JP2008233292A - 反射フィルム及び反射板 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた反射性能を実現でき、金属板に積層した際にカール(C反り)を発生しない、新たな反射フィルムを提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを含有する樹脂組成物から形成される反射フィルムであって、室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)が1×10MPa〜3×10MPaであることを特徴とする反射フィルムを提案する。反射フィルムの貯蔵弾性率E’(25)を1×10MPa〜3×10MPaの範囲に調整することで、本反射フィルムを金属板等に貼り合せて反射板を作成した際のカール(C反り)の発生を抑制することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、パソコンやテレビ等の表示装置、照明器具、照明看板等に用いる反射フィルム及び反射板に関し、特に液晶表示装置に内蔵される照明機構を構成するリフレクターの材料として好適に用いることができる反射フィルム及び反射板に関する。
液晶表示装置に内蔵される照明機構(バックライト機構)としては、光源からの光を直接液晶表示パネルに照明させる直下方式と、光源からの光をアクリル樹脂等からなる導光板を介して液晶表示パネルに照明させるサイドライト方式(エッヂライト方式とも言う)とが存在する。
液晶表示装置において、モニターや小型液晶テレビ、ノート型パソコン等のように薄型であることが要求される用途では、上記照明機構としてサイドライト方式が採用されており、光源からの光を効率よく導光板に伝えるために、金属と反射フィルムとが積層した反射板を成形加工してなる「リフレクター」と呼ばれる部材が使用されている。
近年、表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させるため、反射体ないし反射フィルムに対してより一層高度な反射性能が求められるようになってきている。
この種の反射板に用いる反射フィルムとしては、銀を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、銀蒸着PETフィルム)や、反射性能を有する白色ポリエステルフィルム等が用いられており、コストや反射板に要求される厚さ等を考慮して使い分けられている。
例えば特許文献1には、芳香族ポリエステル系樹脂に酸化チタンを添加して形成された白色シートである反射フィルムが開示されている。
また、反射板を成形加工する際、折り曲げた時の形状を保持する形状保持性が求められるため、例えば特許文献2には、金属に接着剤層を設け、その上にさらにポリエステル反射フィルムを積層する反射体が開示されている。
しかし、従来の反射体では、最近の液晶表示装置において要求される高い反射性能を実現することは困難であり、さらには、フィルムを形成する芳香族ポリエステル系樹脂の分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によってフィルムが劣化、黄変して、反射フィルムの光反射性が低下するという欠点も抱えていた。
そこで、本発明者らは脂肪族ポリエステル系樹脂に酸化チタン等の微粉状充填剤を添加して形成した反射フィルムを開発し、これを開示した。(特許文献3)
特開2002−138150号公報 特開平10−177805号公報 WO2004104077号
特許文献3において開示された反射フィルムは、高い反射性能を実現することができるばかりか、成形加工の面においても満足するものであったが、この反射フィルムを金属板に積層して反射板を形成すると、カール(C反り)が発生することがあり、リフレクター加工時の加工性の悪化やパソコン等に組み込んだ際に光漏れを生じる可能性があった。
そこで本発明は、優れた反射性能を実現でき、しかも金属板に積層した際にカール(C反り)を発生しない、新たな反射フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを含有する樹脂組成物から形成される反射フィルムであって、室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)が1×10MPa〜3×10MPaであることを特徴とする反射フィルムを提案する。
なお、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。また、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きく、Yより小さい」の意を包含するものである。
本発明の反射フィルムにおいては、脂肪族ポリエステル系樹脂に軟質系樹脂を添加することで反射フィルムの弾性率を調整することができ、反射フィルムの貯蔵弾性率E’(25)を1×10MPa〜3×10MPaの範囲に調整することができる。反射フィルムの弾性率をかかる範囲に調整することで、本反射フィルムを金属板等に貼り合せて反射板を作成した際のカール(C反り)の発生を抑制することができる。したがって、作製した反射板を折曲加工してリフレクターに加工する際の加工性を向上させることができる上、そのリフレクターをパソコン等に組み込んだ際の光漏れなども防止することができる。
このように本発明の反射フィルム及びこれを用いて形成した反射板は、優れた反射性能を実現でき、しかもカール(C反り)を生じないものであるから、パソコンやテレビ等の表示装置、照明器具、照明看板等に用いる反射板、特に液晶表示装置に内蔵される照明機構を構成するリフレクターの材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「主成分」と表現した場合、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるのが通常である。
本実施形態に係る反射フィルム(以下「本反射フィルム」という)は、脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを主成分として含有する樹脂組成物Aから形成される反射フィルムである。
(弾性率)
本反射フィルムは、室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)が1×10MPa〜3×10MPaであることが重要である。フィルムの貯蔵弾性率がかかる範囲内であれば、反射フィルムを金属板に貼り合わせて反射板とした際、カール(反り)の発生を抑制することができる。
かかる観点から、貯蔵弾性率E’(25)は、1.5×10MPa〜2.8×10MPaであるのが好ましく、特に2.0×10MPa〜2.5×10MPaであるのがさらに好ましい。
(脂肪族ポリエステル系樹脂)
本反射フィルムのベース樹脂、言い換えれば樹脂組成物Aの主成分をなす樹脂としての脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物を用いることができる。
化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリε−カプロラクタム等のラクトンを開環重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等の、二塩基酸とジオールとを重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール等のヒドロキシカルボン酸を重合して得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、前記脂肪族ポリエステル系樹脂のエステル結合の一部、例えば全エステル結合の50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル系樹脂等を挙げることができる。
微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体などを挙げることができる。
また、本反射フィルムのベース樹脂としての脂肪族ポリエステル系樹脂は、芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であるのが好ましい。分子鎖中に芳香環を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂であれば、紫外線吸収を起こさないから、紫外線に晒されることによって、或いは、液晶表示装置等の光源から発せられた紫外線を受けることによってフィルムが劣化したり、黄変したりすることがなく、フィルムの光反射性(単に「反射性」ともいう)が経時的に低下するのを抑えることができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂の融点は、100〜170℃であるのが好ましい。融点が100〜170℃であれば、高温環境下において反射率が低下したり、寸法安定性が低下したりするのを抑制することができる。
本反射フィルムにおいては、ベース樹脂と微粉状充填剤等との界面における屈折散乱によって光反射性を得ることができる。この屈折散乱は、ベース樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きくなるに従って大きくなるため、ベース樹脂としては、微粉状充填剤との屈折率差が大きくなるように、屈折率の小さい樹脂を用いるのが好ましい。かかる観点から、屈折率が約1.55以上である芳香族ポリエステル系樹脂よりも、屈折率が1.52未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるのが好ましく、特に脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも屈折率の小さい乳酸系重合体(屈折率が1.46未満)を用いるのがより好ましい。
また、乳酸系重合体は、分子鎖中に芳香環を含まないので紫外線吸収を起こさない。したがって、紫外線に晒されて、あるいは、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によっても、反射フィルムが劣化したり、黄変することがない点でも好ましい。
乳酸系重合体とは、D−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体をいう。具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することができる。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。
上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との含有比率が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15、又は、D−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であるのものが好ましく、中でも特にD−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であるものが好ましい。
D−乳酸とL−乳酸との含有比率が100:0又は0:100である乳酸系重合体は非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので、その点で好ましい。その一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成される乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので、その点で好ましい。
得られる反射フィルムの耐熱性と成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、D−乳酸とL−乳酸との構成比は、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5又はD−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であるのがより好ましい。
D−乳酸とL−乳酸との含有比率が異なる複数種類の乳酸系重合体を混合(ブレンド)してもよい。例えば、D−乳酸又はL−乳酸のホモポリマーと、これらの共重合体とをブレンドすることにより、ブリードのし難さと耐熱性の発現とのバランスをとることができる。
このように複数種類の乳酸系重合体を混合する場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との含有比率を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。
乳酸系重合体の分子量は高分子量であることが好ましい。例えば重量平均分子量が5万以上であることが好ましく、6万〜40万であることがさらに好ましく、10万〜30万であることが特に好ましい。乳酸系重合体の重量平均分子量が5万未満であると、得られたフィルムは機械的性質に劣る場合がある。
脂肪族ポリエステル系樹脂には、市販製品を用いることができる。例えば、昭和高分子社のビオノーレ3000シリーズ、三菱化学社のGS−Pla等を挙げることができる。また、乳酸系重合体として、三井化学社のレイシアシリーズ、NatureWorks社のNatureWorksシリーズ等を挙げることができる。
(軟質系樹脂)
本反射フィルムにおいて軟質系樹脂の役割は、脂肪族ポリエステル系樹脂に添加することで本反射フィルムの弾性率を上記所定範囲に制御することにある。したがって、軟質系樹脂の種類及び含有量は、本反射フィルムの貯蔵弾性率E’(25)を上記所定範囲に調整できる種類と含有量を選択する必要がある。
本反射フィルムにおいて軟質系樹脂とは、添加する脂肪族ポリエステルに比べて、室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)が低い樹脂の意であり、例えばアクリル系ゴム、軟質アクリル樹脂、脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。
アクリル系ゴムの一例として、二重結合を含まないアルキル(メタ)アクリレートと架橋剤とからなる架橋アルキル(メタ)アクリレートゴム重合体に、メチルメタクリレート、或いはスチレンやアクリルニトリル等をグラフト重合したアクリル系ゴムを挙げることができる。
上記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートを挙げることができる。
軟質アクリル樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、若しくはアクリロニトリルの重合体または共重合体などを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、これに他の改質モノマー成分を導入して共重合させた樹脂を挙げることができる。この際、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート等、アルキル基の炭素数が11以下のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、軟質系樹脂としての脂肪族ポリエステルとは、ガラス転移温度が0℃未満、さらに好ましくは−20℃未満の脂肪族ポリエステルである。
ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステルは、(軟質系)エラストマー性の機能を有しており、ベースポリマーに添加することでその弾性率を低下させることができ、好適に耐破断性を付与することができる。
このような軟質系樹脂としての脂肪族ポリエステルとを区別する意味では、上記のベース樹脂としての脂肪族ポリエステルは、ガラス転移温度が0℃以上の脂肪族ポリエステルと表現することができる。
上記のメチルメタクリル樹脂として、住友化学工業(株)社製:SUMIPEXシリーズを例示することができる。
また、ガラス転移温度が0℃未満の脂肪族ポリエステルとして、昭和高分子(株)社製:ビオノーレ3000シリーズや三菱化学(株)社製GS−Pla等を例示することができる。
(微粉状充填剤)
本反射フィルムに用いる微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等を挙げることができる。
有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。
得られる反射フィルムの光反射性を勘案すれば、ベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましい。すなわち、無機質微粉体としては屈折率が大きいもの、基準としては1.6以上のものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、または酸化チタンを用いることが好ましく、中でも屈折率が高い酸化チタンが特に好ましい。但し、長期耐久性を勘案すると、酸やアルカリに対して安定な硫酸バリウムも特に好ましい。
なお、微粉状充填剤として、前記の如く例示した無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、異なる微粉状充填剤同士を併用することもでき、例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
酸化チタンは、他の無機質微粉体に比べて屈折率が顕著に高く、ベース樹脂との屈折率差を顕著に大きくすることができるため、他の充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた反射性を得ることができる。また、酸化チタンを用いることにより、フィルムの厚みが薄くても高い反射性を有する反射フィルムを得ることができる。
酸化チタンとしては、アナターゼ型やルチル型のような結晶型の酸化チタンが好ましく、その中でもベース樹脂との屈折率差が大きいという観点から、屈折率が2.7以上の酸化チタンが好ましい。この点で、ルチル型酸化チタンが好ましい。
また、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いるのが特に好ましい。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ない酸化チタンの意であり、本発明では、バナジウム含有量が5ppm以下である酸化チタンを高純度酸化チタンと称する。
高純度酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものを挙げることができる。
塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、先ず四塩化チタンを生成させ、次いでこの四塩化チタンを酸素で燃焼させることにより、高純度酸化チタンを得ることができる。
酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
微粉状充填剤としては、ベース樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面が、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理が施されたものを使用することができる。
また、微粉状充填剤、特に酸化チタンは、その表面が不活性無機酸化物で被覆処理されたものが好ましい。酸化チタンの表面を不活性無機酸化物で被覆処理することにより、酸化チタンの光触媒活性を抑制することができ、酸化チタンの光触媒作用によってフィルムが劣化するのを防ぐことができる。
不活性無機酸化物としては、シリカ、アルミナ、およびジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましい。これらの不活性無機酸化物を用いれば、酸化チタンを用いた場合に発揮する高い光反射性を損なうことなくフィルムの耐光性を高めることができる。また、2種類以上の不活性無機酸化物を併用することがさらに好ましく、中でもシリカを必須とする組み合わせが特に好ましい。
微粉状充填剤の粒径は、0.05μm〜15μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1μm〜10μmである。微粉状充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質なフィルムを得ることができる。また粒径が15μm以下であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高い反射性のフィルムを得ることができる。
ただし、微粉状充填剤として酸化チタンを用いる場合には、その粒径は0.1μm〜1.0μmであるのが好ましく、0.2μm〜0.5μmであるのがさらに好ましい。酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、ベース樹脂への分散性が良好で、均質なフィルムを得ることができる。また、酸化チタンの粒径が1.0μm以下であれば、ベース樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されて、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
微粉状充填剤の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、前記樹脂組成物Aの全体質量に対して10〜60質量%であるのが好ましく、20〜50質量%であるのがさらに好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、フィルムに対して高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
(他の成分)
脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤の効果を損なわない範囲内で、上記のような脂肪族ポリエステル系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。また、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤の効果を損なわない範囲内で、加水分解防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、及びその他の添加剤を含有してもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えばベース樹脂として乳酸系重合体等を用いる場合には、より高温度で高湿度な環境に対する耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤であるカルボジイミド化合物等を添加することが考えられる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式(1)の基本構造を有するものが好ましいものとして挙げられる。
(1)・・・―(N=C=N−R−)n―
式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、或いは、二種以上組み合わせて使用してもよい。
カルボジイミド化合物の添加量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対して0.5〜10.0質量部であるのが好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が0.5質量部以上であれば、耐加水分解性の改良効果を十分に発現させることができる。また、カルボジイミド化合物の添加量が10.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、光反射性を損なうことがない。
(空隙率)
本反射フィルムは、内部に空隙を有するのが好ましい。空隙を有していれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との屈折率差による屈折散乱の他、脂肪族ポリエステル系樹脂と空隙(空気)、微粉状充填剤と空隙(空気)との屈折率差による屈折散乱からも反射性を得ることができる。
本反射フィルム内に空隙を形成するには、例えば、微粉状充填剤を含有するフィルムを延伸すればよい。これは、延伸した時にベース樹脂と微粉状充填剤との延伸挙動が異なるからである。すなわち、ベース樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなるベース樹脂は延伸されるが、微粉状充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面が剥離して、空隙が形成されるのである。従って、微粉状充填剤を効果的に分散状態で含ませることによって、反射フィルム内に空隙を形成し、さらに優れた反射性をフィルムに付与することができる。
また、発泡剤を添加して、発泡によって空隙を形成することもできる。
本反射フィルムの空隙率、すなわち反射フィルム中に占める空隙の体積部分の割合は、50%以下であることが好ましく、5〜50%の範囲内であることが更に好ましい。空隙率が50%以下であれば、フィルムの機械的強度が確保され、フィルム製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の耐久性が不足したりすることがない。
また、反射率向上を加味すれば、空隙率は20〜50%、特に30〜50%であるのが好ましい。
なお、フィルムを延伸した場合の空隙率は、下記式に代入してフィルムの空隙率を求めることができる。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度−延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
(本反射フィルムの構成)
本反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを含有する樹脂組成物から形成される反射フィルムの層を備えていれば、他の層を備えてもよい。
(厚み)
本反射フィルムの厚みは、特に限定するものではないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜500μm程度の範囲内であるのが好ましい。
例えば小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚みが30μm〜100μmであるのが好ましい。かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
(反射率)
本反射フィルムの反射率は、反射使用面側から測定した、波長550nmの光に対するフィルム表面の反射率が95%以上であることが好ましく、97%以上であるのがさらに好ましい。かかる反射率が95%以上であれば、反射フィルムは良好な反射特性を示し、この反射フィルムを組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が黄色味を帯びることなく、精彩性が良好になる。
(製造方法)
本反射フィルムは、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを配合して樹脂組成物Aを調製し、この樹脂組成物Aを溶融して製膜し、必要に応じて延伸してフィルムAを得るように作製すればよい。以下、この作製方法について詳細に説明する。
先ず、脂肪族ポリエステル系樹脂に、軟質系樹脂と微粉状充填剤、必要に応じて加水分解防止剤等その他の添加剤を配合して樹脂組成物Aを作製する。
具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂に微粉状充填剤、軟質系樹脂、加水分解防止剤等を加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、一軸又は二軸押出機等を用いて、ベース樹脂の融点以上の温度(例えば、乳酸系重合体の場合には170℃〜230℃)で混練することにより樹脂組成物Aを得る。
なお、脂肪族ポリエステル系樹脂と、軟質系樹脂、微粉状充填剤、加水分解防止剤等とを別々のフィーダー等により所定量を添加することによっても樹脂組成物Aを得ることもできる。また、予め、脂肪族ポリエステル系樹脂に、軟質系樹脂、微粉状充填剤、加水分解防止剤等を高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと脂肪族ポリエステル系樹脂を混合して所望の濃度の樹脂組成物Aとすることもできる。
次に、このようにして得られた樹脂組成物Aを溶融し、フィルムAを形成する。
例えば、樹脂組成物Aを乾燥させ、押出機に供給し、ベース樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。この際、樹脂組成物Aを乾燥させずに押出機に供給してもよいが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。
押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定するのが好ましい。例えば、押出温度は、脂肪族ポリエステル系樹脂として乳酸系重合体を用いた場合、170℃〜230℃の範囲内で設定するのが好ましい。
押出し後は、例えば、溶融した樹脂組成物AをTダイのスリット状の吐出口から押出し、冷却ロ−ルに密着固化させてキャストシート(未延伸状態)を形成し、未延伸のフィルムAを得る。
得られた未延伸のフィルムAは、必要に応じて、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸するのがよい。
延伸することにより、フィルム内部に微粉状充填剤を核とした空隙が形成され、ベース樹脂と空隙との界面、及び空隙と微粉状充填剤との界面が形成され、これらの各界面で生じる屈折散乱の効果が増えることから、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。
延伸する際の延伸温度は、ベース樹脂のガラス転移温度(Tg)程度から(Tg+50℃)の範囲内の温度とするのが好ましく、例えば、乳酸系重合体の場合には50〜90℃とするのが好ましい。延伸温度がこの範囲であれば、延伸時にフィルムが破断することなく安定して延伸を行うことができ、また延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなるので、高い反射率を有するフィルムが得られるようになる。
未延伸のフィルムAは、二軸延伸するのがより一層好ましい。
二軸延伸することによって、空隙率がさらに高くなり、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。また、フィルムを一軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、二軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされた円盤状形態になる。すなわち、二軸延伸することによって、ベース樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、フィルムの光反射性を高めることができる。さらに、二軸延伸すると、フィルムの収縮方向に異方性がなくなるので、フィルムの耐熱性及び機械的強度を向上させることができる。
二軸延伸する際の延伸順序は特に制限するものではない。例えば、同時二軸延伸でも逐次延伸でも構わない。
また、延伸方法も特に制限されるものではない。例えば、溶融製膜した後、ロール延伸によってMD(フィルムの引取り方向)に延伸した後、テンター延伸によってTD(前記MDに直角な方向)に延伸してもよいし、また、チューブラー延伸等によって二軸延伸を行ってもよい。但し、延伸後に熱処理する場合には、テンター延伸によるのが好ましい。
一軸延伸又は二軸延伸する場合の延伸倍率は、フィルム構成組成、延伸手段、延伸温度、目的の製品形態に応じて適宜決定するのが好ましい。目安としては、面積倍率として5倍以上に延伸するのが好ましく、7倍以上に延伸するのがさらに好ましい。
面積倍率が5倍以上になるようにキャストシートを延伸すれば、フィルム内部に5%以上の空隙率を実現することができ、7倍以上に延伸することにより20%以上の空隙率を実現することができ、7.5倍以上に延伸することにより、30%以上の空隙率も実現することができる。
さらに、得られたフィルムAに耐熱性及び寸法安定性を付与するために、熱処理(熱固定処理ともいう)するのが好ましい。
熱処理温度は90〜160℃であるのが好ましく、110〜140℃であることがさらに好ましい。
また、熱処理に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。
(用途)
本反射フィルムは、例えば液晶ディスプレイ等に用いられる反射板を形成することができる。例えば、本反射フィルムを金属板(例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板など)若しくは樹脂板に貼り合せて反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。
この際、本反射フィルムを金属板に貼り合せて反射板を作製したとしても、カール(C反り)の発生を防止できるから、例えばリフレクタ−を作製する際の加工性を向上させることができ、また、そのリフレクタ−をパソコン等に組み込んだ際の光漏れを防止することができる。よって、特に液晶表示装置に内蔵される照明機構を構成するリフレクターの材料として好適に用いることができる。
以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
反射フィルムを金属板若しくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。
例えば、金属板若しくは樹脂板(まとめて「金属板等」という)の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持することができる。なお、金属板等の表面温度は160℃以上であることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
(1)貯蔵弾性率(粘弾性測定)
粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、フィルムのMDに関し、振動周波数10Hz、昇温速度3℃/分、測定温度−50℃〜200℃の範囲で貯蔵弾性率を測定した。
(2)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、(株)日立製作所製)に積分球を取付け、波長550nmの光に対する反射率を測定した。なお測定前に、アルミナ白板の反射率が100%になるように光度計を設定した。
(3)空隙率
延伸前のフィルムの密度(「未延伸フィルム密度」と表記する)と延伸後のフィルムの密度(「延伸フィルム密度」と表記する)とを測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率を求めた。
空隙率(%)={(未延伸フィルム密度−延伸フィルム密度)/未延伸フィルム密度}×100
(4)カール性
亜鉛メッキ鋼板(厚み0.45mm)の表面に、市販されているポリエステル系接着剤を、接着剤膜厚が2μm〜4μm程度になるように塗布し、次いで、赤外線ヒーターおよび熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、鋼板の表面温度を180℃に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて当該鋼板表面に反射フィルム(サンプル)を貼り合せて冷却し、反射板を作製した。
作製した反射板は、大気中25℃、湿度50%RHの環境下で、水平でフラットな部分に置き、1時間経過後に反射板のそりを測定した。
測定点数は、コーナー4カ所で、その4点の平均値を求めて下記基準に従い評価を行った。
「○」:平均値が3mm未満。
「△」:平均値が3mm以上4mm未満。
「×」:平均値が4mm以上。
[実施例1]
重量平均分子量20万の乳酸系樹脂(NW4032D:ネーチャーワークス社製、L体含有量98.5%、D体含有量1.5%)30質量部と、
ブチルアクリレート/メチルメタクリレートランダム共重合体(スミペックスFA:住友化学社製、ブチルアクリレート含有量40%、ガラス転移温度46℃)からなるアクリル共重合体40質量部と、
平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm、バナジウム含有量4ppm;シリカ、アルミナジルコニアによる表面処理あり、塩素法プロセスにより製造。)30質量部とを、
混合して混合物を形成し、この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を1.5質量部添加して混合し、樹脂組成物を作製した。
その後、この樹脂組成物を十分に乾燥させた後、210℃に加熱された二軸押出機に供給し、この二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイを用いてシート状に押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。
得られたフィルムを、温度70℃でMDに2.5倍ロール延伸した後、さらに70℃でTDに2.8倍テンター延伸することで二軸延伸し、次いで140℃で熱処理し、厚さ230μmの反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、粘弾性、空隙率、反射率の測定を行い、その結果を表1に示す。また、得られた反射フィルムを用いて反射板を作製し、カール性の評価を行った。その結果も合わせて表1に示す。
[実施例2]
重量平均分子量20万の乳酸系樹脂(NW4032D:ネーチャーワークス社製、L体含有量98.5%、D体含有量1.5%)55質量部と、
ポリブチレンサクシネートラクチド系重合体(GS−PLa AZ91T:三菱化学(株)製、ガラス転移温度−32℃)15質量部と、
平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm、バナジウム含有量4ppm;シリカ、アルミナジルコニアによる表面処理あり、塩素法プロセスにより製造。)30質量部とを、
混合して混合物を形成し、この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を1.5質量部添加して混合し、樹脂組成物を作製した。
その後、この樹脂組成物を十分に乾燥させた後、210℃に加熱された二軸押出機に供給し、この二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイを用いてシート状に押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。
得られたフィルムを、温度65℃でMDに2.5倍ロール延伸した後、さらに65℃でTDに2.8倍テンター延伸することで二軸延伸し、次いで140℃で熱処理し、厚さ230μmの反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、粘弾性、空隙率、反射率の測定を行った。また得られた反射フィルムを用いて反射板を作製し、カール性の評価を行った。その結果を表1に示す。
[比較例1]
重量平均分子量20万の乳酸系樹脂(NW4032D:ネーチャーワークス社製、L体含有量98.5%、D体含有量1.5%)70質量部と、
平均粒径0.25μmの酸化チタン(ルチル型、ニオブ濃度430ppm、バナジウム含有量4ppm;シリカ、アルミナジルコニアによる表面処理あり、塩素法プロセスにより製造。)30質量部とを、
混合して混合物を形成し、この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を1.5質量部添加して混合し、樹脂組成物を作製した。
その後、この樹脂組成物を十分に乾燥させた後、210℃に加熱された二軸押出機に供給し、この二軸押出機を用いて210℃で混練し、次いで、溶融状態の樹脂組成物をTダイを用いてシート状に押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。
得られたフィルムを、温度65℃でMDに2.5倍ロール延伸した後、さらに65℃でTDに2.8倍テンター延伸することで二軸延伸し、次いで140℃で熱処理し、厚さ230μmの反射フィルムを得た。
得られた反射フィルムについて、粘弾性、空隙率、反射率の測定を行った。また、得られた反射フィルムを用いて反射板を作製し、カール性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2008233292
(考察)
上記の実施例と同様の試験を行なった結果、反射フィルムを金属板に貼り合わせて反射板を作製した際に発生するカール(反り)は、反射フィルムの弾性率を調整することにより抑制できることが分った。反射フィルムの弾性率が低いほど、すなわち、金属板の弾性率に近づけるほどカール(反り)の発生を抑制することができるが、低過ぎると金属板との貼り合わせ時のハンドリング性等において問題が生じる。そこで、カール(反り)の発生抑制と貼合時の加工性の両方の観点から、反射フィルムの室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)としては、1×10MPa〜3×10MPaであるのが好ましく、特に1.5×10MPa〜2.8×10MPaであるのがより好ましく、中でも特に2.0×10MPa〜2.5×10MPaであるのがさらに好ましいと考えられる。

Claims (5)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂と軟質系樹脂と微粉状充填剤とを含有する樹脂組成物から形成される反射フィルムであって、室温(25℃)での貯蔵弾性率E’(25)が1×10MPa〜3×10MPaであることを特徴とする反射フィルム。
  2. 微粉状充填剤の含有量が、前記樹脂組成物の全体質量に対して10〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載の反射フィルム。
  3. 前記樹脂組成物を溶融し製膜してなるフィルムを、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射フィルム。
  4. 波長550nmの光に対するフィルム表面の反射率が95%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射フィルムを備えた反射板。
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