JP4777638B2 - 反射フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、反射フィルムに関し、特に、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に使用される反射フィルムに関する。
この種の反射フィルム、中でも液晶ディスプレイの反射板に使用される反射フィルムとして、特許文献1には、芳香族ポリエステル系樹脂からなるフィルムが開示されているが、芳香族ポリエステル系樹脂の分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、紫外線に晒されると反射フィルムが劣化すると共に黄変し、反射フィルムの反射率が低下するという欠点があった。
特開平4−239540号公報
本発明は、高い反射性能を備え、経時的な黄変や反射率低下が少なく、さらに加熱環境下での寸法変化も少ない新たな反射フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂と微粉状充填剤とを含有してなる反射フィルム、すなわち、反射フィルムの構成成分として少なくとも脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂と微粉状充填剤との三成分を含有する反射フィルムを提案する。
本発明の反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱によって、優れた光反射性を得ることができる。脂肪族ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂は、紫外線を吸収する芳香環を有さないので、紫外線照射による反射率の低下がほとんど起こらないという特徴を有する。また、耐熱性に優れたアクリル系樹脂を含有することにより、反射フィルム全体の耐熱性が高まり、高温環境下での使用時にも優れた寸法安定性を発揮する。
よって、本発明の反射フィルムは、パソコンやテレビ等のディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に用いる反射フィルムとして好適であるばかりか、大型液晶テレビ等の特に優れた耐熱性が要求される用途の反射フィルムとしても好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る反射フィルムは、反射フィルムの構成成分として、少なくとも脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂と微粉状充填剤との三成分を主成分として含有する特徴を備えている。
ここで、主成分というのは、当該三成分の機能が維持される限りにおいて、他の成分を含んでいてもよいという意であり、当該三成分の最低必要含有量を特に制限するものではないが、当該三成分がフィルム全成分中の50質量%以上、中でも70質量%以上、特に80質量%以上、殊更90質量%以上を占めるのが好ましい。
(脂肪族ポリエステル系樹脂)
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物を用いることができる。
化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリε−カプロラクタム等、ラクトンを開環重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、二塩基酸とジオールとを重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール等ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、前記脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば全エステル結合の50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。
また、微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等を挙げることができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、分子鎖中に芳香環を含まないので紫外線吸収を起こさない。従って、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によってフィルムが劣化、黄変することがなく、光反射性が経時的に低下することが少ない。
脂肪族ポリエステル系樹脂の屈折率は、1.52未満であることが好ましい。本実施形態に係る反射フィルムの反射性能は、主に樹脂と微粉状充填剤との界面における屈折散乱によって発揮されるものである。すなわち、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きいほうが、高い反射性能を得ることができる。従って、脂肪族ポリエステル系樹脂の屈折率が1.52未満であると、微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなり好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差は、0.15以上であることが好ましく、0.20以上であれば更に好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂の屈折率が1.52未満であれば、微粉状充填剤の屈折率との差が0.15以上の条件を確保することが容易であり、組み合わせられる微粉状充填剤の種類も豊富になる。
本実施形態で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂として、乳酸系重合体は特に好ましい脂肪族ポリエステル系樹脂である。乳酸系重合体は、植物由来の原料から製造され、かつ生分解性の性質を有する樹脂であるから環境への負荷が小さい点で優れているばかりか、屈折率が1.46程度と非常に低く、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなり、0.15以上の条件を容易に達成することから高い反射性能を容易に付与することができる。
ここで、本実施形態で用いる乳酸系重合体としては、D−乳酸又はL−乳酸の単独重合体又はそれらの共重合体であればよい。具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することができる。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、又は、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか又はD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましく、さらに好ましくはD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5又はD−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。D−乳酸とL−乳酸との構成比が100:0もしくは0:100である乳酸系重合体は非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上する点で好ましい。一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成された乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上する点で好ましい。得られる反射フィルムの耐熱性と、成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、本実施形態に用いる乳酸系重合体としては、D−乳酸とL−乳酸との構成比がD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5又はD−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であることがより好ましい。
また、乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。D−乳酸とL−乳酸のホモポリマーと、共重合体とをブレンドすることにより、耐熱性を調節することができる。
乳酸系重合体の分子量は、重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、6万以上40万以下であることがさらに好ましく、10万以上30万以下であることが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が5万以上であれば、機械物性や耐熱性等の実用物性を確保することができ、40万以下であれば、溶融粘度が高過ぎて成形加工性が劣るようなことを防ぐことができる。
(アクリル系樹脂)
次に、本実施形態で用いるアクリル系樹脂について説明する。
本実施形態に用いるアクリル系樹脂として、主成分がメチルメタクリル酸より重合されるメチルメタクリル樹脂(PMMA:ポリメチルメタ(ア)クリレートともいう)を好適に用いることができる。メチルメタクリル樹脂は、乳酸系重合体と同様に屈折率が1.49と低く、アクリル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなり、高い反射性能を得ることができる。
また、アクリル系樹脂は、芳香族基をもたないので、紫外線に晒されることによる反射フィルムの劣化に起因する黄変がほとんど無いことから、反射フィルムの反射率が経時的に低下することもほとんどない。また、アクリル系樹脂は屈折率が小さいことから、微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなり高い反射性能を得ることができる。
また、本実施形態に係る反射フィルムは、アクリル系樹脂を配合することによって、反射フィルムの耐熱性を向上させることができる。例えば、乳酸系重合体のガラス転移温度は60℃付近であり、延伸結晶化させることで耐熱性を向上させることは可能であるが、耐熱性の高いアクリル系樹脂を混合することによって、耐熱性、寸法安定性をさらに向上させることができ、大型液晶テレビ等の用途において要求される80℃程度の高温環境下における反射フィルムの寸法安定性を得ることができる。
本実施形態に用いるアクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であるのが、乳酸系重合体とアクリル系樹脂とを混合した樹脂組成物の耐熱性をより有効に向上させることができるので好ましい。
なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、粘弾性測定における損失弾性率(E”)のピーク温度によって定義される温度である。粘弾性測定における損失弾性率(E”)のピーク温度は、例えば、粘弾性スペクトロメーターを用い、所定の条件下で測定される損失弾性率の温度依存曲線の傾きを求め、この傾きが零(一次微分が零)となる温度である。
アクリル系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、5〜35(5g/10分〜35g/10分)であることが好ましく、中でも10〜30(10g/10分〜30g/10分)がより好ましい。
製造時の熱による劣化を鑑みると、脂肪族ポリエステルの押出温度は220℃以下が好ましいことから、アクリル系樹脂も同温度での押出が可能であることが好ましく、アクリル系樹脂のMFRはなるべく高い方が好ましい。従って、MFRが5以上であれば、樹脂混合物の押出温度を低く抑えることができるため樹脂混合物の熱劣化や劣化による反射率低下が生じることない。また、35以下であれば、反射フィルムの耐破断性を保つことができる。
なお、MFRの値は、JIS K−7210(又はASTM D−1238)に準じ、230℃、荷重37.3N、10分の条件で測定した値である。
メチルメタクリル樹脂は、その成形性を向上させる事を目的に、また、ガラス転移温度(Tg)を調整する目的で、メチルメタクリル酸と共重合可能なビニル系単量体と共重合するのが好ましい。共重合可能なビニル系単量体として、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪酸、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができ、中でも、アクリル酸エステル類が好ましい。
また、メチルメタクリル樹脂の分子量は、概ね1万〜15万程度であると、反射フィルムの成型加工性を良好とすることができるため好ましい。また、懸濁重合法や塊状重合法により重合することができる。
なお、アクリル系樹脂に屈折率が1.52以上にならない範囲で(軟質性)エラストマー成分をブレンドしてもよい。一般にアクリル系樹脂に(軟質性)エラストマー成分をブレンドすることによって耐破断性を向上させることができ、さらには延伸性も改良することができる。
(軟質性)エラストマー成分としては、アクリル系樹脂の屈折率が1.52以上にならない範囲であって、芳香環を有さないものであれば特に制限は無いが、特に好ましいものとしてアクリル系ゴムや脂肪族ポリエステルを例示することができる。
アクリル系ゴムの一例として、二重結合を含まないアルキル(メタ)アクリレートと架橋剤とからなる架橋アルキル(メタ)アクリレートゴム重合体にメチルメタクリレート、或いはスチレンやアクリルニトリル等をグラフト重合したアクリル系ゴムを挙げることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートを挙げることができる。
また、(軟質性)エラストマー成分としての脂肪族ポリエステルは、特にガラス転移温度が0℃未満、さらに好ましくは−20℃未満の脂肪族ポリエステルであるのがよい。ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステルは、(軟質系)エラストマー性の機能を有し、好適に耐破断性を付与することができる。
ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステルは、昭和高分子(株)社製:ビオノーレ3000シリーズや三菱化学(株)社製GS−Pla等を例示することができる。
上記のメチルメタクリル樹脂として、住友化学工業(株)社製:SUMIPEXシリーズ、三菱レイヨン(株)社製:アクリペットシリーズ、(株)クラレ社製:パラペットシリーズ、旭化成製:デルペット等のメチルメタクリル樹脂を挙げることができる。
(微粉状充填剤)
本実施形態で用いる微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも一種が好ましい。得られる反射フィルムの光反射性を勘案すれば、脂肪族ポリエステル系樹脂との屈折率差が大きいものが好ましく、すなわち、無機質微粉体としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上が好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、又は酸化亜鉛を用いることがさらに好ましく、これらの中でも酸化チタンが特に好ましい。酸化チタンを用いることにより、より少ない充填量でフィルムに高い反射性能を付与することができ、また、薄肉でも高い反射性能のフィルムを得ることができる。
本実施形態で用いる酸化チタンとしては、例えば、アナタース型酸化チタン及びルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。ベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。
さらに、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。
ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものの意である。本発明では、酸化チタンに含まれるバナジウムの含有量が5ppm以下である酸化チタンを高純度酸化チタンと称すことにする。
高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものを挙げることができる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
また、本実施形態で用いる酸化チタン(高純度酸化チタン)は、表面をシリカ、アルミナ、及びジルコニアの中から選ばれた少なくとも一種類の不活性無機酸化物で被覆処理されていると、フィルムの耐光性が高まり、酸化チタンの光触媒活性が抑制され、酸化チタンの高い光反射性を損なうことがないので好ましい。さらに二種類或いは三種類の不活性無機酸化物を併用して被覆処理されたものがより好ましく、中でもシリカを必須とする複数の不活性無機酸化物の組み合わせが特に好ましい。
なお、微粉状充填剤として、前記の如く例示した無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、異なる微粉状充填剤同士を併用することができ、例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤、高純度酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
また、微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用するのもよい。
表面処理剤としては、例えば、酸化チタンの表面をシロキサン化合物、シランカップリング剤等から選ばれた少なくとも一種類の無機化合物を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて用いてもよい。
微粉状充填剤は、粒径が0.05μm以上、15μm以下であることが好ましく、より好ましくは粒径が0.1μm以上、10μm以下である。微粉状充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が低下することがないので、均質なフィルムが得られる。また粒径が15μm以下であれば、形成される空隙が粗くなることはなく、高い反射率のフィルムが得られる。
さらに、微粉状充填剤として酸化チタンを用いる場合、粒径が0.1μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
(他の成分)
本実施形態に係る反射フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内で上記以外の樹脂を含有していてもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、及びその他の添加剤を含有していてもよい。
例えば、本実施形態に係る反射フィルムを自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等の液晶ディスプレイ用途で使用する場合、より高温度で高湿度な環境に対する耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤であるカルボジイミド化合物等を添加することができる。カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものが好ましいものとして挙げることができる。

―(N=C=N−R−)n

式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げることができる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、二種以上組み合わせて使用してもよい。
カルボジイミド化合物の添加量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対してカルボジイミド化合物を0.1質量部〜3.0質量部添加することが好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が3.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性が得られる。
(成分の配合割合)
ガラス転移温度(Tg)が0℃以上の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる場合、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合を、質量比で脂肪族ポリエステル系樹脂:アクリル系樹脂=80:20〜40:60、特に80:20〜50:50とするのが好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が0℃以上の脂肪族ポリエステル系樹脂、(例えば、乳酸系重合体)とアクリル系樹脂とは相溶系であるため、混合比率を調整することによって耐熱性を調整することができる。
他方、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる場合は、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合を、質量比で脂肪族ポリエステル系樹脂:アクリル系樹脂=50:50〜10:90、特に40:60〜15:85とするのが好ましい。
ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いると、該脂肪族系ポリエステル系樹脂は主に軟質系樹脂としての機能を発揮する。すなわち、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合が、前記範囲であれば、反射フィルムの機械的強度や耐熱性を付与することができる。
なお、ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステルとしては、昭和高分子(株)社製:ビオノーレ3000シリーズ、三菱化学(株)社製:GS−Pla等が挙げることができ、これらは本実施形態において好適に用いることができる。
微粉状充填剤の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、フィルム全体の質量に対して、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上、55質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以上、50質量%以下であることが特に好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
(空隙)
本実施形態に係る反射フィルムは、内部に空隙を有していてもよい。空隙を有していれば、樹脂成分(脂肪族ポリエステル系及びアクリル系樹脂)と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱のほか、樹脂成分と空隙(空気)、微粉状充填剤と空隙(空気)との屈折率差による屈折散乱からも反射性能を得ることができる。
例えば、微粉状充填剤を含有するフィルムを延伸することにより、フィルム中に空隙を形成することができる。これは、延伸時に樹脂と微粉状充填剤との延伸挙動が異なるからであり、樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなる樹脂は延伸されるが、微粉状充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、樹脂と微粉状充填剤との界面が剥離して、空隙が形成される。従って、微粉状充填剤を効果的に分散状態で含ませることによって、反射フィルム内に空隙を形成し、さらに優れた反射性能をフィルムに付与することができる。また、発泡剤を添加して、発泡によって反射フィルム中に空隙を形成することもできる。
反射フィルムに占める空隙の割合、すなわち空隙率(A層中に占める空隙の体積部分の割合であり、延伸によって空隙を形成する場合は、「空隙率(%)=[(未延伸の反射フィルム密度−延伸後の反射フィルム密度)/未延伸の反射フィルム密度]×100」で求めることができる)は、50%以下であるのが好ましく、5%以上50%以下の範囲内であることがより好ましい。また、空隙率は20%以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは30%以上である。空隙率が50%以下であれば、フィルムの機械的強度が確保され、フィルム製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の耐久性が不足したりすることない。
なお、微粉状充填剤として酸化チタン(高純度酸化チタン)を用いた場合は、反射フィルム内部の空隙の存在如何にかかわらず、高い光反射性を得ることができる。
例えば、反射フィルムが空隙を有さない場合(すなわち、空隙率=0%)であっても、微粉状充填剤として酸化チタンを用いれば、高い光反射性を得ることができる。これは、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの屈折率差による屈折散乱が大きいことと共に、酸化チタンの隠蔽力が高いことに起因すると推察される。
(厚さ)
本実施形態に係る反射フィルム全体の厚さは、特に限定されないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜500μm程度の範囲内であることが好ましい。特に、小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚さが30μm〜100μmであることが好ましい。かかる厚さの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
なお、本実施形態においてシートとは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。ところで、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900)。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確には区別しにくいので、本願においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
(フィルムの特性)
本実施形態に係る反射フィルムは、反射使用面側から測定した波長550nmの光に対する反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることがさらに好ましい。反射率が95%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
本実施形態に係る反射フィルムの熱的特性としては、80℃で180分間加熱した後の熱収縮率が、縦方向(MD)及び横方向(TD)ともに−0.1%より大きく且つ0.7%未満であり、0%より大きく、0.5%未満であることがに好ましい。
例えば、大型液晶テレビ等の反射板として組み込まれる場合には、光源に晒された状態で長時間使用されるので、その期間において波打やシワの発生を抑える必要がある。すなわち、耐熱性、加熱環境下での寸法安定性が要求される。従って、前記の如く、80℃で180分間加熱した後の熱収縮率が縦方向(MD)及び横方向(TD)ともに−0.1%より大きく且つ0.7%未満であれば、反射フィルムの平面性を維持し得る寸法安定性を有する。
(用途)
本実施形態に係る反射フィルムは、以上のように高度な反射性能と高い耐熱性を兼ね備えていることから、パソコンやテレビ等のディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に用いる反射フィルムとして好適であるばかりか、大型液晶テレビ等の特に優れた耐熱性が要求される反射板に用いる反射フィルムとしても好適に用いることができる。
ここで、該反射板は、反射フィルムを金属板若しくは樹脂板に被覆して得ることができる。反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。
例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持できて好ましい。
(製造方法)
以下に、本実施形態に係る反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
先ず、脂肪族ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂に、微粉状充填剤、必要に応じて加水分解防止剤等その他の添加剤等を配合して混合樹脂組成物を作製する。具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂に、微粉状充填剤、加水分解防止剤等加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、一軸または二軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂として乳酸系重合体を用い、アクリル系樹脂としてメチルメタクリル樹脂を用いた場合、170℃〜230℃)で混練することにより混合樹脂組成物を得る。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂、微粉状充填剤、加水分解防止剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加することによって混合樹脂組成物を得るようにしてもよい。また、予め、微粉状充填剤、加水分解防止剤等を脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチに、脂肪族ポリエステル系樹脂やアクリル系樹脂を混合して所望の濃度の混合樹脂組成物としてもよい。
次に、このようにして得られた混合樹脂組成物を溶融し、フィルム状に形成する。例えば、混合樹脂組成物を乾燥させ、押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。この際、混合樹脂組成物を乾燥させずに押出機に供給しても良いが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要であるが、例えば、押出し温度は、脂肪族ポリエステル系樹脂として乳酸系重合体を用い、アクリル系樹脂としてメチルメタクリル樹脂を用いた場合であれば、170℃〜230℃の範囲が好ましい。
次いで、溶融した混合樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシート(未延伸状態)を形成し、反射フィルムを得ることができる。
(延伸)
さらに、得られた未延伸状態の反射フィルムは、一軸方向若しくは二軸方向に延伸してもよい。延伸することにより、フィルム中に空隙をつくることができ、反射率をさらに向上させることができる。また耐衝撃性も向上させることができる。
二軸延伸する場合、延伸順序は特に制限されることはなく、同時二軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMDに延伸した後、テンター延伸によってTDに延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって二軸延伸を行ってもよい。
延伸温度は、脂肪族ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂の混合比によって調整すればよく、60℃〜120℃の範囲であると好ましい。
また、延伸倍率は、面積倍率で2倍以上であることが好ましい。面積倍率が2倍以上であれば、延伸による耐衝撃性もしくは反射率の向上効果を期待することができる。
(熱処理)
得られた反射フィルムに、耐熱性及び寸法安定性をさらに付与するため、熱処理するのが好ましい。
反射フィルムの熱処理温度は90℃〜160℃であることが好ましく、110℃〜140℃であることがさらに好ましい。熱処理に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
以下に実施例を示し、本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値及び評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(測定及び評価方法)
(1)屈折率
使用した樹脂及び作製した反射フィルムの屈折率は、JIS K−7142のA法に基づいて測定した。
(2)ガラス転移温度:損失弾性率のピーク温度(粘弾性測定)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、振動周波数10Hz、昇温速度3℃/分、測定温度−120℃から200℃の範囲で測定した損失弾性率の温度依存曲線の傾きが零(一次微分が零)となる温度(損失弾性率のピーク温度)を求め、この温度をガラス転移温度とした。
なお、測定フィルムは構成する樹脂を0.2〜1.0mm程度の厚さ範囲で作成し、ほぼ無配向の方向を測定した。
(3)平均粒径
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm2、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
(4)酸化チタン中のバナジウム濃度(ppm)
酸化チタン0.6gに硝酸10mLを加えて、マイクロウェーブ式灰化装置内で80分間分解させて、得られた溶液について、ICP発光分光分析装置を用いて測定を行った。
(5)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長400nm、550及び700nmの光に対する反射率を測定した。その際、本反射フィルムの反射使用面側から光を照射した。なお、測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(6)熱収縮率
フィルムのMD及びTDのそれぞれに200mm幅の標線を入れ、サンプルとして切り出した。この切り出したサンプルフィルムを、温度80℃の熱風循環オーブンの中に入れて3時間保持した後、フィルムが収縮した収縮量を測定した。オーブンに入れる前のサンプルフィルムの原寸(200mm)に対する収縮量の比率を%値で表示し、これを熱収縮率(%)とした。
(7)黄変防止性
サンシャインウェザーメーター試験器(水の間欠噴霧なし)内でフィルムに紫外線を1,000時間照射したフィルムを、上記(5)の測定方法に従って反射率(%)を求め、黄変の評価を行った。
(実施例1)
重量平均分子量20万の乳酸系重合体(NW4032D:カーギルダウポリマー社製、L体:D体=98.5:1.5、Tg=61℃、屈折率n=1.46)40質量部に、重量平均分子量8万のポリメチルメタクリレート系重合体(SUMIPEX LG21:住友化学社製、Tg=102℃、MFR=21、屈折率n=1.49)30質量部と、平均粒径0.25μmの酸化チタン(タイペークPF740:石原産業社製、バナジウム含有量1ppm、アルミナ、シリカ、ジルコニアによる表面処理済)30質量部とを混合した後、二軸押出機にて210℃にて混練し、210℃でTダイより押し出し、冷却固化して厚さ250μmの反射フィルムを得た。
(実施例2)
重量平均分子量16万の脂肪族ポリエステル系樹脂(GS−Pla AZ91T:三菱化学社製、Tg=−28℃、屈折率n=1.51)20質量部に、重量平均分子量9万のポリメチルメタクリレート系重合体(SUMIPEX MGSS:住友化学社製、Tg=110℃、MFR=10、屈折率n=1.49)40質量部と実施例1と同じ酸化チタン40質量部とを混合した後、二軸押出機にて210℃にて混練し、210℃でTダイより押し出し、冷却固化して、厚さ250μmの反射フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1と同じ乳酸系重合体80質量部に、実施例1と同じ酸化チタン20質量部を混合した後、二軸押出機にて210℃にて混練し、210℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを得た。得られたフィルムを、温度62℃でMD2.5倍、温度70℃でTD3.2倍の条件で二軸延伸した後に、140℃で熱処理し、厚さ250μmの反射フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1と同じ乳酸系重合体70質量部に、実施例1と同じ酸化チタン30質量部を混合した後、二軸押出機にて210℃にて混練し、210℃でTダイより押し出し、冷却固化して厚さ250μmの反射フィルムを得た。
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2の結果を表1に示す。
Figure 0004777638
表1に示すように、実施例1及び2の反射フィルムは、80℃/3時間での熱収縮が0.7%以下であり、寸法安定性が優れていることが分かった。また、黄変もなかった。
一方、比較例1及び2の反射フィルムは、MD又はTDで0.7%を超えてしまい、熱収縮を起こすことが分かった。



Claims (13)

  1. 屈折率が1.52未満である脂肪族ポリエステル系樹脂と、屈折率が1.52未満であるアクリル系樹脂と、屈折率が1.6以上の微粉状充填剤とを主成分として含有してなる反射フィルムであって、芳香環を有する樹脂を含有しない反射フィルム。
  2. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂は芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であり、前記アクリル系樹脂も芳香環を含まないアクリル系樹脂であり、含有する樹脂は芳香環を含まない樹脂であることを特徴とする請求項1記載の反射フィルム。
  3. アクリル樹脂系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射フィルム。
  4. アクリル系樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K−7210、ASTM D−1238、230℃、荷重37.3N)は、5g/10分〜35g/10分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射フィルム。
  5. 脂肪族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、かつ脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合が、質量比で脂肪族ポリエステル系樹脂:アクリル系樹脂=80:20〜40:60であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射フィルム。
  6. 脂肪族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であって、かつ脂肪族ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合が、質量比で脂肪族ポリエステル系樹脂:アクリル系樹脂=50:50〜10:90であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射フィルム。
  7. 微粉状充填剤は、フィルム全質量の10質量%〜60質量%で含有されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射フィルム。
  8. 微粉状充填剤は、酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反射フィルム。
  9. 微粉状充填剤は、バナジウム含量5ppm以下の酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の反射フィルム。
  10. 微粉状充填剤は、酸化チタンの表面が、アルミナ、シリカ、ジルコニアからなる群から選ばれた少なくとも一種の不活性無機酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の反射フィルム。
  11. 80℃で180分間加熱した後の熱収縮率が、縦方向(MD)及び横方向(TD)ともに−0.1%より大きく且つ0.7%未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の反射フィルム。
  12. 550nmの波長域における反射率が95%以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の反射フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の反射フィルムを備えた反射板。
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