JP4763888B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転方向指定を有するトレッド面に少なくとも横溝又は傾斜溝によって区分される陸部を有する空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤのハイドロプレーニング性能は、一般的に溝容積が大きいほど良好であり、タイヤが摩耗するに従ってその性能が低下することが知られている。一方、トレッドパターンにおける陸部(ブロック等)は、踏面に垂直な断面が台形であるのが一般的であり、陸部の側壁面は略平面状になっている。従って、摩耗の中期〜末期の溝容積を確保しようとすると、通常のトレッド陸部の形状では初期(摩耗の無い)の段階から溝容積が大きくなってしまう。
【0003】
しかし、初期の溝容積を大きくすると、トレッド陸部の体積が小さくなり、陸部剛性が低下するため、特にタイヤ初期での制動性、トラクション性、操縦安定性が低下し、また異常摩耗も生じ易くなる。
【0004】
そこで、ハイドロプレーニング性能を維持しつつ、同じ陸部体積で少しでも耐偏摩耗性や制動性能等が向上するように、陸部全体の立設方向や陸部の側壁を従来とは異なる角度で傾斜させる技術が提案されている(例えば特開平11−59131号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、略平面状の陸部側壁の傾斜角度を変えるだけでは、耐偏摩耗性や制動性能等の向上に自ずと限界があった。例えば、壁面が平面状である断面台形の陸部を有するタイヤでは、制動時に陸部踏面の回転後着側端辺に近い部分に接地圧が集中し、陸部踏面全体の摩擦力が低下することが判明した(図7参照)。
【0006】
一方、特開平2−293205号公報には、制動性能等を改善すべく、図8に示すように、陸部L1のタイヤ回転方向Rの先着側壁面S1の踏面側を膨出させる一方で、後着側壁面S2の踏面側を切り欠くと共に、先着側壁面S1の溝底側にバットレス部分30を設けた空気入りタイヤも提案されている。しかし、このタイヤでは、陸部L1の回転後着側壁面S2が制動時に局部圧が増加する形状であり、摩擦力が低下すると共に、異常摩耗も発生し易い。
【0007】
また、特開平11−180115号公報には、陸部のタイヤ回転方向の先着側壁面に、凹部を成形した空気入りタイヤも提案されているが、先着側壁面は平面状であるため、従来タイヤと同様に、制動時に陸部踏面の後着側端辺に近い部分に接地圧が集中し、陸部踏面全体の摩擦力が低下すると考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、特に摩耗中期から末期でのハイドロプレーニング性能を維持しつつ、制動性能をより高めることができる空気入りタイヤを提供することにある。また、好ましくは、更にトラクション性能も同時に高めることができる空気入りタイヤを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、タイヤの摩耗が進行すれば、トレッド陸部の高さが低くなり、陸部の剛性が高くなるため、制動性、トラクション性、操縦安定性が向上する一方、ハイドロプレーニング性能は摩耗初期には溝容積が大きいため問題とならず、溝容積が減少する摩耗中期以降に問題となることに着目すると共に、回転後着側壁面の踏面側を膨出させて踏面を拡大してある陸部では、制動時に陸部踏面の接地圧が均一化すること、及び陸部の剛性、特に摩耗初期での剛性を高め制動性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の空気入りタイヤは、回転方向指定を有するトレッド面に、少なくとも横溝又は傾斜溝によって区分される陸部を有する空気入りタイヤであって、前記陸部のうち少なくとも一部の陸部は、回転後着側壁面の踏面側を膨出させて陸部の踏面を拡大してある膨出部を有し、前記膨出部が、対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものであり、前記溝部の溝方向に垂直な断面にて、前記陸部の回転先着側壁面の溝底に対する角度αと、前記陸部の回転後着側壁面の溝底に対する角度βとが、それぞれ85〜80°であることを特徴とする。
【0012】
また、前記膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度θが90〜45°であることが好ましい。
【0013】
更に、タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20%の範囲より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置してあることが好ましい。ここで、トレッド幅とは、タイヤ断面において、トレッドパターンの踏面の曲率半径でショルダー側へ延長した仮想線と、両側のバットレスの曲率半径でショルダー側へ延長した2本の仮想線とが交わる両側のショルダー点の幅を指す。
【0014】
あるいは、タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20〜50%の位置を境界線として、その境界線より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置すると共に、前記境界線より内側の何れかの領域に、陸部の回転先着側壁面の踏面側を膨出させて陸部の踏面を拡大してある逆膨出部を配置してあることが好ましい。
【0015】
その際、前記逆膨出部が、対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものであることが好ましい。
【0016】
また、前記逆膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度γが90〜45°であることが好ましい。
【0017】
[作用効果]
本発明によると、陸部壁面の踏面側のみを膨出させているため、摩耗中期以降のハイドロプレーニング性能を低下させることがなく、また、膨出により摩耗初期での溝容積が低下しても十分な溝容積を有するため摩耗初期のハイドロプレーニング性能は十分確保できる。また、陸部壁面の踏面側を膨出させて踏面を拡大してあるため、陸部の剛性が高まると共に接地面積が増え、制動性能が向上する。一般に摩擦係数は接地圧が低い程高いため、同じ接地面積であれば局部的に接地圧の高い部分がない方が摩擦力が高いが、本発明では、回転後着側壁面の踏面側を膨出させているため、図7に示すように、制動時に陸部踏面の回転後着側端辺に近い部分の局部的に接地圧の高い部分が均一化されて分散され、制動時に陸部踏面全体の摩擦力を向上させることができる。その結果、摩耗初期から末期でのハイドロプレーニング性能を維持しつつ、制動性能をより高めることができる空気入りタイヤを提供することができる。
【0018】
また、前記膨出部が対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものである場合、摩耗中期以降のハイドロプレーニング性能を十分維持しながら、制動性能をより高めることができる。
【0019】
前記膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度θが90〜45°である場合、膨出部による制動性能の向上効果をより確実に発揮できる。
【0020】
タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20%の範囲より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置してある場合、当該領域は制動時に接地圧がセンター部に比べて高くなることが判っており、このため上記の如き作用効果を有する膨出部をその領域に配置することにより、特に制動性能を向上させることができる。
【0021】
また、タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20〜50%の位置を境界線として、その境界線より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置すると共に、前記境界線より内側の何れかの領域に、前記の逆膨出部を配置してある場合、前記境界線より外側の領域は、上記のように制動性能に影響し易く、逆に内側の領域では、タイヤに駆動力が加わる場合に接地圧が高くなるため、この領域に前記逆膨出部を配置することにより、制動性能と同時にトラクション性能も高めることができる。トラクション性能が向上する理由は、上述した制動性能の場合と同様に、陸部の回転先着側壁面の踏面側を膨出させて陸部の踏面を拡大してあるため、接地面積が増えると共に、加速時に陸部踏面の回転先着側端辺に近い部分の接地圧の局部的に高い部分が均一化されて、陸部踏面全体の摩擦力が高くなるためである。
【0022】
前記逆膨出部が、対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものである場合、摩耗中期以降のハイドロプレーニング性能を十分維持しながら、トラクション性能をより高めることができる。
【0023】
また、前記逆膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度γが90〜45°である場合、逆膨出部によるトラクション性能の向上効果をより確実に発揮できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の空気入りタイヤの一例のトレッドパターンの概略展開図を示すものである。本発明の空気入りタイヤは、矢印Rがタイヤの正回転方向を示すような、回転方向指定を有するトレッド面1を備え、そのトレッド面1に、少なくとも横溝又は傾斜溝によって区分される陸部を有する
本実施形態では、図1に示すように、トレッド面1にタイヤ赤道EQに略対称な傾斜角にてタイヤ赤道EQ付近からトレッド端側へと回転後着側が広がるように夫々延びる複数の傾斜主溝2,3と、その傾斜主溝2,3に連通してタイヤ周方向に延びる2本の周方向溝6,7とを有し、周方向溝6、7が浅溝部6a,7aと深溝部6b,7bとを有する場合の例を示す。
【0025】
この傾斜主溝2,3は、その中心線の接線方向が、トレッド端側へと延びるにしたがって徐々に傾斜角が大きくなるように湾曲している。そして、傾斜主溝2,3は、ショルダー開始位置SI付近を境に一旦その幅を狭くしたのち、接地端5まで略同じ幅で延び、接地端5の外側で幅を広げている。
【0026】
周方向溝6、7の浅溝部6a,7aの溝深さの最深部は、傾斜主溝2,3の溝深さの50〜85%が好ましい。深溝部6b,7bは、傾斜主溝2,3のタイヤ赤道側端部から同じ溝深さで延びた状態となっており、浅溝部6a,7aは、周方向溝6,7によって区分される両陸部の間の略全体に設けられている。
【0027】
周方向溝6、7は完全な直線溝ではなく、傾斜主溝2,3のタイヤ赤道側端部から延長された湾曲溝部を有し、湾曲溝部はタイヤ赤道側に凸状に湾曲した中心線を有する。また、湾曲溝部の幅は一定幅ではなく、回転先着側で幅が若干広がっている。2本の周方向溝6、7の間には周方向陸部L2が存在する。
【0028】
傾斜主溝2,3によって区分される斜め陸部L1は、2本の傾斜主溝2又は2本の傾斜主溝3に沿ってトレッド端側へと徐々に幅を広げながら延びている。斜め陸部L1の中央付近には、ショルダー開始位置SIの若干内側からトレッド端付近まで延びる傾斜補助溝10が形成されている。また、斜め陸部L1はショルダー開始位置SIの付近に設けられたサイプ4によって区分されている。
【0029】
本発明の空気入りタイヤは、例えば上記のようなトレッドパターンにおいて、図2に示すように、陸部L1のうち少なくとも一部の陸部が、回転後着側壁面S2の踏面側を膨出させて陸部の踏面S4を拡大してある膨出部20を有する。なお、図2は図1において対向する溝の方向(溝方向が溝の両壁面で異なる場合は、膨出部20を設ける壁面)に垂直なI−I断面を示しており、矢印R’は、タイヤ回転方向をI−I断面に投影した方向を示す。
【0030】
この膨出部20は、対向する溝部2の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させることが好ましく、溝深さの1/3〜1/2の深さ位置より踏面側を膨出させることがより好ましい。3/4の深さ位置より深い位置であると、摩耗中期以降のハイドロプレーニング性能を維持しにくくなり、また、1/4の深さ位置より浅い位置であると、膨出部20による制動性能の改善効果が小さくなる傾向がある。
【0031】
本実施形態における膨出部20は、対向方向に垂直な断面形状が略三角形であるが、その場合、断面形状における踏面S4と壁面S3とに対応する辺のなす角度θが90〜45°であることが好ましく、80〜60°がより好ましい。角度θが90°を超えると膨出部20による制動性能の改善効果が小さくなり、角度θが45°未満になると膨出部20の剛性が低くなり、また脱型性が悪くなる傾向がある。なお、後述のように、膨出部20の断面形状は略三角形に限られず、その場合、上記断面における踏面S4に対応する辺に平行な線と、膨出部20の膨出開始位置付近の壁面S3に対応する辺とのなす角度θ’(断面形状が三角形の場合はθ=θ’)は90〜45°が好ましい。
【0032】
一方、上記断面における陸部L1の壁面S1の溝底に対する角度αは、85〜80°である。また、陸部L1の壁面S2の溝底に対する角度βは85〜80°である。
【0033】
図1に示すトレッドパターンにおいては、タイヤ赤道線EQを中心としてトレッド幅の20%の範囲より外側の何れかの領域に膨出部20を配置してあることが好ましく、特にトレッド幅の30%の範囲より外側の何れかの領域に膨出部20を配置してあることが好ましい。この領域は、特にタイヤの制動性能に影響し易いからである。
【0034】
また、タイヤ赤道線EQを中心としてトレッド幅の20〜50%の位置を境界線として、その境界線より外側の何れかの領域に膨出部20を配置すると共に、その境界線より内側の何れかの領域に、図3に示すような逆膨出部25を形成してあることが好ましい。逆膨出部25は、陸部L1の回転先着側壁面S1の踏面側を膨出させて陸部の踏面S4を拡大したものである。なお、図3は図2と同様に溝方向に垂直な断面を示しており、矢印R’は、タイヤ回転方向を断面に投影した方向を示す。
【0035】
この逆膨出部25は、対向する溝部2の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させることが好ましく、溝深さの1/3〜1/2の深さ位置より踏面側を膨出させることがより好ましい。3/4の深さ位置より深い位置であると、摩耗中期以降のハイドロプレーニング性能を維持しにくくなり、また、1/4の深さ位置より浅い位置であると、逆膨出部25によるトラクション性能の改善効果が小さくなる傾向がある。
【0036】
本実施形態における逆膨出部25は、溝方向に垂直な断面形状が略三角形であるが、その場合、断面形状における踏面S4と壁面S5とに対応する辺のなす角度γが90〜45°であることが好ましく、80〜60°がより好ましい。角度γが90°を超えると逆膨出部25によるトラクション性能の改善効果が小さくなり、角度γが45°未満になると脱型性が悪くなる傾向がある。
【0037】
一方、逆膨出部25を成形する部分の断面における陸部L1の壁面S1の溝底に対する角度αは、85〜80°が好ましい。また、陸部L1の壁面S2の溝底に対する角度βは85〜80°が好ましい。
【0038】
本発明の空気入りタイヤは、以上のようなトレッド面1を有するものであるが、他の部分は従来のタイヤと同様であり、トレッド面1の形成も従来タイヤの成型方法に準じて行うことができる。
【0039】
本発明の空気入りタイヤは、前述のように、陸部剛性の向上、接地面積の拡大、及び接地圧力の均一化によって制動性能が向上するため、特に、路面との滑りが少ない状態で大きなブレーキ力を発現し易くなる。このため、路面との滑りが比較的少ない領域で制動力を制御するABS装置に対して、本発明のタイヤは特に威力を発揮するため、ABS装着車に好適に使用することができる。
【0040】
[他の実施形態]
以下、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0041】
(1)本発明は図1に示すトレッドパターンに限らず、少なくとも横溝又は傾斜溝によって区分される陸部を有するトレッドパターンであれば何れのタイヤにも適用できる。例えば図4に示すようなトレッドパターンにも適用可能である。
【0042】
図4に示すトレッドパターンでは、2本の直線状の周方向溝6、7がショルダー開始位置SIの付近に形成されており、更に、タイヤ赤道EQ付近の両側に2本の周方向溝12、13が形成されている。これらは、傾斜主溝2,3と交差している。周方向溝6、7の交差した部分は、傾斜主溝2,3と同じ深さの深溝部となっており、他の部分は浅溝部となっている。
【0043】
傾斜主溝2,3は、その中心線の方向が、トレッド端側へと延びるにしたがって段階的に傾斜角(タイヤ赤道EQに対する角度)が大きくなるように屈曲している。傾斜主溝2,3と周方向溝6、7は、ショルダー陸部8、9を区分して形成しており、ショルダー陸部8、9は横溝11によってさらに分割されている。周方向溝12、13は、周方向溝6、7より溝幅が狭く形成されている。周方向溝12、13の傾斜主溝2,3と交差した部分は、傾斜主溝2,3と同じ深さの深溝部12b,13bとなっており、他の部分は前述のような浅溝部12a,13aとなっている。
【0044】
周方向溝6と周方向溝12の間にはメディエイト陸部L5が形成されており、周方向溝7と周方向溝13の間にはメディエイト陸部L6が形成されている。また、周方向溝12、13の間には中央陸部L4が形成されており、部分的に傾斜主溝2,3で区分されている。
【0045】
本発明における膨出部又は逆膨出部は、上記のトレッドパターンの中央陸部L4、メディエイト陸部L5、L6及びショルダー陸部8、9の傾斜主溝2,3や横溝11に面する側壁に設けられる。
【0046】
(2)前述の実施形態では、図2に示す形状の膨出部20を形成する例を示したが、図5(a)〜(d)に示すような形状の膨出部20を形成してもよい。なお、逆膨出部25についても同様の形状とすることが可能である。
【0047】
図5(a)に示す膨出部20は溝方向に垂直な断面形状が円弧状である。この断面形状において、踏面に平行な線と壁面の膨出開始位置における接線とのなす角度θ1 は90〜45°が好ましい。また、壁面の膨出開始位置から壁面と踏面との交点に引いた直線と、踏面に平行な線とのなす角度θ2 は90〜45°が好ましい。
【0048】
図5(b)に示す膨出部20は溝方向に垂直な断面形状が略台形である。この断面形状においても、踏面に平行な線と膨出開始位置付近の壁面とのなす角度θ1 は90〜45°が好ましい。また、壁面の膨出開始位置から壁面と踏面との交点に引いた直線と、踏面に平行な線とのなす角度θ2 は90〜45°が好ましい。
【0049】
図5(c)に示す膨出部20は、角度αが90°の回転後着側壁面S2に形成されたものであり、これは本発明に含まれるものではない。また、図5(d)に示す膨出部20は、その壁面が踏面S4に対して垂直な平面S6と鋭角の平面S7とで形成されるものである。
【0050】
(3)本発明では、1つの陸部L1の全体に膨出部20を形成してもよいが、図6(a)に示すように、1つの陸部L1の一部に膨出部20を形成してもよい。また、膨出部20の立体形状は、断面が一定形状である必要はなく、また、膨出部20によって拡大された踏面についても、台形や端部が円弧状に面取りされたもの等でもよい。
また、図6(b)に示すように、1つの陸部L1の一部に膨出部20を形成し、別の部分に逆膨出部25を形成してもよい。その場合、前述の境界線を境に、膨出部20の形成領域と、逆膨出部25の形成領域とを区分してもよい。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0052】
実施例1〜3
図4のトレッドパターンを有するタイヤサイズ215/45ZR17のタイヤについて、図2における角度αとβとを85°とし、膨出部を形成する部分の溝深さを7.6mmとし、陸部の全領域に表1に示す形状の膨出部を形成した実施例、及び従来例の各タイヤを試作した。これを試験リム17×7−JJに装着して空気圧を220KPaとし、下記の如きウエット制動性能、ハイドロプレーニング性能、トラクション(加速)性能の各性能評価試験を行った。
【0053】
〔ウエット制動性能〕
タイヤを実車(国産FR車、2500ccクラス、以下同じ)に装着し、1名乗車の荷重条件にて、水深3mmの湿潤コンクリート路面において、80km/hの速度から急制動をかけて車輪がロックされてから停止までの距離を計測して評価した。なお、評価は従来例を100としたときの指数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。
【0054】
〔摩耗中期でのハイドロプレーニング性能〕
平均摩耗量が50%に達したタイヤを実車に装着し、1名乗車の荷重条件にて、水深8mmのウエット路面を直線走行したときのハイドロプレーニングの発生速度で評価した。なお、評価は従来例を100としたときの指数表示で示し、数値が大きいほど良好な結果を示す。
【0055】
〔トラクション性能〕
タイヤを実車に装着し、1名乗車の荷重条件で走行し、直線路での加速時のドライバーのフィーリングにより10点満点で評価した。
【0056】
実施例4〜5
実施例1〜3では、陸部の全領域に膨出部を形成したが、タイヤ赤道線を中心とする表1に示す領域に逆膨出部を形成すると共に、残りの領域に膨出部を形成して、同様のタイヤを試作し、同様の評価試験を行った。
【0057】
以上の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004763888
表1の結果が示すように、膨出部を設けた実施例1〜3のタイヤでは、摩耗中期のハイドロプレーニング性能を損なうことなく、ウエット制動性能を大きく改善することができた。また、膨出部と逆膨出部とを所定の領域に設けた実施例4〜5のタイヤでは、摩耗中期のハイドロプレーニング性能を損なうことなく、ウエット制動性能を改善しながら、更にトラクション性能を改善することができた。
【0059】
〔接地圧力の測定例〕
実施例3で得られた試作タイヤを用いて、試験リム17×7−JJに装着して空気圧を220KPaとし、縦荷重400kgをかけた状態で、120kgの制動力をかけ、その際、タイヤショルダー部の陸部に生じる接地圧力を、下記の如き光学的面圧測定方法により測定した。
【0060】
即ち、アクリル板の側面から光を入射した際に、その板面にゴムが接する際の圧力により全反射の状態が変化するという性質を利用して、アクリル板に圧接する陸部の輝度の測定値と、予め測定しておいた輝度と圧力との関係とから、陸部の接地圧力を測定した。具体的には、タイヤが圧接したアクリル板の側面からハロゲン球を用いて光を入射させ、タイヤが圧接する側とは反対側の板面からビデオカメラで陸部を撮影して、各ピクセル毎に輝度データを256階調で情報記録する。また、予めゴム片を用いて異なる圧力下で同じ方法にて輝度データを測定し、その輝度データと測定時の圧力との関係から両者の相関関係を求めておく。この相関関係に基づいて、輝度データの実測値から陸部の接地圧力を求めた。
【0061】
その際の接地圧力と回転後着側の陸部端辺からの距離との関係を、従来例の測定結果と共に図7に示した。その結果、タイヤ陸部に制動力が働いた場合に、実施例3で得られた試作タイヤでは、陸部踏面の回転後着側端辺に近い部分の接地圧が、従来例と比較して分散され、最大接地圧力も低下することが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例のトレッドパターンを示す概略展開図
【図2】図1のI−I断面を示す要部断面図
【図3】逆膨出部の一例を示す要部断面図
【図4】空気入りタイヤの他のトレッドパターンを示す概略展開図
【図5】本発明における膨出部の他の例を示す要部断面図(但し、(c)は本発明に含まれない。)
【図6】本発明における膨出部の他の例を示す要部斜視図
【図7】制動力によって陸部踏面に生じる接地圧力と回転後着側の陸部端辺からの距離との関係を示すグラフ
【図8】従来の空気入りタイヤの陸部の例を示す要部断面図

Claims (6)

  1. 回転方向指定を有するトレッド面に、少なくとも横溝又は傾斜溝によって区分される陸部を有する空気入りタイヤであって、
    前記陸部のうち少なくとも一部の陸部は、回転後着側壁面の踏面側を膨出させて陸部の踏面を拡大してある膨出部を有し、
    前記膨出部が、対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものであり、
    前記溝部の溝方向に垂直な断面にて、前記陸部の回転先着側壁面の溝底に対する角度αと、前記陸部の回転後着側壁面の溝底に対する角度βとが、それぞれ85〜80°である空気入りタイヤ。
  2. 前記膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度θが90〜45°である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20%の範囲より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置してある請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ赤道線を中心としてトレッド幅の20〜50%の位置を境界線として、その境界線より外側の何れかの領域に前記膨出部を配置すると共に、前記境界線より内側の何れかの領域に、陸部の回転先着側壁面の踏面側を膨出させて陸部の踏面を拡大してある逆膨出部を配置してある請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記逆膨出部が、対向する溝部の溝深さの踏面側より1/4〜3/4の深さ位置より踏面側を膨出させたものである請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記逆膨出部の溝方向に垂直な断面形状が略三角形であり、その断面形状における踏面と壁面とに対応する辺のなす角度γが90〜45°である請求項4又は5に記載の空気入りタイヤ。
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