以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)光ディスクに対する情報の記録再生原理
まず、第1の実施の形態における情報の記録及び再生に関する原理について説明する。第1の実施の形態では、光ディスク100の記録層101にホログラムでなる記録マークRMを形成するようになされている。
実際上光ディスク100は、図3に外観図を示すように、全体として略円板状に構成され、中心にチャッキング用の孔100Hが設けられている。
また光ディスク100は、図4に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101の両面を基板103及び104により挟んだような構成を有しており、さらに記録層101と基板103との間に基準層102が設けられている。
基準層102には、サーボ用の案内溝が形成されており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
なお基準層102(すなわち記録層101と基板103との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良い。また基準層102のトラックは、螺旋状でなく同心円状であっても良い。
また基準層102は、光ビームの波長に応じて反射率が異なる波長選択性を有しており、例えば波長約405[nm]の光ビームを高い透過率で透過すると共に、波長約660[nm]の光ビームを高い反射率で反射するようになされている。
光ディスク装置10は、光ディスク100に対して波長約660[nm]でなるサーボ光ビームLSを照射する。このときサーボ光ビームLSは、光ディスク100の基準層102により反射されサーボ反射光ビームLSRとなる。
光ディスク装置10は、サーボ反射光ビームLSRを受光し、その受光結果を基に対物レンズ21を光ディスク100に近接又は離隔させるフォーカス方向へ位置制御することにより、サーボ光ビームLSの焦点FSを基準層102の目標基準トラックTSGに合わせるようになされている。
一方記録層101は、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームに反応するようになされている。
光ディスク装置10は、光ディスク100に情報を記録する際、第1面100A側から対物レンズ21により情報光ビームLM1を集光すると共に、当該情報光ビームLM1と同一の焦点FMに第2面100B側から対物レンズ22により情報光ビームLM2を集光する。この情報光ビームLM1及びLM2は、同一の光源から出射され互いに過干渉性を有するレーザ光でなる。
このとき光ディスク装置10は、サーボ光ビームLSと情報光ビームLM1との光軸を互いに一致させている。これにより光ディスク装置10は、情報光ビームLM1の焦点FM1を、記録層101内における目標基準トラックTSGに対応した箇所に、すなわち目標基準トラックTSGを通り基準層102に垂直な法線XD上に位置させる。以下、目標マーク層YGにおける目標基準トラックTSGと対応したトラックを目標トラックTGと呼び、また焦点FM1の位置を目標位置PGと呼ぶ。
記録層101は、比較的強い強度でなる2本の情報光ビームLM1及びLM2が当該記録層101内において干渉した場合、その干渉部分に定在波が生成され、ホログラムとしての性質を有する干渉パターンが形成される。
この結果光ディスク100には、記録層101内の焦点FM1の位置にホログラムでなる記録マークRMが形成される。
因みに光ディスク装置10は、記録すべき情報を符号「0」及び「1」の組み合わせでなる2値の記録データに符号化する。また光ディスク装置10は、例えば当該記録データの符号「1」に対応して記録マークRMを形成すると共に、符号「0」に対応して当該記録マークRMを形成しないよう、情報光ビームLMを出射制御するようになされている。
さらに光ディスク装置10は、光ディスク100を回転駆動すると共に対物レンズ21及び22を半径方向へ適宜移動制御しながら情報光ビームLM1及びLM2の強度を変調させる。
この結果光ディスク100の記録層101内には、複数の記録マークRMによる螺旋状のトラックが、基準層102に設けられたトラックと対応するよう順次形成される。
またこのようにして形成された記録マークRMは、光ディスク100の第1面100A及び基準面102等の各面とほぼ平行な平面状に配置され、当該記録マークRMによる層(以下これをマーク層Yと呼ぶ)を形成する。
さらに光ディスク装置10は、情報光ビームLM1における焦点FM1の位置を光ディスク100の厚さ方向に変化させることにより、記録層101内に複数のマーク層Yを形成することができる。例えば光ディスク装置10は、光ディスク100の一面100A側から所定の層間隔ごとにマーク層Yを順次形成するようになされている。
一方、光ディスク装置10は、光ディスク100から情報を再生する際、例えば第1面100A側から情報光ビームLM1を集光する。ここで焦点FM1の位置(すなわち目標位置PG)にホログラムでなる記録マークRMが形成されている場合、当該記録マークRMから情報光ビームLM3が出射される。
この情報光ビームLM3は、記録マークRMのホログラムとしての性質により情報光ビームLM1が回折されたものであり、当該記録マークRMを通過してさらに進行する情報光ビームLM2とほぼ同等の光学的性質を有している。
光ディスク装置10は、情報光ビームLM3の検出結果に応じた検出信号を生成し、当該検出信号を基に記録マークRMが形成されているか否かを検出する。
このとき光ディスク装置10は、例えば記録マークRMが形成されていれば符号「1」に、当該記録マークRMが形成されていなければ符号「0」に割り当てることにより、記録されている情報を再生することができる。
このように第1の実施の形態では、光ディスク装置10により光ディスク100から情報を再生する場合、サーボ光ビームLSを併用しながら情報光ビームLM1を目標位置PGに照射することにより、所望の情報を再生するようになされている。
(1−2)光ディスク装置の構成
図5に示すように、光ディスク装置10は、制御部11を中心に構成されている。制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム等が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)とによって構成されている。
制御部11は、光ディスク100から情報を再生する場合、駆動制御部12を介してスピンドルモータ15を回転駆動させ、所定のターンテーブルに載置された光ディスク100を所望の速度で回転させる。
また制御部11は、駆動制御部12を介してスレッドモータ16を駆動させることにより、光ピックアップ17を移動軸GR1及びGR2に沿ってトラッキング方向、すなわち光ディスク100の内周側又は外周側へ向かう方向へ大きく移動させるようになされている。
光ピックアップ17は、対物レンズ21等の複数の光学部品が取り付けられており、制御部11の制御に基づいて光ディスク100へサーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1を照射し、サーボ反射光ビームLSR及び情報光ビームLM3を検出するようになされている。
光ピックアップ17は、サーボ反射光ビームLSR及び情報光ビームLM3の検出結果に基づいた複数の検出信号を生成し、これらを信号処理部13へ供給する。信号処理部13は、供給された検出信号を用いた所定の演算処理を行うことによりフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をそれぞれ生成し、これらを駆動制御部12へ供給する。
駆動制御部12は、供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に、対物レンズ21を駆動するための駆動信号を生成し、これを光ピックアップ17の2軸アクチュエータ23へ供給する。
光ピックアップ17の2軸アクチュエータ23は、この駆動信号に基づいて対物レンズ21のフォーカス制御及びトラッキング制御を行い、当該対物レンズ21により集光されるサーボ光ビームLSの焦点FS及び情報光ビームLM1の焦点FM1の位置を調整する(詳しくは後述する)。
また信号処理部13は、検出信号に対し所定の演算処理、復調処理及び復号化処理等を施すことにより、目標マーク層YGの目標トラックTGに記録マークRMとして記録されている情報を再生し得るようになされている。
(1−3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ17の構成について説明する。この光ピックアップ17は、図6に示すように多数の光学部品が組み合わされており、主に対物レンズ21のサーボ制御を行うサーボ光学系30、主に情報の再生又は記録を行う第1面情報光学系50及び第2面情報光学系70により構成されている。
(1−3−1)サーボ光学系の構成
サーボ光学系30は、光ディスク100の第1面100Aに対してサーボ光ビームLSを照射し、当該光ディスク100により当該サーボ光ビームLSが反射されてなるサーボ反射光ビームLSRを受光するようになされている。
図7においてサーボ光学系30のレーザダイオード31は、波長約660[nm]の赤色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部11(図5)の制御に基づいて発散光でなるサーボ光ビームLSを発射し、コリメータレンズ32へ入射させる。コリメータレンズ32は、サーボ光ビームLSを発散光から平行光に変換しスリット33を介して無偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ34は、サーボ光ビームLSを反射透過面34Sにおいて約50%の割合で透過し、補正レンズ35へ入射させる。補正レンズ35は、補正レンズ36と共に、サーボ光ビームLSを一度発散させてから収束させることによりビーム径を調整し、ダイクロイックプリズム37へ入射させる。
ダイクロイックプリズム37の反射透過面37Sは、光ビームの波長に応じて透過率及び反射率が異なる波長選択性を有しており、赤色光ビームをほぼ100%の割合で透過し、青色光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。このためダイクロイックプリズム37は、当該反射透過面37Sにおいてサーボ光ビームLSを透過し、対物レンズ21へ入射させる。
対物レンズ21は、サーボ光ビームLSを集光し、光ディスク100の第1面100Aへ向けて照射する。このときサーボ光ビームLSは、図4に示したように、基板103を透過し基準層102において反射され、サーボ光ビームLSと反対方向へ向かうサーボ反射光ビームLSRとなる。
この後サーボ反射光ビームLSRは、対物レンズ21、ダイクロイックプリズム37、補正レンズ36及び35を順次透過して平行光にされた後、無偏光ビームスプリッタ34へ入射される。
無偏光ビームスプリッタ34は、サーボ反射光ビームLSRを約50%の割合で反射することによりミラー40へ照射し、当該ミラー40により当該サーボ反射光ビームLSRを再度反射させた後、集光レンズ41へ入射させる。
集光レンズ41は、サーボ反射光ビームLSRを収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該サーボ反射光ビームLSRをフォトディテクタ43へ照射する。
因みにサーボ光学系30では、対物レンズ21によりサーボ光ビームLSが集光され光ディスク100の基準層102へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ41によりサーボ反射光ビームLSRが集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ43は、図8(A)に示すように、サーボ反射光ビームLSRが照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、サーボ光ビームLSが基準層102(図4)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dによりサーボ反射光ビームLSRの一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号U1A、U1B、U1C及びU1D(以下、これらをまとめてサーボ検出信号U1とも呼ぶ)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部13(図5)へ送出する。
このようにサーボ光学系30は、サーボ光ビームLSを光ディスク100の基準層102へ照射すると共に、サーボ反射光ビームLSRを検出してサーボ検出信号U1(すなわち検出信号U1A、U1B、U1C及びU1D)を生成し、これらを信号処理部13へ供給するようになされている。
(1−3−2)第1面情報光学系の構成
第1面情報光学系50は、光ディスク100の第1面100Aに対して情報光ビームLM1を照射するようになされており、また当該光ディスク100から入射される情報光ビームLM3を受光するようになされている。
図9において第1面情報光学系50のレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部11(図5)の制御に基づいて発散光でなる光ビームLM0を所定光量で射出し、コリメータレンズ52へ入射させる。
コリメータレンズ52は、光ビームLM0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。このとき青色光ビームLBは、1/2波長板53により偏光方向が所定角度回転され、アナモプリズム54により強度分布が成形された後、偏光ビームスプリッタ55へ入射される。
偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにおいて、光ビームの偏光方向に応じて異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面55Sは、P偏光の光ビームを約50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過し、S偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。
実際上、偏光ビームスプリッタ55は、P偏光でなる光ビームLM0を反射透過面55Sにより約50%の割合で反射し、1/4波長板56へ入射させると共に、残りの50%を透過し、シャッタ71へ入射させる。以下では、反射透過面55Sにより反射された光ビームを情報光ビームLM1、反射透過面55Sを透過した光ビームを情報光ビームLM2と呼ぶ。
1/4波長板56は、情報光ビームLM1を直線偏光から円偏光に変換して可動ミラー57へ照射し、また当該可動ミラー57により反射され情報光ビームLM1を円偏光から直線偏光に変換し、再度偏光ビームスプリッタ55へ入射させる。
このとき情報光ビームLM1は、例えば1/4波長板56によりP偏光から左円偏光に変換され、可動ミラー57により反射された際に左円偏光から右円偏光に変換された後、再度1/4波長板56により右円偏光からS偏光に変換される。
この場合光ピックアップ17は、情報光ビームLM1を偏光ビームスプリッタ55から可動ミラー57までの間で往復させることにより、当該情報光ビームLM1及び情報光ビームLM2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑えるようになされている。因みに可動ミラー57の位置は、制御部11により制御される。
偏光ビームスプリッタ55は、1/4波長板56から入射された情報光ビームLM1の偏光方向(S偏光)に応じて、反射透過面55Sにより当該情報光ビームLM1をそのまま透過させ、偏光ビームスプリッタ59へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ59の反射透過面59Sは、例えばP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射し、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過するようになされている。実際上偏光ビームスプリッタ59は、反射透過面59Sにおいて情報光ビームLM1をそのまま透過させ、1/4波長板60により直線偏光(S偏光)から円偏光(右円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ61へ入射させる。
リレーレンズ61は、可動レンズ62により情報光ビームLM1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該情報光ビームLM1を固定レンズ63により再度収束光に変換し、ダイクロイックプリズム37へ入射させる。
ここで可動レンズ62は、アクチュエータ62Aにより情報光ビームLM1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ61は、制御部11(図5)の制御に基づき当該アクチュエータ62Aによって可動レンズ62を移動させることにより、固定レンズ63から出射される情報光ビームLM1の収束状態を変化させ得るようになされている。
ダイクロイックプリズム37は、情報光ビームLM1の波長に応じて、反射透過面37Sにより当該情報光ビームLM1を反射し、対物レンズ21へ入射させる。対物レンズ21は、情報光ビームLM1を集光し、光ディスク100の第1面100Aへ照射する。
ここで、情報光ビームLM1の焦点FM1とサーボ光ビームLSの焦点FSとのフォーカス方向に関する距離は、当該情報光ビームLM1がリレーレンズ61から出射されるときの発散角に応じて定まることになる。
実際上、リレーレンズ61は、焦点FM1と焦点FSとのフォーカス方向に関する距離を基準層102と目標マーク層YGとの距離d(図4)に一致させるよう、可動レンズ62の位置が調整されるようになされている。また対物レンズ21は、サーボ光ビームLSを基準層102に合焦させるようフォーカス制御される(詳しくは後述する)。
このため対物レンズ21は、図4に示したように、情報光ビームLM1を記録層101内の目標マーク層YGに合焦させる。
すなわちサーボ光学系30及び第1面情報光学系50では、図10に示すように、レーザダイオード31及び51、コリメータレンズ32及び52、並びにリレーレンズ61等の組み合わせでなる光路形成部90により、対物レンズ21へ入射されるサーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1をそれぞれ適切に成形するようになされている。
このとき光路形成部90は、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1の光軸を一致させ、且つ両者の集光状態、すなわち発散角等を相違させることにより焦点LSと焦点FM1との間隔を距離dとするよう成形した状態で、それぞれを対物レンズ21へ入射させることになる。
ここで、光ディスク100の目標マーク層YGにおける目標位置PGに記録マークRMが記録されていた場合、当該記録マークRMのホログラムとしての性質により、情報光ビームLM3が生成され第1面100A側へ出射される。
図11に示すように、情報光ビームLM3は、対物レンズ21により収束され、ダイクロイックプリズム37により反射された後、リレーレンズ61へ入射される。
続いて情報光ビームLM3は、リレーレンズ61の固定レンズ63及び可動レンズ62によって平行光に変換され、さらに1/4波長板160により円偏光(左円偏光)から直線偏光(P偏光)に変換された上で、偏光ビームスプリッタ59へ入射される。
偏光ビームスプリッタ59は、情報光ビームLM3の偏光方向に応じて当該情報光ビームLM3を反射し、集光レンズ64へ入射させる。集光レンズ64は、情報光ビームLM3を集光し、シリンドリカルレンズ65により非点収差を持たせた上でフォトディテクタ66へ照射させる。
ここで第1面情報光学系50は、対物レンズ21により情報光ビームLM1が集光され光ディスク100の目標マーク層YGへ集光されるときの合焦状態が、集光レンズ64により情報光ビームLM3が集光されフォトディテクタ66に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各部品の光学的位置や光学特性等が調整されている。
フォトディテクタ66は、図8(B)に示すように、情報光ビームLM3が照射される面に格子状に4分割された検出領域66A、66B、66C及び66Dが形成されている。
検出領域66A、66B、66C及び66Dは、それぞれ情報光ビームLM3の一部の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号U2A、U2B、U2C及びU2D(以下、これらをまとめて情報検出信号U2とも呼ぶ)をそれぞれ生成し、これらを信号処理部13(図5)へ供給する。
このように第1面情報光学系50は、情報光ビームLM1を光ディスク100の目標マーク層YGへ照射すると共に、情報光ビームLM3を検出して情報検出信号U2(すなわち検出信号U2A、U2B、U2C及びU2D)を生成し、これらを信号処理部13へ供給するようになされている。
(1−3−3)第2面情報光学系の構成
第2面情報光学系70(図11)は、光ディスク100の第2面100Bに対して情報光ビームLM2を照射するようになされており、また第1面情報光学系50から照射され光ディスク100を透過した情報光ビームLM1を受光するようになされている。
因みに第2面情報光学系70は、光ディスク100に対し情報を記録する際にのみ用いられ、当該光ディスク100から情報を再生する際には用いられないようになされている。
第1面情報光学系50の偏光ビームスプリッタ55は、上述したように、反射透過面55SにおいてP偏光でなる光ビームLM0を約50%の割合で透過し、これを情報光ビームLM2としてシャッタ71へ入射させる。
シャッタ71は、制御部11(図5)の制御に基づいて情報光ビームLM2を遮断又は透過するようになされており、当該情報光ビームLM2を透過した場合、偏光ビームスプリッタ72へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ72の反射透過面72Sは、例えばP偏光の光ビームをほぼ100%の割合で透過し、S偏光の光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。実際上偏光ビームスプリッタ72は、P偏光でなる情報光ビームLM2をそのまま透過させ、ミラー73により反射させた後、1/4波長板74により直線偏光(P偏光)から円偏光(左円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ75へ入射させる。
リレーレンズ75は、リレーレンズ61と同様に構成されており、可動レンズ62及び固定レンズ63並びにアクチュエータ62Aとそれぞれ対応する可動レンズ76及び固定レンズ77並びにアクチュエータ76Aを有している。
リレーレンズ75は、可動レンズ76により情報光ビームLM2を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該情報光ビームLM2を固定レンズ77により再度収束光に変換し、ガルバノミラー78へ入射させる。
またリレーレンズ75は、リレーレンズ61と同様、制御部11(図5)の制御に基づきアクチュエータ76Aによって可動レンズ76を移動させることにより、固定レンズ77から出射される情報光ビームLM2の収束状態を変化させ得るようになされている。
ガルバノミラー78は、情報光ビームLM2を反射し、対物レンズ22へ入射させる。因みに情報光ビームLM2は、反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
またガルバノミラー78は、リニアモータやピエゾ素子等によって反射面78Aの角度を変化し得るようになされており、制御部11(図5)の制御に従い反射面78Aの角度を調整することにより、情報光ビームLM2の進行方向を調整し得るようになされている。
対物レンズ22は、2軸アクチュエータ24と一体に構成されており、当該2軸アクチュエータ24により、対物レンズ21と同様にフォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
この対物レンズ22は、情報光ビームLM2を集光し、光ディスク100の第2面100Bへ照射する。
このとき情報光ビームLM2は、図4に示したように、基板104を透過して記録層101内に合焦する。ここで当該情報光ビームLM2における焦点FM2の位置は、リレーレンズ75の固定レンズ77から出射される際の収束状態により定められる。
ところで、第1面情報光学系50(図20)の対物レンズ21により集光された情報光ビームLM1は、光ディスク100の記録層101内で焦点FM1に収束した後に発散光となり、当該記録層101及び基板104を透過し、第2面100Bから出射されて、対物レンズ22へ入射される。
このとき第2面情報光学系70では、情報光ビームLM1が対物レンズ22によりある程度収束された後、ガルバノミラー78により反射されて、リレーレンズ75へ入射される。因みに情報光ビームLM1は、反射面78Aにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
続いて情報光ビームLM1は、リレーレンズ75の固定レンズ77及び可動レンズ76によって平行光に変換され、さらに1/4波長板74により円偏光(右円偏光)から直線偏光(S偏光)に変換された後、ミラー73により反射されてから、偏光ビームスプリッタ72へ入射される。
偏光ビームスプリッタ72は、情報光ビームLM1の偏光方向に応じて当該情報光ビームLM1を反射し、集光レンズ80へ入射させる。集光レンズ80は、情報光ビームLM1を収束させ、シリンドリカルレンズ81により非点収差を持たせた上で当該情報光ビームLM1をフォトディテクタ82へ照射する。
因みに第2面情報光学系70は、記録層101内における情報光ビームLM1の焦点FM1に対する情報光ビームLM2の焦点FM2のずれ量が、集光レンズ80により情報光ビームLM1が集光されフォトディテクタ82へ照射されるときの照射状態に反映されるよう、各部品の光学特性や光学的位置等が調整されている。
フォトディテクタ82は、図8(C)に示すように、情報光ビームLM1が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域82A、82B、82C及び82Dを有している。因みに矢印a3により示される方向(図中の縦方向)は、光ディスク100に情報光ビームLM1が照射されるときの、基準層102(図4)におけるトラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ82は、検出領域82A、82B、82C及び82Dにより情報光ビームLM1の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号U3A、U3B、U3C及びU3D(以下、これらをまとめてU3A〜U3Dと呼ぶ)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部13(図5)へ送出する。
信号処理部13は、検出信号U3A〜U3Dを基に所定のフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を算出し、これらを駆動制御部12へ送出する。
このフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は、光ディスク100の記録層101内における、フォーカス方向及びトラッキング方向に関する情報光ビームLM1の焦点FM1と情報光ビームLM2の焦点FM2とのずれ量を表すものである。
駆動制御部12は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に2軸アクチュエータ24を制御することにより、情報光ビームLM1の焦点FM1と情報光ビームLM2の焦点FM2とを一致させるよう、対物レンズ22のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
さらに信号処理部13は、検出信号U3A〜U3Dを基にタンジェンシャルエラー信号を算出し、これを駆動制御部12へ供給する。
このタンジェンシャルエラー信号は、情報光ビームLM1の焦点FM1と情報光ビームLM2の焦点FM2とのタンジェンシャル方向(すなわちトラックの接線方向)に関するずれ量を表す。
駆動制御部12は、タンジェンシャルエラー信号を基にタンジェンシャル駆動信号を生成し、これをガルバノミラー78へ供給する。これに応じてガルバノミラー78は、反射面78Aの角度を変化させることにより、情報光ビームLM2の焦点FM2を情報光ビームLM1の焦点FM1に一致させるようタンジェンシャル方向に移動させる。
この結果光ディスク装置10は、情報光ビームLM2の焦点FM2を情報光ビームFM1の焦点FM1に一致させることができ、図4に示したように目標位置PGにホログラムでなる記録マークRMを形成することができる。
(1−4)フォーカス制御及びトラッキング制御
次に、光ディスク装置10におけるフォーカス制御及びトラッキング制御について説明する。光ディスク装置10は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うと共に、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされている。
(1−4−1)フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の生成
信号処理部13は、光ピックアップ17から供給されるサーボ検出信号U1及び情報検出信号U2のそれぞれについて、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を算出するようになされている。
すなわち信号処理部13は、次に示す(1)式に従ってサーボ検出信号U1の検出信号U1A〜U1Dを基にフォーカスエラー信号SFE1を算出し、これを駆動制御部12へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFE1は、サーボ光ビームLSの焦点FS(図4)と光ディスク100の基準層102とのフォーカス方向に関するずれ量を表すことになる。
また信号処理部13は、次に示す(2)式に従ってサーボ検出信号U1の検出信号U1A〜U1Dを基にトラッキングエラー信号STE1を算出し、これを駆動制御部12へ供給する。
このトラッキングエラー信号STE1は、サーボ光ビームLSの焦点FS(図4)と光ディスク100の基準層102における目標基準トラックTSGとのトラッキング方向に関するずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部13は、次に示す(3)式に従い基準層102における目標基準トラックTSGから再生RF信号SRFを順次生成する。
この再生RF信号SRFには、基準層102の各トラックに付与されたアドレス情報等が含まれている。
さらに信号処理部13は、次に示す(4)式に従って情報検出信号U2の検出信号U2A〜U2Dを基にフォーカスエラー信号SFE2を算出し、これを駆動制御部12へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFE2は、情報光ビームLM1の焦点FM1(図4)と光ディスク100の目標マーク層YGとのフォーカス方向に関するずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部13は、次に示す(5)式に従って情報検出信号U2の検出信号U2A〜U2Dを基にトラッキングエラー信号STE2を算出し、これを駆動制御部12へ供給する。
このトラッキングエラー信号STE2は、情報光ビームLM1の焦点FM1(図4)と光ディスク100の目標マーク層YGにおける目標位置PGとのトラッキング方向に関するずれ量を表すことになる。
このように光ディスク装置10は、信号処理部13により、サーボ検出信号U1及び情報検出信号U2を基にそれぞれのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号等を算出するようになされている。
(1−4−2)基準層を利用したフォーカス制御
光ディスク装置10は、まずサーボ検出信号U1に基づいたフォーカスエラー信号SFE1を基に、フォーカス制御を行うようになされている。
実際上駆動制御部12は、次に示す(6)式に従い、サーボ検出信号U1に基づいたフォーカスエラー信号SFE1と情報検出信号U2に基づいたフォーカスエラー信号SFE2とにそれぞれゲインG1及びG2を乗じ、合成フォーカスエラー信号SFECを算出する。
ここでゲインG1及びG2は、次に示す(7)式を満たすような値となっている。すなわち(6)式では、ゲインG1及びG2に応じた比率でフォーカスエラー信号SFE1及びSFE2の混合比率を調整し得るようになされている。
駆動制御部12は、この時点では(6)式におけるゲインG1を値「1」としゲインG2を値「0」とすることにより、フォーカスエラー信号SFE1のみを基にフォーカス制御を行うようになされている。
駆動制御部12は、合成フォーカスエラー信号SFECに対し所定のフィルタ処理や増幅処理等を施すことによりフォーカス駆動信号SFDを生成し、これを光ピックアップ17の2軸アクチュエータ23へ供給する。これに応じて2軸アクチュエータ23は、対物レンズ21をフォーカス方向へ駆動する。
このとき光ディスク装置10では、一連の処理を繰り返すフィードバック処理によってフォーカス制御を行うことにより、合成フォーカスエラー信号SFECを値「0」に収束させていき、最終的にサーボ光ビームLSを光ディスク100の基準層102に合焦させるようになされている(以下、これを基準フォーカス制御と呼ぶ)。
(1−4−3)目標マーク層を利用したトラッキング制御
次に光ディスク装置10は、情報検出信号U2に基づいたトラッキングエラー信号STE2を基に、トラッキング制御を行うようになされている。
因みに、このとき光ディスク装置がフォーカス制御の次にトラッキング制御を行うのは、トラッキングエラー信号STE2の算出原理上、情報光ビームLM1がある程度目標マーク層YGに合焦した状態となっていなければ、当該トラッキングエラー信号STE2が適切な値とならないためである。
駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STE2に対し所定のフィルタ処理や増幅処理等を施すことによりトラッキング駆動信号STDを生成し、これを光ピックアップ17の2軸アクチュエータ23へ供給する。これに応じて2軸アクチュエータ23は、対物レンズ21をトラッキング方向へ駆動する。
このとき光ディスク装置10では、フォーカス制御の場合と同様、一連の処理を繰り返すフィードバック処理によってトラッキング制御を行うことにより、トラッキングエラー信号STE2を値「0」に収束させていき、最終的に情報光ビームLM1を目標マーク層YGの目標位置PGに追従させるようになされている。
(1−4−4)目標マーク層を利用したフォーカス制御
ところで光ディスク装置10では、制御部11によって上述したリレーレンズ61の可動レンズ62を制御することにより、サーボ光ビームLSの焦点FS(図4)と情報光ビームLM1の焦点FM1との距離を調整するようになされている。
ここで制御部11は、可動レンズ62の設定位置と光ディスク100における各マーク層Yとを対応付けたリレーレンズ制御テーブルをROM(図示せず)に保持している。
実際上制御部11は、光ディスク100のいずれのマーク層Yが目標マーク層YGであるかに応じて、当該リレーレンズ制御テーブルに従って可動レンズ62の設定位置を読み出し、可動レンズ62を当該設定位置に合わせるようリレーレンズ61を制御するようになされている。
しかしながら実際の光ディスク100では、図2を用いて説明した面ブレの発生等により、リレーレンズ61を制御すると共にサーボ光ビームLSを基準層102に合焦させたとしても、情報光ビームLM1を目標マーク層YGに合焦させ得ない可能性もある。
そこで光ディスク装置10は、サーボ検出信号U1に基づいたフォーカス制御から、情報検出信号U2に基づいたフォーカス制御に切り換えるようになされている。
具体的に駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STE2を監視し、当該トラッキングエラー信号STE2がある程度収束し、いわゆるトラッキングサーボがかかった状態となるまで待機する。
実際上トラッキングエラー信号STE2は、未だトラッキング制御し得ない段階、すなわち情報光ビームLM1を目標マーク層YGにおける所望のトラックに追従させ得ない段階では、例えば図12(A)に波形図を示すように、比較的大きな振幅w1となる。
一方トラッキングエラー信号STE2の波形は、トラッキング制御し得る段階、すなわち情報光ビームLM1を目標マーク層YGにおける所望のトラックに追従させ得る段階では、図12(B)に波形図を示すように、比較的小さな振幅w2となる。
そこで駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STE2の振幅値を所定の閾値と比較し、当該閾値未満となったことを検出した段階でトラッキングサーボがかかったものと判断する。
このとき駆動制御部12は、図13(A)に示すように、(7)式を満たす範囲で、ゲインG1を徐々に減少させると共に、ゲインG2を徐々に増加させていき、最終的にゲインG1を値「0」としゲインG2を値「1」とする。
この結果、駆動制御部12は、時間teの経過後にはフォーカスエラー信号SFE2のみを基にフォーカス制御を行うことになる(以下、これを情報フォーカス制御と呼ぶ)。
因みに駆動制御部12は、情報光ビームLM1の焦点FM1が目標マーク層YGの目標位置PGから大きく外れ、いわゆるフォーカスサーボが外れた状態となり、フォーカス制御及びトラッキング制御の継続が困難となった場合には、上述した基準フォーカス制御に戻って一連の処理を繰り返すようになされている。
このとき駆動制御部12は、フォーカスエラー信号SFE2の絶対値が所定の閾値よりも大きくなった場合に、フォーカスサーボが外れた状態にあることを検出するようになされている。
このように駆動制御部12は、まず光ディスク100の基準層102を利用して基準フォーカス制御を行い、トラッキングエラー信号STE2がある程度収束した段階で、光ディスク100の目標マーク層YGを利用した情報フォーカス制御に徐々に切り換えていくようになされている。
(1−4−5)フォーカス制御処理手順
実際上、駆動制御部12は、図14に示すフローチャートに従って一連のフォーカス制御を行うようになされている。
すなわち駆動制御部12は、光ディスク100の再生を開始する際、制御部11からの再生開始命令を受けることによりフォーカス制御処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
ステップSP1において駆動制御部12は、(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ値「1」及び値「0」に設定することにより、サーボ検出信号U1を基に基準層102を利用した基準フォーカス制御を行い、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において駆動制御部12は、リレーレンズ61を制御し可動レンズ62を移動させることにより、情報光ビームLM1の焦点FM1を目標マーク層YGにおおよそ合わせ、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において駆動制御部12は、情報検出信号U2を基に目標マーク層YGを利用したトラッキング制御を行い、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STE2の振幅が所定の閾値未満となった段階で、(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ値「1」及び値「0」からそれぞれ値「0」及び「1」となるよう徐々に変化させる。これにより駆動制御部12は、基準フォーカス制御から情報フォーカス制御へ徐々に切り換え、次のステップSP5へ移る。
ステップSP5において駆動制御部12は、フォーカスサーボが外れたか否か、すなわちフォーカスエラー信号SFE2の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは一度フォーカスサーボが外れてしまったため、基準フォーカス制御からやり直す必要があることを表している。このとき駆動制御部12はステップSP1へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP5において肯定結果が得られると、このことはフォーカスサーボがかかった状態が維持されており情報フォーカス制御を継続し得ることを表しており、このとき駆動制御部12は次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において駆動制御部12は、情報フォーカス制御を維持し、再度ステップSP5へ戻ることにより、フォーカスサーボが外れない限り当該情報フォーカス制御を継続する。
因みに駆動制御部12は、光ディスク100からの情報の再生を終了する際にフォーカス制御処理手順RT1を終了するようになされている。
(1−5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置10は、光ディスク100の基準層102から距離dだけ離隔したとマーク層Yから情報を再生する際、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1を対物レンズ21へ入射させる。
このとき光ピックアップ17の光路形成部90は、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1の光軸を一致させ、且つ焦点LSと焦点FM1との間隔を距離dとするよう成形する。
さらに光ディスク装置10は、制御部11の制御に基づき、光ディスク100の第1面100A側から、対物レンズ21によりサーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1を集光する。
光ディスク装置10の光ピックアップ17は、サーボ光ビームLSが基準層102において反射されてなるサーボ反射光ビームLSRを受光し、これを基にサーボ検出信号U1を生成する。これと共に、光ディスク装置10は、情報光ビームLM1が目標マーク層YGにおいて反射されてなる情報光ビームLM3を受光し、これを基に信号検出信号U2を生成する。
信号処理部13は、サーボ検出信号U1を基にフォーカスエラー信号SFE1及びトラッキングエラー信号STE1を算出し、情報検出信号U2を基にフォーカスエラー信号SFE2及びトラッキングエラー信号STE2を算出する。
駆動制御部12は、まず(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ値「1」及び「0」とすることにより基準サーボ検出信号U1に基づいた基準フォーカス制御を行う。
その後駆動制御部12は、トラッキングエラー信号STE2がある程度収束した段階で、(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ徐々に値「0」及び「1」に変化させていくことにより、情報検出信号U2に基づいた情報フォーカス制御に切り換える。
従って光ディスク装置10は、最終的に情報フォーカス制御を行うことができるので、目標マーク層YGに対し情報光ビームLM1の焦点FM1を高精度に合わせることができる。
このとき光ディスク装置10は、まず正しい値を検出し得る可能性が極めて高い基準フォーカス制御を行ってサーボ光ビームLSを基準層102に合焦させ、情報光ビームLM1の焦点FM1を目標マーク層YGへおおよそ合わせた上で、情報フォーカス制御に切り換える。
このため光ディスク装置10は、当初より情報フォーカス制御のみを行う場合に生じ得る、情報光ビームLM1の焦点FM1を目標マーク層YGの近傍に位置させることができずフォーカスエラー信号SFE2を正常に取得できない、といった問題が発生することを未然に防止できる。この結果光ディスク装置10は、当該情報フォーカス制御をほぼ確実に行うことができる。
ところで記録層101内は、位置決めの指標となり得るようなものが存在せず一様に構成されている。このため光ディスク装置10は、情報光ビームLM1の焦点FM1が記録マークにより構成されたトラックから外れてしまうと、目標マーク層YGそのものを見失ってしまい、情報フォーカス制御を全く行い得なくなる危険性も考えられる。
この点に関し光ディスク装置10は、トラッキングエラー信号STE2の振幅値が所定の閾値未満となってから、すなわちトラッキングサーボがかかり情報光ビームLM1の焦点FM1を記録マークにある程度追従できる状態となってから、情報フォーカス制御に切り換える。このため光ディスク装置10は、当該情報フォーカス制御を確実に行うことができる。
さらに光ディスク装置10は、(6)式におけるゲインG1及びG2を値「0」及び値「1」の間で徐々に変化させ、フォーカス制御におけるフォーカスエラー信号SFE2の比重を徐々に高めることができる。このため光ディスク装置10は、例えば情報光ビームLM1の焦点FM1が目標マーク層YGとやや離隔していた場合であっても、当該焦点FM1を目標マーク層YGに徐々に近づけていくことができ、目標マーク層YGを見失うおそれを格段に低減できる。
以上の構成によれば、光ディスク装置10は、まずサーボ光ビームLSが基準層102において反射されてなるサーボ反射光ビームLSRを受光して得られるサーボ検出信号U1に基づいた基準フォーカス制御を行う。その後光ディスク装置10は、トラッキングエラー信号STE2の振幅値が所定の閾値未満となってから、情報光ビームLM1が目標マーク層YGにおいて反射されてなる情報光ビームLM3を受光して得られる情報検出信号U2に基づいた情報フォーカス制御に切り換える。従って光ディスク装置10は、情報光ビームLM1の焦点FM1を目標マーク層YGから大きく外すことなく情報フォーカス制御を確実に行うことができるので、当該目標マーク層YGに対し当該情報光ビームLM1の焦点FM1を高精度に合わせることができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)光ディスクに対する情報の記録再生原理
まず第2の実施の形態による情報の記録及び再生に関する基本原理について説明する。光ディスク200は、図4と対応する図15に断面図を示すように、光ディスク100の記録層101、基準層102、並びに基板103及び104とそれぞれ対応する記録層201、基準層202、並びに基板203及び204を有している。
記録層201は、例えば樹脂材料に所定の光重合開始剤が混合され硬化された後、情報光ビームLMが集光されるとその焦点FMを中心に温度が急激に上昇され、光重合開始剤残渣が気化することにより焦点を中心とした気泡を形成するようになされている。
この場合、形成された空洞が記録マークRMとなる。この記録マークRMは、記録層201を構成する樹脂材料と当該空洞との境界面において屈折率が大きく相違することにより、照射された光ビームを高い反射率で反射し得るようになされている。
基準層202は、基準層102と同様にサーボ用の案内溝が形成されるものの、当該基準層102とは異なり、記録層201と基板204との境界面に設けられている。また基準層202は、波長405[nm]の青色レーザ光でなるサーボ光ビームLSが照射されると、これを基板203側へ反射することによりサーボ反射光ビームLSRとするようになされている。
光ディスク装置110は、サーボ反射光ビームLSRを受光し、その受光結果を基に対物レンズ118を光ディスク100に近接又は離隔させるフォーカス方向へ位置制御することにより、サーボ光ビームLSの焦点FSを基準層202に合わせるようになされている。
実際上光ディスク装置110は、光ディスク200に情報を記録する際、第1面200A側から対物レンズ118によって情報光ビームLMを集光することにより、記録層201内における焦点FMの位置に記録マークRMを形成するようになされている。
さらに記録層201内には、第1の実施の形態と同様、情報光ビームLMにおける焦点FMの位置が光ディスク200の厚さ方向に変化されることにより、複数のマーク層Yが形成され得る。例えば光ディスク装置110は、光ディスク200の一面200A側から所定の層間隔ごとにマーク層Yを順次形成するようになされている。
一方光ディスク装置110は、光ディスク200から情報を再生する際、情報光ビームLMを記録層201内に集光し、形成済の記録マークRMにより情報光ビームLMを反射させて反射情報光ビームLMRとし、これを受光するようになされている。
因みに光ディスク装置110は、第1の実施の形態と同様、例えば記録マークRMが形成されていれば符号「1」に、当該記録マークRMが形成されていなければ符号「0」に割り当てることにより、記録されている情報を再生することができる。
このように第2の実施の形態では、光ディスク装置110により光ディスク200から情報を再生する場合、サーボ光ビームLSを併用しながら情報光ビームLMを目標位置PGに照射することにより、所望の情報を再生するようになされている。
(2−2)光ディスク装置及び光ピックアップの構成
第2の実施の形態による光ディスク装置110は、図5と対応する図16に示すように、第1の実施の形態による光ディスク装置10と比較して制御部11、駆動制御部12、信号処理部13及び光ピックアップ17に代えて制御部111、駆動制御部112、信号処理部113及び光ピックアップ117がそれぞれ設けられている。なお光ディスク装置110は、他の点については光ディスク装置10とほぼ同様に構成されている。
光ピックアップ117は、図17に示すように多数の光学部品が設けられているものの、第1の実施の形態における光ピックアップ17と異なり、光ディスク200の第1面200A側のみに各種光学部品が設けられた、いわゆる片面光学系を構成している。
この光ピックアップ117は、大きく分けてサーボ光学系30と対応するサーボ光学系130及び第1面情報光学系50と対応する情報光学系150により構成されている。
(2−2−1)サーボ光学系の構成
図18に示すように、サーボ光学系130は、主にサーボ光ビームLSを対物レンズ118により集光し、これを光ディスク200の基準層202(図15)へ照射するようになされている。
すなわちサーボ光学系130は、レーザダイオード131から波長約405[nm]の青色レーザ光でなる情報光ビームLMを出射させ、コリメータレンズ132へ入射させる。実際上レーザダイオード131は、制御部111(図16)の制御に基づき発散光でなる所定光量の光ビームL0を出射する。コリメータレンズ132は、光ビームL0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板133へ入射させる。
光ビームL0は、1/2波長板133によって偏光方向が所定角度回転されることにより、例えばP偏光成分が約80%、S偏光成分が約20%となされ、偏光ビームスプリッタ135へ入射される。
偏光ビームスプリッタ135は、入射される光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過する反射透過面135Sを有している。例えば反射透過面135Sは、P偏光の光ビームをほぼ全て透過し、S偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
実際上偏光ビームスプリッタ135は、光ビームL0のうちS偏光成分を反射し偏光ビームスプリッタ136へ入射させる。このとき光ビームL0のS偏光成分はサーボ光ビームLSとなる。
また偏光ビームスプリッタ135は、光ビームL0のうちP偏光成分を透過して液晶パネル152へ入射させる。このとき光ビームL0のP偏光成分は情報光ビームLMとなる。
偏光ビームスプリッタ136は、偏光ビームスプリッタ135の反射透過面135Sと同様の反射透過面136を有しており、当該反射透過面136SによりS偏光でなるサーボ光ビームLSを反射し、当該サーボ光ビームLSを1/4波長板137へ入射させる。
1/4波長板137は、S偏光でなるサーボ光ビームLSを例えば左円偏光に変換し、無偏光ビームスプリッタ138へ入射させる。無偏光ビームスプリッタ138は、例えば光ビームを約50%の割合で透過及び反射させるようになされており、これによりサーボ光ビームLSを反射して対物レンズ118へ入射させる。
対物レンズ118は、サーボ光ビームLSを集光し、光ディスク200の基準層202へ向けて照射する。このときサーボ光ビームLSは、図15に示したように、基板203及び記録層201を透過し基準層202において反射され、サーボ反射光ビームLSRとなる。
この後サーボ反射光ビームLSRは、記録層201及び基板203を順次透過し、対物レンズ118によって平行光に変換された後、無偏光ビームスプリッタ138へ入射される。無偏光ビームスプリッタ138は、反射透過面138Sによりサーボ反射光ビームLSRを約50%の割合で反射し、これを1/4波長板137へ入射させる。
1/4波長板137は、右円偏光でなるサーボ反射光ビームLSRをP偏光に変換し、偏光ビームスプリッタ136へ入射させる。偏光ビームスプリッタ136は、P偏光でなるサーボ反射光ビームLSRを透過させ、集光レンズ141へ入射する。
集光レンズ141は、サーボ反射光ビームLSRを収束させ、シリンドリカルレンズ142により非点収差を持たせた上で当該サーボ反射光ビームLSRをフォトディテクタ143へ照射する。
ここでサーボ光学系130では、対物レンズ118によりサーボ光ビームLSが集光され光ディスク200の基準層202へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ141によりサーボ反射光ビームLSRが集光されフォトディテクタ143に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置や光学特性等が調整されている。
フォトディテクタ143は、図19(A)に示すように、サーボ反射光ビームLSRが照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域143A、143B、143C及び143Dを有している。因みに矢印a4により示される方向(図中の縦方向)は、サーボ光ビームLSが基準層202(図15)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ143は、検出領域143A、143B、143C及び143Dによりサーボ反射光ビームLSRの一部を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号U1A、U1B、U1C及びU1D(すなわちサーボ検出信号U1)を生成して、これらを信号処理部113(図16)へ送出する。
このようにサーボ光学系130は、サーボ光ビームLSを光ディスク100の基準層202へ照射すると共に、サーボ反射光ビームLSRを検出してサーボ検出信号U1を生成し、これらを信号処理部113へ供給するようになされている。
(2−2−2)情報光ビームの光路
一方、情報光学系150は、図17と対応する図20に示すように、主に情報光ビームLMを対物レンズ118により集光し、これらを光ディスク200の目標マーク層YG(図15)へ照射するようになされている。
実際上、情報光学系150は、偏光ビームスプリッタ135から出射される情報光ビームLMを液晶パネル152へ入射させる。
液晶パネル152は、情報光ビームLMの球面収差等を補正して1/4波長板153へ入射させる。1/4波長板153は、情報光ビームLMをP偏光から例えば右円偏光に変換してリレーレンズ154へ入射させる。
リレーレンズ154は、可動レンズ155により情報光ビームLMを平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該情報光ビームLMを固定レンズ156により再度収束光に変換し、ミラー157へ入射させる。
ここで可動レンズ155は、図示しないアクチュエータにより情報光ビームLMの光軸方向に移動されるようになされている。実際上リレーレンズ154は、制御部111(図16)の制御に基づき当該アクチュエータによって可動レンズ155を移動させることにより、固定レンズ156から出射される情報光ビームLMの収束状態を変化させ得るようになされている。
ミラー157は、情報光ビームLMを反射すると共に、円偏光でなる情報光ビームLMの偏光方向を反転させ、無偏光ビームスプリッタ138へ入射させる。無偏光ビームスプリッタ138は、反射透過面138Sにより情報光ビームLMの約50%を透過させ、これらを対物レンズ118へ入射させる。
対物レンズ118は、情報光ビームLMを集光する。ここで情報光ビームLMの焦点FMとサーボ光ビームLSの焦点FSとのフォーカス方向に関する距離は、当該情報光ビームLMがリレーレンズ154から出射されるときの発散角に応じて定まることになる。
実際上、リレーレンズ154は、焦点FMと焦点FSとのフォーカス方向に関する距離を基準層202と目標マーク層YGとの距離に一致させるよう、可動レンズ155の位置が制御されるようになされている。また対物レンズ118は、サーボ光ビームLSを基準層202に合焦させるようフォーカス制御される(詳しくは後述する)。
このため対物レンズ118は、図15に示したように、情報光ビームLMを記録層201内の目標マーク層YGに合焦させる。
すなわちサーボ光学系130及び情報光学系150では、図17に示したように、レーザダイオード131、コリメータレンズ132、リレーレンズ154等の組み合わせでなる光路形成部170により、対物レンズ118へ入射されるサーボ光ビームLS及び情報光ビームLMをそれぞれ適切に成形するようになされている。
ここで、光ディスク200の目標マーク層YGにおける目標位置PGに記録マークRMが記録されていた場合、情報光ビームLMは、当該記録マークRMにより反射されて情報反射光ビームLMRとなり、第1面200A側へ出射される。
この情報反射光ビームLMRは、光ディスク200の目標マーク層YGにおいて反射された際、円偏光における回転方向が反転された上で、対物レンズ118により収束され、無偏光ビームスプリッタ138へ入射される。
その後情報反射光ビームLMRは、無偏光ビームスプリッタ138を約50%の割合で透過し、ミラー157により反射され、リレーレンズ154により平行光に変換された後、1/4波長板153及び液晶パネル152を順次透過することにより、S偏光の直線偏光として偏光ビームスプリッタ135へ入射される。
偏光ビームスプリッタ135は、S偏光でなる情報反射光ビームLMRを反射透過面135Sによって反射し、集光レンズ158へ入射させる。集光レンズ158は、情報反射光ビームLMRを集光し、ピンホール板159を介してフォトディテクタ160へ照射させる。
ここで図21に示すように、ピンホール板159は、集光レンズ158(図20)により集光される情報反射光ビームLMRの焦点を孔部159H内に位置させるよう配置されているため、当該情報反射光ビームLMRをそのまま通過させることになる。
一方、情報光ビームLMの一部が例えば光ディスク200における基板203の表面、目標マーク位置とは異なる位置に存在する記録マークRM及び基準層202等により反射された場合、情報反射光ビームLMRとは焦点の異なる光(以下、これを迷光LNと呼ぶ)となる。このためピンホール板159は、焦点位置が異なり集光されていない迷光LNの大部分を遮断する。
フォトディテクタ160は、図19(B)に示すように、情報反射光ビームLMRが照射される面に格子状に4分割された検出領域160A、160B、160C及び160Dが設けられている。
検出領域160A、160B、160C及び160Dは、それぞれ情報反射光ビームLMRの一部の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号U2A、U2B、U2C及びU2D(すなわち情報検出信号U2)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部113(図16)へ供給する。
このように情報光学系150は、情報光ビームLMを光ディスク200の目標マーク層YGへ照射すると共に、情報反射光ビームLMRを検出して情報検出信号U2を生成し、これらを信号処理部113へ供給するようになされている。
(2−3)フォーカス制御及びトラッキング制御
次に、光ディスク装置110におけるフォーカス制御及びトラッキング制御について説明する。光ディスク装置110は、第1の実施の形態における光ディスク装置10と同様、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うと共にいわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされている。
信号処理部113は、光ピックアップ117から供給されるサーボ検出信号U1を基に、上述した(1)〜(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFE1、トラッキングエラー信号STE1及び再生RF信号SRFをそれぞれ算出する。
また信号処理部113は、光ピックアップ117から供給される情報検出信号U2を基に、上述した(4)及び(5)式に従ってフォーカスエラー信号SFE2、トラッキングエラー信号STE2をそれぞれ算出する。
駆動制御部112は、上述した(6)式に従って合成フォーカスエラー信号SFECを算出し、これを基にフォーカス駆動信号SFDを生成して、光ピックアップ117の2軸アクチュエータ119へ供給する。これに応じて2軸アクチュエータ119は、対物レンズ118をフォーカス方向へ駆動する。
このとき駆動制御部112は、上述した第1の実施の形態と同様に基準フォーカス制御から情報フォーカス制御へ切り換えるようになされているものの、徐々にではなく瞬時に切り換えるようになされている。
具体的に駆動制御部112は、第1の実施の形態と同様、フォーカス制御処理手順RT1(図14)に従った一連のフォーカス制御処理を行う。ここで駆動制御部112は、フォーカス制御処理手順RT1のステップSP4において、図13(B)に示すように、ある時点tcにおいてゲインG1を値「1」から「0」に変化させると共にゲインG2を値「0」から「1」に変化させる。
これにより駆動制御部112は、基準フォーカス制御から情報フォーカス制御へ極めて短い時間で切り換えることができる。
(2−4)リレーレンズ制御
さらに光ディスク装置110は、リレーレンズ154の可動レンズ155を移動させる際、対物レンズ118と同様、情報検出信号U2を用いて位置制御を行うようになされている。
すなわち光ディスク装置110は、まず制御部111の制御に基づいて可動レンズ155を移動させることにより、情報光ビームLMの焦点FMを目標マーク層YGにおおよそ合わせる。次に光ディスク装置110は、駆動制御部112により、フォーカスエラー信号SFE2を値「0」に近づけるよう可動レンズ155の位置を微調整する。
これにより光ディスク装置110は、情報光ビームLMの焦点FMを目標マーク層YGに高い精度で合わせることができる。
実際上駆動制御部112は、図22に示すフローチャートに従って一連のフォーカス制御を行うようになされている。
すなわち駆動制御部112は、光ディスク200の再生を開始する際、制御部111(図16)からの再生開始命令を受けることによりリレーレンズ制御処理手順RT2を開始し、ステップSP11へ移る。
ステップSP11において駆動制御部112は、(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ値「1」及び値「0」に設定することにより、サーボ検出信号U1を基に基準フォーカス制御を行い、次のステップSP2へ移る。
ステップSP12において駆動制御部112は、制御部111による制御の下で、リレーレンズ154を制御し可動レンズ155を移動させることにより、情報光ビームLMの焦点FMを目標マーク層YGにおおよそ合わせ、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において駆動制御部112は、情報検出信号U2を基に目標マーク層YGを利用したトラッキング制御を行い、次のステップSP14へ移る。
ステップSP14において駆動制御部112は、トラッキングエラー信号STE2の振幅が所定の閾値未満となった段階で、可動レンズ155の位置を制御することによりフォーカスエラー信号SFE2を値「0」に近づけさせ、次のステップSP15へ移る。
ステップSP15において駆動制御部112は、フォーカスサーボが外れたか否か、すなわちフォーカスエラー信号SFE2の絶対値が所定の閾値を超えたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは一度フォーカスサーボが外れてしまったため、基準層102を用い基準フォーカス制御からやり直す必要があることを表している。このとき駆動制御部112はステップSP11へ戻って一連の処理を繰り返す。
一方、ステップSP15において肯定結果が得られると、このことはフォーカスサーボがかかった状態が維持されておりリレーレンズ制御をやり直す必要はないことを表している。このとき駆動制御部112は所定時間が経過した後、再度ステップSP15へ戻る。
因みに駆動制御部112は、光ディスク200からの情報の再生を終了する際にリレーレンズ制御処理手順RT2を終了するようになされている。
(2−5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置110は、基準層202とマーク層Yとが離隔した光ディスク200から情報を再生する際、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLMを対物レンズ118へ入射させる。
このとき光ピックアップ117の光路形成部170は、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLMの光軸を一致させ、且つ焦点LSと焦点FMとの間隔を距離dとするよう成形する。
さらに光ディスク装置110は、制御部111の制御に基づき、光ディスク200の第1面200A側から、対物レンズ118によりサーボ光ビームLS及び情報光ビームLMを集光する。
光ディスク装置110の光ピックアップ117は、サーボ光ビームLSが基準層202において反射されてなるサーボ反射光ビームLSRを受光し、これを基にサーボ検出信号U1を生成する。これと共に光ピックアップ117は、情報光ビームLMが目標マーク層YGにおいて反射されてなる情報反射光ビームLMRを受光し、これを基に信号検出信号U2を生成する。
信号処理部113は、サーボ検出信号U1を基にフォーカスエラー信号SFE1及びトラッキングエラー信号STE1を算出し、情報検出信号U2を基にフォーカスエラー信号SFE2及びトラッキングエラー信号STE2を算出する。
駆動制御部112は、まず(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ値「1」及び「0」とすることによりサーボ検出信号U1に基づいた基準フォーカス制御を行う。
その後駆動制御部112は、トラッキングエラー信号STE2がある程度収束した段階で、(6)式におけるゲインG1及びG2をそれぞれ瞬時に値「0」及び「1」に変化させることにより、情報検出信号U2に基づいた情報フォーカス制御に切り換える。
従って光ディスク装置110は、第1の実施の形態と同様、最終的に情報フォーカス制御を行うことができるので、目標マーク層YGに対し情報光ビームLM1の焦点FM1を高精度に合わせることができる。
このとき光ディスク装置110は、(6)式におけるゲインG1及びG2を時点tc(図13(B))において瞬時に変化させることにより、第1の実施の形態よりも極めて短い時間で情報フォーカス制御に切り換えることができる。
また光ディスク装置110は、(6)式におけるゲインG1及びG2を徐々に変化させる点を除き、第1の実施の形態における光ディスク装置10と同様の作用効果を奏し得る。
さらに光ディスク装置110は、フォーカスエラー信号SFE2を利用してリレーレンズ154における可動レンズ155の位置を微調整する。これにより光ディスク装置110は、第1の実施の形態のようにリレーレンズ制御テーブルに従い当該可動レンズ155の位置を制御する場合と比較して、一段と高い精度で情報光ビームLMの焦点FMを目標マーク層YGに合焦させることができる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による光ディスク装置110は、第1の実施の形態における光ディスク装置10と同様、まずサーボ検出信号U1に基づいた基準フォーカス制御を行う。その後光ディスク装置110は、トラッキングエラー信号STE2の振幅値が所定の閾値未満となってから、情報検出信号U2に基づいた情報フォーカス制御に切り換える。従って光ディスク装置110は、情報光ビームLMの焦点FMを目標マーク層YGから大きく外すことなく情報フォーカス制御を確実に行うことができるので、当該目標マーク層YGに対し当該情報光ビームLMの焦点FMを高精度に合わせることができる。
(3)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、光ディスク装置10では(6)式におけるゲインG1及びG2を徐々に変化させ、光ディスク装置110では当該ゲインG1及びG2を瞬時に変化させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、光ディスク装置10ではゲインG1及びG2を瞬時に変化させ、光ディスク装置110では当該ゲインG1及びG2を徐々に変化させる等しても良い。
さらにゲインG1及びG2の変化については、第1及び第2の実施の形態を組み合わせることにより、例えばトラッキングエラー信号STE2の振幅に応じ、当該振幅が所定閾値未満であれば瞬時に変化させる一方、当該振幅が所定閾値以上であれば徐々に変化させる等しても良い。
また上述した実施の形態では、ゲインG1及びG2を徐々に変化させる場合、ゲインの変化に要する時間te(図13(A))は任意の時間とすることができる。さらに上述した実施の形態では、ゲインG1及びG2を時間の経過と共に一様に変化させる、すなわち図13(A)においてゲインG1及びG2の境界線を一直線状とするようにしたが、当該境界線が任意の曲線を描くようにゲインG1及びG2を変化させても良い。いずれの場合であっても、上述した(7)式を満たしていれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク100の記録層にホログラムでなる記録マークRMを記録し、第2の実施の形態においては空洞でなる記録マークRMを記録するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の記録手法を用いても良い。例えば、光ディスクに予めホログラムを形成する初期化を施した上で、当該光ディスクのホログラムを破壊することにより情報を記録するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、トラッキングエラー信号STE2に基づいたトラッキング制御のみを行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他のトラッキング制御と組み合わせるようにしても良い。
例えば光ディスク装置10において、再生RF信号SRFからアドレス情報を読み出し、当該アドレス情報を基にサーボ光ビームLSを所望のアドレスに合焦させるよう大まかなトラッキング制御をした上で、トラッキングエラー信号STE2に基づいたトラッキング制御を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、トラッキングエラー信号STE2の振幅が所定の閾値未満となった段階で基準フォーカス制御から情報フォーカス制御に切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。
例えば光ディスク装置10は、情報検出信号U2を基に再生RF信号を生成し、当該再生RF信号の振幅が所定の閾値以上となった段階で情報フォーカス制御に切り換える等、種々の条件によりフォーカス制御を切り換えるようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、リレーレンズ154における可動レンズ155の位置をフォーカスエラー信号SFE2に基づき制御するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。
例えば、第2の実施の形態において制御部11によりリレーレンズ制御テーブルを用いて可動レンズ155の位置を制御するのみとするようにし、或いは第1の実施の形態において可動レンズ62の位置をフォーカスエラー信号SFE2に基づき制御するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ピックアップ17のレーザダイオード31及び51、コリメータレンズ32及び52、並びにリレーレンズ61等の組み合わせにより光路形成部90を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の構成としても良い。この場合、光路形成部90としては、サーボ光ビームLS及び情報光ビームLM1の光軸を一致させ、且つ両者の集光状態、すなわち発散角等を相違させることにより焦点LSと焦点FM1との間隔を距離dとし得れば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ピックアップ17のリレーレンズ61によりサーボ光ビームLSの焦点LSと情報光ビームLM1の焦点FM1との距離を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の種々の光学素子を用いても良い。この場合、要は光ピックアップ17の光路形成部90において、情報光ビームLM1の発散角を変化させることにより、対物レンズ21により集光されたときの焦点FM1を移動させ得れば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置10が光ディスク100について情報の記録及び再生の双方を行い得るようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば光ディスク装置10は、光ディスク100から情報の再生のみを行い得るようにしても良く、この場合、第2面情報光学系70を省略することができる。第2の実施の形態における光ディスク装置110についても同様である。