JP4794172B2 - 非水電解液二次電池及びその充電方法 - Google Patents

非水電解液二次電池及びその充電方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4794172B2
JP4794172B2 JP2005010417A JP2005010417A JP4794172B2 JP 4794172 B2 JP4794172 B2 JP 4794172B2 JP 2005010417 A JP2005010417 A JP 2005010417A JP 2005010417 A JP2005010417 A JP 2005010417A JP 4794172 B2 JP4794172 B2 JP 4794172B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
negative electrode
positive electrode
electrode active
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005010417A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006202529A (ja
Inventor
弘 中川
賢司 浅岡
克哉 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Electric Co Ltd filed Critical Sanyo Electric Co Ltd
Priority to JP2005010417A priority Critical patent/JP4794172B2/ja
Publication of JP2006202529A publication Critical patent/JP2006202529A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4794172B2 publication Critical patent/JP4794172B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、リチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで電極電位を有する正極活物質を用いた高電圧で充電する非水電解質二次電池及びその充電方法に関し、特に正極活物質として少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有する少なくともマンガンとニッケルの両方を含有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物との混合物からなり、電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで充電できる正極活物質を用いた正極と、負極活物質として黒鉛等の炭素材料を用いた負極とを組み合わせて、4.3V〜4.5Vの高電圧となるまで充電するサイクル特性に優れた非水電解質二次電池及びその充電方法に関する。

携帯型の電子機器の急速な普及に伴い、それに使用される電池への要求仕様は、年々厳しくなり、特に小型・薄型化、高容量でサイクル特性が優れ、性能の安定したものが要求されている。そして、二次電池分野では他の電池に比べて高エネルギー密度であるリチウム非水電解質二次電池が注目され、このリチウム非水電解質二次電池の占める割合は二次電池市場において大きな伸びを示している。
ところで、この種の非水電解質二次電池が使用される機器においては、電池を収容するスペースが角形(扁平な箱形)であることが多いことから、発電要素を角形外装缶に収容して形成した角形の非水電解質二次電池が使用されることが多い。このような角形の非水電解質二次電池は以下のようにして作製されるのが一般的である。
すなわち、細長いシート状の銅箔等からなる負極芯体(集電体)の両面に負極活物質を含有する負極合剤を塗布した負極板と、細長いシート状のアルミニウム箔等からなる正極芯体の両面に正極活物質を含有する正極合剤を塗布した正極板との間に、微多孔性ポリエチレンフィルム等からなるセパレータを配置し、負極板及び正極板をセパレータにより互いに絶縁した状態で円柱状の巻き芯に渦巻状に巻回して、円筒形の渦巻状電極体を作製する。この円筒状電極体をプレス機で押し潰し、角形の電池外装缶に挿入できるような形に成型した後、これを角形外装缶に収容し、電解液を注液して角形の非水電解質二次電池としている。
このような従来の角形の非水電解質二次電池の構成を図面を用いて説明する。図1は下記特許文献1に開示されている角形の非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。この非水電解質二次電池10は、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して巻回された扁平状の渦巻状電極体14を、角形の電池外装缶15の内部に収容し、封口板16によって電池外装缶15を密閉したものである。
渦巻状電極体14は、正極板11が最外周に位置して露出するように巻回されており、露出した最外周の正極板11は、正極端子を兼ねる電池外装缶15の内面に直接接触し、電気的に接続されている。また、負極板12は、封口板16の中央に形成され、負極端子を兼ねる絶縁体17を介して取り付けられた負極端子18に対して、集電体19を介して電気的に接続されている。
そして、電池外装缶15は、正極板11と電気的に接続されているので、負極板12と電池外装缶15との短絡を防止するために、渦巻状電極体14の上端と封口板16との間に絶縁スペーサ20を挿入することにより、負極板12と電池外装缶15とを電気的に絶縁状態にしている。
この角形の非水電解質二次電池は、渦巻状電極体14を電池外装缶15内に挿入した後、封口板16を電池外装缶15の開口部にレーザ溶接し、その後電解液注液孔21から非水電解液を注液して、この電解液注液孔21を密閉することにより作製される。このような角形の非水電解質二次電池は、使用時のスペースの無駄が少なく、しかも電池性能や電池の信頼性が高いという優れた効果を奏するものである。
このような非水電解質二次電池に使用される負極活物質としては、黒鉛、非晶質炭素などの炭素質材料がリチウム金属やリチウム合金に匹敵する放電電位を有しながらも、デンドライトが成長することがないために安全性が高く、更に初期効率に優れ、電位平坦性も良好であり、また、密度も高いという優れた性質を有していることから広く用いられている。
一方、正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFeO等のリチウム複合酸化物が炭素材料からなる負極と組み合わせることにより高エネルギー密度の4V級の非水電解質二次電池が得られることが知られている。このうち、特に各種電池特性が他のものに対して優れていることから、LiCoOが多く使用されているが、コバルトは高価であると共に資源としての存在量が少ないため、このLiCoOを非水電解質二次電池の正極材料として使用し続けるには非水電解質二次電池のさらなる高性能化及び高寿命化が望まれており、また、コバルトに換えて他の遷移元素を使用することでコバルトを使用した場合と同等ないしはそれ以上の各種電池特性を達成すべく現在に至るまで多くの開発がなされている。
たとえば、下記特許文献2及び3に開示されているように、LiCoOを正極活物質として用いた非水電解質二次電池の特性向上方法として、LiCoOへZr、Mg等の異種元素を添加する方法が知られている。下記特許文献2には、正極活物質であるLiCoOにジルコニウムを添加することで、高電圧を発生し、かつ優れた充放電特性と保存特性を示す非水電解質二次電池が開示されている。このジルコニウムを添加したLiCoOを用いた非水電解質二次電池の効果は、LiCoO粒子の表面が酸化ジルコニウムZrO若しくはリチウムとジルコニウムとの複合酸化物LiZrOにより覆われることによって安定化され、その結果、高い電位においても電解液の分解反応や結晶破壊を起こすことなく、優れたサイクル特性、保存特性を示す正極活物質が得られることによるものであって、この効果は、単に焼成後のLiCoOにジルコニウム若しくはジルコニウムの化合物を混合するだけでは得られず、リチウム塩とコバルト化合物とを混合したものにジルコニウムを添加して焼成することにより得られるものである。
また、下記特許文献3には、正極活物質であるLiCoOに添加する異種元素として、ジルコニウム(Zr)のみでなく、チタン(Ti)及び弗素(F)をも含めた中から少なくとも1種を添加することにより、リチウム非水電解質二次電池の負荷特性及びサイクル特性を向上させることができることが示されている。
さらに、下記特許文献4には、NiとMnの組成比が実質的に等しい層構造を有するLi遷移金属複合酸化物が、LiCoOと同等の4V近傍の電圧を有し、かつ高い容量で優れた充放電効率を示すことが開示されており、また、下記特許文献5には、遷移金属としてNi及びMnを少なくとも含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物に弗素をさらに含有している正極活物質を使用すると、負極活物質として炭素材料を含む負極と組み合わせることにより4.4V以上の充電電圧で充電することができるとともに熱的安定性に優れた非水電解質二次電池が得られること、さらには、下記非特許文献1には、Ni、Co、及びMnを含むリチウム遷移金属複合酸化物の中でも、MnとNiの組成比が等しい化学式LiMnNiCo(1−2x)で表される材料が、充電状態(高い酸化状態)でも特異的に高い熱的安定性を示すことが示されている。
現在、例えばコバルト酸リチウムLiCoOなどのリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用い、炭素材料を負極活物質として用いた非水電解質二次電池においては、黒鉛等炭素材料の負極活物質と組み合わせたとき、一般に充電電圧は4.1〜4.2V(正極活物質の電位はリチウム基準で4.2〜4.3V)となっている。このような充電条件では、正極は理論容量に対して50〜60%しか利用されていないことになる。したがって、充電電圧をより高くすることができれば、正極の容量を理論容量に対して70%以上で利用することが可能となり、電池の高容量化及び高エネルギー密度化が可能となる。
本出願人は、上述のような非水電解質二次電池用の正極活物質の開発状況を踏まえて、さらに安定で高充電電圧を達成できる正極活物質を得るべく種々検討を重ねた結果、正極活物質として異種元素を添加したコバルト酸リチウムと層状マンガンニッケル酸リチウムを混合したものを使用した新規な非水電解質二次電池を開発し、既に特願2004−094475号及び特願2004−320394号(以下、まとめて「先願」という。)として特許出願している。
この先願発明にかかる非水電解質二次電池の正極活物質は、コバルト酸リチウムに少なくともZr、Mgの異種元素を添加することで高電圧(〜4.5V)での構造安定性を向上させ、さらに高電圧で熱安定性の高い層状マンガンニッケル酸リチウムを混合することで安全性を確保するようになしたものである。この正極活物質を使用した正極と炭素材料からなる負極活物質を有する負極と組み合わせると、充電電圧が4.3V以上4.5V以下の高電圧で充電可能な非水電解質二次電池が得られる。
なお、従来から広く使用されているポリ弗化ビニリデン等の弗素系樹脂をバインダーとして使用すると、この弗素系樹脂は成膜性が良好でないので、負極活物質である炭素材料の粒子と粒子との密着性及び炭素材料と金属箔集電体との密着性が良好でなく、さらには弗素系樹脂は高温下で分解するため、過充電時等の高温下では、分解により生じた弗素と脱離したリチウムとが激しく反応し、安全面においても問題が生じること(下記特許文献6参照)から、上述の先願発明の非水電解質二次電池の負極の製造に際してはバインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックスからなる結着剤とカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる増粘剤とを組み合わせて使用されている。
特開2001−273931号公報(特許請求の範囲、段落[0003]〜[0004]、図1) 特開平4−319260号公報(特許請求の範囲、段落[0006]、[0008]〜[0011]) 特開2004−299975号公報(特許請求の範囲、段落[0006]〜[0008]) 特開2002−042813号公報(特許請求の範囲、段落[0011]〜[0016]) 特開2004−296098号公報(特許請求の範囲) 特開2002−313323号公報(特許請求の範囲、段落[0003]〜[0006]) Electrochemical and Solid-State Letters,4(12)A200-A203(2001)
しかしながら、上述のような先願発明に係る高充電電圧を達成し得る非水電解質二次電池は、高容量化及び高エネルギー密度化を達成することができるが、一方では従来の4.2V充電仕様の非水電解質二次電池に比べるとサイクル特性が不十分であるという問題点があった。
本願の発明者等は、この先願発明に係る非水電解質二次電池のサイクル特性劣化の原因を検討した結果、以下のことが原因となっているものと推定した。すなわち、先願発明に係る非水電解質二次電池は、充電終止電圧を上げたことにより正極容量が増えるが、それに対応する分の負極活物質の塗布量を多くする必要がある。しかし、その結果として、負極におけるリチウムの挿入・脱離に対する抵抗が増大し、負極の劣化が発生してしまったことがサイクル特性劣化の一因であると考えられた。
そこで、本願の発明者等は、上述のような負極の劣化を防止すべく種々実験を繰り返した結果、負極活物質と混合させるバインダーとして負極表面に多孔性を付与できるものを使用することにより、負極におけるリチウムの挿入・脱離に対する抵抗を低下させることができ、その結果として充放電サイクル時の負極の劣化を抑制することができることを見出し、加えてこの充放電サイクル時の負極の劣化は、負極活物質である黒鉛材料として所定の粒度特性を有するものを使用することにより、さらに抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、充放電サイクル特性に優れた、正極活物質として少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有する少なくともマンガンとニッケルの両方を含有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物との混合物からなるものを使用し、前記正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで充電できる非水電解質二次電池及びその充電方法を提供することを目的とする。

本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、本発明に係る非水電解質二次電池の発明は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩を有する非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、
前記正極活物質は、少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有する少なくともマンガンとニッケルの両方を含有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物とを混合したものでありかつ、
前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が3μm〜15μmの黒鉛材料であり、
前記負極中にバインダーとしてカルボキシメチルセルロース−アンモニウム(NH−CMC)からアンモニアが脱離したH−CMCが含まれていることを特徴とする。
本発明においては、リチウムコバルト複合酸化物として、LiCo(1−x−y−z)ZrMg(ただし、0≦a≦1.1、x>0、y>0、z≧0、0<x+y+z≦0.03、M=Al、Ti、Snである。)が好ましい。異種金属としてZr及びMgの添加は必須であり、Al、Ti、Snとも合わせてこれらの異種金属の添加量が少ないとサイクル特性の向上効果が小さく、逆に添加量が多すぎると、これらの異種金属は電極反応に直接関与しないため、初期容量の低下をまねく。また、層状リチウムマンガンニッケル複合酸化物としては、NiとMnがモル比で実質的に等しいLiMnNiCo(ただし、0≦b≦1.2、0<s≦0.5、0<t≦0.5、u≧0、s+t+u=1、0.95≦s/t≦1.05である。)が好ましく、上記組成で熱安定性の高い活物質が得られる。
また、上記少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物(活物質A)及び層状リチウムマンガンニッケル複合酸化物(活物質B)との混合比は、質量比で、活物質A:活物質B=51:49〜90:10の範囲が好ましく、より好ましくは、70:30〜80:20である。上記活物質Aが51%未満であると初期容量が小さくなり、サイクル特性及び保存特性が悪化する。また、活物質Bが10%未満であると安全性が低下する。
また、本発明においては、非水溶媒系電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好ましく、カーボネート類がさらに好適に用いられる。
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。本発明では充放電効率を高める点からECを含む混合溶媒が好適に用いられるが、一般に環状カーボネートは高電位において酸化分解されやすいので、非水電解質中のEC含有量を5体積%以上25体積%以下とすることが好ましい。
なお、本発明における非水電解質の溶質としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)が好ましく用いられる。高い充電電圧で充電する場合、正極の集電体であるアルミニウムが溶解しやすくなるが、LiPFの存在下では、LiPFが分解することにより、アルミニウム表面に被膜が形成され、この被膜によってアルミニウムの溶解を抑制することができる。従って、リチウム塩としては、LiPFを用いることが好ましい。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
また、発明は非水電解質二次電池において、前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が5μm〜10μmの黒鉛材料であることを特徴とする。
この体積分率10%時の粒径Dl0は、黒鉛材料を粒径が異なる順に並べたとき、小粒径側から10%目の粒径をD10として表したものである。したがって、請求項2に係る発明では、負極活物質である黒鉛材料は粒径が5μmないし10μmよりも大きいものが多く存在しており、この大きな黒鉛粒子間の隙間に黒鉛微粉粒子が入り込んだ構成を備えていることになる。
また、発明は非水電解質二次電池において、前記非水電解質は、さらにビニレンカーボネートを0.5質量%〜5質量%含有することを特徴とする。
また、発明は非水電解質二次電池において、前記正極活物質のリチウムマンガンニッケル複合酸化物は、さらにコバルトを含有することを特徴とする。

また、発明は非水電解質二次電池において、負極充電容量/正極充電容量が1.0〜1.2となるように前記正極活物質及び前記負極活物質が含まれていることを特徴とする。

さらに、本発明の別の目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、本発明に係る非水電解質二次電池の充電方法の発明は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備え、
前記正極活物質が、少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物との混合物、からなり、
かつ、前記負極中にバインダーとしてカルボキシメチルセルロース−アンモニウム(NH−CMC)からアンモニアが脱離したH−CMCが含まれており、
前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が3μm〜15μmの黒鉛材料である、
非水電解質二次電池の充電方法において、
前記正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで充電することを特徴とする。

本発明は上記の構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、発明によれば、負極は、周知の方法に従い、カルボキシメチルセルロース−アンモニウム(NH−CMC)と負極活物質とのスラリーを負極集電体表面に塗布し、その後に溶剤(例えば水)を100℃以上で乾燥することにより製造することができるが、この乾燥の際にNH−CMC中のアンモニア(NH)が脱離してH−CMCが生成し、このNHの脱離の過程で負極表面に細かい空隙が形成されるため、負極表面は多孔質状態となっている。したがって、このNHの脱離の過程で部分的にH−CMCで覆われていない黒鉛表面が露出するために、黒鉛粒子同士の間の接触抵抗が低減するので、充放電サイクルを繰り返しても負極におけるリチウムの挿入・脱離に対する抵抗の増大が少なくなり、サイクル特性が改善された正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで充電できる非水電解質二次電池が得られる。
また、発明によれば、負極活物質として電位の低い黒鉛材料(リチウム基準で約0.1V)を用いているので、電池電圧が4.3V〜4.5Vと高く、正極活物質の利用率の高い電池が得られる。加えて、負極活物質としてDl0の粒径が5μm〜l0μmである黒鉛粒子を用いることにより、含まれている黒鉛微粉粒子が大きな黒鉛粒子間の隙間に入り込むため、黒鉛粒子同士の間の接触抵抗がより低減するから、負極におけるリチウムの挿入・脱離に対する抵抗がより低減され、サイクル特性が大幅に改善された非水電解質二次電池が得られる。この場合、D10が5μm未満であると、黒鉛微粉粒子が少なすぎるので負極の電気抵抗の低下が少なく、サイクル特性の向上効果が少なく、好ましくない。また、D10が10μmを越えると、却って黒鉛微粉粒子が多すぎて大きな黒鉛粒子同士の接触が減少するために電気抵抗が大きくなるので、この場合もサイクル特性の向上効果が少なくなるので、好ましくない。
また、発明によれば、VCは、従来から有機溶媒の還元分解を抑制するための添加剤として慣用的に使用されているものであり、このVCの添加によって最初の充電による負極へのリチウムの挿入前に負極活物質層上に不動態化層とも称される負極表面被膜(SEI:Solid Electrolyte Interface)が形成し、このSEIがリチウムイオンの周囲の溶媒分子の挿入を阻止するバリアーとして機能するので、負極活物質が有機溶媒と直接反応しないようになるために、サイクル特性の向上効果が見られ、長寿命の非水電解質二次電池が得られる。VCの添加量は電解液全体に対して、0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%である。VCの添加量が0.5質量%未満ではサイクル特性向上効果が少なく、また3質量%を越えると初期容量の低下と高温時に電池の膨れをまねくので好ましくない。
また、発明によれば、Ni、Co、及びMnを含むリチウム遷移金属複合酸化物、特にMnとNiの組成比が等しい化学式LiMnNiCo(1−2x)で表される材料は充電状態(高い酸化状態)でも特異的に高い熱的安定性を示すから、高充電電圧で充電しても安全な非水電解質二次電池が得られる。
また、発明によれば、負極充電容量/正極充電容量が1.0〜1.2となるように前記正極活物質及び前記負極活物質が含まれているようにしたので、高充電電圧で充電しても安全で、しかも高容量な非水電解質二次電池が得られる。すなわち、負極充電容量/正極充電容量が1.0未満であると、負極容量より正極容量が多くなるため、負極中に吸蔵しきれないリチウムが負極上に析出して安全性が低下する。また負極充電容量/正極充電容量が1.2を越える場合、電池中に占める正極活物質の割合が少なくなるため容量的に不利となる。

さらに、発明によれば、充電電圧を従来のものよりも高い正極活物質の電位がリチウム基準で4.4〜4.6Vとなるまで充電することができるため、高容量及び高エネルギー密度であり、かつ、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池となる。

以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池及びその充電方法の一例を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
<正極の作製>
異種元素添加コバルト酸リチウムは次のようにして作製した。出発原料としては、リチウム源には炭酸チウム(LiCO)を用い、コバルト源には炭酸コバルト合成時に異種元素としてジルコニウム(Zr)をコバルトに対して0.2mol%及びマグネシウム(Mg)を0.5mol%添加した水溶液から共沈させ、その後、熱分解反応によって得られたジルコニウム、マグネシウム添加四酸化三コバルト(Co)を用いた。これらを所定量秤量して混合した後、空気雰囲気下において850℃で24時間焼成し、ジルコニウム、マグネシウム添加コバルト酸リチウムを得た。これを乳鉢で平均粒径14μmまで粉砕し、正極活物質Aとした。
層状マンガンニッケル酸リチウムは次のようにして作製した。出発原料としては、リチウム源には炭酸リチウム(LiCO)を、遷移金属源にはNi0.33Mn0.33Co0.34(OH)で表される共沈水酸化物を用いた。これらを所定量秤量して混合した後、空気雰囲気下において1000℃で20時間焼成し、LiMn0.33Ni0.33Co0.34で表される層状マンガンニッケル酸リチウムを得た。これを乳鉢で平均粒径5μmまで粉砕し、正極活物質Bとした。
以上のようにして得られた正極活物質A及び正極活物質Bを質量比が7:3になるように混合し、次に、混合した正極活物質が94質量部、導電剤としての炭素粉末が3質量部、結着剤としてのポリ弗化ビニリデン粉末が3質量部となるよう混合し、これをN−メチルピロリドン(NMP)溶液と混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布、乾燥して、正極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが36.5mmの正極を作製した。
<負極の作製>
体積分率10%時の粒径Dl0が5μmである天然黒鉛粉末が95質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−アンモニウム塩(NH−CMC)が3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させるとともにNH−CMCからNHを脱離させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。この後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。なお、正極活物質の充電容量は充電電圧により変化するが、一例としてジルコニウム及びマグネシウム添加コバルト酸リチウム/層状マンガンニッケル酸リチウム(混合比7:3)の場合の充電正極電位と正極容量の関係を表1に示す。
Figure 0004794172
<電解質の作製>
エチレンカーボネート20体積%、エチルメチルカーボネート50体積%、ジエチルカーボネート30体積%となるようにした混合溶媒を調整し、これにLiPFを1mol/Lとなるように溶解して電解質とした。
<電池の作製>
上記の正極、負極及び電解質を用いて、また、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜を用い、実施例1に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。
体積分率10%時の粒径Dl0が10μmである天然黒鉛粉末が95質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−アンモニウム塩(NH−CMC)が3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させるとともにNH−CMCからNHを脱離させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。次に上記の負極及び実施例1と同様の正極、電解質及びセパレータを用いて、実施例2に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。
[比較例1]
体積分率10%時の粒径Dl0が5μmである天然黒鉛粉末95質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩(Na−CMC)3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーとを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。次に上記の負極及び実施例1と同様の正極、電解質及びセパレータを用いて、比較例1に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。
[比較例2]
体積分率10%時の粒径Dl0が10μmである天然黒鉛粉末95質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−ナトリウム塩(Na−CMC)3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーとを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。次に上記の負極及び実施例1と同様の正極、電解質及びセパレータを用いて、比較例1に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。
実施例3]
体積分率10%時の粒径Dl0が15μmである天然黒鉛粉末95質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−アンモニウム塩(NH−CMC)3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーとを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させるとともにNH−CMCからNHを脱離させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。次に上記の負極及び実施例1と同様の正極、電解質及びセパレータを用いて、実施例3に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。

実施例4]
体積分率10%時の粒径Dl0が3μmである天然黒鉛粉末95質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース−アンモニウム塩(NH−CMC)3質量部及び結着剤としてのSBRラテックス2質量部(固形分換算)からなるバインダーとを水に分散させスラリーを調整した。このスラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布後、100℃以上で乾燥して水分を気化させるとともにNH−CMCからNHを脱離させ、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて圧縮し、短辺の長さが37.5mmの負極を作製した。なお、正極及び負極の塗布量は、設計基準となる充電電圧(4.4V)において、正極と負極の対向する部分での充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように調整した。次に上記の負極及び実施例1と同様の正極、電解質及びセパレータを用いて、実施例4に係る角形の非水電解質二次電池(5mm×34mm×43mm)を作製した。
<サイクル特性の測定>
上述のようにして作製した実施例1、2及び比較例1〜4の各電池について、25℃において、1It(1C)の定電流で充電し、電池の電圧が4.4V(正極電位はリチウム基準で4.5Vに相当)になった後は4.4Vの定電圧で充電電流値が1/50It(1/50C)になるまで初期充電した。この初期充電した電池について、25℃において、1Itの定電流で電池電圧が3Vに達するまで放電を行い、この時の放電容量を初期放電容量として求めた。サイクル特性の測定は、初期放電容量を測定した各電池について、25℃において、1Itの定電流で電池電圧が4.4Vに達するまで充電した後に4.4Vの定電圧で電流値が1/50Itになるまで充電し、その後、1Itの定電流で電池電圧が3Vに達するまで放電することを1サイクルとし、500サイクルに達するまで繰返して500サイクル後の放電容量を求めた。そして、各電池について以下の計算式に基いて25℃における500サイクル後の容量維持率(%)を求めた。結果をまとめて表2に示した。
容量維持率(%)=(500サイクル後の放電容量/初期放電容量)×100
Figure 0004794172

表2に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、実施例1及び2のように、負極バインダーにNH−CMCを用い、負極活物質に体積分率10%時の粒径Dl0が5μm〜10μmの黒鉛を用いた場合には、500サイクル後の容量維持率が86%〜88%と良好なサイクル特性を示した。これに対し、比較例1及び2のように、負極バインダーにNa−CMCを用いた場合には、負極活物質に体積分率10%時の粒径Dl0が5μm〜10μmの黒鉛を用いても、500サイクル後の容量維持率は61%〜65%となっており、サイクル特性は低下している。
また、実施例3及び4のように、負極バインダーにNH−CMCを用いても、負極活物質の体積分率10%時の粒径Dl0がl0μmを越えている場合及び5μm未満の場合には、500サイクル後の容量維持率は72%〜75%となっており、サイクル特性の改善効果が不十分であることがわかる。
以上の結果より、LiCoOに少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方を添加したリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有するマンガンニッケル酸リチウムの混合物を正極として用いて、電池電圧を4.3V〜4.5V(正極電位がリチウム基準で4.4V〜4.6V)の高電圧で充電する電池において、負極のバインダーとして用いられているCMCがアンモニウム塩であり、特に負極活物質として体積分率10%時の粒径Dl0が5〜10μmである黒鉛を使用した場合には、サイクル特性の大幅な改善が可能であることが判明した。
なお、実施例1、2及び比較例1〜4では、電解質溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、メチルエチルカーボネート(MEC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒を使用した例を示したが、従来から知られている各種の溶媒を使用し得ることは明らかであろう。ただし、環状カーボネートは、充放電効率を高める点からは添加されていた方がよいが、高電位において酸化分解されやすいので、特にECを用いる場合は非水電解質溶媒中の含有量を5体積%以上25体積%以下とすることが望ましい。
また、電解質溶媒中には、必要に応じて有機溶媒の還元分解を抑制するための添加剤として慣用的に使用されているビニレンカーボネート(VC)を電解液全体に対して、0.5〜5質量%、好ましくは1〜3質量%添加することもできる。このVCの添加によって最初の充電による負極へのリチウムの挿入前に負極活物質層上に不動態化層とも称される負極表面被膜(SEI:Solid Electrolyte Interface)が形成し、このSEIがリチウムイオンの周囲の溶媒分子の挿入を阻止するバリアーとして機能するため、負極活物質が有機溶媒と直接反応しないようになるので、よりサイクル特性の向上効果が見られ、長寿命の非水電解質二次電池が得られる。VCの添加量が0.5質量%未満ではサイクル特性向上効果が少なく、また3質量%を越えると初期容量の低下と高温時に電池の膨れをまねくので好ましくない。
また、実施例1、2及び比較例1〜4では、正極活物質Aとしてジルコニウムとマグネシウムとが添加されたリチウムコバルト複合酸化物を用いた例を示したが、正極活物質としては、ジルコニウム及びマグネシウム以外に他の元素M(M:Al、Ti、Sn)を含む以下の化学式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物も使用することができる。
LiCo(1−x−y−z)ZrMg (1)
(ただし、0≦a≦1.1、x>0、y>0、z≧0、0<x+y+z≦0.03である。)
この場合、Zr及びMgの添加は必須であり、Al、Ti、Snとも合わせてこれらの異種金属の添加量が少ないとサイクル特性の向上効果が小さく、逆に添加量が多すぎると、これらの異種金属は電極反応に直接関与しないため、初期容量の低下をまねく。好ましくは、x≧0.0001、y≧0.0001、0.0002≦x+y+z≦0.03である。
さらに、実施例1、2及び比較例1〜4では、正極活物質Bとして層状構造を有するLiMn0.33Ni0.33Co0.34を用いた例を示したが、MnとNiの組成比が実質的に等しい下記化学式(2)で表されるリチウムマンガンニッケル複合酸化物も使用することができる。
LiMnNiCo (2)
(ただし、0≦b≦1.2、0<s≦0.5、0<t≦0.5、u≧0、s+t+u=1、0.95≦s/t≦1.05である。)
上記化学式(2)で表される層状構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物においては、MnとNiの存在は必須であり、かつMnとNiの組成比が実質的に等しければ熱安定性が高い活物質となる。好ましくは、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5である。
この層状構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物においては、さらに微量のMg、Zr、Al、Ti、Snから選択される少なくとも1種の他の金属を含有している下記化学式(3)で表されるリチウムマンガンニッケル複合酸化物とすることもできる。
LiMnNiCoM' (3)
(ただし、0≦b≦1.2、0.1≦s≦0.5、0.1≦t≦0.5、u≧0、0.0001≦v≦0.03、s+t+u+v=1、M'=Mg、Zr、Al、Ti、Sn、0.95≦s/t≦1.05である。)
また、上記活物質A及び活物質Bとの混合比は、質量比で、活物質A:活物質B=51:49〜90:10の範囲で使用でき、好ましくは、70:30〜80:20である。上記活物質Aが51%未満であると初期容量が小さくなり、サイクル特性及び保存特性が悪化する。また、活物質Bが10%未満であると安全性が低下する。
従来の角形の非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。
符号の説明
10 非水電解質二次電池
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
14 扁平状の渦巻状電極体
15 角型の電池外装缶
16 封口板
17 絶縁体
18 負極端子
19 集電体
20 絶縁スペーサ
21 電解液注液孔

Claims (7)

  1. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩を有する非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、
    前記正極活物質は、少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有する少なくともマンガンとニッケルの両方を含有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物とを混合したものでありかつ、
    前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が3μm〜15μmの黒鉛材料であり、
    前記負極中にバインダーとしてカルボキシメチルセルロース−アンモニウム(NH−CMC)からアンモニアが脱離したH−CMCが含まれていることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が5μm〜10μmの黒鉛材料であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記非水電解質は、さらにビニレンカーボネートを0.5質量%〜5質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記正極活物質のリチウムマンガンニッケル複合酸化物は、さらにコバルトを含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記正極中の正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとした場合の、負極充電容量/正極充電容量が1.0〜1.2となるように前記正極活物質及び前記負極活物質が含まれていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  7. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を備え、
    前記正極活物質が、少なくともジルコニウムとマグネシウムの両方が添加されたリチウムコバルト複合酸化物と、層状構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物との混合物からなり、
    かつ、前記負極中にバインダーとしてカルボキシメチルセルロース−アンモニウム(NH−CMC)からアンモニアが脱離したH−CMCが含まれており、
    前記負極の負極活物質が体積分率10%時の粒径Dl0が3μm〜15μmの黒鉛材料である、
    非水電解質二次電池の充電方法であって
    前記正極活物質の電位がリチウム基準で4.4V〜4.6Vとなるまで充電することを特徴とする非水電解質二次電池の充電方法。
JP2005010417A 2005-01-18 2005-01-18 非水電解液二次電池及びその充電方法 Active JP4794172B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005010417A JP4794172B2 (ja) 2005-01-18 2005-01-18 非水電解液二次電池及びその充電方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005010417A JP4794172B2 (ja) 2005-01-18 2005-01-18 非水電解液二次電池及びその充電方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006202529A JP2006202529A (ja) 2006-08-03
JP4794172B2 true JP4794172B2 (ja) 2011-10-19

Family

ID=36960350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005010417A Active JP4794172B2 (ja) 2005-01-18 2005-01-18 非水電解液二次電池及びその充電方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4794172B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4897223B2 (ja) * 2005-01-24 2012-03-14 日立マクセルエナジー株式会社 非水電解質二次電池
JP2008171661A (ja) * 2007-01-11 2008-07-24 Nec Tokin Corp リチウムイオン二次電池
KR101093705B1 (ko) * 2009-04-29 2011-12-19 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지
US20150171414A1 (en) * 2011-12-02 2015-06-18 Koji Takahata Lithium secondary battery and method for producing same
JPWO2013080379A1 (ja) * 2011-12-02 2015-04-27 トヨタ自動車株式会社 リチウム二次電池とその製造方法
JP2013239375A (ja) * 2012-05-16 2013-11-28 Toyota Motor Corp リチウムイオン二次電池およびその製造方法
JP6394612B2 (ja) * 2014-01-31 2018-09-26 三洋電機株式会社 非水電解質二次電池用負極
CN105449186B (zh) 2015-11-18 2018-11-27 深圳先进技术研究院 一种二次电池及其制备方法
CN112204794B (zh) * 2018-05-31 2024-03-19 株式会社村田制作所 非水电解质二次电池
JP2021034211A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 日本製紙株式会社 非水電解質二次電池用電極、及びその製造方法
CN112713305B (zh) * 2019-10-25 2022-11-04 中国石油化工股份有限公司 一种锂电池用电解液及其制备方法和用途

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004134207A (ja) * 2002-10-10 2004-04-30 Sony Corp 正極活物質及び非水電解質二次電池
CN100517818C (zh) * 2002-09-25 2009-07-22 清美化学股份有限公司 锂二次电池用正极材料及其制造方法
JP3844733B2 (ja) * 2002-12-26 2006-11-15 松下電器産業株式会社 非水電解質二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006202529A (ja) 2006-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4794180B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP4794172B2 (ja) 非水電解液二次電池及びその充電方法
JP5318356B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP3844733B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5153156B2 (ja) 非水電解質二次電池用正極の製造方法
JP5247196B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP4853608B2 (ja) リチウム二次電池
JP5278994B2 (ja) リチウム二次電池
JP5052161B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2009129721A (ja) 非水電解質二次電池
JP2009217981A (ja) 非水電解質二次電池
JP2009110886A (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
JP5030559B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2006228651A (ja) 非水電解質二次電池およびその充電方法
JP2009105017A (ja) 非水電解質二次電池
JP4794193B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5235307B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP2010140737A (ja) 非水電解質二次電池
JP2008218177A (ja) 正極活物質の製造方法及び前記正極活物質を用いた非水電解質二次電池
JPH10255762A (ja) リチウム電池
JP2006156234A (ja) 非水電解液二次電池及びその充電方法
JP4963819B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP3619702B2 (ja) リチウム二次電池
JP5019892B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5196718B2 (ja) 非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110628

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110726

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4794172

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250