JP4817062B2 - 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置 - Google Patents

光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4817062B2
JP4817062B2 JP2006203338A JP2006203338A JP4817062B2 JP 4817062 B2 JP4817062 B2 JP 4817062B2 JP 2006203338 A JP2006203338 A JP 2006203338A JP 2006203338 A JP2006203338 A JP 2006203338A JP 4817062 B2 JP4817062 B2 JP 4817062B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical sheet
base material
unit lens
lens shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006203338A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008032811A (ja
Inventor
田 誠 本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2006203338A priority Critical patent/JP4817062B2/ja
Publication of JP2008032811A publication Critical patent/JP2008032811A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4817062B2 publication Critical patent/JP4817062B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Overhead Projectors And Projection Screens (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Description

本発明は、透過型スクリーンに用いられる光拡散機能を有した光学シートに係り、とりわけ、入射光を効率的に拡散させ、これにより、シンチレーションの発生等を効率的に抑制することができる光学シートに関する。
また、本発明は、このような光学シートを含んだ透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置に関する。
従来、レンチキュラーレンズシートやフレネルレンズシート等の光学シートを備えた透過型スクリーンが知られている。このような透過型スクリーンには、例えばCRT等の光源から映像光が投射されていた。
近年においては、光源として、CRTの代わりに液晶プロジェクタやライトバルブ等の投射瞳の小さい投影管が用いられるようになってきている。しかしながら、従来の光学シートを用いた透過型スクリーンを、このような投射瞳の小さい投影管と組み合わせた場合、シンチレーションまたはスペックルと呼ばれる映像のギラツキがスクリーン上に現れてしまうという問題がある。
このような問題を解決するためには、映像光を指向性なく拡散させることが有効であるとされている。このため、光学シートの表面に凹凸を形成したり、光学シート内に光拡散剤(拡散性粒子)を分散させたりして、効果的にこれらの不具合を解消することが研究されてきた(例えば、特許文献1)。
特許第3606862号
しかしながら、光学シートに無指向性の拡散機能を付与した場合、ゲインの低下や解像度の低下といった別の不具合を引き起こしてしまう。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ゲインの低下や解像度の低下を抑制しつつ映像光を効率的に拡散させ、これにより、効率的に映像のギラツキを防止し得る光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置を提供することを目的とする。
図1に示すように、単位拡散要素aに入射する光束LFは、当該単位拡散要素によって一旦集光させられてその後に拡散させられる場合がある。なお、ここで単位拡散要素aとは、個々の光拡散剤(拡散性粒子)や、マット面を形成する個々の凹凸(単位レンズ形状部)等であり、図示する例では光拡散剤としている。このような場合において、集光点近傍(図1の位置B)に次の単位拡散要素(図示する例において光拡散剤)bが配置されているとすると、入光側の単位拡散要素aを透過した光束LFは、出光側の単位拡散要素bの表面の一部分のみに入射する。この場合、光束LFは、出光側の単位拡散要素bによって広い範囲に拡散されることがないだけでなく、一旦集光することによってシンチレーションとして視認され得る。また、出光側の単位拡散要素bは、光束LFを拡散させることに大きく寄与することができない一方で、ゲインの低下や解像度の低下を引き起こす原因となる。
すなわち、出光側の単位拡散要素bは、入光側の単位拡散要素aへ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に入り込むように、例えば図1の位置Cや位置Dに配置されていることが好ましい。このような場合には、当該出光側の単位拡散要素bの全表面が透過光の拡散に寄与するようになる。すなわち、映像光を効率的に広い範囲に拡散させることができるため、不必要にゲインを低下させたり、不必要に解像度を低下させたりすることなく、映像のギラツキを効率的に防止することができる。そして、本件発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
本発明による第1の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする。本発明による第1の光学シートが、前記第1光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きくなっているようにしてもよい。
本発明による第2の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含むことを特徴とする。本発明による第2の光学シートが、前記第1光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなっているようにしてもよい。
本発明による第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射して集光した後に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最入光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
また、本発明による第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(1)を満たすようにしてもよい。
L1≧((P+D)×F/P)+Tl−D/2 ・・・式(1)
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の入光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL1は、以下の式(2)を満たすようにしてもよい。
L1≧((W+D)×F/W)+Tl−D/2 ・・・式(2)
あるいは、本発明による第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
また、本発明による第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(3)を満たすようにしてもよい。
L2≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(3)
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(4)を満たすようにしてもよい。
L2≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(4)
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1光拡散層は最入光側に配置されていてもよい。
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
さらに、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは隣接して配置され、前記第1基材の屈折率と前記第2基材の屈折率とは異なるようにしてもよい。この場合、前記第1基材の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも大きくなっていてもよい。
あるいは、本発明による第1および第2の光学シートにおいて、前記第1基材と前記第2基材とは同一材料により一体に形成されていてもよい。
本発明による第3の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記単位レンズ形状部は凹レンズを含むことを特徴とする。本発明による第3の光学シートが、前記光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも大きくなっていてもよい。
本発明による第3の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも小さくなっていてもよい。
本発明による第4の光学シートは、透過型スクリーン用の光学シートであって、複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む基材と、前記基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する光拡散層を備え、前記単位レンズ形状部は凸レンズを含み、前記光拡散剤の平均粒径は、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチよりも小さいことを特徴とする。本発明による第4の光学シートが、前記光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、前記基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
本発明による第4の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようにしてもよい。
また、本発明による第4の光学シートにおいて、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みTは、以下の式(5)を満たすようにしてもよい。
T≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(5)
または、前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、前記基材の平均最大厚みTは、以下の式(6)を満たすようにしてもよい。
T≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(6)
本発明による第3および第4の光学シートにおいて、前記光拡散層は最入光側に配置されていてもよい。
または、本発明による第3および第4の光学シートにおいて、前記光拡散剤の屈折率は前記基材の屈折率よりも小さくなっていてもよい。
本発明による第1の透過型スクリーンは、上述したいずれかの光学シートを備えたことを特徴とする
本発明による第2の透過型スクリーンは、前記第1光拡散層または前記光拡散層が最入光側に配置された光学シートを備え、前記光学シートが最入光側に配置されていることを特徴とする。
本発明による背面投射型表示装置は、上述したいずれかの透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図2乃至図27は本発明による光学シート、透過型スクリーン並びに背面投射型表示装置の実施の形態を説明するための図である。このうち、図2および図3には、本発明による光学シートおよび透過型スクリーンが適用され得る背面投射型表示装置が示されている。また、図4乃至図18には、本発明による光学シートおよび透過型スクリーンの第1の実施の形態およびその変形例が示されている。
まず、図2乃至図18を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第1の実施の形態、並びに、当該光学シートおよび透過型スクリーンが適用され得る背面投射型表示装置について説明する。
図2および図3に示すように、背面投射型映像表示装置10は、例えばLCDやDMD等のマイクロデバイス(MD)からなる光源12と、光源12から投射された映像光を背面から透過させて映像を結像させる透過型スクリーン20と、を備えている。本実施の形態において、図2に示すように、光源12からの映像光は、いったんミラー14により反射されて透過型スクリーン20に投射され、透過型スクリーン20を透過するようになっている。ただし、このような例に限定されず、ミラー14を介さず、光源12から透過型スクリーン20に映像光が直接投射されるようにしてもよい。
図4および図5に示すように本実施の形態における透過型スクリーン20は、第1乃至第3の光学シート21,25,29を備えている。最入光側(最光源側)に設けられた第1光学シート21は、光源12から拡大投射される映像光を透過型スクリーン20(各光学シート21,25,29)のシート面に直交する方向に偏向させるための光偏向層22を有している。第1光学シート21の出光側に配置される第2光学シート25は、入射する映像光を一方向(例えば、使用される状態における水平方向)に拡散させて視野角を広げるための視野角拡大層(有指向性光拡散層)26を有している。そして、第2光学シートの出光側に第3光学シート29が設けられている。
なお、図示する例において、光偏向層22は、入射光を屈折させて偏向させるフレネンルレンズ部として形成されているが、これに限られない。同様の機能を有する公知の光偏向層、例えば入射光を全反射させて偏向させる全反射型フレネルレンズ部として形成された光偏向層を用いることができる。また、図示する例において、視野角拡大層26は、入射光を主に屈折させて拡散させるレンチキュラーレンズ部として形成されているが、これに限られない。同様の機能を有する公知の視野角拡大層、例えば入射光を主に全反射させて拡散させる全反射型レンチキュラーレンズ部として形成された視野角拡大層を用いることができる。また、光偏向層22および視野角拡大層26は必須ではなく、省くことも可能である。また、第1光学シート21、第2の光学シート25および第3の光学シート29の少なくとも二つが一体化されていてもよい。
次に、第3光学シート29について詳述する。
図5および図6に示すように、本実施の形態における第3光学シート29は、最入光側に配置され、複数の単位レンズ形状部33を配列されてなる凹凸面32を入光側面に形成された第1基材31を有する第1光拡散層30と、第1基材31の出光側に隣接して配置された第2基材36と、第2基材36内に分散された複数の光拡散剤(拡散性粒子)37と、を有する第2光拡散層35と、第2光拡散層35の出光側に配置された支持層39と、を備えている。ここで、光拡散剤(拡散性粒子)37は略球形状を有している。
このうち、支持層39は、透過型スクリーン20全体の剛性を高めるための支持基板として機能する層である。一例として、支持層39は、例えば厚みが2mmのアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂や硝子から構成することができる。ただし、支持層39は、その目的に応じて省くことも可能である。
次に、第1光拡散層30について説明する。本実施の形態において、第1光拡散層30の凹凸面32は、第3光学シート29の入光側面をなす。単位レンズ形状部33は、第3光学シート29の入光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
このような凹凸面32は、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部33を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部33を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
図6に示す例において、単位レンズ形状部33は凹レンズ33bとして形成されている。この凹レンズ33bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。単位レンズ形状部33は、第3光学シート29の入光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図6に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート29の入光側面をなす凹凸面32が形成されている。図6に示すように、第3光学シート29へ入射する光束LFは、第1基材31の凹凸面32により二次元的に拡散させられるようになる。
ただし、このような第3光学シート29の凹凸面32の構成は一例に過ぎない。例えば、図7に示すように、単位レンズ形状部33が凸レンズ33aとして形成されてもよい。この凸レンズ33aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有する凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート29の入光側面をなす凹凸面32が形成されるようにしてもよい。このような凸レンズ33aによれば、図7に示すように、凹凸面32を通過する光束LFは一旦集光し、その後、広い範囲に拡散されるようになる。
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
次に、第2光拡散層35について説明する。第2光拡散層35の光拡散剤37としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。
ただし、光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより大きい場合には、図8に示すように、光拡散剤37に入射する平行光束LFは、一旦集光させられてその後に広い範囲に拡散させられるようになる。一方、光拡散剤37の屈折率ncが第2基材36の屈折率nbより小さい場合には、図9に示すように、光拡散剤37に入射する平行光束LFは、一旦集光させられることなく、広い範囲拡散させられるようになる。図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、本実施の形態における第2光拡散層35の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、光拡散剤37の屈折率ncが、第2基材36の屈折率nbよりも小さくなっていることが好ましい。
なお、今日において、光拡散剤の屈折率の値を特定するための方法として、種々の公知な方法がある。精度良く光拡散剤の屈折率の値を特定する代表的な方法として、ベッケ線法が挙げられる。また、基材中に分散された光拡散剤については、基材中から光拡散剤を取り出し、当該取り出した光拡散剤に対してベッケ線法を適用し、屈折率の値を特定することができる。
また、第2光拡散層35の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、第1光拡散層30の一つの単位レンズ形状部33に入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つの光拡散剤37が入り込んでいることが好ましい。このため、一般的に、第2光拡散層35中の光拡散剤37の粒径は小さいことが好ましい。また、光拡散剤37の平均粒径Dが、第1光拡散層30の単位レンズ形状部33の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部33のレンズ面の幅よりも小さくなっていることが、とりわけ単位レンズ形状部33が凹レンズ33bからなる場合に、好ましい。
なお、光拡散剤37の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部33の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部33のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
今日において、光拡散剤の粒径の平均値(平均粒径)を特定する方法として、種々の公知な方法がある。このうち、高性能かつ容易であることから、レーザ回折散乱法が、光拡散剤の平均粒径を特定する方法として主流となっている。また、三次元電子顕微鏡を用いた場合、基材中に分散された光拡散剤を基材中から取り出すことなく、基材中に含有された状態で光拡散剤の平均粒径を精度良く特定することもできる。
一方、第2基材36に用いられる材料は、第1基材31に用いられる材料とともに、公知の材料、例えばアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。
このような第1光拡散層30とおよび第2光拡散層35を含む第3光学シート29は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法により製造され得る。そして、例えば押し出し成形された各層を積層することにより、第3光学シート29を製造した場合、あるいは、互いに異なる材料を共押し出し成形することにより、第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36との間に界面が形成され得る。このように、第1光拡散層30と第2光拡散層35との間に界面が形成される場合には、当該界面を通過する光は、当該界面において屈折する。
ここで、図6および図7に示すように、第2基材36の屈折率nbが第1基材31の屈折率naよりも小さい場合、第1基材31と第2基材36との界面を通過する光束LFは、当該界面で屈折し、より広い範囲に拡散させられるようになる。したがって、一つの単位レンズ形状部33に入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、一つの光拡散剤37を入り込ませやすくすることができ、第1光拡散層30の光拡散機能を効果的に発揮させるという観点において都合がよい。
なお、基材の屈折率は、高性能かつ容易であることから、通常、アッベ屈折計によって特定される。アッベ屈折計としては、例えば、(株)アタゴのDR−M2を用いることができる。
一方、互いに隣接する第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36とを同一材料から形成する等して、第1光拡散層30の第1基材31と第2光拡散層35の第2基材36との間に界面が形成されないようにしてもよい。そして、この場合、流動性を有する材料を所望の形状で硬化させることにより、第1光拡散層30および第2光拡散層35をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤37を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤37を沈降させる。これにより、溶融した材料中において光拡散剤37が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤37の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤37が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料を、意味する。
その後、この状態で、第1光拡散層30の第1基材31および第2光拡散層35の第2基材36をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤37が片寄って配置されている部分から第2光拡散層35が形成され、その他の部分から第1光拡散層30が形成され得る。このような方法で得られた第1光拡散層30と第2光拡散層35においては、図10に示すように、第1基材31と第2基材36とが同一材料から一体に形成され、第1基材31と第2基材36との間に界面(境界)が存在しない。
また同様に、共押し出し成形により、第1基材31と第2基材36とが同一材料から一体に形成された第3光学シート29を容易かつ安価に形成することができる。共押し出し成形法を用いた場合、三層以上の第3光学シート29、例えば、第1光拡散層30と、第2光拡散層35と、第1光拡散層30および第2光拡散層35の間に配置された中間層と、を備え、各層の基材が同一材料から一体的に形成された第3光学シート29をも、容易かつ安価に製造することができる。
次に、第1光拡散層30の凹凸面32が凸レンズ33aから形成される場合における、第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について詳述する。
第1光拡散層30の凹凸面32が凸レンズ33aによって形成される場合、第1光拡散層30の入光側面(凹凸面32)に入射する光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。上述したように、第2光拡散層35中の個々の光拡散剤37の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部33へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つ分の光拡散剤37が、入り込んでいることが好ましい。この場合、第2光拡散層30中の当該光拡散剤37の全表面が、第1光拡散層30にて拡散させられる光をさらに拡散させることに寄与し得るようになるからである。
このためには、単位レンズ形状部33への入射光束LFの集光後における通過領域Sが、第2光拡散層35中の光拡散剤37を含み得るようにしてもよい。
一つの単位レンズ形状部33へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部33から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの単位レンズ形状部33が入り込み得るようにするには、第2基材36中の最入光側に配置された光拡散剤37を基準にして、第3光学シート29を設計することが好ましい。単位レンズ形状部33に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部33を出射して集光した後、次第に広い範囲に広がっていく。したがって、単位レンズ形状部33に最も近接する第2基材36中の最入光側に配置された光拡散剤33が、一つの単位レンズ形状部33への入射光束LFのその後の通過領域S内に、入り込むようにすることが好ましい。この場合、光拡散剤37は、いずれかの単位レンズ形状部33を透過した光束LFの通過領域S内に入り込み得るようになる。
このような第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について、図11および図12を用いてより具体的に説明する。
図11に示すように、単位レンズ形状部33の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部33の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部33の焦点距離をFとし、光拡散剤37の平均粒径をDとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均をL1とする。ここで、第2基材36の入光側面から第1基材31の入光側面までの最大長さとは、第2基材36の入光側面から単位レンズ形状部33の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
一つの単位レンズ形状部33へ入射した光束LFが、集光し、その後に、第2光拡散層35中の最入光側に配置された光拡散剤37を含むように拡散されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(7)が成り立つ。
P:F=D:(L1+D/2−F−Tl) ・・・式(7)
したがって、一つの単位レンズ形状部33への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層35中の最入光側に配置された光拡散剤37を含み得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(8)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+P)×F/P)+Tl−D/2 ・・・式(8)
なお、単位レンズ形状部33の焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部33への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
ところで、単位レンズ形状部33が隙間を空けて形成されている場合、図12に示すように、単位レンズ形状部33の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート29を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部33への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層35中の最入光側に配置された光拡散剤37を含み得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1が以下の式(9)を満たすようにすればよい。
L1≧((D+W)×F/W)+Tl−D/2 ・・・式(9)
ここで、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部33が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部33の幅の平均値のことを指す。
また、式(9)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部33の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部33への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
以上のようにして、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1の下限値を設定することができる。一方、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1は、長ければ長い程良いというものではない。例えば、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1が長過ぎると、解像度が悪化してしまうという不具合が生じる。この観点から、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の入光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L1は、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがさらに好ましく、1mm以下であることがさらにより好ましい。
ところで、以上の検討において、一つの単位レンズ形状部33へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部33から出射して集光した後に通過する領域S内に、一つの光拡散剤33が入り込み得るよう、第3光学シート29を設計した。その一方で、一つの単位レンズ形状部33へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部33から出射した後であって集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤37が入り込み得るよう、第3光学シート29を設計することができる。このような設計は、第1光拡散層30の厚みが薄い第3光学シート29に対して、非常に有効である。なお、第1光拡散層30の厚みが薄い第3光学シート29は、例えば、第2光拡散層35上に、ビーズを含むとともに当該ビーズと同一材料からなる樹脂をコーティングすることにより、あるいは、第2光拡散層35上に樹脂をコーティングするとともに、当該樹脂に対してエンボス加工を施すことにより、形成され得る。
このような第1光拡散層30および第2光拡散層35を含む第3光学シート29の設計方法について、図13および図14を用いてより具体的に説明する。
一つの単位レンズ形状部33へ、第3光学シート29のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部33から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤33が入り込み得るようにするには、第2基材36中の最出光側に配置された光拡散剤37を基準にして、第3光学シート29を設計することが好ましい。単位レンズ形状部33に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部33を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部33から最も離間する第2基材36中の最出光側に配置された光拡散剤37が、一つの単位レンズ形状部33から出射した光束LFの通過領域S内に、入り込むようにすればよい。
図13に示すように、単位レンズ形状部33の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部33の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部33の焦点距離をFとし、光拡散剤37の平均粒径をDとし、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均をL2とする。ここで、第2基材36の出光側面から第1基材31の入光側面までの最大長さとは、第2基材36の出光側面から単位レンズ形状部33の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
図13に示すように、一つの単位レンズ形状部33へ入射した光束LFが、その後に、第2光拡散層35中の最出光側に配置された光拡散剤37を含むように集光されるとすると、三角形の相似関係から以下の式(10)が成り立つ。
P:F=D:(F+Tl−L2+D/2) ・・・式(10)
したがって、一つの単位レンズ形状部33への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層35中の最出光側に配置された光拡散剤37を含み得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(11)を満たすようにすればよい。
L2≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(11)
なお、単位レンズ形状部33の焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部33への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
ところで、単位レンズ形状部33が隙間を空けて形成されている場合、図14に示すように、単位レンズ形状部33の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート29を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部33への入射光束LFの通過領域Sが、第2光拡散層35中の最出光側に配置された光拡散剤37を含み得るようにするには、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L2が以下の式(12)を満たすようにすればよい。
L2≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(12)
ここで、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部33の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部33が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部33の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部33の幅の平均値のことを指す。
また、式(12)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部33の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部33への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
以上のようにして、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L2の上限値を設定することができる。一方、第3光学シート29のシート面に直交する方向に沿った第2基材36(第2光拡散層35)の出光側面から第1基材31(第1光拡散層30)の入光側面までの最大長さの平均L2は、当然に、第1基材31(第1光拡散層30)の最小厚みと第2基材36(第2光拡散層35)の最小厚みとの和以上、すなわち、単位レンズ形状33の平均厚みTlと光拡散剤37の平均粒径との和以上となっていなければならない。
以上のような本実施の形態によれば、第1光拡散層30で拡散される光を、第1光拡散層30の出光側に配置された第2光拡散層35により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第3光学シート29に含まれる個々の光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第3光学シート29全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
なお、上述した第1の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施の形態において、第2基材36中に、一種類の光拡散剤37が分散されている例を示したが、これに限られない。第2基材36中に、上述した光拡散剤37とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤37の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤37の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、第2光拡散層35のみが光拡散剤37を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、第1光拡散層30や支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤37が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、第3光学シート29の第1光拡散層30が第2光拡散層35に隣接して配置されている例を示したが、これに限られない。第1光拡散層30と、第1光拡散層30の入光側に配置された第2光拡散層35との間に、別途の中間層が設けられていてもよい。
さらに、上述した透過型スクリーン20は第1乃至第3の光学シート21,25,29を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン20は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、第1光拡散層30および第2光拡散層35が最出光側の第3光学シート29のみに含まれる例を示したが、これに限られない。第1光拡散層30および第2光拡散層35は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、第1光拡散層30が光学シートの最入光側に配置されている例を示したが、これに限られず、第1光拡散層30の入光側に別途の入光側層43が設けられていてもよい。このような変形の一例を、図15乃至図18を用いて以下に説明する。なお、図15乃至図18において、上述した実施の形態と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
図15に示す例において、透過型スクリーン20は、第1乃至第3の光学シート21a,25,29を有している。このうち第2光学シート25および第3光学シート29は、上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、第1光学シート21aは、第3光学シート29の支持層39を光偏向層22に置き換えたものである。したがって、第1光学シート21aは、第1光拡散層30と、第2光拡散層35と、光偏向層22と、を有している。つまり、第1光学シート21aの第1光拡散層30は透過型スクリーン20の最入光側に配置されており、この第1光拡散層30の凹凸面32は透過型スクリーン20の最入光側面をなす。
このような透過型スクリーン20によれば、第3光学シート29の第1光拡散層30で拡散される光を、第3光学シート29の第2光拡散層35により、効率的に拡散させることができるだけでなく、第1光学シート21aの第1光拡散層30で拡散される光を、第1光学シート21aの第2光拡散層35により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、例えば第1光学シート21aの第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第1光学シート21に含まれる個々の光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第1光学シート21a全体としての光拡散機能を増強することもできる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
加えて、光偏向層22および視野角拡大層26(第2光学シート25)が適度の厚さを有するため、第1光学シート21aで拡散された光を、第1光学シート21の出光側に配置された第3光学シート29により、効率的に拡散させることもできる。すなわち、第1光学シート21および第3光学シート29の光拡散機能を過度に増強することなく、透過型スクリーン20全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、シンチレーション等の映像のギラツキをさらに抑制することができる。
一方、図16に示す例において、透過型スクリーン20は、第1光学シート21および第2光学シート25aを有している。このうち第1光学シート21は上述した実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。一方、本変形例による第2光学シート25aは、上述した実施の形態における第3光学シート29(図5参照)の入光側に、接合層42を介して入光側層43を設けることによって構成された光学シートである。すなわち、本変形例において、第1光拡散層30は、光学シートの最入光側に配置されていない。ここで、入光側層43は、例えば上述した視野角拡大層26と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、入光側層43として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。
このような変形例においては、第1光拡散層30で拡散される光を、第1光拡散層30の出光側に配置された第2光拡散層35により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば第2光拡散層35に光拡散剤37を大量に分散させる等して、第2光学シート25に含まれる個々の光拡散層30,35の光拡散機能を過度に増強することなく、第2光学シート25全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
なお、第1光拡散層30の入光側に配置された接合層42の材料として、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層42の屈折率と第1光拡散層30の第1基材31の屈折率とが異なれば、接合層42と第1光拡散層30との界面において、透過光が屈折されることになる。このとき、第1光拡散層30の凹凸面32をなす単位レンズ形状部33が凸レンズ33aである場合には、接合層42の屈折率を第1基材31の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図17に示すように、第1光拡散層30と接合層42との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
一方、第1光拡散層30の凹凸面32をなす単位レンズ形状部33が凹レンズ33bである場合には、接合層42の屈折率を第1基材31の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図18に示すように、第1光拡散層30と接合層42との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
<第2の実施の形態>
次に、主に図19乃至図27を参照し、光学シートおよび透過型スクリーンの第2の実施の形態について説明する。なお、図2乃至図18を用いて説明した上述の第1の実施の形態並びにその変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
図19に示すように、本実施の形態における透過型スクリーン120は、第1乃至第3の光学シート21,25,129を備えている。第1光学シート21および第2光学シート25は、上述した第1乃至第3の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、このような透過型スクリーン120は、図2および図3に示す背面投射型表示装置10の構成部材として用いられ得る。
次に、第3光学シート129について詳述する。
図19および図20に示すように、本実施の形態における第3光学シート129は、最入光側に配置され、複数の単位レンズ形状部133を配列されてなる凹凸面132を入光側面に形成された基材131を有する光拡散層130と、光拡散層130の出光側に配置された支持層39と、を備えている。このうち、支持層39は、上述した第1乃至3の実施の形態の対応する構成要素と同一に構成することができる。また、光拡散層130の基材131中には、略球形状を有する光拡散剤137が分散されている。
本実施の形態において、光拡散層130の凹凸面132は、第3光学シート129の入光側面をなす。単位レンズ形状部133は、第3光学シート129の入光側面における一方向(例えば、使用される状態における水平方向)および/または前記一方向に直交する他方向(例えば、使用される状態における垂直方向)に沿って、規則的または非規則的に配列され得る。
このような凹凸面132は、種々の公知な方法により、例えば、金型を用いて基材上に凹凸を形成することにより、基材の表面にヘアーライン加工を施すことにより、基材にブラスト処理を行うことにより、基材にエンボス加工を施すことにより、微小粒子を含んだ樹脂を基材上にコーティングすることにより、微小三次元架橋粒子を含む透明樹脂を押出し、その後の透明樹脂の熱収縮にともなって微小三次元架橋粒子を樹脂の表面上に突出させることにより、製造することができる。これらの製造方法によれば、例えば、凸レンズとして形成された単位レンズ形状部、凹レンズとして形成された単位レンズ形状部、錐体形状を有する単位レンズ形状部、錐体状の溝を形成されてなる単位レンズ形状部等の種々の形状を有した単位レンズ形状部133を形成することができる。なお、ここで言う、凸レンズとは、光束を実質的にほぼ一点に集光させる機能を有するレンズを意味し、凹レンズとは、一点から出射されて入射する光束を実質的にほぼ平行光として出射させる機能を有するレンズを意味する。さらに、これらの製造方法によれば、単位レンズ形状部133を、例えば、ハニカム配列や正方配列等の種々の配列方法で配列することができる。
図20に示す例において、単位レンズ形状部133は凹レンズ133bとして形成されている。この凹レンズ133bは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する凹部を設けられた形状を有している。単位レンズ形状部133は、第3光学シート129の入光側面における一方向および他方向の両方に沿って規則的に配列されている。すなわち、図20に示す例においては、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凹部が規則的に配列されることにより、第3光学シート129の入光側面をなす凹凸面132が形成されている。図20に示すように、第3光学シート129へ入射する光束LFは、基材131の凹凸面132により二次元的に拡散させられるようになる。
ただし、このような第3光学シート129の凹凸面132の構成は一例に過ぎない。例えば、図21に示すように、単位レンズ形状部133が凸レンズ133aとして形成されてもよい。この凸レンズ133aは、シート面に直交する断面において楕円の一部に相当する形状を有している。すなわち、回転楕円体の一部分に相当する輪郭を有した凸部が規則的に配列されることにより、第3光学シート129の入光側面をなす凹凸面132が形成されるようにしてもよい。このような凸レンズ133aによれば、図21に示すように、凹凸面132を通過する光束LFは一旦集光し、その後、広い範囲に拡散されるようになる。
なお、ここでいう「楕円」とは、「円」を含む概念である。
光拡散層130の基材131に用いられる材料は、公知の材料、例えばアクリル、アクリル/スチレン共重合、スチレン、ポリカーボネイト、アクリロニトリル/スチレン共重合等の樹脂を用いることができる。一方、光拡散剤137としては、有機ビーズ、無機ビーズあるいは硝子ビーズ等の公知の光拡散剤を用いることができる。
ただし、光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naより大きい場合には、図22に示すように、光拡散剤137に入射する光束LFは、一旦集光させられてその後に拡散させられるようになる。一方、光拡散剤137の屈折率ncが基材131の屈折率naより小さい場合には、図23に示すように、光拡散剤137に入射する光束LFは、一旦集光させられることなく、拡散させられるようになる。図1を参照して説明したように、入光側の一つの単位拡散要素を通過した光束がその後に通過する領域内に、当該入光側の一つの単位拡散要素よりも出光側に配置された一つの単位拡散要素が入り込むようになっていることが好ましい。この場合、出光側に配置された一つの単位拡散要素の光拡散機能を効果的に発揮することができるからである。したがって、本実施の形態における光拡散層130の出光側に、複数の微小な単位拡散層要素を含むさらなる光拡散層が設けられるような場合には、当該さらなる光拡散層の光拡散機能を効果的に発揮させるため、光拡散剤137の屈折率ncが、基材136の屈折率naよりも小さくなっていることが好ましい。
また、光拡散層130中の個々の光拡散剤137の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部133に入射した光束LFがその後に通過する範囲内に、少なくとも一つの光拡散剤137が入り込んでいることが好ましい。このためには、一般的に、光拡散剤137の粒径Dは小さいことが好ましい。典型的には、光拡散剤137の平均粒径Dが、単位レンズ形状部133の配置ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部133のレンズ面の幅よりも小さくなっていることが好ましい。
なお、光拡散剤137の平均粒径Dは、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっており、単位レンズ形状部133の配置ピッチPおよび単位レンズ形状部133のレンズ面の幅は、通常、1μm以上500μm以下の範囲内となっている。
このような光拡散層130を含む第3光学シート129は、公知の製造方法、例えば押し出し成形法等により製造することができる。また、互いに隣接する光拡散層130の基材131と支持層39の基材とを同一材料から形成するようにしてもよい。そしてこの場合、流動性を有する材料を所望の形状で硬化させることにより、光拡散層130および支持層39をそれぞれ形成するキャスト法を用いることができる。
キャスト法を用いる場合には、まず、流動性を有する材料中に、当該材料の比重とは異なる比重を有した光拡散剤137を混入し、その後、流動性材料中において光拡散剤137を沈降させる。これにより、流動性を有する材料中において光拡散剤137が片寄って配置された状態となる。すなわち、ここで、「流動性を有する材料」とは、材料内に混入された光拡散剤137の比重と材料の比重との相違に起因して、混入された光拡散剤137が材料内で移動し得る程度の流動性を有した材料、を意味する。
その後、この状態で、基材131および支持層39をなすようになる材料を硬化させることにより、光拡散剤137が片寄って配置されている部分から光拡散層130が形成され、その他の部分から支持層39が形成され得る。このような方法で得られた光拡散層130と支持層39においては、光拡散層130の基材131と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成され、光拡散層130(基材131)と支持層39との間に界面(境界)が存在しない。
また同様に、共押し出し成形により、光拡散層130の基材131と支持層39の基材とが同一材料から一体に形成された第3光学シート129を容易かつ安価に形成することができる。
次に、光拡散層130の凹凸面132が凸レンズ133aから形成される場合における、光拡散層130を含む第3光学シート129の設計方法について詳述する。
光拡散層130の凹凸面132が凸レンズ133aから形成される場合、光拡散層130の入光側面(凹凸面132)に入射する光束LFは一旦集光し、その後に拡散する。上述したように、光拡散層130中の個々の光拡散剤137の光拡散機能を効果的に発揮させるためには、一つの単位レンズ形状部133へ入射した光束LFがその後に通過する領域S内に、少なくとも一つの光拡散剤137が入り込んでいることが好ましい。この場合、光拡散層130中の光拡散剤137の全表面が、凹凸面132にて拡散される光をさらに広い範囲に拡散させることに寄与することができるようになるからである。このためには、単位レンズ形状部137への入射光束LFの通過領域Sが、集光する前に光拡散剤137を含むようにすればよい。
したがって、本実施の形態においては、光拡散剤137の平均粒径Dが単位レンズ形状部の配列ピッチPよりも小さくなっているとともに、光拡散剤137が凹凸面132に近接して配置されていることが好ましい。また、図24において二点鎖線で示すように、光拡散剤137の少なくとも一部が、基材131の単位レンズ形状部133内に少なくとも部分的に入り込んでいることがさらに好ましい。具体的には、光拡散剤137の平均粒径Dを、単位レンズ形状部の配列ピッチP、より厳密には、単位レンズ形状部133のレンズ面の幅よりも小さく設定するとともに、光拡散層130(基材131)の厚みを制限することにより、光拡散剤137が凹凸面132の近傍に配置されるようにすることができる。
このような光拡散層130を含む第3光学シート129の設計方法について、図24および図25を用いてより具体的に説明する。
一つの単位レンズ形状部133へ、第3光学シート129のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部133から出射して集光する前に通過する領域S内に、一つの光拡散剤137が入り込み得るようにするには、基材131中の最出光側に配置された光拡散剤137を基準にして、第3光学シート129を設計することが好ましい。単位レンズ形状部133に入射した光束LFは、当該単位レンズ形状部133を出射した後、集光点に向けて次第に集束していく。したがって、単位レンズ形状部133から最も離間する基材131中の最出光側に配置された光拡散剤137が、一つの単位レンズ形状部133から出射した光束LFの通過領域S内に、入り込むようになっていることが好ましい。
このため、図24に示すように、一つの単位レンズ形状部133へ、第3光学シート129のシート面に直交する方向から、入射した光束LFが当該単位レンズ形状部133から出射して集光する前に通過する領域S内に、基材131中の最出光側に配置された一つの光拡散剤137が入り込み得るようになっていることが好ましい。
図24に示すように、単位レンズ形状部133の平均配列ピッチをPとし、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った単位レンズ形状部133の平均厚みをTlとし、この単位レンズ形状部133の焦点距離をFとし、光拡散剤137の平均粒径をDとし、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の最大厚みの平均をTとする。ここで、基材131(光拡散層130)の最大厚みとは、基材131の出光側面から単位レンズ形状部133の最大突出部(頂部)までの長さのことである。
一つの単位レンズ形状部133への入射光の通過領域Sに、光拡散層130中の最出光側に配置された光拡散剤137が含まれるとすると、三角形の相似関係から以下の式(93)が成り立つ。
P:F=D:(F−T+D/2+Tl) ・・・式(13)
したがって、光拡散剤137への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130中の最出光側に配置された光拡散剤137を含み得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の最大厚みの平均Tが以下の式(14)を満たすようにすればよい。
T≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(14)
なお、単位レンズ形状部133の焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部133への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
ところで、単位レンズ形状部133が隙間を空けて形成されている場合、図25に示すように、単位レンズ形状部133の配列ピッチPではなく、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wに基づき、第3光学シート129を設計することができる。この場合、一つの単位レンズ形状部133への入射光束LFの通過領域Sが、光拡散層130中の最出光側に配置された光拡散剤137を含み得るようにするには、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の最大厚みの平均Tが以下の式(15)を満たすようにすればよい。
T≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(15)
ここで、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における単位レンズ形状部133の最大幅の平均値のことである。なお、単位レンズ形状部133が、例えばレンチキュラーレンズのように、一方向に沿って延びる形状を有する場合には、単位レンズ形状部133の平均最大幅Wとは、当該一方向に直交するとともに、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った断面における、単位レンズ形状部133の幅の平均値のことを指す。
また、式(15)中のFは、最大幅がWである単位レンズ形状部133の焦点距離である。このような焦点距離Fは、例えば、単位レンズ形状部133への入射光の光路をシミュレーションし、シミュレーション結果から焦点距離を実測することにより、求めることができる。
以上のようにして、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の平均厚みTの上限値を設定することができる。一方、第3光学シート129のシート面に直交する方向に沿った基材131(光拡散層130)の厚みTは、当然に、光拡散剤130の平均粒径Dと単位レンズ形状部の厚さTlとの和以上となっていなければならない。
以上のような本実施の形態によれば、基材131の凹凸面132で拡散される光を、基材131中の光拡散剤137により、効率的に拡散させることができる。すなわち、例えば基材131に光拡散剤137を大量に分散させる等して光拡散剤137に基づく光拡散機能を過度に増強することなく、光拡散層130全体としての光拡散機能を増強することができる。これにより、過度のゲインの低下や過度のコントラストの低下等、不必要な映像の劣化を回避しながら、シンチレーション等の映像のギラツキを抑制することができる。
なお、上述した第の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施の形態において、基材131中に、一種類の光拡散剤137が分散されている例を示したが、これに限られない。基材131中に、上述した光拡散剤137とは異なる種類のさらなる光拡散剤、例えば、上述した光拡散剤137の平均粒径とは異なる平均粒径を有した光拡散剤や、上述した光拡散剤137の屈折率とは異なる屈折率を有した光拡散剤が、さらに分散されていてもよい。さらなる光拡散剤は、上述した光拡散剤と同様に構成されてもよいし、異なるように構成されてもよい。ただし、さらなる光拡散剤も、上述した構成、例えば上述した設計方法にしたがっていることが好ましい。また、上述した実施の形態においては、光拡散層130のみが光拡散剤137を含有している例を示したが、これに限られない。例えば、支持層39が光拡散剤を含有するようにしてもよい。さらに、一つの光拡散剤137が一種類の材料からなっている必要はない。例えば、複数種類の材料から構成され、部分的に異なる屈折率を有する光拡散剤(例えば、特開平2−120702)を用いるようにしてもよい。
また、上述した透過型スクリーン120は第1乃至第3の光学シート21,25,129を有する例を示したが、これに限られない。透過型スクリーン120は1以上の任意の数の光学シートを有することができる。また、光拡散層130が最出光側の第3光学シート129のみに含まれる例を示したが、これに限られない。光拡散層130は最出光側に配置される光学シート以外の光学シートに含まれるようにしてもよいし、また、複数の光学シートに含まれるようにしてもよい。さらに、光拡散層130が光学シートの最入光側に配置されている例を示したが、これに限られず、光拡散層130の入光側に別途の入光側層143が設けられていてもよい。
一例として、図26および図27には、第3光学シート129aの光拡散層130の入光側に、接合層142を介して入光側層143を設けた変形例を示している。ここで、入光側層143は、例えば上述した視野角拡大層26と同様に構成され得る。ただし、これに限られず、入光側層143として種々の光学的機能を有した層を用いることができる。
また、光拡散層130の入光側に配置された接合層142の材料としては、アクリル系の接着剤等、公知の材料を用いることができる。そして、接合層142の屈折率と光拡散層130の基材131の屈折率とが異なれば、接合層142と光拡散層130との界面において、透過光が屈折されることになる。
このとき、光拡散層130の凹凸面132をなす単位レンズ形状部133が凸レンズ133aである場合には、接合層142の屈折率を基材131の屈折率よりも大きくすることが好ましい。この場合、図26に示すように、光拡散層130と接合層142との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。
一方、光拡散層130の凹凸面132をなす単位レンズ形状部133が凹レンズ133bである場合には、接合層142の屈折率を基材131の屈折率よりも小さくすることが好ましい。この場合、図26に示すように、光拡散層130と接合層142との界面を通過する光は、集光することなく拡散させられる。なお、図25および図26において、上述した実施の形態、並びに、第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付し、重複する詳細な説明を省略する。
図1は、入光側に配置された単位拡散要素と出光側に配置された単位拡散要素との関連について説明するための図である。 図2は、本発明による背面投射型映像表示装置の一実施の形態を示す斜視図である。 図3は、背面投射型表示装置における光学系の概略構成を示す図である。 図4は、本発明による透過型スクリーンの第1の実施の形態を示す斜視図である。 図5は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第1の実施の形態を示す図である。 図6は、図5に示された光学シートの一例を示す図である。 図7は、図5に示された光学シートの他の例を示す図である。 図8は、図6に示された光学シートの作用を説明するための図である。 図9は、図6に示された光学シートの他の作用を説明するための図である。 図10は、図5に示された光学シートのさらに他の例を示す図である。 図11は、光学シートの設計方法を説明するための図である。 図12は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。 図13は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。 図14は、光学シートのさらに他の設計方法を説明するための図である。 図15は、図5に示された透過型スクリーンおよび光学シートの変形例を示す図である。 図16は、図5に示された透過型スクリーンおよび光学シートの他の変形例を示す図である。 図17は、図16に示された光学シートの一例を示す図である。 図18は、図16に示された光学シートの他の例を示す図である。 図19は、本発明による透過型スクリーンおよび光学シートの第2の実施の形態を示す図である。 図20は、図19に示された光学シートの一例を示す図である。 図21は、図19に示された光学シートの他の例を示す図である。 図22は、図20に示された光学シートの作用を説明するための図である。 図23は、図20に示された光学シートの作用を説明するための図である。 図24は、光学シートの設計方法を説明するための図である。 図25は、光学シートの他の設計方法を説明するための図である。 図26は、図19に示された光学シートの変形例を示す図である。 図27は、図19に示された光学シートの変形例を示す図である。
符号の説明
10 背面投射型表示装置
20 透過型スクリーン
21a 光学シート
25a 光学シート
29 光学シート
30 第1光拡散層
31 第1基材
32 凹凸面
33 単位レンズ形状部
33a 凸レンズ
33b 凹レンズ
35 第2光拡散層
36 第2基材
37 光拡散剤
42 接合層
43 入光側層
120 透過型スクリーン
129 光学シート
129a 光学シート
130 光拡散層
131 基材
132 凹凸面
133 単位レンズ形状部
133a 凸レンズ
133b 凹レンズ
137 光拡散剤
142 接合層
143 入光側層

Claims (13)

  1. 透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
    複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、
    前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、
    前記単位レンズ形状部は凸レンズを含み、
    前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようになっていることを特徴とする光学シート
  2. 透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
    複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、
    前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、
    前記単位レンズ形状部は凸レンズを含み、
    前記光拡散剤の平均粒径をDとし、前記単位レンズ形状部の平均配列ピッチをPとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(3)を満たすことを特徴とする光学シート
    L2≦((P−D)×F/P)+Tl+D/2 ・・・式(3)
  3. 透過型スクリーン用の光学シートにおいて、
    複数の単位レンズ形状部を配列されてなる凹凸面を入光側に含む第1基材を有する第1光拡散層と、
    前記第1基材の出光側に配置された第2基材と、前記第2基材内に分散された複数の光拡散剤と、を有する第2光拡散層と、を備え、
    前記単位レンズ形状部は凸レンズを含み、
    前記光拡散剤の平均粒径をDとし、シート面に直交する断面における単位レンズ形状部の平均最大幅をWとし、前記単位レンズ形状部の平均厚みをTlとし、前記単位レンズ形状部の平均焦点距離をFとすると、シート面に直交する方向に沿った前記第2基材の出光側面から前記第1基材の入光側面までの平均最大長さL2は、以下の式(4)を満たすことを特徴とする光学シート
    L2≦((W−D)×F/W)+Tl+D/2 ・・・式(4)
  4. 前記光拡散剤の平均粒径をDとし、光学シートのシート面に直交する方向から一つの単位レンズ形状部へ入射した光束が当該一つの単位レンズから出射した後であって集光する前に通過する領域内に、粒径がDであり前記第2基材中の最出光側に配置された一つの光拡散剤が入り込み得るようになっていることを請求項2または3に記載の特徴とする光学シート
  5. 前記第1光拡散層は最入光側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれ一項に記載の光学シート。
  6. 前記第1光拡散層の入光側に接合層を介して配置された入光側層をさらに備え、
    前記第1基材の屈折率は、前記接合層の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項11乃至4のいずれか一項に記載の光学シート。
  7. 前記光拡散剤の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学シート。
  8. 前記第1基材と前記第2基材とは隣接して配置され、前記第1基材の屈折率と前記第2基材の屈折率とは異なることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の光学シート。
  9. 前記第1基材の屈折率は前記第2基材の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の光学シート。
  10. 前記第1基材と前記第2基材とは同一材料により一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光学シート。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学シートを備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
  12. 請求項に記載の光学シートを備え、
    前記光学シートは最入光側に配置されていることを特徴とする透過型スクリーン。
  13. 請求項11または12に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする背面投射型表示装置。
JP2006203338A 2006-07-26 2006-07-26 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置 Active JP4817062B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006203338A JP4817062B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006203338A JP4817062B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008032811A JP2008032811A (ja) 2008-02-14
JP4817062B2 true JP4817062B2 (ja) 2011-11-16

Family

ID=39122334

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006203338A Active JP4817062B2 (ja) 2006-07-26 2006-07-26 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4817062B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009204797A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3499276B2 (ja) * 1993-12-14 2004-02-23 大日本印刷株式会社 透過型スクリーン
JP3647598B2 (ja) * 1996-05-13 2005-05-11 株式会社クラレ 光拡散シート、これを用いた投写型スクリーンおよび液晶表示装置
JPH10123623A (ja) * 1996-10-16 1998-05-15 Casio Comput Co Ltd 透過型投影スクリーン
JPH10246916A (ja) * 1997-03-06 1998-09-14 Mitsubishi Rayon Co Ltd 透過型スクリーン及びその製造方法
JP2000131506A (ja) * 1998-10-26 2000-05-12 Toshiba Corp マイクロレンズアレイシート
JP2003177476A (ja) * 2001-12-12 2003-06-27 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーン
JP2003240913A (ja) * 2002-02-22 2003-08-27 Seiko Epson Corp マイクロレンズの製造方法、マイクロレンズ、光学膜、プロジェクション用スクリーン、及びプロジェクターシステム
JP2004271924A (ja) * 2003-03-10 2004-09-30 Hitachi Ltd 背面投写型スクリーン及びそれを用いた画像表示装置
JP2004294496A (ja) * 2003-03-25 2004-10-21 Meiko:Kk 投影システム
JP4400165B2 (ja) * 2003-10-03 2010-01-20 セイコーエプソン株式会社 スクリーンおよびプロジェクタシステム
JP2005128351A (ja) * 2003-10-24 2005-05-19 Seiko Epson Corp 遮光部付きレンズ基板の製造方法、遮光部付きレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006154757A (ja) * 2004-10-26 2006-06-15 Seiko Epson Corp マイクロレンズ基板の製造方法、マイクロレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
JP2006072375A (ja) * 2005-09-13 2006-03-16 Seiko Epson Corp 透過型スクリーン用部材、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008032811A (ja) 2008-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100708877B1 (ko) 프로젝션 스크린 및 프로젝션 디스플레이 장치
JP4713583B2 (ja) プロジェクションスクリーン装置およびプロジェクションテレビジョンシステム
JP4411030B2 (ja) 投射型表示装置
WO2004109391A1 (ja) フレネルレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置
JPWO2004049059A1 (ja) 透過型スクリーンおよび投写型表示装置
JP2007058030A (ja) フレネルレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置
JP4205998B2 (ja) プロジェクションスクリーン及びプロジェクションディスプレイ装置
KR100446223B1 (ko) 투과형스크린
JP4043454B2 (ja) フレネルレンズシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置
JP2004170862A (ja) フレネルレンズ
JP2011215399A (ja) プリズムシート、透過型スクリーン、背面投射型表示装置
JP2013050646A (ja) 反射型スクリーン、及び反射型投射システム
JP5849440B2 (ja) 反射型スクリーン、及び反射型投射システム
JP2004206037A (ja) フレネルレンズシート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP4817062B2 (ja) 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP2008032849A (ja) 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP2008032833A (ja) 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP2008032846A (ja) 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP4177085B2 (ja) フレネルレンズ
JP2007293166A (ja) 透過型スクリーン用光拡散シート及び透過型スクリーン
JP2001272727A (ja) 透過型スクリーン
JP2007286326A (ja) 透過型スクリーン用レンチキュラーレンズシート
JP2005202182A (ja) プリズムシート及び光拡散シート並びに透過型スクリーン
JP2006215165A (ja) 透過型スクリーンおよび投射型ディスプレイ
JP2011158836A (ja) 光学シート、面光源装置、および、透過型表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110805

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110818

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140909

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4817062

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150