JP4788815B2 - ガスエンジンシステム及びガスエンジンのメンテナンス方法 - Google Patents
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Description
消化ガスにはシロキサン化合物が含まれている場合があり、シロキサン化合物を含む消化ガスを燃料ガスとして用いる場合には、シロキサン化合物がガスエンジン内部において潤滑油に含まれるカルシウム等と反応することによって、ガスエンジン内部に残渣物が生じる。残渣物は、硬い粒子状の物質であり、ガスエンジン内部の摺動部(例えば、ピストンとシリンダライナとの間)に入り込むことによって、摺動部の摺動を阻害し、ガスエンジンの動作を阻害する。
このため、従来のガスエンジンにおいては、定期的にガスエンジンの解体メンテナンスを行い、残渣物を除去したり、残渣物が入り込んだ部品を交換することによって、シロキサン化合物に対する対策を行っている。
しかしながら、経験則によって定められる解体メンテナンスのタイミングは、正確ではなく、予想以上に早く部品の交換が必要となったり、まだ使用可能な部品を交換してしまったりするため、予想外のコストが生じる場合があった。また、解体メンテナンス中はガスエンジンの稼動を停止する必要があるため、まだ必要のない解体メンテナンスを行うことによって、必要以上にガスエンジンの稼動効率を低下させてしまう。
なお、除去装置を設置した場合でも、シロキサン化合物を完全に除去することはできず、ガスエンジンの解体メンテナンスは必要となる。また、稼動時間に比例して除去装置におけるシロキサン化合物の除去効率が低下するため、除去装置のメンテナンスも必要となる。
例えば、特許文献1には、消化ガス中のシロキサン化合物の濃度を検出する分析装置が提案されている。
また、従来のガスエンジンにおいては、ガスエンジンに供給されるシロキサン化合物の正確な量を検出することができなかったため、現在のところ、ガスエンジンに供給されるシロキサン化合物の量に応じたガスエンジンのメンテナンス方法は提案されていない。
なお、本発明において、シロキサン化合物の量に関する情報とは、ガスエンジンに直接供給される消化ガスに含まれるシロキサン化合物の量や、後述する除去装置を備える場合において除去装置の前後のシロキサン化合物の量の差を含むものである。
また、本発明において、ガスエンジンのメンテナンスに関する処理とは、ガスエンジンに直接メンテナンスを行う処理や、ガスエンジンにメンテナンスを行う必要性を示す情報を出力する処理を含むものである。
上述のように、ガスエンジン内部において生じる残渣物の量は、ガスエンジンに供給されるシロキサン化合物の量に比例する。このため、本発明によれば、経験則に基づいてメンテナンスが行う場合と比較して、消化ガスに含まれるシロキサン化合物に起因して必要となるメンテナンスを適切に行うことが可能となる。
これらの図に示すように、本実施形態のガスエンジンシステムSは、活性炭吸着装置1、ガスエンジン2、流量計3(流量検出装置)、第1濃度計4(第1濃度検出装置)、第2濃度計5(第2濃度検出装置)、潤滑油調整装置6、記憶装置7及び制御装置8を備えている。なお、潤滑油調整装置6、記憶装置7及び制御装置8によって本発明の処理装置が構成されている。
第2濃度計5は、活性炭吸着装置1の下流側に設置されており、消化ガスG2に含まれるシロキサン化合物の濃度を検出し、当該検出結果を出力するものである。
第1バルブ63は、ガスエンジン2に対して潤滑油Yを再供給するためのバルブであり、ガスエンジン2に対して潤滑油Yを再供給する場合に開放される。第2バルブ64は、ガスエンジン2から潤滑油Yを回収するためのバルブであり、ガスエンジン2から潤滑油Yを回収する場合に開放される。ポンプ65は、循環系61において、潤滑油Yの流れを形成するためのものである。フィルタ66は、潤滑油Yに含まれる残渣物を除去するためのものである。なお、残渣物は、消化ガスG2に残存するシロキサン化合物と潤滑油Yに含まれるカルシウム等とが反応することによって生成されるものであり、硬い粒子状の物質である。
このように構成された循環系61において潤滑油Yは、図1に示すように、第2バルブ64、ポンプ65、フィルタ66、第1バルブ63の順に循環する。そして、第1バルブ63及び第2バルブ64の開口の度合いを調整することによって潤滑油Yの循環量が設定可能とされている。
第3バルブ67は、ガスエンジン2に対して新たな潤滑油Yを供給するためのバルブであり、ガスエンジン2に対して新しい潤滑油Yを供給する場合に開放される。第4バルブ68は、ガスエンジン2から潤滑油Yを排出するためのバルブであり、ガスエンジン2から潤滑油Yを排出する場合に開放される。潤滑油タンク69は、新しい潤滑油Yを貯留するタンクであり、第3バルブ67を介してガスエンジン2と接続されている。
このように構成された新潤滑油供給系62において潤滑油Yは、潤滑油タンク69から第3バルブ67を介してガスエンジン2に供給され、第4バルブ68を介してガスエンジン2から排出される。そして、第3バルブ67の開口の度合いを調整することによってガスエンジン2への潤滑油Yの供給量が設定可能とされている。また、第4バルブ68の開口の度合いを調整することによってガスエンジン2からの潤滑油Yの排出量が設定可能とされている。
なお、吸着効率が高い状態とは、活性炭吸着装置1でのシロキサン化合物の吸着効率が必要最低限の水準に対して十分に余裕がある状態である。また、吸着効率が低下してきている状態とは、活性炭吸着装置1でのシロキサン化合物の吸着効率が、吸着効率が高い状態から必要最低限の水準に向かって低下してきている状態である。また、吸着効率が低い状態とは、活性炭吸着装置1でのシロキサン化合物の吸着効率が必要最低限の水準よりも低い状態である。
また、記憶装置7は、潤滑油調整装置6の循環系61における循環可能流量、すなわちポンプ65の許容容量を記憶している。
このような過程において、制御装置8は、まず、流量計3の検出結果から消化ガスG1の流量を取得する(ステップS1)。
続いて、制御装置8は、第1濃度計4の検出結果から消化ガスG1に含まれるシロキサン化合物の濃度を取得する(ステップS2)。
次に制御装置8は、第2濃度計5の検出結果から消化ガスG2に含まれるシロキサン化合物の濃度を取得する(ステップS3)。
なお、ステップS1〜S3の順序は一例であり、これらの処理の順序が変更あるいは並列して行われても良い。
具体的には、制御装置8は、循環系61のポンプ65を駆動させると共に第1バルブ63と第2バルブ64との開口の度合いを調整することによって所定の流量の潤滑油Yをフィルタ66を介して循環させる。なお、循環工程では、新潤滑油供給系62の第3バルブ67、及び第4バルブ68は閉鎖状態とされる。このような循環工程では、フィルタ66によって潤滑油Yに含まれる残渣物の一部を除去することができるため、ガスエンジン2に供給されるシロキサン化合物の量が少ない場合には、潤滑油Yを廃棄することなく純度の高い潤滑油Yをガスエンジン2に再供給することができる。
そして、制御装置8は、ステップS8にて算出した循環流量が予め記憶装置7にて記憶した循環系61における循環可能流量以下であるかを判定する(ステップS8)。この結果、循環可能流量以下である場合には、制御装置8は、ステップS6に移行し、循環工程を行う。
具体的には、制御装置8は、新潤滑油供給系62の第3バルブ67と第4バルブ68との開口の度合いを調整することによって所定量の潤滑油Yをガスエンジン2から排出させ、同じく所定量の潤滑油Yを潤滑油タンク69から供給させる。なお、新潤滑油供給工程では、循環系61の第1バルブ63、及び第2バルブ64は閉鎖状態とされる。このような新潤滑油供給工程においては、ガスエンジン2に供給されるシロキサン化合物の量が多い場合であっても、残渣物を含む潤滑油Yが廃棄され、使用されていない潤滑油Yがガスエンジン2にされるため、常に純度の高い潤滑油Yを用いることができる。
つまり、本実施形態のガスエンジンシステムSにおいては、必要最低限の潤滑油Y量によって、常にガスエンジン2内部の残渣物の量を少なく維持することができる。すなわち、本実施形態のガスエンジンシステムSにおいては、ガスエンジンにおいて、消化ガスに含まれるシロキサン化合物に起因して必要となるメンテナンスを適切に行うことが可能となる。
ガスエンジン2内部において生じる残渣物の量は、ガスエンジン2に供給されるシロキサン化合物の量に比例する。このため、本実施形態のガスエンジンシステムS及びガスエンジンのメンテナンス方法によれば、経験則に基づいてメンテナンスが行う場合と比較して、消化ガスに含まれるシロキサン化合物に起因して必要となるメンテナンスを適切に行うことが可能となる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガスエンジン2に供給されるシロキサン化合物の量をモニタリングし、ガスエンジン2に供給されたシロキサン化合物の総量がガスエンジン2の分解メンテナンスが必要とされる規定値を超えた場合に、分解メンテナンスの必要性を示す情報を出力する構成としても良い。つまり、シロキサン化合物の量に関する情報としてガスエンジン2に供給されたシロキサン化合物の総量を取得し、ガスエンジンのメンテナンスに関する処理としてガスエンジン2の解体メンテナンスを行う必要性を示す情報を出力する処理を行う構成を採用することもできる。
このような構成を採用する場合には、例えば、上記実施形態において示した第1濃度計4及び第2濃度計5のうち、第2濃度計5の検出結果のみにてガスエンジン2に供給されたシロキサン化合物の総量をモニタリングすることができる。したがって、第1濃度計をなくすことができ、本発明の濃度検出装置として第2濃度計のみを備える構成を採用することができる。また、このような構成を採用する場合には、活性炭吸着装置1を設置しない構成を採用することもできる。
さらには、ガスエンジン2に供給されたシロキサン化合物の総量に基づいて、ガスエンジン2の分解メンテナンスの必要性が生じる時間までを予測し、この予測を出力する構成を採用することもできる。
Claims (4)
- シロキサン化合物を含む消化ガスを爆発燃焼させることによって動力を得るガスエンジンを備えるガスエンジンシステムであって、
前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度を検出する濃度検出装置と、
前記消化ガスの流量を検出する流量検出装置と、
前記濃度検出装置の検出結果及び前記流量検出装置の検出結果から前記シロキサン化合物の量に関する情報を取得すると共に取得した前記シロキサン化合物の量に関する情報に基づいてガスエンジンのメンテナンスに関する処理を行う処理装置と、
前記ガスエンジンに供給される消化ガスから前記シロキサン化合物の少なくとも一部を除去する除去装置とを備え、
前記濃度検出装置として、前記除去装置に供給される前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度を検出する第1濃度検出装置と、前記除去装置から排出される前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度を検出する第2濃度検出装置とを備え、
前記処理装置は、前記ガスエンジンへの潤滑油の供給及び排出を行う潤滑油調整装置を備え、前記シロキサン化合物の量に関する情報に基づいて、前記潤滑油調整装置を制御することによって前記メンテナンスに関する処理を行う
ことを特徴とするガスエンジンシステム。 - 前記潤滑油調整装置が、前記ガスエンジン内部の潤滑油を回収すると共に回収した前記潤滑油をフィルタを介して前記ガスエンジン内部に再供給する循環系と、前記ガスエンジン内部の潤滑油を排出すると共に新たな潤滑油を前記ガスエンジン内部に供給する新潤滑油供給系とを備え、
前記処理装置は、前記シロキサン化合物の量に関する情報に基づいて、前記循環系あるいは前記新潤滑油供給系のいずれかを選択し、選択した前記循環系あるいは前記新潤滑油供給系を用いて前記メンテナンスに関する処理を行う
ことを特徴とする請求項1記載のガスエンジンシステム。 - シロキサン化合物を含む消化ガスを爆発燃焼させることによって動力を得るガスエンジンのメンテナンスに関する処理を行うガスエンジンのメンテナンス方法であって、
前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度及び前記消化ガスの流量から前記シロキサン化合物の量に関する情報を取得すると共に取得した前記シロキサン化合物の量に関する情報に基づいてガスエンジンのメンテナンスに関する処理を行い、
前記ガスエンジンに供給される消化ガスから前記シロキサン化合物の少なくとも一部を除去する除去工程を有し、
前記除去工程前の前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度である第1濃度と、前記除去工程後の前記消化ガスに含まれるシロキサン化合物の濃度である第2濃度とを前記シロキサン化合物の濃度として用いて前記シロキサン化合物の量に関する情報を取得し、
前記メンテナンスに関する処理は、前記ガスエンジンへの潤滑油の供給及び排出を行う処理であることを特徴とするガスエンジンのメンテナンス方法。 - 前記メンテナンスに関する処理において、前記シロキサン化合物の量に関する情報に基づいて、前記ガスエンジン内部から潤滑油を回収すると共に回収した潤滑油をフィルタを介してガスエンジンに再供給する循環工程、あるいは、前記ガスエンジン内部の潤滑油を排出すると共に新たな潤滑油を前記ガスエンジン内部に供給する新潤滑油供給工程のいずれかの工程を行うことを特徴とする請求項3記載のガスエンジンのメンテナンス方法。
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