JP4754345B2 - 吹付け装置、吹付け工法およびそれを用いた補修工法 - Google Patents
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Description
また、吹き付けた硬化体の耐久性を向上させるために、例えば、再乳化型粉末ポリマー、繊維、γ型ケイ酸二カルシウムシリケートなどを含有させることが可能である。
さらに、各種性能を付与する目的で施工や耐久性に支障のない範囲で、カルシウムアルミネート、カルシウムサルホアルミネートなどのカルシウムアルミネート鉱物類、炭酸塩、アルミン酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩などの凝結促進剤、オキシカルボン酸類や糖類などの凝結遅延剤、その他、セメント混和剤として知られているAE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤
などの減水剤類、撥水剤、防水剤、防錆剤、凍結防止剤、収縮低減剤、抗菌剤などを添加することができる。
本発明における空気搬送に使用する配管は、耐圧ゴム製のフレキシブルホースや鋼管、硬質塩ビ管などが使用できる。配管径は、搬送する吹付け材料の量によっても異なるが通常25〜60mmである。配管が細すぎると閉塞しやすくなり、太すぎると多量の圧縮空気を必要となり、粉じんとリバウンドの増加を招くことになる。配管の長さは、特に限定されるものではないが、長すぎると多量の圧縮空気を必要とし、粉じんとリバウンドの増加を招くので50m以内が好ましい。空気搬送区間は25m以下が好ましい。空気搬送区間が短いほど、消費する空気量が少なくてよいので、より粉塵やリバウンドの発生を低減することが可能である。
本発明で使用する圧縮空気を作るコンプレッサーは、特に限定されるものではないが、一般に市販されているコンプレッサーを使用することが可能である。圧縮空気の圧力は、5〜10MPaが好ましい。通常は7MPa程度に設定されているので問題なく使用できる。コンプレッサーの空気流量は、1〜15m3/minが好ましく、2〜8m3/minがより好ましい。1m3/min未満では空気搬送中に閉塞しやすい傾向があり、15m3/minを超えると粉じんとリバウンドが多くなる傾向がある。空気流量を安定化させたい場合は、例えば、吹付け以外の作業で同じコンプレッサーから圧縮空気を使う場合に、同時作業を行うと一時的に空気流量が低下する場合がある。このような問題を解決するために、レシーバータンクを空気搬送装置とコンプレッサーの間に設け、他作業で使用する場合はそのレシーバタンクより配管を分岐させればよい。レシーバータンクの容量は、特に限定されるものではないが、使用するコンプレッサーの空気流量程度のタンク容量があれば十分である。
本発明におけるポンプ圧送する配管は、耐圧ゴム製のフレキシブルホースや鋼管、硬質塩ビ管などが使用できるが、空気搬送方式に比べ大きな圧送負荷が配管にかかるので圧縮空気を挿入する位置までは鋼管とし、それ以降はフレキシブルホース等を使用した方がよい。配管径は、搬送する吹付け材料の量によっても異なるが、例えば、圧縮空気を挿入する位置までは50〜100mmとし、圧縮空気を挿入してからの空気搬送区間の箇所は、圧縮空気を挿入するまでの配管径と同じかテーパ管を用いて小さくしてもよい。配管径を極端に小さくすると閉塞しやすくなる。配管の長さは、長すぎると圧送負荷が大きくなったり、大量の圧縮空気を必要とし、配管の閉塞や、粉じん、リバウンドの増加を招くので全長で50m以内が好ましい。また、ピストン圧送の区間は25m以下が好ましい。
ポンプ圧送で用いるコンプレッサーは、特に限定されるものではなく、空気搬送方式で使用するコンプレッサーを使用することができる。
本発明では、空気搬送およびポンプ圧送する場合両者において、最終的な吹付け材料中のセメントに対する水の割合は60%以下となるように設定することが好ましい。60%を超えると吹き付けたときにダレが発生する場合がある。
本発明のシャワーリング管の噴射口から噴射される水または圧縮空気と水の噴射角度(図5)は、45〜100°が好ましい.噴射角度を最適化することにより輸送されてくる吹付け材料の分散性や水との混合性が良好となる。45°未満では吹付け材料の分散性や水との混合性を良くする効果が小さく、100°を超えても効果が変わらない傾向がある。噴射角度を設定する方法は、特に限定されるものではないが、設定する角度となるように二重構造となっている内側管の吹付け材料が輸送される管壁側をVカットし、Vカットされた頂点を中心に円形あるいは楕円形に孔をあける方法や、別途このような構造に成型された噴射チップを内側の管に固定する方法などがある。
本発明で噴射口から噴射するための水の水圧は、流動している吹付け材料と瞬時に混合するために60MPa以上が好ましい。60MPa未満であると吹付け材料との混合性が悪くなり粉塵の発生が低減できなくなる傾向がある。水を送るポンプは、特に限定されるものではないが、60MPa以上の水圧をかけて水を送ることができるポンプであれば使用できる。
本発明のシャワーリング管の位置は、空気搬送方式の場合は、ノズル後端から5m以内の位置が好ましく、2m以内がより好ましい。5mを超えるとノズルから吐出する手前の配管で閉塞したり、脈動が発生する場合がある。ポンプ圧送方式の場合も空気搬送方式と同様であるが、圧縮空気を挿入するY字管を接続した場合は、そのY字管よりもノズル側に接続する。
空気搬送装置:アリバー社製、アリバー246、材料供給量1.5m3/hr、電源200V
コンプレッサー:市販品、空気量吐出量10m3/min、エンジン式
水ポンプ:市販品、水圧80MPa、電源200V、水供給量8L/min
シャワーリング管(A1):配管径40mm、噴射口径1mm、噴射口形状は楕円形、長軸に対する短軸の比0.7、噴射角度45°、噴射口の数は8個
シャワーリング管からの噴霧:水のみ
吹付け材料を輸送する耐圧ホース:ホース長20m、ホース径40mm
水圧送ホース:ホース長20m、ホース径10mm
シャワーリング管の位置:ノズル後端部
ノズル:硬質ウレタン製テーパノズル、吐出口径30mm
吹付け材料A:最大骨材径1.2mm以下の石灰砂3質量部に対し早強ポルトランドセメントを1質量部混合した1/3モルタル、骨材の表面水分率0%
吹付け材料B:吹付け材料A中の骨材に対して表面水分率を水で0.5質量%に予め調整した材料
吹付け材料C:吹付け材料A中の骨材に対して表面水分率を水で2質量%に予め調整した材料
吹付け材料D:吹付け材料A中の骨材に対して表面水分率を水で5質量%に予め調整した材料
吹付け材料E:吹付け材料A中の骨材に対して表面水分率を水で8質量%に予め調整した材料
吹付け材料F:吹付け材料A中の骨材に対して表面水分率を固形分45質量%のスチレン−ブタジエン形ディスパージョンで2質量%に予め調整した材料
吹付け材料G:吹付け材料A中の骨材にたいして表面水分率を固形分45質量%のスチレン−ブタジエン系ディスパージョンで5質量%に予め調整した材料
吹付け材料H:吹付け材料Aに市販の粉じん低減剤を0.005質量%添加した吹付け材料
吹付け材料I:吹付け材料H中の骨材にたいして表面水分率を水で2質量%に調整した材料
吹付け材料J:吹付け材料H中の骨材にたいして表面水分率を固形分45質量%のスチレン−ブタジエン系ディスパージョンで2%に調整した材料
吹付け材料K:吹付け材料Aにシリカフュームを1.5質量%添加した吹付け材料
半径3mの半円形状の断面を持つ長さ20mの模擬トンネル内の先端壁面に向けて吹き付けたけた。吹付け箇所から後方5mの位置で粉じん濃度計を用いてカウント数を吹付けが終了するまで計測し、1分あたりのカウント数で表した。なお、吹き付ける前の粉塵濃度(CPM)も計測し補正した値とした。
(リバウンド率)
吹付けで使用した吹付け材料の全量に対する吹き付けて落下した材料の割合から算出した。
リバウンド率(%)=(落下した材料/使用した吹付け材料)×100
吹付け材料Dについて下記の吹付け条件に変えて吹付けを行い粉塵発生量とリバウンド率を測定した。
シャワーリング管(B):楕円形噴射口の長軸を2.5mmとし、長軸に対する短軸の比を0.7、噴射口の数を8個とした場合
シャワーリング管(C):楕円形噴射口の長軸を1mmとし、長軸に対する短軸の比を0.2、噴射口の数を8個とした場合
シャワーリング管(D):シャワーリング管(A1)噴射口の数を2個とした場合
ポンプ圧送装置:岡三機工社製、形式OHP−100型、材料供給量1.0m3/hr、電源200V
コンプレッサー:市販品、空気量吐出量10m3/min、エンジン式
水ポンプ:市販品、水圧80MPa、電源200V、水供給量0.7L/min
シャワーリング管(A2):配管径40mm、噴射口径0.6mm、噴射口形状は楕円形、長軸に対する短軸の比0.7、噴射角度45°、噴射口の数は8個
シャワーリング管からの水の方法:水のみ
吹付け材料を輸送する配管:鋼管(ポンプ吐出口から5m、鋼管径65mm)、圧縮空気を挿入するY字管(鋼製、管径65mm)、テーパ管(鋼製、65mmから50mmに管径を縮小)、耐圧ホース(ホース径50mm、ホース長5m)ポンプ吐出口からシャワーリング管までの全長11m
水圧送ホース:ホース長20m、ホース径10mm
シャワーリング管の位置:ノズル後端部
ノズル:硬質ウレタン製テーパノズル、吐出口径50mm
吹付け材料A:最大骨材径1.2mm以下の石灰砂3質量部に対し早強ポルトランドセメントを1質量部混合した1/3モルタルに水を含有するセメントに対して35質量%加え練り混ぜたモルタル
吹付け材料B:吹付け材料Aに市販の粉じん低減剤を0.005質量%添加した吹付け材料
吹付け材料C:吹付け材料Aにシリカフュームを1.5質量%添加した材料
吹付け材料Aについて下記の吹付け条件に変えて吹付けを行い粉じん発生量とリバウンド率を測定した。
シャワーリング管(E)比較例4:楕円形噴射口の長軸を2.5mmとし、長軸に対する短軸の比を0.7、噴射口の数を8個とした場合
シャワーリング管(F):楕円形噴射口の長軸を1mmとし、長軸に対する短軸の比を0.2、噴射口の数を8個とした場合
シャワーリング管(G):シャワーリング管(A2)で噴射口の数を2個とした場合
吹付けを行っている間の配管の閉塞の有無、脈動の有無などを目視観察した。
吹付け材料D:実験No.1-4の吹付け材料
吹付け材料G:実験No.1-7の吹付け材料
吹付け材料K:実験No.1-11の吹付け材料
吹付け材料L:実験No.1-4の吹付け材料100質量部に対し再乳化型粉末ポリマー(アクリル−酢酸ビニル−ベオパ系ポリマー、市販品)を2質量部配合した吹付け材料
吹付け材料M:実験No.1-4の吹付け材料100質量部に対し繊維(ビニロン繊維、繊維長12mm、繊維径0.2mm、市販品)を0.8質量部配合した吹付け材料
圧縮強度:縦30cm×横30cm×厚さ15cmの箱型枠に吹き付けて、3日後にφ55mmのコアドリルで抜き取り、φ55×110mmの円柱に成形した。養生方法は、温度20℃、相対湿度80%で材齢28日まで行った。測定数は5本とした。測定はJIS A 1108に準拠した。また、各5本測定した値の最大値と最小値の差を求めばらつきの度合いも評価した。
付着強度:サンドブラストした縦30cm×横30cm×厚さ6cmのコンクリート製平板に厚さ20mm程度になるように吹付け。表面をコテ均しした。材齢3日後にφ55mmのコアドリルで下地コンクリート面から5mm程度内部まで削孔した。養生方法は圧縮強度試験と同じ。測定は建研式付着力試験機で行った。
(耐久性)
中性化抵抗性:供試体の作製は圧縮強度と同じ箱型枠に採取し、3日後に縦10cm×横10cm×高さ10cmの角柱に成形し、28日間、20℃、相対湿度80%で養生したものを促進中性化試験を行った。促進条件はJIS A 1171に準拠した。中性化深さはフェノールフタレイン法により測定した。
塩化物イオン浸透抵抗性:中性化抵抗性と同様に供試体を作製・養生し、擬似海水中に28日間浸漬することで塩化物イオン浸透抵抗性試験を行った。試験方法はJIS A 1171に準拠した。
2:空気搬送装置
2‘:ピストンポンプ圧送装置
3:吹付け材料圧送配管
4:シャワーリング管
5:ノズル
6:バルブ
7:圧縮空気圧送配管
8:水圧送配管
9:水圧送ポンプ
10:水タンク
11:噴射口
A:吹付け材料
B:水
C:圧縮空気
Claims (5)
- セメントと骨材を含有する吹付け材料を空気搬送またはポンプ圧送して吹き付ける吹付け装置において、吹付け材料を輸送する配管途中に、噴射口の断面形状が円形で口径が0.2〜2mmまたは噴射口の断面形状が楕円形で口径が長軸の長さを1とした場合に短軸が0.3〜0.8で長軸の長さが2mm以下であり、水または圧縮空気と水を霧状に噴射する噴射角度が45〜100°になるように調整した噴射口を配管円周に沿って4〜8個設けたシャワーリング管を、吹付けノズルより後部に接続することを特徴とする吹付け装置を用いた、噴射口の水の吐出圧力を60MPa以上とする吹付け工法。
- 含有する骨材の表面水分率が0〜8質量%となるように水および/またはポリマーディスパージョンを添加した吹付け材料を空気搬送することを特徴とする請求項1に記載の吹付け工法。
- セメントに対して水を30〜40質量%添加した吹付け材料をポンプ圧送することを特徴とする請求項1に記載の吹付け工法。
- 粉じん低減効果のある物質を含有する吹付け材料である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吹付け工法。
- 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の吹付け工法を用いたコンクリート構造物の補修工法。
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