JP4709466B2 - 直接噴射式の内燃機関の燃料調量システムを運転するための方法 - Google Patents
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Description
背景技術
本発明は、燃料リザーブタンクと、該燃料リザーブタンクから燃料調量システムの低圧領域へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプと、低圧領域から少なくとも1つの高圧アキュムレータへ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプを備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧を制御するための制御装置と、高圧アキュムレータから内燃機関の複数の燃焼室内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁とを有している、直接噴射式の内燃機関の燃料調量システムを運転するための方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、燃料リザーブタンクと、該燃料リザーブタンクから燃料調量システムの低圧領域へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプと、低圧領域から少なくとも1つの高圧アキュムレータへ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプを備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧を制御するための制御装置と、高圧アキュムレータから内燃機関の複数の燃焼室内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁とを有している、直接噴射式の内燃機関の燃料調量システムに関する。
【0003】
さらに本発明は、燃料リザーブタンクと、該燃料リザーブタンクから燃料調量システムの低圧領域へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプと、低圧領域から少なくとも1つの高圧アキュムレータへ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプを備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧を制御するための制御装置と、高圧アキュムレータから内燃機関の複数の燃焼室内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁とを有している燃料調量システムを備えた、直接噴射式の内燃機関に関する。
【0004】
本発明はさらに、このような直接噴射式の内燃機関のための制御装置にも関する。
【0005】
冒頭で述べた燃料調量システムを備えた、冒頭で述べた形式の直接噴射式の内燃機関は、公知先行技術に基づき、たとえばガソリン直接噴射(GDI)式の内燃機関の形で知られている。燃料調量システムは、通常では電動燃料ポンプとして形成されたプレフィードポンプを有しており、このプレフィードポンプは燃料リザーブタンクから燃料調量システムの低圧領域へ燃料を圧送する。この燃料は燃料調量システムの高圧ポンプ装置によって、低圧領域から高圧で高圧アキュムレータ内へ圧送される。この高圧アキュムレータは、たとえばコモンレール(CR)式の燃料調量システムの分配レールとして形成されている。高圧アキュムレータからは複数の噴射弁が分岐しており、これらの噴射弁を介して燃料を高圧アキュムレータから内燃機関の燃焼室内へ噴射することができる。これらの噴射弁は内燃機関の制御装置によって制御される。この制御装置はさらに、圧力制御回路を介して、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧を閉ループ制御するという役目を持っている。噴射圧の増大は、高圧ポンプ装置の適当な制御、つまり高圧アキュムレータ内への燃料供給量の増大により実現することができる。噴射圧の減少は、高圧アキュムレータから分岐した制御弁の適当な制御、つまり高圧アキュムレータからの燃料流出量の増大によるか、または高圧ポンプの圧送出力の減少により実現することができる。前記制御弁は、たとえば量制御弁(1シリンダ式のピストン高圧ポンプの場合)または圧力制御弁(3シリンダ式のラジアルピストン高圧ポンプの場合)として形成されている。
【0006】
4つまたは4つよりも少ないシリンダを有する内燃機関または比較的小さな行程室を有する内燃機関の場合には、高圧ポンプ装置は一般に1つの高圧ポンプしか有していない。この高圧ポンプは、たとえば1シリンダ式のピストンポンプまたは3シリンダ式のラジアルピストンポンプとして形成されていてよい。この唯一つの高圧ポンプを用いて、4つまたは4つよりも少ないシリンダを有する内燃機関もしくは比較的小さな行程室を有する内燃機関では、内燃機関の全ての運転状態において燃焼室に対する所要燃料量の信頼性の良い供給を確保することができる。
【0007】
しかし、比較的大きな行程室を有する内燃機関もしくは6つまたは6つよりも多いシリンダを有する内燃機関の場合には、唯一つの高圧ポンプを用いて信頼性の良い燃料供給を確保することはもはや不可能となることが判っている。それゆえに、公知先行技術では、燃料調量システムを互いに独立した2つの別個の燃料回路に分割することが知られている。両燃料回路を互いに独立した別個のものにするためには、2つの高圧アキュムレータと2つの圧力制御回路とが設けられていることが必要となり、しかもこれらの高圧アキュムレータと圧力制御回路とは、前記制御装置によって制御され、かつとりわけコーディネートされなければならない。両燃料回路はそれぞれ専用の高圧ポンプを有しており、この高圧ポンプはそれぞれ専用の圧力制御回路を介して制御される。このように燃料調量システムを2つの燃料回路に分割することは、公知先行技術に基づき、6シリンダ式の内燃機関(この場合、各燃料回路はそれぞれ3つのシリンダの燃焼室への燃料供給を担う)および8シリンダ式の内燃機関(この場合、各燃料回路はそれぞれ4つのシリンダの燃焼室への燃料供給を担う)について知られている。公知先行技術に基づき知られている、比較的大きな行程室を有する内燃機関もしくは6つまたは6つよりも多いシリンダを有する内燃機関において信頼性の良い燃料供給を確保するための解決手段は、比較的手間とコストのかかるシステム手段である。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19823639号明細書に基づき、プレフィードポンプと高圧ポンプとを備えた、冒頭で述べた形式のコモンレール(CR)式の燃料調量システムが公知である。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19523283号明細書からは、燃料調量システムのための高圧ポンプが公知である。この高圧ポンプは、星形に配置された3つのポンプピストンを備えたラジアルピストンポンプとして形成されているか、または互いに平行に配置された2つのポンプピストンを備えたアキシャルピストンポンプとして形成されていてよい。公知の高圧ポンプでは、個々のピストンが1つの共通のカム駆動装置もしくは偏心体駆動装置を介して操作される。すなわち、個々のポンプピストンの間には、強固な機械的カップリングが形成されており、このようなカップリングは個々のポンプピストンをそれぞれ意図的に操作することを不可能にしている。公知の高圧ポンプは複数のポンプピストンを有しているけれども、この公知の高圧ポンプは単独の高圧ポンプであるとみなさざるを得ない。
【0009】
さらに、自動車技術の別の領域、特にブレーキシステムおよびアクティブなシャーシシステムの領域から、複数のポンプピストンを備えたポンプ装置が知られている。すなわち、たとえばドイツ連邦共和国特許第4041800号明細書からは、アンチロックブレーキ機能付きのブレーキシステムに用いられる、アキシャルピストンポンプとして形成された2ピストンポンプが公知であり、この2ピストンポンプは互いに平行に配置された2つのポンプピストンを備えている。欧州特許出願公開第0448836号明細書からは、車両ブレーキ装置に用いられる、液体を圧送するための往復動ピストンポンプが公知である。この往復動ピストンポンプは、直径方向で互いに向かい合って位置する2つのポンプピストンを備えたラジアルピストンポンプとして形成されている。さらに、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4027794号明細書からは、車両ハイドロリックシステム(アンチロックブレーキシステムABS、トラクションコントロールシステムASR、アクティブシャーシコントロールシステム)におけるエネルギ供給のために用いられるラジアルピストンポンプが公知である。これらの公知のポンプ装置の全てに共通して云えることは、個々のポンプピストンの間に強固な機械的カップリングが形成されていて、個々のポンプピストンの意図的な操作が不可能であることである。したがって、これらのポンプ装置も全て、単独のポンプであるとみなさざるを得ない。
【0010】
本発明の課題は、特に4つまたは4つよりも多いシリンダを有する内燃機関もしくは大きな行程室を備えた内燃機関において、構造的に単純でかつできるだけ廉価に信頼性の良い燃料供給を確保することである。
【0011】
この課題を解決するために本発明の方法では、冒頭で述べた形式の方法において、燃料調量システムに、内燃機関の全ての燃焼室内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を配置し、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプを配置し、全ての高圧ポンプを、1つの共通の圧力制御回路を介して互いに別個に独立して制御するようにした。
【0012】
発明の利点
すなわち、本発明によれば、燃料調量システムが複数の燃料回路に分配されるのではなく、内燃機関の全ての燃焼室内へ燃料を調量するための唯一つの燃料回路しか設けられていない。高圧ポンプ装置の全ての高圧ポンプがこの1つの燃料回路に配置されている。本発明による燃料調量システムは、有利には2つの高圧ポンプを有している。使用される高圧ポンプは公知先行技術から自体公知であるような標準タイプのポンプ、たとえば1シリンダ式ピストンポンプまたは3シリンダ式ラジアルピストンポンプとして形成されていてよい。燃料調量システムの制御装置は1つの共通の圧力制御回路を介して全ての高圧ポンプを互いに別個に独立して制御する。燃料回路内には、1つの高圧アキュムレータしか配置されていない。この高圧アキュムレータの噴射圧は唯一つの圧力制御回路によって制御することができる。これにより、本発明による方法を特に簡単にかつ廉価に実現することができる。
【0013】
さらに、本発明による方法を用いると、特に比較的大きな行程室を有する内燃機関もしくは4つまたは4つよりも多いシリンダを有する内燃機関において燃焼室への信頼性の良い燃料供給を確保することができる。
【0014】
高圧ポンプが1つの共通の高圧アキュムレータ内へ燃料を圧送することにより、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧を単に1つの圧力制御回路を用いて簡単に制御することが可能となる。高圧ポンプを制御するための最終段だけを2回形成するだけで済む。それと同時に、本発明による方法を用いると、対称的でない点火順序において燃料調量システムの複雑な構造が回避される。
【0015】
本発明による方法の有利な改良形では、高圧ポンプを互いに平行に、つまり互いに同相に制御することが提案される。すなわち、高圧ポンプは同期的に制御されて、吸込行程および吐出行程を互いに同時に実施する。
【0016】
択一的に、本発明による方法の別の有利な改良形では、1つまたは複数の第1の高圧ポンプを、1つまたは複数の第2の高圧ポンプに対して逆向きに、つまり互いに逆相に制御することが提案される。第1の高圧ポンプと第2の高圧ポンプとは吸込行程および吐出行程を互いにずらされた位相で実施する。つまり、第1の高圧ポンプが吸込行程にあるときには第2の高圧ポンプは吐出行程にあり、逆に第1の高圧ポンプが吐出行程にあるときには第2の高圧ポンプは吸込行程にある。この改良形の利点は、連続する噴射の互いに異なる圧力レベルを著しく低減することができることにある。なぜならば、後圧送が均一に分配されるからである。別の利点は、高圧アキュムレータ内に形成される噴射圧の経過を監視することにより、高圧ポンプの簡単な診断が可能になる点にある。
【0017】
本発明による方法のさらに別の有利な改良形では、制御装置による、リソースを無駄にしない制御を実施するために、これらの高圧ポンプを同一の制御時間で制御することが提案される。すなわち、制御時間は制御装置において燃料調量システムの全ての高圧ポンプのために1回しか計算されない。次いで、個々の高圧ポンプの制御が切換装置を介して行われる。この切換装置は適当な時点で、もしくは内燃機関のクランクシャフトの適当な角度位置で、第1の高圧ポンプと第2の高圧ポンプとの間で切換を行う。こうして、同じ制御時間を用いて第1の高圧ポンプと第2の高圧ポンプとを交互に制御することができる。
【0018】
さらに上記課題を解決するために本発明の燃料調量システムの構成では、冒頭で述べた形式の燃料調量システムにおいて、当該燃料調量システムが、内燃機関の全ての燃焼室内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を有しており、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプが配置されており、制御装置が全ての高圧ポンプのために1つの圧力制御回路を有しており、該圧力制御回路を介して高圧ポンプが互いに別個に独立して制御可能であるようにした。
【0019】
本発明による燃料調量システムの有利な構成では、高圧ポンプ装置が2つの高圧ポンプを有していることが提案される。
【0020】
本発明による燃料調量システムの別の有利な構成では、制御装置が高圧ポンプを互いに平行に、つまり互いに同相に制御することが提案される。択一的には、制御装置が1つまたは複数の第1の高圧ポンプを、1つまたは複数の第2の高圧ポンプに対して逆向きに、つまり逆相に制御することが提案される。
【0021】
制御装置がこれらの高圧ポンプを同じ制御時間で制御することが有利である。
【0022】
さらに、上記課題を解決するために本発明の直接噴射式の内燃機関の構成では、冒頭で述べた形式の内燃機関において、燃料調量システムが請求項5から9までのいずれか1項記載の燃料調量システムとして形成されているようにした。
【0023】
本発明による直接噴射式の内燃機関の有利な構成では、当該内燃機関が少なくとも6つのシリンダを有していることが提案される。
【0024】
本発明による直接噴射式の内燃機関の別の有利な構成では、燃料調量システムが2つの高圧アキュムレータ領域を有しており、両高圧アキュムレータ領域が、圧力補償管路を介して互いに接続されている。この圧力補償管路により、両高圧アキュムレータ領域は1つの共通の高圧アキュムレータ領域にまとめられる。
【0025】
さらに、上記課題を解決するために本発明の制御装置の構成では、冒頭で述べた形式の制御装置において、燃料調量システムが、内燃機関の全ての燃焼室内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を有しており、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプが配置されており、当該制御装置が1つの共通の圧力制御回路を介して全ての高圧ポンプを互いに別個に独立して制御するようにした。
【0026】
本発明による制御装置の有利な構成では、当該制御装置が高圧ポンプを互いに平行に、つまり互いに同相に制御することが提案される。択一的には、当該制御装置が1つまたは複数の第1の高圧ポンプを1つまたは複数の第2の高圧ポンプに対して逆向きに、つまり逆相に制御することが提案される。当該制御装置がこれらの高圧ポンプを同じ制御時間で制御すると有利である。
【0027】
特に重要となるのは、本発明による方法が、直接噴射式の内燃機関の制御装置のために設けられた制御素子の形で実現されることである。この場合、この制御素子には、計算装置、特にマイクロプロセッサで実行可能であってかつ本発明による方法を実施するために適しているプログラムが記憶されている。すなわち、この場合には、本発明が、この制御素子に記憶されたプログラムにより実現されるので、このプログラムを備えたこのような制御素子も、本発明による方法(この方法を実施するために前記プログラムが適している)と同様に本発明を成すものである。制御素子としては、特に電気的な記憶媒体、たとえばリードオンリメモリまたはフラッシュメモリを使用することができる。
【0028】
本発明のさらに別の特徴、使用可能性および利点は、以下に図面につき説明する本発明の実施例から明らかである。説明した特徴または図示した特徴は全て、特許請求の範囲における総括および引用ならびに明細書もしくは図面における定義もしくは描写とは無関係に、それ自体または任意の組み合わせで本発明の対象を成すものである。
【0029】
図1には、自動車の直接噴射式の内燃機関1が図示されている。この内燃機関1では、ピストン2がシリンダ3内で往復運動可能である。シリンダ3は燃焼室4を備えており、この燃焼室4は、特にピストン2と吸気弁5と排気弁6とによって仕切られている。吸気弁5には吸気管7が、排気弁6には排気管8が、それぞれ連結されている。
【0030】
吸気弁5および排気弁6の範囲では、噴射弁9と点火プラグ10とが燃焼室4内に突入している。噴射弁9を介して燃料を燃焼室4内へ噴射することができる。点火プラグ10を用いて、燃焼室4内の燃料を点火することができる。
【0031】
ピストン2には燃焼室4内での燃料の燃焼によって往復運動が付与される。この往復運動はクランクシャフト(図示しない)へ伝達されて、クランクシャフトにトルクを加える。
【0032】
内燃機関1は燃料調量システム11を有している。この燃料調量システム11によって、噴射弁9を介して燃焼室4内へ噴射されるべき燃料が調量される。燃料調量システム11は燃料リザーブタンク12を有している。この燃料リザーブタンク12からは、電動燃料ポンプとして形成されたプレフィードポンプ13によって燃料が燃料調量システム11の低圧領域NDへ圧送される。低圧領域NDからは、2つの高圧ポンプ14,15から成る高圧ポンプ装置によって燃料は高圧アキュムレータ16へ圧送される。高圧ポンプ14,15は、それぞれ2つの逆止弁17と1つの量制御弁18とを備えた1シリンダ型高圧ポンプとして形成されている。量制御弁18によって量制御管路19を開閉することができる。量制御管路19が開放された状態では、吸い込まれた燃料が、高圧回路内へ圧送されずに、再び低圧回路内へ押し戻される。量制御弁18は制御信号Tによって制御される。択一的に、高圧ポンプ14,15は3シリンダ型ラジアルピストンポンプとして形成されていてもよい。重要となるのは、高圧ポンプ14,15として手間のかかる高価な特別仕様の高圧ポンプではなく、標準型の高圧ポンプが使用されることである。
【0033】
高圧アキュムレータ16はコモンレール(CR)式の燃料調量システムの蓄圧レールとして形成されている。高圧アキュムレータ16には圧力センサ24が配置されている。この圧力センサ24は高圧アキュムレータ16内に生ぜしめられた噴射圧を検出して、相応する出力信号p_rを形成する。高圧アキュムレータ16からは、複数の、本実施例では4つの噴射弁9が導出されており、これらの噴射弁9を介して燃料は内燃機関1のシリンダ3の燃焼室4内へ噴射される。燃料を噴射するためには、噴射弁9が、相応する制御信号ESによって制御される。点火プラグ10は制御信号ZWによって制御される。
【0034】
燃料調量システム11の低圧領域ND内の圧力を、予め設定可能な所定の値に保持するためには、低圧領域NDに低圧レギュレータもしくは低圧調整器20が配置されている。低圧領域ND内の圧力が所定の圧力値を上回った場合、この低圧調整器20を介して、燃料は低圧領域NDから再び燃料リザーブタンク12へ戻ることができる。プレフィードポンプ13と高圧ポンプ14,15との間には、フィルタ21が配置されている。
【0035】
制御装置22は複数の入力信号23によって負荷されている。これらの入力信号23は、それぞれセンサによって測定された内燃機関1の運転量を表している。たとえば、制御装置22は空気質量センサ、酸素センサ(ラムダセンサ)、回転数センサまたは高圧領域HD内で有利には高圧アキュムレータ16に配置された圧力センサ24等に接続されている。制御装置22は複数の出力信号25を形成する。これらの出力信号25を用いて、アクチュエータもしくは作動装置を介して、内燃機関1の特性に影響を与えることができる。たとえば、制御装置22は噴射弁9(制御信号ES)、点火プラグ10(制御信号ZW)、量制御弁18(制御信号T)、吸気管7内に配置されたスロットルバルブ等に接続されていて、これらの構成部分を制御するためにそれぞれ必要となる信号を形成する。
【0036】
とりわけ制御装置22は、内燃機関1の各運転量を開ループ制御し(steuern)かつ/または閉ループ制御する(regeln)ために働くように設定されている。たとえば、噴射弁9から燃焼室4内へ噴射される燃料質量は、制御装置22によって特に小さな燃料消費量および/または僅かな有害物質エミッションが達成されるように開ループ制御され、かつ/または閉ループ制御される。この目的のために、制御装置22はマイクロプロセッサを備えている。このマイクロプロセッサは制御素子、特にリードオンリメモリまたはフラッシュメモリ内に、上に挙げた開ループ制御および/または閉ループ制御を実施するために適したプログラムを記憶している。さらに、制御素子内には、本発明による方法を実施するために適したプログラムも記憶されている。
【0037】
図1に示した内燃機関1は多数の運転モードで運転され得る。すなわち、内燃機関1を均質燃焼運転、成層燃焼運転、均質リーン燃焼運転等のモードで運転することが可能である。内燃機関1の上記各運転モードの間では、それぞれ切換を行うことができる。このような切換は制御装置22によって実施される。
【0038】
図1に示した燃料調量システム11は、特に次の点ですぐれている。すなわち、この燃料調量システム11は燃料を内燃機関1の全ての燃焼室4内へ調量するために1つの燃料回路しか有していない。この唯一つの燃料回路内に2つの高圧ポンプ14,15が配置されている。両高圧ポンプ14,15は、1つの共通の圧力制御回路を介して互いに別個に独立して制御装置22によって制御される。燃料調量システム11の、リソースを無駄にしない運転(resourcenschonend.Betrieb)を行うためには、両高圧ポンプ14,15が同じ制御時間Tで制御される。すなわち、制御時間Tは両高圧ポンプ14,15のために制御装置22において一回しか計算されない。
【0039】
図1には、4つのシリンダ3を有する内燃機関1のための本発明による燃料調量システム11が示されている。本発明による燃料調量システム11により、4つよりも多いシリンダ3を有する内燃機関1および/または大きな行程室を有する内燃機関1についても、燃焼室4への信頼性の良い燃料供給が確保される。
【0040】
図2には、8シリンダ式の内燃機関1を例にとって本発明による燃料調量システム11が図示されている。8シリンダ式の内燃機関1では、高圧アキュムレータ16がレフトバンク16′とライトバンク16′′とを有している。両バンク16′,16′′は圧力補償管路26を介して互いに接続されているので、両バンク16′,16′′には同じ噴射圧が形成される。すなわち、両バンク16′,16′′は1つの共通の高圧アキュムレータ16であるとみなすことができる。各バンク16′,16′′からは、それぞれ4つの噴射弁9が分岐しており、これらの噴射弁9を介して燃料を内燃機関1の燃焼室4内へ噴射することができる。各バンク16′,16′′には、それぞれ専用の高圧ポンプ14;15によって低圧領域NDから燃料が供給される。各高圧ポンプ14;15には、それぞれ専用の最終段27;28が対応配置されている。
【0041】
制御装置22は制御時間Tを両高圧ポンプ14,15のために1回しか求めない。両高圧ポンプ14,15の最終段27,28への制御時間Tの分配は、スイッチ29を介して行われる。スイッチ29は8シリンダ式の内燃機関1のためのシンクロパターン(Synchro−Raster)に従い、クランクシャフトKWの180゜毎にその都度切り換えられる。高圧ポンプ14,15のための駆動装置として、調節可能なカムシャフトが使用される場合には、調節可能なカムシャフトに基づいたシンクロパターンが相応して引き出されなければならない。
【0042】
高圧ポンプ14,15を駆動するためのカムの急峻な傾斜が制限されていることに基づき、1シリンダ式の高圧ポンプでは、8つのシリンダを有する内燃機関1の場合に、1回転当たり4つのカムを有するカムシャフトを使用することができない。それと同時に、8シリンダ式の内燃機関1では、機械的な配置形式(ライトバンク16′、レフトバンク16′′)に相応して複数の燃料回路を配置することもできない。なぜならば、点火順序もしくは噴射順序が対称的ではないからである。すなわち、点火順序もしくは噴射順序がレフトバンク16′からライトバンク16′′へ交互にジャンプするわけではない。このような問題を解決するために、本発明による燃料調量システム11が使用される。
【0043】
図3には、図2に示した燃料調量システム11の高圧ポンプ14,15の、有利な実施例による制御が描かれている。図3の上半部には、高圧ポンプ14の行程h_1が描かれており、下半部には高圧ポンプ15の行程h_2が描かれている。図面から明確に判るように、両高圧ポンプ14,15は互いに逆向きに、つまり互いに逆相に制御される。さらに図3からは、高圧ポンプ14,15のポンプピストンがいつ吸込行程を実施するのか、もしくは高圧ポンプ14,15のポンプピストンがいつ吐出行程で燃料を高圧アキュムレータ16へ圧送するのかを知ることができる。
【0044】
図4には、6つのシリンダ3を有する内燃機関1に用いられる本発明による燃料調量システム11の一部が示されている。この実施例では、高圧アキュムレータ16から6つの噴射弁9が導出されており、これらの噴射弁9を介して燃料を個々のシリンダ3の燃焼室4内へ噴射することができる。図1に示した燃料調量システム11の場合と同様に、この実施例においても2つの高圧ポンプ14,15によって燃料が燃料調量システム11の低圧領域NDから高圧アキュムレータ16へ圧送される。また、図4に示した燃料調量システム11も、燃料を内燃機関1の全ての燃焼室4内へ調量するために1つの燃料回路しか有していない。両高圧ポンプ14,15はこの1つの燃料回路内に配置されている。両高圧ポンプ14,15は1つの共通の圧力制御回路を介して互いに別個に独立して制御される(図2参照)。
【0045】
図5および図6には、図4に示した燃料調量システム11の高圧ポンプ14,15を制御するための2つの可能性が示されている。図5に示した実施例では、両高圧ポンプ14,15が互いに平行に、つまり互いに同相に制御される。それに対して、図6に示した実施例では、図3に示した実施例の場合と同様に互いに逆向きに、つまり互いに逆相に制御される。図3に示した実施例の場合と同様の斜線により、図5および図6には吸込行程と吐出行程とが書き込まれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による内燃機関の1実施例を示すブロック回路図である。
【図2】 本発明による燃料調量システムの第1実施例を示すブロック回路図である。
【図3】 図2に示した燃料調量システムを運転するための本発明による方法の第1実施例を明示するための線図である。
【図4】 本発明による燃料調量システムの第2実施例を示すブロック回路図である。
【図5】 図4に示した燃料調量システムを運転するための本発明による方法の第2実施例を明示するための線図である。
【図6】 図4に示した燃料調量システムを運転するための本発明による方法の第3実施例を明示するための線図である。
【符号の説明】
1 内燃機関、 2 ピストン、 3 シリンダ、 4 燃焼室、 5 吸気弁、 6 排気弁、 7 吸気管、 8 排気管、 9 噴射弁、 10 点火プラグ、 11 燃料調量システム、 12 燃料リザーブタンク、 13 プレフィードポンプ、 14,15 高圧ポンプ、 16 高圧アキュムレータ、 16′,16′′ バンク、 17 逆止弁、 18 量制御弁、 19 量制御管路、 20 低圧調整器、 21 フィルタ、 22 制御装置、 23 入力信号、 24 圧力センサ、 25 出力信号、 26 圧力補償管路、 27,28 最終段、 29 スイッチ、 HD 高圧領域、 ND 低圧領域
Claims (12)
- 燃料リザーブタンク(12)と、該燃料リザーブタンク(12)から燃料調量システム(11)の低圧領域(ND)へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプ(13)と、低圧領域(ND)から少なくとも1つの高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)へ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプ(14,15)を備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)内に形成される噴射圧(p_r)を制御するための制御装置(22)と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)から内燃機関(1)の複数の燃焼室(4)内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁(9)とを有している、直接噴射式の内燃機関(1)の燃料調量システム(11)を運転するための方法において、燃料調量システム(11)に、内燃機関(1)の全ての燃焼室(4)内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を配置し、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプ(14,15)を配置し、全ての高圧ポンプ(14,15)を、1つの共通の圧力制御回路を介して互いに別個に独立して同一の制御時間(T)で制御することを特徴とする、直接噴射式の内燃機関の燃料調量システムを運転するための方法。
- 高圧ポンプ(14,15)を互いに同相に制御する、請求項1記載の方法。
- 1つまたは複数の第1の高圧ポンプ(14)を、1つまたは複数の第2の高圧ポンプ(15)に対して逆相に制御する、請求項1記載の方法。
- 燃料リザーブタンク(12)と、該燃料リザーブタンク(12)から燃料調量システム(11)の低圧領域(ND)へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプ(13)と、低圧領域(ND)から少なくとも1つの高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)へ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプ(14,15)を備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)内に形成される噴射圧(p_r)を制御するための制御装置(22)と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)から内燃機関(1)の複数の燃焼室(4)内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁(9)とを有している、直接噴射式の内燃機関(1)の燃料調量システム(11)において、当該燃料調量システム(11)が、内燃機関(1)の全ての燃焼室(4)内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を有しており、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプ(14,15)が配置されており、前記制御装置(22)が、全ての高圧ポンプ(14,15)のための1つの圧力制御回路を有していて、該圧力制御回路を介して高圧ポンプ(14,15)が互いに別個に独立して同一の制御時間(T)で制御可能であることを特徴とする、直接噴射式の内燃機関の燃料調量システム。
- 高圧ポンプ装置が2つの高圧ポンプ(14,15)を有している、請求項4記載の燃料調量システム。
- 制御装置(22)が、高圧ポンプ(14,15)を互いに同相に制御する、請求項4または5記載の燃料調量システム。
- 制御装置(22)が、1つまたは複数の第1の高圧ポンプ(14)を、1つまたは複数の第2の高圧ポンプ(15)に対して逆相に制御する、請求項4または5記載の燃料調量システム。
- 燃料リザーブタンク(12)と、該燃料リザーブタンク(12)から燃料調量システム(11)の低圧領域(ND)へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプ(13)と、低圧領域(ND)から少なくとも1つの高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)へ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプ(14,15)を備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)内に形成される噴射圧(p_r)を制御するための制御装置(22)と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)から内燃機関(1)の複数の燃焼室(4)内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁(9)とを有している燃料調量システム(11)を備えた、直接噴射式の内燃機関(1)において、請求項4から7までのいずれか1項記載の燃料調量システム(11)が形成されていることを特徴とする、直接噴射式の内燃機関。
- 当該内燃機関(1)が少なくとも6つのシリンダ(3)を有している、請求項8記載の内燃機関。
- 燃料調量システム(11)が2つの高圧アキュムレータ領域(16′,16′′)を有しており、両高圧アキュムレータ領域(16′,16′′)が、圧力補償管路(26)を介して互いに接続されている、請求項8または9記載の内燃機関。
- 直接噴射式の内燃機関(1)の制御装置(22)のための制御素子において、当該制御素子に、計算装置で実行可能であって、かつ請求項1から3までのいずれか1項記載の方法を実施するためにプログラミングされているプログラムが記憶されていることを特徴とする、直接噴射式の内燃機関の制御装置のための制御素子。
- 燃料リザーブタンク(12)と、該燃料リザーブタンク(12)から燃料調量システム(11)の低圧領域(ND)へ燃料を圧送するための少なくとも1つのプレフィードポンプ(13)と、低圧領域(ND)から少なくとも1つの高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)へ燃料を圧送するための少なくとも2つの高圧ポンプ(14,15)を備えた高圧ポンプ装置と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)内に形成される噴射圧(p_r)を制御するための制御装置(22)と、高圧アキュムレータ(16;16′,16′′)から内燃機関(1)の複数の燃焼室(4)内へ燃料を噴射するための複数の燃料噴射弁(9)とを有している燃料調量システム(11)を備えた、直接噴射式の内燃機関(1)に用いられる制御装置(22)において、燃料調量システム(11)が、内燃機関(1)の全ての燃焼室(4)内へ燃料を調量するための1つの燃料回路を有しており、該1つの燃料回路内に全ての高圧ポンプ(14,15)が配置されており、当該制御装置(22)が、全ての高圧ポンプ(14,15)を、1つの共通の圧力制御回路を介して互いに別個に独立して制御するようになっており、当該制御装置(22)が、請求項11記載の制御素子を有していることを特徴とする、直接噴射式の内燃機関に用いられる制御装置。
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