JP4758049B2 - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗工紙に関し、嵩高(低密度)でありながら白紙光沢度が高く、印刷適性に優れた印刷用塗工紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷物のビジュアル化やカラー化が進み、印刷用紙の高品質化の要求が高まっている。一方で、輸送および郵送コストの削減などのため、印刷物の軽量化に対する要求も高い。従来、これらの二つの要望は相反するものであり、高品質印刷用塗工紙は原紙坪量および塗工量が多く、また表面処理による平滑化などにより、同一坪量で比較して密度の高いものであった。印刷物の軽量化には低坪量の用紙を選択することが可能であるが、密度が同等であれば軽量化に伴い紙厚も低くなり、冊子のボリューム感を損なうため好まれない。このため嵩高な、すなわち同一坪量で比較して紙厚の高いもしくは同一紙厚で比較して坪量の低く、かつ高級印刷用途としての塗被紙の要求を満たす高品質な塗工紙が求められている。
【0003】
嵩高化のための手法としては、嵩高なパルプおよび嵩高な填料の使用による塗工紙原紙の嵩高化、および塗工液組成物塗工量減少、および得られる塗工紙の表面処理の緩和等が用いられる。
【0004】
製紙用パルプとしては、化学薬品により繊維中のリグニンを抽出した化学パルプと、化学薬品を使用せずグラインダーで木材を磨り潰した砕木パルプやリファイナーで木材を解繊したサーモメカニカルパルプ等の機械パルプに大別される。一般的には、化学パルプと比較して機械パルプの方が繊維が剛直で嵩高(低密度)化には効果的である。しかしこれらの機械パルプは上質紙に配合すると白色度が低くなる等の品質上問題があり、また中質紙においても、結束繊維等による紙ムケ等印刷欠陥を生じ易いためその配合量には限界がある。また、近年の環境保護気運の高まりや資源保護の必要性から、古紙パルプが配合されることが多くなっている。しかし古紙パルプは一般的に、上質紙、新聞紙、雑誌、塗工紙等が混合されてパルプ化されることが多いため、バージン(紙に抄かれていない未使用の)機械パルプと比較して密度が高く、嵩高にならない。以上のように、パルプ面のみで十分な用紙の嵩高化を達成することは、木材資源の保護や用紙の品質設計を考えた場合困難である。また、上述のパルプを配合したのみでは嵩高化と剛度が高くなるため、用紙に十分な柔軟性を付与することは困難であった。
【0005】
また、塗工紙用原紙の嵩高化として嵩高な填料の使用が考えられる。例えば特開平5-339898号公報には中空の合成有機物カプセルを配合することにより低密度化する手法が開示されている。しかしながらこのような合成有機物は紙力を低下させるため、印刷時の紙ムケや断紙などの問題がある上、十分な嵩高効果を得るには高配合する必要があるため、製造原価が高くなる等の問題もあった。特開昭52-74001号公報には、シラスバルーンを用いる方法が提案されている。しかしこれは、製紙用パルプとの混合性が悪く、また、それを配合した用紙も印刷むらが発生するなどの問題があった。
【0006】
塗工紙の塗工層は一般的に原紙に比較して密度が高いため、塗工層を設けない印刷用紙と比較して塗工紙の密度は高い。このため、塗工紙の嵩高化は、塗工組成物の塗工量を少なくする事によっても達成される。これは、塗工紙全体に占める塗工層の比率が小さくなるためである。しかし、塗工層を少なくする事は同時に、塗工層による原紙の被覆性を低下させるため、白紙光沢度、平滑性、インキ着肉性などの印刷品質を低下せしめるため、目標とする品質を維持しながら塗工量を減少させることは困難であった。
【0007】
塗工紙の印刷品質、特に白紙光沢度、インクの着肉性などの印刷適性を向上するためには、塗工紙の平滑性を高める事が有効な手段の一つである。このため、スーパーカレンダーやソフトニップカレンダー等の表面平滑化処理を施すことが一般的である。しかし、これらの処理は用紙を加圧して表面の平滑性を高めるものであるため、同時に用紙の紙厚が低くなり、目標とする印刷品質を得るには十分な嵩高化が達成できない場合があった。
【0008】
以上のように、従来の技術単独もしくは組み合わせだけでは、嵩高(低密度)でありながら、白紙光沢度が高く、インキ着肉性等に優れ、良好な印刷適性を有する印刷用塗工紙を得ることは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、本発明は印刷用塗工紙に関し、嵩高(低密度)でありながら、白紙光沢度が高く、インキ吸収性等に優れ、特に枚葉印刷において、インキ着肉むらが発生せず、インキ乾燥性も良好で印刷適性に優れた印刷用塗工紙を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を設けた顔料塗工層上に、ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性重合体と表面サイズ剤を有する表面層を設けた印刷用塗工紙であって、前記熱可塑性重合体と表面サイズ剤が表面層の固形分で70〜100重量%含有するものであり、表面サイズ剤がスチレン・アクリル系、オレフィン系、またはスチレン・マレイン酸系の共重合体の少なくとも一つから選択されたものであり、原紙中に多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を含有する印刷用塗工紙を得ることにより解決された。本発明により、嵩高(低密度)でありながら、白紙光沢度が高く、インキ吸収性等に優れ、特に枚葉印刷において、インキ着肉むらが発生せず、インキ乾燥性も良好で印刷適性に優れた印刷用塗工紙を得ることができた。
【0011】
本発明においては、ガラス転移温度の高い熱可塑性重合体及び表面サイズ剤を含有する表面層を用いることにより、顔料塗工層の凹部が表面層に覆われ、光学的に平滑化され、光沢が高くなると推測される。
【0012】
熱可塑性重合体のみからなる表面層は、微細な空隙部分があり、紙面にインキが転移した際にインキ吸収性が不均一であるため、インキ乾燥性が不均一になり、後刷りのインキが転移したときに不均一に転移するトラッピングが生じ、これにより印刷面の着肉むらが問題になることがあるが、表面サイズ剤を併用することにより、表面サイズ剤が空隙部分を充填あるいは被膜し、空隙部分を埋めるため、インキの浸透をより均一にすることができ、着肉むらが発生せず、インキ乾燥性の良好なものが得られると考えられる。
【0013】
更に、原紙中に多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を含有させることにより、嵩高であるにもかかわらず、風合い、手触り、めくり易さといった柔軟性を有することができ、印刷物を製本して冊子にした時のページのめくりやすさが良好で、嵩高であるためにボリューム感があり、また印刷時の断紙などの発生が少なく作業性が良好なものが得られる。本発明においては、嵩高を有する原紙を用いた顔料塗工層上に特定の表面層を設けることにより、カレンダー処理などの平滑化処理を行わない、あるいは弱く処理を行うことで、通常の塗工紙の光沢を得ることができるため、同一の光沢を得る場合、より嵩高のものが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明においては、原紙上に顔料と接着剤を有する顔料塗工層を設けた上に表面層を設ける必要がある。
【0015】
原紙としては、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を含有することが必要であり、これにより、嵩高であるにもかかわらず、柔軟性があり、印刷時での断紙が起こりにくくなる。多価アルコールと脂肪酸の化合物は、高級脂肪酸と多価アルコールの単純反応のみならず、これにポリアルキレンオキサイドがブッロク重合あるいはランダム重合したものを含む。またエステル化度即ち多価アルコールの水酸基のエステル化されている割合は、少なくともその一つはエステル化しているものであって、好ましくはその全てがエステル化されている化合物である。配合量としては、原紙重量当たり0.05〜1.5重量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0重量%である。
【0016】
本発明において、非塗工紙の上に顔料塗工層を設ける方法は、通常の顔料塗工紙の製造法で十分達せられるが、望まれる品質に応じて、塗料中の顔料、接着剤の種類、あるいは顔料と接着剤の量比を適宜変更して使用する。
【0017】
本発明において原紙に配合されるパルプの種類等は、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(以下、LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(以下、NBKP)、サーモメカニカルパルプ、砕木パルプ、古紙パルプ等が使用される。印刷機上のラフニングを良好にするためには、LBKP、NBKPの化学パルプを使用することが好ましい。紙中の填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、水和珪酸、ホワイトカーボン、酸化チタン、合成樹脂填料などの公知の填料を使用することができ、填料の使用量は、パルプ重量当たり10重量%以上が好ましい。さらに必要に応じて、硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤などを含有しても良い。
【0018】
更に表面強度やサイズ性の向上の目的で、原紙に水溶性高分子を主成分とする表面処理剤の塗布を行っても良い。水溶性高分子としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、本発明に使用される原紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性の何れでも良い。また、原紙の坪量は、30〜400g/mが好ましく、より好ましくは30〜200g/mである。
【0019】
原紙上の顔料塗工層は、望まれる品質に応じて、塗料中の顔料、接着剤の種類、あるいは顔料と接着剤の量比を適宜変更して使用する。
【0020】
本発明の顔料塗工層に用いる顔料としては、従来から用いられている、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料であり、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。 本発明の顔料塗工層に用いる接着剤としては、従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白の蛋白質類、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの通常の塗被紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部あたり5〜50重量部、より好ましくは5〜25重量部程度の範囲で使用される。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、印刷適性向上剤など、通常の塗被紙用塗被組成物に配合される各種助剤が適宜使用される。
【0021】
原紙上に設ける顔料塗工層は、原紙の片面あるいは両面に、単層あるいは二層以上設ける事も可能である。本発明の塗工層の塗工量は、好ましくは片面当たり2〜40g/m、より好ましくは5〜25g/mであり、更に好ましくは 8〜16g/mである。
【0022】
原紙に顔料塗工層を塗工するための方法としては、2ロールサイズプレスコーターや、ゲートロールコーター、およびブレードメタリングサイズプレスコーター、およびロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザー等のフィルム転写型ロールコーターや、フラデッドニップ/ブレードコーター、ジェットファウンテン/ブレードコーター、ショートドウェルタイムアプリケート式コーターの他、ブレードの替わりにグルーブドロッド、プレーンロッド等を用いたロッドメタリングコーターや、カーテンコーター、ダイコーター等の公知のコーターにより塗工することができる。
【0023】
本発明は、原紙に顔料塗工層を設けた後、この顔料塗工層上にガラス転移温度80℃以上の熱可塑性重合体と表面サイズ剤を含有する液を上塗りして表面層とするが、上塗り前に顔料塗工層をスーパーカレンダー、グロスカレンダー等によって平滑化処理を行なっても良い。
【0024】
本発明の表面層に使用するガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性重合体とは、熱可塑性を示す重合体あるいは共重合体のエマルジョンの粒子であって、熱風乾燥やカレンダー処理を行っても粒子形状を保持しているものである。コア−シェル形の場合は、好ましくはシェル部分のガラス転移温度が80 ℃以上のものである。好ましく使用される単量体としては、スチレン及びその誘導体、塩化ビニリデン、アクリル酸またはメタクリル酸エステルを例示することができる。熱可塑性重合体のガラス転移温度の上限は特に限定するものではなく、主として熱可塑性重合体の製造に使用する単量体の種類や可塑剤などの添加剤で決まり、通常上限としては約130℃程度である。ガラス転移温度が80℃以下の重合体あるいは共重合体を使用すると、得られた塗工紙の光沢度が低く不十分であり、表面層の表面強度が弱くなり印刷適性が劣り、カレンダー処理時でのカレンダーロールへの付着が生じる傾向にある。また、本発明の熱可塑性重合体の大きさは、高光沢、表面強度の点から平均粒径100nm以下にすることが好ましい。
【0025】
本発明において表面層に使用する表面サイズ剤は、スチレン・アクリル系、スチレン・マレイン酸系、スチレン・メタクリル酸系、オレフィン系、ウレタン系などの共重合体の表面サイズ剤を使用することができ、単独あるいは併用して使用することができる。本発明の表面サイズ剤は溶剤タイプ、あるいはエマルジョンタイプのものであり、熱風乾燥やカレンダー処理を施した後には粒子形状を有しないものである。重量平均分子量としては、1000〜500000のものが好ましい。これらの中でも、スチレン・アクリル系、オレフィン系、またはスチレン・マレイン酸系の共重合体を使用することが好ましく、特にスチレン・アクリル系のサイズ剤を用いるとより高い白紙光沢度を維持することができる。
本発明では熱可塑性重合体と表面サイズ剤を含有する塗工液を表面層として顔料塗工層の上に塗布するが、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明の表面層用塗工液に塗工層の表面強度を調節するための一般紙塗工用天然あるいは合成樹脂接着剤、塗工に際しての塗料の塗工適性を調節するための流動調節剤や消泡剤、カレンダーロール等のロールへの付着を減少させる離型剤、および塗工層表面を着色するための着色剤、少量の顔料などを適宜組み合わせ混合し、表面層用塗工液としてもよい。好ましくは、熱可塑性重合体と表面サイズ剤が表面層の固形分で70〜100重量%含有するものである。このようにして得られた表面層用塗工液を顔料塗工層の上に塗布して表面層とする。塗布量は所望の性質が得られるように適宜調節することができるが、塗工量があまり多くなると、コストが高くなるだけでなく、インク吸収性が低下しインクセットが不十分となるとともに、表面層の強度が低下するなどの好ましくない傾向があるため、あまり多量に塗工することは得策でなく、通常片面0.1g/m以上、好ましくは0.3〜3g/m程度の塗工量で十分である。
【0026】
表面層用塗工液の塗工は、通常紙塗工の分野で使用されるブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、グラビヤコーター、フレキソコーター等で行なうことができる。塗工後の乾燥も、何等特別な条件設定は不要であり、通常のコート紙の製造に用いられる乾燥条件で最適な表面層とすることができる。
【0027】
このようにして得られた印刷用塗工紙は、そのままあるいはカレンダー処理を行うことが出来る。カレンダー処理においては、通常コート紙の平滑化処理に使用されるスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等でよく、これらを併用しても良い。好ましくは、100℃以上あるいは150℃以上のカレンダー処理を行うことである。本発明においては、特に密度が1.05g/cm以下の時に効果が顕著に現れるものである。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって何ら制限されるものではない。尚、実施例中に示される部および%は、特に断りのない限り全て固形分重量部および固形分重量%を意味する。
〈評価方法〉
(1)ガラス転移温度
20℃、65%(相対湿度)でフィルムを作成し、その20mgを示差走査熱量測定装置(DSC6200R:セイコーインスツルメンツ(株)製)で昇温速度5℃/min、測定温度0〜100℃で得られる特性曲線から算出した。
(2)密度
JIS P 8118:1998に従った。
(3)白紙光沢度…村上式グロスメターを使用し、75゜反射方式にて測定した。
(4)インキ乾燥性…RI−II型印刷試験機を用いて印刷を行い、印刷後の印刷面に白紙を押し当てて、白紙へのインキ転移を目視評価した。評価基準は白紙へのインキ転移が少ない場合を○、インキ転移がやや少なくない場合を△、インキ転移が著しく生じた場合を×とした。
(5)着肉むら…オフセット4色枚葉印刷機(MAN ROLAND社製、R304)にて、インキにハイエコーM(東洋インキ社製)を用いて、墨→藍→紅→黄の順に速度8000枚/時で印刷を行い、藍ベタ部の着肉むらを目視評価した。評価基準は着肉むらがない場合を○、着肉むらが少し生じた場合を△、着肉むらが著しく生じた場合を×とした。
(熱可塑性重合体Aの製造)
撹拌機、温度計、冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管のついた四ツ口フラスコに水300部とドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ9部、ポリオキシエチレンフェノールエーテル(エチレンオキシド付加10モル)4部を仕込み混合した中に、スチレン80部、αメチルスチレン10部、メタクリル酸メチル100部、メタクリル酸10部のモノマー混合物の内60部を仕込み、窒素置換しながら昇温し60 ℃として、20 %過硫酸アンモニウム水溶液7.2部と20%無水重亜硫酸ソーダ水溶液4.8部を加え60分重合した。次に20%過硫酸アンモニウム水溶液10部を加えた後、モノマー混合物の残り140部を1時間かけて滴下した。90 ℃で4時間保ち重合を終了し、熱可塑性共重合体Aのエマルジョンを得た。エマルジョンの固形分は39%であり、熱可塑性共重合体Aのガラス転移温度は107 ℃、平均粒径は75nmであった。
(熱可塑性共重合体B) 攪拌機、温度計、冷却器、窒素ガス導入管のついた四つ口フラスコに水310部とハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルの硫酸塩)5.6部、およびスチレン48部、メタクリル酸メチル19部、メタクリル酸エチル8部、ジビニルベンゼン2.5 部メタクリル酸2.5部を仕込み、窒素置換しながら70℃まで昇温し16%過硫酸カリウム水溶液5部を加え85℃で4時間保ち重合を終了し、熱可塑性共重合体Bのエマルジョンを得た。エマルジョンの固形分は21%であり、熱可塑性共重合体Bのガラス転移温度は85℃、平均粒径は75nmであった。
(熱可塑性共重合体C) 熱可塑性共重合体Aで使用したモノマーをスチレン88部、メタクリル酸メチル38部、メタクリル酸n−ブチル70部、メタクリル酸4部と変更する以外は、熱可塑性重合体Aを得るのと同じ操作を行い、熱可塑性共重合体Cのエマルジョンを得た。エマルジョンの固形分は39%であり、ガラス転移温度は72℃であった。
(表面サイズ剤A) スチレン・アクリル系サイズ剤(溶液タイプ):ポリマロン−NS−15−2 荒川化学工業社製
(表面サイズ剤B) オレフィン系サイズ剤(溶液タイプ):ポリマロン482荒川化学工業社製
(表面サイズ剤C) スチレン・マレイン酸系サイズ剤:K−4 ハリマ化成社製
[実施例1]
製紙用パルプとして化学パルプを100部、填料として軽質炭酸カルシウムを12部、柔軟化剤として多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物(KB−110、花王株式会社製)を0.3部含有する坪量64g/mの原紙に、顔料として重質炭酸カルシウムを80部、2級カオリンを10部、微粒カオリンを10部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを0.05部、バインダーとしてカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックスを11部、燐酸エステル化澱粉を4部を加え、さらに水を加えて65重量%濃度に調整した塗工液を、塗工量が片面あたり14g/mとなるように、塗工速度800m/分のブレードコーターで両面塗工を行い、顔料塗工紙を得た。
【0029】
次にガラス転移温度107℃、平均粒径75nmの熱可塑性共重合体A100部に対してスチレン・アクリル系サイズ剤A10部、ポリエチレンワックスエマルジョン系離型剤5部よりなる固形分30%の表面層用塗工液を前記顔料塗工紙に片面の乾燥重量が1.0g/mとなるように塗工速度500m/分のブレードコータで両面塗工、乾燥して、水分6.5%の上塗り塗工紙を得た後、金属ロール表面温度180℃、弾性ロールよりなるソフトカレンダーにて、ニップ圧40kg/cm、速度270m/minで、2ニップ通紙して印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
実施例1の熱可塑性重合体Aを熱可塑性重合体Bに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1の表面サイズ剤Aをオレフィン系表面サイズ剤Bに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1の表面サイズ剤Aをスチレン・マレイン酸系表面サイズ剤Cに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1の熱可塑性重合体Aを熱可塑性重合体Cに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1の表面層を表面サイズ剤A100部のみとした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1の表面層を熱可塑性重合体A100部のみとした以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、原紙に多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を含有しなかった以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
坪量104.7g/mのNPiコート(日本製紙(株)製)を用いた。
【0030】
表1に結果を示した。
【0031】
【表1】
Figure 0004758049
表1から明らかなように、本願発明の印刷用塗工紙は低密度で、白紙光沢度が高く、着肉むら、インキ乾燥性などの印刷適性も良好である。これに対し、比較例のものはいずれも光沢度が不十分、あるいは着肉むらが発生、インキ乾燥性が遅いなどの問題点が有る。
【0032】
【発明の効果】
本発明により、嵩高(低密度)でありながら、白紙光沢度が高く、インキ吸収性等に優れ、特に枚葉印刷において、インキ着肉むらが発生せず、インキ乾燥性も良好で印刷適性に優れた印刷用塗工紙を得ることができた。

Claims (1)

  1. 原紙上に顔料と接着剤を含有する塗工層を設けた顔料塗工層上に、ガラス転移温度が80℃以上の熱可塑性重合体と表面サイズ剤を有する表面層を設けた印刷用塗工紙であって、前記熱可塑性重合体と表面サイズ剤が表面層の固形分で70〜100重量%含有するものであり、表面サイズ剤がスチレン・アクリル系、オレフィン系、またはスチレン・マレイン酸系の共重合体の少なくとも一つから選択されたものであり、原紙中に多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物を含有することを特徴とする印刷用塗工紙。
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