JP4806374B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
この車両用ホイールは、中空パイプから形成された副気室部材をウェル部に固定することで副気室を形成することができるので、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)と比べて現実的で量産化に適した構造となっている。
しかしながら、肉厚が均一となる中空パイプでは、車両用ホイールの軽量化と副気室部材の強度の向上とを両立させることは難しい。
本発明の車両用ホイールは、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにホイールに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室を有する副気室部材をホイールに固定することで製造される。
したがって、本発明の車両用ホイールでは、従来の車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストが削減される。
また、本発明の車両用ホイールは、副気室部材を箱体と底板とのかしめ構造で形成しているので、中空パイプからなる副気室部材を備えた車両用ホイール(特願2006−305649参照)と異なって、その製造工程で中空パイプの両端を潰して副気室部材を形成する工程が省略される。その結果、本発明の車両用ホイールでは、中空パイプからなる副気室部材を備えた車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストが削減される。
また、本発明の車両用ホイールは、副気室部材を箱体と底板とのかしめ構造で形成しているので、均一な肉厚の中空パイプからなる副気室部材と異なって、副気室部材の肉厚を箱体と底板とで変更可能となる。その結果、この車両用ホイールは、箱体の肉厚を厚く設定することで副気室部材の強度を向上させつつ、底板の肉厚を薄く設定することでその軽量化を図ることが可能となる。このような車両用ホイールおいては、前記箱体の板厚を前記底板の板厚よりも厚くすることができる。
この車両用ホイールでは、箱体の壁面に形成されるビードによって箱体の強度がさらに向上する。
この車両用ホイールでは、副気室部材の内部に防錆のための塗装を別途に施す必要がないので、製造工数がさらに削減される。また、防錆を考慮してステンレス等の高価な材料を副気室部材に使用しなくてもよいので、更に製造コストが削減される。また、この車両用ホイールでは、副気室部材の内部に塗装を施したものと比較して、ホイールに副気室部材を溶接する際に、塗装膜が原因となる溶接欠陥を生じることもないので溶接強度の保障が容易となる。
ウェル部11cは、車両用ホイール10の径方向のより内側で軸方向の長さを可能な限り広くするように設定されている。これにより、リム11の軽量化を図ることができる。さらに具体的に説明すると、図2(b)に示すように、点線で示すリム部分111cを径方向内側にシフトさせてウェル部11cの割合を大きくすることで、シフトさせた部分の周長が短くなってリム11の軽量化が図られることとなる。
副気室部材13は、図3に示すように、ウェル部11cの周方向に沿って配置される一方向に長い部材であって、その内部に副気室SCを有している。そして、本実施形態での副気室部材13は、ウェル部11cの周面に沿って等間隔に4つ配置されている。つまり、本実施形態での車両用ホイール10は、リム11の中心を挟んで対向する1対の副気室部材13を2組備えている。これらの副気室部材13は、後記する固定部位SP1,SP2でウェル部11cにスポット溶接されている。
また、箱体14は、図4(a)および(c)に示すように、長手方向の一端側に連通部14cを備えている。この連通部14cは、縁部14aの一部を半円筒状に形成したものである。この連通部14cと底板15との間には、副気室SCと副気室部材13の外部とを連通する連通孔13bが形成されている。なお、この連通孔13bの長さを後記する(式1)のL(m)に設定するために、縁部14aには切欠き部14dが形成されている。
また、本実施形態での底板15は、図5に示すように、かしめ代15aをその周縁の全体にわたって有している。そして、副気室部材13では、図4(a)から(c)に示すように、かしめ代15aが箱体14の縁部14a側に折り返されてかしめられている。ちなみに、箱体14と底板15との接触部分、好ましくはかしめ部分のみにシール材を施してもよい。このシール材としては、例えば、シリコーンゴム等の弾性材や、接着剤、粘着剤からなる薄層材等が挙げられる。このようなシール材は、副気室SCの気密性をより確実に保つことができる。
ちなみに、扁平な断面形状の副気室SCを有する副気室部材13は、副気室SCの所定の容積を確保しつつも、図2(a)に示す副気室部材13の高さh1を低くすることができる。その結果、タイヤ20のリム組時におけるレバー等の工具やタイヤ20(ビード部21a等)が副気室部材13と接触する恐れが低減される。なお、副気室部材13の高さh1は、ビードシート部11aの高さh2以下に設定することが望ましい。
そして、連通孔13bの長さ、および開口部の断面積は、次の(式1)で示されるヘルムホルツ・レゾネータの共鳴周波数を求める式を満たすように設定される。
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔13bの長さ
S(m2):連通孔13bの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。この際、図3に示す4つの副気室部材13の共鳴周波数f0は、全て同じに設定してもよいし、違えてもよい。具体的には、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に2つの共鳴周波数(f1,f2)が認められる場合に、4つの副気室部材13の共鳴周波数f0を(f1+f2)/2に設定することができる。また、リム中心を挟んで対向する1対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf1に設定し、他の1対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf2に設定することもできる。
副気室部材13(箱体14および底板15)に使用する板材としては、鉄、アルミニウム、ステンレス等の一般的な金属からなるものを好適に使用することができる。また、この板材が錆びやすい金属からなる場合には、予め塗装、メッキ等の表面処理を施したものが好ましい。中でも、メッキ薄板鋼板はより好ましい。
そして、箱体14と底板15とは、前記したかしめ加工によって相互に接合される(ステップS3)。この工程を経ることで図4(a)に示す副気室部材13が作製される。
そして、リム11およびディスク12を含むホイール全体に所定の塗装が施されることによって(ステップS5)、本実施形態に係る車両用ホイール10が完成する。
次に、副気室部材は、リム11(ウェル部11c)にスポット溶接されることで固定される(ステップS16)。そして、リム11およびディスク12を含むホイール全体に所定の塗装が施されることによって(ステップS17)、比較例に係る車両用ホイールが完成する。
本実施形態に係る車両用ホイール10は、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにリムに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室SCを有する副気室部材13をリム11(ウェル部11c)に固定することで製造することができる。
また、本実施形態に係る車両用ホイール10は、副気室部材13をリム11に結合する前に副気室部材13単独で共鳴周波数の確認および修正が可能なので不良品を削減することができる。
したがって、本実施形態に係る車両用ホイール10は、従来の車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストを削減することができ、量産性を向上させることができる。
この際、連通孔13bの長さは、箱体14側の縁部14aに設けられた切欠き部14dの深さ(大きさ)を調節することで容易に変更することができる。
図7(a)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に2つ配置している。
図7(b)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に3つ配置している。
図8(b)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの幅方向中央よりもディスク12の面(ホイールディスク面)寄りに配置している。
これらのビード16は、鋼板コイルから切り出した箱体14用の前記原板にプレス成形等を施してこの原板上にリブ状形状を突出させて形成する。
また、膨らみ部14bにおけるビード16の配置位置、および数は、特に制限はなく、適宜に変更することができる。
また、図11(e)に示す副気室部材13は、図11(d)に示す副気室部材13の一方の傾きのビード16のみとし、このビード16に交差する逆の傾きのビード16を省略したものである。
13 副気室部材
13b 連通孔
14 箱体
15 底板
16 ビード
MC タイヤ空気室
SC 副気室
Claims (4)
- ヘルムホルツレゾネータを構成する副気室部材をホイールのタイヤ空気室側に固定した車両用ホイールであって、
前記副気室部材は、
箱体と底板とを備えてなり、
前記箱体および前記底板のいずれか一方を他方側にかしめて相互に接合することによってその内部に形成される副気室と、
前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、
を有していることを特徴とする車両用ホイール。 - 前記箱体の板厚を前記底板の板厚よりも厚くしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
- 前記箱体の壁面にビードを形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ホイール。
- 前記箱体および前記底板をメッキ薄板鋼板で形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ホイール。
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