JP2006315516A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させること無く、高速耐久性及び操縦安定性を向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一枚以上のカーカスプライからなるカーカス4を備える空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライの少なくとも一枚に、下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすポリケトン繊維コードを適用し、更に、前記カーカス4の近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層6を配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ、特に乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させること無く、高速耐久性及び操縦安定性を向上させた空気入りタイヤに関するものである。
一般に、自動車用タイヤには、車両装着時の操縦安定性、乗り心地性能、車内伝達音性能、燃費性能等、多岐に渡る性能が求められており、特に最近では、高速走行時の操縦安定性及び耐久性に対する性能向上要求が強くなりつつある。
これに対して、従来は、高速走行時に加わる遠心力によって迫り出すベルト端部に補強コードを周方向に螺旋巻回してなる補強部材を配設して、ベルト端の迫り出しを抑制し、タイヤの高速耐久性を確保することが行われている。
また、タイヤのサイドウォール部に対するシビアな入力に対して、タイヤのサイドウォール部の変形を抑制して、十分な操縦安定性を確保するために、弾性率の高いゴムや、有機繊維コード若しくはスチールコード等の補強部材をサイドウォール部に配置し、サイドウォール部の剛性を補強することが行われてきた。
特開2001−71715号公報
しかしながら、ベルト端部に補強コードを周方向に螺旋巻回してなる補強部材を配設した場合、低速走行時にもタイヤの周方向の剛性が上昇するため、不整地等の凹凸が大きな路面を走行する際に、路面からの入力をトレッド部の変形で緩和することができず、乗り心地性能や車内伝達音性能が悪化するという問題があった。
また、サイドウォール部に剛性補強部材を配設した場合も、路面からの入力をサイドウォール部の変形で緩和することができないため、乗り心地性能や車内伝達音性能が悪化するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させること無く、高速耐久性及び操縦安定性を向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、カーカスの補強コードとして特定の熱収縮応力及び弾性率を有するポリケトン繊維コードを使用した上、該カーカスの近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層を配設することで、乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させること無く、タイヤの高速耐久性及び操縦安定性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部と、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された二枚以上のベルト層からなるベルトとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記カーカスプライの少なくとも一枚が、下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなり、
更に、前記カーカスの近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層を配置したことを特徴とする。
ここで、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σは、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する応力であり、また、上記ポリケトン繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率Eは、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率である。
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記発熱促進ゴム層の厚さが3mm以下である。この場合、タイヤのケースラインの変化代が小さいため、タイヤの操縦安定性が低下することがない。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記発熱促進ゴム層が前記ベルトの端部及び前記サイドウォール部に、或いは前記ベルトの端部のみに、或いは前記サイドウォール部のみに配置されている。この場合、ベルトの端部及び/又はサイドウォール部の高速走行時の変形を確実に抑制することができ、その結果として、タイヤの高速耐久性及び高速走行時の操縦安定性を確実に向上させることができる。
また、本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ポリケトン繊維コードは、177℃における熱収縮応力σが0.3cN/dtex以上であることが好ましく、0.5cN/dtex以上であることが更に好ましい。この場合、高速走行時にポリケトン繊維コードが大きな熱収縮応力を発現して、タイヤの高速耐久性及び操縦安定性を更に向上させることができる。
本発明によれば、乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させること無く、高速耐久性及び操縦安定性を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の左半分の部分断面図であり、図2及び図3は、本発明の空気入りタイヤの他の実施態様の左半分の部分断面図であり、図4は、従来の空気入りタイヤの一例の左半分の部分断面図である。
図1に示すタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3と、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強するラジアルカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト5と、該ベルト5の端部において上記カーカス4とベルト5との間に配置された発熱促進ゴム層6とを備える。
図1に示すタイヤのカーカス4は、二枚のカーカスプライから構成され、また、上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア7の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。
また、図1に示すタイヤのベルト5は、二枚のベルト層から構成されているが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層の枚数は、これに限られるものではなく、三枚以上であってもよい。ここで、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、更に、二枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。
更に、図1に示すタイヤは、上記ベルト5のタイヤ半径方向外側でベルト5の全体を覆うように配置されたベルト補強層8Aと、該ベルト補強層8Aのタイヤ半径方向外側でベルト5の両端部を覆うように配置された一対のベルト補強層8Bとを備えるが、本発明の空気入りタイヤは、ベルト補強層8A,8Bを有していなくてもよいし、他の構造のベルト補強層を備えることもできる。ここで、ベルト補強層8A,8Bは、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。なお、図中のベルト補強層8Aは二層からなり、ベルト補強層8Bは一層からなるが、ベルト補強層8A,8Bの層数は、これに限られるものではない。
また、図2及び図3に示すタイヤは、発熱促進ゴム層6の配設位置以外は図1に示すタイヤと同じ構造を有し、図4に示すタイヤは、発熱促進ゴム層6を備えない以外は図1に示すタイヤと同じ構造を有する。ここで、図2に示すタイヤの発熱促進ゴム層6は、サイドウォール部2のタイヤ最大幅部におけるカーカス本体部とカーカス折り返し部との間に配置されており、図3に示すタイヤの発熱促進ゴム層6は、カーカス4の本体部の外側において一対のビード部1間に渡って配設されている。なお、本発明の空気入りタイヤの発熱促進ゴム層6は、カーカス4の近傍に位置すればよく、カーカス4の内側でも外側でもよく、また、カーカス4に隣接していることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、上記カーカス4を構成するカーカスプライの少なくとも一枚が、下記式(I)及び式(II):
σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
[式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなることを要する。ここで、該ポリケトン繊維コードを用いたカーカスプライは、例えば、平行に配列された複数のポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することで製造できる。
上記ポリケトン繊維コードは、高温下で収縮して大きな熱収縮応力を発現する一方、室温に戻すと伸長する可逆性を有する。そして、該ポリケトン繊維コードは、高温における熱収縮応力が大きいため、タイヤが高温になる高速走行時において、カーカスの剛性を向上させ、高速耐久性及び高速走行時の操縦安定性を改善することができる。また、上記ポリケトン繊維コードは、熱収縮応力を発現しない低温では、剛性が比較的小さいため、低速走行時にはカーカスの剛性を上昇させることがなく、低速走行時の乗り心地性能及び車内伝達音性能を悪化させることがない。
なお、使用するコードが、上記式(I)の関係を満たさない場合、熱収縮応力σが大きいものの弾性率Eが低いコードを使用すると、高速走行時のタイヤの変形を十分に抑制することができず、タイヤの高速走行時の操縦安定性や高速耐久性が低下し、一方、弾性率Eが高いものの熱収縮応力σが小さいコードを使用すると、低速走行時においてもタイヤの剛性が高いため、タイヤの乗り心地性能及び車内伝達音性能が悪化してしまう。
また、使用するコードが、上記式(II)の関係を満たさない場合、高速走行時の操縦安定性や高速耐久性を十分に向上させることができない。なお、タイヤの高速耐久性及び高速走行時の操縦安定性を更に向上させる観点から、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σは0.3cN/dtex以上であることが好ましく、0.5cN/dtex以上であることが更に好ましい。
また、本発明の空気入りタイヤは、上記カーカス4の近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層6を備えることを要する。ここで、発熱促進ゴム層6の80℃でのtanδが0.20未満では、カーカス周辺部材との80℃でのtanδの差が小さいため、十分に発熱を促進することができない。一方、発熱促進ゴム層6の80℃でのtanδが0.20以上であれば、カーカス4周辺部の発熱が促進されるため、高速走行時において、カーカスプライ中のポリケトン繊維コードの温度が速やかに上昇して高い熱収縮応力を発現する。その結果、高速走行時におけるタイヤの剛性が速やかに上昇して、高速走行時の操縦安定性や高速耐久性を改善することができる。
なお、一般的に、乗用車用タイヤは、タイヤ内部部材の温度が180℃を超えると、接着破壊等に起因するセパレーションが助長され、破壊に至るケースが多い。また、上記ポリケトン繊維コードの熱収縮応力が明確に上昇して剛性が高まる温度は170℃付近であるため、ポリケトン繊維コードの剛性が明確に向上する温度では、タイヤの破壊が進行し得るため、上記ポリケトン繊維コードをカーカスに用いただけでは、高速走行時やシビアな入力を受けた際のタイヤの剛性を確保することが難しい。これに対して、ヒステリシスロスが大きい、即ち、高発熱性の発熱促進ゴム層6をカーカスの周辺に配置することで、タイヤ全体の温度が上昇する前に、カーカスの近傍の温度のみを選択的に上昇させることができ、その結果、ポリケトン繊維コードが高い熱収縮応力を発現して、カーカスの剛性が向上し、タイヤの高速走行時の操縦安定性及び高速耐久性が向上する。
また、近年、新車メーカーからの要求として、高速耐久性や限界走行時の操縦安定性の向上と、不整地走行での乗り心地の向上や荒れた路面走行時の車内伝達音の低減といった二律背反の関係にある性能を確保することが求められている。これに対し、本発明の空気入りタイヤにおいては、カーカス4にポリケトン繊維コードを用いた上、発熱促進ゴム層6をカーカス4近傍にのみ配置することで、100km/h以下の中低速走行時には、タイヤの柔軟性を阻害することなく、120km/h以上の高速走行時には、カーカスの剛性が向上して、トレッド部におけるベルトの迫り出しやサイドウォール部の変形を抑制することができる。そのため、本発明の空気入りタイヤによれば、乗り心地性能及び車内伝達音性能と、高速耐久性及び操縦安定性といった二律背反の関係にある性能を同時に確保することが可能となる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、上記発熱促進ゴム層6の厚さは、3mm以下であることが好ましい。発熱促進ゴム層6の厚さが3mmを超えると、タイヤのケースラインの変化代が大きくなり、操縦安定性が悪化することがある。一方、発熱促進ゴム層6が十分に発熱してカーカス中のポリケトン繊維コードの温度を速やかに上昇させる観点から、発熱促進ゴム層6の厚さは0.5mm以上であることが好ましい。
また、上記発熱促進ゴム層6の幅は、特に制限されないが、発熱促進ゴム層6が十分に発熱してカーカス中のポリケトン繊維コードの温度を速やかに上昇させる観点から、発熱促進ゴム層6の幅は0.5mm以上であることが好ましく、一方、他性能への影響を最小限とする(耐久性や操縦安定性の低下の)観点から、発熱促進ゴム層6の幅は3mm以下であることが好ましい。
上記ポリケトン繊維コードを用いたカーカスプライにおいて、上記ポリケトン繊維コードの打ち込み数は、35〜60(本/50mm)の範囲が好ましい。ポリケトン繊維コードの打ち込み数が35(本/50mm)未満では、カーカスプライの強度が不足して、耐久性が不足することがある。なお、打ち込み数が60(本/50mm)を超えても、打ち込み可能である限り、特に制限されない。
また、上記ポリケトン繊維コードは、繊度が500〜2000dtexのポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせてなることが好ましく、2本又は3本撚り合わせてなることが更に好ましい。ポリケトン繊維コードに用いるフィラメント束の繊度が500dtex未満では、弾性率・熱収縮応力共に不十分であり、2000dtexを超えると、コード径が太くなり、打ち込みを密にできなくなる。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンとしては、下記式(III):
Figure 2006315516

[式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい]で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(III)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6-クロロヘキセン,N-ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 2006315516

[式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である]で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n-ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記ポリケトン繊維コードは、好ましくは、上記ポリケトンからなるフィラメント束を複数本、より好ましくは、2本又は3本撚り合わせて製造することができ、より具体的には、例えば、上記ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いでこれを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。なお、上記ポリケトン繊維コードは、上記ポリケトンからなるフィラメント束1本を撚った、即ち、片撚り構造のコードであってもよく、この場合、上記ポリケトンからなるフィラメント束をひきそろえて、一方の方向に撚りをかけることで、撚糸コードとして得ることができる。
上記のようにして得られたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することで、上記カーカス4のカーカスプライに用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムとしては、特に制限は無く、従来のカーカスプライに用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムによる被覆に先立って、ポリケトン繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
本発明の空気入りタイヤは、カーカス4のカーカスプライの少なくとも1枚として上記ポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなるコード/ゴム複合体を適用した上、更に、カーカス4の近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層6を配置する以外は、常法に従って製造することができる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜5)
コード構造:1670/2(dtex/本)、下撚り数:47(回/10cm)、上撚り数:47(回/10cm)、25℃・49N荷重時の弾性率E:124(cN/dtex)、177℃加熱時の熱収縮応力σ:0.63(cN/dtex)のポリケトン繊維コード(該コードに用いたポリケトンは、ほぼ100%が上記式(III)で表される繰り返し単位からなり、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレンである)を打ち込み数:50(本/50mm)で平行に配列しコーティングゴムで被覆してコード/ゴム複合体を作製し、該コード/ゴム複合体をカーカスプライに用い、更に発熱促進ゴム層6をカーカス近傍に配置して、図1又は図2に示す構造を有するサイズ:225/45R17のタイヤを試作した。表1に、使用した発熱促進ゴム層の幅、厚さ、並びに温度:80℃、周波数:52Hz、歪:1%の条件で測定したtanδを示す。
(比較例1)
発熱促進ゴム層6を有さない以外は、上記実施例と同様の構造(即ち、図4に示す構造)のタイヤを試作した。
(比較例2)
発熱促進ゴム層6として80℃でのtanδが0.15のゴムを配置する以外は、上記実施例と同様の構造のタイヤを試作した。
(比較例3)
発熱促進ゴム層6に代えて、スチールコードをコーティングゴムで被覆して得たスチールコード補強層を配設する以外は、実施例5のタイヤと同様の構造のタイヤを試作した。
次に、得られたタイヤをサイズ:7J×17のリムでリム組みし、下記の方法で高速耐久性及び実車特性を評価した。結果を表1に示す。
(1)高速耐久性
供試タイヤに対して室内ドラム試験を実施し、速度を10km/hづつ上げていき、故障発生時の速度を測定した。また、比較例1のタイヤの故障発生時の速度を基準(±0)として、速度差を求めた。数値がプラスで大きい程、高速耐久性能が向上したことを示す。
(2)実車特性(操縦安定性及び乗り心地)
空気圧を220kPaとした供試タイヤを実車[BMW 328i]に装着し、2名が乗車して、比較例1のタイヤの性能を±0として、ドライバーのフィーリングにより各タイヤの操縦安定性及び乗り心地を相対値で評価した。表1中、+は性能が向上したことを、−は性能が低下したことを示し、数値が大きい程、比較例1のタイヤとの性能差が大きいことを示す。
Figure 2006315516
表1から明らかなように、カーカスプライの補強コードに上記式(I)及び式(II)を満たすポリケトン繊維コードを適用した上、カーカスの近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層6を配置することで、乗り心地を悪化させること無く、高速耐久性及び操縦安定性を向上させることができた。一方、比較例2の結果から、発熱促進ゴム層6の80℃でのtanδが0.20未満では、高速耐久性及び操縦安定性の向上効果が得られないことが分る。
また、実施例5の結果から、発熱促進ゴム層6の厚さが3mmを超えると、操縦安定性が低下するため、発熱促進ゴム層6の厚さは3mm以下であることが好ましい。更に、比較例3の結果から、スチールコード補強層をサイドウォール部に配設した場合、操縦安定性が向上するものの、乗り心地が悪化することが確認された。
本発明の空気入りタイヤの一実施態様の左半分の部分断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の実施態様の左半分の部分断面図である。 本発明の空気入りタイヤのその他の実施態様の左半分の部分断面図である。 従来の空気入りタイヤの一例の左半分の部分断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
5 ベルト
6 発熱促進ゴム層
7 ビードコア
8A,8B ベルト補強層

Claims (7)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部と、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された二枚以上のベルト層からなるベルトとを備える空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカスプライの少なくとも一枚が、下記式(I)及び式(II):
    σ ≧ -0.01×E + 1.2 ・・・ (I)
    σ ≧ 0.02 ・・・ (II)
    [式中、σは、177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり;Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]の条件を満たすポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆してなり、
    更に、前記カーカスの近傍に80℃でのtanδが0.20以上の発熱促進ゴム層を配置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記発熱促進ゴム層の厚さが3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記発熱促進ゴム層が前記ベルトの端部及び前記サイドウォール部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記発熱促進ゴム層が前記ベルトの端部のみに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記発熱促進ゴム層が前記サイドウォール部のみに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σが0.3cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σが0.5cN/dtex以上であることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
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