル、ポリエチレングリコールイソアシルエーテル、特にオクタエチレングリコールイソトリデシルエーテル、ポリエチレンアシルエーテル、特にオクタエチレンドデシルエーテル、ポリエチレングリコールソルビタンアシルエーテル、例えばポリエチレングリコール-20-モノラウレート(ツイーン(Tween) 20)またはポリエチレングリコール-20-ソルビタンノモオレエート(ツイーン80)、ポリヒドロキシエチレンアシルエーテル、特にポリヒドロキシエチレン-ラウリル、-ミリストイル、-セチルステアリルまたはオレイルエーテル、例えばポリヒドロキシエチレン-4、6、8、10または12等のラウリルエーテル(例えば、ブリッジ(Brij)シリーズ)、または対応するエステル、例えばポリヒドロキシエチレン-8-ステアレート(Myrj 45)、-ラウレートまたは-オレエート型のエステル、あるいはポリエトキシル化ひまし油40(クレモフォア(Cremophor) EL)、ソルビタンモノアルキレート(例えば、アルラセル(Arlacel)またはスパン(Span))、特にソルビタンモノラウレート(アルラセル20、スパン20)、アシル-またはアルカノイル-N-メチルグルカミド、特にデカノイル-またはドデカノイル-N-メチルグルカミド、アルキルサルフェート(塩)、例えばラウリル-またはオレイル-サルフェート、デオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ナトリウムオレエート、ナトリウムタウレート、脂肪酸塩、例えばナトリウムエライデート、ナトリウムリノレエート、ナトリウムラウレート、リゾリン脂質、例えばn-オクタデシレン(=オレオイル)-グリセロホスファチジン酸、-ホスホリルグリセロール、または-ホスホリルセリン、n-アシル、例えばラウリルまたはオレイル-グリセロホスファチジン酸、-ホスホリルグリセロール、または-ホスホリルセリン、n-テトラデシル-グリセロホスファチジン酸、-ホスホリルグリセロール、または-ホスホリルセリン、対応するパルミトエロイル-、エライドイル-、バセニル-リゾリン脂質または対応する単鎖リン脂質、または界面活性ポリペプチドである。
【0036】
該帯電した膜成分の濃度は、しばしば全膜形成性分の量を基準として、1〜80モル%、好ましくは10〜60モル%、および最も好ましくは30〜50モル%なる相対的濃度範囲にある。
ホスファチジルコリンおよび/またはホスファチジルグリセロールを、表面支持物質として選択し、かつリゾリン脂質、例えばリゾホスファチジン酸、メチルホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセロール、またはリゾホスファチジルコリン、または部分的にN-メチル化されたリゾホスファチジルエタノールアミン、コレート、デオキシコレート、グリココレート、グリコデオキシコレートの一価の塩、または任意の他の十分に極性のステロール誘導体、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、パルミトオレエート、エライデートまたは幾つかの他の脂肪酸塩および/またはツイーン、Myrj型、またはBrij-型もしくはトライトン(Triton)型、脂肪酸-スルフォネートまたは-スルフォベタイン、-N-グルカミドまたは-ソルビタン(アルラセルまたはスパン)界面活性剤を、伸長表面の形成能に劣る物質として選択することが好ましい。
【0037】
伸長表面により囲まれた領域の該平均半径は、15〜5000nm、しばしば30〜1000nm、よりしばしば40〜300nmおよび最も好ましくは50〜150nmの範囲にあることが有利である。
一般的に、上記他の2種の物質(および場合によっては、必要により第三、第四、第五等の物質)の組合わせにより形成された、伸長表面と結合する第3の物質は、繰り返しサブユニットをもつ分子、特に鎖状分子の形状にある任意の分子を含むことができる。かくして、該第3の物質は、オリゴマーまたはポリマーであり得る。特に、800ダルトン以上、好ましくは1000ダルトン以上およびしばしば1500ダルトンをも越える平均分子量をもつ、両親媒性巨大分子物質であり得る。典型的には、このような物質は、生物起源のものであり、あるいは生物学的物質に類似する物質であり、また有利には、生物学的活性を有し、即ち生物学的薬物である。
【0038】
該第三(種)の物質は、好ましくは特に膜と液状媒体との間の界面(1または複数)に挿入されることによって、本発明の膜-様伸長表面と会合し、このような界面は、該膜の欠くことのできない部分である。
該第3の物質(分子)または対応する鎖状分子の含有率は、吸着剤表面の質量を基準として、一般的に0.001〜50質量%の範囲内にある。しばしば、この含有率は、同一の相対的単位を使用して、0.1〜35質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、および最も好ましくは1〜20質量%の範囲内にあり、これにより固有比(specific ratio)は、吸着性(鎖状)分子のモル質量の増大に伴って、減少することが分かる。
【0039】
吸着性巨大分子または鎖状分子が、タンパク質またはその一部である場合には常に、このような実在物は、本発明の意味において、吸着性表面と結合しているが、これは、吸着剤表面と結合する傾向のある、少なくとも3個のセグメントまたは官能基をもつ。
本発明によれば、該両親媒性物質から形成された伸長表面と結合する傾向をもつ該巨大分子または鎖状分子は、天然の状態にある、あるいはある適当な化学的、生化学的または遺伝的な改変後の、ポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNA、または少なくとも部分的に該表面と相互作用する傾向をもつ、多糖類の組に属するものであり得る。
【0040】
伸長表面と会合する該鎖状分子は、種々の生理学的な機能をもつことができ、また例えば以下に列挙する物質として作用できる:アドレノコルチコスタチカム(adrenocorticostaticum)、β-アドレノリティカム(adrenolyticum)、アンドロゲンまたはアンチアンドロゲン、アンチパラシティカム(antiparasiticum)、アナボリカム(anabolicum)、アネスセティカム(anaestheticum)またはアナルジェシカム(analgesicum)、アナレプティカム(analepticum)、アンチアレルギカム(antiallergicum)、アンチアリスミカム(antiarrhythmicum)、アンチアルテロスクレロティカム(antiarterosclerocum)、アンチアズマティカム(antiasthmaticum)および/またはブロンコスパズモリティカム(bronchospasmolyticum)、アンチビオティカム(antibioticum)、アンチドレプレッシバム(antidrepressivum)および/またはアンチサイコティカム(antipsychoticum)、アンチジアベティカム(antidiabeticum)、解毒薬、アンチエメチカム(antiemeticum)、アンチエピレプティカム(antiepilepticum)、アンチフィブリノリティカム(antifibrinolyticum)、アンチコンバルシバム(anticonvulsivum)、アンチコリネルジカム(anticholinergicum)、酵素、補酵素または対応する阻害剤、アンチヒスタミニカム(antihistaminicum)、アンチハイパートニカム(antihypertonicum)、薬物活性を持つ生物学的阻害剤、アンチハイポトニカム(antihypotonicum)、抗−凝固剤、アンチマイコティカム(antimycoticum)、アンチマイアステニカム(antimyasthenicum)、パーキンソン病またはアルツハイマー病に対する薬剤、アンチフロギスティカム(antiphlogisticum)、アンチピレティカム(antipyreticum)、アンチリューマティカム(antirheumaticum)、アンチセプティカム(antisepticum)、呼吸性アナレプティカム(analepticum)または呼吸性刺激剤、ブロンコリティカム(broncholyticum)、カルディオトニカム(cardiotonicum)、ケモセラプーティカム(chemotherapeuticum)、冠拡張剤、サイトスタティカム(cytostaticum)、ジウレティカム(diureticum)、ガングリウム(ganglium)遮断剤、グルココルチコイド(glucocorticoid)、アンチフルー(anti-flue)剤、ヘモスタティカム(haemostaticum)、ハイプニティカム(hypnoticum)、免疫グロブリンまたはそのフラグメントまたは任意の他の免疫学的に活性な物質、生活性炭水化物(誘導体)、避妊薬、抗−偏頭痛薬、電解質コルチコイド、モルヒネアンタゴニスト、筋肉弛緩剤、ナルコティカム(narcoticum)、ニューロセラプーティカム(neurotherapeuticum)、ニューロレプティカム(neurolepticum)、神経伝達物質またはその幾つかのアンタゴニスト、ペプチド(誘導体)、オフタルミカム(ophthalmicum)、(パラ)-シンパチコミメティカム((para)-sympatico-mimeticum)または(パラ)-シンパチコリティカム((para)-sympathicolyticum)、タンパク質(誘導体)、乾癬/神経皮膚炎治療薬、マイドリアティカム(mydriaticum)、精神刺激剤、リノロジカム(rhinologicum)、任意の催眠剤またはそのアンタゴニスト、鎮静剤、スパズモリティカム(spasmolyticum)、チューバークロスタティカム(tuberculostaticum)、ウロロジカム(urologicum)、血管収縮剤または血管拡張剤、ビルスタティカム(virustaticum)、または任意の創傷治癒物質、または上記薬物の任意の組合わせ。
【0041】
本発明は、また第3の物質が成長調節物質である場合に、有利に利用できる。
更に有利な態様の例は、第3の物質の薬物が、免疫調節剤の群から選択されるものであり、該調節剤は、抗体、サイトカイン、リンホカイン、ケモカインおよび植物、バクテリア、ウイルス、病原体、または免疫原の対応する活性部分、またはこれらの何れかの一部または改変体、酵素、補酵素またはある他の種の生体触媒、認識分子、特にアドヘリン、抗体、カテニン、セレクチン、シャペロン、またはその部分、ホルモン、特にインシュリンを包含する。
インシュリンの場合、本発明の組合わせは、活性物質としてのインシュリンを、1 mL当たり、1〜500 I.U.、特に20〜400 I.U.および最も好ましくは50〜250 I.U.を含む。薬物の好ましい形態は、ヒト組み換えインシュリンまたはヒト化インシュリンである。
【0042】
本発明のその他の有利な利用は、種々のサイトカイン、例えばインターロイキンまたはインターフェロン等の利用を含み、該インターロイキンは、ヒトまたは動物において使用するのに適しており、IL-2、IL-4、IL-8、IL10、IL-12を含み、また該インターフェロンはヒトまたは動物において使用するのに適しており、α、βおよびγIFを含むが、これらに制限されない。
組合わせは、0.01〜20mgインターロイキン/mL、特に0.1〜15mgインターロイキン/mLおよび最も好ましくは1〜10mgインターロイキン/mLを含み、インターロイキンは、必要ならば、実際に望ましい薬物濃度範囲に達するまで最終的に希釈する。
組合わせは、20相対質量%までのインターフェロン、特に0.1〜15mgインターフェロン/mL、および最も好ましくは1〜10mgインターフェロン/mLを含み、必要ならば、実際に好ましい薬物濃度範囲に達するまで、最終的に希釈して使用される。
【0043】
本発明のもう一つの態様においては、(第三)活性物質として本発明の表面と会合した、神経増殖因子(NGF)の投与について記載する。このような薬物の好ましい形態は、ヒト組み換えNGFであり、この用途に対する最適な濃度範囲は、25mg神経成長因子(NGF)/mL懸濁液まで、あるいは薬物としてNGFを25相対質量%まで、特に0.1〜15相対質量%タンパク質および最も好ましくは1〜10相対質量%のNGFを含み、必要ならば使用前に希釈する。
ここに報告した本発明の技術を、完全な抗体として、その一部として、または生物学的に許容されかつ活性なその改変体の形状にある、免疫グロブリン(Ig)の投与のために利用することができる。有利には、懸濁液は、25mgの免疫グロブリン(Ig)/mL懸濁液まで、または全脂質に対して、25質量%までのIg、好ましくは0.1〜15相対質量%のタンパク質および最も推奨できるものとして、免疫グロブリン1〜10相対質量%含む。
【0044】
本発明は、上に規定した組み合わせ、特に活性薬物製剤、特に上で論じた生物学的、化粧学的および/または薬理学的に活性な薬物製剤としての組み合わせを開示するものであり、このような方法は、適当な液状媒体に対する溶解度において異なっており、かつ、少なくとも併合した場合には該媒体との接触状態において伸長された表面、殊に膜形状にある表面を形成し得る、少なくとも2種の両親媒性物質を選択する工程を含む。これら方法のための推奨できる選択基準は、活性薬物を引き付け表面との会合を支援し得る物質を併合することによって形成される伸長した表面を使用すること、および/または、適当な液状媒体に対する溶解度が異なる少なくとも2種の両親媒性物質を選択することである。但し、該表面は、該2つの物質のうち、他方の物質がその上に形成する表面よりもそれ自身の上により伸長された表面を形成する物質のみで形成された表面よりも薬物に対してより高い引力を有し、該両親媒性物質は、少なくとも併合された場合に、該媒体との接触状態で、伸長された表面、特に膜-様の表面を形成し、また更に両物質の組み合わせを含む該表面は、該2つの物質の一方のみから形成された表面よりも活性薬物を強く引きつけ、かつより良好に結合でき、ここで一方の物質は、他方の物質よりも伸長された表面を形成し易く、かつ最後に、但しこれが全てではないが、該表面並びに該薬物が正味の電荷をもつ場合には、平均して、これらが両者ともに負に帯電しているか、あるいは両者ともに正に帯電していることを条件とする。
【0045】
本発明の伸長表面の好ましい製造法は、物質の対応する混合物に、機械的操作、例えば、この工程で形成される表面と会合することになる薬物分子の存在下で、濾過、圧力変化または機械的な均質化、振とう、攪拌、混合あるいは、任意の他の制御された機械的断片化操作を施すことを含む。
物質を次々に、あるいは一度に数種の物質を添加することによって、表面形成物質の選択された組合わせが適当な支持固体表面に吸着できるようにされ、または他の様式で支持固体表面と永続的な接触状態となり、次に液体媒体と永続的な接触状態となることができるようになるのが好ましく、それにより後の表面形成段階の少なくとも一つは、固体支持表面と会合する薬物の存在下で行われる。
液状媒体中に懸濁されているか、あるいは固体により支持されているかとは無関係に、表面形成物質を段階的に混合する工程を含んでいていよい段階によって、吸着性表面またはその先駆体をまず調製し、次に会合性分子を添加し、かつ必要ならば、攪拌、混合またはインキュベーションの助けを借りて該表面と会合させることが有利であるが、このような処理が予め形成された表面を崩壊しないことを条件とする。
【0046】
本発明の好ましい方法は、特にヒトまたは動物もしくは植物の完全な外皮を介する、種々の薬物の非侵襲的な用途用の製剤を調製し、少なくとも1種の両親媒性物質と、少なくとも1種の親水性流体と、少なくとも1種の端部活性または界面活性物質と、少なくとも1種の薬物とを含む複合体として該薬物分子と会合できる表面を生成することである。これら原料は一緒に、非侵襲的な薬物用途に適した製剤を与え、その他の通常の原料も最終的な調剤の所定の性質および安定性を確保するために適当であり、かつ必要なものとして添加できる。
この方法を実施するに際して、該選択された原料を別々に、また必要な場合には、該成分を同時/溶解して単一の溶液とし、次いで得られる混合物または溶液を併合し、かつ最終的に、好ましくは既に説明したように、機械的なエネルギーの作用により、薬物-結合実在物または表面の形成を誘発する。
本発明に記載の目的に適した両親媒性物質は、そのまま利用してもよく、または水等の生理的に許容できる極性流体、あるいはこのような溶媒と混和性の流体、または好ましくは少なくとも1種の端部活性物質または界面活性剤を含む極性溶液と共に溶媒和-媒介試薬中に溶解することができる。
【0047】
薬物を引き付ける表面の形成を誘導する好ましい一つの方法は、流体相に物質を添加することである。別法は、逆相からの蒸発、注入または透析、あるいは機械的応力の印加、例えば振とう、攪拌、振動、均質化、超音波照射(例えば、超音波への暴露)、せん断、凍結および解凍、または有利なかつ適当な作動圧の下での濾過を含む。濾過を利用する場合、その濾過材は、有利には0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.3μmおよび最も好ましくは0.05〜0.15μmの範囲の孔径をもつように選択できる。適当な場合には、直列的ににまたは並行して数個のフィルターを使用して、所定の表面形成効果を達成し、かつ製造の容易さおよび速度を最大にすることができる。
吸着性表面を形成した後、薬物および担体を、少なくとも部分的に会合させることが有利である。
実際の目的のために、得られた製剤を適用する直前に、該薬物分子と結合性表面との会合体を形成することが可能である。従って、適当な濃厚物または凍結乾燥製品を使用してこれを開始できる。
【0048】
本発明は、特に薬物の搬送、薬物貯留物またはあらゆる他の種の医学的または生物学的用途を目的とする薬物担体の調製を開示する。従って、バリヤー孔透過との関連で本発明を利用することも可能である。この場合、当分野において既に公知であるように、微細な液滴を取り囲む両親媒性分子により形成された膜として会合性表面を与えることが有利であり、該液滴表面と会合している薬物分子は、バリヤーの孔の平均径が、液滴または小胞の平均径よりも小さい、あるいは著しく小さい場合においてさえ、該バリヤーの該孔を介して、超-変形性液滴により搬送される。しかし、一方で最適の会合特性と、他方で最良の膜適合性との間の折衷が必要とされることがある。というのは、既に上で説明したように、これら2つは必ずしも同一ではなく、またより頻繁には、孔を透過することのみに対する小胞膜の適合性により規定される最適の組成物特性とは実際以上に異なっているからである。
【0049】
本発明の会合体の更なる使用は、(生物)工学的用途、遺伝子操作ばかりでなく、分離技術における用途、(生物学的)処理、または診断における用途を含む。ここでは、酵素処理および触媒を含む、他の本発明の使用におけるように、膜状の小胞の形態を取るよりも、会合性表面が固体に担持されていてもよい本発明のこの特徴を利用することが有利であり得る。これは、本発明の表面を固体担体に固定することを可能とし、従って、例えばこの種の表面と会合している触媒的に活性な巨大分子を可能な最大の程度に固体担体に固定するためにこの表面を都合よく処理し、付着させ、分離し、濃縮することを可能とする。例えば(誘導体化)タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または多糖類のような、少なくとも部分的に両親媒性である、表面会合性分子、特に鎖状分子を安定化することが可能であり、および/または表面会合状態にある該分子を含む触媒過程において安定化することができる。従って、触媒的に活性な、高度に親和性のまたは選択性の、あるいは反応性の巨大分子を充填したカラムの調製のために本発明の教示の利用をもくろむことができる。その一例は、例えば溶液中の適当な補助反応物質を、非共有結合的に付着し、従って固体担体を取り巻く活性分子を有する固体担持表面を有するカラムに通すことにより行われる化学反応である。ここで、溶液が固定化された巨大分子を通過するのに伴って活性巨大分子との反応が起こる。もう一つの例示的な例においては、少なくともそのいくつかを分離すべき分子種の溶液を、固体に担持された吸着剤表面の懸濁液で満たされたカラムに通し、または該懸濁液と接触させる。その目的は、まずターゲット分子を基板表面と会合させ、次いで任意の適当な方法で流体と固体区画とを分離することにあり、その適当な方法には、遠心分離、沈降、浮遊(遠心分離との組合わせまたは組み合わせることなしに)、電気的または磁気的な吸着剤粒子の分離等が含まれる。
【0050】
本発明のもう一つの利用は、表面会合分子と、本発明に従って形成された如き複合的な適合性表面との間の会合または解離のカイネティクスおよび/または可逆性を、適当な両親媒性物質の組合わせによって調節することに関連する。それにより、高い表面電荷密度および/または大きな表面の柔軟性および/または高い表面欠陥密度を会合の促進のために利用できる。対応するこれら物理量の減少は、従って会合速度を低下させるため、または部分的または完全な解離を誘発するために利用できるかもしれない。
製剤および保存温度は、殆ど0〜95℃の範囲から外れることはない。多くの興味ある原料、特に巨大分子の多くが温度感受性であるために、好ましい温度は、70℃以下およびより好ましくは45℃以下である。非水性溶媒、極低温または熱安定剤の使用は、種々の温度範囲にて作業を行うことを可能とする。実際の利用は、典型的には室温または生理的温度にて行われるが、種々の温度での使用が可能であり、またこれは特定の製剤または用途にとって望ましいことであり得る。より高い温度での吸着性表面適合性(柔軟性、電荷の符号および/または電荷密度)の維持はそのための可能な一つの理由であり、薬物を低温にて活性形状に保つことはもう一つの可能な例である。
【0051】
製剤の特徴は、系の最も敏感な成分に合わせることが妥当である。低温における(例えば、4℃での)保存並びに不活性ガス(例えば、窒素)の使用が有利であろう。
記載された製剤は、該吸着剤または吸着質の何れがより重要であるかにより、これらに対して特異的な手順を利用して適用場所で処理することができる。(リン脂質を主成分とする吸着剤の例は、「リポソームズ(Liposomes)」, Gregoriadis, G.編, CRCプレス, ボカラトン, Fl., Vols. 1-3, 1987; 「薬物担体としてのリポソーム(Liposomes as drug carriers)」, Gregoriadis, G.編, ジョンウイリー&サンズ社, NY, 1988; 「リポソームズ、実際的方法(Liposomes. A Practical Approach)」, New, R., オックスフォードプレス刊, 1989に見出すことができる)。該製剤は、希釈、もしくは(例えば、超遠心分離または限外濾過により)濃縮することもできる。
適当な時期にあるいは製剤の使用前に、添加剤を導入して、得られる製剤の化学的または生物学的な安定性、該(巨大)分子の会合またはその解離、解離/会合の速度、投与の容易性、応諾等を改善することができる。
【0052】
興味ある添加剤は、種々の系を最適化する溶媒(その濃度は、所定の系の特性を維持または達成することにより規定される限界を超えるべきではない)、化学的安定剤(例えば、酸化防止剤、およびその他の捕獲剤)、バッファー等、吸着促進剤、生物学的に活性なアジュバント分子(例えば、殺微生物剤、ウイルス抑制剤)等を含む。
上記目的にとってふさわしい溶媒は、無置換または置換、例えばハロゲン化、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香族-脂肪族炭水化物、例えばベンゾール、トルオール、塩化メチレン、ジクロロメタンまたはクロロフォルム、アルコール、例えばメタノールまたはエタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロパンジオール、グリセロール、エリスリトール、短鎖アルカンカルボン酸エステル(alkanecarbon acidesters)、酢酸、酸アルキルエステル(acidalkylesters)、例えばジエチルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等またはこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。
【0053】
吸着剤/吸着質混合物のpHを、該混合物の調製後にあるいはその使用前に調節することが有利である場合がある。これは、各系の成分および/または会合体の分解を防止するはずである。これは、また得られる混合物の生物学的な活性または生理的相溶性を改善するはずである。インビボまたはインビトロでの生物学的な用途用の混合物を中和するために、しばしば生体許容性の酸または塩基を使用して、最終目的および適用場所に依存してpHの値を3-12、しばしば5-9および殆どの場合には6-8に調節する。生理的に許容される酸は、例えば無機酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸、および有機酸、例えば酢酸等のカルボキシアルカン酸の希薄水溶液である。生理的に許容される塩基は、例えば希薄な水酸化ナトリウム、適当にはイオン化されたリン酸等の溶液である。
【0054】
暗示的におよび明確に述べた全ての脂質および界面活性剤は公知のものである。巨大分子との会合に適した凝集体を形成する脂質およびリン脂質は、例えば以下に列挙する文献に概説されている: 「リン脂質ハンドブック(Phospholipids Handbook)」, Cevc, G.編, マルセルデッカー社, NY, 1993、「脂肪酸およびそのグリセリドの化学および生化学入門(An Introduction to the Chemistry and Biochemistry of Fatty acids and Their Glycerides)」, Gunstone, F.D.編およびその他の参考書物。市販の界面活性剤に関する概説は、資料:「Mcクッチョンズ(Cutcheon's, 乳化剤および洗浄剤(Emulsifiers & Detergents)」 (マニュファクチャリングコンフェクショナー(Manufacturing Confectioner Publishing)出版社)およびその他の関連する参考書物(例えば、工業用界面活性剤のハンドブック(Handbook of Industrial Surfactants), M. Ash等編, ゴワー(Gower), 1993)に与えられている。活性成分に関する関連する編纂物は、「Deutshes Arzneibuch」、The British Pharmaceutical Guide、European Pharmacopoeia、日本薬局方、The United States Pharmacopoeia等である。関連する巨大分子は、製造業者のカタログ、工業界および学会両者の、関連する科学的定期刊行物、および専門的な参考書物に記載されている。
本特許出願は、幾つかの選択されたポリペプチド/タンパク質およびリン脂質/界面活性剤混合物を使用して例示されるように、幾つかの関連する会合体の特性を説明する。しかし、一般的な結論の正当性は、提示された選択に制限されず、また得られた会合体は単にヒトの医学および獣医の分野に有用なだけではない。
【0055】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の限界を設定しもしくはその輪郭を定めることなしに、本発明を例示するものである。全ての温度は摂氏であり、担体サイズは、ナノメータ単位であり、比および百分率は、モル単位で与えられている。その他は、特に断らない限り、標準のSI単位を使用した。
以下の実験は、複合小胞に対するインシュリンの結合能を測定するために行った。種々の組成の小胞組成物を使用した。変更は、該小胞に正味の電荷を導入するために、種々の界面活性剤および脂質の変更、種々の脂質/洗浄剤比、種々の全脂質含有率、および種々のインシュリンの種類および濃度を含んでいた。
第一群の実験において、リン脂質/生体界面活性剤混合物を含む、複合脂質小胞を種々のタンパク質/脂質比にてインシュリンと併合して結合の最大値を求めた。従来の単一成分小胞(リポソーム)を基準として使用した。
【0056】
実施例1-27
超変形性かつ柔軟性小胞(トランスファーソーム(TransfersomesTM)):
出発懸濁液
全脂質(TL)含有率 10質量%の内訳:
874.4mgの大豆由来のホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー, pH 7.1
最終懸濁液A
TL含有率5質量%の内訳:
上記と同様な脂質および
0.1、0.5、1、2、3、4 mgインシュリン/100mg TL
所定の希釈を達成するために、インシュリンの原液(4 mg/mLアクトラピッド(ActrapidTM)、ノボノルディスク(Novo-Nordisk)製)を、以下のように、上記バッファーと混合した。
【0057】
【表1】
Figure 0004838936
【0058】
最終懸濁液Aは、2.5 mLの該出発脂質懸濁液(10%TL)を2.5 mLの適当なインシュリン希釈液と混合することによって調製した。
最終懸濁液B
TL含有率5wt%〜0.25wt%の内訳:
上記と同様な脂質および
4、5、6.67、10、20、40、および80 mgインシュリン/100mg TL
種々のインシュリン/脂質比を達成するために、以下のピペット処理スキームを利用した。
【0059】
【表2】
Figure 0004838936
【0060】
最終懸濁液Bは、2.5 mLのアクトラピッドHM(4 mg/mLインシュリン)を、2.5 mLの適当に希釈した脂質懸濁液と混合することによって調製した。
最終懸濁液C
TL含有率2.5w-%〜0.125w-%の内訳:
上記と同様な脂質および
4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、80、および160mgインシュリン/100mg TL
上に挙げたインシュリン/脂質比を達成するために、以下のピペット処理スキームを使用した。
【0061】
【表3】
Figure 0004838936
【0062】
テストシリーズCについては、10%のストック懸濁液から、その懸濁液を1:1(v/v)の比率でバッファーにより希釈し、以下に記載するように、濾過および凍結-解凍操作を繰り返すことによって5%の小胞懸濁液を調製した。
吸着剤/吸着質混合物の調製:バッファーを標準的な手順に従って調製し、0.2μmの滅菌フィルタを介して濾過した。(後の使用のために、この溶液をガラス容器内に保存した)。滅菌ガラス容器内で、脂質混合物を該バッファーに懸濁し、密に栓をし、マグネティックスターラーで室温にて2日間攪拌した。次いで、この懸濁液を、それぞれ公称孔径400nm、100nmおよび50nmをもつ、エッチングにより形成したトラック(etched-track)のあるポリカーボネート膜(ヌクレオポア(Nucleopore)タイプ)を介して、順次的に押出した。各時点において、0.6 MPa〜0.8 MPaの範囲の作動圧を使用して、3回のパスを行った。この得られた小胞懸濁液を、-70℃および+50℃にて5回凍結および解凍を行った。所定の最終的な小胞サイズを得るために、この懸濁液を再度、0.7 MPaにて、100nmのフィルタを介して、4回押出した。最終段階として、この高度に変形性の小胞を、孔径200nmの滅菌シリンジフィルタを通して濾過することにより滅菌した。使用前に、小胞を4℃にて滅菌ポリエチレン容器に保存した。
【0063】
各インシュリン分子は、pI=5.4以上において正に帯電したアミノ酸を越える負に帯電したアミノ酸の過剰量のために、中性pH領域においては正味の負の電荷を有する。
市販品として入手できるインシュリン溶液(ノボノルディスクからのアクトラピッド(ActrapidTM))は、この研究を含めて多くの会合に関する研究のために使用された。結果として、出発タンパク質溶液は、4mgインシュリン/mLおよび3mg m-クレゾール/mLを含んでいた。適当量のこのような溶液を、該吸着剤小胞の懸濁液に添加することにより、種々のインシュリン/脂質比(公称値による)を得た。この得られた担体-インシュリン混合物を、注意深くかつ十分に混合し、かつ実験に応じて、室温にて少なくとも2時間インキュベートした。
テストシリーズAにおいて、最終懸濁液は、元の小胞懸濁液をアクトラピッドで希釈して調製し、最終脂質濃度50mg TL/mLおよび種々のタンパク質/脂質比を得た。該テストシリーズBにおいては、該インシュリン/TL比に応じて、該最終脂質濃度を2.5mg/mLと40mg/mLとの間で変化させた。比較のために、同様な一連の希釈物を脂質懸濁液の代わりにバッファーを使用して調製した。
【0064】
これらテストの測定を、各々4mLのインシュリン/小胞混合物を使用して行った。2時間後に、脂質小胞を、水性準相(sub-phase)から分離して、(どのような様式であれ)どの程度の量のインシュリンが該脂質小胞と会合したか、およびどの程度の量のインシュリンが該水性準相中に未結合状態で残されたか、を決定した。この目的のために、カットオフ分子量100,000Daのセントリサート(CENTRISART) I-超遠心管を使用した。1 mLのインシュリン含有懸濁液を含む各希釈液について、3個の遠心管を使用し、2000gにて3時間(T=10℃)遠心処理した。得られた光学的に透明な上澄(単に、バッファー、インシュリン、および幾分かの混合脂質(ホスファチジルコリン/コレート)ミセルを、溶解した洗浄剤と共に含むものと推定される)のインシュリン濃度を測定した。光学的に透明でない上澄は、セントリサット(CENTRISAT) I フィルタ中の欠陥を透過した脂質小胞で汚染されていることが明らかにされたので、捨てた。ここに報告した全てのインシュリン濃度測定について、標準的なHPLC手順を使用した。測定は2度づつ行った。
【0065】
元の希釈物を正のコントロールとした。負のコントロールにおいては、該テストデバイスへの非特異的なインシュリンの吸着量を定量した。このような非特異的な吸着について補正した後に、該上澄中の、出発時点および最終的なインシュリン濃度間の差を計算した。「喪失」したインシュリンは、該小胞と会合したものと推定され、かつ絶対または相対的に表した。
結果:上記実験の結果を、図1に示す。これらの結果は、インシュリン/脂質比6 mg/100mg TL以下では、添加されたタンパク質の80-90%が小胞と会合(結合)することを示唆している。より高いインシュリン/脂質比においては、タンパク質表面会合の相対的効率は減少し、2/5(40mg/100mg)希釈に対しては、僅かに5%にしかならない。換言すれば、高希釈率および高タンパク質/脂質比において、添加された各40mgのインシュリンの内の2mgが、高度に変形性の小胞として100mg(公称)の脂質と会合する傾向にある。
インキュベーション時間の延長、または、程度は低いが、添加懸濁液濃度の増加がこの状況を改善する(図2および3)。
【0066】
実施例28-45
標準小胞(リポソーム)、出発懸濁液:
1 gの大豆起源のホスファチジルコリン
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.1
最終懸濁液A
TL含有率5質量%、その内訳:
上記の脂質、および
0.1、0.5、1、2、3、4mgインシュリン/100mgTL(0.1、0.5、1、2、3、4相対質量%)
最終懸濁液B
TL含有率5w-%〜0.25w-%、その内訳:
上記の脂質、および
4、5、6.67、10、20、40および80mgインシュリン/100mgTL
【0067】
出発脂質懸濁液を実施例1-27に記載のようにして作成した。しかし、十分に小さなリポソームの完全に単分散の製剤を得るために100nmのフィルタを介して更に6回、押出しを行う必要があった。
テストしたリポソームに対するインシュリンの結合は、極めて低いことが分かった。該添加した薬物の僅か2%〜5%が、4mg/mL〜100mg/mLなる希釈率範囲において、該標準的な脂質小胞と結合した(データはグラフに示されていない)。
高度に変形性の複合小胞の組成に及ぼす懸濁液希釈の効果をチェックし、かつ実験的に排除するために、以下の実験を行った。
【0068】
実施例46-59
出発懸濁液:
874.4mgの大豆由来のホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム(10V-% TL含有率を与える)
9mLのリン酸バッファー, pH 7.1
最終懸濁液:最終懸濁液の組成は、最終的脂質濃度の減少を含めて、実施例1-27のシリーズBおよびCと同じであった。
測定したインシュリン/脂質比:4、8、10、20、40、80、160mgインシュリン/100mg TL
【0069】
小胞懸濁液の調製:小胞懸濁液の調製は、記載されたインシュリン/脂質比について、実施例1-27に示した記載に従った。但し、希釈は、10mMのコレートを含むアクトラピッドおよび/または5〜20mMのコール酸塩を含むバッファー(コントロールおよびテストサンプルに対して)の何れかを使用して行った。これは、希釈後に小胞膜からのコール酸解離を防止すべく、全サンプルにおける最終的なコール酸塩濃度がこの変性剤のCMCに近い値である5mMとなるように行った。
コール酸塩が小胞から洗い流されるのを防止することによって、元の実際の小胞組成ばかりか、小胞表面の平均電荷密度をも維持された。これらの改良は結合に反映された。
このテストシリーズの実施例において、我々は特別な注意を払って、そのピペット処理全体を通して公称コール酸塩濃度を5mM以下に維持し、不注意による小胞の可溶化を防止した。この可溶化は、低い全脂質濃度範囲で生じると思われる。
【0070】
結果:これらの結果は、タンパク質/脂質の重量比10%まで、添加インシュリンの80〜90%が、該脂質小胞表面に結合することを示している(図4)。このことは、吸着剤-吸着質会合が、殆ど完全であり、かつタンパク質結合効率が極めて高いことを意味している。脂質と会合したタンパク質の割合はタンパク質/脂質比の増大に伴って緩やかに減少し、1.6mgインシュリン/1mg脂質なる比において、7%に達する。
【0071】
該担体-会合インシュリンの絶対量は、約0.4mgインシュリン/1mg脂質なる比において最大に達し、ここで該添加された40mgのインシュリンの15.6mgが高度に変形性の小胞として、100mgの全脂質と会合していることが分かった。最良の収率は、相対比0.2mgインシュリン/1mg全脂質において達成されるが、ここでは該添加された20mgのインシュリンの14mgが該混合脂質小胞と会合しているものと測定された。図4はこれらのデータを示すものである。
同様な結果は、コール酸塩分子が、バッファーまたはインシュリン溶液と共に混合脂質小胞に導入された場合にも得られる。
【0072】
実施例60-71
出発懸濁液(20% TL)
1099.7mgの大豆由来のホスファチジルコリン
900.3mgのツイーン(Tween) 80
8 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
最終懸濁液の内訳:
上に与えられた脂質混合物
2、4、8、10、20、および40mgインシュリン/100mg TL
【0073】
調製:小胞懸濁液の調製は、攪拌時間を7日間に延長した以外は本質的に実施例1-27に記載のように行った。全ての場合において、アクトラピッド(登録商標)を吸着性インシュリン源として使用した。
4 mg/mLなる固定インシュリン濃度を使用可能とするために、8 mg/mL〜100 mg/mLの範囲の変動する最終的全脂質濃度をもつインシュリン/脂質比のものを準備した。比較(可能な希釈効果に関して)のために、同様な組成の小胞を使用して、種々のインシュリン/脂質比をもつが一定の最終全脂質濃度10 mg/mL(1 質量%)をもつものを調製した。タンパク質小胞会合時間として、3時間を選択した。
未会合のインシュリンを該小胞結合タンパク質から分離するのに使用した遠心分離時間は6時間(1000 gにて)とした。その他の実験の細部は、上記第一のテストシリーズ(実施例1-27)におけるものと同一とした。
【0074】
結果:非イオン性界面活性剤(ツイーン-80)を含む膜に対するインシュリンの結合が、一般的に帯電した(コール酸塩含有)膜に対する結合よりも低いという事実に加えて、これら両吸着剤系の定性的な特徴は、類似している(実施例1-27参照)。
相対的インシュリン/脂質比:0.04 mgインシュリン/1 mg脂質における、該膜とインシュリンとの会合は約50%である。相対濃度0.2 mgインシュリン/1 mg脂質における最大の結合量は、全添加インシュリン20mgの僅かに5.2mg (結合タンパク質)に相当する。絶対最適値、即ちこのテストシリーズにおける最良の収率は0.04 mgインシュリン/1 mg脂質にて得られる。
【0075】
実施例72-76
出発懸濁液(10% TL)の内訳:
874.4 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
125.6 mgのコール酸ナトリウム
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.1 (-7.4; これらバッファーを使用した場合の該出発懸濁液のpHは7.3-7.6であった。所望のpHは7.3-7.4であるから、界面活性剤としてコール酸を使用した以下のテストシリーズ全ては、pH 7.1のバッファーを用いて実施した)。
インシュリン溶液A:
4 mg/mL、8 mg/mL、10 mg/mL、20 mg/mLリン酸バッファー、pH 7.4
30μL HCl (1M)/mLの溶解した乾燥インシュリン
次いで30μL NaOH (1M)/mL溶液
インシュリン溶液B:
4 mgアクトラピッド/mLリン酸バッファー、pH 7.4
インシュリン-小胞混合物
5w-%の全脂質濃度
0.04、0.08、0.1および0.2mg乾燥インシュリン/1mg全脂質 (4、8、10、20相対質量%)
【0076】
調製:小胞懸濁液の調製は、同様な膜組成を使用して、実施1-27に記載した調製法と同様に実施した。しかし、合理的に高い最終的全脂質濃度を使用して高いインシュリン/脂質比を達成するために、市販の溶液において使用されている濃度よりも高い濃度まで乾燥インシュリンを溶解させた。
凍結乾燥したヒト組み換えインシュリンは、pH 7.4のリン酸バッファーには容易に溶けない。従って、インシュリン溶液を調製するために、アクトラピッド(登録商標)と類似する、乾燥状態にある凍結乾燥されたヒト組み換えインシュリン「粉末」をまず2 mLのバッファーに添加し、十分に攪拌した。一時的な酸性化(60μLのHClの添加により達成)後に、60μLのNaOH溶液を添加して、pHを7.4に戻した。該酸性化はインシュリンの溶解度を十分に高めて、透明な溶液を生成する。pH 7.4においてインシュリンは安定であり(ヘキサマーとして)、かつ分解/脱アミド化に対して抵抗性である。追加の溶液を、8 mgのインシュリンを直接、pH 7.4のバッファー2 mLに溶解することにより調製した。
小胞懸濁液(2 mL)およびインシュリン溶液-A (2 mL)を十分に混合し、上に与えた公称インシュリン/脂質比にて、12時間インキュベートした。その最終的な全脂質濃度は、全ての場合において、50 mg/mLであった。標準として、溶液Bを使用した。実験の残りは、実施例1-27に記載のようにして実施した。
【0077】
結果:該乾燥タンパク質粉末から製造した溶液(これは少なくとも一時的にモノマー溶液となる)のインシュリン結合量は、実施例1-27のアクトラピッド由来のインシュリンについて測定された値に匹敵するものである(図5)。このことは、濃度50 mg/mLにおいて、多量のインシュリンと脂質小胞懸濁液とが会合できることを示唆している。インシュリンの最大の結合量は、タンパク質/脂質重量比が1/5の近傍において見られ、ここでは添加インシュリンの約16mgが混合脂質膜と会合している。
特別に溶解した市販のインシュリン溶液についても同様なタンパク質濃度において等価な結果が測定される。
以下の実験シリーズにおいて、種々の帯電したまたは帯電していない、流動混合脂質膜に対するインシュリンの吸着を比較した。
【0078】
実施例77-92
公知の小胞、SPCリポソーム、中性(TL=10w-%):
正味の電荷をもたず、両性イオン性リン脂質のみを含む。
1 gの大豆起源のホスファチジルコリン
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
公知の小胞、帯電したSPC/SPGリポソーム(TL=10w-%):
25モル%のアニオン性ホスファチジルグリセロールを由来とする正味の負の電荷をもつ。
750 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
250 mgの大豆起源のホスファチジルグリセロール
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
高度に変形性の中性小胞(TL=10w-%):
正味の電荷をもたず、両性イオン性リン脂質と非イオン性界面活性剤を含む
550 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
450 mgのツイーン80
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
【0079】
高度に変形性の、帯電した小胞A (TL=10w-%):
25モル%のアニオン性コレートによる、正味の負の電荷
874.4 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
125.6 mgのコール酸ナトリウム
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.1
高度に変形性の、帯電した小胞B (TL=10w-%):
25モル%(PCに対する相対値)のアニオン性ホスファチジルグリセロールに基く正味の負の電荷。
284.3 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
94.8 mgの大豆起源のホスファチジルグリセロール
620.9 mgのツイーン80
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
各インシュリン-小胞混合物
50、25、10、5 mg全脂質/1 mL最終懸濁液
0.04、0.08、0.1および0.2 mgインシュリン/1 mg全脂質 (4、8、10、20相対質量%のタンパク質)
【0080】
全ての小胞は、上記のようにして調製した。ツイーン含有小胞を7日間攪拌した。コール酸塩含有小胞およびリポソームを2日間攪拌した。アクトラピッド100 HMTM(ノボノルディスク)を、インシュリンの供給源とした。これは、最終的なタンパク質および得られた最終的な脂質濃度を変化させた(夫々50、25、10および5 mg TL/mL)。しかし、SPC-リポソームを使用して、4相対質量%のサンプルのみを調べた。
実験プロトコールは、実施例1-27に記載のものと同一である。比較を容易にするために、全製剤に対して、インキュベーション時間は3時間であり、遠心分離時間は6時間(500 g)とした。これら測定結果を、図6に示す。
これら結果は、明らかに、インシュリンがその正味の負の電荷をもつにもかかわらず負に帯電した表面と最良の結合性をもつことを示す。高い小胞の変形性を可能とする、高い膜の柔軟性も有利である。
【0081】
相対的な結合効率は、該高度に柔軟性の帯電した膜について80-90%である。このような極めて高いタンパク質-膜会合度は、検討されたリン脂質-界面活性剤混合物のどちらの型に対しても、1/25 インシュリン/脂質重量比にて観測される。リン脂質および非イオン性界面活性剤を含む、帯電していない膜は、比較用のインシュリン/脂質比において、相対結合率50%を示す。しかし、添加したインシュリンの僅かに2.5%が、該帯電していないホスファチジルコリンリポソームと結合するものと計算される。この最悪の結果は、該帯電したリポソームに対するタンパク質結合により陵駕され、帯電リポソームは、該タンパク質/脂質重量比1/25において、添加されたインシュリンの10-20%と結合する。帯電した従来の脂質二重層は、従って帯電していないリポソーム膜と、より柔軟であるが中性の(トランスファーソーム(登録商標))膜との中間に位置する。
このような発見は、正味の表面電荷(帯電した脂質または他の帯電した膜-結合成分に由来する)が、膜の柔軟性(これは、該吸着剤における変性剤および他の関連する分子の存在により高められる)との組合わせで、表面-または担体-タンパク質会合を最大にするはずであることを示唆している。該電荷が吸着性分子(の一部)を該吸着剤に「引き付け」、「軟化された」場合に界面領域へのタンパク質の挿入を容易にし得るというのは当然である。
【0082】
実施例93-95
公知の小胞、SPCリポソーム、中性(TL=10w-%):
正味の電荷をもたず、両性イオン性リン脂質のみを含む。
1 gの大豆起源のホスファチジルコリン
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
高度に変形性の、帯電した小胞A (TL=10w-%):
25モル%のアニオン性コレートによる、正味の負の電荷
874.4 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
125.6 mgのコール酸ナトリウム
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.1
高度に変形性の、帯電した小胞B (TL=10w-%):
25モル%(PCに対する相対値)のアニオン性ホスファチジルグリセロールに基く正味の負の電荷。
284.3 mgの大豆起源のホスファチジルコリン
94.8 mgの大豆起源のホスファチジルグリセロール
620.9 mgのツイーン80
9 mLのリン酸バッファー、pH 7.4
各インシュリン-小胞混合物
50、25、10、5 mg全脂質/1 mL最終懸濁液
0.04、0.08、0.1および0.2 mgインシュリン/1 mg全脂質 (4、8、10、20相対質量%のタンパク質)
【0083】
調製:ホスファチジルコリン-ツイーン80混合膜に対するインシュリン吸着の速度論的研究のために、時系列測定を行った。テスト小胞は、対応する上記実施例に記載のようにして行った。その最初のデータ点は、脂質懸濁液とタンパク質溶液とを混合した後2時間とした。中性の高度に変形性の膜については、次のデータ点を、3時間とした。全ての懸濁液について、これ以外のサンプルは、インキュベーションの4日または5日後、および5週間または6週間後に採取した。
結果:帯電していないSPC/ツイーン80混合膜に対するインシュリンの吸着について明らかな時間依存性が観測された(幾つかの代表的なデータを示す図9を参照のこと)。この会合過程の初期に観測された結合効率は、名目上のインシュリン/脂質重量比が1/25である場合には、2時間における30%から、3時間における50%まで増大した。T=4日では、結合率は64%に増大したが、この差違は、5週間後に該結合率が僅かに58%であったことから、余り意味がないものと考えられる。
インシュリンと単なるホスファチジルコリンリポソームとの結合を測定したところ、3時間後の2.5%から、6週間後の5%へと、ほんの僅かに増大したに過ぎなかった。
【0084】
該帯電したSPC/SPG/ツイーン80混合膜とインシュリンとの吸着は、タンパク質とこのような膜との結合における、2時間後の64%から6週間後の76%への増加によって示されるように、中性膜の場合よりもかなり速くかつ強力である。最初の何時間かにおける会合の大きさと比較した場合の二次増加の小ささは、寧ろ迅速な結合速度を表すものである。
インシュリンの結合速度は帯電したSPC/コレート混合膜に対してさえも高い。このような帯電した小胞について行った実験は、混合脂質膜に対するタンパク質吸着の時間依存性を示さない。2時間後において、実験誤差範囲内でこの結合はインキュベーションの5時間後と同程度に既に完結している。このことは、帯電した柔軟な膜に対するインシュリンの吸着が、帯電していない膜に対するよりも著しく速いことを示唆している。推論の結果として、我々は、重大な静電相互作用はまたタンパク質分子の脱着にも影響を及ぼす可能性があることを示唆する。ホスファチジルコリン膜とインシュリンとの極めて弱い、および/または緩慢な会合は、疎水性結合のみでは、高いペイロードを達成することが困難であることを示している。これは、脂質二重層表面における適当な結合サイトを見出すインシュリン分子の能力が制限されていることによるものと考えられる。僅かな不利な状態で吸着されたタンパク質分子と、次の不確かな吸着質との間の反発も重要である。
【0085】
実施例96-100
種々の電荷密度をもつ、超変形性の小胞の懸濁液(TL=10w-%)
25、33、50、67、75モル%のホスファチジルグリセロールによる、正味の負の電荷
137mg、205mg、274mg、343mg、411mgの大豆由来ホスファチジルグリセロール
411mg、343mg、274mg、205mg、137mgの大豆由来ホスファチジルコリン
452mgのツイーン80
9mLのリン酸バッファー、pH 7.4
2mg インシュリン/1mL最終懸濁液
【0086】
脂質小胞は、実施例93-95に記載のように調製した。膜中の帯電した脂質の相対的な濃度を高めると、図4においてみられるように、小胞-インシュリン会合を強め、かつ穏やかではあるが許容できる程度に最終懸濁液の粘度を高めた。
実施例93-95に記載のように調製した、より高いSPG/SPCモル比における脂質懸濁液は寧ろ粘稠であり、取り扱いが困難である。しかし、帯電した脂質成分のより高い相対的な濃度は、小胞と会合したインシュリンの相対的な量を増大した。この結果を図7に示す。
帯電した脂質の含有率の変更は、単調でない様式で、タンパク質(インシュリン)の結合効率に影響を与える。まず、小胞と会合したインシュリンの量が増大する。SPC/SPG比50近傍において最大の相対的な結合が観測される。このことは、極めて高いSPG含有率は、効果的なインシュリン結合にとって有害であることを示唆しており、これは恐らく界面における混雑効果(crowding effect)および/または表面電荷のタンパク質吸着速度に及ぼす影響によるものと考えられる。後者は、表面における巨大分子の再配列を不可能とするほど速くてはならず、結果として最大の充填密度の達成を不可能にするほど速いものであってはならない。
【0087】
実施例101-104
インシュリンと1:1にて混合した高度に柔軟性の帯電した膜(TL=10w-%)
874.4mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー、pH 7.1
4mg インシュリン/1mL出発溶液
実施例1-27に記載の押出し法および凍結-解凍サイクル以外の種々の方法を小胞の調製のために使用した。また、より単純なプロトコール(ここで、該懸濁液は、単に周期的に押出される)もテストした。
混合脂質膜に対するタンパク質の吸着の効率において、有意な差は見られなかった(図8)。しかし、「束縛孔透過アッセイ」において評価したように、脂質小胞の形状適合性はバッチ毎に異なっており、実施例1-27におけるように調製した小胞の変形性は最大であることが分かった。
【0088】
実施例105-106
種々の添加剤を含む超柔軟性帯電膜(最終組成物)
437mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
63mgのコール酸ナトリウム
1mLのリン酸バッファー、pH 7.1
2mg インシュリン/mL、最終懸濁液中
添加剤A:m-クレゾール 1.5 mg/mL(最終)
添加剤B:ベンジルアルコール 2.5 mg/mL(最終)
コール酸ナトリウムを含むトランスファーソーム(登録商標)への補助溶媒の添加は、最終的な膜-会合インシュリンの量に影響を与える。結合の相対的な効率は、m-クレゾールの存在下では、60%であり、またテスト懸濁液へのベンジルアルコールの導入後には、90%となる。
実施例103-104において使用した添加剤は保存剤としても作用できる。
【0089】
実施例107-110
異なる供給源からの異なるインシュリンを含む同様な膜
437mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
63mgのコール酸ナトリウム
1 mLのリン酸バッファー、pH 7.1
2 mg/mL のインシュリン:
もともとの乾燥状態アクトラピッド100 HMTM(ノボノルディスク)、
もともとの乾燥状態ヒト組み換え体(ノボノルディスク)、
リスプロ(LisproTM)からのブタ由来のもの (シグマケミカルインダストリーズ(Sigma Chemical Industries))、
インシュリン類似体(ファイザー社(Pfizer Inc.))
類似する膜に対する異なるタンパク質の吸着効率には何等有意な差は観測されなかった。しかし、このことは脱着/吸着の種々の速度が存在する可能性を排除するものではない。
特に、乾燥インシュリンは、酸性バッファーに溶解し、次いで中性pH範囲に戻した場合には、直に使用できるアクトラピッド(ノボノルディスク)溶液のインシュリンと同定度に効果的に混合脂質膜に吸着する。
【0090】
実施例111-118
柔軟な非帯電膜
出発懸濁液(10% TL):
1099.7mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
900.3mgのツイーン80
19mLのリン酸バッファー、pH 7
最終懸濁液に内訳:
上に与えたような該脂質ブレンドと混合した、8.4μgのIF
1.84mg TL/mL〜18.4μg TL/mLを使用して製造
図10に与えられているように、増大する相対量のインターフェロン
【0091】
製剤は、増加するするモル比のタンパク質/脂質混合物を含んでおり、本質的に実施例60-71に記載のようにして調製した。2点を変更した以外は、実施例1-27に記載のように、テストを行った。その第一点は、セントリサート分離管(カットオフ分子量: 100kDa)による処理を含み、この分離管はこのテストシリーズにおいては、常にアルブミン(40mg BSA/mLバッファーを含む溶液から)で予め被覆されており、かくして非特異的タンパク質吸着のレベルを15%以下に減じた。BSAと共にインキュベーションした後、該管を該バッファーで2度洗浄し、適当な濃度のインターフェロン溶液(同一バッファー中の原液を希釈することにより調製)で満たした。最終的なタンパク質濃度を見積もるために、IFに対する市販のELISAイムノアッセイを使用した。小胞と会合したインターフェロンの量を計算するために、実施例1-18に記載されたものと同一の手順を使用した。従って、タンパク質の結合度は、2回または3回測定した、上澄からの「喪失タンパク質」を用いて同定した。
これら結果を図10に与えた。これらは、インシュリン結合に関連して記載したものと定性的に類似する図を示す。
【0092】
実施例119-134
高度に柔軟性の、帯電した膜
出発懸濁液
全脂質(TL)含有率10w-%の内訳:
874.4mgの大豆起源のホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー、pH 7.1
最終懸濁液:
図10に与えたような、脂質/タンパク質混合物
(その他のデータは、実施例111-118に関連して与えたものに対応する)
図10(黒塗りの菱形および四角)に示した、2つの異なる実験シリーズの結果は、タンパク質分子上に正味の負の電荷が存在するにもかかわらず、負の膜電荷の、高度に変形性の二重層と、インターフェロンとの結合効率に及ぼす所定の作用を示している。
【0093】
実施例135-145
出発懸濁液(10% TL)
軟質の、帯電していない膜
SPC/Tw80
550mgの大豆起源のホスファチジルコリン
450mgのツイーン80
9mLのリン酸バッファー、pH 6.5
軟質の、帯電した膜
SPC/NaChol
874.4mgの大豆起源のホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー、pH 7.1
最終懸濁液の内訳:
上に与えられた比の脂質
10000 IUのインターロイキン-2 (IL-2)
与えられた脂質混合物及びタンパク質を一緒に処理した。次いで、会合度を測定した。分離は本質的に実施例119-134に記載のように行い、一方IL-2の量は、インビトロでのレンカ(Renca)-細胞成長のタンパク質依存刺激を利用して測定し、標準曲線と比較した。これにより、以下の表に与えるデータを得た。(絶対IL-2濃度は、IU単位および%で示される相対的タンパク質量で与える)。
【0094】
【表4】
Figure 0004838936
【0095】
出発及び最終(全回収タンパク質)値の偏差は、部分的には小胞/IL-2の分離中のタンパク質の喪失によるものであり、また一部には脂質の存在によって改変されたタンパク質の活性によるものである。
インターロイキンと、異なる表面電荷密度をもつ予備形成した高度に変形性の脂質小胞との短期間の会合は、上記表により示唆されるものよりも電荷効果に対して感度が低いことが分かった(データは示さず)。
【0096】
実施例146-148
従来の中性小胞(出発懸濁液):
1gの大豆を起源とするホスファチジルコリン
9mMのリン酸バッファー、pH 6.5
高度に変形性の中性小胞(出発)
550mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
450mgのツイーン80
9mLのリン酸バッファー、pH 6.5
高度に変形性の帯電した小胞(出発):
874.4mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
5.6mgの1%コール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー、pH 7.1
小胞と混合した、カルシトニン(例えば、鮭)(最終懸濁液)
100mg 全脂質/1mL 最終懸濁液
1mg タンパク質/100mg 全脂質
【0097】
全ての脂質懸濁液は、前に記載のように調製した。タンパク質(125I-標識したタンパク質を少量加え、使用前に素早く精製した)を、予め形成した小胞に添加し、かつ少なくとも24時間インキュベートするか、あるいはまた、タンパク質溶液を脂質に添加し、懸濁液の調製中、微小孔フィルタを介して同時押出しした。
ポリペプチドの膜に対する結合の相対的効率を測定するために、該タンパク質/小胞混合物を、サイズ排除型ゲルクロマトグラフィーを使用してクロマトグラフィー処理し、引き続き放射能の測定を行った。これにより、2つのピークが得られ、該ピークは夫々小胞と会合したおよび該溶液中の放射性標識されたタンパク質を含んでいた。カーブ下部の面積は、夫々従来の小胞について約30〜70%、中性かつ柔軟な膜について60-70%および40-30%および、帯電した高度に柔軟な膜について、>80%および<20%であった。
【0098】
実施例149-152
高度に変形性の中性小胞(出発):
550mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
450mgのツイーン80
9mLのリン酸バッファー、pH 6.5
高度に変形性の帯電した小胞(出発):
874.4mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
125.6mgのコール酸ナトリウム
9mLのリン酸バッファー、pH 7.1
小胞と混合した免疫グロブリンG (最終懸濁液)
100mg 全脂質/1mL 最終懸濁液
0.5mgおよび1mg タンパク質/100mg 全脂質
【0099】
全ての脂質懸濁液は、前に記載のように調製した。該免疫グロブリン(フルオレセインに対して生成させたモノクローナルIgG)は、予め形成した小胞懸濁液に添加することにより該製剤に配合した。小胞と会合したおよび遊離の免疫グロブリンの量を分離した後、分離された溶液、元の溶液、およびコントロール溶液中の蛍光の消光を利用して前者からの相対的な寄与を測定した。これは、各区画分における最終的なIgG濃度を与えた。
IgG担体-膜会合の効率は、帯電した高度に変形された小胞の場合には少なくとも85%であり、中性の軟質膜に対しては、約10%低いものと見積もられた。この観測された差違の小ささは、恐らくIgが大きな疎水性のFc領域を含み、このFc領域は膜を軟化し欠陥を生成する成分が存在しなくても脂質膜中に容易に侵入するという事実によるものと考えられる。
【0100】
実施例153-154
高度に変形性の帯電した小胞、タイプC
130.5mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
19.5mgのコレート、ナトリウム塩
0.1mLのエタノール
高度に変形性の帯電していない小胞、タイプT
75mgの大豆を起源とするホスファチジルコリン
75mgのツイーン80
0.1mLのエタノール
インシュリン、ヒト組み換え体:
1.35mLのアクトラピッド(登録商標) 100 (ノボノルディスク)
【0101】
テスト製剤:何れかの脂質混合物を、均一なリン脂質溶液が得られるまでアルコール中に溶解させた(注:Naコレートは、完全には溶解しない)。この混合物を、インシュリン溶液中に注入し、十分に混合した。約12時間熟成した後に、良好なサンプルの均質性の達成を容易にするために、「粗製小胞」の得られた懸濁液を0.2μmのフィルタで(ゲッチンゲンのザルトリウス(Sartorius)社)を介して数回濾過し、良好なサンプル均質性を達成した。最終のインシュリン濃度は、80 IU/mLであった。
テスト: 健康な男性ボランティア(75kg、42歳)を、最初のグルコース濃度測定前17時間絶食させた。彼の血中におけるグルコース濃度の一時的な変動を追跡するために、一方の腕に設けた軟質の血管内カテーテルを介して各10〜20分毎に2mL〜4mLのサンプルを採取した。70分間という最初のテスト期間の経過後(その間のグルコースの平均血中濃度は、78.4であった)に、もう一方の前腕の内側の、完全な皮膚表面上に(数系列で)タイプCトランスファースリン(TransfersulinTM)懸濁液を適用(45 IU)し、56cm2に等しい領域を覆うように均一に塗り付けた。テスト懸濁液の適用後30分において、該皮膚表面は、巨視的には乾燥しているものと思われた。30分後に、該懸濁液のほんの微かな痕跡が見られた。
【0102】
標準的なグルコース脱水素酵素アッセイ(メルク(Merck), Gluc-DH)を利用して、血糖値を測定した。各検体は3つの独立したサンプルを含み、また各測定は少なくとも3回行った。これによって、平均値の標準偏差が殆ど5mg/dLを越えず、典型的な誤差が3mg/dL程度であることを明らかされた。
結果:トランスファーソーム(トランスファースリン)と会合したインシュリンを皮膚上に投与した後の、正常血糖性のボランティア被験者におけるグルコースの血中濃度の変化は、常にインシュリン溶液の皮下投与により達成される値よりも遅かった。
トランスファースリンの皮膚上投与後の血液中におけるグルコース濃度の最大減少は、典型的には対応する皮下注射により得られる減少量を10%越えており、カーブ下方の面積は、少なくとも基準として公開されたデータを使用した場合には、20%であった。懸濁液Cの場合には、t>3時間に対してグルコースの血中濃度における平均の抑制は約−18mg/dLであると見積もられた。
【0103】
懸濁液Tに関する結果は、懸濁液Cを使用して測定したデータよりも、約35%劣っていた。ホスファチジルグリセロール(ホスファチジルコリンに対して15質量%)を取り込ませると、C-およびT-型の製剤間の差違を25%まで減じた(データは示さず)。
しかし、これまでに利用可能な、最良の他の非侵襲的なインシュリン放出法、例えばイオントフォーレシス(Meyer, B.R.等, Amer. J. Med. Sci., 1989, 297:321-325)または経鼻スプレイでさえも、夫々5%未満および10%未満のインシュリン分子を全身的血液循環中にもたらすに過ぎない。
【0104】
実施例155
高度に変形性の帯電した小胞:
実施例72-76におけるような組成物
インシュリン、ヒト組み換え体
実施例72-76におけるように、アクトラピッド(登録商標)(凍結乾燥品)(ノボノルディスク)
テスト製剤は、実施例61-65におけるように調製した。投与は、本質的に前の実施例に記載のように行ったが、絶食期間を延長し、かつ血液採取を早めに開始した。即ち、この実験は追跡を行わなかった絶食の12時間にて開始し、更なる12時間の絶食期間中、血中グルコース濃度を如何なる処理も施さずに追跡し、16時間の追跡期間中は被験者を絶食させ、かつ皮膚投与によりトランスファースリン(登録商標)により処理した。もう一つの違いは、塗布領域を僅かに10cm2としたことにあった。
【0105】
該インシュリン投与前にサンプルを不定期に採取した。トランスファースリン(登録商標)の投与後に、血液サンプルを、最初の4時間に渡っては20分毎に、その後は30分毎に採取した。全てのサンプルを、アキュトレンド(Accutrend) (ドイツのベーリンガーマンハイム(Boehringer-Mannheim)社製)、即ち自己診断デバイスで分析した。各採取時点において、3〜5回の読み取りを行った。図12に与えられた結果は、該血中グルコース濃度変化の平均値に相当する。破線は95%信頼限界を与える。
第二の「未処理」期間において、平均血中グルコース濃度は83.2mg/dLであった。高度に適合性の混合脂質小胞による皮膚上への薬物投与後数時間において血中グルコース濃度の低下が明らかに見られた。グルコダイナミック(Glucodynamic)プロフィールは、以前のテストシリーズにおいて測定されたプロフィールと類似しており、その全体としての効果は幾分強力であり、これは恐らく後者のテスト製剤における、より高い薬物濃度によるものと考えられる。
【0106】
実施例156-158
高度に変形性の帯電した小胞:
実施例153におけるような組成物
インシュリン、ヒト組み換え体
図12に与えられた如きバッチの、アクトラピッド(登録商標)(ノボノルディスク)
このテストシリーズにおいては、インシュリンに関するバッチ間の可変性の効果を、同一のトランスファーソーム(登録商標)を使用して研究した。投与は前の実施例に記載のように行った。単位面積当たりの投与量は前の実施例で使用したものと同様であった。
その平均の血中グルコース濃度は、3つ全ての実験においてほぼ同一であった。それにもかかわらず、これら実験の結果は、インシュリンバッチ間で著しく異なっていた。一つのバッチは、極めて良好に機能し、一つはまあまあであり、また第三のロットは中間の結果を与えた。
【0107】
インシュリンに関する僅かなバッチ間の変動性(このことは公知であるが、通常は報告されておらず、また特に極めて大きな吸着性(担体)表面の存在下において、顕著である)は、インシュリン-担体相互作用の効率および/またはその速度論に影響するものと思われる。薬物開放速度における変動は、この現象に対して、特に敏感であると考えられている。従って、重大な生物学的テスト前の、担体と会合した脂質の量に関する研究ばかりでなく、更に薬物放出速度の測定も重要である。テスト動物、例えばマウスおよびラットにおける、注入後の製剤の特性としてのグルコダイナミックスの測定は、この目的にとって重要である。
同一のトランスファーソーム(登録商標)を含むがインシュリンバッチを異にする、3つの異なるトランスファースリン(登録商標)投与後の正常血糖性のヒトボランティアにおけるグルコダイナミックスは、元の薬物特性における僅かな変化があっても、最終製剤の生物学的活性に比較的強力な作用を及ぼすことを示す(図12参照)。
【0108】
参考文献
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【0109】
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特許 :
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Claims (48)

  1. 活性薬物製剤の形態の物質の混合物を調製する方法であって、該混合物は適切な液状媒体と接する伸長された表面を形成する少なくとも1種の第1の両親媒性物質及び少なくとも1種の第2の両親媒性物質、並びに該表面に吸着している第3の両親媒性物質の分子を含み、
    該少なくとも1種の第1の両親媒性物質は、表面形成物質であって、脂質から選ばれ、
    該少なくとも1種の第2の両親媒性物質は、該液状媒体に対して該少なくとも1種の第1の両親媒性物質よりも高い溶解性をもつ表面不安定化物質であって、界面活性剤から選ばれ、
    該少なくとも1種の第3の両親媒性物質は、該少なくとも1種の第1の両親媒性物質及び該少なくとも1種の第2の両親媒性物質によって形成される伸長された表面に吸着するものであって、両親媒性オリゴマー、ポリマー及びタンパク質から選ばれ、
    適切な液状媒体に対する溶解度を異にする、少なくとも2つの両親媒性物質を選択する工程であって、該物質は少なくとも該媒体との接触状態で組み合わされた際に、伸長された表面を形成することができるものであり、
    これにより、該液状媒体に対して溶解度が低く、かつ他の物質単独よりも伸長された表面を形成する物質のみから形成された表面よりも、該物質の混合物により形成される伸長された表面が、より強く該活性薬物を引き付けかつ吸着することができる、
    ことを特徴とする工程を含み、
    液状媒体中に懸濁されているか固体に担持されているかに拘らず、該表面形成物質を順次的に混合する工程を含んでいてよい工程によりまず吸着表面またはその前駆体を調製し、次いで吸着分子を添加し、かつ攪拌、混合またはインキュベーションの助けにより該吸着分子を該表面に吸着させることによるものであるが、但し、該処理は該形成された表面を破壊しないことを条件とする、上記方法
  2. 少なくとも2種の両親媒性物質の混合物が、薬物分子の存在下での、濾過、圧力変化または機械的均質化、振とう、攪拌、混合により、または任意の他の制御された機械的破砕により生成される、請求項1記載の方法。
  3. 表面形成性物質の該選択された混合物は、該物質を順次あるいは一度に数種の物質を添加することにより、適切な支持固体表面に、次いで該液状媒体に吸着することが可能になり、あるいはまた永続的な接触状態とされ、これによって、後の表面形成工程の少なくとも1段階が、後に該固体-支持表面に吸着する薬物の存在下で行なわれる、請求項1記載の方法。
  4. 該伸長された表面は正味の電荷を有しており、該伸長された表面に吸着している該少なくとも1種の第3の両親媒性物質の分子は正味の電荷を有している、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法
  5. 該伸長された表面の該正味の電荷と該伸長された表面に吸着している該少なくとも1種の第3の両親媒性物質の分子の該正味の電荷とが同一の符号(両者ともに負または両者ともに正)を有する、請求項4記載の方法
  6. 伸長された表面を形成するように自己凝集することができる少なくとも1種の第1の両親媒性物質を含み、該物質が、該液状媒体に対して該自己凝集性物質よりも高い溶解性をもつ他の混合成分と混合された場合に、該混合物がより可撓性となることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
  7. 伸長された表面を形成するように自己凝集することができる少なくとも1種の第1の両親媒性物質、および、該表面に組み込まれた場合に該表面の増大した曲率を維持する少なくとも1種の第2の両親媒性物質を含み、該曲率を増大させる物質の濃度が、その飽和濃度、あるいは越えた場合には該表面が形成できなくなる濃度の何れか高い方の99%未満である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法
  8. より可溶性の高いまたは曲率を増大させる物質の濃度が、請求項7に定義した相対的濃度の少なくとも0.1%である、請求項6または7の何れかに記載の方法
  9. 表面が、平均半径15nm〜5000nmに相当する平均曲率(該表面によって囲まれる面積の平均半径の逆数として定義される)を有する、請求項7または8の何れかに記載の方法
  10. 表面が固体により支持されている、請求項79の何れか1項に記載の方法
  11. 表面に関連した帯電成分の相対的濃度が、全ての表面形成性両親媒性物質の全濃度を基準として、5〜100相対モル%である、請求項410の何れか1項に記載の方法
  12. 表面における平均電荷密度が、0.05 Cb m-2(クーロン/m2)〜0.5 Cb m-2である、請求項411の何れか1項に記載の方法
  13. 一価または多価イオンを含む背景電解質の濃度および組成が、所望の吸着に及ぼす電荷-電荷相互作用の正の作用を最大にするように選択され、かつI=0.001〜I=1なる範囲のイオン強度に相当する、請求項412の何れか1項に記載の方法
  14. 液状媒体に対する溶解性が低い物質が脂質または脂質-様材料であり、一方、該液状媒体に対してより高い溶解性を有する物質が界面活性剤であるか、あるいは吸着している第3の物質と同一である、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法
  15. 液状媒体中に懸濁または分散され、かつ自己会合性両親媒性物質の少なくとも2種のまたは2つの形態の1層または数層からなる膜-様被覆によって囲まれた微細な流体滴の形態として、分子の配列を含み、該少なくとも2種の物質が、液状媒体に対する溶解度において少なくとも10倍の差を有し、そのため、より溶解性の高い物質のホモ-会合体、または両物質のヘテロ-会合体の平均径が、より溶解性の低い物質のホモ-会合体の平均径よりも小さい、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法
  16. 表面を形成できる全ての両親媒性物質の全含有率が凝集物の全乾燥質量の0.01〜30質量%の範囲内にある、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法
  17. 更に伸長した表面を形成する少なくとも1種の第1の物質として少なくとも一つの(生体)適合性の極性または非極性表面形成脂質を含む、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法
  18. 伸長表面形成物質が、生物学的供給源からの脂質またはリポイドあるいは対応する合成脂質であるか、もしくはこのような脂質の修飾体である、請求項17記載の方法
  19. 伸長表面形成物質が、グリセリド、グリセロリン脂質、イソプレノイド脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、ジアシル-、ジアルケノイル-またはジアルキル-脂質、ステロイド、ステロール、硫黄-または炭水化物-含有脂質、または半-プロトン化流動脂肪酸である、請求項18記載の方法
  20. 該伸長表面形成物質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、スフィンゴリン脂質、グリコスフィンゴ脂質、スフィンゴプラスマローゲン及びガングリオシドからなる群より選択される、請求項18または19記載の方法
  21. 伸長表面形成物質が、セレブロシド、セラミドポリヘキソシドまたはスルファチド、ジオレオイル-、ジリノレイル-、ジリノレニル-、ジリノレノイル-、ジアラキドイル-、ジラウロイル-、ジミリストイル-、ジパルミトイル-、ジステアロイル-の糖脂質、または糖脂質のスフィンゴシン誘導体である、請求項1820の何れか1項に記載の方法
  22. 界面活性剤が、非イオン性、両イオン性、アニオン性またはカチオン性界面活性剤である、請求項1421の何れか1項に記載の方法
  23. 界面活性剤が、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、アルキル-メチルアンモニウム塩、アルキル-ジメチルアンモニウム塩、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、またはタウロコール酸の一価の塩、アシル-ジメチルアミンオキシド、アルカノイル-ジメチルアミンオキシド、アルキル-N-メチルグルカミド、アルカノイル-N-メチルグルカミド、N-アルキル-N,N-ジメチルグリシン、3-(アシルジメチルアンモニオ)-アルカンスルフォネート、N-アシルスルフォベタイン、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレンアシルエーテル、ポリエチレングリコールイソアシルエーテル、ポリエチレンアシルエーテル、ポリエチレングリコールソルビタンアシルエーテル、ポリヒドロキシエチレンアシルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アシル-N-メチルグルカミド、アルカノイル-N-メチルグルカミド、アルキルサルフェート、アルキル硫酸塩、デオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ナトリウムオレエート、ナトリウムタウレート、脂肪酸塩、リゾリン脂質、または界面活性ポリペプチドである、請求項22記載の方法
  24. 界面活性剤が、ドデシルジメチルアミンオキシド、ノナエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ノナエチレンドデシルエーテルまたはオクタエチレンドデシルエーテル、オクタエチレングリコールイソトリデシルエーテル、ポリエチレングリコール-20-モノラウレート(ツイーン20)またはポリエチレングリコール-20-ソルビタンノモオレエート(ツイーン80)、ポリヒドロキシエチレン-ラウリル、-ミリストイル、-セチルステアリルまたは-オレイルエーテル、ポリヒドロキシエチレン-n-ラウリルエーテルまたはそのエステル、アルラセル(商標)またはスパン(商標)界面活性剤、デカノイル-またはドデカノイル-N-メチルグルカミド、ラウリル-またはオレイル-サルフェート、ナトリウムエライデート、ナトリウムリノレエートまたはナトリウムラウレート、n-オクタデシレングリセロホスファチジン酸、n-オクタデシレンホスホリルグリセロール、n-オクタデシレンホスホリルセリン、n-アシルグリセロホスファチジン酸、n-アシルホスホリルグリセロール、n-アシルホスホリルセリン、n-テトラデシル-グリセロホスファチジン酸、n-テトラデシル-ホスホリルグリセロール、n-テトラデシル-ホスホリルセリン、パルミトエロイル-、エライドイル-またはバセニル-リゾリン脂質である、請求項23記載の方法
  25. 界面活性剤が、ポリヒドロキシエチレン-4、6、8、10または12-ラウリルエーテル(Brijシリーズ)、ポリヒドロキシエチレン-8-ステアレート(Myrj45)、-ラウレートまたは-オレエート、あるいはポリエトキシル化ひまし油40(クレモフォアEL)、ソルビタンモノラウレート(アルラセル20、スパン20)、ラウリル-またはオレイル-グリセロホスファチジン酸、ラウリル-またはオレイル-ホスホリルグリセロール、またはラウリル-またはオレイル-ホスホリルセリンである、請求項22記載の方法
  26. 混合物から形成される表面が、帯電した膜成分を1〜80モル%なる相対的濃度で含む、請求項1425の何れか1項に記載の方法
  27. ホスファチジルコリンおよび/またはホスファチジルグリセロールが表面形成物質であり、かつリゾリン脂質、十分に極性のステロール誘導体、脂肪酸塩、ツイーン、Myrj型、またはBrij-型もしくはTriton型、脂肪酸-スルフォネートまたは-スルフォベタイン、-N-グルカミドまたは-ソルビタン(アルラセルまたはスパン)界面活性剤が伸長表面の形成能に劣る物質である、請求項1326の何れか1項に記載の方法
  28. リゾホスファチジン酸またはメチルホスファチジン酸、リゾホスハチジルグリセロール、またはリゾホスファチジルコリン、または部分的にN-メチル化されたリゾホスファチジルエタノールアミン、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、グリコデオキシコール酸の一価の塩、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、パルミトオレエート、エライデートが伸長表面の形成能に劣る物質である、請求項27記載の方法
  29. 伸長表面により囲まれた領域の平均半径が15〜5000nmの範囲にある、請求項1328の何れか1項に記載の方法
  30. 伸長表面に吸着する第3の物質が繰り返し単位を含む、請求項1〜29の何れか1項に記載の方法
  31. 第3の物質が、生物起源のものである、請求項30記載の方法
  32. 第3の物質が、膜および該膜と接触している該液状媒体との間の界面に該物質自体が入ることにより、膜-様の伸長表面に吸着する、請求項1〜31の何れか1項に記載の方法
  33. 第3の物質に対応する鎖状分子の含有率が、吸着表面の質量に比して、0.001〜50相対%の範囲内にあり、これにより固有比の値が該鎖状分子のモル質量の増大に伴って減少する、請求項1〜32の何れか1項に記載の方法
  34. 鎖状分子がタンパク質であり、かつ該分子の少なくとも一部が表面に吸着しているが、このような部分が、該表面と結合する傾向のある、少なくとも3個のセグメントまたは官能基をもつ、請求項3033の何れか1項に記載の方法
  35. 鎖状分子が、天然の状態の、あるいは化学的、生化学的または遺伝的な改変後のポリヌクレオチド類に属する、請求項3033の何れか1項に記載の方法
  36. 鎖状分子が、少なくとも部分的に表面と相互作用する傾向をもつ、天然の状態にある、あるいは幾分かの化学的、生化学的または遺伝的な改変を受けた後の多糖類に属する、請求項3033の何れか1項に記載の方法
  37. 鎖状分子が、アドレノコルチコ抑制薬、抗β-アドレナリン薬、アンドロゲンまたはアンチアンドロゲン、抗寄生虫薬、タンパク質同化薬、麻酔薬または鎮痛薬、興奮薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、抗動脈硬化薬、抗喘息薬および/または気管支痙攣緩和薬、抗生物質、抗うつ薬および/または抗精神病薬、抗糖尿病薬、解毒薬、制吐薬、抗てんかん薬、抗線溶薬、抗痙攣薬、抗コリン薬、酵素、補酵素または対応する阻害剤、抗ヒスタミン薬、降圧薬、薬物活性を持つ生物学的阻害剤、抗低血圧薬、抗−凝固剤、抗真菌薬、抗筋無力症薬、パーキンソン病またはアルツハイマー病に対する薬剤、消炎薬、解熱薬、抗リウマチ薬、消毒薬、呼吸性興奮薬または呼吸性刺激剤、抗気管支炎薬、強心薬、化学療法薬、冠拡張剤、細胞***阻害薬、利尿薬、神経節遮断剤、グルココルチコイド、抗インフルエンザ剤、止血薬、睡眠薬、免疫グロブリンまたはそのフラグメントまたは任意の他の免疫学的に活性な物質、生活性炭水化物(誘導体)、避妊薬、抗−偏頭痛薬、電解質コルチコイド、モルヒネアンタゴニスト、筋肉弛緩剤、麻薬、神経治療薬、神経遮断薬、神経伝達物質またはそのアンタゴニスト、ペプチド(誘導体)、点眼薬、(パラ)-交感神経様作用薬または(パラ)-交感神経遮断薬、タンパク質(誘導体)、乾癬/神経皮膚炎治療薬、散瞳薬、精神刺激剤、鼻科の薬、任意の催眠剤またはそのアンタゴニスト、鎮静剤、鎮痙薬、結核菌静菌薬、泌尿器科の薬、血管収縮剤または血管拡張剤、抗ウイルス薬、または任意の創傷治癒物質、または上記薬物の任意の組合わせとして作用できる、請求項3036の何れか1項に記載の方法
  38. 第3の物質である鎖状分子または薬物が、成長調節物質である、請求項1〜37の何れか1項に記載の方法
  39. 第3の物質である薬物が、免疫調節特性を持ち、抗体、サイトカイン、リンホカイン、ケモカインおよび植物、バクテリア、ウイルス、病原体、または免疫原の対応する活性部分、またはこれらの何れかの一部または改変体を含む、請求項1〜38の何れか1項に記載の方法
  40. 第3物質が、認識分子である、請求項1〜39の何れか1項に記載の方法
  41. 第3物質が、アドヘリン、抗体、カテニン、セレクチン、シャペロン、またはその部分から選択される、請求項40記載の方法
  42. 第3物質が、ホルモンである、請求項1〜41の何れか1項に記載の方法
  43. 第3物質が、インシュリンである、請求項42記載の方法
  44. 1〜500 I.U./mLのインシュリンを含む、請求項43記載の方法
  45. 0.01〜20mg/mLのインターロイキンを含み、該インターロイキンがヒトまたは動物において使用するのに適したものである、請求項1〜44の何れか1項に記載の方法
  46. 20相対質量%までのインターフェロン(IF)を含み、該IFがヒトまたは動物において使用するのに適している、請求項1〜45の何れか1項に記載の方法
  47. 薬物として神経成長因子(NGF)を25mg/mL懸濁液まで、またはNGFを25相対質量%まで含む、請求項1〜46の何れか1項に記載の方法
  48. 懸濁液が、免疫グロブリン(Ig)を25mg/mL懸濁液まで、または全脂質に対して25質量%までを含み、それにより該薬物を完全な抗体として、その一部として、または生物学的に許容されかつ活性なその改変体として使用する、請求項1〜47の何れか1項に記載の方法
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