JP4823326B2 - 止着用フロントシートを有する紙おむつ - Google Patents
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Description
これに対して、粘着テープファスナーを紙おむつの両側部に固定し、紙おむつの腹側のバックシート表面に大きい面積をもってフロントシートを固定し、このフロントシートに対して粘着テープファスナーを止着し、取付位置を調整し直すことが可能な構造のものが汎用されている。
この場合、粘着テープファスナーの止着位置の便宜のために、フロントテープの腹周り方向に間隔を置いてターゲット(目印)を印刷により形成したものが知られている。
フロントシートに対して粘着テープファスナーを止着するようにした構造のものは、テープファスナーの取付位置が調整可能である利点があるものの、着用後一旦剥がし、排尿の有無を確認した後、再度、フロントシートに固定する場合、粘着剤の止着強度が低下する。さらに、元来、粘着剤による接着強度に頼るために、たとえば大きい面積を有する成人用の紙おむつにおいては強度不足となり、剥がれが生じやすい。
他の課題は、止着用フロントシート部分においても、通気性を有する製品を提供することにある。
次に、「ループの数密度」については、概ね60個/cm2を超えると、特に50個/cm2を超えると、隠蔽作用が目視において目立つようになる。また、反対にループが疎ら過ぎても、それのみが目立つようになり、下のターゲットが見にくくなる傾向がある。したがって、数密度は10個/cm2、好適には30個/cm2、特に好適には40個/cm2以上とする。
なおこの「ループ配置の規則性」には、「ループの長さ」が関係する、一つのループの長さが3mm、特に2mmを超えると、それ自体による隠蔽作用が目視において目立つようになる。また、ループが長くなると、それ自体の隠蔽面積も大きくなり、また基材部への固定により生ずる拘束力がループ全体に作用しなくなるため、前述のように繊維がばらけてループがより太くなってしまったり、自由部分が長くなるためにループが捩じれる等により不規則な形に変形し、全体として不規則な配置となり、実際の隠蔽割合以上に見えにくくなったりする。
フック要素とこれと係脱自在の関係を有するフック受け要素との組み合わせによる面ファスナーを用い、紙おむつ背側の両側部にそれぞれフック要素を固定し、腹側に1つフック受け要素を固定し、着用者への装着時の固定手段とする紙おむつにおいて、
前記フック受け要素は、基材部と、多数のループと、格子網状体とからなり、
前記基材部の表面には、胴回り方向に異なる複数の止着位置を表示するデザインが印刷され、
前記ループは、未捲縮加工の透明なナイロンまたはポリエチレンテレフタレートのフィラメントを束ね、太さが200μm以下、長さが3mm以下に形成され、
前記格子網状体は、未捲縮加工の透明なナイロンまたはポリエチレンテレフタレートのフィラメントを束ね、縦糸部分間隔が1.5〜1.8mm、横糸部分間隔が0.7〜1.3mmとなるように実質的に真直ぐに形成され、
前記ループは、数密度が30〜60個/cm2、前記フック受け要素を平面的に見た時に前記ループの80%以上が同一方向に膨出し、膨張の両端部が前記格子網状体上に固定され、
前記フック受け要素単体の光透過率が60%以下である、ことを特徴とする止着用フロントシートを有する紙おむつ。
<作用効果>
請求項1記載の発明は、基材部に対するループの接着力を格子網状部分で補うものであり、かかる場合には基材部状のループ、格子網状体を未捲縮加工のフィラメント糸とすることにより、下の基材部の表面に印刷されたデザインを見易くすることができる。
格子網状体の縦糸部分間隔を1.5〜1.8mmとし、且つ横糸部分間隔を0.7〜1.3mmとなるように実質的に真直ぐに形成し、ループの数密度を30〜60個/cm2とし、80%以上が同一方向に膨出させ、膨張の両端部を格子網状体上に固定することにより、フック受け要素単体の光透過率が60%以下となり、基材部の表面に表示されたデザインが見易くなり、未捲縮加工のフィラメント糸を用いても十分な止着力が発揮される。また、ループの数密度がこの範囲にあると、一見すると密な配置によって隠蔽効果が大きくなると思われるが、実際に目視すると基材部自体の素材感に近く見えるため、ループが疎らに配置された従来品よりもかえって下のデザインが見易くなる。
前記ループを、ポリウレタン系接着剤により前記基材部に固定した、請求項1に記載の止着用フロントシートを有する紙おむつ。
<作用効果>
かかる接着剤を用いることにより、基材部表面の光沢感を抑えることができ、もって基材部のターゲットがより見易くなる。
せん断強度試験方法による、相互に止着された前記フック要素の表面と前記フック受け要素の表面とを両表面に沿う方向に相対的にずらすのに要する力として定まる、せん断力が100g以上であり、剥離強度試験方法による、相互に止着された前記フック要素の表面と前記フック受け要素の表面とを両表面に直交する方向に引き剥がすのに要する力として定まる、剥離力が10g以上である、請求項1または2に記載の止着用フロントシートを有する紙おむつ。
<作用効果>
前述の構成により、ループによる止着力を十分に維持しながらもその下のターゲットを見易くすることができるが、具体的な止着力としては上記範囲のせん断力及び剥離力を有するように設計するのが望ましい。
(イ)せん断強度試験方法
(1)図12に示すように、紙おむつ製品から40mm×100mmに切り取ったフック受け要素(フロントシート)5に、製品から切り取ったフック要素6のフックを有する部分全面を貼り付ける。このとき、フック要素6に対するフック受け要素5の向きが製品使用時と同様に、すなわちフック受け要素5の製品状態での縦方向と、フック要素8の製品状態での縦方向とが平行になるように貼り付ける。
(2)しかる後、フック要素8におけるフックを有しない基端部を引張試験機の上のチャックc1に、フック受け要素5における未係合部分を下のチャックに挟み、製品状態での横方向が縦方向に沿うような姿勢で、且つ上下チャックc1,c2間距離cyが50mmとなるように調整し、引張速度300mm/minでせん断方向に引っ張り、測定を行う。
(3)得られたチャートの最初のピークを読み取り、これをせん断強度とする。
(1)図13に示すように、紙おむつ製品から40mm×100mmに切り取ったフック受け要素(フロントシート)5を、ループを有する側を表にして裏面を両面テープでステンレス板stに貼り付ける。固定されていない端部は表面がわからクラフトテープでステンレス板stに固定する。
(2)次に、貼り付けたフック受け要素5の表面に、製品から切り取ったフック要素8のフックを有する部分全面を貼り付ける。このとき、フック受け要素5に対するフック要素8の向きが製品使用時と同様に、すなわちフック受け要素5の製品状態での縦方向と、フック要素8の製品状態での縦方向とが平行になるように貼り付ける。しかる後、上記縦方向に質量2kgのローラーを1往復させ、フック要素8とフック受け要素5とを係合させる。
(3)次に、これらのステンレス板st,5,6をテーブルtbの縁等に固定し、フック要素8のフックを有しない基端部側をテーブルのtb縁から折り曲げて吊り下げ、その吊り下げ部分にクラフトテープctの一端部を貼り、クラフトテープctの他端部に1kgの分銅Gを取り付け、2秒間荷重をかける。
(4)次いで、荷重を外し、フック要素を係合した状態のフック受け要素をステンレス板とともに図示しない引張試験機に持ち込み、剥離角度90°、引張速度300mm/minで測定を行う。この状態が図13(b)に示されている。
(5)得られたチャートから最大値と最小値を除き、残りのピークから最大ピーク、最小ピーク各3点(計6点)を読み取り、平均値を求め、これをせん断力とする。
フィラメント糸の材質が半透明または透明のナイロンまたはポリエチレンテレフタレートである請求項1〜6のいずれか1項に記載の止着用フロントシートを有する紙おむつ。
<作用効果>
真直ぐなまたは緩やかにカーブしたフィラメント糸は未捲縮加工のものが、視認性に優れている。また、フィラメント糸の材質が半透明または透明のナイロンまたはポリエチレンテレフタレートであると、フック要素の止着性などの点で優れる。
図1〜図4は第1実施例を示したもので、紙おむつ本体は、表面(肌に当る面)側の不織布等からなる透液性トップシート1と、裏面のポリエチレンシート等からなる、より好ましくは内面側がポリエチレンシート等からなり、外面側が不織布からなるポリラミ不織布からなる不透液性バックシート2と、周囲部分をフラップ部として残してそれらの間に介在された綿状パルプ等からなる吸収体3とを基本構成要素としている。ここで、ポリラミ不織布からなる不透液性バックシート2には、細かいニードル孔を多数形成することにより、これに通気性及び透湿性を付与したものを使用するのが望ましい。
前記主テープ部材6の副テープ部材7が存在しない内面側部分に、面ファスナーのフック要素を構成するフックシート8がたとえば粘着剤層8Aにより固定されている。フックシート8は、多数のフック片8aを基材8bに植設したものであり、フック片8aは前記ループ5aと係脱自在の関係にある。また、フックシート8は、好ましくは、主テープ部材6の先端から内側に設けることにより、先端部を撮み部として残してある。
紙おむつの装着時には、主テープ部材6の先端を摘み、トップシート1からフックシート8を剥離し、その延在部分を腹側Sに持ち込み、フックシート8をフック受けシート5上に重ねる。この重ね合わせによって、各フック片8aが各ループ5aに絡み、紙おむつ前後の結合がなされる。
排尿の有無の確認や装着のやり直しに際しては、フックシート8の延在部をフック受けシート5から剥して、再結合すればよい。
フックシート8は、主テープ部材6の長手方向に沿って間隔を置いて複数設けることもできる。図1および図2に示されているように、フックシート8を有する主テープ部材6および副テープ部材7のファスナーテープは、紙おむつの一方の両側部に対して2つ設けたが、接合強度に応じて(あるいは幼児用などの用途に応じて)1つまたは3以上とすることができる。また、図6に示すように、フック受けシート5は、腹側に個別に対応して配置してもよい。
ターゲット9としては、数字、マーク、色分け帯または線などによって表示でき、特にこれらによって、図9に示すように胴回り方向に異なる複数の止着位置を表すように色分けされた帯状のデザインからなるターゲット9を形成するのが望ましい。なお図9中では図面の見易さのため、色分けおよびループは省略している。しかし、本発明では次述のようにフック受けシート5上には多数のループが設けられる。
ただし、これだけであると、捲縮加工をしていないことによってフックとの係合力が弱くなるので、ループ5a,5a…の数密度を10〜60、好適には30〜60個/cm2、特に好適には40〜50個/cm2以上にするのが望ましい。ループ5a,5a…の数密度がかかる範囲にあると、前述のとおり下のターゲット9の見易さを損ねるどころか、反対に見易くなる。
さらに基材部5bのターゲット9を見易くするためには、フック受け要素を平面的に見たときに、ループ5aの60〜70%以上、特に80〜90%以上が図示のように所定の同一方向に膨出(図では縦糸方向に対して左側に膨出)して見える形態をなすようにするのが好ましい。このため、一つのループ5aの長さを3mm以下、特に2mm以下として、ループが不規則に変形しないようにするのが望ましい。
また最終的な見易さの目安としては、フック受け要素単体の光透過率があり、本発明では、これが60%以下となるようにするのが好ましい。
ループ5a,5aは、図示の場合は格子網状体とともに、基材部5bに例えばホットメルト接着剤により固定する。この際に用いるホットメルト接着剤としては、ゴム系、スチレン系、ポリウレタン系接着剤を用いることができるが、中でもポリウレタン系接着剤を用いると光沢感が減り、よりターゲットが見易くなる。かかる接着剤の塗布量としては、3.5g/m2以上、特に4.0〜5.0g/m2が好ましい。
また、本発明においては、ループ5a,5a…を有するフック要素表面に対して起毛処理を施し、ループ5a,5aを若干引き出し、若干ばらけさせることにより、フック要素との係合力を向上させることができる。この場合、止着力が向上するので、ループ密度を低下させることによって見易さを向上させ、起毛処理による見易さへの影響を相殺させることができる。
その他の付加的な処理としては、本発明におけるフック受け要素に対して、例えば微細な透孔または窪み孔を散点的に多数設ける(図示せず)ことによって、JIS−P−8117:ガーレー法による通気性が9.0sec/100ml、またJIS−L−1099:MVTR法(塩化カルシウム法)による透湿性が、500g/m2・d以上のものとするのも好ましい。
Claims (3)
- フック要素とこれと係脱自在の関係を有するフック受け要素との組み合わせによる面ファスナーを用い、紙おむつ背側の両側部にそれぞれフック要素を固定し、腹側に1つフック受け要素を固定し、着用者への装着時の固定手段とする紙おむつにおいて、
前記フック受け要素は、基材部と、多数のループと、格子網状体とからなり、
前記基材部の表面には、胴回り方向に異なる複数の止着位置を表示するデザインが印刷され、
前記ループは、未捲縮加工の透明なナイロンまたはポリエチレンテレフタレートのフィラメントを束ね、太さが200μm以下、長さが3mm以下に形成され、
前記格子網状体は、未捲縮加工の透明なナイロンまたはポリエチレンテレフタレートのフィラメントを束ね、縦糸部分間隔が1.5〜1.8mm、横糸部分間隔が0.7〜1.3mmとなるように実質的に真直ぐに形成され、
前記ループは、数密度が30〜60個/cm2、前記フック受け要素を平面的に見た時に前記ループの80%以上が同一方向に膨出し、膨張の両端部が前記格子網状体上に固定され、
前記フック受け要素単体の光透過率が60%以下である、ことを特徴とする止着用フロントシートを有する紙おむつ。 - 前記ループを、ポリウレタン系接着剤により前記基材部に固定した、請求項1に記載の止着用フロントシートを有する紙おむつ。
- せん断強度試験方法による、相互に止着された前記フック要素の表面と前記フック受け要素の表面とを両表面に沿う方向に相対的にずらすのに要する力として定まる、せん断力が100g以上であり、剥離強度試験方法による、相互に止着された前記フック要素の表面と前記フック受け要素の表面とを両表面に直交する方向に引き剥がすのに要する力として定まる、剥離力が10g以上である、請求項1または2に記載の止着用フロントシートを有する紙おむつ。
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