以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1の実施の形態
(1−1)光ディスクの構成
(1−1−1)光ディスクの層構造
まず、本発明において光情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図1に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されており、中央部分に孔部100Hが形成されている。
また光ディスク100は、図2に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
因みに記録層101の厚さt1は約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3はいずれも約0.6[mm]となるようになされている。
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。なお基板102及び103の表面については、無反射コーティングにより不要な反射が防止されるようになされていても良い。
また光ディスク100は、記録層101と基板102との境界面に反射層としての反射透過膜104を有している。反射透過膜104は、波長選択性を有する誘電体多層膜等でなり、波長405[nm]の青色レーザ光でなる青色光ビームLbiを透過させる一方、波長660[nm]の赤色レーザ光でなる赤色光ビームLr1を反射する。
また反射透過膜104は、トラッキングサーボ用の案内溝を形成し、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様の凹凸形状でなるランド及びグルーブにより螺旋状のガイドトラックTgを形成している。このサーボ用トラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
なお反射透過膜104(すなわち記録層101と基板102との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良い。
この反射透過膜104は、基板102側から赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色光ビームLr2と呼ぶ。
この赤色光ビームLr2は、例えば光ディスク装置において、目標とするガイドトラックTg(以下目標ガイドトラックTgtと呼ぶ)に対して、所定の対物レンズOLにより集光された赤色光ビームLr1の赤色光焦点Frを合わせるため、対物レンズOLの位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。
図2に示したように、位置制御された対物レンズOLにより赤色光ビームLr1が集光され、反射透過膜104の目標ガイドトラックTgtに合焦される。従って、当該赤色光ビームLr1と青色光ビームLbiの光軸を重ねることにより目標ガイドトラックTgtに対応する位置に青色光ビームLbiを移動させることができ、さらに反射透過膜104を基準とした所定の深さdだけ青色光焦点Fbを離隔させることにより、青色光ビームLbiを記録層101内における所望の位置に照射することができる。
実際上、当該赤色光ビームLr1と共に当該対物レンズOLにより集光され青色光ビームLbiが、基板102を透過し、記録層101内に記録マークRMが記録されるべきトラックとして想定されている仮想の記録トラックTwのうち、当該目標ガイドトラックTgtに対応する目標記録トラックTwtに照射される。このとき青色光ビームLbiの青色光焦点Fbは、対物レンズOLを基準として、赤色光ビームLrの光軸Lxr上における赤色光焦点Frよりも遠く、すなわち「裏側」に位置することになる。
このとき記録層101内には、青色光ビームLbiが記録処理時に使用される記録用青色光ビームLbiWである場合には、当該記録用青色光ビームLbiWが集光されて所定強度以上となった部分(すなわち青色光焦点Fb周辺)に記録マークRMが形成される。例えば、青色光ビームLbiWの波長λが405[nm]、対物レンズOLの開口数NAが0.5、当該対物レンズOLの屈折率nが1.5である場合には、直径RMr=1[μm]、高さRMh=10[μm]程度の記録マークRMが形成される。
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における記録反射透過膜104からの距離(以下、これを深さと呼ぶ)が切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図3(A)及び(B)に示すように、複数のマーク記録層を当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。
この場合、光ディスク100の記録層101内において、記録用青色光ビームLbiWの青色光焦点Fbの深さが調整されることにより、記録マークRMの深さが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層同士の距離p3が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層を形成することができる。なお距離p3については、約15[μm]とする以外にも、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮した上で他の種々の値としても良い。
一方、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様に、対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1が反射透過膜104の目標ガイドトラックTgtに合焦されるよう、当該対物レンズOLが位置制御されるようになされている。
さらに光ディスク100は、同一の対物レンズOLを介して集光される読出用青色光ビームLbiRの青色光焦点Fbが、記録層101内における当該目標ガイドトラックTgtの「裏側」に相当する仮想の記録トラックTwに、かつ目標深さとなる目標マーク位置に合焦されるようになされている。
このとき青色光焦点Fbの位置に記録されている記録マークRMは、周囲との屈折率の相違により読出用青色光ビームLbiRを反射させ、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色光ビームLbtを発生する。
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1、記録用青色光ビームLbiWが用いられることにより、記録層101内において青色光焦点Fbが照射される位置、すなわち反射透過膜104における目標ガイドトラックTgtの裏側となり且つ目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び読出用の青色光ビームLbiRが用いられることにより、青色光焦点Fbの位置、すなわち目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色光ビームLbtを発生させるようになされている。
(1−1−2)ガイドトラックの構造
次に、反射透過膜104に形成されているガイドトラックTgの構造について説明する。
図4に示すように、光ディスク100では、記録層101において5本の青色光ビームLbi(Lbi1〜Lbi5)の青色光焦点(Fb1〜Fb5)がトラッキング方向に一直線上になるように並列に照射され、5本の記録トラックTwでなる記録トラック束TwB上に、同時に5つの記録マークRM(RM1〜RM5)が記録されることが想定されている。
この5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5は、同一の対物レンズOL(図示しない)を介して照射されるため、当該対物レンズOLの移動などに伴い5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5が一体となって移動し、一本の赤色光ビームLr1のみに基づいて当該対物レンズOLがサーボ制御されるようになされている。
ここで光ディスク100では、記録トラック束TwBに対応して一つのガイドトラックTgが形成されている。従ってガイドトラックTgのガイドトラックピッチPgは、この記録トラックTwの記録トラックピッチPwの5倍以上に形成される。例えば記録トラックピッチPwが約0.5[μm]である場合、ガイドトラックピッチPgは3.0[μm]程度に形成される。
またガイドトラックTgのトラック中心Ctgと、当該記録トラック束TwBにおける中心Ctwとがトラッキング方向に重なるように形成されており、反射透過膜104における記録トラック束Twの中心Ctwに相当する位置に赤色光ビームLrが照射されるようになされている。
そして図5に示すように、光ディスク100は、螺旋状に形成されたガイドトラックTgに基づいて5本の青色光ビームLbiが照射されることにより、記録トラック束TwB上に5つの記録マークRMをそれぞれ形成させ得るようになされている。
このように光ディスク100では、5本の記録トラックTwに対応する一のガイドトラックTgを螺旋状に形成することにより、当該ガイドトラックTgに沿って5つの記録マークRMを同時に形成させ得るようになされている。
(1−1−3)記録層の構成
次に、上述した記録層101の構成について説明する。
記録層101は、光重合型フォトポリマでなり、均一に分散させたモノマ及び光重合開始剤などでなる未硬化樹脂101aを基板102及び103の間に挟んだ状態で、図6に示すように例えば高圧水銀灯、高圧メタハラ灯、固体レーザや半導体レーザ等でなる初期化光源110から初期化光Lp1が照射され、当該未硬化樹脂101aが重合することにより作製される。
この未硬化樹脂101aは、例えばラジカル重合化合物と光重合開始剤より構成され、あるいはカチオン重合化合物とカチオン発生形光重合開始剤より構成されている。またこの光重合型樹脂、光架橋型樹脂及び光重合開始剤、このうち特に光重合開始剤は、その材料が適切に選定されることにより、光重合を生じやすい波長を所望の波長に調整することが可能である。
さらにこの未硬化樹脂101aには、少量の有機金属化合物または無機金属化合物あるいはその両方が混入され、初期化光Lp1の照射により光重合反応、若しくは光架橋反応、若しくはその両方の反応が引き起こされるようになされている。
このように光ディスク100は、全体として薄板状に構成されると共に光をほぼ透過するように構成され、初期化処理により記録層101内部の樹脂が重合又は架橋或いはその両方をし、さらに当該記録層101内に少量の有機金属化合物が含まれるようになされている。
この記録層101では、記録処理時の所定強度以上でなる青色光ビームLbiが記録層101内の目標マーク位置に集光されると、記録マークRMが形成される。これは、記録層101内で青色光ビームLbiが集光されて局所的に温度が上昇し、これにより有機金属化合物が熱的に変化されて変質し、フッ化物、酸化物等の金属化合物又は純粋な金属が析出、凝集されるもの考えられている。
すなわち記録層101では、有機金属化合物を含有する樹脂のうち、記録用青色光ビームLbiWが集光されて局所的に高温化した部分が変質し、金属化合物又は純粋な金属が析出したことにより、その屈折率が変化し、反射率が向上すると推察される。
実際上、未硬化樹脂101aは、例えばアクリル酸エステルモノマ(p−クミルフェノールエチレンオキシド付加アクリル酸エステル)とウレタン2官能アクリレートオリゴマを40:60(重量比)、オリゴマ重量比2[%]の有機金属化合物であり光重合開始剤でもある(ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(チバ・スペシャリティ・ケミカルズIrg−784、以下これをIrg−784と呼ぶ)が暗室下混合脱泡されることにより作製される。
そして記録層101は、この未硬化樹脂101aが基板102上に展開された状態で、当該基板102及び反射透過膜104が形成された基板103の間に挟み込まれた上で、高圧水銀灯でなる初期化光源110により初期化光Lp1(波長365[nm]においてパワー密度30mW/cm2)が60[min]照射され光硬化されることにより作製される。
この初期化処理において記録層101は、全体的に光重合反応または光架橋反応あるいはその両方の反応が生じることにより、内部で樹脂が重合又は架橋或いはその両方をすることにより初期化(プリキュア)される。この結果、記録層101は、初期化光の照射前と比較して、屈折率が全体的に変化することになる。因みに記録層101は、光硬化された状態においてほぼ透明となり、照射される光を高い割合で透過させるようになされている。
かくして記録層101内の目標位置近傍は、記録用青色光ビームLbiWが集光されて局所的に高温化することにより、その周囲と比較して反射率が局所的に高い部分でなる記録マークRMが形成され、情報が記録されることになる。この結果、記録マークRMに読出用青色光ビームLbiRを照射すると、強い輝度でなる青色光ビームLbtを検出することができる。因みに、この記録マークRMは、目視では確認することが困難である。
一方、記録マークRMを記録しなかった箇所(すなわち未記録部分)に対して読出用青色光ビームLbiRを照射すると、非常に微弱な青色光ビームLbtが検出される。すなわち光情報記録再生装置20は光ディスク100から情報を再生する際、記録マークRMの有無に応じて青色光ビームLbtの検出強度が大きく異なることがわかる。
このことは、例えば光ディスク装置20が符号「0」又は「1」を記録マークRMの有無と対応付けることにより光ディスク100に情報を記録し得ると共に、その情報を再生した場合に、そのときの目標位置に記録マークRMが記録されているか否か、すなわち情報として符号「0」又は「1」のいずれが記録されているかを高い精度で判別し得ることを表している。
このように光ディスク装置20は、光ディスク100を用い、有機金属化合物が配合されると共に予め光硬化された記録層101に対して記録用青色光ビームLbiWを集光し高温化することにより、金属化合物又は純粋な金属を析出させて記録マークRMを形成する情報記録を行うことができる。また光ディスク装置20は、当該記録マークRMに読出用青色光ビームLbiRを照射することにより、強い輝度でなる青色光ビームLbtを検出する情報再生を行うことができる。
(1−2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図7に示すように、制御部21により全体を統括制御するようになされている。
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理や情報再生処理等の各種処理を実行するようになされている。
例えば制御部21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104に付されたアドレスのうち、記録情報を記録すべきアドレスを示す情報である。
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104における記録アドレス情報により示される目標記録トラックTwtに光ビームの照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた5つの記録マークRMを同時に記録するようになされている(詳しくは後述する)。
また制御部21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104における再生アドレス情報により示される目標記録トラックTwtに光ビームの照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される5つの青色光ビームLbtを検出し、その光量に応じた5つの再生検出信号SDbを信号処理部23へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。
信号処理部23は、供給された再生検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより5つの再生情報を生成し、この5つの再生情報を制御部21へ供給する。制御部21は、所定の情報統合処理によって5種類の再生情報を一つの再生情報に統合した上で外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
このように光ディスク装置20は、制御部21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに情報を記録し、また当該目標トラックから情報を再生するようになされている。
(1−3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。この光ピックアップ26では、位置制御のためのサーボ光学系30と、5本の青色光ビームLb1〜Lb5に対応する5つの情報光学系(第1情報光学系50、第2情報光学系60、第3情報光学系70、第4情報光学系80及び第5情報光学系90)とを有している。
光ピックアップ26は、サーボ光学系30を介してレーザダイオード31から出射した赤色光ビームLr1を対物レンズ40へ入射し、光ディスク100に照射する。また光ピックアップ26は、レーザダイオード51、61、71、81及び91から出射した読出用青色光ビームLbiR又は記録用青色光ビームLbiWとしての青色光ビームLbi1〜Lbi5を対応する5つの情報光学系をそれぞれ介して同一の対物レンズ40へ入射し、光ディスク100にそれぞれ照射するようになされている。
(1−3−1)赤色光ビームの光路
図8に対応する図9に示すように、サーボ光学系30では、対物レンズ40を介して赤色光ビームLr1を光ディスク100に照射すると共に、当該光ディスク100に反射されてなる赤色光ビームLr2をフォトディテクタ43で受光するようになされている。
すなわちレーザダイオード31は、波長約660[nm]のp偏光でなる赤色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部21(図7)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を発射し、コリメータレンズ32へ入射させる。コリメータレンズ32は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ33へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ34は、反射透過面34Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。この反射透過面34は、p偏光の光ビームをほぼ全て透過し、s偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
そして偏光ビームスプリッタ33は、p偏光でなる赤色光ビームLr1のほぼ全てを透過させ、1/4波長板34へ入射する。
1/4波長板34は、p偏光でなる赤色光ビームLr1を例えば左円偏光に変換し、ダイクロイックプリズム35入射し、赤色光ビームLr1をダイクロイックプリズム36〜39に順次入射させる。ダイクロイックプリズム35〜39は、透過反射面35S〜39Sによって光ビームの波長に応じて異なる割合で当該光ビームを反射又は透過させるようになされており、赤色光ビームLrをほぼ100%透過させる一方、青色光ビームLbを所定の割合(詳しくは後述する)で反射及び透過させる。
これによりダイクロイックプリズム35〜39は、赤色光ビームLr1のほぼ全てを透過させて対物レンズ40へ入射する。
対物レンズ40は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の反射透過膜104へ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図2に示したように、基板102を透過し反射透過膜104において反射されて、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かい、赤色光ビームLr1と逆回りの偏光方向でなる赤色光ビームLr2となる。
この後、赤色光ビームLr2は、対物レンズ40によって平行光に変換された後、ダイクロイックプリズム39へ入射される。ダイクロイックプリズム39は、赤色光ビームLr2を透過させ、ダイクロイックプリズム38〜35を順次介してこれを1/4波長板34へ入射する。
1/4波長板36は、右円偏光でなる赤色光ビームLr2をs偏光に変換し、偏光ビームスプリッタ33へ入射する。偏光ビームスプリッタ33は、s偏光でなる赤色光ビームLr2を反射させ、マルチレンズ41へ入射する。
マルチレンズ41は、赤色光ビームLr2を収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該赤色光ビームLr2をフォトディテクタ43へ照射する。
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100における面ブレ等が発生する可能性があるため、対物レンズ40に対する目標トラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
このため、赤色光ビームLr1の赤色光焦点Fr(図2)を目標トラックに追従させるには、当該赤色光焦点Frを光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
そこで対物レンズ40は、2軸アクチュエータ40Aにより、フォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
またサーボ光学系30(図8)では、対物レンズ38により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射透過膜104へ照射されるときの合焦状態が、マルチレンズ41により赤色光ビームLr2が集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ43は、図10に示すように、赤色光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射透過膜104(図3)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dにより赤色光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAr、SDBr、SDCr及びSDDrをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図7)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(1)式に従ってフォーカスエラー信号SFEsを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFEsは、赤色光ビームLr1の赤色光焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104とのずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(2)式に従ってトラッキングエラー信号STErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STErは、赤色光焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFEsを基にフォーカス駆動信号SFDrを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDrを2軸アクチュエータ40Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104に合焦するよう、対物レンズ40をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STErを基にトラッキング駆動信号STDrを生成し、当該トラッキング駆動信号STDrを2軸アクチュエータ40Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ40をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
このようにサーボ光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射透過膜104に照射し、その反射光である赤色光ビームLr2の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射透過膜104の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ40のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
(1−3−2)情報光学系の構成
(1−3−2−1)各情報光学系の構成
次に図6と対応する図11を用いて第1情報光学系50について説明する。なお、他の情報光学系(第2情報光学系60、第3情報光学系70、第4情報光学系80及び第5情報光学系)の構成は第1情報光学系50と同様であるため、説明を省略する。ちなみに当該他の情報光学系における各光学部品には、第1情報光学系50における光学部品と対応する各光学部品について、末尾に同一の番号を附して示している。
この第1情報光学系50では、レーザダイオード51から出射した青色光ビームLbi1を、対物レンズ40を介して光ディスク100に照射すると共に、当該光ディスク100に反射されてなる青色光ビームLbt1をフォトディテクタ59で受光するようになされている。
すなわちレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部21(図5)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の青色光ビームLbi1を発射し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLbi1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ53へ入射させる。
偏光ビームスプリッタ53は、反射透過面53Sにおいて、光ビームの偏光方向により当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面53Sは、p偏光の光ビームをほぼ全て透過し、s偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
そして偏光ビームスプリッタ53は、p偏光でなる青色光ビームLbi1を透過させ、球面収差などを補正するLCP(Liquid Crystal Panel)54を介して1/4波長板55へ入射する。
1/4波長板55は、青色光ビームLbi1をp偏光から例えば左円偏光に変換してリレーレンズ56へ入射する。
リレーレンズ56は、可動レンズ56Aにより青色光ビームLbi1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLbi1を固定レンズ56Bにより再度収束光に変換し、ダイクロイックプリズム39へ入射させる。
ここで可動レンズ56Aは、図示しないアクチュエータにより青色光ビームLbi1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ56は、制御部21(図7)の制御に基づきアクチュエータによって可動レンズ56Aを移動させることにより、固定レンズ56Bから出射される青色光ビームLbi1の収束状態を変化させ得るようになされている。
ダイクロイックプリズム39は、反射透過面37Sにより当該青色光ビームLbi1を所定の割合(詳しくは後述する)で反射させ、これを対物レンズ40へ入射する。
対物レンズ40は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100へ照射する。このとき青色光ビームLbi1は、図2に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内に合焦する。
ここで当該青色光ビームLbi1の青色光焦点Fb1の位置は、リレーレンズ56の固定レンズ56Bから出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち青色光焦点Fb1は、可動レンズ56Aの位置に応じて記録層101内をフォーカス方向に移動することになる。
具体的に第1情報光学系50は、可動レンズ56Aの移動距離と青色光ビームLbi1の青色光焦点Fb1の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ56Aを1[mm]移動させると、青色光ビームLbi1の青色光焦点Fb1が30[μm]移動するようになされている。
実際上、第1情報光学系50は、制御部21(図7)により可動レンズ56Aの位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLbi1の青色光焦点Fb1(図2)の深さd1(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整し、目標マーク位置に青色光焦点Fb1を合致させるようになされている。
このように第1情報光学系50は、サーボ光学系30によるサーボ制御された対物レンズ40を介して青色光ビームLbi1を照射することにより、青色光ビームLbi1の青色光焦点Fb1を目標記録トラックTw1に合致させ、さらにリレーレンズ56における可動レンズ56Aの位置に応じて当該青色光焦点Fb1の深さd1を調整することにより、青色光焦点Fb1を目標深さに合致させ、かくして青色光焦点Fb1を目標マーク位置に位置させるようになされている。
そして青色光ビームLb1は、光ディスク100に対して情報を記録する記録処理の際、青色光焦点Fb1が目標マーク位置に位置するように対物レンズ40によって集光され、当該目標マーク位置に記録マークRMを形成する。
一方青色光ビームLbi1は、光ディスク100に記録された情報を読み出す再生処理の際、青色光焦点Fb1に記録マークRMが記録されていた場合には、青色光焦点Fb1に集光した読取用光ビームFb1Rが当該記録マークRMによって反射され、これにより発生した青色光ビームLbt1を対物レンズ40へ入射させる。
対物レンズ40は、青色光ビームLbt1をある程度収束させ、ダイクロイックプリズム39へ入射する。ダイクロイックプリズム37は、青色光ビームLbt1を所定の割合で反射させ、リレーレンズ56へ入射する。
リレーレンズ56は、青色光ビームLbt1を平行光に変換し、1/4波長板55へ入射する。1/4波長板55は、円偏光でなる青色光ビームLbt1を直線偏光に変換する。このとき青色光ビームLbt1は、光ディスク100において青色光ビームLbi1が反射されたときの偏光方向の反転によりs偏光に青色光ビームLbt1を変換し、LCP54を介して偏光ビームスプリッタ53に入射する。
偏光ビームスプリッタ53は、s偏光でなる青色光ビームLbt1を偏光面53Sによって反射し、マルチレンズ57へ入射させる。マルチレンズ57は、青色光ビームLbt1を集光し、ピンホール板58(詳しくは後述する)を介してフォトディテクタ59へ照射させる。
フォトディテクタ59は、青色光ビームLbt1の光量に応じた検出信号SDbを生成し、これを信号処理部23(図7)へ供給する
信号処理部23は、再生検出信号SDbに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給するようになされている。
このように第1情報光学系50は、光ディスク100から対物レンズ40へ入射される青色光ビームLbt1を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。
(1−3−2−2)5本の青色光ビームの照射
図4を用いて上述したように、光ピックアップ26はトラッキング方向に並列に青色光焦点Fb1〜Fb5が並ぶように、5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5を照射する。
ここで図12に示すように、光ピックアップ26は、青色光ビームLbi1〜Lbi5の光軸Lx(Lxi1〜Lxi5)を互いに傾斜させた状態で対物レンズ40に入射する。
具体的に光ピックアップ26は、図13に示すように、レーザダイオード51、61、71、81及び91を互いに僅かに傾斜させてその設置角度を調整することにより、対物レンズ40に入射するときの光軸Lxi1〜Lxi5を互いに僅かに傾斜させる。なお、図13では説明の便宜上、一部の光学部品を省略した上で、第1情報光学系50、第2情報光学系60及び第3情報光学系70のみを示している。
このとき光ピックアップ26は、青色光ビームLbi1〜Lbi5の中心に位置する青色光ビームLbi3の光軸Lxi3が対物レンズ40に対して垂直に入射するように当該青色光ビームLbi3を入射させると共に、青色光焦点Fb1、Fb2、Fb3、Fb4及びFb5が記録トラックピッチPwだけそれぞれ離隔しつつトラッキング方向へ一直線上に並ぶように、光軸Lxi3に対して光軸Lxi1、Lxi2、Lxi4及びLxi5を傾斜させる。
これにより光ピックアップ26は、青色光ビームLbi3を記録トラック束TwBの中心Ctwに位置させることにより、青色光ビームLbi1〜Lbi5の全てについての青色光焦点Fb1〜Fb5を対応する仮想の記録トラックTwにそれぞれ位置させ得るようになされている。
また光ピックアップ26(図8)では、同等の光量で各レーザダイオード51、61、71、81及び91から照射される青色光ビームLbi1〜Lbi5を、同等の光量でそれぞれ光ディスク100に照射するように、ダイクロイックプリズム35〜39の反射透過膜35S〜39Sを選定している。
具体的に、反射透過膜35S〜39Sは、660[nm]の波長でなる赤色光ビームLr(Lr1及びLr2)の殆ど全てを透過する一方、405[nm]の波長でなる青色光ビームLbを所定の割合で透過及び反射させる。
ダイクロイックプリズム35の反射透過膜35Sは、青色光ビームLbの約20%を反射させる一方、残りの約80%を透過させる。またダイクロイックプリズム36の反射透過膜36Sは、青色光ビームLbの約25%を反射させる一方、残りの約75%を透過させる。
ダイクロイックプリズム37の反射透過膜37Sは、青色光ビームLbの約33.3%を反射させる一方、残りの約66.7%を透過させる。またダイクロイックプリズム38の反射透過膜38Sは、青色光ビームLbの約50%を反射させる一方、残りの約50%を透過させる。さらにダイクロイックプリズム39の反射透過膜39Sは、青色光ビームLbのほぼ全てを反射させるようになされている。
以下、対物レンズ40に入射されるときの青色光ビームLbi1〜Lbi5の光強度を対物レンズ入射光強度LP(LP1〜LP5)と呼び、ダイクロイックプリズム35〜39に入射される直前の青色光ビームLbi1〜Lbi5の光強度をプリズム入射光強度PP(PP1〜PP5)と呼ぶ。
第1情報光学系50におけるレーザダイオード51から出射された青色光ビームLbi1は、ダイクロイックプリズム35の反射透過膜35Sによってその約20%が反射されて対物レンズ40に入射される。このため対物レンズ入射光強度LP1は、プリズム入射光強度PP1の約20%となる。
第2情報光学系60におけるレーザダイオード61から出射された青色光ビームLbi2は、ダイクロイックプリズム36の反射透過膜36Sによってその約25%が反射され、さらに反射透過膜35Sによってその約80%が透過されて対物レンズ40に入射される。このため、対物レンズ40に入射される対物レンズ入射光強度LP2はプリズム入射光強度PP2の(80%×25%)となり、約20%となる。
第3情報光学系70におけるレーザダイオード71から出射された青色光ビームLbi3は、ダイクロイックプリズム37の反射透過膜37Sによってその約33.3%が反射され、さらに反射透過膜36Sによってその75%、反射透過膜35Sによってその約80%が透過されて対物レンズ40に入射される。このため、対物レンズ40に入射される対物レンズ入射光強度LP3はプリズム入射光強度PP3の(33.3%×75%×80%)となり、約20%となる。
第4情報光学系80におけるレーザダイオード81から出射された青色光ビームLbi4は、ダイクロイックプリズム38の反射透過膜38Sによってその約50%が反射され、さらに反射透過膜37Sによってその66.7%、反射透過膜36Sによってその75%、反射透過膜35Sによってその約80%が透過されて対物レンズ40に入射される。このため、対物レンズ40に入射される対物レンズ入射光強度LP4はプリズム入射光強度PP4の(50%×66.7%×75%×80%)となり、約20%となる。
第5情報光学系90におけるレーザダイオード91から出射された青色光ビームLbi4は、ダイクロイックプリズム39の反射透過膜39Sによってその約100%が反射され、さらに反射透過膜38Sによってその50%、反射透過膜37Sによってその66.7%、反射透過膜36Sによってその75%、反射透過膜35Sによってその約80%が透過されて対物レンズ40に入射される。このため、対物レンズ40に入射される対物レンズ入射光強度LP5はプリズム入射光強度PP5の(100%×50%×66.7%×75%×80%)となり、約20%となる。
このように光ピックアップ26では、プリズム入射光強度PPに対する対物レンズ入射光強度LPが一定の割合になるようにダイクロイックプリズム35〜39における反射透過膜35S〜39Sの青色光ビームLbに対する反射率及び透過率を選定することにより、同等のレーザ光強度で出射された青色光ビームLbi1〜Lbi5の対物レンズ入射光強度LP1〜LP5を同等にすることができる。
この結果光ピックアップ26は、記録処理の際に、ほぼ同等の構成を有するレーザダイオード51、61、71、81及び91に対して同様の制御を行うことにより、記録すべき情報に応じて青色光ビームLbi1〜Lbi5を変調することができ、これにより青色光ビームLbi1〜Lbi5に基づいて同等の記録マークRMを形成することができる。
また再生処理の際には、光ディスク100に照射するときの青色光ビームLbi1〜Lbi5の光強度を同等にでき、同等の青色光ビームLbt1〜Lbt5を発生させることができる。
(1−3−2−3)5本の青色光ビームの受光
ここで図13に示したように、光ピックアップ26では、各レーザダイオード51、61、71、81及び91を互いに傾斜させて配置しているため、青色光ビームLbi1〜Lbi5の光軸Lxi1〜Lxi5は互いに傾斜した状態で対物レンズ40に入射されることになる。
この結果、光ディスク100に反射されてなる青色光ビームLbt1〜Lbt5の光軸Lx(Lxt1〜Lxt5)も互いに傾斜することになり、青色光ビームLbt1〜Lbt5は、光軸Lxt1〜Lxt5が互いに傾斜した状態でダイクロイックプリズム35〜39に入射される。以下、第1情報光学系50について説明し、同様の構成でなる第2〜第5情報光学系60、70、80及び90についての説明を省略する。
第1情報光学系50におけるダイクロイックプリズム35の反射透過面35Sは、青色光ビームLbt1〜Lbt5を区別することなく、青色光ビームLbを所定の割合で透過及び反射するため、第1情報光学系50に対して、青色光ビームLbt1〜Lbt5の全てをそれぞれ入射することになる。
ダイクロイックプリズム35は、青色光ビームLbt1〜Lbt5をその光軸Lxt1〜Lxt5が互いに傾斜した状態のまま偏光ビームスプリッタ53を介してマルチレンズ57に入射する。
ここでマルチレンズ57は、青色光ビームLbt1〜Lbt5の光軸Lxt1〜Lxt5が互いに傾斜していることから、対物レンズ40(図12)と同様にそれぞれトラッキング方向に相違する位置に当該青色光ビームLbt1〜Lbt5を集光する。
図14に示すように、ピンホール板58は、マルチレンズ57により集光される青色光ビームLbt1の焦点を孔部59H内に位置させるよう配置されているため、当該青色光ビームLbt1をそのまま通過させることになる。
一方ピンホール板58は、青色光ビームLbt2〜Lbt5などの焦点の異なる光をほぼ遮断することになる。この結果、フォトディテク59は、検出対象となる青色光ビームLbt1以外の光量を殆ど検出することがない。
この結果、フォトディテクタ59は、検出対象でない他の青色光ビームLbt2〜Lbt5の影響を殆ど受けることなく、青色光ビームLbt1の光量に応じた検出信号SDb(SDb1)を生成し、これを信号処理部23(図5)へ供給するようになされている。
また他のフォトディテクタ69、79、89及び99も同様に、検出対象となる青色光ビームLbt2〜Lbt5の光量に応じた検出信号SDb(SDb2〜SDb5)をそれぞれ生成し、これを信号処理部23へ供給する。
この場合、再生検出信号SDbは、光ディスク100に記録マークRMとして記録されている情報を精度良く表すものとなる。
また上述したように、ダイクロイックプリズム35〜39における反射透過面35S〜39Sの青色光ビームLbに対する透過率及び反射率の選定により、各フォトディテクタ59、69、79、89及び99には同等の光量でなる青色光ビームLbt1〜Lbt5が受光される。
そして光ピックアップ26では、各フォトディテクタ59、69、79、89及び99によって同等の信号レベルでなる再生検出信号SDbを生成し、これを信号処理部23に供給する。
これにより光ピックアップ26は、信号処理部23に各検出信号SDb1〜SDb5に対して同様に、上述した復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施させることによりそれぞれ再生情報を生成することができ、当該再生検出信号SDbから再生情報を生成する際の信号処理を簡易することができる。
このように光ディスク装置20は、光軸Lxt1〜Lxt5が互いに傾斜した状態で青色光ビームLbt1〜Lbt5を各マルチレンズ57、67、77、87及び97に入射することにより、青色光ビームLbt1〜Lbt5の焦点位置をトラッキング方向にずらし、受光対象となる青色光ビームLbtに合わせてピンホール58Hを配置することにより、対応する青色光ビームLbtのみを選択的にピンホール板58に通過させて各フォトディテクタ59、69、79、89及び99にそれぞれ導くことができる。
(1−4)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置20は、記録すべき情報に基づいて所定数(5本)の記録光である青色光ビームLbi(Lbi1〜Lbi5)及び当該青色光ビームLbiの位置制御に使用される位置制御光である赤色光ビームLr1を対物レンズ40によって集光し、ディスク状でなる光情報記録媒体である光ディスク100に対して照射する。
このとき光ディスク装置20は、光ディスク100に形成され赤色光ビームLr1の少なくとも一部を反射させる反射層としての反射透過膜104において螺旋状に形成されたガイドトラックTgに対し、赤色光ビームLr1を合焦させるよう対物レンズ40を駆動し、リレーレンズ56、66、76、86及び96によって青色光ビームLbiの収束状態を変化させることにより、対物レンズ40が光ディスク100に対して近接及び離隔する深さ方向に、赤色光ビームLr1の赤色光焦点Frから5本の青色光ビームFbの焦点である青色光焦点Fb(Fb1〜Fb5)を任意の距離だけ離隔させ、5つの青色光焦点Fbを当該青色光ビームFbが照射されるべき目標深さに合わせる。
そして光ディスク装置20は、ガイドトラックTgに対応して5本想定されている仮想トラックである記録トラックTwに5つの青色光焦点Fbをそれぞれ位置させることにより、5本の青色光ビームLbに基づく5の記録マークRMをガイドトラックTgに沿って形成させるようにした。
これにより光ディスク装置20は、記録処理の際、光ディスク100に対して5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5を同時に照射することにより、記録処理の際に5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5による5つの記録マークRMを同時に記録することができ、通常の記録速度で光ディスク100を回転させながら記録するだけで、見かけ上5倍の記録速度を得ることができる。
また光ディスク装置20は、5つの青色光焦点Fbのトラッキング方向の位置をそれぞれ記録トラックピッチPgだけ離隔した状態で固定し、対物レンズ40の移動に応じて当該5本の青色光焦点Fbをトラッキング方向に一体的に移動するようになされているため、5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5のトラッキング制御を一系統のサーボ光学系30のみで実行することができる。
これにより光ディスク装置20は、一つの青色光焦点Fbごとにサーボ光学系30を設ける必要が無く、光ピックアップ26の構成を簡易にすることができる。
また光ディスク装置20は、レーザダイオード51、61、71、81及び91を5の青色光ビームLbiの光軸Lxi(Lxi1〜Lxi5)を互いに傾斜させるように設置し、5本の記録トラックTwに5つの青色光焦点Fbをそれぞれ位置させるようにしたため、青色光焦点の位置制御のための光学部品を別途設ける必要がない。
さらに光ディスク装置20は、赤色光ビームLr1を透過させる一方、青色光ビームLbを所定の割合で透過及び反射、又は当該記録光の殆ど全てを反射させる5のダイクロイックプリズム35〜39によって5の青色光ビームLb及び赤色光ビームLr1を合成して対物レンズ40に入射することにより、光ピックアップ26における光学部品の点数を最小限に留め、その構成を簡易にすることができる。
また当該5つのダイクロイックプリズム35〜39は、対物レンズ40に入射するときにおける5本の青色光ビームLbiの光強度がほぼ均等になるように青色光ビームLbiに対する透過及び反射の割合が選定されているため、各青色光ビームLbi1〜Lbi5に基づいて同等の記録マークRM1〜RM5を光ディスク100に形成することができる。
さらに光ディスク装置20は、5本の青色光ビームLbi及び赤色光ビームLr1を光ディスク100に対して照射する際、反射透過膜104に螺旋状に形成されたガイドトラックTgに対し、赤色光ビームLrを合焦させるよう対物レンズ40を駆動し、5本の青色光ビームLbiの収束状態を変化させることにより、赤色光ビームLr1の赤色光焦点Frから5の青色光焦点Fbを深さ方向に任意の距離だけ離隔させ、5つの青色光焦点Fbを当該青色光ビームLbiが照射されるべき目標深さに合わせ、ガイドトラックTgに対応して5本想定されている記録トラックTwに5つの青色光焦点Fbをそれぞれ位置させ、5本の青色光ビームLbiが光ディスク100によって反射されてなる5本の反射光である青色光ビームLbt(Lbt1〜Lbt5)をそれぞれ検出するようにした。
これにより光ディスク装置20は、青色光ビームLbt1〜Lbt5によりそれぞれ通常の再生速度で光ディスク100を回転させながら再生するだけで、見かけ上、5倍の再生速度を得ることができる。
この結果、光ディスク装置20は、記録層101における記録マークRMの形成にどうしても一定の時間を要することや、光ディスク100の物理的な強度や高速回転時における面ブレ等によって光ディスク100の回転速度に上限があること等の要因により、情報の記録速度及び再生速度の上限が必然的に定められてしまうとしても、5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5を並行して利用することにより、見かけ上の記録速度及び再生速度を約5倍に向上させることができる。
さらに光ディスク装置20は、螺旋状に形成されているガイドトラックTgに赤色光焦点Frを追従させるだけでそのまま5つの記録マークRMを螺旋状に形成することができ、従来の1本の螺旋によるトラックに対して5つの記録マークを同時に形成する方法とは異なり、1周ごとにトラックジャンプをさせる必要が無く、光ディスク100に対してスムーズな記録及び再生を実現することができる。
また光ディスク100は、所定の強度以上でなる青色光ビームLbiの照射に応じて記録マークRMを形成する記録層101と、記録マークRMの位置制御のための赤色光ビームLr1の少なくとも一部を反射し、記録マークRMが記録されると想定される5本の記録トラックTwごとに、赤色光ビームLr1が照射されるガイドトラックTgが螺旋状に形成されているようにした。
これにより光ディスク100は、光ディスク装置20に対してガイドトラックTgに赤色光ビームLr1を合焦させるだけで、5本の記録トラックTwに青色光ビームLbiを照射させることができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置20は、位置制御に使用される赤色光ビームLr1をガイドトラックTgに合焦させながら当該ガイドトラックTgに対応する5本の記録トラックTwに青色光ビームLbiの青色光焦点Fbをそれぞれ位置させることにより、一つのサーボ光学系30に対して5つの記録マークRMを形成する情報光学系を5つ設けることができ、情報光学系ごとに5つの記録マークRMを形成するために5つのサーボ光学系を設ける場合と比較して、光ピックアップ26の構成を簡易にすることができると共に、光ディスク100の回転速度を維持したまま記録及び再生速度を5倍にすることができ、かくして光情報記録媒体に対する情報記録及び当該光情報記録媒体からの情報再生を短時間で完了し得る光情報記録装置、光情報記録方法、光情報再生装置及び光情報再生方法、並びにこれらに使用される光情報記録媒体を実現できる。
(1−5)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、一様な屈折率を持つフォトポリマでなる記録層に対して光ビームを集光することによりその屈折率又は反射率が変化して記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図15(A)に示すように、光ディスク100に対してフォーマットとしてフォーマット用光ビームLf1及びLf2を用いて予めホログラムを全面に形成しておき、図15(B)に示すように、青色光ビームLbiにより当該ホログラムを破壊してなる記録マークRMを記録することにより情報の記録を行うようにし、図15(B)及び(C)に示すように、当該ホログラムの有無を基に記録マークRMの有無を検出し得る光ディスク等、種々の光ディスクを用いるようにしても良い。
この場合、光ディスクに照射する光ビームは、光ディスクの種類や記録方式等に合わせて適宜光量や照射時間等が調整されていれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード51、61、71、81及び91の設置角度を調整することにより対物レンズ40に入射されるときの青色光ビームLbi1〜Lbi5の光軸を傾斜させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばダイクロイックプリズム35〜39を互いに傾斜させて設置するようにしても同様の効果を得ることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ40に入射されるときの青色光ビームLbi1〜Lbi5の光軸を傾斜させることにより5つの青色光焦点Fbを記録トラックTwに位置させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば青色光ビームLbi1〜Lbi5の収束状態や、その他種々の方法により5の青色光焦点Fbを記録トラックTwに位置させることが可能である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、各ダイクロイックプリズム35〜36が赤色光ビームLrを透過させる一方、青色光ビームLbを所定の割合で透過及び反射、又は青色光ビームLbの殆ど全てを反射させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、、各ダイクロイックプリズム35〜36が赤色光ビームLrを反射させる一方、青色光ビームLbを所定の割合で透過及び反射、又は青色光ビームLbの殆ど全てを透過させて青色光ビームLb及び赤色光ビームLrを合成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズとしての対物レンズ40と、対物レンズ駆動部としてのアクチュエータ40Aと、焦点移動部としてのリレーレンズ56、66、76、86及び96と、焦点位置設定部としてのレーザダイオード51、61、71、81及び91とによって光情報記録装置としての光ディスク装置20とを構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる対物レンズと、対物レンズ駆動部と、焦点移動部と、焦点位置設定部とによって本発明の光情報記録装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズとしての対物レンズ40と、対物レンズ駆動部としてのアクチュエータ40Aと、焦点移動部としてのリレーレンズ56、66、76、86及び96と、焦点位置設定部としてのレーザダイオード51、61、71、81及び91と、検出部としてのフォトディテクタ59、69、79、89及び99とによって光情報再生装置としての光ディスク装置20とを構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる対物レンズと、対物レンズ駆動部と、焦点移動部と、焦点位置設定部と、検出部とによって本発明の光情報再生装置を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、記録層としての記録層101と、反射層としての反射透過膜104とによって光情報記録媒体としての光ディスク100を構成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記録層と、反射層とによって本発明の光情報記録媒体を構成するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射透過膜104が対物レンズ40の手前にある基板102と記録層101との間に設けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射膜104に対応する反射膜104xが対物レンズ40の「裏側」にある基板103と記録層101との間に設けられるようにしても良い。
この場合反射膜104xは、使用される波長の光(青色レーザ光及び赤色レーザ光)に拘らず光のほぼ100%を反射することにより、反射膜104xに波長選択性を持たせる必要がなく、光ディスク100の構成を簡易にすることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、5つのレーザダイオード51、61、71、81及び91から5本の青色光ビームLbiを出射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図16に示すように、一つのレーザダイオード250から出射した青色光ビームLbi0を、所定の割合で青色光ビームLbiを反射及び透過する無偏光ビームスプリッタによって5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5に分離するようにしても良い。なお図16では、コリメータレンズ52、62、72、82及び92以降の部品を省略しているが、以降の光路は図8と同様である。
この場合、光ディスク装置20Xは、例えば音響光学素子などでなる変調部261〜265を用いて青色光ビームLbi1〜Lbi5の光強度を制御して変調することにより、記録すべき情報を光ディスク100に記録するようにする。なお、再生処理のみを行う再生専用機器の場合には、変調部261〜265は不要となる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)記録及び再生原理
まず、本実施の形態による光ピックアップ200の具体的な構成を説明する前に、ホログラムを用いた情報の記録原理及び再生原理について説明する。
図17(A)において、記録層101Xは、例えば波長405[nm]でなる青色光ビームに反応し、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなるものとする。
この記録層101Xに対して、図の上側及び下側から、波長405[nm]でなる青色光ビームLbi−A及びLbi−Bを集光するよう所定の強度で照射した場合、青色光ビームLb1及びLb2の干渉により定在波が生成され、ホログラムでなる記録マークRMが形成される。
一方、この記録マークRMは、図17(B)に示すように、記録時と同波長の青色光ビームLbi−Aが照射されると、ホログラムとしての性質により、再生光ビームLbtを発生する。
また図17(C)に示すように、記録層101Xのうち記録マークRMが形成されていない箇所に対して青色光ビームLbi−Aが照射された場合、再生光ビームLbtを発生しない。
そこで、例えば情報を2進数表示したときの値「0」及び「1」を、それぞれ「記録マークRMなし」及び「記録マークRMあり」に割り当てることにより、記録層101Xに対して情報を記録し、また再生することが可能となる。
このようにホログラムの形成を利用した情報の記録では、例えば青色光ビームLbi−A及びLbi−Bのように2種類の光ビームが用いられ、また情報の再生では、青色光ビームLbi−Aのように1種類の光ビームが用いられるようになされている。
(2−2)光ピックアップの構成
図8と対応する部分に100を加算した番号を附した図18に示すように、本実施の形態における光ピックアップ200では、1つの青色光ビームLbiを2つの青色光ビームLbi−A及びLbi−Bに分離すると共に、光ディスク100の両側から青色光ビームLbi−A及びLbi−Bを照射して形成されるホログラムを記録マークRMとして記録する。
本実施の形態における光ディスク装置20Xは、5つのレーザダイオード151、161、171、181及び191から出射した青色光ビームLbi1〜Lbi5を、ビームスプリッタ201〜205によってそれぞれ青色光ビームLbi1−A〜Lbi5−A及びLbi1−B〜Lbi5−Bに分離する。
そして光ディスク装置20Xは、青色光ビームLbi1−A〜Lbi5−A及びレーザダイオード131から出射した赤色光ビームLr1をダイクロイックプリズム135〜139を適宜介して対物レンズ140Xに入射する。一方光ディスク装置20Xは、青色光ビームLbi1−B〜Lbi5−Bをミラー211〜215及びダイクロイックプリズム221〜215を適宜介して対物レンズ140Yに入射する。なお図18では、レーザダイオード、ビームスプリッタ、ミラー、ダイクロイックプリズム、対物レンズ以外の光学部品を省略して示している。また光ディスク装置20Xの構成は、図7に示す光ディスク装置20と同一であるため、説明を省略する。
(2−3)動作及び効果
以上の構成によれば、光ディスク装置20Xは、記録すべき情報に基づく所定数の青色光ビーム、すなわち5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5を5の第1及び第2の記録光である5本の青色光ビームLbi−A(Lbi1−A〜Lbi5−A)及び5本のLbi−B(Lbi1−B〜Lbi5−B)にそれぞれ分離し、5本の青色光ビームLbi−A及び当該Lbi−Aの位置制御に使用される赤色光ビームLr1を第1の対物レンズである対物レンズ140Xを介して光ディスク100に照射すると共に、当該青色光ビームLbi−Aとは反対側から第2の対物レンズである対物レンズ140Yを介して光ディスク100に5本の青色光ビームLbi−Bを照射する。
また光ディスク装置20Xは、光ディスク100に形成され赤色光ビームLr1の少なくとも一部を反射させる反射透過膜104において螺旋状に形成されたガイドトラックTgに対し、赤色光ビームLr1を合焦させるよう第1の対物レンズ駆動部であるアクチュエータ140XAによって対物レンズ140Xを駆動し、5の青色光ビームLbi−Aの収束状態を変化させることにより、対物レンズ104Xが光ディスク100に対して近接及び離隔する深さ方向に、赤色光ビームLr1の赤色光焦点Frから5の青色光ビームLbi−Aの5つの青色光焦点FbA(Fb1A〜Fb5A)を任意の距離だけ離隔させ、5の青色光焦点Fbを当該青色光ビームLbi−Aが照射されるべき目標深さに合わせる。
このとき光ディスク装置20Xは、青色光ビームLbi−Bの5つの青色光焦点FbB(Fb1B〜Fb5B)のうち、例えば中心に位置する青色光焦点Fb3Bを青色光焦点Fb3Aに追従させることにより、青色光ビームLbi−Bの5つの青色光焦点FbBを5つの青色光焦点FbAにそれぞれ重ねるように対物レンズ140Yを駆動し、ガイドトラックTgに対応して5だけ想定されている仮想の記録トラックTwに5の青色光焦点FbA及びFbBをそれぞれ位置させることにより、5の青色光ビームLbi−A及びLbi−Bに基づくホログラムでなる5つの記録マークRMをガイドトラックTgに沿って形成する。
これにより光ディスク装置20Xは、上述した実施の形態と同様に、記録処理の際に5本の青色光ビームLbi1〜Lbi5による5つの記録マークRMを同時に記録することができ、通常の記録速度で光ディスク100を回転させながら記録するだけで、見かけ上5倍の記録速度を得ることができる。
(2−4)他の実施の形態
なお上述した第2の実施の形態においては、光ディスク100に対し、対物レンズ140Xを介して青色光ビームLbi−Aを照射し、光ディスク100における青色光ビームLbi−Aが照射される面とは反対の面から、対物レンズ140Yを介して光ディスク100に青色光ビームLbi−Bを照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同一の対物レンズから青色光ビームLbi−A及びLbi−Bを照射し、一方の青色光ビームLbiを反射層104で反射させることにより、青色光ビームLbi−A及びLbi−Bの焦点を記録マーク位置で互いに反対方向から重ね合わせるようにしても良い。
(3)第3の実施の形態
(3−1)光ピックアップの構成
図8と対応する部分に同一符号を附して示す図19に示すように、本実施の形態における光ディスク装置20Y(図示せず)では、5本ではなく、2本の青色光ビームLbi1及びLbi2を用いると共に、ピンホール板58を使用して焦点位置に基づいて青色光ビームLbiを分離するのではなく、青色光ビームLbiの偏光方向の差異を利用して青色光ビームLbiを分離する。なお光ディスク装置20Xの構成は、図7に示す光ディスク装置20と同一であるため、説明を省略する。
具体的に光ディスク装置20Yにおける光ピックアップ280は、情報光学系として、第1情報光学系281及び第2情報光学系282を有している。
第1情報光学系281及び第2情報光学系282では、レーザダイオード51から出射した青色光ビームLbi0を1/2波長板271及び偏光ビームスプリッタ272によって偏光方向の異なる2つの青色光ビームLbi1及びLbi2に分離し、偏光ビームスプリッタ273やミラー274及び275を介して当該青色光ビームLbi1及びLbi2を対物レンズ291に入射する。
第1情報光学系281及び第2情報光学系282では、光ディスク100で反射されてなる青色光ビームLbt1及びLbt2を偏光ビームスプリッタ273で透過又は反射することにより、青色光ビームLbi2及びLbi1が辿った光路にそれぞれ入射する。すなわち青色光ビームLbt1及びLtb2は、反射前の青色光ビームLbi1及びLbi2とは異なる光路を辿ってフォトディテクタ69及び59にそれぞれ受光されることになる。
このように、二の読出光である青色光ビームLbi1及びLbi2における偏光方向の差異を利用して当該青色光ビームLbi1及びLbi2に基づく二の反射光である青色光ビームLbt1及びLtb2を偏光ビームスプリッタ273によって分離してフォトディテクタ69及び59にそれぞれ検出させることにより、上述した実施の形態とは異なりレーザダイオード51から出射した青色光ビームLbi0の殆ど全てを青色光ビームLbi1及びLbi2として光ディスク100に照射することができ、青色光ビームLbi0のエネルギーの損失を生じさせないようにできる。
さらに光ディスク装置20Yでは、第1情報光学系281及び第2情報光学系282を一組とする2組の光ピックアップ280A及び280Bを有するようにすることも可能である。この場合2つの対物レンズ291及び292から4本の青色光ビームLbiを光ディスク100に対して照射することができる。
この場合例えば図20(A)に示すように、一つのマウント290に2つの対物レンズ291及び292を固定すると共に一つのアクチュエータ290A(図示しない)によって駆動するようにすることにより、2つの対物レンズ291及び292の互いの位置関係を固定し、これら2つの対物レンズ291及び292を介して赤色光ビームLr1及び全ての青色光ビームLbiを照射する。
仮に対物レンズ291から赤色光ビームLr1及び2本の青色光ビームLbi1及びLbi2を照射すると共に、対物レンズ292から2本の青色光ビームLbi3及びLbi4を照射する場合、対物レンズ291及び292の中心291c中心292cを例えばガイドトラックTgのガイドトラックピッチPgの1/2だけずらして配置するようにする。
これにより図20(B)に示すように、光ディスク100に4つの記録マークRMを同時に形成することができ、見かけ上4倍の再生又は記録速度を得ることができる。
(3−2)動作及び効果
以上の構成によれば、2本の青色光ビームLbi1及びLbi2を一つの対物レンズ291から照射すると共に、2本の青色光ビームLbi1及びLbi2の偏光方向の差異を利用して、当該青色光ビームLbi1及びLbi2が反射されてなる当該青色光ビームLbt1及びLbt2を分離することにより、2本の青色光ビームLbi1及びLbi2の光路を合成及び分離するために偏光ビームスプリッタ273を用いることができ、無偏光ビームスプリッタを用いる場合と比較して、2本の青色光ビームLbi1及びLbi2の光エネルギーの損失を抑制することができる。
また互いの位置関係を固定した2つの対物レンズ291及び292から2本の青色光ビームLbi1及びLbi2、並びに2本の青色光ビームLbi3及びLbi4をそれぞれ照射することにより、光エネルギーの損失を抑制した状態で4つの記録マークRMを同時に形成することができる。
(4)他の実施の形態
なお上述した第1ないし第3の実施の形態においては、対物レンズ40の位置制御を行うための光ビーム(これを位置制御光ビームと呼ぶ)を波長約660[nm]の赤色光ビームとし、記録マークRMを形成するための光ビーム(これを記録光ビームと呼ぶ)を波長約405[nm]の青色光ビームとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、位置制御光ビーム及び記録光ビームをそれぞれ任意の波長としても良い。
この場合、反射透過膜104としては、位置制御光ビームをその波長に応じて反射し、記録光ビームをその波長に応じて透過する性質を有していればよい。また記録層101は、記録光ビームの波長に反応する材料であれば良い。
また上述した第1ないし第3の実施の形態においては、位置制御光学系30において非点収差法によりフォーカスエラー信号を生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばナイフエッジ法やフーコー法等の他の手法によってフォーカスエラー信号を生成するようにしても良い。
また位置制御光学系30におけるトラッキングエラー信号の生成についても、プッシュプル法に限らず、3ビーム法や差動プッシュプル法等の他の手法により当該トラッキングエラー信号を生成するようにしても良い。
これらの場合、各エラー信号の生成手法に応じて、シリンドリカルレンズ42に代えて回折格子等の光学素子が設けられれば良く、またフォトディテクタ43については、各エラー信号の生成手法に対応した分割パターンで検出領域が分割されていれば良く、さらに信号処理部23は、各エラー信号の生成手法に対応した演算処理を行うことにより各エラー信号を生成すれば良い。
さらに上述した第1ないし第3の実施の形態においては、光ディスク100及び200の直径を約120[mm]、記録層101の厚さt1を約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3を約0.6[mm]とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ他の値であっても良い。この場合、記録層101並びに基板102及び103の厚さと各材料の屈折率等を考慮した上で、青色光ビームLbi及びLbtの焦点が目標マーク位置に合わされるよう、各光学部品の光学特性や配置等が設定されていれば良い。
20……光ディスク装置、21……制御部、22……駆動制御部、23……信号処理部、26、200、280……光ピックアップ、30……サーボ光学系、31、51、61、71、81、91、250、151、161、171、181、191……レーザダイオード、35、36、37、38、39……ダイクロイックプリズム、53、63、73、83、93……偏光ビームスプリッタ、40、140X、140Y、291、292……対物レンズ、40A、140XA、140YA、290A……アクチュエータ、59、69、79、89、99……フォトディテクタ、50……第1情報光学系、60……第2情報光学系、70……第3情報光学系、80……第4情報光学系、90……第5情報光学系、54、64、74、84、94……液晶パネル、56、66、76、86、96……リレーレンズ、56A、66A、76A、86A、96A……可動レンズ、58/、68、78、88、98……ピンホール板、100……光ディスク、101、101X……記録層、102、103……基板、104……反射透過膜、Lr1……赤色光ビーム、Lr2……赤色光ビーム、Lbi、Lbt、Lbi1、Lbi2、Lbi3、Lbi4、Lbi5、Lbt1、Lbt2、Lbt3、Lbt4、Lbt5……青色光ビーム、Fr、Fb1、Fb2、Fb3、Fb4、Fb5……焦点、RM、RM1、RM2、RM3、RM4、RM5……記録マーク、Tg……ガイドトラック、Tw……記録トラック。