JP4729682B2 - 金属磁性粉の製造法 - Google Patents

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本発明は、高密度磁気記録媒体、ナノスケール・エレクトロニクス、永久磁石材料、生体分子標識剤、薬剤キャリアなどに用いることのできる金属磁性粉およびその製造方法に
関するものである。本発明の金属磁性粉材料は、実際には後述の一般式〔TX1-X〕によって表される成分の合金粒子からなる。しかし、T=Fe、M=Ptである場合のFe
Pt系合金粒子がその代表例として挙げられるので、本明細書では該材料の粒子を単にFePt粒子、若しくはFePtナノ粒子と呼ぶことがあるが、それらは該材料の例示であ
る。
高密度磁気記録媒体では、記録密度の上昇のために記録単位のサイズ低下が必要であるが、従来のスパッタ薄膜を用いた媒体では、熱ゆらぎや結晶粒子サイズの微細化やバラツ
キ等の問題から高記録密度化の限界に近づいている。このようなことから、最近、高密度磁気記録媒体として、熱ゆらぎの問題がなく、高い異方性を有し且つ大きな保磁力を示す
FePt系の磁性金属ナノ粒子が注目されている。
このような磁性金属ナノ粒子に関して、特許文献1、非特許文献1には、鉄ペンタカルボニルの熱分解反応と、白金(II)アセチルアセトナートの多価アルコール(本明細書中
、多価アルコールをポリオールもしくはポリアルコールと表現している場合があるが、多価アルコール、ポリオール、ポリアルコールはいずれも同義である)による還元作用を同
時に行わせることにより、単分散状態のFePt合金粒子を生成する方法が記載されてい
る。
これらの方法で得られるFePt粒子の結晶構造は、不規則相であるfcc(面心立方晶)構造であるため、ナノオーダーの粒子では常温において超常磁性を示す。したがって
強磁性粒子として使用する場合は、熱処理によってL10規則相(fct(面心正方晶)構
造)に結晶構造転移させる必要がある。
この熱処理は、不規則相から規則相への結晶構造転移温度(Tt)以上で処理する必要があるが、一般に450℃以上の高温で行う。この熱処理の際、熱により粒子同士の合体
による巨大化が起こるために粒度分布の分布幅が広がり、粒子は単磁区と多磁区構造に混在するようになって高密度磁気記録媒体には適さなくなる。したがって、粒子合成直後の
粒径を保存したまま、強磁性を有するFePt粒子を得るためには、粒子同士の合体を防止する保護剤で粒子を被覆することや、何らかの方法によりTtを低下させ、熱処理温度
がより低温で実施できるようにすることが有効である。
非特許文献2には、ポリオール法によるFePt粒子合成の際に、ポリオールとしてテトラエチレングリコール(TEG)を使用し、白金及び鉄アセチルアセトネートを300
℃で還元すると、合成されたままで、fct構造を有するFePtナノ粒子が得られたと
記載されている。
特許第3258295号公報(特開2000-54012号公報) SCIENCE VOL.287, 17 MARCH, 2000, p.1989-1992 Japanese Journal of Applied Physics, Vol.42, No.4A, 1 April, 2003, P.L350-352
特許文献1および非特許文献1の方法 (これらの文献に記載の方法を以下にIBM法と略称することがある) で得られるFePt粒子は、反応直後のものは磁性を持たないfc
c(面心立方晶)構造であり、そのままでは磁気記録媒体用途の磁性粒子として利用することはできない。このため、fct結晶構造転移温度(Tt)以上に加熱処理することに
より、強磁性を発現するfct(面心正方晶)構造に転移させる必要がある。
しかし、該方法で得られるFePt粒子の結晶構造転移温度は450℃程度である。このため、fct構造に転移するには450℃以上の温度での熱処理が必要である。このF
ePt粒子からなる集合体(粉体)をそのまま450℃以上の温度に加熱すると、金属粒子同士が合体して巨大化してしまい、fct構造が得られたとしても、高密度記録媒体の
用途に適したナノ粒子形態とはならないし、粒子同士の合体が一様に進行しないのが普通であるから、粒径分布が発生し、これに伴って磁気特性に大きな分布を生じて、実用上の
問題となる。
加熱によって粒子同士が合体して巨大化するのを防止するには、各粒子が互いに所定の間隔をあけて位置決めされた状態で、例えば基板上に各粒子を所定位置に固定した状態で
、あるいは粒子同士の焼結を防止するための何等かの障壁を設けた状態で、該熱処理を行うことが必要である。しかし、このような熱処理を実現するには、粒子の規則的な配置を
行うための精密技術が必要である。
また、IBM法による製法では、粒子の組成制御が困難であり、例えばFe=50 at.%、Pt=50 at.%のFePt粒子を作成する場合でも、Fe原料をモル量で2倍以上
仕込まなければ作成できず、しかも、合成直後の粒子は、個々の粒子の間で組成のバラツキが大きいことが観察される。例えば後記の比較例1に示すが、IBM法を追試し、得ら
れた粒子について、TEM―EDSにより、個々の粒子の組成分析を実施した結果では粒子間で組成に大きなバラツキが生じた。FePt合金の場合、強磁性体相であるfct規
則構造はPtが35〜55 at.%の範囲内でのことである。したがって、この範囲を外れる組成の粒子が存在していた場合には、いくら熱処理をしても、その粒子はfct規則構
造にならない。またPt35〜55 at.%であっても、粒子間でその組成が変化している
と、磁気特性も変化するので磁気記録媒体としては適さない。
非特許文献2には、合成されたまま状態でfct構造をもつFePtナノ粒子が得られる可能性が示された。しかし、該文献に記載された方法で得られたFePtナノ粒子粉末
は、TEGを用いて300℃で合成する方法のものでも、室温における保磁力Hcは370エルステッド(Oe )に過ぎない。このFePtナノ粒子粉末は、同じくTEG(テト
ラエチレングリコール)を用いて260℃で合成したものに比べると、fct構造を有することが確認されているが、それでも、室温での保磁力Hcが370Oe 程度では、実際
の磁気記録用に適用するには難がある。
また、非特許文献2には、合成されたまま状態でfct構造をもつFePtナノ粒子が得られたとされているが、個々の粒子が均一の組成を有しているとは限らない。実際のと
ころ、非特許文献2では、溶媒兼還元剤であるポリオールに、粒子の原料となる金属塩を溶解させ、その溶液を所定の温度まで一定速度で昇温し、昇温後は所定の温度で保持する
ことによってFePt粒子を析出させたとされている。この方法では、結晶核は経時的に連続して起きることから、各結晶の発生した時期により、反応溶液中の金属イオンのイオ
ン構成比が相違することになり、合成される粒子の各々の径や、粒子内の結晶の大きさにバラツキを生ずることは不可避であり、結果として、個々の粒子の組成も相互に異なる結
果となる。すなわち、たとえfct構造を有していても、粒子の個々は、粉体全体の合金組成(平均組成)よりもPt成分が多かったり少なかったりする。換言すれば、個々の粒
子の組成に分布が現れ、その分布がブロードになる。このため、粒子によっては磁性をもったり、もたなかったり、または、磁性をもっても、強かったり、弱かったりすることに
なる。磁気記録の場合に磁性をもたない粒子がいると、その部分で貴重なデータが記録されない。通常磁気記録での書き込みヘッドでは、ある磁気特性の磁性体に対して書き込み
ができるように調整されているから、磁性が強かった弱かったりしても、情報がうまく記
録されない現象がおきる。
したがって、本発明の課題は、前記の非特許文献2に示されたFePtナノ粒子の製法をさらに改善し、実際の磁気記録用材料に適した均一な組成および磁気特性をもつ粒子か
らなるfct構造のFePtナノ粒子粉体(後記の一般式に従う合金組成の金属磁性粉)
を得ることにある。
本発明者らは、ポリオール法によるFePtナノ粒子の製法において、金属塩をポリオールで還元する反応を適切な結晶核誘発剤の存在下で進行させると、個々の粒子の組成に
バラツキの少ないFePtナノ粒子を得ることができ、磁気記録媒体用材料として好適な
金属磁性粉が得られることがわかった。
すなわち本発明によれば、TをFeとCoの1種または2種、MをPtとPdの1種または2種としたとき、式〔TX1-X〕におけるXが0.3〜0.7の範囲となる組成比
でTとMを含有し、TとM以外の金属元素が(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下(0%を含む)、残部が製造上の不可避的不純物からなる金属磁性粉であって、TE
M観察により測定される平均粒径(DTEM) が50nm以下であり、下記の(1) 式を満たす粒子が100個のうち95個以上であり、且つ下記の(2) 式を満たす金属磁性粉を提供
する。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
1,2,・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
ただし、Xavは、前記の組成式〔TX1-X〕のXの値について、粉体として実測された値 (粒子集合体の平均組成におけるXの値) を表し、X1,2,・・・X100は、当該粉体
のTEM―EDX測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任
意に選んだ100個の粒子について測定された個々の該Xの値を表す。
場合によっては、前記の(1) 式および(2) 式に代えて、下式(1a)および(2a)の条件を同
時に満足することもできる。
0.95Xav≦X1,2,・・・X100≦1.05Xav ・・・(1a)
1,2,・・・X100の標準偏差σ≦15% ・・・(2a)
TとM以外の金属元素は、不規則相から規則相への結晶構造転移温度(Tt)を下げるのに寄与する金属元素例えばAg、Cu、Sb、BiおよびPbの群から選ばれる少なく
とも1種であることができ、また、TとM以外の金属元素は、後述の結晶核誘発剤として機能する金属成分例えばAu、Ru、Rh、OsおよびIrの群から選ばれる少なくとも
1種であることができる。これらのTとM以外の金属元素の総量は(T+M)に対する原
子百分比で30 at.%以下であるのがよい。
この金属磁性粉は 面心正方晶の割合が10〜100% (容積%)、室温での保磁力Hcが100Oe 以上、室温での飽和磁化量σs:20emu/g 以上で且つ流動性を有するこ
とができる。さらに、角形比(残留磁化量/飽和磁化量)の値が0.3以上、SFD値が
1.1以下であることができる。
この金属磁性粉は、好ましくはその粒子と粒子の間に、分子中にアミン基、アミド基、アゾ基、カルボキシル基またはチオール基のいずれかを有する分子量200以上の有機化
合物からなる界面活性剤か、若しくはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤またはアルミネートカップリング剤の少なくとも1種のカップリング剤が単独または併合
して配位させた状態にある。
さらに本発明によれば、TをFeとCoの1種または2種、MをPtとPdの1種または2種としたとき、式〔TX1-X〕におけるXが0.3〜0.7の範囲となる組成比で
TとMを含有し、TとM以外の金属元素が(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下(0%を含む)、残部が製造上の不可避的不純物からなる合金の微粒子からなる金属磁
性粉を製造する方法として、T成分とM成分を含む金属塩を、沸点が150℃以上の多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体からなる液に固形分が残存しない状態にまで溶
解し、その溶液を不活性ガス雰囲気下で150℃以上の温度で該金属塩を該多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体で還元し、この還元によって該合金の微粒子を合成する
こと、そして、この還元を該合金粒子の結晶核誘発剤の存在下で進行させること、さらには、所望により、合成された金属磁性粉を不活性雰囲気もしくは還元雰囲気下で500℃
以下の温度で熱処理すること、を特徴とする金属磁性粉の製造法を提供する。
ここで、使用する結晶核誘発剤は、T成分またはM成分の金属塩ではあるが、前記の還元に供する合金原料の金属塩とは異なる種類の金属塩であることができ、その使用量は式
〔TX1-X〕におけるXが0.3以上で0.7以下となる範囲内の量であって、結晶核誘発剤中のTまたはMが合金原料中のT+Mに対して0.01 at.%以上20 at.%以下
となる量であるのがよい。また、この結晶核誘発剤は、TとMとは異なる金属成分例えばAu、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Irなどの塩であることもできる。その場合の使
用量も、該誘発剤中の金属成分の原子百分比がT+Mに対して0.01 at.%以上20 at.%以下となる量であるのがよい。結晶核誘発剤は好ましくはAu、Ag、Ru、Rh、
Pd、Os、IrまたはPtの少なくとも1種の金属塩である。
金属磁性粉を合成するための還元反応は大気圧を超える圧力下で進行させるのが好ましい。また、還元によって合成された金属磁性粉を不活性雰囲気もしくは還元雰囲気下で5
00℃以下の温度で熱処理場合には、合成された金属磁性粉の表面を界面活性剤またはカップリング剤で処理してから熱処理するのが好ましい。そのさい、使用した界面活性剤ま
たはカップリング剤の分解温度±100℃の温度範囲で予備熱処理したあとで、この熱処
理を施すこともできる。
本発明に従う製造法によると、前記の式(1) および(2) に示した条件を満たした、粒子間で組成のバラツキのない前記の金属磁性粉を有利に製造することができる。また、本発
明に従う製造法によると、一次粒子の平均粒径が50nm以下、X線結晶粒径(Dx)が8nm以上、飽和磁化が40emu/g 以上、保磁力が2000Oe 以上の金属磁性粉を得るこ
とができる。
本発明者は、非特許文献2に記載されたようなポリオール法によるFePtナノ粒子の合成において、その還元反応を、結晶核誘発剤の存在下で実施すると、合成されるFeP
tナノ粒子の個々の組成のバラツキが小さくなることが見い出した。すなわち、沸点が150℃以上の多価アルコール類を使用し、不活性ガス雰囲気下で反応温度を150℃以上
として該多価アルコール中のFeイオンおよびPtイオンを還流下で還元するさいに、結晶核誘発剤の存在下で且つ昇温速度を適正に制御した条件で還元を進行させると、個々の
粒子の組成のバラツキが小さく且つ結晶性の良好な磁気記録用途に適したfct構造のFePt粒子粉末を直接的に合成できることを見い出した。以下に本発明で特定する事項に
ついて説明する。
〔磁性合金の成分組成と組織〕
本発明の磁性粉は、少なくともFeおよび/またはCoと、Ptおよび/またはPdを含む磁性合金からなり、面心正方晶(fct:L10規則相)の割合が10〜100%の範
囲にある金属組織を有する磁性体からなる。
その合金組成は、TをFeとCoの1種または2種、MをPtとPdの1種または2種としたとき、式〔TX1-X〕におけるXが0.3〜0.7の範囲となる組成比でTとM
を含有し、TとM以外の金属元素が(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下(0%を含む)で残部が製造上の不可避的不純物からなる。式〔TX1-X〕におけるXの値
については、面心正方晶を形成する組成としてはX=0. 5が理想的であるが、X:0.
3〜0. 7の範囲でも面心正方晶が10〜100%の金属組織を得ることができる。TとM以外の金属元素は、相転移に影響を与える金属元素(Z成分という)と、結晶核誘発剤
として使用する金属元素(N成分という)とがあり、これらZ成分とN成分を合計で(T+M)に対する原子百分比で30 at.%以下の量で含有できる。しかし、20 at.%以下
の量で、さらには10 at.%以下で含有することもでき、場合によっては含有しないこと
もある。
Z成分において相転移に影響を与えるとは、ポリオール法によるFePt粒子合成の際にfcc構造からfct構造への結晶構造転移温度(Tt) を低下させる作用を有するこ
とを意味する。具体的には、そのZ塩を添加しておくと、金属に還元されたさいにそのZ金属が結晶粒界または粒界に偏析して、前記の作用を示すようなものである。このような
作用を有する金属元素としてはAg、Cu、Sb、Bi、Pbなどがある。Z成分に関しては、その塩がポリオールで還元されることが重要である。Z成分の含有量はTとMの合
計量に対して30 at.%未満であるのがよい。Z/(T+M)の原子百分比が30 at.%以上であると、Z成分が多くなりすぎてfct構造の発現を阻害するため、磁気特性の急
激な悪化が起きるので好ましくない。なお、Z成分は必須ではなく、Z成分無添加でもf
ct構造が得られる場合には、Z成分は含有しなくてもよい。
N成分は、本合金製造時に用いた結晶核誘発剤由来のT、M、Z以外の残留金属元素である。N成分の含有量はTとMの合計量に対して20 at.%以下であるのがよい。N/(
T+M)の原子百分比が20 at.%を超えると、N成分が多くなりすぎてfct構造の発現を阻害するため、磁気特性の急激な悪化が起きるのでこのましくない。本合金製造時に
用いる結晶核誘発剤としては、N成分がT、M、Zの金属元素と同じ場合もあり得る。この場合は、T、M、Z以外のN成分を含まなくてもよい。しかし、結晶核誘発剤がT、M
、Zの金属元素と同じ場合は、主構成元素であるT、Mや、結晶構造転移温度低減元素であるZとは、異なる金属塩を用いる必要がある。そのほか、本発明の合金製造時に不可避
的に混入する不純物等については、特性に大きな影響を与えない限りその含有が許容され
る。
本発明に従う金属磁性粉は、各粒子が50nm以下の微粒子であっても、各粒子の合金組成が非常に均斉である点に特徴がある。以下に、本発明の合金粒子を説明を簡便にする
ためにT=Fe、M=Ptである場合のFePt粒子を例として説明するが、Feに代えてCoを、或いはCoに代えてPdを用いた合金の場合も全く同様である。FePt粒子
の1個1個の組成分析はTEM−EDXで実施することができる。
TEM(透過電子顕微鏡)においてナノブローブ電子線を用いたエネルギー分散型X線分光法(EDX)は測定範囲を1〜2nmに絞ることができる。このため、測定対象とす
るFePtナノ粒子が個々に分散して互いに離れた位置にあれば各粒子ごとの組成分析が可能である。このようTEM−EDXの測定装置として、例えば日立社製透過電子顕微鏡
(Transmisson Electron Microscope :HF−2000:加速電圧200kV)やTEM―EDX(NORAN Instruments社製 VANTAGE)がある。なお、これまでTE
M−EDSとして使用されている用語も本明細書ではTEM−EDXに含まれるものとし
て取り扱う。
本発明に従う金属磁性粉の粉末として平均組成は、粉末を酸により完全に溶解したものをICP測定に供すればよい。本発明によると、粉末としての平均組成と各粒子の個々の
組成との間に式(1) と式(2) の関係を実質上満足した金属磁性粉を提供する。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
1,2,・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
avは、組成式〔TX1-X〕のXの値について、粉体として実測された値 (粒子集合体の平均組成におけるXの値) であり、X1,2,・・・X100は、当該粉体のTEM―ED
X測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任意に選んだ100個の粒子について測定された個々の該Xの値を表す。(1) 式を実質上満足することは、
該100個の個々の粒子のX成分が、集合体(粉体)のX成分の平均値に対して±10%の範囲内に収まっていることを意味している。ただし100個のうち5個以下の粒子がこ
の条件を外れても磁気記録用等の用途において許容できる。このことを「(1) 式を満たす粒子が100個のうち95個以上である」と定義している。(2) 式を満たすことは、該1
00個の個々の粒子のX成分値のバラツキの指標となる標準偏差σが20%の範囲に収ま
っていることを意味している。
図1にFeとPtの二元系平衡状態図を示した。図1に見られるように、組成が異なるとfcc→fct構造への転移温度が変化することがわかる。したがって、粒子個々の組
成が異なっていると、同一の温度で熱処理を実施しても、ある粒子はfct構造へ相変化するが、ある粒子は相変化しない(或いは部分的にしか相変化しない)といった現象が起
き、粒子ごとに磁気特性が異なることになる。最悪の場合は、粉体の平均組成ではPtが35〜55at% の範囲(図1のFePtの範囲)にあっても、或る粒子ではPtの含有量
がこの範囲を外れることもあり得る。この場合には、いくら熱をかけてもその粒子はfct構造に相変化しなくなる。磁気記録用途では、このような粒子ごとの磁気特性の変動は
、書き込み不良やデータの消失がおきるため、致命的な問題となる。
最近のハードディスクでは、磁気記録の高密度化に伴って、記録ビットの寸法が、トラック方向も含め、極端に微小化している。この微小化は、今日では薄膜磁気記録媒体を構
成する結晶粒の寸法に近づいている。例えば、記録ビットの占有面積は10Gbit/in2では0.063μm2、50Gbit/in2では0.013μm2、100Gbit/in2では0.
0063μm2となり、磁性膜の平均結晶粒径を15nmとすると、1ビットに含まれる結晶粒の数はそれぞれ、278個、56個、28個程度になる(「記録・メモリ材料ハン
ドブック」、逢坂哲彌・山崎陽太郎・石原宏編参照)。このように磁気記録が高密度化されてゆく程、粒子1つ1つの特性の均一性が重要になる。例えば100Gbit/in2で考え
ると、28個の磁性粒子のうち1個の粒子が非磁性であると、その記録ビットの信号出力は3.6%小さくなってしまう。かりに28個中3個の磁性粒子が非磁性であると出力が
10.7%も低下してしまう。このような出力の変動は、データのエラーレートの上昇、書き込み不良やデータの消失などが起き、高記録密度磁気記録媒体にとっては好ましくな
い。
FePt粒子の場合、FeとPtの比で考えるとFeが45〜65at%(Ptでは35〜55at%)以外では、強磁性を発現するfct 構造にならない。このため、個々の粒
子の磁気特性を均一にするには、まず、個々の粒子の組成がこの範囲で均一なければならないが、その組成がたとえfct構造を発現する範囲内であっても、実際には個々の粒子
のfct 構造の割合が異なることもある。個々の粒子のfct 構造割合が異なっていると、個々の粒子の磁気特性にバラツキを生じてしまう。また仮に、すべての粒子がfct 構造単相
になっていたとしても、FeとPtの含有割合が異なると、今度は飽和磁化等が異なってくる。結局、どのような場合を想定しても、個々の粒子の組成のバラツキは、個々の磁気
特性のバラツキにつながる。よって、個々の粒子の組成を均一にすることは、高記録密度磁気記録用には必須の要件であると言える。だが、FePtナノ粒子において個々の粒子
の組成が均一な合金粒子を得るのは従来の技術では極めて困難である。本発明によれば、ポリオール法でFePtナノ粒子の合金を合成する場合に結晶核誘発剤を用いて適正に還
元反応を制御すると、これが実現できることが判明し、前記の(1) 式を実質上満足し且つ
(2) 式を満たすFePtナノ粒子粉末が提供される。
〔面心正方晶の割合〕
本発明に従うFePt粒子粉末は、メスバウワー分光法で計測される強磁性構造の割合(面心正方晶の割合)が10〜100%の範囲にある。一般に、金属組織中における或る
金属相の割合(その結晶構造の割合)は、X線回折のピーク強度の比較によって行われる場合が多い。しかし、本発明が対象とするFePt合金などでは、fcc構造(面心立方
晶)とfct構造(面心正方晶)のX線回折パターンが殆ど同じであり、またfct構造のみから得られる(001)と(110)の反射は強度が非常に弱いので、これらのピー
クだけで定量化を行うことは困難である。
しかし、メスバウワー分光法で計測されるFePt合金についての強磁性構造の割合を解析することによって、そのfct構造の割合を算出することができる。そこで本発明に
おいては、FePt粒子のfct構造の割合については、Fe原子のメスバウアー分光測定による強磁性構造の割合の解析によって、すなわち、Fe原子のメスバウアー分光測定
による磁気秩序下にあるFe原子の個数割合を求めることによって、これをfct構造の
割合とする。
fct構造すなわち面心正方晶の割合(容積%)が10vol.%未満では磁気異方性が小さくなり、磁気記録材料として必要な保磁力、および熱安定性が得られなくなる。磁気異
方性が大き過ぎる場合には保磁力が大きくなりすぎるため、磁気記録媒体用途に用いることが困難になることもあるが、強力な永久磁石用途にはfct構造が100%の場合には
好適である。なお、磁気記録材料としては、あまりに保磁力が高すぎと、書き込みヘッドの書き込み磁界では、書き込み不可能の場合がある。そのときは、fct構造の割合を調
整し、この書き込みができかつ十分な保磁力を示すようにすればよい。他方、熱アシスト磁気記録にように、いったん媒体をキュリー点以上にしてから書き込み磁気記録方式もあ
るが、このような方式の場合は、fct構造が100%であっても問題ない。本発明の金属磁性粉の面心正方晶(fct)の割合は10〜100vol.%であるので、そして、各粒
子においてfctの割合のバラツキも少ないので、このような要求を十分に満足すること
ができる。
〔粒径〕
本発明に従うFePt粒子粉末は、透過電子顕微鏡(TEM)観察による1次粒子の粒径の平均値が50nm以下、好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下で
ある。1次粒子はそれ以上には分けられない最小単位の粒子を言う。本発明に従って合成されたfct構造をもつFePt粒子粉末は、該合金の粒子が合成され且つ粉末として回
収された段階では、1次粒子の粒子間に静磁場作用が働くことから、多数の1次粒子が群をなして存在することが多い。すなわち、多数の1次粒子が集まって一つの群をなし、こ
の群の多数が分散した状態に成りやすい。多数の1次粒子からなる一つの群を2次粒子と言う。この2次粒子の粒径は合成反応の条件によって様々であるが、約100μm程度に
なる場合もある。しかし、このような2次粒子が形成されていても、全体として流動性を
有する粉体を構成している。
本発明者は、合成された直後の2次粒子が存在する状態は、適正な処理により1次粒子が分散した状態に状態変化させることができることがわかった。具体的には適正な界面活
性剤等の分散剤の存在下で超音波ホモジナイザー等の分散処理を施すと、一次粒子が互いに所定の間隔をあけて分散した状態とすることができる。この方法については同一発明者
による特願2003−282657号の明細書および図面に記載した。この方法は、本発明でも適用することができ、例えば一次粒子の平均粒径の測定に際しては、この方法によ
る分散処理を実施した上で、TEM観察での計測を行うことができる。FePt粒子粉末を磁気記録に用いる場合、その粒子の粒径が記録密度と密接に関係する。一般に、粒径が
小さいほど、記録密度を高めることができる。本発明に従うFePt粒子粉末はTEM観察による1次粒子の粒径の平均値が50nm以下、好ましくは30nm以下、さらに好ま
しくは20nm以下であり、この点でも磁気記録用に適する。
〔X線結晶粒径(Dx)〕
本発明に従うFePt粒子粉末は、好ましくは結晶粒子径Dが4.0nm以上である。さらに好ましくは5.0nm以上、一層に好ましくは6.0nm以上である。本発明に従
うFePt粒子の結晶粒子径はX線回折結果から Scherrer の式を用いて求めることができる。このため、結晶粒子径は本明細書ではX線結晶粒径(Dx)と呼ぶ。その求め方は
、次のとおりである。
Scherrer の式は、次の一般式で表現される。
D=K・λ/β COSθ
式中、K:Scherrer定数、D:結晶粒子径、λ:測定X線波長、β:X線回折で得られた
ピークの半価幅、θ:回折線のブラッグ角をそれぞれ表す。
Kは0.94の値を採用しX線の管球はCuを用いると前式は次のように書き換えられる。
D=0.94×1.5405/β COSθ
この式でDを求める場合, FePt系の合金粒子のピークについては41°付近に観察される(111) のものを採用できる。他の成分系の合金粒子については、近接するピークと分
離可能な十分に大きなピークを採用すればよい。
FePt粒子の磁気異方性の起源は結晶構造に由来し、一般に、結晶磁気異方性といわれる。この結晶磁気異方性の強さはその粒子の結晶性ひいては結晶粒子径の大きさによっ
て決まる。FePt粒子におけるfct構造の結晶磁気異方性に関しては、X線結晶粒径(Dx)が小さすぎると、熱によるスピンの擾乱の効果が顕著になり出し、磁化を持たな
い状態の超常磁性になる。そのため、X線結晶粒径(Dx)は、或る一定以上の大きさを有することが必要である。本発明者はFePt粒子のX線結晶粒径(Dx)が制御可能で
あることを見い出し、さらにX線結晶粒径(Dx)と磁気特性との関係を調らべた結果、X線結晶粒径(Dx)が4.0nm以上、好ましくは5.0nm以上、さらに好ましくは
、6.0nm以上とすることによって、良好な磁気特性を有するFePt粒子粉末が得られることがわかった。すなわちX線結晶粒径(Dx)が4.0nmより大きくなると、そ
れにつれて保磁力が高くなり、またX線結晶粒径(Dx)が4.0nmより大きくなると
、それにつれて飽和磁化値(σs)も高くなることがわかった。
〔磁気特性〕
本発明に従うFePt粒子粉末はfct構造を有し且つ粒子個々の組成と組織にバラツキがなく、しかもX線結晶粒径(Dx)が4.0nm以上を有することから、室温での保
磁力Hcが100Oe 以上、好ましくは1000Oe 以上、さらに好ましくは1500Oe 以上を有する。磁気記録用途においては、保磁力Hcは1000Oe 以上であるのが好
適である。
本発明に従う磁性粉の飽和磁化量σsは20emu/g 以上、好ましくは30emu/g 以上、さらに好ましくは40emu/g 以上である。永久磁石や磁性流体でも、磁性粉の磁力が弱す
ぎるとモーターの駆動力が弱くなったり軸シールの耐圧が小さくなって好ましいことではない。本発明の磁性粉は20emu/g 以上のσs値を有することから、これらの用途に好適
である。生体分子標識剤や薬剤キャリヤーではσsが20emu/g 未満では生体外からの検出が困難になるが、本発明の磁性粉はそのようなことがなく、これらの用途にも好適に適
用できる。磁気記録用の磁性粉では飽和磁化量σsが30emu/g 未満では書き込んだ情報が弱すぎて高感度ヘッドでも読み取りができない場合がある。本発明に従うFePt粒子
粉末はX線結晶粒径(Dx)が3nm以上になると飽和磁化量σs が30emu/g 以上にな
る。
本発明に従う磁性粉の角形比SQ(残留磁化/飽和磁化)は0.30以上、好ましくは0.40以上である。また本発明に従う磁性粉のSFDは1.1以下、好ましくは1.0
以下である。このようにSQが大きくSFDが小さいことは粒子個々の磁気特性にバラツキが少ないことを意味している。このことは、前記のいずれの用途にも本発明の磁性粉が
適していることを意味する。
磁気特性の測定は次のようにして行うことができる。合成反応終了後の液に3倍量のメタノールを添加したあと遠心分離器にかけ、上澄み液を取り除く。上澄み液を除いたあと
の残留分(粒子粉末)にメタノール100mLを添加して超音波洗浄槽に装填し、この超音波洗浄槽で該粒子粉末を分散させ、得られた分散液を遠心分離器にかけたあと上澄み液
を取り除く。得られた残留分(粒子粉末)を同じくメタノールを加えて超音波洗浄槽および遠心分離器で処理する洗浄操作を、さらに2回繰り返す。最後に上澄み液を分別して得
られたFePtナノ粒子粉末含有物を真空乾燥機で十分に乾燥する。この乾燥粉をカプセルに詰め、測定中サンプルが動かないように、接着剤で十分に固定し、振動試料型磁力計
(VSM)を用いて測定する。試料をカプセルに詰めるときには特別に磁化方向を配向さ
せる操作等は行わない。
本発明の磁性粉は前記のように合成されたままの状態で優れた磁気特性を有するので、このまま磁気記録媒体用の磁性粉として適用が可能である。また、熱処理を施す場合にあ
ってもその簡略化ができる。そのため、熱処理に伴う粒子間の固着が防止できるので、流
動性を有する粉末の状態で採取できる。
〔製造法〕
本発明に従う金属磁性粉の製造法は、T成分とM成分を含む金属塩を、沸点が150℃以上の多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体からなる液に固形分が残存しない状
態にまで溶解し、その溶液を不活性ガス雰囲気下で150℃以上の温度で該金属塩を該多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体で還元し、この還元によって該合金の微粒子
を合成すること、この還元を該合金粒子の結晶核誘発剤の存在下で進行させること、場合によってはさらに、この合成された金属磁性粉を不活性雰囲気もしくは還元雰囲気下で5
00℃以下の温度で熱処理すること、を特徴とする。
ここで、使用する結晶核誘発剤は、前記したように金属成分Nの塩である。N成分はT成分またはM成分と一致してもよいし、一致しなくてもよい。一致する場合には、その塩
は一致しないようにする。すなわち、還元に供する合金原料のT成分またはM成分の金属塩とは種類の異なる金属塩(ただし、多価アルコールに溶解可能な塩)を結晶核誘発剤と
して用いる。一致しない場合には、そのN成分としては例えばAu、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir等が挙げられ、その塩としては多価アルコール溶解可能な塩を用いる。
結晶核誘発剤の使用量は、NがTまたはMと異なる場合にはN/(T+M)の原子百分比が0.01〜20 at.%の範囲で使用するのがよい。NがTまたはMと一致する場合には
、式〔TX1-X〕におけるXが0.3以上で0.7以下となる範囲内の量で使用することになるが、結晶核誘発剤中のTまたはMは合金原料中のT+Mに対して0.01以上、
20 at.%以下であるのがよい。結晶核誘発剤の使用量がT+Mに対して0.01at% 未満では粒子個々の組成のバラツキ低減や反応の再現性改善に効果が見られず、また20at
% を超える添加では、結晶成長を阻害するなどの害の方が大きく現れるようになるので好
ましくない。
本発明法は、T成分とM成分を含む金属塩を、沸点が150℃以上の多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体からなる液に固形分が残存しない状態にまで溶解し、さらに
前記のような結晶核誘発剤としてのN成分の金属塩を、N/(T+M)の原子百分比が0.01〜20 at.%の量で、添加して溶解する。また、場合によってはさらに前記したZ
成分の金属塩(相転移に影響を与える金属元素Zの塩)を必要量添加して溶解する。Z成分の金属塩もZ/(T+M)の原子百分比が30 at.%未満(0 at.%を含む)の量で添
加するのがよい。
結晶核誘発剤の使用にあたっては、多価アルコール類にT成分とM成分を溶解した原料溶液に対して結晶核誘発剤を添加するのが実際的である。その添加タイミングとしては、
原料溶液の温度が150℃以下であることが望ましい。150℃を超えていると、例えばFePt粒子の主原料としての鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (II) アセチル
アセトナートの一部が還元されて金属の結晶核がすでに発生している可能性があり、その状態で結晶核誘発剤を添加することは2次結晶核を誘発し、その結果、粒子個々の組成の
均一性等の粒子の均質化には寄与しない。
多価アルコール類にT成分とM成分を溶解した原料溶液にさらに結晶核誘発剤を溶解させ、この液をN2、Ar、He等の不活性ガスの雰囲気下で150℃以上、好ましくは2
70℃以上にまで昇温するさいに、結晶核誘発剤としてのN成分の金属イオンが、150℃以下好ましくは100℃以下で液中のポリオールによって金属に還元されることが望ま
しい。このため、結晶核誘発剤を金属塩として添加する場合は、150℃以下の温度で当該ポリオールによってで還元されるような金属塩を選ぶ必要がある。Au、Ag、Ru、
Rh、Pd、Os、Ir、Ptらの塩化物、硝酸塩、硫酸塩等はこのような条件で還元されやすいので本発明の結晶核誘発剤として好適である。塩化物としては、例えば塩化金、
塩化パラジウム、塩化白金酸が挙げられる。これらは、ポリオール法では100℃に達する前に金属に還元されるものがある。しかし、150℃以下では還元され難い金属塩であ
っても、それをポリオールに溶解して150℃を超える温度でいったん金属に還元し、この還元された金属を結晶核として懸濁したポリオールを結晶核誘発剤として使用すること
もできる。この場合も、T成分とM成分を溶解した原料溶液に対しては、150℃以下の
温度で添加するのが望ましい。
いずれにしても、T成分とM成分を溶解した原料溶液に対して結晶核誘発剤を添加するさいには、還元が起きないような低温で添加して完全に溶解させるか、還元が起きる温度
で添加する場合には一挙に添加するのがよい。連続的な添加や回分的な添加など時間をかけて添加する方法は好ましくない。なぜなら、その添加時の温度にもよるが、先に添加し
た結晶核誘発剤から発生した結晶核の成長と、後に添加した結晶核誘発剤からの新たな核
発生とが併存して、粒子個々の組成のバラツキを起こす原因になるからである。
強磁性のFePt粒子を得るためには、結晶構造をfct 構造にする必要があるが、本発明ではこのfct 構造を発現させるべく、ポリオールによる還元反応の反応温度を150℃
以上、好ましくは270℃以上の高温に維持する。
150℃以上の反応温度では十分にfct 構造を発現できない場合には、その還元反応で合成された当該金属磁性粉をさらに不活性雰囲気または還元雰囲気において、合成温度以
上、500℃以下の温度で熱処理することによって、十分にfct 構造を発現した金属磁性
粉を得ることができる。
本発明者は、ポリオール法によるFePt粒子粉末の合成試験を数多く試みたが、結晶核誘発剤の使用の有無が粒子間組成のバラツキ低減のためのキーポイントになることを突
き止めることができた。結晶核誘発剤がN/(T+M)の原子百分比で0.01at% 未満
では粒子個々の組成のバラツキ低減や反応の再現性改善に効果が見られず、また20at%
を超える添加では、結晶成長を阻害するなどの害の方が大きく現れるようになるので好ましくない。いずれにしても、結晶核誘発剤はポリオール法による還元反応によって還元さ
れやすい金属塩でなければ、結晶核誘発剤として機能しにくいことがわかった。具体的には、結晶核誘発剤の金属成分(N成分)は、その金属イオンの標準電極電位がAg以上の
値を有するものであるのが好ましい。その代表的なN成分例として、Au、Ag、Ru、
Rh、Pd、Os、IrまたはPtなどが挙げられる。
本発明法で使用する多価アルコールとしては、エチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコールが好ましい。しかし、これに限らず、沸点が15
0℃以上の多価アルコールまたはその誘導体であれば、本発明で使用できる。また150℃以上の多価アルコールまたはその誘導体は1種のみでなく2種以上を混合して使用する
こともできる。多価アルコール中に溶存させる金属の原料は金属錯体であることが好ましく、さらに好ましくはアセチルアセトナート錯体がよい。FePt粒子の場合は、Feお
よびPtは、鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (II) アセチルアセトナートによって供給するのがよい。実際には、これらの鉄(III) アセチルアセトナートおよび白金 (
II) アセチルアセトナートを多価アルコールに完全に溶解したあと、結晶核誘発剤を完全に溶解させる。これらの固形分が残存しない状態にまで溶解したあと、昇温し加圧下で還
元反応を進行させるのがよい。固形分が残存していると、合成されるFePt粒子粉末には個々の粒子内においても、また粒子相互の間でも、組成のバラツキが発生し、高い保磁
力をもつFePt粒子粉末を得ることが困難になる。
このように、結晶核誘発剤を適正に使用すると、合成されるFePt粒子は粒子個々の間での組成の分布がシャープになり、均一組成の粒子からなるFePt粒子粉末を製造す
ることができる。すなわち、結晶核誘発剤の使用により、均一な核結晶の発生の時期を制御することができ、その結果、生成される粒子の組成分布、磁気特性、結晶粒径、粒子径
などの諸特性の分布がシャープになり、均一な粒子を作成できることがわかった。
結晶核誘発剤の導入により、粒子個々の間の組成の均一性が改善された明確な理由については必ずしも明確ではないが、およそ次のように考えられる。結晶核誘発剤が存在しな
い場合は、昇温工程中での核発生段階と結晶成長段階との分離ができていないため、核結晶が一度発生したあとも、2 次核の発生等が起き、その結果、粒子径や結晶粒径の分布が
ブロードになる。また、結晶核誘発剤が存在しない場合には、FePt粒子では還元されやすいPtが単独で還元されてFeとうまく合金化されずにいるか、または組成がずれた
合金が合成されるのではないかと考えられる。これに対して、結晶核誘発剤を導入すると、昇温工程中での核発生段階と結晶成長段階が分離される結果、一定の粒径や結晶粒径の
ものが生成すると同時に、ほぼ同時に発生した無数の核からFeとPtの一定組成の合金
が成長するものと考えられる。
還元反応に至るまでの昇温速度は、他の条件が同一の場合には結晶粒子径を制御することができる重要なパラメータとなることがわかった。すなわち、この反応温度に至るまで
の昇温速度を操作すると、合成されるFePtナノ粒子のX線結晶粒径(Dx)が変化することがわかった。具体的には、X線結晶粒径(Dx)が4nm以上のFePtナノ粒子
粉末を得るには、前記の圧力および温度条件において、昇温速度を0.2〜20℃/分の範囲、好ましくは1〜20℃/分の範囲で調節するのがよく、この範囲を外れる昇温速度
を採用した場合には、X線結晶粒径(Dx)が4nm以上のものを安定して得ることが困難となる。また、昇温速度が0.2℃/分より遅いと生産性の観点からも好ましくない。本
発明で言う昇温速度とは厳密には50℃から150℃に至るまでの平均昇温速度(℃/分)である。実際には、最終目標とする反応温度に近づいた時点では、例えば最終目標温度
より20℃ほど低い温度付近にまで達したら、実際の温度が目標の反応温度を超えてしま
わないように、昇温速度を落としてゆっくりと目標温度まで昇温するのが好ましい。
FePt粒子の合成反応において、その反応速度を適正に制御することも重要である。そのための方法として溶媒中の金属濃度を制御することができる。すなわち金属原料の濃
度を抑えることにより、生成する金属の過飽和度を低下させ、核発生および粒子成長の速度を低下させることができる。ポリオールと金属塩中に含まれる全ての金属イオンのモル
比、すなわち、ポリオール/全金属イオンのモル比が100以上であれば、本発明に従う
FePt粒子を有利に製造することができる。
この合成反応において、反応溶液に分散剤を含有させておくこともできるし、反応後のスラリーに分散剤を添加することもできる。分散剤は合成された粒子表面に吸着して粒子
同士の凝集を抑制するのに有効である。また、分散剤の種類と添加量を適切にすることによって、合成されるFePt粒子の粒径を制御することも可能である。使用できる分散剤
としては、FePt粒子粉末表面に吸着しやすいN原子を有するアミン基、アミド基、およびアゾ基を有する界面活性剤か、またチオール基またはカルボキシル基のいずれかを構
造中に含有する有機化合物が好適である。これらの官能基をもつ界面活性剤は、FePt粒子等の金属表面に直接配位できるため、本発明に従うFePt粒子に用いる界面活性剤
として好適である。
また、上記の界面活性剤や有機分子以外のほかにも、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤を使用することもで
きる。これらのカップリング剤を粒子表面に吸着させた場合は、加水分解等により、金属粒子表面にSi酸化物、Ti酸化物、Al酸化物層を形成するので熱処理時の焼結防止効
果を奏することができ、このため気相で熱処理を実施しても、粒子同士の焼結のないfct
規則格子構造の磁性粉を得ることができる。同様に、合成されたFePt粒子をさらに熱処理して十分なfct 構造とする場合には、前記の界面活性剤や有機化合物でFePt粒子
を単分散させた状態で熱処理することもできる。熱処理温度は、一般に合成温度以上50
0℃以下とすればよい。
当該合成反応で得られるFePt粒子の異方性磁界Hkは、反応時間によっても変化する。一般に、反応時間の増加に伴ってHkが増加する。このため、充分大きなHkを得る
ためには反応時間は1時間以上、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3. 5時間以
上とするのがよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。
テトラエチレングリコール(沸点:327℃)2 00mLに、鉄(III) アセチルアセトナート=1.37m mol/Lと白金 (II) アセチルアセトナートを1.21m mol/Lを
添加し、鉄(III) アセチルアセトナートと白金 (II) アセチルアセトナートの固形分が存在しなくなるまで溶解した。その後、結晶核誘発剤として、H2PtCl6・6H2Oを
0.0005m mol(結晶核誘発剤/全添加金属=1a t%に相当)添加した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを4
00mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を160rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、300℃の温度で5時間の還流を行って、反応を終了した。そのさい、昇温速度
は10℃/min とした。
反応終了後の液に3倍量のメタノールを添加したうえで遠心分離器にかけ、その後、上澄み液を取り除いた。上澄み液を除いたあとの残留分(粒子粉末)に再びメタノール10
0mLを添加して超音波洗浄槽に装填し、この超音波洗浄槽で該粒子粉末を分散させた。得られた分散液を遠心分離器にかけたあと上澄み液を取り除いた。得られた残留分(粒子
粉末)に対し、前記同様のメタノールを加えて超音波洗浄槽および遠心分離器で処理する洗浄操作を、さらに2回繰り返した。最後に上澄み液を分別して得られたFePtナノ粒
子粉末含有物を、X線回折(XRD)、組成分析および磁気測定(VSM)に供し、下記の結果を得た。なお、TEM観察にさいしては、FePt粒子粒子粉末含有物をヘキサン
中に入れ、界面活性剤としてオレイン酸とオレイルアミンを添加したうえ、超音波分散処
理して得られた分散液の状態で測定に供した。
透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は8.4nmであった。X線回折ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピ
ークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。Fe原子のメスバウワー分光測定によるfct構造の割合の解析結果、fct構造の体積割合は59%であった。X線結晶粒径(D
x)は9.5nmであった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=52:48であった。すなわち、Xav=52.0
at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析
の結果、標準偏差σは10%であり、下記の(1) 式を満足しない粒子は2個であった。
0.90Xav≦X1,2,・・・X100≦1.10Xav ・・・(1)
磁気測定では、保磁力=1915Oe 、飽和磁化量σs =54emu/g 、SQ=0.60
、SFD=0.91であった。
〔比較例1〕
本例は、特許文献1および非特許文献1を参考にして試験を行ったものである。
還流器付きのセパラブルフラスコにおいて20mLのジオクチルエーテル(dioctylether)に、1,2 ヘキサデカンジオール(1,2 hexadecanediol) を1.5mmol と、Pt(aca
c)2を0.5mmol 添加し、ガラス攪拌羽根で攪拌しながらN2ガスバブリングを行った。ついで100℃に加熱して30分保持した後、オレイン酸0.5mmol とオレイルアミ
ン0.5mmol 添加し、さらにFe(Co)5 を1mmol 添加した。次いで297℃まで昇温して30分間の還流を行い、その後は室温まで冷却し、エタノール40mL添加した
うえ遠心分離を行い、得られたFePt粒子粉末含有物質をヘキサンに分散させ、実施例
1と同様の測定に供した。
その結果、TEM観察による粒径は3.7nmであり、X線回折の結果ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークは観察されず、fc
c構造に由来するピークのみであり、メスバウワー測定でのfct構造の割合は0%であ
った。X線結晶粒径(Dx)は2.1nmであった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=50.5:49.5であった。すなわち、Xav
50.5 at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは22%であり、前記の(1) 式を満足しない粒子は9個であ
った。磁気測定では、保磁力=2Oe 、飽和磁化量σs =0.02emu/g であった。
〔比較例2〕
結晶核誘発剤を添加しなかった以外は実施例1を繰り返した。得られたFePt粒子粉末含有物質を実施例1と同様の測定に供した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から
観測された1次粒子の平均粒径は8.4nmであり、X線結晶粒径(Dx)は5.3nmであった。X線回折ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応
する回折ピークはごく僅かに観測される程度であり、Fe原子のメスバウワー分光測定に
よるfct構造の割合の解析結果、fct構造の体積割合は16%であった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=51.8:48.2であった。すなわち、Xav
51.8 at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは21%であり、前記(1) 式を満足しない粒子は6個であっ
た。磁気測定では、保磁力=182Oe 、飽和磁化量σs =39emu/g 、SQ=0.17
、SFD=1.09であった。
〔比較例3〕
本例は、非特許文献2を参考にしたものであり、結晶核誘発剤は添加していない。
テトラエチレングリコール100mLに、鉄(III) アセチルアセトナート=2.539
m mol/Lと白金 (II) アセチルアセトナートを1.269m mol/L添加し、鉄(III)
アセチルアセトナートと白金 (II) アセチルアセトナートの固形分が存在しなくなるまで溶解した。この溶液を還流器のついた容器に移してオイルバスに載せ、容器内に不活性ガ
スとして窒素ガスを400mL/minの流量で吹込みながら、該溶液を160rpmの回転速度で撹拌しつつ加熱し、300℃の温度で3時間半の還流を行って、反応を終了し
た。そのさい、昇温速度は10℃/min とした。容器内の圧力調整は実施せず、大気圧と
同じにした。
得られたFePt粒子粉末含有物質を実施例1と同様の測定に供した。その結果、透過電子顕微鏡(TEM)から観測された1次粒子の平均粒径は7.5nmであり、X線結晶
粒径(Dx)は3.7nmであった。X線回折ではfct構造に由来する超格子反射(001)と(110)に対応する回折ピークが現れ、面心正方晶の存在が確認された。Fe
原子のメスバウワー分光測定によるfct構造の割合の解析結果、fct構造の体積割合
は38%であった。
TEM―EDS測定において、測定視野内に存在する1000個以上の粒子について測定した平均組成は原子比でFe:Pt=55.1:44.9であった。すなわち、Xav
55.1 at.%であった。また、そのうち任意に選んだ100個の粒子についての個々の組成分析の結果、標準偏差σは16%であり、前記(1) 式を満足しない粒子は6個であっ
た。磁気測定では、保磁力=370Oe 、飽和磁化量σs =40emu/g 、SQ=0.25
、SFD=1.10であった。
以上の代表的な例のほかに、実施例1を同一条件で3バッチ、実施例1とは結晶核誘発剤の添加量を変化させたものを3バッチ、さらに比較例2の条件で17バッチ実施し、得
られた各FePt粒子粉末含有物質の特性を図2〜図5に総括して示した。これらの図から明らかなように、結晶核誘発剤が無添加では磁気特性にバラツキが発生するのに対し、
結晶核誘発剤用いると、バラツキが少なくなり、安定した磁気特性を示すことがわかる。すなわち、個々の粒子の間での組成分布は結晶核誘発剤の使用によって著しくシャープに
なることが明らかである。
Fe−Ptの二元系平衡状態図である。 FePt粒子粉末の保磁力(Hc)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末の飽和磁化量(σs)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末のSFDに及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。 FePt粒子粉末のX線結晶粒径(Dx)に及ぼす結晶核誘発剤の影響を示す図である。

Claims (3)

  1. 式〔FeXPt1-X〕におけるXが0.3〜0.7の範囲となる組成比でFeとPtを含有し、残部が製造上の不可避的不純物からなる合金の微粒子からなる金属磁性粉を製造する方法において、FeとPtを含む金属塩を、沸点が150℃以上の多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体からなる液に固形分が残存しない状態にまで溶解し、その溶液を不活性ガス雰囲気下で150℃以上の温度で該金属塩を該多価アルコールおよび/またはこれらの誘導体で還元し、この還元によって該合金の微粒子を合成すること、そして、この還元を該合金粒子の結晶核誘発剤の存在下で進行させること、該結晶核誘発剤は、前記式中のFeまたはPtの金属塩であるが、前記の還元に供する合金原料の金属塩とは異なる種類の金属塩であり、その使用量はFeとPtが式〔Fe X Pt 1-X 〕におけるXが0.3以上で0.7以下となる範囲内の量であって、該結晶核誘発剤中のFeまたはPtが合金原料中のFe+Ptに対して0.01at.%以上20at.%以下となる量であることを特徴とする金属磁性粉の製造法。
  2. 結晶核誘発剤は、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、IrまたはPtの少なくとも1種の金属の塩である請求項1に記載の金属磁性粉の製造法。
  3. 得られる金属磁性粉は、TEM観察により測定される平均粒径(DTEM)が50nm以下であり、下記の(1)式を満たす粒子が100個のうち95個以上であり、且つ下記の(2)式を満たす請求項1または2に記載の金属磁性粉の製造法。
    0.90Xav≦X1、X2、・・・X100≦1.10Xav・・・(1)
    1、X2、・・・X100の標準偏差σ≦20% ・・・(2)
    ただし、Xavは、前記の組成式〔FeXPt1-X〕のXの値について、粉体として実測された値(粒子集合体の平均組成におけるXの値)を表し、X1、X2、・・・X100は、当該粉体のTEM−EDX測定において、測定視野内に粒子が1000個以上入っている状態で任意に選んだ100個の粒子について測定された個々の該Xの値を表す。
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