JP7028693B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
このヘルムホルツレゾネータは、ウェル部の外周面に向けて押し付けられるとその両縁部が弾性変形することで周溝に容易に嵌り込む。そのため、このようなヘルムホルツレゾネータによれば、ホイールに対する取り付けを容易に行うことができる。
しかしながら、ウェル部の外周面に取り付けられたヘルムホルツレゾネータには、車両走行時のタイヤの高速回転によって極めて大きな遠心力が生じる。そのため、接着剤でリムに取り付けられたヘルムホルツレゾネータの固着力を一段と向上させた車両用ホイールが望まれる。
以下では、まず車両用ホイールの全体構成について説明した後に、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材と、接着剤によるリムへの副気室部材の取付構造と、について説明する。なお、参照する図1から図9において、「X」は、ホイール周方向、「Y」は、ホイール幅方向、「Z」は、ホイール径方向、をそれぞれ示している。また、ホイール幅方向Yにおいて、その内側を「一側」とし、その外側を「他側」と示している。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ホイール1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ホイール1は、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属製のリム11に、例えばポリアミド樹脂などの合成樹脂製の副気室部材10(ヘルムホルツレゾネータ)が取り付けられて構成されている。
図1中、符号12は、リム11を図示しないハブに連結するためのディスクである。
次に、副気室部材10について説明する。
図2は、副気室部材10の全体斜視図である。図3は、図1のIII-III断面図である。図4は、図3のIV-IV線における一部省略拡大縦断面図である。
本体部13は、内側が中空になっている。この中空部(図示省略)は、後記の副気室SC(図3参照)を形成している。この中空部は、仕切り壁16によってホイール周方向Xに二分されている。
具体的には、本体部13は、ウェル部11cの外周面11dに沿って配置される底部25b(底板)と、一対の縦壁15の側面14のそれぞれに沿って配置される側部25c(側板)と、底部25bに対向するように配置される上部25a(上板)と、が略矩形を形成するように相互に接続された構成となっている。
このような上部25aと底部25bと側部25cとは、本体部13の内側に副気室SCを囲繞形成している。
そして、本実施形態での外周面11dからの本体部13の高さ(ホイール径方向Zの高さ)は、縦壁15の高さに一致している。また、本体部13の横幅(ホイール幅方向Yの長さ)は、縦壁15aと縦壁15bとの間に収まる長さに設定されている。
また、本体部13の横幅は、縦壁15a,15b間に本体部13を圧入することを前提に、縦壁15a,15bから反力を受ける程度に縦壁15a,15b間の距離よりも長く設定することもできる。この際、本体部13の横幅は、圧入後の副気室SCの容積が設計上の容積を逸脱しないように設定されることが望ましい。
なお、上側結合部33aは、上部25aが底部25b側に向かって部分的に窪むように形成されたものである。また、下側結合部33bは、底部25bが上部25a側に向かって部分的に窪むように形成されたものである。
このようなブリッジ33は、略円柱状を呈しており、上部25aと底部25bとを部分的に連結している。そして、ブリッジ33は、本体部13の上下方向のそれぞれの対応する位置に、平面視で円形の開口を形成している。
このような傾斜部25dの内側では、副気室SCは、ホイール周方向Xの中央側からホイール周方向Xの端縁に向かうほど、つまり前記の先端縁Leに向かうほど容積が徐々に絞られるように形成される。
すなわち、図4に示すように、傾斜部25dは、本体部13の上部25aが本体部13の先端縁Leに向かって延びるほど底部25bに徐々に近づくように変位し、先端縁Leで上部25aと底部25bとが接続されることで形成される。
図1に示すように、管体18は、本体部13におけるホイール幅方向Yの一側(車両用ホイール1の内側)に偏位した位置で、本体部13からホイール周方向Xに突出するように形成されている。
このような連通孔18aは、本体部13の内側に形成される副気室SC(図3参照)と、ウェル部11c(図3参照)上でタイヤ(図示省略)との間に形成されるタイヤ空気室9(図3参照)と、を連通させている。
図1に示すように、板状延出部8は、本体部13の先端縁Leからホイール周方向Xに延出している。
図2に示すように、板状延出部8は、平面視で矩形の板体であり、ホイール幅方向Yに本体部13と略同幅に形成されている。
具体的には、本実施形態での板状延出部8は、図4の本体部13の側面視で、底部25bのホイール周方向Xの曲率半径よりも後記の接着剤21の膜厚T1,T2(図6参照)に応じて僅かに長い曲率半径となるようにホイール周方向Xに延びている。
次に、リム11(図1参照)に対する副気室部材10(図1参照)の取付構造について説明する。
図3に示すように、副気室部材10は、ホイール幅方向Yにおいては、本体部13の底部25bとウェル部11cの外周面11dとが接着剤21で接続されている。
また、図4に示すように、副気室部材10は、ホイール幅方向Yにおいては、本体部13と外周面11dとの接着に加えて、板状延出部8の下面とウェル部11cの外周面11dとが接着剤21で接続されている。
ちなみに、このような接着剤21の硬化形態としては、特に制限はないが、中でも化学反応型のものが好ましい。
接着剤21の塗布法としては、例えばバーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、刷毛塗り法、ホットメルト法などが挙げられるがこれに限定されるものではない。
本実施形態の車両用ホイール1(図1参照)は、ホイール回転時の遠心力が強く働く部位における接着剤21(図3参照)の厚さが他の部位よりも厚くなっている。
ここで「遠心力が強く働く部位」としては、遠心力Fの式(F=mrω2:mは、副気室部材における質点の質量、rは、ホイール回転中心からの質点の距離、ωは、質点の角速度)にしたがって、副気室部材10を形成する素材(例えば、合成樹脂)が偏在する部位、特にホイール径方向Zの、より外側で素材が編在する部位が挙げられる。具体的には、「遠心力が強く働く部位」は、ウェル部11cの外周面11dに対向する副気室部材10の一般部、つまり副気室部材10の底部25bを基準部位にした場合に、この基準部位よりも遠心力が強く働く、図3に示すブリッジ33が形成される部位、側部25cが形成される部位、図4に示す板状延出部8などが挙げられる。
本実施形態の車両用ホイール1は、図3に示すように、副気室部材10(ヘルムホルツレゾネータ)の一般部7a(基準部位である底部25b)よりもホイール回転時の遠心力が強く働く部位(ブリッジ33の形成部位)であって接着剤21が一般部7aよりも厚く塗布される接着力強化部7bを有している。
図5に示すように、接着力強化部7bは、ブリッジ33の下方でウェル部11cの外周面11dに対する本体部13の対向面で形成される。また、一般部7aは、ウェル部11cの外周面11dに対する底部25bの対向面のうち、接着力強化部7bを除く全ての対向面で形成される。
そして、接着力強化部7bには、一般部7aよりも接着剤21が厚く塗布されている。
このようなブリッジ33の下部、つまり下側結合部33b内には、図示しないが、接着剤21を充填することもできる。
図4に示すように、本実施形態の車両用ホイール1(図1参照)は、ウェル部11cの外周面11dと本体部13の底部25bとの間の接着剤21の膜厚よりも、ウェル部11cの外周面11dと板状延出部8との間の接着剤21の膜厚のほうが厚くなっている。
図6に示すように、副気室部材10(ヘルムホルツレゾネータ)のホイール周方向Xの端部には、ウェル部11cの外周面11d(ホイール)から離れるように段差S1が形成されている。この段差S1は、板状延出部8及び本体部13の底部25bのそれぞれにおけるウェル部11cの外周面11dからの距離の差で形成されている。
具体的には、底部25bと外周面11dとの間には、膜厚T1の接着剤21が介在し、板状延出部8と外周面11dとの間には、段差S1に応じて前記の膜厚T1よりも厚い膜厚T2の接着剤21が介在している。
なお、図6中、符号15は、リム11の縦壁であり、符号18は、管体であり、符号25dは、本体部13の傾斜部である。
次に、本実施形態の車両用ホイール1の奏する作用効果について説明する。
本実施形態の車両用ホイール1は、副気室部材10(ヘルムホルツレゾネータ)が接着剤21によってリム11に取り付けられている。
このような車両用ホイール1によれば、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)と異なってリム11に副気室部材10を取り付けるための周溝を切削加工する必要がない。したがって、この車両用ホイール1によれば、製造工程が簡素化されて従来よりも製造コストを一段と削減することができる。
この車両用ホイール1における接着剤21には、遠心力が剥離方向に働く。これに対して接着剤21の剥離強度[N/mm]は、せん断強度[N/mm2]とは異なって、膜厚が厚いほど大きくなる。
本実施形態の車両用ホイール1によれば、強く遠心力が働く部位に接着剤21が厚く施されることで、リム11に対する副気室部材10の固着力を一段と高めることができる。
ここではまず、ウェル部11cの外周面11dと、副気室部材10の本体部13との間に介在する接着剤21の膜厚が一定であると仮定する。また、ホイール回転時に副気室部材10に働く遠心力がホイール周方向Xに渡って均等に印加されるものと仮定する。
なお、板状延出部8は、底部25bと比べてホイール径方向Zの外側に位置することで、一般部7aとしての底部25bに対して前記のように接着力強化部7bを構成している。
つまり、上部25aを形成する素材の質点m、言い換えれば遠心力(mrω2:但しω回転角速度)の構成要素である質点mの回転中心からの距離rは、本体部13の先端縁Leに向かって延びるほど短くなる。その結果、本体部13に働く遠心力は、先端縁Leに近づくほど減少する。
したがって、この車両用ホイール1によれば、ホイール周方向Xの端部での外周面11dに対する副気室部材10の保持力がより一層高められる。
このようなブリッジ33の下側結合部33b内には、前記のように、接着剤21を充填することもできる。
このような車両用ホイール1によれば、接着剤21の膜厚を増加させて接着剤21の剥離強度を高めることもできる。
図7は、第一変形例に係る車両用ホイール1におけるブリッジ33の下部周辺の部分拡大断面図である。図8は、第二変形例に係る車両用ホイール1におけるブリッジ33の下部周辺の部分拡大断面図である。なお、図7及び図8において、前記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
そして、この円柱状の空間には接着剤21が充填されることで、本体部13の底部25bにおける接着剤21の膜厚よりも、円柱状の空間に充填された接着剤21の膜厚のほうが厚くなっている。
このような弾性発泡部材6は、下側結合部33bの内側に形成される内部空間のうち、下側結合部33bの開口径を広げるR部33dを残して下側結合部33bの内部空間を埋めている。
次に参照する図9(a)から(c)は、副気室部材10の板状延出部8の変形例を示す副気室部材10の部分平面図である。
このような板状延出部8を有する副気室部材10によれば、ウェル部11c(図1参照)の外周面11d(図1参照)に対する必要十分な接着面を確保しつつ、板状延出部8のコンパクト化を図ることができる。
このような板状延出部8を有する副気室部材10によれば、欠き部8aを挟んだホイール幅方向Yの一対の延出部8bで、本体部13からホイール周方向Xにより離れた箇所での接着面を確保するとともに、切欠き部8aによる板状延出部8自体の軽量化を図ることができる。
このような板状延出部8を有する副気室部材10によれば、ウェル部11c(図1参照)の外周面11d(図1参照)に対する副気室部材10の保持力がより一層高められる。
このような板状延出部8を有する副気室部材10は、ウェル部11c(図1参照)の外周面11d(図1参照)に対する接着面が増大するので、副気室部材10の保持力が高められる。
6 弾性発泡部材
7a 一般部
7b 接着力強化部
8 板状延出部
8a 切り欠き部
8b 延出部
9 タイヤ空気室
10 副気室部材
11 リム
11c ウェル部
11d 外周面
12 ディスク
13 本体部
14 側面
15 縦壁
15a 縦壁
15b 縦壁
16 仕切り壁
17 立ち上り部
18 管体
18a 連通孔
19 周壁
21 接着剤
25a 上部
25b 底部
25c 側部
25d 傾斜部
33 ブリッジ
33a 上側結合部
33b 下側結合部
33c 接合部
33d R部
F 遠心力
Le 先端縁
P 接続点
S1 段差
S2 段差
SC 副気室
T1 膜厚
T2 膜厚
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
Z ホイール径方向
Claims (6)
- ヘルムホルツレゾネータが接着剤で取り付けられた車両用ホイールであって、
前記ヘルムホルツレゾネータのホイール周方向の端部には、ホイール周方向に延出してホイールに接着される板状延出部が設けられ、
前記ヘルムホルツレゾネータのホイール周方向の端部には、ホイールから離れるように段差が形成され、
前記段差が形成された部位における前記接着剤の厚さが他の部位よりも厚くなっていることを特徴とする車両用ホイール。 - 前記ヘルムホルツレゾネータは、ウェル部の外周面に沿うように接着され、
前記ヘルムホルツレゾネータは、ホイール周方向の中央側からホイール周方向の端縁に向かうほど前記ヘルムホルツレゾネータの副気室の容積が絞られていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。 - 前記ヘルムホルツレゾネータは、ウェル部の外周面に沿うように接着されるとともに、
前記ウェル部の外周面側に配置される底部と、前記底部との間で副気室を形成する上部と、前記底部と前記上部とを接合するブリッジと、を有し、
前記底部における前記ブリッジの周囲には、ホイールから離れるように段差が形成され、
前記段差が形成された部位における前記接着剤の厚さは、段差の周囲における前記接着剤の厚さよりも厚くなっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。 - ヘルムホルツレゾネータが接着剤で取り付けられた車両用ホイールであって、
前記ヘルムホルツレゾネータは、ウェル部の外周面に沿うように接着されるとともに、
前記ウェル部の外周面側に配置される底部と、前記底部との間で副気室を形成する上部と、前記底部と前記上部とを接合するブリッジと、を有し、
前記底部における前記ブリッジの周囲には、ホイールから離れるように段差が形成され、
前記段差が形成された部位における前記接着剤の厚さは、段差の周囲における前記接着剤の厚さよりも厚くなっていることを特徴とする車両用ホイール。 - 前記ブリッジにおける前記底部と前記上部との接合部が、ホイール側に変位して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイール。
- 前記底部側に形成される前記ブリッジの開口を介して、前記ブリッジ内に弾性発泡部材が充填されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイール。
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