実施の形態1.
図1は、本発明のトナー回収装置を備えた電子写真記録方式による画像形成装置の実施の形態1の概略的な構成を示す構成図である。
同図において、画像形成装置200は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の画像を各々に形成する4つのプロセスユニット201〜204を有し、これらが記録媒体205の搬送経路の上流側から順に着脱自在に配置されている。これらプロセスユニット201〜204の内部構成は共通しているため、例えばイエロー(Y)のプロセスユニット201を例に取り、これらの内部構成を説明する。
プロセスユニット201には、感光体ドラム11が矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム11の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム11の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ12、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置13が配設される。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面に、イエローのトナーを付着させて現像を発生させる現像ローラ14、感光体ドラム11上のトナーの現像を転写した際に残留した未転写トナー(以後、廃トナーと称す)を除去するクリーニングブレード15、及び感光体ドラム11の表面電位のバラツキを除去するための除電装置16が配設される。尚、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転する。
又、画像形成装置200は、その下部に、紙などの記録媒体205を堆積した状態で収納する用紙カセット206を装着し、その上方には記録媒体205を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ207が配設されている。更に、記録媒体205の搬送方向における、ホッピングローラ207の下流側にはピンチローラ208,209と共に、記録媒体205を挟持することによって記録媒体を搬送する搬送ローラ210、及び記録媒体205の斜行を修正してプロセスユニット201に搬送するレジストローラ211を配設している。これらのホッピングローラ207、搬送ローラ210、及びレジストローラ211は図示されない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
プロセスユニット201〜204の各感光体ドラム11に対向する位置には、それぞれ導電性のゴム等によって形成された転写ローラ212が配設されている。これら転写ローラ212には、感光ドラム11上に付着されたトナーによるトナー像を記録媒体205に転写する転写時に、各感光体ドラム11の表面電位とこれら各転写ローラ212の表面電位に電位差を持たせるための電位が印加されている。
定着装置213は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、記録媒体205上に転写されたトナーを加圧・加熱することによって定着する。この下流の排出ローラ214,215は、排出部のピンチローラ216、217と共に定着装置213から排出された記録媒体205を挟持し、記録媒体スタッカ部218に搬送する。これら定着装置213、排出ローラ214等は図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転される。ベルト搬送装置219は、印刷媒体205を各プロセスユニット201〜204へ通過させるための搬送経路を形成するもので、各感光体ドラム11と転写ローラ212間に介在する転写ベルト220を駆動し、レジストローラ211から排出される記録媒体205を定着器213の搬入位置まで搬送する。
ここまで説明した構成要素によって行なわれる画像形成装置200の動作について説明する。まず、用紙カセット205に堆積した状態で収納されている記録媒体205がホッピングローラ207によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、この記録媒体205は、搬送ローラ210、レジストローラ211及びピンチローラ208,209に挟持されて、ベルト搬送装置219の記録媒体受入部まで搬送される。以後、記録媒体205は、ベルト搬送装置219によってプロセスユニット201へ搬送され、感光ドラム11上に付着されたトナー像がその記録面に転写される。
同様にして、記録媒体205は、順次プロセスユニット202〜204を通過し、その通過過程で、各露光装置103により形成された静電潜像を、現像ローラ14によって現像した各色のトナー像がその記録面に順次転写され、重ね合わせられる。そして、その記録面上に各色のトナー像が重ね合わせたれた後、定着装置213によってトナー像が定着された記録媒体205は、排出ローラ214、215及びピンチローラ216、217に挟持されて、画像形成装置200の外部の記録媒体スタッカ部218に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が記録媒体205上に形成される。
尚、同図中のXYZ座標は、記録媒体205が各プロセスユニット202〜204を通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光体ドラム11の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸を取っている。また、後述する他の図においてXYZ座標が示される場合、これらの座標の軸方向は、共通する方向を示すものとする。
次に、画像形成装置200における廃トナーを処理するための構成及び動作について説明する。
プロセスユニット201のクリーニングブレード15の下部には、感光体ドラム11から掻き落とした廃トナーを後述するトナー搬送機構105に導くためのトナー収集部101が配設されている。尚、このトナー収集部101は、他のプロセスユニット202〜204においても同様に配設されているが、その内部構成が共通しているため、プロセスユニット201のトナー収集部101を例にして、その内部構成を説明する。
図3は、このプロセスユニット201のトナー収集部101近傍の要部を示す部分拡大図である。同図中、クリーニングブレード15は、Y軸方向に延在する感光体ドラム11の軸方向の略全域にわたって形成され、各部で掻き落とした廃トナー19を収納空間部101aに自然落下させる。搬送用スパイラル102は、Y軸方向に回転軸を有し、クリーニングブレード15と略同領域に延在するように収納空間部101a内に配設され、図示しない駆動手段によって軸回転する。トナー排出口101bは、トナー収集部101のY軸のプラス方向の端部の下部に形成されている。
以上のように構成されたトナー収集部101において、クリーニングブレード15によって感光体ドラム11から掻き落とされた廃トナー19は、収納空間部101aに自然落下し、搬送用スパイラル102によって、収納空間部101a内を順次Y軸のプラス方向(図面の表に向う方向)に搬送される。そして、トナー排出口101bに至り、このトナー排出口101bから順次下方に落下する。
図1に示すトナー搬送機構105は、画像形成装置200のY軸のプラス側(図面の表側)に配設され、各プロセスユニット201〜204のトナー排出口101b(図3)にそれぞれ空間的に接続して、そこから排出される廃トナー19を受入れて自然落下させるトナー誘導部105a〜105dと、各トナー誘導部105a〜105dと空間的に連続してX軸方向に延在し、内部に同方向に回転軸を有する搬送用スパイラル106を備えたトナー搬送部105eとを有する。この搬送用スパイラル106は、図示しない駆動手段によって軸回転し、各トナー誘導部105a〜105dから落下する廃トナー19をX軸のマイナス方向(図面の右側)に順次搬送する。
トナー搬送機構105は、更にX軸のマイナス方向端部において、搬送用スパイラル106によって搬送された廃トナー19を自然落下させるトナー落下部105fと、トナー落下部105fと空間的に連続し、最終的に廃トナー19を、後述するトナー回収装置51の回収容器52に排出する排出部105gとを有する。
トナー搬送機構105は、更に帯電不良や濃度補正のために転写ベルト220上に残留する廃トナーを転写ベルト220から掻き落とし、搬送する転写ベルトクリーニング部110を有する。この転写ベルトクリーニング部110は、転写ベルト220上に残留する廃トナーを転写ベルト220から掻き落とすためのクリーニングブレード111と、掻き落とした廃トナーを、前記した各搬送用スパイラル102(図3)と同様に、順次Y軸のプラス方向(図面の表に向う方向)に搬送して排出部105gに導く搬送用スパイラル112とを有する。
以上のようにしてトナー搬送機構105の排出部105gに集めれられた各廃トナー19は、後述する排出口を介して、画像形成装置200に着脱自在に装着されたトナー回収装置51の回収容器52に収容される。
次に、トナー回収装置51の構成及び動作について説明する。図2は、このトナー回収装置51の構成を示す分解斜視図である。
図1、図2に示すように、トナー回収装置51は、回収容器52、受入部53、搬送用スパイラル54、搬送用スパイラル54を駆動するギア列55、及び駆動モータの動力をこのギア列に伝達するカップリング56を備えている。回収容器52は、図2に示すようにカバー52aとカバー52bの2つの部分で構成され、各カバーの下部に設けられた図示しない嵌合部が勘合すると共に、カバー52a上部に設けられた爪部81とカバー52b上部に設けられた凹部82がそれぞれ係合することにより、トナー収納部63を備えた回収容器52を形成する。また、各カバーの接合部にはシール材83が配設され、これによって回収容器52のトナー収納部63の密閉度を上げている。
回収容器52に形成された一対の搬送用スパイラル軸受け84は、それぞれカバー52a,52bの対向する位置に形成された搬送用スパイラル軸受(図示せず)と共に、搬送用スパイラル54を回収容器52のトナー収納部63の2箇所で挟持し、これを回転可能に軸支する。
受入部53は、その円筒部53aの内部に搬送用スパイラル54の導入部54aが位置する状態でカバー83の開口部85に装着される。このとき受入部53の開口突出部53bは、回収容器52の外部に突出し、後述するように、トナー回収装置51が画像形成装置200に装着された段階で、トナー搬送機構105の排出部105gと接合する。開口突出部53bの開口部であるトナー受入口53cは、円筒部53aの内部に空間的に通じている。
搬送用スパイラル54は、トナー回収装置51が画像形成装置200本体に装着されたときX軸方向に沿って延在し、受入部53の側(以後、上流側と称す)の回収容器52のトナー収納部63から外部に突出する端部に、ギア列55と噛合する回転ギア57を配している。そして、反対側(以後、下流側と称す)端部に向って順に連続して形成された、導入部54a、第1中間部54b、第2中間部54c、及び先端部54dを有する。
ここで、トナー回収装置51を画像形成装置200本体に対して着脱する際の、トナー回収装置51とトナー搬送機構105との接続関係について説明する。
図4は、トナー搬送機構105の排出部105gとトナー回収装置51の受入部53との接続部分を、X軸のマイナス側からみた部分拡大図で、同図(a)はトナー回収装置51が画像形成装置200本体に装着されているときの図であり、同図(b)はトナー回収装置51が画像形成装置200本体から外れたときの図である。
排出部105gには、トナー落下部105fと空間的につながる固定キャップ120とこの固定キャップ120を内側にして重なるように形成された可動キャップ121が配置されている。図5は、この固定キャップ120と可動キャップ121の各形状を示す斜視図である。可動キャップ121は、固定キャップ120を内側にしてY軸方向にスライド可能に保持され、排出部105gとの間に圧縮した状態で架けられたコイルスプリング122によって、Y軸プラス方向に付勢されている。
また、固定キャップ120及び可動キャップ121の各底面部には、図4(a)に示すように、トナー回収装置51が画像形成装置200本体に装着されている状態で、互いに重なる排出口123及び排出口124が形成されている。更に、可動キャップ121には突起121aが形成され、排出部105gには、図4(b)に示すように、トナー回収装置51が画像形成装置200本体から外された状態で、排出口123と排出口124とが重ならない位置で突起121aと係合して可動キャップ121の移動を制限するストッパ105hが形成されている。
トナー回収装置51とトナー搬送機構105との接続部は、以上のように構成されているため、トナー回収装置51が画像形成装置200本体に装着されているとき、トナー搬送機構105のトナー落下部105fを落下する廃トナーは、図4(a)に矢印でしめすように、排出口123,124を通過し、更に受入部53のトナー受入口53cを介して、トナー回収装置51の内部に位置する受入部53の円筒部53a(図1)に落下する。
一方、トナー回収装置51が画像形成装置200本体から外されると、図4(b)に示す様に、可動キャップ121がストッパ105hによって移動が規制される位置までY軸のプラス方向に移動する。この時、前記したように可動キャップ121の排出口123が固定キャップ120の排出口124と重ならない位置に移動するため、トナー搬送機構105の排出部105gは密閉される。従って、トナー回収装置51が画像形成装置200本体から外された状態では、廃トナーは、トナー搬送機構105の排出部105gの内部に留まり、画像形成装置200の内部に漏れ出ることない。
尚、上記した例では、コイルスプリング122が、可動キャップ121を付勢する作用だけを行なうように構成したが、例えば、Y軸に沿って延在するその軸中心に所定方向に回転するように構成することによって、トナー落下部105fから落下する廃トナーを、コイルスプリング122の搬送作用によって、重なった状態の排出口123,124まで円滑に導くことができる。
図2に示す搬送用スパイラル54は、その導入部54a、第1中間部54b、及び第2中間部54cでは、軸部とその周面の所定領域に形成されたスパイラルとが共にプラスチック材で一体的に形成されている。一方、先端部54dは、中間部54cに連続して一体的に形成されたプラスチック材の軸部54eと、この軸部54eの周りに配設されたコイルスプリング58とを有する。
図6は、この搬送用スパイラル54の先端部54dの部分拡大図である。同図に示すように、先端部54dの上流側端部には、フランジ54fが軸部54eと一体的に形成され、その下流側にはワッシャ59、可動ストッパ60の順に、軸部54eに対して摺動可能に取り付けられている。コイルスプリング58は、軸部54eの周面を囲むように備えられ、その上流側端部が可動ストッパ60に固定され、下流側端部が、ノックピン62によって軸部54eに固定される固定ストッパ61の当接面に摺動可能に当接し、圧縮した状態で保持されている。このようにコイルスプリング58と可動ストッパ60は一体とされ、軸部54eと一体的に形成されるフランジ54f及び固定ストッパ61によって、圧縮した状態で摺動可能に保持されている。
以上の構成において、トナー回収装置51の動作について以下に説明する。図7(a)、図7(b)、図7(c)は、トナー回収装置51の動作状態を示す要部正面図である。
図7(a)に示すように、トナー搬送機構105(図1)から排出される廃トナー19は、前記したように、トナー回収装置51のトナー収容部63に位置する受入部53の円筒部53a内に落下する。このとき、搬送用スパイラル54は、図示しない駆動モータの回転が伝達されてX軸回りの矢印A方向(図2)に回転している。以下、この時の回転を順方向回転と称す。
従って、受入部53の円筒部53a内に落下した廃トナー19は、円筒部53a内を下流側に搬送され、円筒部出口から外部に放出される。図7(a)に示すように、回収容器52のトナー収容部63が空に近い状態では、受入部53の円筒部53aから排出された廃トナー19は、直ちにトナー収容部63の下方に落下し、図7(a)に示すようにその落下部近傍に順次堆積していく。
そして堆積した廃トナー19の上部が、搬送用スパイラル54のスパイラルに接触するようになると、廃トナー19は、図7(b)に示すようにトナー収容部63の下流へと順次搬送され、やがて搬送用スパイラル54の先端部54dに達するようになる。先端部54dに達した廃トナー19は、この先端部54dに配設されたコイルスプリング58(図6)の回転運動によって更に下流部へと搬送される。
やがて図7(c)に示すように、回収容器52の最下流部まで達した廃トナー19は、回収容器52の壁により行き場を失うため、トナー収容部63の最下流部では、順次送られてくる廃トナーによって廃トナー密度が次第に高くなる。このようにして廃トナー密度が高くなると、この先端部54に配設されたコイルスプリング58(図6)の回転負荷トルクが上昇する。そしてこの回転負荷トルクがある一定値を超えた時、搬送用スパイラル54の先端部54dにおける廃トナーの搬送活動が停止する。
即ち、トナー収容部63の最下流部における廃トナー密度が一定値を超えた時、図6に示す、先端部54dのコイルスプリング58の伸長力によって発生しているフランジ54fとワッシャ59間、或いは可動ストッパ60とワッシャ59間の摩擦力と、コイルスプリング58と固定ストッパ61間の摩擦力よりも、コイルスプリング58が、高密度となった廃トナーから受ける回転負荷の方が大きくなるため、廃トナーの搬送を行なうコイルスプリング58の回転が停止する。以上のように、トナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が一定値を超えた時、搬送用スパイラル54の先端部54dにおける廃トナーの搬送活動が停止する。
尚、本実施の形態では、回転/停止可能なトナー搬送用のコイルスプリング58を、搬送用スパイラル54の先端部54dの一箇所だけに設けたが、これに限定されるものではなく、第1中間部54bや第2中間部54cも同様に構成し、各コイルスプリングを各々回転/停止可能に構成してもよい。
また、本実施の形態では、第1中間部54b及び第2中間部54cが、軸部とその周面の所定領域に形成されたスパイラルとが共にプラスチック材で一体的に形成されている例を示したが、これに限定されるものではなく、常時、軸と一体的に回転するコイルスプリングを用いて形成してもよい。
以上のように、本実施の形態1のトナー回収装置によれば、回収容器52のトナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が一定値を超えた時、搬送用スパイラル54の先端部54dにおける廃トナーの搬送活動が停止するため、駆動モータ等の駆動手段が過負荷状態となるのを防止できる。これにより、過負荷によって搬送用スパイラル54全体の回転が停止して、トナー密度の低い上流側領域への廃トナーの更なる収容ができなくなるといった事態を防止することができる。
また、コイルスプリング58は、廃トナーを搬送する作用と、その復元力(伸長力)によって発生する摩擦力によってコイルスプリング58自体に回転駆動力を伝導させる作用の両方を受け持つため、構成部品を少なくすることが可能となって安価に構成できる。
実施の形態2.
図8は、本発明に基づく実施の形態2のトナー回収装置に採用される搬送用スパイラルの先端部近傍の要部構成を示す構成図である。
この搬送用スパイラル151を採用するトナー回収装置が、前記した図2に示す実施の形態1のトナー回収装置51と主に異なる点は、搬送用スパイラル151の先端部151dの構成と、搬送用スパイラル151の回転駆動方法である。従って、この搬送用スパイラル151を採用するトナー回収装置が、前記した実施の形態1のトナー回収装置51(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
図8に示すように、先端部151dの上流側端部には、フランジ151fが軸部151eと一体的に形成され、その下流側には可動ストッパ152が軸部151eに対して摺動可能に取り付けられている。コイルスプリング58は、その上流側端部が可動ストッパ152に固定され、下流側端部が、ノックピン62によって軸部151eに固定される固定ストッパ61の当接面に摺動可能に当接し、圧縮した状態で保持されている。更にフランジ151f及び可動ストッパ152には、回転伝達に方向性を持たせるためのラチェット機構を構成する凸部151g及び凹部152aが形成されている。
以上の構成において、この搬送用スパイラル151を採用するトナー回収装置150の動作について以下に説明する。図9(a)、図9(b)、図9(c)は、トナー回収装置の動作状態を示す要部正面図である。
本実施の形態におけるトナー回収装置150の動作は、回収容器52の最下流部まで達した廃トナー19が、回収容器52の壁によって行き場を失い、図9(a)に示すようにトナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が次第に高くなる段階まで、前記した実施の形態1のトナー回収容器51の動作と一緒である。こうして最下流部の廃トナー密度が高くなると、この先端部54に配設されたコイルスプリング58の回転負荷トルクが上昇する。尚、この時搬送用スパイラル151は、図示しない駆動モータの回転が伝達されてX軸回りの矢印A方向(図2参照)回転、即ち順方向回転している。
そしてこの回転負荷トルクがある一定値を超えた時、搬送用スパイラル151では、可動ストッパ152とフランジ151fとに形成されたラチェット機構が動作し、可動ストッパ152がフランジ151fの凸部151gに形成された傾斜をのり越えるようにしてコイルスプリング58の空転が始まる。この時可動ストッパ152は、フランジ151fの凸部151gの傾斜を上がりきった後、再びその凹部152aがフランジ151fの凸部151gと勘合する一連の動作を繰り返す。従って、この時のコイルスプリング58は、圧縮、伸長を繰り返しながらも回転を停止しているため、搬送用スパイラル151の先端部151dにおける廃トナーの搬送活動が停止する。
また、回転負荷トルクがある一定値を超えない段階では、コイルスプリング58は、コイルスプリング58の伸長力によって発生するラチェット機構の空転トルクによって、軸部151eと共に回転する。
一方、搬送用スパイラル151をX軸回りの矢印A方向(図2参照)とは逆の方向(以後、単に逆方向と称す)に回転させた場合、ラチェット機構によって、可動ストッパ152は、フランジ151fを乗り越えることができない。従って、搬送用スパイラル151の下流部の廃トナー密度が高く、搬送用スパイラル151の駆動負荷トルクが大きい場合でも、コイルスプリング58で形成された先端部151dは、上流側へのトナーの搬送能力を持つことができる。
図9(b)は、トナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が高くなった図9(a)の状態において、搬送用スパイラル151を所定時間逆方向回転させたときの廃トナー19の分布を示す図である。搬送用スパイラル151は、逆方向回転によって、下流側の廃トナーを再び上流側へと搬送することになり、同図に示すようにトナー収容部63の最下流部の廃トナーを上流へと運ぶ。これにより、搬送用スパイラル151の受ける負荷力は低下する。従って、その後、搬送用スパイラル151を再び順方向回転させると、その先端部151dのコイルスプリング58も空回り状態から復帰し、図9(c)に示す様に、搬送用スパイラル151の搬送領域全域にわたって、廃トナー19の堆積状態を平均化することができる。尚、この搬送用スパイラル151の逆方向回転は、順方向回転が所定の期間行われる度に実施されることが好ましい。
以上のように、本実施の形態2のトナー回収装置150によれば、前記した実施の形態1のトナー回収装置と同様に、搬送用スパイラル151の先端部151dにおける廃トナーの搬送活動を停止することによって、トナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が高い場合でも駆動モータ等の駆動手段への過負荷を防止できるため、廃トナー密度の低い上流側領域に、引き続いて廃トナーを回収することができる。
更に、本実施の形態のトナー回収装置150では、順方向回転時には、負荷力によりコイルスプリングが空転して上記した効果を得、逆方向回転時には、空回りできないように構成されている。従って、搬送用スパイラルのこの逆方向回転により、トナー収容部63の下流部の高密度廃トナーを上流へ搬送することができるため、トナー回収容器52内のトナー密度を平均化することも可能となる。
実施の形態3.
図10は、本発明に基づく実施の形態3のトナー回収装置に採用される搬送用スパイラルの先端部近傍の要部構成を示す構成図である。
この搬送用スパイラル155を採用するトナー回収装置が、前記した図2に示す実施の形態1のトナー回収装置51と主に異なる点は、搬送用スパイラル155の第2中間部155c及び先端部156の構成と、搬送用スパイラル155の回転駆動方法である。従って、この搬送用スパイラル155を採用するトナー回収装置が、前記した実施の形態1のトナー回収装置51(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
図10に示すように、本実施の形態の搬送用スパイラル155における先端部156は、他の第1中間部54b(図2参照)や第2中間部155cと別体で、且つこれらと同様に軸部156aとその周面に形成されたスパイラル156bとが共にプラスチック材で一体的に形成されている。また先端部156の上流側端部近傍には、フランジ156cが形成され、また第2中間部155cの下流側端部近傍にもフランジ155mが形成されている。
図11は、これらフランジ156cとフランジ155mと間に形成される、先端部156と第2中間部155cとの接続部の構成を示す部分拡大図である。同図(a)は、接続コイルスプリング157を装着した本来の構成を示し、同図(b)は、説明のため接続コイルスプリング157を除いた図である。
同図(b)に示すように、先端部156には、そのフランジ156cよりも更に上流側に係合軸部156dが形成され、その端部に、軸中心の係合口156eが形成されている。一方、第2中間部155cには、そのフランジ155mよりも更に下流側に係合軸部155fが形成され、その端部に、先端部156の係合口156eに遊嵌する係合凸部155gが形成されている。
そして、係合軸部155gと係合軸部156dとは、これらの軸径と同じかやや小さめの内径を有する接続コイルスプリング157によって回転力が伝達するように接続される。即ち、係合軸部155f及び156dは、コイルスプリング157の内空部に圧入され、その内部で、軸ずれしないように係合口156eと係合凸部155gとが遊嵌状態を保っている。そしてこの接続コイルスプリング157の巻き方向は、搬送用スパイラル155(図10)の各部に形成されたスパイラルの巻方向と逆に形成されている。
以上の構成において、この搬送用スパイラル155を採用するトナー回収装置の動作について以下に説明する。尚、本実施の形態のトナー回収装置は、図9に示す実施の形態2のトナー回収装置150の搬送用スパイラル151を、上記した図10に示す搬送用スパイラル155に代えた構成であるため、図9に示すトナー回収装置150に搬送用スパイラル155が装着されているものとして、図9を参照しながら説明する。
トナー収容部63(図9)の廃トナー19の密度が低く、スパイラル156b(図10)にかかる負荷が低い場合、搬送用スパイラル155は、先端部156の係合軸部156dと接続コイルスプリング157の摩擦力、及び接続コイルスプリング157と第2中間部155cの係合軸部155fの摩擦力により、先端部156を含め全体が順方向回転し、廃トナー19を順次下流部へ搬送する。その後、トナー収容部63の最下流部での廃トナーの密度が高くなるにつれ、先端部156のスパイラル156b(図10)にかかる負荷力が上がると、先端部156と第2中間部155cとの間で回転力を伝達する接続コイルスプリング157は、その巻回状態が巻き戻される方向に強い力を受けるようになる。
更にトナー収容部63の下流部での廃トナーの密度が上がり、接続コイルスプリング157が所定量巻き戻されてその内径が大きくなると、各係合軸部155f,156dと接続コイルスプリング157間の摩擦力が低下する。そして先端部156のスパイラル156bが受ける回転負荷トルクがある一定値を超えると、この摩擦力の低下により、接続コイルスプリング157による下流側の先端部156への回転力の伝達が断たれる。その結果、先端部156が回転を停止し、この先端部156における廃トナーの搬送活動が停止する。
尚、本実施の形態では、接続コイルスプリング157を、第2中間部155cのフランジ155mと先端部156のフランジ156cとの間に、特に端部を固定することなく配設した例を示したが、これに限定されるものではなく、どちらか一端をフランジ155m或いはフランジ156cに固定するように構成しても良い。この場合、固定されない側のフランジは特に必要なくなる。
搬送用スパイラル155の順方向回転駆動が停止すると、接続コイルスプリング157は、元の状態に戻って各係合軸部155f,156dとの摩擦力が復活し、再び先端部156への回転力の伝達経路が形成される。一方、搬送用スパイラル155を逆方向回転させた場合、先端部156のスパイラル156b(図10)にかかる負荷力によって、接続コイルスプリング157は、巻き方向への力を受けて内径を小さくする方向に作用する。その結果、各係合軸部155f,156dと接続コイルスプリング157間の摩擦力が更に強くなり、第2中間部155cの逆方向回転は、確実に先端部156に伝達される。
以上のように、本実施の形態3の搬送用スパイラル155を採用するトナー回収装置によれば、前記した実施の形態1のトナー回収装置と同様に、搬送用スパイラル155の先端部156における廃トナーの搬送活動を停止することによって、トナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が高い場合でも駆動モータ等の駆動手段への過負荷を防止できるため、廃トナー密度の低い上流側領域に引き続いて廃トナーを回収することができる。
また、前記した実施の形態2の搬送用スパイラル151と同様に、順方向回転時には、負荷力により先端部156の回転が停止して上記した効果を得、逆方向回転時には、先端部に回転力が確実に伝わってトナー収容部63の下流部の高密度廃トナーを上流へ搬送することができる。このため、トナー回収容器52内のトナー密度を平均化することも可能となる。
更に、本実施の形態3の搬送用スパイラル155では、スパイラルがすべてプラスチックによる軸との一体成型が可能となり、その他の構成部品としては接続コイルスプリング157のみの簡便な構成となるので製品のコスト削減に寄与し、更に部品点数の少なさから、搬送用スパイラル155の動作信頼性も向上する。
実施の形態4.
図12(a)は、本発明に基づく実施の形態4のトナー回収装置に採用される搬送用スパイラルの先端部近傍の要部構成を示す構成図であり、同図(b)はその動作説明に供する図である。
この搬送用スパイラル160を採用するトナー回収装置が、前記した図2に示す実施の形態1のトナー回収装置51と主に異なる点は、搬送用スパイラル160の先端部160dの構成のみである。従って、この搬送用スパイラル160を採用するトナー回収装置が、前記した実施の形態1のトナー回収装置51(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
図12(a)に示すように、搬送用スパイラル160の先端部160dの上流側端部にはフランジ160fが形成されている。コイルスプリング161は、その上流側端部がフランジ160fに固定され、下流側端部が、ノックピン62によって軸部160eに固定される固定ストッパ61の当接面によって下流方向への移動が規制されている。ここで使用されるコイルスプリング161は、前記した実施の形態1で使用したコイルスプリング58に比べて、バネ定数の小さいものが使用されている。
以上の構成において、この搬送用スパイラル160を採用するトナー回収装置の動作について以下に説明する。尚、本実施の形態のトナー回収装置は、図7に示す実施の形態1のトナー回収装置51の搬送用スパイラル54を、上記した図12(a)に示す搬送用スパイラル160に代えた構成であるため、図7に示すトナー回収装置51に搬送用スパイラル160が装着されているものとして、図7を参照しながら説明する。
搬送用スパイラル160が順方向に回転する状況下で、トナー収容部63(図7)の廃トナー19の密度が低く、コイルスプリング161(図12)にかかる負荷が低い段階では、コイルスプリング161は初期の位置を保って廃トナーを順次下流側に搬送する。その後、トナー収容部63の最下流部での廃トナーの密度が高くなるにつれ、先端部160dのコイルスプリング161が、その各傾斜部161aで受ける上流方向への反作用が強くなる。その結果、弱いバネで形成されたコイルスプリング161は次第に圧縮し、最終的には、図12(b)に示すように、隣接する傾斜部161aが密着する状態にまで圧縮する。このとき、コイルスプリング161は、廃トナーを搬送するための斜面をなくし、この先端部160dにおける廃トナーの搬送活動が停止する。
以上のように、本実施の形態4の搬送用スパイラル160を採用するトナー回収装置によれば、前記した実施の形態1のトナー回収装置と同様に、搬送用スパイラル160の先端部160dにおける廃トナーの搬送活動を停止することによって、トナー収容部63の最下流部の廃トナー密度が高い場合でも駆動モータ等の駆動手段への過負荷を防止できるため、廃トナー密度の低い上流領域に、引き続いて廃トナーを回収することができる。
また、本実施の形態4の搬送用スパイラル160では、コイルスプリング161の他は一体成型が可能で極めて簡便に構成されているため、製品のコスト削減に寄与し、更に部品点数の少なさから搬送用スパイラル160の動作信頼性も向上する。
実施の形態5.
図13は、本発明に基づく実施の形態5のトナー回収装置に採用される搬送用スパイラルの先端部近傍の要部構成を示す構成図である。
この搬送用スパイラル165を採用するトナー回収装置が、前記した図2に示す実施の形態1のトナー回収装置51と主に異なる点は、搬送用スパイラル165の第2中間部165c及び先端部165dの構成である。従って、この搬送用スパイラル165を採用するトナー回収装置が、前記した実施の形態1のトナー回収装置51(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
図13に示すように、本実施の形態の搬送用スパイラル165における先端部165dは、他の第1中間部54b(図2参照)や第2中間部165cと同様に、軸部165eとその周面に形成されたスパイラル165gとが共にプラスチック材で一体的に形成され、その上流側端部にはフランジ165fが形成されている。そして第2中間部165cの下流側端部でフランジ165fの近傍には、局所的に軸径が小さい小径部166が形成されている。尚、前記した実施の形態1の搬送用スパイラル54の第2中間部54c(図2)に対して本実施の形態における搬送用スパイラル165の第2中間部165cが異なる点は、この小径部166が形成されている点である。
以上の構成において、この搬送用スパイラル165を採用するトナー回収装置の動作について以下に説明する。尚、本実施の形態のトナー回収装置は、図7に示す実施の形態1のトナー回収装置51の搬送用スパイラル54を、上記した図13に示す搬送用スパイラル165に代えた構成であるため、図7に示すトナー回収装置51に搬送用スパイラル165が装着されているものとして、図7を参照しながら説明する。
トナー収容部63(図7)の廃トナー19の密度が低く、スパイラル165g(図12)にかかる負荷が低い段階では、搬送用スパイラル165は、全体が一体となって順方向回転し、廃トナーを順次下流側に搬送する。その後、トナー収容部63の最下流部での廃トナーの密度が高くなるにつれ、スパイラル165gにかかる回転負荷トルクが上昇する。そしてこの回転負荷トルクがある一定値を超えた時、局所的に軸径が小さい小径部166では、ねじれモーメントが増大して破断現象が発生する。その結果、搬送用スパイラル165の先端部165dは、その上流側の第2中間部165cから切り離され、先端部165dが存在した先端部領域での廃トナーの搬送活動が停止する。
図14は、この搬送用スパイラル165を採用するトナー回収装置が廃トナーの回収を開始してからの、廃トナー回収量と搬送用スパイラル165にかかる回転負荷トルクの関係を概略的に示したグラフである。同グラフに示すように、回収した廃トナーの量が増加するにつれて回転負荷トルクが増加するが、上記したように、小径部166が破断した時点で、先端部165dのスパイラル165gが受けていた回転負荷トルクがゼロとなるため、搬送用スパイラル165にかかる回転負荷トルクが一気に軽減される。この結果、この搬送用スパイラル165を回転駆動する駆動モータの最大発生可能トルクのレベルまでのトルクマージンが一気に拡大する。
以上のように、本実施の形態5のトナー回収装置によれば、搬送用スパイラル165の一部である先端部165dを破断して、その部分での廃トナーの搬送活動を停止するため、駆動モータ等の駆動手段への過負荷を防止できる。更に、先端部165dの破断により回転負荷トルクが一気に軽減され、その後の廃トナー搬送のためのトルクマージンが拡大され、廃トナーの回収量を大幅に伸ばすことができる。
更に、本実施の形態5の搬送用スパイラル165は、全て一体成型することができるため、構成が極めて簡便で、製品のコスト削減に寄与し、更に部品点数の少なさから搬送用スパイラル165の動作信頼性も向上する。
実施の形態6.
図15(a)は、本発明に基づく実施の形態6のトナー回収装置の要部構成を示す構成図であり、同図(b)は、トナー回収装置の搬送用スパイラルを回転駆動する駆動モータの制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
このトナー回収装置170が、前記した図2に示す実施の形態1のトナー回収装置51と主に異なる点は、搬送用スパイラル171の先端部171dの構成と、新たに追加された回転検出センサ176を用いての搬送用スパイラル171の回転駆動方法である。従って、このトナー回収装置170が、前記した実施の形態1のトナー回収装置51(図2)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
ここで用いられる搬送用スパイラル171の先端部171dの構成は、他の第1中間部54b(図2参照)や第2中間部54cと同様に、軸部171eとその周面に形成されたスパイラル171gとが共にプラスチック材で一体的に形成され、その上流側端部にはフランジ171fが形成されている。搬送用スパイラル171のトナー収容部63から突き出た上流側端部近傍には、この搬送用スパイラル171の回転を検出するホール素子を利用した回転検出センサ176が配置されている。
一方、図15(b)に示すように、駆動制御部175は、この回転検出センサ176から搬送用スパイラル171の回転情報を入力し、前記したカップリング56、ギア列55の各回転伝達経路を介して、搬送用スパイラル171を回転駆動する駆動モータ177への印加電圧を制御する。尚、ここで使用する駆動モータ177は、一定電圧を印加したとき、負荷トルクによって回転数が変化するDCモータとしている。
以上の構成において、駆動制御部175による駆動モータ177の駆動方法について以下に説明する。図16のグラフは、駆動制御部175による駆動モータ制御が実行された際の、時間経過に対する駆動モータ177の回転状態の変化を示す。尚、同グラフに示す駆動モータの正転は、搬送用スパイラル171を順方向に回転駆動する回転方向に相当する。
トナー収容部63が空の状態から搬送用スパイラル171を順方向に回転して、受入部53の円筒部53aに入ってくる廃トナーの搬送を開始すると、最初の段階では、搬送用スパイラル171の回転負荷トルクは、一定で軽いものとなる。この状態は、例えば前記した図7(a)に示すように、トナー収容部63に落下して堆積する廃トナー19が、搬送用スパイラル171の第1中間部54bに達していない状態に相当する。
その後、廃トナー19の堆積が進んで、搬送用スパイラル171の第1中間部54bにかかるようになると、徐々に、トナー収容部63の下流部における廃トナー密度が高くなって搬送用スパイラル171に対する回転負荷トルクが増えるため、これに伴って駆動モータ177の回転数も徐々に低下する。駆動制御部175は、駆動モータ177の回転数が所定の閾値(逆回転実施回転数に相当)以下になった時刻t0から所定時間だけ駆動モータ177を逆転させる。この逆回転によって、トナー収容部63の下流部に溜まり過ぎて高密度になった廃トナーを、上流側の密度の低い箇所に引き戻すため、下流部の廃トナー密度が低くなる。従って、時刻t0から所定時間後に搬送用スパイラル171の順方向回転を再開するときの回転負荷トルクが、逆転開始時より減少し、駆動モータ177の回転数が所定の閾値以上となって、再度搬送用スパイラル171による廃トナーの下流部への搬送が開始される。
以後、駆動制御部175は、時刻t1や時刻t2と同様に、駆動モータ177の回転数が所定の閾値以下になる度に、駆動モータ177に対する同様の逆転駆動を繰り返す一連のモータ駆動制御を実行する。これにより、トナー回収装置170は、トナー収容部63に回収する廃トナーの密度を逐次均一化しながら廃トナーを収容する。また、図16のグラフに示すように、駆動制御部175が上記した逆回転駆動を伴うモータ駆動制御を実行した場合の、時間経過に対するモータ回転数の低下率(同図に点線で示す指示線の傾斜)は、駆動制御部175が上記モータ制御駆動を実行しない場合の同低下率(同図に一転鎖線で示す指示線の傾斜)よりも小さくなる。これにより、トナー収容部63に廃トナーを収容する延べの収納時間を延ばすことができ、その分、多くの廃トナーを収容できる。
尚、本実施の形態6では、駆動モータの回転数を検出し、この値が所定の閾値以下となる場合に搬送用スパイラルを逆回転しているが、その他に、搬送用スパイラルの受けている負荷力を直接測定可能なトルクセンサを用い、検出された負荷力が所定の閾値を越えた段階で搬送用スパイラルを逆回転するように構成してもよい。
また、本実施の形態6では、搬送用スパイラル171の先端部171dの構成を、軸部171eとその周面に形成されたスパイラル171gとが共にプラスチック材で一体的に形成される構成のものとしたが、これに限定されるものではなく、前記実施の形態1乃至4で示した各先端部の何れかの構成を採用することもできる。
以上のように、実施の形態6のトナー回収装置170によれば、回収容器52内に回収する廃トナーの密度を均一化させながら、廃トナーを収納するため、トナー収容部63の容量に見合った量の廃トナーを確実に収納することができる。
実施の形態7.
図17は、本発明に基づく実施の形態7のトナー回収装置に採用される搬送用スパイラルの導入部近傍の要部構成を示す構成図である。
この搬送用スパイラル181を採用するトナー回収装置が、前記した図15に示す実施の形態6のトナー回収装置170と主に異なる点は、受入部53の円筒部53a内に配置される導入部181aの構成である。従って、この搬送用スパイラル181を採用するトナー回収装置が、前記した実施の形態6のトナー回収装置170(図15)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いてここでの説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
図17に示すように、導入部181aの下流側には、第1の中間部54cの先端部をなすフランジ182が形成され、その上流側には、ワッシャ183、可動ストッパ184の順に、軸部188に対して摺動可能に取り付けられている。コイルスプリング185は、その下流側端部が可動ストッパ184に固定され、上流側端部が、ノックピン186によって軸部188に固定される固定ストッパ187の当接面に摺動可能に当接し、圧縮した状態で保持されている。
以上の構成において、この搬送用スパイラル181を採用するトナー回収装置の動作について以下に説明する。尚、本実施の形態のトナー回収装置は、図15に示す実施の形態6のトナー回収装置170の搬送用スパイラル171を、上記した図17に示す搬送用スパイラル181に代えた構成であるため、図15に示すトナー回収装置170に搬送用スパイラル181が装着されているものとして、図15を参照しながら説明する。
前記した実施の形態6の動作説明で記述したように、搬送用スパイラル181(但し、実施の形態6では171)が逆方向回転すると、順方向回転時にはトナー収容部63の下流部へと搬送されていた廃トナーが、上流側に搬送され始める。この逆方向回転が始まった当初は、受入部53のバッファ効果により、その逆方向回転が安定して実行される。しかしながら、逆方向回転が継続されるにつれて受入部53の廃トナー密度が高まり、搬送用スパイラル181の導入部181aに配設されたコイルスプリング185の回転負荷トルクが上昇する。そしてこの回転負荷トルクがある一定値を超えた時、搬送用スパイラル181の導入部181aにおける廃トナーの搬送活動が停止する。
即ち、回収容器52の受入部53の廃トナー密度が一定値を超えた時、図17に示す、導入部181aのコイルスプリング185の伸長力によって発生しているフランジ182とワッシャ183間、或いは可動ストッパ184とワッシャ183間の摩擦力と、コイルスプリング185と固定ストッパ186間の摩擦力よりも、コイルスプリング185が、高密度となった廃トナーから受ける負荷の方が大きくなるため、廃トナーの搬送を行なうコイルスプリング185の回転が停止する。以上のように、回収容器52の受入部53の廃トナー密度が一定値を超えた時、回収容器52の受入部53における廃トナーの搬送活動が停止する。
尚、本実施の形態では、搬送用スパイラル181の先端部の構成を、実施の形態6の場合と同様に、軸部とその周面に形成されたスパイラルとが共にプラスチック材で一体的に形成される構成のものとして説明したが、これに限定されるものではなく、前記実施の形態1乃至4で示した各先端部の何れかの構成を採用することもできる。
以上のように、本実施の形態7のトナー回収装置によれば、回収容器52の受入部53の廃トナー密度が一定値を超えた時、搬送用スパイラル181の導入部181aにおける廃トナーの上流側へ搬送活動を停止することによって、駆動モータ等の駆動手段への過負荷を防止できる。これにより、過負荷によって搬送用スパイラル181全体の回転が停止して、トナー収容部63の廃トナーの上流側への更なる搬送ができなくなるといった事態を防止することができる。また、受入部53での上流側への搬送活動を停止することによって、図1に示す画像形成装置200のトナー搬送機構105への廃トナーの逆流も防ぐことができる。
尚、前記した実施の形態1,2,4の各搬送用スパイラルでは、回転負荷が所定値を超えたときに廃トナーの搬送活動が停止するコイルスプリングを用いた機構を、その先端部にだけ設けたが、これに限定されるものではなく、回収容器の形状等の諸条件によっては、第2中間部や第1中間部に設けても良い。
また、前記した各実施の形態では、廃トナーを搬送する手段として、回転軸と、その周面に備えられて回転軸の回転方向に応じて廃トナーの搬送方向を変える作用部(スパイラルやコイルスプリング)とで構成した搬送用スパイラルを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、トナー収容部における廃トナー搬送領域を複数の搬送ベルトを連結して構成し、必要に応じて所定の搬送ベルトによる廃トナー搬送を停止するように構成してもよい。
更に、前記した各実施の形態では、トナー回収装置のトナー受入口を水平方向に延在するトナー回収装置の端部に設けているが、これに限定されるものではなく、トナー回収装置の端部以外にトナー受入口を設けるように構成してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。