JP4708206B2 - 無線通信方法及び無線基地局 - Google Patents
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Description
そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局側の各アンテナから送信した独立な信号を受信側で推定し、データを再生するものである。
Rx=H・Tx+n …(1)
したがって、受信局側で受信した信号Rxをもとに、送信信号Txを推定する技術が求められている。
このMIMO通信においては、信号の伝搬路の情報を利用して、その伝搬路に対して最適な状況にて信号を送信することにより、最も効率的な通信を行うことができる。
UH・HH ・H・U=Λ …(2)
上記(2)式において、右辺の行列Λは対角成分のみが値を持ち、その他の成分がゼロである対角行列である。この様な特徴を持つユニタリ行列Uを列ベクトルTxに作用させて信号を送信することにより、(1)式は以下の(3)式の様に変換される。
Rx=H・(U・Tx)+n …(3)
ちなみに、上記(4)式の中の送信電力Piは全てのMIMOチャネルに共通の値である必要はなく、また各MIMOチャネル毎に伝送モードを変更しても構わない。
その際、端末局#1(102)に対して送信する信号は、端末局#2(103)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。この結果として端末局#2(103)および端末局#3(104)への干渉を抑制することができる。同様に、端末局#2(103)に対して送信する信号は、端末局#1(102)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局#3(104)にも施す。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば、図7において、端末局#1(102)の第1受信アンテナと基地局(101)の第jアンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局(101)のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルh1を(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局#1(102)の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局101の伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルh2およびh3を(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。
Rx[all]=H[all]・Tx[all]+n …(5)
この(5)式はシングルユーザMIMOにおける(1)式に対応する。同様に、(3)式に示すような送信指向性制御を行うため、9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(3)式を以下の(6)式のように書き換える。
Rx[all]=H[all]・W・Tx[all]+n …(6)
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw1〜w9に分解し、W=(w1,w2,w3,…,w8,w9)と表記すると、以下の(7)式の様に表せる。
Rx[1]=H[1]・Tx[1]+n1 …(9)
Rx[2]=H[2]・Tx[2]+n2 …(10)
Rx[3]=H[3]・Tx[3]+n3 …(11)
上記(9)式から(11)式において、Tx[1]=(t1,t2,t3)T、Tx[2]=(t4,t5,t6)T、Tx[3]=(t7,t8,t9)T、Rx[1]=(r1,r2,r3)T、Rx[2]=(r4,r5,r6)T、Rx[3]=(r7,r8,r9)Tとした。この様に、全体伝達関数行列H[all]を、部分行列H[1]、H[2]、H[3] に分解することにより、基地局と3つの端末局とにおける各々の通信を、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。
そして、まず、第1ステップとして、端末局#2及び#3に対応する6つの行ベクトルh4〜h9が張る6次元部分空間における6つの基底ベクトルe4〜e9を求める。この基底ベクトルを求める方法としては、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
e4=(h4・h4 H )−1/2・ h4 …(12)
上記(12)式において、(h4・h4 H)は同一ベクトルの絶対値の2乗を意味するスカラー量であり、この平方根の逆数の乗算は、行ベクトルh4を規格化することを意味する。
次に、行ベクトルh5に着目し、この行ベクトルh5の中から、上記(12)式により求めた基底ベクトルe4方向の成分をキャンセルした行ベクトルh5’を、下記の(13)式により求めた後、さらに、この行ベクトルh5’を、(14)式により規格化する。
h5’=h5−(h5・e4 H ) e4 …(13)
e5=(h5’・h5’H )−1/2 h5’ …(14)
上記(13)式において、(h5・e4 H )はベクトルh5の基底ベクトルe4方向への射影を意味する。
hj’=hj−Σ(i)(hj・ei H )・ei …(15)
ej=(hj’・hj’H )−1/2 ・hj’ …(16)
上記(15)式におけるΣ(i)は、4≦i≦j−1(jは4〜9の整数)の整数iに対する総和を意味する。つまり、既に確定した基底ベクトル方向の成分をキャンセルすることを意味している。上述した基底ベクトルの算出処理により、6つの基底ベクトルe4〜e9を求めることができる。
まず、行ベクトルh1〜h3から、基底ベクトルe4〜e9が張る6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には以下の(17)式により表せる。
hj’=hj −Σ(i)(hj・ei H)・ei …(17)
上記(17)式において、jは1〜3の整数であり、Σ(i)は、4≦i≦9の整数iに対する総和を意味する。
この(17)式を用いて求めた行ベクトルh1’〜h3’に対し、適当な直交化処理を行う。簡単のためにここではグラムシュミットの直交化を例として用いるが、その他の方法を用いても良い。
e1=(h1’・h1’H)−1/2・h1’ …(18)
h2”=h2’−(h2’・e1 H)・e1 …(19)
e2=(h2”・h2”H)−1/2・h2” …(20)
h3”=h3’−(h3’・e1 H)・e1−(h3’・e2 H)・e2 …(21)
e3=(h3”・h3”H)−1/2・h3” …(22)
上記(12)式から(22)式までの処理により、端末局#1(102)に対する送信ウエイトベクトルw1〜w3を決定することができる。
上述した第1ステップから第3のステップが従来方式における送信ウエイト行列の求める処理方法である。ここで、図8に、従来技術における送信ウエイト行列Wの算出のフローチャートを示す。以下に、図8のフローチャートを簡単に説明する。
現在、MIMO技術は無線LAN等で注目を集めているが、IEEE802.11a、IEEE802.11g等の標準規格の無線LANにおいては、マルチキャリアを用いたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用している。このOFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、以上の処理を全てのサブキャリアにおいて個別に実施する必要がある。
この図9において、111aはデータ分割回路、112a−1〜112a−Lはプリアンブル付与回路、、113a−1〜113a−Lは変調回路、114aは送信信号変換回路、115a−1〜115a−MTは無線部、116a−1〜116a−MTは送受信アンテナ、117aは伝達関数行列取得回路、118aは送信ウエイト算出回路、119aは空間多重条件判断回路を表す。
また、送信局側の構成としたが、一般には基地局及び端末局は送信機能および受信機能の双方を備えており、ここで示した図9はその中の送信に関する機能のみを抜粋したものとなっている。
したがって、受信のための機能はここには明記していない。また、ここではダウンリンクでのマルチユーザMIMOを想定し、送信局側とは基地局を暗に想定しているが、必ずしも基地局である必要はない。
上記L系統に分割されたそれぞれの信号は、プリアンブル付与回路112a−1〜112a−Lに入力され、所定のチャネル推定用プリアンブルが付与され、変調回路113a−1〜113a−Lに入力される。
変調回路113a−1〜113a−Lにおいては、所定の変調処理が行われ、この変調処理された出力信号が送信信号変換回路114aに入力される。
以上がシングルキャリアの無線システムの例である。OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、図10に示すように、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
まず、第1の受信アンテナ121−1から第3の受信アンテナ121−3は、それぞれ個別に受信信号を受信する。無線部122−1〜122−3を経由して、受信した信号はチャネル推定回路123に入力される。チャネル推定回路123は、送信側で付与された所定のプリアンブル信号の受信状況から、第i送信アンテナと第j受信アンテナとの間の伝達関数を取得する。
一方、プリアンブル信号に後続するデータ信号は、1シンボル分づつ受信信号管理回路124に入力される。受信信号管理回路124においては、各アンテナの受信信号(r1, r2, r3)を成分とした受信信号ベクトルRxが一旦管理される。この受信信号ベクトルRxは、行列演算回路#2(127)において、行列演算回路#1(126)にて求められた(HH H)−1 HHと乗算される。この乗算結果により得られた信号は、送信信号ベクトルTxにノイズが乗った信号であるため、硬判定回路128にて信号判定がされ、各シンボル毎および各系統の信号はデータ合成回路129で合成され、もとのユーザデータが再生され出力される。
上述した各場合には、図11において点線で囲ったMIMO受信処理部130の構成の詳細が変更になるのであるが、以降の説明においてはその具体例に依存しないので、ここではその詳細は省略する。また、以上はシングルキャリアを前提とした説明であったが、OFDM変調方式を用いる場合には、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
図12において、201−1〜201−MRは受信アンテナ、202−1〜202− MRは無線部、203は受信信号線形加算回路、204−1〜204−MUはMIMO受信処理部、205は受信ウエイト算出回路、206は伝達関数管理回路を表す。ここで、MRは受信アンテナの本数、MUは同時に空間多重される端末局数をそれぞれ表している。MIMO受信処理部204−1〜204−MUは、図11のMIMO受信処理部130と同様の構成をしている。
また、各MIMO受信処理部204−1〜204−MUには、それぞれ3系統の信号の入力を図示しているが、この入力される信号数が各端末局あたりに空間多重可能な信号系統数の上限を与える。
上記MIMO受信処理部204−4〜204−MUは、すでに述べたように、図11におけるシングルユーザMIMOの個別のMIMO受信処理部130に対応する。これは、ダウンリンクにおける送信指向性制御の結果として、マルチユーザMIMO通信を(8)式〜(11)式で示した様に、個別のシングルユーザMIMO通信に帰着させたものを、アップリンクのマルチユーザMIMOに拡張させたものに対応する。この拡張において注意すべき点は、受信信号線形加算回路203は、受信指向性ビーム形成と等価なことを行っており、この指向性制御のみで端末局間の分離を行っている点であり、受信指向性ビームを形成するもととなる伝達関数情報に誤差があれば、完全には分離できない場合がある。
しかし、ここでは送信指向性制御においても受信指向性制御においても、その伝達関数情報の取得方法(フィードバック方法)は特に限定しておらず、既存のいかなる手法で対応しても良いため、任意の手法で受信指向性制御を行うための伝達関数情報を取得すればよい。
しかしながら、OFDM変調方式を用いるシステムの場合には、事情は大幅に異なり、各端末局が信号を同時に送信する場合、
(a)OFDMのシンボルタイミングの完全な同期が図られていないこと、
(b)各端末局の周波数誤差により合成された信号のサブキャリア間の直交性に崩れがある、
(c)形成すべきビームの指向性はサブキャリア毎に異なる、
等の解決すべき課題が生じることとなる。
しかしながら、(c)の課題として、受信した信号に指向性を与えるための線形合成処理は、サブキャリア毎に線形合成時の係数、すなわち受信ウエイトが異なるため、FFTにより信号をサブキャリア毎に分離した後でないと処理ができない。
したがって、受信時の受信指向性制御を実施する際に、このビーム形成処理を周波数ドメイン上で行うのではなく、FFT処理の前段(すなわち時間ドメイン)でサブキャリア毎に異なる指向性制御を行う必要がある。
前記第1の無線局における受信部が、サブキャリア毎に、前記複数の第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群との間のMIMOチャネルの周波数ドメインにおける各伝達関数情報を取得する伝達関数行列取得ステップと、前記複数の第2の無線局の中からその全てないしはその一部の無線局を同時に空間多重する通信相手局として選択する空間多重条件判断ステップと、サブキャリア毎に、該選択された第2の無線局の前記第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群との間の前記伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナにて受信する際に各端末局間の干渉を分離するための周波数ドメインにおける第1のアンテナ各々の受信信号に対し乗算する係数である受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出ステップと、該周波数ドメインにおける受信ウエイトの情報に対し逆フーリエ変換を行い、時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に所定の係数を乗算して加算することで信号分離を行うための係数である時間軸受信ウエイトを算出する時間軸受信ウエイト算出ステップと、前記第1のアンテナ群の各アンテナ毎に個別に信号受信する信号受信ステップと、時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することにより前記第2の無線局間の信号分離を行う時間軸第1次干渉除去ステップと、時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することで前記第2の無線局間の信号分離を行った受信信号に対し、信号中に設定された既知のパターンが付与されている領域において、分離された前記第2の無線局間の各受信信号間の相関すなわち残留干渉除去係数を取得する残留相関算出ステップと、前記信号分離後の各受信信号に対して前記残留干渉除去係数を乗算した他局宛の信号を減算することで更なる干渉除去を行う第2次干渉除去ステップとを有することを最も主なる特徴とする。
この特徴とする構成は、OFDM変調方式を適用したマルチユーザMIMO通信において、各送信端末局毎にOFDMのシンボルタイミングが異なるため、FFT処理を行う前に受信指向性制御をサブキャリア毎に個別に実施するためのひとつの実現方法を提供するものである。
また、例えば時間的な伝搬チャネルの変動や様々な処理誤差に伴い、先の手段で完全に除去できなかった場合に、最新の情報を用いて残留信号の干渉除去を行うためのひとつの実現方法を提供するものである。
これは、各送信局毎に一旦信号分離した後、既存のシングルユーザMIMO通信の信号検出技術を適用するために、その技術で信号分離可能な信号系列間はあえて信号分離を前段で行わないようにするためのひとつの実現方法を提供するものである。
まず、動作における前提条件において、無線基地局はデータの送信を行う際、事前の情報として、同時に信号を受信する複数の端末局の伝達関数情報を取得しており、その伝達関数行列に対しての指向性制御を行う際の各受信ウエイト情報が既知であるとする。
この各受信ウエイト情報は、例えば図8に示すフローチャートの従来技術における送信ウエイト行列Wの算出処理と同様の処理を行うことにより取得可能である。この受信ウエイト情報の取得における注意すべき点は、厳密にはダウンリンクの伝達関数行列とアップリンクの伝達関数行列との間には若干の補正が必要である点であるが、一般的な議論であり、本発明の本質ではないのでここではその説明を省略する。
しかしながら、アップリンクの受信ウエイトにおいては、同一端末からの送信信号までを信号分離・干渉除去の対象とする必要はない。同一端末が空間多重した複数の信号系統は、端末局間の干渉分離を行った後に、通常のMIMO受信処理を実施することで干渉除去・信号分離を行うことが可能である。
ここで、一般に周波数ドメインの処理と時間ドメインの処理は、図13に示すように、フーリエ変換、及びその逆変換であるフーリエ逆変換により、関連付けることが可能である。これは、ある信号の遅延量tに対する遅延波の振幅・位相情報を縦軸にとり、それらを線形加算した左側の時間ドメインの情報は、周波数ドメインでは各サブキャリア毎の振幅・位相情報に焼きなおすことができ、それぞれを各ウエイトで時間ドメインないしは周波数ドメインで加算したものは同一となることを意味している。
すなわち、この(24)式の意図しているものは、重み付け加算の係数wij’[t]を用い、各受信アンテナ毎の受信信号をA/D変換し、デジタル化された後の信号を時刻tだけずらした信号にこの係数wij’[t]を乗算し、線形加算することでサブキャリア毎に異なる受信指向性を実現している。以上により、本発明におけるサブキャリア毎の干渉を除去する第1次干渉除去処理を行うことが可能である。
a.各ユーザである無線端末局は大まかな送信時におけるタイミング制御は行われているものとする。つまり、ガードインターバルに比較して、各ユーザの無線端末局間の遅延の誤差は小さいものとする
b.アップリンクにおいて、マルチユーザMIMO通信を行う際、空間多重される各無線端末局(ないしは上記の第1次干渉除去処理で除去しきれない端末局間)は、お互いに直交する既知信号(プリアンブル信号)がチャネル推定用にヘッダとして付与されて発信される。
例えば、この様な手法を用いることにより、受信時のタイミング誤差を各端末毎に、4μ秒のOFDMシンボルタイミングに比較すると、シンボル誤差を1桁程度小さな値に抑えることは可能である。
また、条件bは、シングルユーザMIMO通信の場合においても、N系統の信号系列を空間多重する場合にはN個の直交したプリアンブルを用いており、同様のプリアンブルにより実現可能である。ちなみに、このプリアンブルにおける直交関係は周波数軸上での直交性の他、符号化による直交化、時間軸上の異なるスロットでプリアンブルを送信することによる直交性等、1シンボルに渡る相互相関がゼロとなる方法を任意に用いることができる。
以上の説明が、本発明の動作原理の説明である。
次に、本動作原理を利用して通信を行うための本発明の一実施形態を、以下に図を用いて説明する。先にも説明したように、本発明の特徴はOFDM変調方式を用いた場合に効果があるため、以下の説明においてもOFDM変調方式を前提とする。
図1に、本発明の第1の実施形態における無線基地局の受信部の構成例を示す。第1の実施形態においては、上述した干渉除去の処理として、第1次干渉除去のみを実施し、第2次干渉除去は行わない。
図において、1−1〜1−MRは受信アンテナ、2−1〜2−MRは無線部、3は時間軸第1次干渉除去回路、4−1〜4−MUはMIMO受信処理部、5は伝達関数管理回路、6は受信ウエイト算出回路、7は時間軸受信ウエイト算出回路を表す。ここで、MRは受信アンテナの本数、MUは同時に空間多重される端末局数を表す。
受信ウエイト算出回路6は、マルチユーザMIMO通信として信号を受信する際に、事前に、各端末毎(ないしは各空間多重された信号系統毎)に信号を分離するための受信ウエイトの算出を行う。ここでは、すでに述べたように、OFDM変調方式を前提としており、受信ウエイト算出回路6では、各サブキャリア毎の受信ウエイトが算出される。また、受信ウエイト算出回路6は算出した上記サブキャリア毎の受信ウエイトを、時間軸受信ウエイト算出回路7へ出力する。
時間軸第1次干渉除去回路3は、入力される係数wij’[t]を用い、(24)式の第2式の演算を実施し、演算結果の信号を端末毎のMIMO受信処理部4−1〜4−MUにに対して出力する。
上述したOFDM変調方式に必須となるFFT処理は、このMIMO受信処理部4−1〜4−MUの中で行われる。なお、時間軸第1次干渉除去回路3における処理は、無線部2−1〜2−MRから入力された信号を、それぞれを単に相互に線形加算するのみではなく、時間的に遅延させた信号間の線形加算も、すなわち時間ドメインにおける線形加算の処理も行われるところが特徴である。
なお、MIMO受信処理部4−1〜4−MUの数をここではMUとしているが、常にMU台の端末局の空間多重を行うとは限らない。状況に応じて、MU台よりも少ない台数の端末局を空間多重する際には、その台数に応じてMIMO受信処理部4−1〜4−MUを動作させる。
まず、受信ウエイト算出回路6は、アップリンクでのデータ,または各種制御情報の受信を判断すると(S1)、空間多重を行う無線端末局からのアップリンクに関する伝達関数情報を、伝達関数管理回路5から全て取得する(S2)。ここでの伝達関数情報は、OFDM変調方式におけるデータ伝送に用いられるサブキャリアの情報全てを意味する。
以上で受信のための事前準備を終了し(S4)、無線端末局からのデータの受信の待ち受け状態へ移行する。
時間軸第1次干渉除去回路3は、対応する各アンテナ1−1〜1−MR毎の受信処理が開始され、無線部2−1〜無線部2−MR各々から、各アンテナ毎の信号増幅・周波数変換等の基本処理の後の受信信号を入力し、(S11)、所定のサンプリング周期でサンプリングを行うA/D変換を実施する。例えば、時間軸第1次干渉除去回路3は、第i番目のアンテナ1−iでの時刻Tの受信信号を、デジタル信号であるyi [T]として出力する(S12)。
これらの信号はその後、既に干渉除去を完了済みとして、FFTをはじめとする各送信元端末毎の受信処理を、MIMO受信処理部4−1〜4−MUにおいてそれぞれ実施する。
図4に示す第2の実施形態による受信部と、図1に示す第1の実施形態による受信部との主なる差分は、第1次干渉除去処理の後段に、第2次干渉除去処理を実施するため、端末別タイミング検出回路8、残留相関算出回路9、第2次干渉除去回路10が追加されている点である。
時間軸第1次干渉除去回路3は、上述した第1の実施形態において説明したように、各無線端末毎に、ある程度他の無線端末局との干渉を低減させた分離信号(受信系統毎の信号)を、各無線端末局毎に出力している。
残留相関算出回路9は、端末別タイミング検出回路8から上記受信タイミングの情報及び無線端末毎の上記分離信号が入力されると、着目する端末宛の第i信号系統に対する時間軸第1次干渉除去回路3からの分離信号と、各信号系統に対する時間軸第1次干渉除去回路3からの分離信号との相関Cijを、(25)式により求め、第2次干渉除去回路10へ出力する。
第2次干渉除去回路10は、入力される相関値Cijにより、時間軸第1次干渉除去回路3からの各分離信号に対し、(26)式による処理を実施し、結果の出力信号を、端末毎のMIMO受信処理部4−1〜4−MUへ各々出力する。
しかしながら、本実施形態におけるように、以上の他の無線端末局との干渉を除去する処理をFFT処理の前段で行うことにより、上述の問題の影響を低減させることが可能となる。
第1の実施形態において第1次干渉除去を実施するのみであったが、第2の実施形態においては、第1次干渉除去の後、続けて以下に示す第2次干渉除去を行う。
時間軸第1次干渉除去回路3からは、第1次干渉除去により得られた各信号系統毎の各サンプリング時刻の信号であるyi’[T](第i受信系統の時刻T:サンプリング時刻の受信信号)が出力されている(S21)。この各サンプリング時刻の信号は、第2次干渉除去回路10及び端末別タイミング検出回路8に入力される。
次に、残留相関算出回路9は、上記信号yi’[T]及び検出されたシンボルタイミング情報が入力され、得られた第i系統の検出されたシンボルタイミングにおいて、第j系統の受信信号と第i系統の受信信号との相関を、プリアンブル区間に渡り算出し、これを相関Cjiとして出力する(S23)。
次に、第2次干渉除去回路10は、上記相関Cjiの情報をもとに、(26)式に記載の演算を信号系統毎に実施、すなわち信号yi’[T]から他の信号に係数Cjiを乗算した結果を減算し、各信号系列における残留干渉成分を除去することにより(S24−1〜S24−m)、第2次干渉除去を終了する(S25)。
これらの信号はその後、既に干渉除去を完了済みとして、FFTをはじめとする各送信元端末毎の受信処理を、MIMO受信処理部4−1〜4−MUにおいてそれぞれ実施する。
図5及び図6のフローチャートの差分は、ステップS26において、プリアンブルにより同一の無線端末局からの空間多重信号であることが検出された際、残留相関算出回路9は、(25)式における該当する相関Cjiにゼロを挿入する処理を行う。
または、上述したゼロ挿入と等価の処理であるが、図5のステップS23において、残留相関算出回路9が、該当する相関Cjiの算出処理を実施しない処理を行い、初期値であるゼロの値を用いるようにしてもよい。この相関Cjiにゼロを挿入する処理と、該当する相関Cjiの算出処理を実施しない処理とは等価である。
2−1〜2−3…無線部
3…時間軸第1次干渉除去回路
4−1,4−2,4−MR…MIMO受信処理部
5…伝達関数行列管理回路 6…受信ウエイト算出回路
7…時間軸受信ウエイト算出回路 8…端末別タイミング検出回路
9…残留相関算出回路 10…第2次干渉除去回路
101…基地局
102,103,104…端末局#1〜#3
111a,111b…データ分割回路
112a−1,112a−2,112a−L…プリアンブル付与回路
112b−1,112b−2,112b−L…プリアンブル付与回路
113a−1,113a−2,113a−L…変調回路
113b−1,113b−2,113b−L…変調回路
114a,114b…送信信号変換回路
115a−1,115a−2,115a−MT…無線部
115b−1,115b−2,115b−MT…無線部
116a−1,116a−2,116a−MT…送受信アンテナ
116b−1,116b−2,116b−MT…送受信アンテナ
117a,117b…伝達関数行列取得回路
118a,118b…送信ウエイト算出回路
119a,119b…空間多重条件判断回路
120a−1,120a−2,120a−L…IFFT回路
120b−1,120b−2,120b−L…IFFT回路
121−1,121−2,121−3…受信アンテナ
122−1,121−2,122−3…無線部
123…チャネル推定回路 124…受信信号管理回路
125…伝達関数行列管理回路 126…行列演算回路#1
127…行列演算回路#2 128…硬判定回路
129…データ合成回路 130…MIMO受信処理部
201−1,201−2,201−MR…受信アンテナ
202−1,202−2,202−MR…無線部
203…受信信号線形加算回路
204−1,204−2,204−MR…MIMO受信処理部
205…受信ウエイト算出回路
206…伝達関数管理回路
Claims (5)
- 一つの第1の無線局と複数の第2の無線局により構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群および前記第2の無線局の全てないしはその一部の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信することが可能なOFDM(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用いた無線通信システムにおける無線通信方法において、
前記第1の無線局における受信部が、
サブキャリア毎に、前記複数の第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群との間のMIMOチャネルの周波数ドメインにおける各伝達関数情報を取得する伝達関数行列取得ステップと、
前記複数の第2の無線局の中からその全てないしはその一部の無線局を同時に空間多重する通信相手局として選択する空間多重条件判断ステップと、
サブキャリア毎に、該選択された第2の無線局の前記第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群との間の前記伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナにて受信する際に各端末局間の干渉を分離するための周波数ドメインにおける第1のアンテナ各々の受信信号に対し乗算する係数である受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出ステップと、
該周波数ドメインにおける受信ウエイトの情報に対し逆フーリエ変換を行い、時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に所定の係数を乗算して加算することで信号分離を行うための係数である時間軸受信ウエイトを算出する時間軸受信ウエイト算出ステップと、
前記第1のアンテナ群の各アンテナ毎に個別に信号受信する信号受信ステップと、
時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することにより前記第2の無線局間の信号分離を行う時間軸第1次干渉除去ステップと、
時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することで前記第2の無線局間の信号分離を行った受信信号に対し、
信号中に設定された既知のパターンが付与されている領域において、分離された前記第2の無線局間の各受信信号間の相関すなわち残留干渉除去係数を取得する残留相関算出ステップと、
前記信号分離後の各受信信号に対して前記残留干渉除去係数を乗算した他局宛の信号を減算することで更なる干渉除去を行う第2次干渉除去ステップと
を有することを特徴とする無線通信方法。 - 前記請求項1に記載の無線通信方法であって、
前記第1の無線局における第2次干渉除去ステップは、
前記残留干渉除去係数の中の所定の成分をゼロに設定するステップを実施することを特徴とする無線通信方法。 - 前記請求項1または請求項2に記載の無線通信方法であって、
前記信号分離後の各受信信号に対して前記残留干渉除去係数を乗算した他局宛の信号を減算することで更なる干渉除去を行った受信信号に対し、
複数の前記第2の無線局毎に個別に信号検出処理を行う受信処理ステップを有することを特徴とする無線通信方法。 - 一つの無線基地局と複数の無線端末局により構成され、該無線基地局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該無線端末局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記無線基地局の前記第1のアンテナ群および前記無線端末局の全てないしはその一部の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信することが可能なOFDM(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用いた無線通信システムにおける無線基地局であって、
前記無線基地局は、
サブキャリア毎に、前記複数の第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群との間のMIMOチャネルの周波数ドメインにおける各伝達関数情報を取得する伝達関数取得手段と、
前記複数の無線端末局の中からその全てないしはその一部の無線局を同時に空間多重する通信相手局として選択する空間多重条件判定手段と、
サブキャリア毎に、該選択された無線端末局の前記第2のアンテナ群と前記第1のアンテナ群の間の前記伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナにて受信する際に各端末局間の干渉を分離するために周波数ドメインにおける第1のアンテナ各々の受信信号に乗算する係数すなわち受信ウエイトを算出する受信ウエイト算出手段と、
該周波数ドメインにおける受信ウエイトの情報に対し逆フーリエ変換を行い、時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に所定の係数を乗算して加算することで信号分離を行うための係数すなわち時間軸受信ウエイトを算出する時間軸ウエイト算出手段と、
前記第1のアンテナ群の各アンテナ毎に個別に信号受信する無線手段と、
前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信した信号に対してアナログデジタル変換を行うA/D変換手段と、
時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信され且つアナログデジタル変換された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することで前記無線端末局間の信号分離を行う時間軸第1次干渉除去手段と、
時間ドメインにおいて前記第1のアンテナ群の各アンテナで受信された信号に対し所定の遅延を付加した信号に前記時間軸受信ウエイトを乗算して加算することで前記無線端末局間の信号分離を行った受信信号に対し、
信号中に設定された既知のパターンが付与されている領域において、分離された前記無線端末局間の各受信信号間の相関すなわち残留干渉除去係数を取得する残留相関算出手段と、
前記信号分離後の各受信信号に対して前記残留干渉除去係数を乗算した信号を加算することで更なる干渉除去を行う第2次干渉除去手段と
を備えることを特徴とする無線基地局。 - 前記請求項4に記載の無線基地局であって、
前記信号分離後の各受信信号に対して前記残留干渉除去係数を乗算した他局宛の信号を減算することで更なる干渉除去を行った受信信号に対し、
複数の前記第2の無線局毎に個別に信号検出処理を行う受信処理手段を
をさらに備えることを特徴とする無線基地局。
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