JP4714994B2 - 選択ガス透過性包装材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、非食品の雰囲気調整(MA:Modified Atmosphere)包装分野に用いられる包装材料に関するもので、極性分子からなるガス、特に水蒸気透過性を保持したままで、無極性分子からなるガス、特に酸素透過性を任意に制御可能な包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品、非食品の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響をコントロールすることが求められている。特に、使い捨てカイロなどの包装では、充填材の吸湿劣化を抑えつつ、発生ガスを拡散させうる(つまり、水蒸気を通さず、水素を通す)ような包装材料が求められている。そのため従来から、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン(K-OP)などのバリア材を用いた包装材料が用いられてきた。
【0003】
ところが、K-OPを用いた包装材料は、水素を拡散させるものの、水蒸気バリア性が十分ではなく、使用期限の短縮を余儀なくされていた。
【0004】
このため、透明セラミック蒸着フィルムを用いた包装材料が検討されてきた。
透明セラミック蒸着フィルムは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)などのプラスチック基材上に、酸化珪素(SiOx)や酸化アルミ(AlOx)を真空蒸着し、バリア性を向上させた包装材料で、その優秀な水蒸気バリア性から近年食品分野などで広く用いられている。
【0005】
しかしながら、透明セラミック蒸着フィルムは、同時に水素バリア性も良好で、カイロ充填材から発生した水素ガスが放出出来ず、包装体内に留まることで、包装体の膨張を引き起こしていた。この膨張した包装体は、流通時に不便を生じるだけでなはなく、水素ガスの充満による爆発の危険をも内在すると言う問題を生じていた。
【0006】
すなわち、この様な場合の包装材料として用いられる条件として、カイロ充填材の乾燥を保ち、長期間の使用期限を実現しうる、高い水蒸気バリア性を有し、かつ発生する水素ガスを放出する包装材料である等が求められているが、現在のところ、これら全てを満たす包装材料は見い出されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、水蒸気等の極性分子からなるガス透過性を保持したままで、酸素ガス等の無極性分子からなるガス透過性を任意に制御可能である選択ガス透過性包装材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、プラスチック材料からなる基材の片面もしくは両面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層とヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を少なくとも含む積層体であって、
前記積層体にゲルボフレックス装置を用いた捻りと圧縮を与えることで、前記蒸着薄膜層にクラックを形成し、
極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする選択ガス透過性包装材料である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の選択ガス透過性包装材料において、前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層に微細なクラックを形成して、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の選択ガス透過性包装材料において、前記無機酸化物上に、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を順次積層し、さらに、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層したことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の選択ガス透過性包装材料において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3記載の選択ガス透過性包装材料において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の選択ガス透過性包装材料において、前記極性分子からなるガスが水蒸気で、前記無極性分子からなるガスが酸素であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設け、さらにヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層した積層体に、ゲルボフレックス装置を用いた捻りと圧縮を与えることで、前記蒸着薄膜層に蒸着薄膜層に微細なクラックを形成し、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする選択ガス透過性包装材料の製造方法である。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項7記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法において、前記無機酸化物上に、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を順次積層し、さらに、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層した積層体の蒸着薄膜層に微細なクラックを形成し、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項8記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項7〜10のいずれか1項に記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法において、前記極性分子からなるガスが水蒸気で、前記無極性分子からなるガスが酸素であることを特徴とする。
【0019】
<作用>
本発明の選択ガス透過性包装材料を構成する無機酸化物からなる蒸着薄膜層に、物理的応力を加えて微細なクラックを形成することで、無極性分子からなるガス(分子内に極性基を持たない、例えば酸素ガス、水素ガス等)の透過度が変化する。この応力の度合いをコントロールすることで、無極性分子からなるガスの透過度を任意に制御できる。一方、極性分子からなるガス(分子内に極性基を持つ、例えば水蒸気等)の透過度は、蒸着薄膜層に物理的応力を加えて微細なクラックが生じても大きく変化することがないので、極性分子からなるガスの透過度はそのまま保持され、無極性分子からなるガス透過性は、蒸着薄膜層に加える応力の度合に応じて、任意に制御可能な選択ガス透過性包装材料が得られるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いてさらに詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一例としての選択ガス透過性包装材料の構成を示した断面図である。図に示すように、基材2はプラスチック材料からなるフィルムであり、その上に無機酸化物からなる蒸着薄膜層3、ガスバリア性被膜層4が順次積層されている。さらに、その上にヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層5が積層されている構成の例を示したものである。
【0022】
本発明で用いられる基材1は、プラスチック材料であり、蒸着薄膜層の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、2軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。また、この基材の蒸着層が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤など塗布して形成される薄膜を設けても良い。また、この薄膜との密着性を良くするために、前記基材の塗布面を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などのいづれかの処理を施しても良い。
【0023】
基材の厚さは、とくに制限を受けるものではなく、また、包装材料としての適性を考慮して、単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。なお無機酸化物からなる蒸着薄膜層、さらにはガスバリア性被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、用途によっては6〜30μmとすることが好ましい。
【0024】
また、量産性を考慮すれば、連続的に前記各層を形成できるように長尺の連続状フィルムとすることが望ましい。
【0025】
本発明における無機酸化物からなる薄膜層3は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウムのいずれか、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特にガスバリア性を考慮すると酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし、本発明の薄膜層は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0026】
蒸着層の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない恐れがある。また、膜厚が300nmを越える場合は、薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。蒸着層の厚さは、好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0027】
無機酸化物からなる薄膜層を基材上に形成する方法としては、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また、蒸着膜と基材の密着成及び蒸着膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても良い。
【0028】
本発明におけるガスバリア性被膜層4は、より高度なガスバリア性を付与するために無機酸化物からなる蒸着層上に設けられるものである。
上記ガスバリア性被膜層として、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成する。例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整し溶液とする。この溶液を無機酸化物からなる蒸着層上にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる各成分について、さらに、以下に詳細に説明する。
【0029】
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを含み、特に限定されない。
【0030】
また、コーティング剤に使用される塩化錫としては、塩化第一錫(SnCl2 )または塩化第二錫(SnCl4 )、或いはそれらの混合物であってもよい。またこれら塩化錫は、無水物でも水和物であっても良い。
【0031】
さらに、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n (ただし、MはSi,Ti,Al,Zr等の金属、RはCH3 ,C25 等のアルキル基を表す。)で表される化合物である。具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC254 〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373 〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0032】
コーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
【0033】
コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などが挙げられる。
【0034】
本発明の選択ガス透過性包装材料を構成する無機酸化物からなる蒸着薄膜層に、物理的応力を加えて微細なクラックを形成する方法は、特に限定されるものではない。例えば、ゲルボフレックス装置を用いた捻りと圧縮を組み合わせた方法がある。ゲルボフレックス装置において、最初の87.5mmで440゜螺旋回転運動で、積層体に捻りを与え、その後62.5mmの直線水平運動で圧縮を与えることが出来る。このサイクル数を変化させることで、応力を制御出来る。その応力の度合に応じて、無機酸化物からなる蒸着薄膜層にサブミクロンオーダーの微細なクラックを形成することで、無極性分子からなるガス透過性が、任意に制御可能な選択ガス透過性包装材料が得られるものである。一方、極性分子からなるガス透過度は、蒸着薄膜層に微細なクラックが生じても大きく変化することがないので、極性分子からなるガスの透過度はそのまま保持される。
【0035】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0036】
さらに、蒸着層もしくはガスバリア皮膜層上に他の層を積層することも可能である。例えば印刷層等である。印刷層は包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものである。例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層である。この印刷により、文字、絵柄等が形成される。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。印刷層の乾燥厚さは0.1〜2.0μmで良い。
【0037】
本発明におけるヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層5は、袋状包装材料や容器包装材料などを形成する際に接着層として、基材1の蒸着層の反対側に設けられるものである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、いずれも公知の方法により積層することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の選択ガス透過性包装材料を具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
【0039】
〈実施例1〉
基材1として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、電子線加熱方式による真空蒸着方式により、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、厚さ約20nmの酸化アルミニウム蒸着層2を形成した。さらにその上に下記組成のコーティング剤をグラビアコート法で塗布し、乾燥厚さ0.4μmのガスバリア性被膜層3を形成した蒸着フィルムを得た。
得られた蒸着フィルムのガスバリア性被膜層3上に、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層4として、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により積層し包装材料を作製した。
[コーティング剤の組成]
下記▲1▼液と▲2▼液を配合比(wt%/ wt%)で60/40に混合したもの。
▲1▼ 液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液
▲2▼ 液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10))
【0040】
この積層体にゲルボフレックス・テスターにより、応力を加えた。応力の度合いとして、ゲルボフレックス・テスターのフレックス回数を0回、10回、100回、200回と変化させたときの無極性分子からなるガス透過率として酸素透過率と極性分子からなるガス透過率として水蒸気透過率を下記の測定法に基づいて測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
酸素透過率:30℃−70%RHの雰囲気下での酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN−200)を使用して測定した。
水蒸気透過度:40℃−90%RHの雰囲気下での水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製、PARMATRAN−W3/31)を使用して測定した。
【0042】
〈比較例1〉
実施例1において、透明セラミック蒸着層2をPVdCコーティングとし、バリアコーティング層3を無くした以外は、実施例1と同様にして包装材料を得た。
【0043】
この積層体にゲルボフレックス・テスターにより、応力を加えた。応力の度合いとして、ゲルボフレックス・テスターのフレックス回数を0回、10回、100回、200回と変化させた。
【0044】
【表1】
Figure 0004714994
【0045】
表1の結果から、フレックス回数の増加に伴い、無極性分子からなる酸素透過度のみが増加し、極性分子からなる水蒸気透過度は維持されていることが判る。つまり、加える物理的応力のコントロールで、極性,無極性分子からなるガスの選択的透過を実現できていることが判る。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、積層体包装材料を構成する無機酸化物からなる蒸着薄膜層に、物理的応力を加えてサブミクロンオーダーの微細なクラックを形成することで、水蒸気等の極性分子からなるガス透過性を保持したままで、酸素ガス等の無極性分子からなるガス透過性を任意に制御可能である選択ガス透過性包装材料を提供することが可能となった。
本発明の選択ガス透過性包装材料は、例えば、使い捨てカイロなど選択的気体透過性を求められる包装分野において好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の選択ガス透過性包装材料の構成の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
1・・・選択ガス透過性包装材料
2・・・基材
3・・・蒸着層
4・・・ガスバリア性被膜層
5・・・ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層

Claims (11)

  1. プラスチック材料からなる基材の片面もしくは両面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層とヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を少なくとも含む積層体であって、
    前記積層体にゲルボフレックス装置を用いた捻りと圧縮を与えることで、前記蒸着薄膜層にクラックを形成し、
    極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする選択ガス透過性包装材料。
  2. 前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層に微細なクラックを形成して、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする請求項1記載の選択ガス透過性包装材料。
  3. 前記無機酸化物上に、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を順次積層し、さらに、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層したことを特徴とする請求項1または2記載の選択ガス透過性包装材料。
  4. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項3記載の選択ガス透過性包装材料。
  5. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項3記載の選択ガス透過性包装材料。
  6. 前記極性分子からなるガスが水蒸気で、前記無極性分子からなるガスが酸素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の選択ガス透過性包装材料。
  7. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設け、さらにヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層した積層体に、ゲルボフレックス装置を用いた捻りと圧縮を与えることで、前記蒸着薄膜層に蒸着薄膜層に微細なクラックを形成し、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする選択ガス透過性包装材料の製造方法。
  8. 前記無機酸化物上に、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を順次積層し、さらに、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなるシーラント層を積層した積層体の蒸着薄膜層に微細なクラックを形成し、極性分子からなるガス透過性を保持したまま、無極性分子からなるガス透過性を制御することができることを特徴とする請求項7記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法。
  9. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項8記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法。
  10. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項8記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法。
  11. 前記極性分子からなるガスが水蒸気で、前記無極性分子からなるガスが酸素であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の選択ガス透過性包装材料の製造方法。
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