JP4812355B2 - 車輪スリップ抑制制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪の回転速度を制御して車輪スリップ抑制制御を行なう車輪スリップ抑制制御装置に関する。
従来から、車両加速時に駆動輪のスリップ率が所定値近傍に収まるように車両駆動出力及び/又は駆動輪制動力を調整するスリップ制御手段を備えた加速スリップ制御装置において、上記スリップ制御手段が、上記スリップ率が上記所定値より大きい境界値を超えたか否かを判定する判定手段と、該判定手段で上記スリップ率が境界値以下であると判定されたときに車両駆動出力のみを調整し、上記スリップ率が境界値以上であると判定された時に少なくとも駆動輪制動力を調整する駆動輪制動手段と、を備えたことを特徴とする加速スリップ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−149545号公報
しかしながら、上述の従来技術のように、スリップ率が所定値であるか否かの判定結果に応じて、車輪スリップ抑制制御の制御態様の変更を行う構成では、スリップ率が所定値以上であるか否かの判定が不能な車両発進時には、優れた加速性を実現することができない虞がある。
また、トラクションコントロール制御(TRC)に代表される車輪スリップ抑制制御においては、車両発進時の必要な加速性を確保することのみならず、車両発進後に生じうる失速現象にも適切に対処できることが有用である。また、極低μ路等のように、車輪スリップ抑制制御によっても車両脱出不能な状況では、車輪スリップ抑制制御が機能しているが車両脱出不能な状況であることを、即ちエンジン等に故障が生じていないことを、ユーザに伝達することが有用である。
本発明は、上述のような問題点を鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、車両発進時に優れた加速性を実現することができる車輪スリップ抑制制御装置を提供することである。
また、第2の目的は、車輪スリップ抑制制御によっても車両脱出不能な状況で、ユーザに故障等の危惧感を与えないような車輪スリップ抑制制御装置を提供することである。
また、第3の目的は、車両発進後に生じうる失速現象にも適切に対処することができる車輪スリップ抑制制御装置を提供することである。
上記第1の目的を達成するため、第1の発明は、路面状態を推定し、推定した路面状態に応じて、少なくとも2以上の異なる決定態様のうちから1つの決定態様を選択し、該選択した決定態様で、駆動輪の回転速度に関連する制御目標値を決定し、決定した制御目標値に向けて駆動輪の回転速度を制御して車輪スリップ抑制制御を行なう車輪スリップ抑制制御装置において、
推定車体速度が所定速度を超える車両走行時には、推定した路面状態に応じて、少なくとも2以上の異なる決定態様のうちから1つの決定態様を選択し、該選択した決定態様で前記制御目標値が決定されるのに対して、車両発進時から推定車体速度が前記所定速度より大きくなるまでは、推定した路面状態の如何に拘わらず、第1の決定態様よりも駆動輪の回転速度が速くなる制御目標値を決定する第2の決定態様によって、前記制御目標値が決定されることを特徴とする。
上記第1の発明において、推定車体速度が所定速度以下の低速域においては、第2の決定態様によって前記制御目標値が決定されることとしてもよい。
上記第2の目的を達成するため、第2の発明は、路面状態を推定し、推定した路面状態に応じて、駆動輪の回転速度に関連する制御目標値を、少なくとも2以上の異なる決定態様で決定し、決定した制御目標値に向けて駆動輪の回転速度を制御して車輪スリップ抑制制御を行なう車輪スリップ抑制制御装置において、
車輪スリップ抑制制御の実行中に、従動輪の回転速度が所定値以下の状態が継続した場合には、前記制御目標値が一時的に増加されることを特徴とする。
上記第3の目的を達成するため、第3の発明は、路面状態を推定し、推定した路面状態に応じて、駆動輪の回転速度に関連する制御目標値を、少なくとも2以上の異なる決定態様で決定し、決定した制御目標値に向けて駆動輪の回転速度を制御して車輪スリップ抑制制御を行なう車輪スリップ抑制制御装置において、
車輪スリップ抑制制御の実行中に、従動輪の回転速度が減少する失速現象が検知された場合には、前記制御目標値が増加されることを特徴とする。
第1の発明によれば、車両発進時に優れた加速性を実現することができる車輪スリップ抑制制御装置を得ることができる。
第2の発明によれば、車輪スリップ抑制制御によっても車両脱出不能な状況で、ユーザに故障等の危惧感を与えないような車輪スリップ抑制制御装置を得ることができる。
第3の発明によれば、車両発進後に生じうる失速現象にも適切に対処することができる車輪スリップ抑制制御装置を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明による車輪スリップ抑制制御装置の要部構成を示すブロック図である。車輪スリップ抑制制御装置10は、いわゆるトラクションコントロール制御(TRC)に代表される車輪スリップ抑制制御を司るECU20を中心に構成される。
トラクションコントロール制御とは、車輪の過剰なトルクに起因するスリップや、悪路(でこぼこ路や未舗装路)や低μ路に起因するスリップを防止するための制御であり、具体的には、発生したスリップを収束させるように又は発生しうるスリップを未然に防止するように、制動力発生装置30aにより発生される各車輪の制駆動力を適切に制御するものである。
車輪スリップ抑制制御装置10のECU20は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。
制駆動力発生装置30の制動力発生装置30aは、典型的には、車両の各輪に設けられるブレーキ装置である。但し、制動力は、必ずしもブレーキ装置による機械的な制動力(油圧制御による制動力)によって発生される必要はなく、各輪で個別に制動力を調整することができる構成であれば、代替的に又は補助的に、電気モータによる回生制動力(ハイブリッド車の場合)等が用いられてもよい。
制駆動力発生装置30の駆動力発生装置30bは、典型的には、エンジン(内燃機関)であるが、代替的に又は補助的に、電気モータが用いられてもよい。この場合、電気モータの電源としては、2次電池、燃料電池、キャパシタなどが用いられてよい。
ECU20は、図1に示すように、路面状態推定部20aと、車体速度推定部20bと、制御目標値決定部20cと、フィードバック制御部20dとを有する。
路面状態推定部20aには、各輪に配設される車輪速センサ32の出力信号が入力される。路面状態推定部20aでは、車輪速センサ32の出力信号に基づいて、路面の状態が推定される。本例では、路面状態推定部20aでは、車輪加速度(車輪速センサ32の出力信号の時間微分値)が演算され、車輪加速度の大きさが所定の閾値を超えた場合に、路面状態が悪路状態であると推定される。尚、本発明は、特に路面状態の推定方法に限定されることはなく、いかなる適切な路面状態の推定方法に対しても適用可能である。また、本例では、簡易的に路面状態推定部20aにおいて悪路状態か否かが判断されるだけであるが、路面状態は、悪路状態と良路状態の2段階で推定されるものである必要はなく、3段階以上で、よりきめ細かく推定されるものであってもよい。
車体速度推定部20bでは、従動輪に係る車輪速センサ32の出力信号に基づいて、車体速度(以下、「推定車体速度V0」という)が推定される。
制御目標値決定部20cでは、後に詳説するように、路面状態推定部20aで推定された路面状態及び車体速度推定部20bで推定された推定車体速度V0に基づいて、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が決定される。制御目標値は、駆動輪の回転速度に関連する制御目標値であり、例えば目標駆動輪速度(目標回転速度)である。この場合、目標駆動輪速度は、推定車体速度V0に、所定のスリップ率(嵩上げ量)を加算した値であってよい。推定車体速度V0に加算されるスリップ率は、路面状態推定部20aで推定された路面状態に応じて可変され、路面が悪路であるほど大きな値が設定されてよい。尚、路面状態が多段階で推定される構成では、推定車体速度V0に加算されるスリップ率(嵩上げ量)についても多段階で用意されうる。
フィードバック制御部20dでは、制御目標値決定部20cで決定された制御目標値が実現されるように、制駆動力発生装置30に対する指示値(ブレーキ油圧制御やエンジン制御に用いる指示値)が決定される。すなわち、実際の駆動輪速度(駆動輪に係る車輪速センサ32の出力信号に基づく値)がフィードバックされ、制御目標値(目標駆動輪速度)に対する実際の駆動輪速度の差に応じて、制駆動力発生装置30に対する指示値が変更・決定されていく。
次に、以上の基本構成を前提として、本発明の特徴的な構成について、いくつかの実施例に分けて説明していく。
実施例1は、車両発進時(悪路発進時)に優れた加速性能を発揮できる車輪スリップ抑制制御に関する。
車両発進時には、路面状態推定部20aからの路面推定結果が得られない。従って、従来的な車輪スリップ抑制制御では、路面状態推定部20aからの路面推定結果が得られるまで、制御目標値は、デフォルト値が用いられるか、又は、路面が良路状態であると仮定して決定されていた。しかしながら、車両発進時の路面が悪路状態であった場合には、路面状態推定部20aからの路面推定結果(悪路状態であるという推定結果)が得られるまで、加速不良が起こる虞がある。
そこで、本実施例1では、車両発進時の制御目標値は、即ち制御目標値の初期値は、路面が悪路状態であると仮定して決定される。即ち、従来的に用いられていたデフォルト値、又は、路面が良路状態であると仮定して決定された制御目標値よりも、大きい制御目標値が決定される。これにより、車両発進時の路面が悪路状態であった場合の加速不良が効果的に防止され、車両発進時(悪路発進時)に優れた加速性能を実現することができる。
更に、本実施例1では、同様の観点から、推定車体速度V0が低速域にある時、制御目標値は、路面状態が悪路状態であると仮定して決定される。即ち、実施例1では、推定車体速度V0が低速域にある限り、路面状態推定部20aからの路面推定結果の如何に拘わらず、路面状態が悪路状態である場合に決定される制御目標値が採用される。これにより、車両発進後の低速域において優れた加速性能を実現することができる。
図2は、本実施例に係る路面状態推定部20aの路面推定結果の出力処理を示すフローチャートである。
ステップ100では、上述の如く、路面状態推定部20aにより路面状態の推定が実行される。この推定処理で、路面状態が推定可能な場合には、通常通り、推定した路面状態に応じた判定結果が出力される。例えば、路面状態が悪路状態である場合には、悪路状態を表すフラグが設定される。本例では、フラグが、良路状態を表す初期値0から、悪路状態を表す値1にセットされる。
ステップ110では、推定車体速度V0が低速域にあるか否かが判定される。即ち、推定車体速度V0が所定速度Vよりも小さいか否かが判定される。推定車体速度V0が所定速度Vよりも大きい場合には(否定判定の場合には)、特に何ら実行されることなく、本処理ルーチンは終了される。従って、この場合、路面状態推定部20aによる推定結果がそのまま制御目標値決定部20cにて使用される。
一方、推定車体速度V0が所定速度Vよりも小さい場合には、悪路状態を表すフラグがセットされる(ステップ120)。即ち、推定車体速度V0が所定速度Vよりも小さい場合には、路面状態推定部20aによる推定結果が、悪路状態に上書きされる。これにより、路面状態推定部20aにより路面状態の推定が不能な車両発進時や、推定車体速度V0が所定速度Vに満たない低速域にある時には、路面状態推定部20aによる推定結果の如何に拘らず、悪路状態を表すフラグが常に設定されることになる。従って、路面状態推定部20aによる推定結果は、推定車体速度V0が所定速度Vを越えて初めて利用されることになる。
図3は、本実施例による車輪スリップ抑制制御の有用性を示す図であり、図3(A)は、悪路発進時における従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図3(B)は、悪路発進時における本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。図3に示すように、車両発進時において、時刻t0にて車輪スリップ抑制制御が開始されると、駆動輪の駆動力がフィードバック制御され、駆動輪速度が制御目標値(目標駆動輪速度)に追従するように制御される。この結果、駆動輪速度が、設定された制御目標値(一点鎖線)との関係で上昇し始めていく。
ここで、悪路発進時における従来的な車輪スリップ抑制制御では、図3(A)に示すように、車輪加速度の大きさ(絶対値)が所定の悪路判定用閾値Thr(ノイズを考慮して設定される。)を越えて、悪路状態を表すフラグが設定される時刻t1までは、制御目標値は、デフォルト値が用いられるか、又は、路面が良路状態であると仮定して決定される。この結果、時刻t1までは、駆動輪速度が悪路発進時に必要な速度まで速やかに上昇しない状態、即ち加速不良に陥ることになる。
これに対して、本実施例では、制御目標値としては、上述の如く、路面状態推定部20aからの路面推定結果の如何に拘わらず、路面状態が悪路状態である場合の制御目標値が採用される(即ち、良路状態等で通常的に用いられる制御目標値よりも大きい制御目標値が設定される。)。従って、本実施例では、図3(B)に示すように、車両発進時から大きな制御目標値が設定されるので、悪路発進時においても駆動輪速度が速やかに上昇し、優れた加速性能を実現することができる。尚、本実施例では、図3(B)に示すように、駆動輪速度が速やかに上昇する故に、時刻t1よりも早い時刻t1’にて、車輪加速度の大きさが所定の悪路判定用閾値Thrを越えて、路面状態推定部20aにて悪路状態が検知されることになるが、この時刻t1’の悪路検知以前から、上述の如く路面状態が悪路状態である場合の制御目標値が用いられている。
尚、本実施例は、主に、トラクションコントロール制御に係る車輪スリップ抑制制御に関するものであったが、ABS(アンチロックブレーキシステム)等にも適用可能である。例えば、路面状態が悪路状態である場合と良路状態である場合とで異なる制御目標値(閾値)が設定されるABSでは、車両発進時及び低速域の場合には、路面状態の推定結果の如何に拘らず、路面状態が悪路状態である場合の制御目標値が用いられることになる。これにより、車両発進直後等におけるABS作動時の制動力を高めることができる。
実施例2は、極低μ路等のような車両発進が不能な環境下で、運転者に与えうる違和感を回避できる車輪スリップ抑制制御に関する。
極低μ路等のような車両発進が不能な環境下では、車両発進が不能である故に、駆動輪速度を上昇させても、車両が走行できず、従動輪の回転速度が一定となる。かかる場合、従動輪の回転速度が一定となる故に、制御目標値が一定となるので、車両がぬかるみ等から未脱出であるにも拘らずエンジン回転数が上昇せず、運転者に違和感ないしエンジン等の故障の危惧感を与えうる。
そこで、本実施例2では、車輪スリップ抑制制御の実行中に、車両発進が不能な状態が検知された場合に、制御目標値を一時的に増加させ、それに伴いエンジン回転数を一時的に増加させる。これにより、運転者に車輪スリップ抑制制御に対する違和感ないし故障の危惧感を抱かせないようにすることができる。
図4は、本実施例に係る車輪スリップ抑制制御装置(制御目標値決定部20c)により実行される主要処理を示すフローチャートである。
ステップ200では、推定車体速度V0が極低速域にあるか否かが判定される。即ち、推定車体速度V0が所定速度V’(極低速速度V’)よりも小さいか否かが判定される。推定車体速度V0が所定速度V’よりも大きい場合には(否定判定の場合には)、特に何ら実行されることなく、本処理ルーチンは終了される。推定車体速度V0が所定速度V’よりも小さいと判定された場合には、ステップ210に進む。
ステップ210では、駆動輪速度が所定速度V”よりも小さいか否かが判定される。駆動輪速度が所定速度V”よりも大きい場合には(否定判定の場合には)、特に何ら実行されることなく、本処理ルーチンは終了される。駆動輪速度が所定速度V”よりも小さいと判定された場合には、ステップ220に進む。
ステップ220では、車両発進が不能な状態が一定時間T継続したか否か、即ち、推定車体速度V0が極低速域にあり、且つ、駆動輪速度が所定速度V”よりも小さい状態が、一定時間T継続したか否かが判定される。尚、一定時間Tは、例えばステップ220の初回実行時からカウントされてよい。車両発進が不能な状態が一定時間T継続していない場合には(否定判定の場合には)、特に何ら実行されることなく、本処理ルーチンは終了される。車両発進が不能な状態が一定時間T継続したと判定された場合には、ステップ230に進む。
ステップ230では、制御目標値が変更される。この際、制御目標値は、所定時間だけ一時的に増加されるものであってよい。この結果、制御目標値の変動に伴いエンジン回転数が変動(増加)することになる。
図5は、本実施例による車輪スリップ抑制制御の有用性を示す図であり、図5(A)は、極低μ路における従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図5(B)は、極低μ路における本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。図5に示すように、極低μ路では、駆動輪速度が制御目標値(目標駆動輪速度)に追従するように一旦上昇し、それに伴いエンジン回転数が上昇するものの、駆動輪の空転が発生する故に、従動輪の回転速度(推定車体速度V0)は略ゼロの一定値に留まる。
ここで、悪路発進時における従来的な車輪スリップ抑制制御では、図5(A)に示すように、最初のアクセルペダルを踏みこみ時だけエンジン回転数が上昇するが、その後、推定車体速度V0(従動輪の回転速度)が一定となる故に、制御目標値が一定となってエンジン回転数が上昇しない。この場合、車両がぬかるみ等から未脱出であるにも拘らず、アクセルペダルを踏んだ状態でエンジン回転数が上昇しないこととなり、運転者に違和感ないしエンジン等の故障の危惧感を与えうる。
これに対して、本実施例では、制御目標値が、上述の如く、車両発進が不能な状態が一定時間T継続した場合に、一時的に大きな値が設定されるので、図5(B)に示すように、一定時間T毎に、エンジン回転数が上昇する。これにより、ぬかるみ等から未脱出である状況下で、アクセルペダルがON状態でエンジン回転数が一定に留まってしまい、運転者に違和感ないしエンジン等の故障の危惧感を与えてしまうことを防止することができる。
尚、本実施例において、車輪スリップ抑制制御実行中に、駆動輪速度が変動しない状態及び/又はエンジン回転数が変動しない状態が一定時間継続した場合に、制御目標値が大きな値に一時的に補正されることとしてもよい。
また、本実施例では、車輪スリップ抑制制御の制御目標値とエンジン制御(特にはエンジン回転数)とが連動していることから、車両発進が不能な状態が一定時間T継続した場合に制御目標値を増加させてエンジン回転数を増加させているが、車輪スリップ抑制制御の制御目標値は変化させず、エンジン回転数だけを同様に増加させることとしてもよい。
実施例3は、車輪スリップ抑制制御実行中、増加傾向にある従動輪の回転速度又は一定に安定した従動輪の回転速度(推定車体速度V0)が減少する失速現象が生じた際に、当該失速に抗する適切な加速性能を提供できる車輪スリップ抑制制御に関する。
この種の失速現象は、典型的には、圧雪・除雪車両等により圧雪や除雪されていない道路を走行した際、当該道路上の雪(例えば20cmくらい積もってそのままにされた状態、もこ雪状態)の抵抗に起因して発生する。かかる失速現象が生ずると、従動輪の回転速度(推定車体速度V0)が減少する故に、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が一時的に減少し、そのまま停止に至るような失速を余儀なくされてしまう虞がある。
そこで、本実施例3では、車輪スリップ抑制制御の実行中に、車両発進が不能な状態が検知された場合に、制御目標値を一時的に増加させ、それに伴いエンジン回転数を一時的に増加させる。これにより、運転者に車輪スリップ抑制制御に対する違和感ないし故障の危惧感を抱かせないようにすることができる。
図6は、本実施例に係る車輪スリップ抑制制御装置(制御目標値決定部20c)により実行される主要処理を示すフローチャートである。
ステップ300では、車輪スリップ抑制制御の実行中であるか否かが判定される。車輪スリップ抑制制御の実行中でない場合には、最大車速記憶値VMAXが初期値ゼロ[km/h]にリセットされる(ステップ305)。一方、車輪スリップ抑制制御の実行中である場合には、ステップ310に進む。
ステップ310では、推定車体速度V0が最大車速記憶値VMAXよりも小さいか否かが判定される。推定車体速度V0が最大車速記憶値VMAXよりも大きい場合には(否定判定の場合には)、最大車速記憶値VMAXが推定車体速度V0にセットされる(ステップ315)。従って、推定車体速度V0が増加するにつれて、最大車速記憶値VMAXが増加していくことになる。一方、推定車体速度V0が最大車速記憶値VMAXよりも小さい場合には、ステップ320に進む。
ステップ320では、最大車速記憶値VMAXが推定車体速度V0に対して所定閾値Thr1大きいか否か、即ち、最大車速記憶値VMAXから失速判定用閾値Thr1以上小さくなったか否かが判定される。推定車体速度V0が、最大車速記憶値VMAXから失速判定用閾値Thr1以上小さくなっていない場合には(否定判定の場合には)、特に何ら実行されることなく、本処理ルーチンは終了される。一方、推定車体速度V0が、最大車速記憶値VMAXから失速判定用閾値Thr1以上小さくなった場合には、ステップ330に進む。
ステップ330では、失速現象が検知されたと判断して、制御目標値が大きな値に変更(補正)される。この際、制御目標値は、例えば所定の割合又は所定値だけ大きくされてもよい。或いは、上述の実施例1のように、悪路状態を示すフラグが強制的に設定され、悪路状態での制御目標値が、それまで用いられていた良路状態での制御目標値に代えて用いられてもよい。
このように本実施例によれば、失速現象が生じた際に、当該失速現象を確実に検出することができる。また、失速現象が検出された場合に、制御目標値が大きな値に変更されるので、その後、失速に抗する優れた加速性能が実現され、停止に至るような失速を余儀なくされることが確実に防止される。
図7は、本実施例による車輪スリップ抑制制御の有用性を示す図であり、図7(A)は失速現象が生じた場合の従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図7(B)は、失速現象が生じた場合の本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。図7に示すように、時刻t2付近で例えばもこ雪路に遭遇して失速現象が生じ始めると、時刻t2以降、従動輪の回転速度(推定車体速度V0)が大きく減少し始め、それに伴い、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が減少していく。
ここで、失速現象発生時における従来的な車輪スリップ抑制制御では、図7(A)に示すように、従動輪の回転速度(推定車体速度V0)が大きく減少し始め、それに伴い、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が減少していくので、車両がそのまま停止に至るような失速を余儀なくされる。
これに対して、本実施例では、図7(B)に示すように、時刻t3で失速現象が検出されると、失速現象が検知されなくなる時刻t5まで、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が増大されるので、時刻t4付近から車体速度が増加し始め、停止に至るような失速が防止されている。
尚、本実施例では、増加傾向にある従動輪の回転速度が減少する失速現象が生じた際に、車輪スリップ抑制制御の制御目標値が増大されているが、その他の失速現象の場合においても、例えば、車輪スリップ抑制制御実行中に、略一定回転速度に安定した従動輪の回転速度が減少する失速現象が生じた場合に、車輪スリップ抑制制御の制御目標値を増大させることとしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
本発明による車輪スリップ抑制制御装置の要部構成を示すブロック図である。 本実施例に係る路面状態推定部20aの路面推定結果の出力処理を示すフローチャートである。 図3(A)は、悪路発進時における従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図3(B)は、悪路発進時における本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。 実施例2に係る車輪スリップ抑制制御装置(制御目標値決定部20c)により実行される主要処理を示すフローチャートである。 図5(A)は、極低μ路等のような車両発進が不能な環境下における従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図5(B)は、同環境下における本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。 実施例3に係る車輪スリップ抑制制御装置(制御目標値決定部20c)により実行される主要処理を示すフローチャートである。 図7(A)は失速現象が生じた場合の従来的な車輪スリップ抑制制御を示す図であり、図7(B)は、失速現象が生じた場合の本実施例による車輪スリップ抑制制御を示す図である。
符号の説明
10 車輪スリップ抑制制御装置
20 ECU
20a 路面状態推定部
20b 車体速度推定部
20c 制御目標値決定部
20d フィードバック制御部
30 制駆動力発生装置
30a 制動力発生装置
30b 駆動力発生装置
32 車輪速センサ

Claims (4)

  1. 路面状態を推定し、推定した路面状態に応じて、少なくとも2以上の異なる決定態様のうちから1つの決定態様を選択し、該選択した決定態様で、駆動輪の回転速度に関連する制御目標値を決定し、決定した制御目標値に向けて駆動輪の回転速度を制御して車輪スリップ抑制制御を行なう車輪スリップ抑制制御装置において、
    推定車体速度が所定速度を超える車両走行時には、推定した路面状態に応じて、少なくとも2以上の異なる決定態様のうちから1つの決定態様を選択し、該選択した決定態様で前記制御目標値が決定されるのに対して、車両発進時から推定車体速度が前記所定速度より大きくなるまでは、推定した路面状態の如何に拘わらず、第1の決定態様よりも駆動輪の回転速度が速くなる制御目標値を決定する第2の決定態様によって、前記制御目標値が決定されることを特徴とする、車輪スリップ抑制制御装置。
  2. 推定車体速度が前記所定速度以下の低速域においては、第2の決定態様によって前記制御目標値が決定されることを特徴とする、請求項1に記載の車輪スリップ抑制制御装置。
  3. 車輪スリップ抑制制御の実行中に、従動輪の回転速度が所定値以下の状態が継続した場合には、一定時間毎にエンジン回転数が上昇するように、駆動輪の回転速度が速くなる方向に前記制御目標値が一時的に一定時間毎に増加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車輪スリップ抑制制御装置。
  4. 車輪スリップ抑制制御の実行中に、従動輪の回転速度が減少する失速現象が検知された場合には、駆動輪の回転速度が速くなる方向に前記制御目標値が増加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車輪スリップ抑制制御装置。
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