JP4793518B2 - 鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池 Download PDF

Info

Publication number
JP4793518B2
JP4793518B2 JP2000374726A JP2000374726A JP4793518B2 JP 4793518 B2 JP4793518 B2 JP 4793518B2 JP 2000374726 A JP2000374726 A JP 2000374726A JP 2000374726 A JP2000374726 A JP 2000374726A JP 4793518 B2 JP4793518 B2 JP 4793518B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
alloy
strap
lead
lattice
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000374726A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002175794A (ja
JP2002175794A5 (ja
Inventor
重治 大角
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GS Yuasa International Ltd
Original Assignee
GS Yuasa International Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GS Yuasa International Ltd filed Critical GS Yuasa International Ltd
Priority to JP2000374726A priority Critical patent/JP4793518B2/ja
Publication of JP2002175794A publication Critical patent/JP2002175794A/ja
Publication of JP2002175794A5 publication Critical patent/JP2002175794A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4793518B2 publication Critical patent/JP4793518B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、極板群の周囲に流動液が存在する、いわゆる開放型鉛蓄電池における集電体(格子)にはPb−Sb系合金が用いられてきた。しかし、この合金を用いた電池は自己放電や電解液の減少が大きく、メンテナンス・フリータイプの電池に使用することは困難であった。そこで、自己放電や電解液の減少を抑制し、メンテナンス・フリー化を図るために、格子にはPb−Ca系合金が用いられるようになった。
【0003】
しかし、正極格子にPb−Ca系合金を用いると、深い放電にさらされたり、高温で使用されたりすると、早期に寿命になることがあった。そのため、できるだけ自己放電や電解液の減少を抑制しながら、深い放電や高温での使用にも耐えられるように、正極にPb−Sb系合金格子を、負極にPb−Ca系合金格子を用いた、いわゆるハイブリッド電池が製造されるようになった。
【0004】
上述のように、正負極格子ともPb−Ca系合金を用いた電池とハイブリッド電池とが、その用途に合わせ、それぞれの性能を引き出すように使用されている。
【0005】
これらの鉛蓄電池の格子体の耳部を接続するストラップを形成するための足し鉛には通常Pb−Sb系合金が用いられている。
【0006】
また、格子体の耳部とストラップ形成用足し鉛とを溶接する方法としては、おもに次の2つの方法がある。
【0007】
一つは、キャスト・オン・ストラップ(Cast on Strap、COS)と呼ばれる方法で、これは、ストラップの形状を彫り込んだ鋳型に溶融した足し鉛合金を注ぎ込み、そこへ耳を入れ、その後、足し鉛合金を冷却・凝固させることによって耳部と足し鉛とを溶接すると同時にストラップを形成するものである。
【0008】
もう一つは、櫛型のストラップ形成用治具に耳部をはめ込み、ついでこの治具で形成された凹部にPb―Sb系合金の足し鉛をガスバーナ等で溶融しながら流し込み、耳を溶融しながら耳部と足し鉛とを溶接すると同時にストラップを形成するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
Pb−Sb系合金からなる格子の耳部とPb−Sb系合金からなる足し鉛とを溶接する際には、耳部と足し鉛との合金組成が類似しており、特に問題はなかった。しかし、Pb−Ca系合金からなる格子耳部とPb−Sb系合金からなる足し鉛とを溶接しようとすると、Caが非常に酸化されやすいことや、耳部と足し鉛との溶接界面付近に腐食されやすい、CaとSbとの化合物が生成する等によって、ストラップが早期に腐食され、電池が寿命に到ることがあった。
【0010】
CaとSbとの化合物が生成する等によって、正極ストラップが早期に腐食される問題については、本願発明者らは、特公平3−73985号公報、特公平3−73986号公報では、SbとCaとの化合物の生成を抑制するためにストラップにおけるCa量をSb量に対して一定量以下に抑制することを提案した。また、特開平6−52845号公報では、Pb−Ca系合金格子体のCa量をより一層低減することが提案されている。
【0011】
これらの方法によってCa量が少なくなり、腐食されやすいCaとSbとの化合物の生成量を少なくすることができた。しかし、耳の一部が溶融し、耳に含まれるSnが多少混入するものの、ストラップ中の主な合金組成はPb−Sb−As合金であった。この合金は、結晶粒が大きいため、ストラップが腐食され始めると、結晶粒界に沿って深く腐食が進行し、早期に電池寿命に到るという問題があった。
【0012】
本発明の課題は、このような腐食を解決するもので、Pb−Ca系合金を用いた格子体の耳部とPb−Sb系合金を用いた足し鉛とを溶接してストラップを形成する場合に、CaとSbとの化合物によるストラップの腐食を抑制するだけでなく、Pb−Sb―As系合金の大きな結晶粒による、粒界に沿った深い腐食の進行をも抑制し、耐食性の優れたストラップを提供することにある。
【0013】
さらに、近年、たとえば自動車用電池では、エンジンや鉛蓄電池を充電するオールタネータの高出力化、電装品の多様化、空力抵抗低減のためのスラント・ノーズの採用等によって、エンジンルーム内の温度が高くなってきている。このような高温での厳しい使用環境下では、ストラップが腐食されやすくなるだけでなく、正極格子も腐食されやすくなる。このことは、特に、正極にPb−Ca系合金を使用する際に問題となることがあるが、高温での耐食性にすぐれたPb−Ca系合金を正極格子に採用し、耐食性に優れたストラップと併用することによって、より一層、信頼性の高い、長寿命の鉛蓄電池を提供することができる。
【0014】
なお、ストラップ腐食は正極ストラップだけでなく、負極ストラップでも発生する。一般的に、鉛蓄電池では負極は充電されれば金属鉛になり、腐食されないはずであるが、何らかの理由で電解液面が低下し、負極ストラップが電解液から露出した場合、あるいは電解液中であっても小さな隙間等、電解液が十分補給されない場合には、充電しても金属鉛に還元されず、腐食が進行するものと思われる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の鉛蓄電池では、キャスト・オン・ストラップ法によって極板耳部を接続するストラップを形成するための足し鉛として、Sbを1.7〜3.5質量%、Asを0.1〜0.3質量%、Seを0.007〜0.03質量%含むPb−Sb−As−Se系合金を用い、正極格子がCaを0.025〜0.065質量%、Snを0.75〜2.0質量%含むPb−Ca−Sn系合金からなり、負極格子がCaを0.025〜0.065質量%、Snを0.25〜2.0質量%含むPb−Ca−Sn系合金からなり、前記正極格子はAgを0.02〜0.09質量%含むことを特徴とする。
【0016】
発明では、請求項1に記載の鉛蓄電池において、前記Pb−Sb−As−Se系合金が、Snを0.02〜0.1質量%含むものとすればより好ましい
【0018】
また、請求項1に記載の鉛蓄電池において、正極格子および負極格子の少なくとも一方が、Alを0.003〜0.03質量%含むものとすればより好ましい
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、COS法によってストラップを形成する足し鉛用Pb−Sb―As系合金にSeを添加しているので、ストラップの結晶粒を微細にし、正極ストラップだけでなく負極ストラップにおいても結晶粒界に沿った腐食(粒界腐食)が深く進行するのを抑えることができると同時に、Pb−Ca系合金格子体に用いられているCa量を従来より少なくしているので、ストラップ中の、腐食されやすい、CaとSbとの化合物の生成量を抑制でき、ストラップをより一層耐食性に優れたものとすることができ、その結果、長寿命の鉛蓄電池を提供するものである。
【0024】
さらに、正極にPb−Ca系合金格子を用いる場合、高温での厳しい使用環境下においても、耐食性にすぐれた正極格子を併せて採用することによって、信頼性の高い、長寿命の鉛蓄電池を提供するものである。
【0025】
足し鉛用Pb−Sb―As系合金中のSb量は、1.7質量%より少ないと溶接作業性やストラップの強度が劣り、3.5質量%より多いと、正極の場合、電池使用中にストラップからSbが溶出し、負極板に析出して水素過電圧を下げ、水の分解が促進されるので、1.7〜3.5質量%が好ましい。
【0026】
足し鉛用Pb−Sb―As系合金中のAs量は、0.1質量%より少ないと耐食性が劣り、0.3質量%より多くしても、その効果はあまり変わらず、また不経済でもあるので、0.1〜0.3質量%が好ましい。
【0027】
足し鉛用Pb−Sb―As系合金に添加するSe量は、0.007質量%より少ないと結晶粒を微細にする効果が劣り、0.03質量%より多くしても結晶粒微細化の効果はあまり変わらず、不経済であるだけでなく、SeのPb合金への溶解度の温度依存性から通常の溶接作業温度(500℃程度以下)では、溶解も困難なため、0.007〜0.03質量%が好ましい。
【0028】
溶接時の溶融足し鉛合金の流動性を改善するために、足し鉛用Pb−Sb―As系合金に、Snを0.02〜0.1質量%添加することも可能である。
【0029】
正極格子合金中のCa量は、CaとSbとの化合物の生成量を抑えるため、0.065質量%以下が望ましいが、格子の強度の点からは0.025質量%以上が望ましい。
【0030】
正極格子合金中のSn量は、電池使用中の正極格子の耐食性および強度の観点からは0.75質量%以上が望ましいが、2.0質量%より多くしてもかえって耐食性が劣るだけでなく、費用の面からも不経済で、0.75〜2.0質量%が適当である。
【0031】
負極格子合金中のCa量は、正極格子の場合と同様に0.025〜0.065質量%が望ましい。
【0032】
一方、負極格子は、電池使用中には正極格子ほど耐食性は必要でないため正極格子の場合ほど多くのSn量は必要ではないが、あまり少なくなると強度が低下し、電池製造工程中の取扱性が悪くなるので、負極格子中のSn量は0.25質量%以上が望ましい。上限は、経済的な観点からは取扱性に問題がない範囲で少ないほうが望ましいが、生産数量や生産設備等の関連で正極格子と同程度の2.0質量%まで添加することが可能である。
【0033】
Pb−Ca―Sn系合金格子には、従来から用いられている重力鋳造法によって製造された格子だけではなく、近年、その製造量が増大しているPb−Ca―Sn系合金圧延シートあるいは鋳造シートをエキスパンド加工あるいは打ち抜きによって製造した格子を使用することも可能である。これらの方法では、従来の重力鋳造法に比べ、その生産速度が速く、経済的に格子を製造することができる。
【0034】
また,回転ロールに格子の形状を彫りこみ,回転ロールに外部からシューを押し当て,彫り込んだ格子形状の溝と押し当てたシューとの間に溶融鉛合金を圧入して回転させながら凝固させる方法(連続鋳造法)によっても格子を得ることができる。さらに,この際,やや厚めの格子を連続鋳造し,その後,圧延することによって格子を製造することもできる。
【0035】
Pb−Ca−Sn系合金格子を重力鋳造法や連続鋳造法で製造する際、あるいはエキスパンド法または打ち抜き法によって格子を製造する場合の圧延シート用スラブ(平板)を鋳造する、あるいは鋳造シートを製造する際には、Alを0.003〜0.03質量%添加し、Caの酸化を防止するとともに、Ca量の安定化を図ることができる。この方法を用いれば、Caの酸化防止のためにアルゴンガス等の不活性ガスを使用する必要はなく、作業性も良好で、かつ経済的である。
【0036】
ここで、鋳造シートとは、DMシートとも呼ばれるもので、溶融鉛合金に回転ロールをわずかに浸せきさせ、ロール表面に直接シートを形成したものである。
【0037】
また、近年、鉛蓄電池が使用される環境の温度が高くなってきており、そのような高温下での正極用Pb−Ca系合金格子の耐久性を向上させるためには正極格子にAgを0.02〜0.09質量%添加することが有効であり、上述のストラップと併用することによってより一層信頼性の高い、長寿命の鉛蓄電池を得ることができる。
【0038】
正極格子用Pb−Sb―As系合金中のSb量は、深放電性能・高温特性とメンテナンス・フリー特性との兼ね合いで決められるものであるが、0.5質量%より少ないとメンテナンス・フリー特性は優れるものの深放電性能・高温特性が劣り、3.0質量%より多いと、深放電性能・高温特性は優れるものの、電池使用中に正極格子からSbが溶出し、負極板に析出して水素過電圧を下げ、メンテナンス・フリー特性が低下するので、0.5〜3.0質量%が好ましい。
【0039】
正極格子用Pb−Sb―As系合金中のAs量は、0.1質量%より少ないと耐食性が劣り、0.30質量%より多くしても、その効果はあまり変わらず、また不経済でもあるので、0.1〜0.3質量%が望ましい。
【0040】
正極格子用Pb−Sb―As系合金に添加するSe量は、0.007質量%より少ないと結晶粒を微細にする効果が劣り、0.03質量%より多くしても結晶粒微細化の効果はあまり変わらず、不経済であるだけでなく、SeのPb合金への溶解度の温度依存性から通常の鋳造作業温度(520℃程度以下)では、溶解も困難なため、0.007〜0.03質量%が望ましい。
【0041】
鋳造時の溶融鉛合金の流動性を向上させるために、正極格子用Pb−Sb―As−Se系合金にSnを0.02〜0.1質量%添加することができる。Pb−Sb―As系合金の場合にも,Pb−Ca―Sn系合金の場合と同様,連続鋳造法によっても格子を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
CaとSnとの量を表1のように変化させたPb−Ca―Sn系合金を用いた圧延シートを作製し、それをエキスパンド加工して、自動車電池用正極格子を得た。なお、圧延用スラブ鋳造時の酸化を防止するため、いずれの場合にもAlを0.01質量%添加した。
【0043】
【表1】
Figure 0004793518
【0044】
次に、これらの格子に常法にしたがって正極ペーストを充填し、熟成・乾燥させた後、正極板5枚、負極板6枚およびセパレータを組み合わせ、COS法によってストラップを形成し、12V、30Ahの自動車用電池を得た。ストラップ合金にはPb−Sb−As−Se合金を使用し、Sb量、Se量は表1に記載の量とし、Asはいずれの場合にも、0.25質量%とした。
【0045】
なお、これらの電池の負極板には、表1に記載のNo.10の格子を使用し、常法にしたがって負極ペーストを充填し、熟成・乾燥させたものを使用した。
【0046】
これらの電池の正極ストラップ断面を金属顕微鏡で観察したところ、表2、B欄に記載のように、Seを0.007質量%以上含む場合には、Seを含まない場合に比べ、格子合金組成に関係なく、結晶粒径が約1/5〜1/6と大変微細になっていた。
【0047】
次に、同一ロットのこれらの電池を60℃気槽中で、14.4Vの定電圧で連続過充電試験を5週間実施し、試験後の正極ストラップの腐食状態および正極格子の状態を観察した。
【0048】
過充電試験後の正極ストラップおよび正極格子の腐食状態をそれぞれ表2、C欄およびD欄に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0004793518
【0050】
鉛蓄電池においては、正極用部材の腐食は避けがたいものであるが、表2から明らかなように、Ca量を0.020〜0.065質量%としたものでは、過充電試験後においても正極ストラップ部の腐食は軽微であった。
【0051】
足し鉛用Pb−Sb−As合金にSeを0.007質量%以上添加したストラップでは、上述のように,その結晶粒径がSeを添加しない場合に比べ約1/5〜1/6と非常に小さくなっており、その結果、過充電試験後の正極ストラップ内の粒界腐食の進行はほとんど認められなかった。
【0052】
しかし、正極格子中のSn量が0.4質量%の場合には、過充電試験後の正極格子の腐食が激しかった。
【0053】
なお、正極格子中のCa量を0.02質量%とした場合には、格子強度が低く電池製造上の取扱性が悪かった。
(実施例2)
CaとSnとの量を表3のように変化させたPb−Ca―Sn系合金を用いた圧延シートを作製し、それをエキスパンド加工して、自動車電池用負極格子を得た。
【0054】
【表3】
Figure 0004793518
【0055】
次に、これらの格子に常法にしたがって負極ペーストを充填し、熟成・乾燥させた後、正極板5枚、負極板6枚およびセパレータを組み合わせ、COS法によってストラップを形成し、12V、30Ahの自動車用電池を得た。ストラップ合金にはPb−Sb−As−Se合金を使用し、Sb量、Se量は表3に記載の量とし、Asはいずれの場合にも、0.20質量%とした。
【0056】
なお、これらの電池の正極板には、実施例1、表1に記載のNo.14の格子を使用し、常法にしたがって正極ペーストを充填し、熟成・乾燥させたものを使用した。
【0057】
これらの電池の負極ストラップ断面を金属顕微鏡で観察したところ、表4、B欄に記載のように、Seを0.007質量%以上含む場合には、Seを含まない場合に比べ、格子合金組成に関係なく、結晶粒径が約1/5〜1/6と大変微細になっていた。
【0058】
次に、同一ロットのこれらの電池を60℃気槽中で、14.4Vの定電圧で連続過充電試験を5週間実施し、試験後の負極ストラップの腐食状態を観察した。
【0059】
なお、過充電試験に先立って、各電池の電解液面を故意に低下させ、負極ストラップが電解液面から露出した状態で試験を実施した。これは、正極ストラップ腐食は電解液中で発生するが、負極ストラップ腐食はストラップが電解液面から露出している方が腐食されやすいため、短期間でストラップの腐食状態を評価するためである。
【0060】
過充電試験後の負極ストラップの腐食状態を表4、C欄に示す。
【0061】
【表4】
Figure 0004793518
【0062】
表4から明らかなように、Ca量を0.02〜0.065質量%としたものでは、過充電試験後においても負極ストラップ部の腐食は軽微であった。また、足し鉛用Pb−Sb−As合金にSeを0.007質量%以上添加したストラップでは、上述のようにその結晶粒径がSeを添加しない場合に比べ約1/5〜1/6と非常に小さくなっており、その結果、過充電試験後の負極ストラップ内の粒界腐食の進行はほとんど認められなかった。
【0063】
しかし、負極格子中のSn量が0.2質量%の場合には、格子強度が低く電池製造上の取扱性が悪かった。
【0064】
なお、負極格子中のCa量が0.02質量%の場合にも、格子強度が低く電池製造上の取扱性が悪かった。
(実施例3)
Ag量を、表5、A欄のように変化させたPb−Ca―Sn―Ag系合金を用い、重力鋳造法によって、自動車電池用正極格子を得た。なお、Ca量およびSn量はそれぞれ0.03質量%および1.0質量%とし、格子鋳造時の酸化を防止するためいずれの場合にもAlを0.01質量%添加した。
【0065】
次に、これらの格子に常法にしたがって正極ペーストを充填し、熟成・乾燥させた後、正極板5枚、負極板6枚およびセパレータを組み合わせ、COS法によってストラップを形成し、12V、30Ahの自動車用電池を得た。ストラップ合金にはPb−Sb−As−Se―Sn合金を使用し、Sb量、As量、Se量およびSn量はそれぞれ2.8質量%、0.25質量%、0.02質量%および0.02質量%とした。
【0066】
なお、これらの電池の負極板には、Pb−0.060質量%Ca―0.75質量%Sn−0.01質量%Al合金からなる重力鋳造格子を使用し、常法にしたがって負極ペーストを充填し、熟成・乾燥させたものを使用した。
【0067】
これらの電池を60℃気槽中で、14.4Vの定電圧で連続過充電寿命試験を実施し、1週間ごとに150A放電を30秒間行い、30秒目の電池電圧が7.2V以下になった時点を寿命とした。試験後、正極板の劣化状況および正・負極ストラップの腐食状態を観察した。なお、今回の試験では、電解液面は通常のアッパーレベルに合わせ、正・負極ストラップとも電解液中に位置する状態で試験した。
【0068】
試験結果を表5、B〜D欄に示す。
【0069】
【表5】
Figure 0004793518
【0070】
表5から明らかなように、Agを0.02質量%以上含む場合には、Agを含まないか、あるいは含んでも0.01質量%の場合の1.5〜2倍の高温寿命性能を有していた。これは、Agを添加することによって正極格子の耐食性が向上したものと考えられる。なお、Agを0.09質量%よりも多く添加しても正極格子の耐食性は0.09質量%添加した場合とあまり変わらず、銀が高価なため不経済である。また、正・負極ストラップは、いずれの電池においてもほとんど腐食していないか、あるいは腐食していてもごくわずかで、電池性能に影響を及ぼすものではなかった。
(実施例4)
正極にPb−0.7質量%Sb−0.25質量%As−0.02質量%Se―0.02質量%Sn合金からなる連続鋳造格子を使用し,負極にPb−0.065質量%Ca―0.50質量%Sn−0.01質量%Al合金からなる連続鋳造格子を使用した。これらの正・負極格子に常法にしたがってそれぞれ正・負極ペーストを充填し,熟成・乾燥させた後,正極板5枚,負極板6枚およびセパレータを組み合わせ,COS法によってストラップを形成し,12V,30Ahの自動車用電池を得た。ストラップ合金にはPb−Sb−As−Se―Sn合金を使用し,Sb量は,1.0,1.7,2.5,3.5および4.0質量%とし,As量,Se量およびSn量はそれぞれ0.25質量%,0.02質量%および0.06質量%とした。
【0071】
これらの電池について,実施例1と同様な試験を行った。
【0072】
ストラップ形成用足し鉛合金中のSb量が,1.0〜3.5質量%の場合にはストラップ腐食はほとんど見られなかったが,4.0質量%の場合には,ストラップ腐食が少し観察された。また,Sb量が1.0質量%の場合にはストラップの強度が弱かった。これらの結果から,ストラップ用Pb−Sb−As−Se―Sn系合金のSb量は,1.7〜3.5質量%が望ましい。
【0073】
なお、実施例1〜4において、COS法の代わりに、ガスバーナーでの溶接も試みたが、溶接後の正・負極ストラップ断面を金属顕微鏡で観察すると、Seによる結晶粒微細化の効果がみられない部分が観察され、さらに、ストラップ表面付近には小さな塊状の粒子が散見された。
【0074】
これは,次のように考えられる。
【0075】
COS法であれば、溶接直前には、約450℃のPb−Sb−As−Se系合金溶湯中では各元素が均一に溶解しており、それがストラップの形状をした鋳型内で,それ以上にさらに加熱されることなく凝固するため、Seの効果が十分得られたものと思われる。
【0076】
一方,ガスバーナー法で結晶粒の微細化が部分的であり,Seの効果が十分みられなかった理由は明確ではないが,ガスバーナーで足し鉛を溶解させた後も,なお溶融したPb−Sb−As−Se系合金溶湯をガスバーナーで加熱するため,溶湯中のSeが酸化されるなどして粒子状になり、これらが比重差によってまだ溶融しているストラップ内を上方に向かって移動し,その結果、ストラップ内部には結晶粒の微細化に有効なSeが大幅に減少する部分が発生することによるものと考えられる。なお、ストラップ内を上方に移動する、酸化されるなどしたと思われるSe等の粒子は、ストラップ表面が凝固するとその中に閉じ込められてしまうことになり、その結果、小さな塊状の粒子がストラップ表面付近に散見されたものと考えられる。
【0077】
上述のことから,Se添加による結晶粒微細化の効果を確実にするためには,COS法によってストラップを形成するのが望ましい。
【0078】
【発明の効果】
上述のように、本発明は、COS法によってストラップを形成する足し鉛用Pb−Sb―As系合金にSeを添加しているので、ストラップの結晶粒を微細にし、正極ストラップだけでなく負極ストラップにおいても結晶粒界に沿った腐食(粒界腐食)が深く進行するのを抑えることができると同時に、Pb−Ca系合金格子体に用いられているCa量を従来より少なくしているので、ストラップ中の、腐食されやすい、CaとSbとの化合物の生成量を抑制でき、ストラップをより一層耐食性に優れたものとすることができ、その結果、長寿命の鉛蓄電池を提供するものである。
【0079】
さらに、正極にPb−Ca系合金格子を用いる場合、高温での厳しい使用環境下においても、耐食性にすぐれた正極格子を併せて採用することによって、信頼性の高い、長寿命の鉛蓄電池を提供するものである。

Claims (1)

  1. キャスト・オン・ストラップ法によって極板耳部を接続するストラップを形成するための足し鉛として、アンチモン(Sb)を1.7〜3.5質量%、ヒ素(As)を0.1〜0.3質量%、セレン(Se)を0.007〜0.03質量%含む鉛(Pb)−Sb−As−Se系合金を用い、正極格子がカルシウム(Ca)を0.025〜0.065質量%、Snを0.75〜2.0質量%含むPb−Ca−Sn系合金からなり、負極格子がCaを0.025〜0.065質量%、Snを0.25〜2.0質量%含むPb−Ca−Sn系合金からなり、前記正極格子は銀(Ag)を0.02〜0.09質量%含むことを特徴とする鉛蓄電池。
JP2000374726A 2000-12-08 2000-12-08 鉛蓄電池 Expired - Lifetime JP4793518B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000374726A JP4793518B2 (ja) 2000-12-08 2000-12-08 鉛蓄電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000374726A JP4793518B2 (ja) 2000-12-08 2000-12-08 鉛蓄電池

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002175794A JP2002175794A (ja) 2002-06-21
JP2002175794A5 JP2002175794A5 (ja) 2008-01-24
JP4793518B2 true JP4793518B2 (ja) 2011-10-12

Family

ID=18843860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000374726A Expired - Lifetime JP4793518B2 (ja) 2000-12-08 2000-12-08 鉛蓄電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4793518B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6406458B2 (ja) * 2016-08-26 2018-10-17 日立化成株式会社 鉛蓄電池、並びに、鋳造格子体及びその製造方法
JP6406457B2 (ja) * 2016-08-26 2018-10-17 日立化成株式会社 鉛蓄電池、並びに、鋳造格子体及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0817438A (ja) * 1994-06-29 1996-01-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 鉛蓄電池
JPH10321236A (ja) * 1997-05-22 1998-12-04 Japan Storage Battery Co Ltd 鉛蓄電池
JP2000315519A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002175794A (ja) 2002-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101675175B (zh) 用于铅酸电池正极板栅的含铅-锡-银-铋的合金
KR20180136547A (ko) 납계 합금 및 관련 공정 및 생성물
JP4160856B2 (ja) 鉛蓄電池用鉛基合金及びこれを用いた鉛蓄電池
Zhong et al. Evaluation of lead—calcium—tin—aluminium grid alloys for valve-regulated lead/acid batteries
WO2006049295A1 (ja) 鉛蓄電池用負極集電体
JP4646572B2 (ja) 密閉型鉛蓄電池用正極板および前記正極板を用いた密閉型鉛蓄電池
Prengaman New low-antimony alloy for straps and cycling service in lead–acid batteries
JP2002175798A (ja) 密閉型鉛蓄電池
JP5050309B2 (ja) 鉛蓄電池
JP4793518B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2000315519A (ja) 鉛蓄電池
JP5428645B2 (ja) 鉛蓄電池用の鉛合金および鉛蓄電池
Prengaman Current-collectors for lead–acid batteries
JP3413930B2 (ja) 鉛蓄電池極板群の製造法
JP4896392B2 (ja) 鉛蓄電池
JP4423837B2 (ja) 蓄電池用圧延鉛合金およびそれを用いた鉛蓄電池
JP4026259B2 (ja) 密閉形鉛蓄電池
JP2007157610A (ja) 鉛蓄電池
JP2595809B2 (ja) 鉛蓄電池極板用基体の製造方法
JP2006114416A (ja) 鉛蓄電池
JPH11111329A (ja) 鉛蓄電池及びその製造法
JP5135692B2 (ja) 鉛蓄電池
JPH09167611A (ja) 鉛蓄電池
JP2003323881A (ja) 制御弁式鉛蓄電池
JP3658871B2 (ja) 鉛蓄電池

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20051213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071204

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071204

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100507

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4793518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term