JP4476873B2 - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、同一の周波数チャネルにて、異なる複数の信号系統の信号を複数の送信アンテナを用いて送信し、複数の受信アンテナを用いて信号を受信し、各信号系統に付与された既知の信号パターンを参照信号として受信側で各信号系列を分離し且つ復調することにより無線通信を実現する高速無線アクセスシステムにおいて、基地局側にて送信ダイバーシチ利得を稼ぎ、無線端末側での受信特性を改善するための送信技術、特に、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムの伝送速度の高速化を行う無線通信方法、並びに該方法を用いた無線通信装置に関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、最大で54Mbpsの伝送速度を実現しているが、無線LANの普及に伴い更なる伝送速度の高速化が求められている。
そのための技術としては、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局側で各アンテナから送信した独立な信号を受信局側において推定し、データを再生するものである。
ここで、N本の送信アンテナを用いてN系統の信号を送信し、M本のアンテナを用いて信号を受信する場合を考える。まず、送受信局の各アンテナ間にはN×M個の伝送のパスが存在し、第i送信アンテナから送信され第j受信アンテナで受信される場合の伝達関数をhj,iとし、これを第(j,i)成分とするM行N列の行列をHと表記する。さらに、第i送信アンテナからの送信信号をtとし(t,t,t,…,t)を成分とする列ベクトルをTx、第j受信アンテナでの受信信号をrとし(r,r,r,…,r)を成分とする列ベクトルをRx、第j受信アンテナの熱雑音をnとし(n,n,n,…,n)を成分とする列ベクトルをnと表記する。この場合、以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004476873
したがって、受信局側で受信した信号Rxを基に、送信信号Txを推定する技術が求められている。このMIMO技術の最も基本的なものとしては、一般にZF(Zero Forcing)法と呼ばれる方法があげられる。ここでは、上記の数式(1)に対し、伝達関数行列の逆行列H−1を求め、これを式の両辺の左から掛け合わせる処理を行う。この結果、以下の式が得られる。
Figure 0004476873
つまり、各受信アンテナで受信した信号を合成し、所望の送信アンテナ以外からの信号による干渉を除去する処理を行うと、実際の送信信号ベクトルTxに微小な熱雑音項H−1×nが加わった信号点が得られることになる。ここで、送信信号として、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の多値変調を施した信号を用いる場合には、送信信号として取り得る信号点は不連続である。したがって、H−1×Rxに対する軟判定ないしは硬判定(H−1×Rxとユークリッド距離が最も近い点を送信コンスタレーション上で検索)する処理を行い、真の送信信号を推定する。
上述したZF法においては、各信号系列の系列間の干渉を除去して信号を分離するため、伝達関数行列Hの逆行列を用いている。これは、あくまでも各信号系列間の相互干渉を除去するのが目的であり、受信アンテナ間の合成によるダイバーシチ利得を最大にするものではない。本来であれば、信号分離後の各信号系列のS/N比(信号対雑音レベル比)を最大にすることを方針として掲げて信号分離処理を行うのが好ましい。このS/N比を最大にする、すなわち受信側で最大比合成処理を実現するためには、送信側において、受信端にて各信号系列が直交するように信号を調整して送信する方法が考えられる。この方法は、E−SDM(Eigenbeam-Space Division Multiplexing)方式と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照)。
このE−SDM方式では、送信側において伝達関数行列Hが既知であることを前提とする。この行列Hを基に、この行列のエルミート共役の行列HとHの積、すなわちN×Nの行列H×Hを対角化するユニタリ行列Uを求め、送信信号ベクトルTxに対してユニタリ変換を行った信号U×Txを送信する。プリアンブル信号も含めてユニタリ変換した信号を送信すれば、受信局側では実際の伝達関数行列がHであったとしても、チャネル推定により得られる伝達関数行列はH×Uとなる。ここで、このユニタリ変換行列Uと行列Hには以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004476873
この数式(3)の右辺の行列ΛはN×Nの対角行列であり、行列の対角成分が非ゼロであり(各成分は固有値と呼ばれ、λ,λ,λ…と表記しておく)、その他の非対角成分がゼロとなる。この方式を用いた場合には数式(1)も以下のように変換されている。
Figure 0004476873
両辺の左から推定された伝達関数行列H×Uのユニタリ共役の行列を乗算すると、数式(4)は以下のように変換される。
Figure 0004476873
これは、N系統の信号系列は完全に直交した状態にあることを意味する。また、右辺に現れた行列Λは、推定された伝達関数行列より数式(3)により直接的に求めることができる。このため、元々の行列Hが逆行列を持つか持たないかに依存せず、数式(3)および数式(5)により安定して送信信号Txを推定することが可能である。
なお、以上の説明において、行列Uは基本的には正方行列となることが想定されているが、非正方行列となっても構わない。例えば、4本の送信アンテナを用いて2系統の送信信号系統を空間多重し、受信側で2本の受信アンテナで受信処理を行う場合を考える。伝達関数行列Hは、この場合には2行4列の行列となり、H×Hは4行4列の行列となる。
しかしながら、元々、伝達関数行列Hは2行しかない行列であったため、非ゼロの固有値の個数は2個となる。この結果、この固有値に対応する2つの固有ベクトルを求めることは可能であるが、4次元ベクトルにおける残りの2つの固有ベクトルは不定となる。これが意図していることは、残りのふたつのベクトルは2つの固有ベクトルに直交している必要はあるが、2つの固有ベクトルの張る部分空間に直交している部分空間に属する2つの直交ベクトルであれば、どのようなベクトルを選んでも構わない。
また、仮にその方向に信号を送信したとしても、固有値がゼロであるために、受信側では信号が全く受信できないことになる。このような場合、ユニタリ変換行列Uを非ゼロの固有ベクトルに対応した固有ベクトルのみで構成した4行2列の行列として扱い、数式(3)の右辺が2行2列の非ゼロの固有値のみを抜き出した対角行列として扱うことも可能である。数式(4)では、変換行列Uにより、2系統の信号系統を4系統に仮想的に変換し、4本のアンテナから信号を送信し、伝達関数行列Hで特徴付けられたMIMOチャネルを経由して、受信アンテナで信号が受信されることになる。以降の説明では、正方行列であるユニタリ行列から非ゼロの固有値に対応する固有ベクトルのみを抜き出した行列についても、便宜上、特に区別することなしに、ユニタリ行列(ユニタリ変換)と呼ぶことにする。
補足であるが、E−SDM方式では、送信側において信号を変換することにより、送信信号に指向性を持たせるフェーズドアレーアンテナ技術と等価的なことを行っているものと理解することもできる。これにより、各送信アンテナ間の干渉を回避しながら、ダイバーシチ利得をあわせて得ることができるために、非常に良好な特性が期待できる。
以上の説明では、受信局側においての処理は数式(5)に該当するものを想定していた。但し、プリアンブル信号自体もユニタリ変換を行うのであれば、受信局において行うMIMOチャネルのチャネル推定結果は、元の伝達関数行列Hではなく、ユニタリ変換を含めたMIMOチャネルであるH×Uとして伝達関数行列が取得される。この場合、数式(4)に対してH×Uの逆行列を数式(2)のように作用させることにより求めることができる。
Figure 0004476873
つまり、数式(6)の意味することは、送信側でユニタリ変換を実施するか否かにかかわらず、プリアンブル信号とデータ部分の処理が同一である限り、受信側での信号検出処理は数式(5)によるものである必要はなく、前述したZF法に加えてMLD(Maximum Liklihood Detection)法やMMSE(Minimum Mean Square Error)法などでも構わない。先に説明した通り、ZF法単独では最大比合成の効果が期待できなかったが、送信側においてE−SDM方式により送信信号にユニタリ変換を実施した場合には、送信信号が直交化されるために、結果的に最大比合成の利得が得られるという効果があった。
なお、このE−SDM方式においては、必ずしも送信信号系統の数(空間多重する信号系統の数)と送信アンテナの本数は必ずしも一致している必要はない。
以下に、上述した従来方式における送信局および受信局の構成の例を図を用いて説明する。図10は、従来技術における送信局の送信部の構成を示すブロック図である。まず、一例として、送信局が4つの送信アンテナを用いて2系統のデータを送信する場合を例にとって説明する。説明の都合上、送信機能と受信機能を分離して説明しているが、一般には送受信の機能を備えた無線通信装置の形態をとる。送信局側の制御においては、送信局から受信局へのMIMOチャネルの伝達関数行列の取得が必要となるが、その取得方法は一般的ないかなる方法であっても良い。ここでは、受信局から送信局方向の信号を受信し、そこから送信局から受信局方向の伝達関数行列を推定する場合を例にとって説明する。
図10において、1はデータ分割回路、2−1〜2−2はプリアンブル付与回路、3−1〜3−2は変調回路、4は送信信号変換回路、5−1〜5−4は無線部、6−1〜6−4はアンテナ、7はチャネル推定回路、8は伝達関数行列管理回路、9は行列演算回路、10は固有ベクトル生成回路である。
まず、アンテナ6−1〜6−4および無線部5−1〜5−4は、送信と受信の際に用いることとする。MIMOチャネルの伝達関数行列推定用のプリアンブル信号が付与された信号をアンテナ6−1〜6−4および無線部5−1〜5−4を経由して受信すると、チャネル推定回路7は、既知のパターンであるプリアンブル信号の受信状態から、伝達関数行列を取得する。
MIMOチャネルにおいて、伝搬空間および送受信アンテナに依存する部分については、送信局から受信局方向の伝達関数行列と、受信局から送信局方向の伝達関数行列とは、その行列を転置した関係になっているが、送受信における無線部の特性から、実際には転置に加えて所定の係数を乗算するなどして補正する必要がある場合もある。
チャネル推定回路7では、必要に応じてその補正処理も行い、その結果を伝達関数行列管理回路8に出力する。伝達関数行列管理回路8では、この情報を管理し、行列演算回路9にて伝達関数行列のエルミート共役行列Hおよびそれぞれの積H・Hを計算する。固有ベクトル生成回路10では、H・Hの固有ベクトルを求める。ここでは、伝達関数行列Hは2行4列の行列であり、受信側のアンテナ数にかかわらずH・Hは4行4列となる。
そこで、固有ベクトル生成回路10では、4つの固有値のうちの大きな固有値に対応する2つの固有ベクトルを生成する。さらに、生成した固有ベクトル(列ベクトル)を2つ並べ、4行2列の変換行列Uを事前に生成しておく。データの送信時には、データ分割回路1に入力されたデータは、空間多重する信号の系統数(ここでは2系統)に分割され、それぞれの系統毎にプリアンブル付与回路2−1〜2−2にて既知のパターンのプリアンブル信号が付与され、変調回路3−1〜3−2で所定の信号変調が行われる。
送信信号変換回路4には、先ほどの変換行列Uが入力され、2つの送信系統に対応した信号を2つの成分を持つ列ベクトルとみなし、この送信すべき信号に変換行列Uを作用させ、2行の列ベクトルから4行の列ベクトルに変換する。それぞれの信号は、無線部5−1〜5−4に送られ、無線周波数への変換や信号増幅等の後、アンテナ6−1〜6−4を経由して出力される。
図11は、従来技術における受信局の受信部の構成を示すブロック図である。ここでは、一例として受信アンテナ数が2本の場合を例にとって説明する。図において、121−1〜121−2は受信アンテナ、122−1〜122−2は無線部、123はチャネル推定回路、124は受信信号管理回路、125は伝達関数行列管理回路、126は信号検出回路、127はデータ合成回路を示す。
受信アンテナ121−1〜121−2にて受信された信号は、無線部122−1〜122−2にて信号増幅、周波数変換等の処理を各受信系統で独立に行う。受信された信号の先頭部分に付与されたMIMOチャネル推定用の信号は切り出されてチャネル推定回路123に入力される。チャネル推定回路123では既知の信号の受信状態からMIMOチャネルの伝達関数情報を取得する。
一般に、受信機能に加えて送信機能も備える無線通信装置の場合には、このチャネル推定回路123は、先の図10に示すチャネル推定回路7と共用することも可能である。ここで推定された伝達関数情報は、伝達関数行列管理回路125に入力され、伝達関数行列として管理される。
一方、プリアンブル信号に後続するデータ部の信号は、受信信号管理回路124に入力される。信号検出回路126では、受信信号管理回路124にて管理された各信号系統の受信信号と、伝達関数行列管理回路125で管理された伝達関数行列とから、シンボルを単位として送信局側が送信した信号を推定する。推定された結果は、データ合成回路127に出力され、各信号系統を合成して元のデータを再生し、出力される。なお、信号検出回路126における処理としては、先に説明した数式(2)、数式(5)、数式(6)等の如何なる処理を用いても構わない。
次に、図12は、従来技術における送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成例を示すブロック図である。なお、図10に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、11は受信信号管理回路、12は信号検出回路、13はデータ合成回路を示す。基本的な動作は、前述した図10と図11を合わせた処理になっており、チャネル推定回路7とチャネル推定回路123、伝達関数行列管理回路108と伝達関数行列管理回路125が送信および受信の両系にて共用化されている点が異なるのみである。
図13は、従来技術における信号送信時の処理を示すフローチャートである。データが入力されると(S101)、送信局では、N系統のデータ系列に分割され(S102)、これらの信号にはそれぞれプリアンブル信号が付与され(S103)、これに各系列毎に個別に変調処理を行う(S104)。変調された信号には、ユニタリ変換が実施され(S105)、ユニタリ変換後の信号が無線部にて無線周波数に変換され信号が送信される(S106)。送信データが続く場合には(S107)、ステップS104からステップS106を繰り返し、送信データ終了後(S107)、処理を完了する(S108)。
次に、図14は、従来方式におけるユニタリ変換行列生成のための処理を示すフローチャートである。送信局が何らかの手段で伝達関数行列に関する情報を取得すると(S111)、伝達関数行列Hとそのエルミート共役の行列との積H・Hを求め(S112)、H・Hの固有ベクトルを求め(S113)、その固有ベクトルを成分として含むユニタリ変換行列を生成する(S114)。このユニタリ変換行列は、一旦、メモリに記憶され(S115)、処理を終了する(S116)。この記憶されたユニタリ変換行列は、信号送信時において、図13に示すステップS105におけるユニタリ変換で利用される。
次に、図15は、従来技術における受信局の受信動作を示すフローチャートである。受信局では、無線パケットを受信すると(S121)、プリアンブルを検出し(S122)、チャネル推定を実施する(S123)。ここでは、各送信アンテナおよび受信アンテナ間の伝達関数を全て取得する。一方、プリアンブル信号に後続して受信される信号は、1シンボル毎に各受信アンテナでの受信信号rを成分としてもつ受信信号ベクトルRxとして管理される(S124)。これに対し、Rx≒H×Txの関係から各送信系統の送信信号を推定する(S125)。更に受信データが継続する場合には(S126のNO)、ステップS124に戻り、ステップS124〜S125を繰り返す。受信データが終わった場合(S126のYES)、一連の各系統の受信データを再構成し、送信側でのデータを再現してデータを出力し(S127)、処理を完了する(S128)。
次に、図16は、OFDM変調方式を用いた従来技術における信号送信時の処理を示すフローチャートである。なお、図13に対応するステップには同一の符号を付けている。図13では、シングルキャリアを前提として説明したが、OFDM変調方式を用いる場合には、ステップS102からステップS103およびステップS104からステップS105については、複数のサブキャリアに対して個別に処理を実施することになる。さらなる図13との差分は、ステップS131にてサブキャリア毎にデータを分割し、ステップS132にて各サブキャリアの信号に対してIFFT処理を施し、ステップS133にてガードインターバルを挿入する処理を実施する点である。
次に、図17は、OFDM変調方式を用いた従来技術における信号受信時の処理を示すフローチャートである。なお、図15に対応するステップには同一の符号を付けている。図15では、シングルキャリアを前提として説明したが、OFDM変調方式を用いる場合には、ステップS122からステップS123およびステップS124からステップS125については、複数のサブキャリアに対して個別に処理を実施することになる。更なる図15との差分は、ステップS141およびステップS143において、受信信号におけるガードインターバルの除去を実施し、ステップS142およびステップS144にて受信信号の高速フーリエ変換を実施し、各サブキャリア毎に信号を分離する点である。
宮下他「MIMOチャネルにおける固有ビーム空間分割多重(E−SDM)方式」、信学技法、RCS2002−53、2002年5月
ところで、上述したE−SDM方式では、各信号系列の信号は、N行N列の正方行列H×Hに対するそれぞれ固有値λ〜λに相当するサブチャネルに分離されるように送信側で処理を行う。このため、各固有値に対応する固有ベクトルを求め、この固有ベクトルを組み合わせて前述のユニタリ変換を行う。送信アンテナの数が2つまでであれば、固有値と固有ベクトルとは、公式を用いて確定的な処理を実施することで求めることができるが、特にアンテナ数が3つ以上になる場合には、固有値および固有ベクトルを求める演算は簡単ではない。
計算機上での演算を仮定した場合、行列Mの固有値および固有ベクトルを求める演算は、例えば、下記のような手段で求めることが可能である。まず、N=3を例に取り、3行3列の行列M、3つの固有値をλ、λ、λ(ここで‖λ‖≧‖λ‖≧‖λ‖とし、‖x‖は複素数xの絶対値である)、それぞれの固有ベクトルをu、u、uと表記する。任意の3次元ベクトルvは、これらの固有ベクトルの線形結合(係数を[A,A,A]とする)で表記可能である。
Figure 0004476873
これに行列Mを作用させると、以下の式を得る。
Figure 0004476873
したがって、Mをk回作用させると、以下のようになる。
Figure 0004476873
ここで、‖λ‖>‖λ‖>‖λ‖であれば、k⇒∞とすると、M・v≒A・λ ・uという近似が可能である。これを順次利用すると、各固有値と固有ベクトルとを近似的に求めることが可能である。
しかしながら、このような演算は、ベクトルに行列を複数回乗算する必要があり、処理遅延とともに演算量も膨大となる。このインパクトは、計算機上であれば無視可能であるかもしれないが、リアルタイムで処理を行う必要がある場合には、遅延の短縮のために並列的な処理を行うための個別回路を多数備え、パラレルに演算を実行する必要がある。特に、複素乗算回路は、回路規模が一般に大きく、現実的に実装可能な回路規模を考慮すると、上記の手法で固有ベクトル(ないしはそれを合成したユニタリ変換行列)を求めるのは非常に厳しい。
特に、双方向通信の場合、通信の相手局からの信号を受信後、すぐにその局に対して返信する際には、短時間での処理が必須である。伝達関数行列の取得から固有ベクトルの生成までに時間がかかると、ユニタリ変換は、少なくともその時間以上、過去の情報を用いて行わなければならないが、伝達関数行列は、時間と共に変動するため、それだけ精度の低いユニタリ変換を用いなければならず、その結果、受信側での特性は劣化する。
上述したように、送信側で送信信号に対して伝達関数行列に依存した何らかの変換処理を実施するのであれば、その変換行列の生成は、確定的な処理のみで構成され、かつ、可能な限り簡易な処理であることが好ましい。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、MIMO伝送における送信局側での送信信号に対する変換処理を容易に実施することができ、受信側での受信特性を向上させることができる無線通信装置および無線通信方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、M≧2となる整数M、N≧3となる整数N、N>N’≧2である整数N’に対し、同一周波数チャネル上で複数の信号系列を空間上で多重化して送信するN本の送信アンテナを備えた送信局と、送信された無線信号を受信し、前記複数の信号系列に分離して受信処理を行うM本以上の受信アンテナを備えた受信局とにより構成され、該送受信局間の複数のアンテナ間のMIMOチャネルを利用して通信を行う無線通信装置において、前記送信局は、該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得するチャネル推定手段と、取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成する伝達関数行列生成手段と、入力されたユーザデータをN’系統に分割するデータ分割手段と、前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成する送信信号系列生成手段と、前記伝達関数行列生成手段で生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し、該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択する行ベクトル選択手段と、該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出する基底ベクトル抽出手段と、該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成する変換行列生成手段と、N’系統の送信信号を変換行列を用いて変換する送信信号変換手段と、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信する送信手段とを具備することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記行ベクトル選択手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個を選択することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記行ベクトル選択手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルh(1≦k≦M、kは整数)を含むように選択し、前記基底ベクトル抽出手段は、hを規格化した基底ベクトルを含むように基底ベクトルを抽出することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記基底ベクトル抽出手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いて基底ベクトルを抽出することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記送信局は、直交周波数分割多重変調方式を用い、前記変換行列生成手段は、各サブキャリア毎に前記変換行列を生成し、前記送信信号変換手段は、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換し、前記送信手段は、直交周波数分割多重変調方式を用いて、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信することを特徴とする。
また、上述した課題を解決するために、本発明は、M≧2となる整数M、N≧3となる整数N、N>N’≧2である整数N’に対し、同一周波数チャネル上で複数の信号系列を空間上で多重化して送信するN本の送信アンテナを備えた送信局と、送信された無線信号を受信し前記複数の信号系列に分離して受信処理を行うM本以上の受信アンテナを備えた受信局とにより、該送受信局間の複数のアンテナ間のMIMOチャネルを利用して通信を行う無線通信方法において、前記送信局は、該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得するステップと、取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成するステップと、入力されたユーザデータをN’系統に分割するステップと、前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成するステップと、生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択するステップと、該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出するステップと、該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成するステップと、N’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換するステップと、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信するステップとを有することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個選択するステップとをさらに有することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルを選択するステップと、該選択されたベクトルを規格化したベクトルを1つの基底ベクトルとして抽出するステップと、該基底ベクトルを含め、計N’個選択するステップとをさらに有することを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記基底ベクトルを抽出するステップは、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いることを特徴とする。
本発明は、上記の発明において、前記送信局は、直交周波数分割多重変調方式を用いて送信信号を送信し、前記変換行列を生成するステップは、各サブキャリア毎に変換行列を生成し、前記送信信号を変換するステップは、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を変換行列を用いて変換し、前記送信信号を送信するステップは、直交周波数分割多重変調方式を用いて変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信することを特徴とする。
この発明によれば、前記送信局において、チャネル推定手段により、該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得し、伝達関数行列生成手段により、取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成し、データ分割手段により、入力されたユーザデータをN’系統に分割し、送信信号系列生成手段により、前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成し、該生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し、行ベクトル選択手段により、該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択し、基底ベクトル抽出手段により、該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出し、変換行列生成手段により、該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成し、送信信号変換手段により、N’系統の送信信号を変換行列を用いて変換し、送信手段により、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信する。したがって、固有ベクトルそのものを求める必要はなく、伝達関数行列を構成する行ベクトル群の中の一部が張る部分空間に存在する直交基底ベクトルを求めればよく、変換行列を容易に、かつ確定的に取得することができるという利点が得られる。この結果、変換行列の取得に要する処理遅延も短縮可能であり、伝達関数行列の情報を取得してから即座にその情報を利用した信号の変換処理が可能なことから、適用可能なケースが広がる上、時変動が早い伝搬環境においても対応可能という副次的な効果も得られる。
また、本発明によれば、前記行ベクトル選択手段により、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個を選択する。したがって、送信側のアンテナの本数を増やし、冗長度を増すことにより送信ダイバーシチ利得を稼ぐ場合において、より効率的に送信信号の指向性を選択することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記行ベクトル選択手段により、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルh(1≦k≦M、kは整数)を含むように選択し、前記基底ベクトル抽出手段により、hを規格化した基底ベクトルを含むように基底ベクトルを抽出する。したがって、送信側のアンテナの本数を増やし、冗長度を増すことにより送信ダイバーシチ利得を稼ぐ場合において、より効率的に送信信号の指向性を選択することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記基底ベクトル抽出手段により、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いて基底ベクトルを抽出する。したがって、変換行列の元になる直交基底ベクトルを確定的な処理により容易に生成することができるという利点が得られる。特に、従来のE−SDM方式において信号多重数が3つ以上の場合には固有ベクトルを直接求める公式がなかったのに対し、規定通りの手順を実施することにより、変換行列が確実に求めることができる。この結果として、処理遅延の短縮および演算量の削減が可能となる。
また、本発明によれば、前記送信局で直交周波数分割多重変調方式を採用し、前記変換行列生成手段により、各サブキャリア毎に前記変換行列を生成し、前記送信信号変換手段により、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換し、前記送信手段により、直交周波数分割多重変調方式を用いて、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信する。したがって、マルチパス環境での周波数選択性フェージングに対する耐性の高いOFDM変調方式と組み合わせ、複数の信号系統の信号を効率的に伝送することができるという利点が得られる。
また、この発明によれば、該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得するステップと、取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成するステップと、入力されたユーザデータをN’系統に分割するステップと、前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成するステップと、生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択するステップと、該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出するステップと、該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成するステップと、N’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換するステップと、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信するステップとを前記送信局で実行する。したがって、従来の固有ベクトルを用いたユニタリ変換行列を利用する方式に対し、信号を効率的に伝送するための変換行列を容易に取得することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個選択するステップとをさらに送信局で実行する。したがって、送信側のアンテナの本数を増やし、冗長度を増すことにより送信ダイバーシチ利得を稼ぐ場合において、より効率的に送信信号の指向性を選択することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルを選択するステップと、該選択されたベクトルを規格化したベクトルを1つの基底ベクトルとして抽出するステップと、該基底ベクトルを含め、計N’個選択するステップと送信局で実行する。したがって、送信側のアンテナの本数を増やし、冗長度を増すことにより送信ダイバーシチ利得を稼ぐ場合において、より効率的に送信信号の指向性を選択することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記基底ベクトルを抽出するステップで、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いる。したがって、変換行列の元になる直交基底ベクトルを容易に生成することができるという利点が得られる。
また、本発明によれば、前記送信局は、直交周波数分割多重変調方式を用いて送信信号を送信し、前記変換行列を生成するステップで、各サブキャリア毎に変換行列を生成し、前記送信信号を変換するステップで、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を変換行列を用いて変換し、前記送信信号を送信するステップで、直交周波数分割多重変調方式を用いて変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信する。したがって、マルチパス環境での周波数選択性フェージングに対する耐性の高いOFDM変調方式と組み合わせ、複数の信号系統の信号を効率的に伝送することができるという利点が得られる。
以下、本発明の一実施形態による無線通信装置を、図面を参照して説明する。
A.本発明の原理
まず、本発明の原理について説明する。一般に、送信側において固有ビームを形成して送信するE−SDMの適用による効果は、受信側において数式(5)で示すE−SDM本来の処理を実施する場合の他、数式(6)で示すような受信側でZF法やMMSE法等の方法を用いる場合に特性が改善される。一方で、MLD法を用いた場合には、MLD法そのものが非線形効果をうまく取り込むことが可能であったため、送信側で適切な固有ビームを形成しなくても、受信側のみで十分な特性を得ることが可能であった。言い換えれば、受信側でMLD法を用いる場合、ないしはMLD法をベースとした様々なアプローチを用いる場合には、送信側での固有ビームの形成の有無(E−SDM法の適用)は直接的には受信特性に影響を与えるものではなかった。
以下に、MLD法の基本的な原理を示す。まず、MIMOチャネルの伝達関数行列と送信信号および受信信号との間には、数式(1)の関係が成立しているとする。ここで、Txは、N次元の送信信号ベクトルであり、各要素は、各信号系統の送信信号を表わしている。例えば、64QAMのような多値変調を用いる場合には、各信号系統の送信信号として候補数は、その変調モードの多値数m(64QAMの場合はm=64)に一致する。N’系統の信号系統を送信する場合には、各系統の送信信号の組み合わせとして、mN’個の候補が存在する。これらの候補をTx[n]と表記し、nはそれぞれの識別番号とする。ここで、複数個の選択肢があるTx[n]を数式(1)のTxに代入すると、送信信号ベクトルがTx[n]であった場合の受信信号の予想値(以降、受信レプリカ信号と呼ぶ)が求まる。ここで、実際の受信信号と受信レプリカ信号との差分を求め、この幾何学的な距離が小さいものが実際の送信信号に近いものと期待される。1つの例として、幾何学的な距離としてユークリッド距離を用いた場合、このユークリッド距離は以下の式で与えられる。
Figure 0004476873
ここで、このユークリッド距離を最小とするTx[n]を選べば、最も確からしい送信信号と言うことができる。
このMLD法が良好な特性を示す理由は、受信局側において受信された信号が、途中の処理において複数系統の信号を逆位相で加算する等の線形演算によるロスを生じさせることがないためである。言い換えれば、送受信局間において送信信号のエネルギーが少ないロスで伝達される限り、その受信エネルギーを効率的に利用することができる。
そこで、送信された信号が受信側においてどのように受信されるかについて、送信アンテナ数4本、受信アンテナ数2本、送信する信号系統数が2の場合を例にとり、説明を行う。先にも説明したが、一般的には必ずしも送信アンテナ数と送信する(空間多重する)信号系統数は一致する必要はない。2系統の信号系統を4本のアンテナに適宜線形合成して送信するということは、2本のアンテナの自由度に対して4本のアンテナの自由度を用いて送信することになり、所謂、送信ダイバーシチの利得が期待される。
まず、2次元の送信信号ベクトルをTxとする。これに対し、各信号系統の信号に対し、適宜、重み付けを行い4本の送信アンテナに割り振る変換行列をUとする。この4本の送信アンテナと、2本の受信アンテナの間の伝達関数行列をHとする。
Figure 0004476873
Figure 0004476873
ここで、各行列を構成する行ベクトルh、h、u、uは、各々、4次元複素ベクトルである。そこで、4次元空間の中のh、hの線形結合で表記可能な部分空間を考え、この部分空間に所属する2つの直交ベクトルとして2つの基底ベクトルを抽出し、これをu、uとする。このような基底ベクトルの簡易な抽出方法はグラムシュミットの直交化法などが知られており、以下の式で与えられる。
Figure 0004476873
Figure 0004476873
つまり、uはh方向の単位ベクトルであり、uは、hからuへの射影部分をhから減算し、それを規格化することで求める。部分空間が3つ以上のベクトルで張られる場合には、同様の処理を順次繰り返す。このようにして、2つの送信系統の信号を4本のアンテナで送信するための変換行列Uを求める。この変換行列を用いて、送信信号ベクトルTxは、U×Txとして変換されて送信される。この結果、数式(4)の関係式が受信信号との間に成立する。
ここでは、元々の4次元空間に対し、2つのベクトルu、uのみについて言及していたが、この2つの基底ベクトルに直交する、残りの2つの基底ベクトルをu、uとして、この性質を理解してみる。そのため、以下のような変換行列U’を考える。
Figure 0004476873
この際、h⊥u、h⊥u、h⊥u、h⊥uであることに注意すると、これらのベクトルの内積はゼロとなる。そこで、この変換を用いると、以下のように任意の送信信号[t,t]に対して、受信側で受信される信号は常にゼロベクトルとなる。
Figure 0004476873
この式の意図することは、送信側で何らかの信号を送信しても、空間上でそれらの信号はキャンセルし合い、受信側の受信アンテナでの受信信号強度は常にゼロとなっている点である。言い換えると、4次元空間上でこの方向に信号を送信すると、その信号は受信時において完全にロスとなることを意味する。逆に言えば、送信側においては、このu、uの線形合成で表記可能な空間を避けて送信すれば、ロスの少ない信号伝送が可能となる。つまり、少なくとも受信アンテナにおける受信信号強度はロスの少ない分だけ強くなるはずである。
数学的に説明すると、2行4列の伝達関数行列Hに対し、H・Hは4行4列の正方行列になる。この行列の固有値は、元々が2行4列の行列から生成したものであるために、2つの非ゼロの固有値(送信アンテナ数「4」と受信アンテナ数「2」のうちの、小さい方の値の数だけ、非ゼロの固有値が存在する)に加え、2つの値がゼロの固有値が存在することになる。非ゼロの固有値に対応する2つの固有ベクトルは、u、uの張る空間に属し、残りのゼロの固有値に対応する固有ベクトルは、u、uの張る空間に属する。もちろん、u、uは、非ゼロの固有値に対する固有ベクトルとは一致する保証がない点に注意しておく。
以上の理由から、数式(13)、数式(14)等で求められるベクトルu、uを用いて変換行列Uを構成し、この変換を行って信号を送信すると、少なくとも受信アンテナまではロスを最小化して信号伝送を行うことができる。もちろん、固有ベクトルとは違う方向を向いたベクトルであるために、この変換を用いて数式(5)で与えられるE−SDM法を適用することはできない。また、数式(6)で表わされるZF法などにおいては、必ずしも最大比合成が可能であるという保証はない。しかし、受信側でMLD法ないしはMLD法を簡略化した方法を用いることが可能であれば、上述したようにして求めた基底ベクトルを用いて送信信号を変換すれば十分な特性を得ることができる。
なお、上述した説明では、送信アンテナ数「4」、受信アンテナ数「2」、空間多重する信号系統数「2」としていたが、空間多重する信号の系統数よりも冗長な送信アンテナを備えていれば、その他の値に対しても当然ながら適用することは可能である。
一般に、無線通信システムにおいては、有線ネットワークに接続された基地局(ないしはアクセスポイント)と、この基地局と無線接続される複数の端末局とから構成される。この際、端末局側の回路規模を抑制するために、基地局側に付加的な機能を加えるアプローチは良く見られる手法である。本発明においては、端末側のアンテナ数が2本以上の場合でも、基地局側のアンテナ数を増やし、その冗長性の結果として送信ダイバーシチ利得を稼ぐことになる。
以上の本発明の原理を実現するための種々の実施形態について、以下に図を参照して説明する。ここでは、簡単のため、4本の送信アンテナを用いて2つの信号系列を重畳して伝送を行う場合を想定して説明を行う。
B.第1実施形態
B−1.第1実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態による送信局の送信部の構成を示すブロック図である。一例として、図10と同様に送信局が4つの送信アンテナを用いて2系統のデータを送信する場合について説明する。ここでも、説明の都合上、送信機能と受信機能を分離して説明しているが、一般には送受信の機能を備えた無線通信装置の形態をとる。なお、図10に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。
図1において、図10に示す行列演算回路9、固有ベクトル生成回路10が基底ベクトル生成回路14に置き換えられている。基底ベクトル生成回路14では、伝達関数行列Hを数式(11)のように表記した場合、これを構成する行ベクトル群(h、h)が含まれる部分空間を構成する基底ベクトルを生成する。生成の方法は、如何なる方法でも構わないが、例えば数式(13)、数式(14)のようなグラムシュミットの直交化法を用いることが可能である。ここで生成された基底ベクトルに対し、数式(12)のようにエルミート共役であるベクトルを生成し、この組み合わせで表記される変換行列Uは、送信信号変換回路4に出力され、ここではこの変換行列を用いて送信信号を変換する。
なお、本発明においても受信局側の構成については、図11で示したものからの変更はない。
次に、図2は、本第1実施形態における基底ベクトル生成回路14の構成を示すブロック図である。図において、21は行ベクトル抽出回路、22は選択回路、23は直交基底生成回路、24は変換行列生成回路、25は絶対値演算回路、26は比較回路である。
伝達関数行列の情報が入力されると、行ベクトル抽出回路21では、送信局から受信局方向での伝達関数行列を行ベクトルに分解し、その情報を絶対値演算回路25に通知する。絶対値演算回路25では、各行ベクトルの絶対値ないしはその近似値を演算により求め、その結果を比較回路26に通知する。選択回路22では、行ベクトル抽出回路21から各行ベクトルの情報を、比較回路26からは各ベクトルの絶対値の大小関係の情報を受け取り、絶対値の大きい方から所定の数だけ直交基底生成回路23に入力する。
例えば、伝達関数行列が2行4列であったとすると、行ベクトルは2種類存在する。送信時に空間多重する信号の系統数が2系統であれば、この2種類の行ベクトルを用いる。仮に、伝達関数行列が3行4列(受信側の受信アンテナが3本の場合)であった場合、行ベクトルは3種類存在するが、送信時に空間多重する信号の系統数が2系統であれば、選択回路22では、この3種類の行ベクトルの中から絶対値の大きいもの2個を選択し、直交基底生成回路23に入力する。
直交基底生成回路23では、例えば4次元ベクトルに対して2つの行ベクトルが指定されると、数式(13)および数式(14)のようにして2種類の直交基底を生成する。この際、任意の一方を数式(13)に代入しても良いし、絶対値の大きい方を選択的に数式(13)に対応させても良い。また、数式(13)、数式(14)はグラムシュミットの直交化法を仮定したものであるが、その他の方法を用いて直交基底を求めても構わない。求められた直交基底(行ベクトル)は、変換行列生成回路24に入力され、それぞれエルミート共役となる列ベクトルを用いて変換行列Uを生成し、これを出力する。
なお、選択回路22では、複数の行ベクトルのうちの絶対値が最大のものを含むように選択し、残りのベクトルは必ずしも絶対値の大きい順に選ばなくても良い。この場合には、この絶対値が最大となるものを数式(13)に対応させ、直交基底を順番に求めていく。
また、ここでは絶対値演算回路25および比較回路26を仮定したが、これらは必須ではなく、省略することも可能である。この場合には、選択回路22は、任意の手段で所望の数の行ベクトルを選択することになる。
さらに、絶対値演算回路25で行う演算は、一般には行ベクトルuに対し、そのエルミート共役の列ベクトルuを用いてu・u(ないしこの平方根)で求めるのが一般的であるが、その近似解としてベクトルの各成分の実数部の絶対値と虚数部の絶対値の総和を用いることも可能である。
B−2.第1実施形態の動作
次に、本第1実施形態の動作について説明する。ここで、図3は、本第1実施形態による送信局の信号送信時の動作を示すフローチャートである。データが入力されると(S1)、送信局ではN系統のデータ系列に分割され(S2)、これらの信号にはそれぞれプリアンブル信号が付与され(S3)、これに各系列毎に個別に変調処理を行う(S4)。変調された信号には、信号変換が実施され(S5)、変換後の信号が無線部にて無線周波数に変換され信号が送信される(S6)。送信データが続く場合には(S7)、処理S4から処理S6を繰り返し、送信データ終了後(S7)、処理を完了する(S8)。図13の従来方式との違いは、ステップS5で行う信号変換が、従来の固有ベクトルに基づくユニタリ変換から別の変換行列に置き換わったことにある。
次に、図4は、本第1実施形態による変換行列生成のための動作を示すフローチャートである。送信局が何らかの手段で伝達関数行列に関する情報を取得すると(S11)、伝達関数行列Hの行ベクトルの中から所定の数の行ベクトルを選択し(S12)、その行ベクトル群が張る部分空間を構成する直交基底ベクトルを算出する(S13)。その直交基底ベクトルを成分として持つ変換行列を生成し(S14)、一旦、これをメモリに記憶し(S15)、処理を終了する(S16)。この記憶された変換行列は、信号送信時において、図3に示すステップS5において用いられる。
次に、図5は、本第1実施形態による変換行列生成のための別の動作を示すフローチャートである。なお、図4に対応するステップには同じ符号を付けている。伝達関数行列を取得後(S11)、伝達関数行列を構成する各行ベクトルの絶対値または絶対値の近似値を求め(S21)、各行ベクトルの大小比較を行う(S22)。ステップS12で行う行ベクトルの選択では、ステップS22での大小比較結果を参照して選択を実施する。例えば、M個の行ベクトルの中から、絶対値が大きい方から順番にN’個選択したり、最も絶対値の大きいものをひとつ選ぶほかはランダムに選んでも良い。その他の処理は図4と同様である。
C.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。ここで、図6は、本発明の第2実施形態による送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。なお、図1または図12に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図において、30は変調部、31は復調部である。
従来方式の図12で説明した構成と同様に、送信局機能と受信局機能の双方を備えた無線通信装置が一般的である。処理については、図1における処理と図11における受信局の処理とを合わせた処理を行い、チャネル推定回路7とチャネル推定回路123、伝達関数行列管理回路8と伝達関数行列管理回路125が送信および受信の両系にて共用している点が異なるのみである。
D.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。ここで、図7は、本発明の第3実施形態による送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。図6に示す第2実施形態の構成との差分は、データ合成回路13の後段に制御情報分離回路15が追加された点である。先の説明では、送信局におけるMIMOチャネルに関する伝達関数行列の取得方法として、受信局から送信局向けの方向の伝達関数行列に関する情報を取得し、この値から送信局から受信局向けの方向の伝達関数行列を求めていたが、その他の方法を用いても構わない。
一例としては、受信局側で取得した伝達関数行列の情報をそのまま制御情報に収容して送信局側に返送するという方法である。送信局側では、制御情報としてMIMOチャネルの伝達関数行列の情報が取得された場合には、制御情報分離回路15にてこれを終端し、伝達関数行列の情報として伝達関数行列管理回路8または直接基底ベクトル生成回路14に入力する。送信側では、この情報を元に基底ベクトルの生成を行う。
さらに、伝達関数行列情報の受信局から送信局への通知方法としては、無線通信に用いる無線回線とは別の回線を用いても構わない。例えば、有線であったり、別の標準規格、別の周波数の無線規格等を利用することも可能である。
F.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。ここで、図8は、本発明の第4実施形態によるOFDM変調方式を用いた無線通信装置の構成を示すブロック図である。図において、41はデータ分割回路、42−1〜42−Kは変調部、43−1〜43−4はIFFT回路、44−1〜44−4はGI付加回路、45−1〜45−4は無線部、46−1〜46−4はアンテナ、47−1〜47−4はGI除去回路、48−1〜48−4はFFT回路、49−1〜49−Kは復調部、50はデータ合成回路、51はOFDM変調部、52はOFDM復調部である。
基本的には、図6に示す構成による動作と同じであるが、異なる点は、シングルキャリアのときに1系統であった変調部30および復調部31が、サブキャリア毎に、変調部42−1〜42−Kおよび復調部49−1〜49−Kというように個別に配置され、さらに送信側においては、信号系統毎にIFFT回路43−1〜43−4を備え、ここで全サブキャリアの信号を合成し、この信号に対してGI付加回路44−1〜44−4では、OFDMシンボル周期でガードインターバルGIの挿入を行う。
また、受信側では、受信した信号に対してGI除去回路47−1〜47−4にてOFDMシンボル周期でガードインターバルを除去し、除去された信号に対しFFT回路48−1〜48−4にて高速フーリエ変換処理によりサブキャリアに分離し、各サブキャリア毎の復調部49−1〜49−Kに分離された信号を入力する。データ分離回路41およびデータ合成回路50では、図6のシングルキャリアの際には多重化する信号系統数に対して信号の分割および合成処理を行っていたが、OFDM変調方式を用いる場合には、さらにサブキャリア毎に分けて分割し、それら全てに対して合成処理を行う点で異なる。
なお、ここでは、図6に対してOFDM変調方式を適用した場合の説明を行ったが、図7のように制御情報で伝達関数情報を通知する場合でも、図7の変調部30および復調部31を、図8のOFDM変調部51、およびOFDM復調部52に置き換えるようにして、図8と同様の対応を図ることは当然可能である。また、図1に示した送信局機能のみを備えた場合に対しても、同様のOFDM変調方式の採用は可能である。
次に、本第4実施形態による送信局の信号送信時の動作を説明する。ここで、図9は、本第4実施形態による送信局の信号送信時の動作を示すフローチャートである。なお、図3に対応するステップには同一の符号を付けている。基本的には、OFDM変調方式を用いた従来方式における図16と同様であるが、図16におけるステップS105のユニタリ変換の実施が、図9ではステップS5の信号変換の実施に置き換わる。なお、本第4実施形態においても、受信側の処理は基本的に従来方式からの変更はない。
以上詳細に説明したように、本第1ないし第4実施形態によれば、MIMO技術を用いた高能率な無線通信を行う際に、送信局から受信局への信号伝送のロスを最小化し、効率的に信号を伝送することが可能となる。
また、従来方式としてのE−SDM方式では、このような効率的な信号伝送のために、伝達関数行列に関する固有ベクトルを求める必要があった。このため、特に伝達関数行列のサイズが大きい場合には、固有ベクトルを求めるのは困難であり、演算量、処理遅延が膨大になるという傾向があった。E−SDM方式は、伝達関数に関する情報の取得から短時間で固有ベクトル(ないしは変換行列)を求める必要があったが、大きな処理遅延はこれを阻害するものであった。
本発明では、行列のサイズが大きい場合でも、確定的な処理で変換行列を生成でき、その演算量も大幅に削減可能である。この結果、伝達関数行列に関する情報を取得した直後でも、即座に最適な変換行列を利用して、効率的な信号伝送が可能となる。
特に、基地局ないしアクセスポイント(AP)側においてこの技術を用いれば、多数の端末局の構成を変更することなく、簡易な構成の各端末局における受信特性を向上させることが可能となる。
上述した第1ないし第4実施形態は、全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することが出来る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。
なお、上述した実施形態においては、各回路は、基本的にはハードウェア上に実装されるものであるが、コンピュータシステム内で実行されるものであっても構わない。この場合、上述した基底ベクトル生成回路14、制御情報分離回路15などによる一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。すなわち、基底ベクトル生成回路14、制御情報分離回路15における、各処理手段、処理部は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、実現されるものであっても構わない。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
本発明の第1実施形態による送信局の送信部の構成を示すブロック図である。 本第1実施形態における基底ベクトル生成回路14の構成を示すブロック図である。 本第1実施形態による送信局の信号送信時の動作を示すフローチャートである。 本第1実施形態による変換行列生成のための動作を示すフローチャートである。 本第1実施形態による変換行列生成のための別の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態による送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態によるOFDM変調方式を用いた無線通信装置の構成を示すブロック図である。 本第4実施形態による送信局の信号送信時の動作を示すフローチャートである。 従来技術における送信局の送信部の構成を示すブロック図である。 従来技術における受信局の受信部の構成を示すブロック図である。 従来技術における送信局および受信局の両方の機能を備えた無線通信装置の構成例を示すブロック図である。 従来技術における信号送信時の処理を示すフローチャートである。 従来方式におけるユニタリ変換行列生成のための処理を示すフローチャートである。 従来技術における受信局の受信動作を示すフローチャートである。 OFDM変調方式を用いた従来技術における信号送信時の処理を示すフローチャートである。 OFDM変調方式を用いた従来技術における信号受信時の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 データ分割回路(データ分割手段)
2−1〜2−2 プリアンブル付与回路
3−1〜3−2 変調回路
4 送信信号変換回路(送信信号変換手段)
5−1〜5−4 無線部(送信手段)
6−1〜6−4 アンテナ(送信手段)
7 チャネル推定回路(チャネル推定手段)
8 伝達関数行列管理回路(伝達関数行列生成手段)
11 受信信号管理回路
12 信号検出回路
13 データ合成回路
14 基底ベクトル生成回路
15 制御情報分離回路
21 行ベクトル抽出回路(送信信号系列生成手段)
22 選択回路(行ベクトル選択手段)
23 直交基底生成回路(基底ベクトル抽出手段)
24 変換行列生成回路(変換行列生成手段)
25 絶対値演算回路
26 比較回路
30 変調部
31 復調部
41 データ分割回路
42−1〜42−K 変調部
43−1〜43−4 IFFT回路
44−1〜44−4 GI付加回路
45−1〜45−4 無線部
46−1〜46−4 アンテナ
47−1〜47−4 GI除去回路
48−1〜48−4 FFT回路
49−1〜49−K 復調部
50 データ合成回路
51 OFDM変調部
52 OFDM復調部
121−1〜121−2 受信アンテナ
122−1〜122−2 無線部
123 チャネル推定回路
124 受信信号管理回路
125 伝達関数行列管理回路
126 信号検出回路
127 データ合成回路


Claims (10)

  1. M≧2となる整数M、N≧3となる整数N、N>N’≧2である整数N’に対し、同一周波数チャネル上で複数の信号系列を空間上で多重化して送信するN本の送信アンテナを備えた送信局と、送信された無線信号を受信し、前記複数の信号系列に分離して受信処理を行うM本以上の受信アンテナを備えた受信局とにより構成され、該送受信局間の複数のアンテナ間のMIMOチャネルを利用して通信を行う無線通信装置において、
    前記送信局は、
    該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得するチャネル推定手段と、
    取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成する伝達関数行列生成手段と、
    入力されたユーザデータをN’系統に分割するデータ分割手段と、
    前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成する送信信号系列生成手段と、
    前記伝達関数行列生成手段で生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し、該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択する行ベクトル選択手段と、
    該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出する基底ベクトル抽出手段と、
    該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成する変換行列生成手段と、
    N’系統の送信信号を変換行列を用いて変換する送信信号変換手段と、
    該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信する送信手段と
    を具備することを特徴とする無線通信装置。
  2. 前記行ベクトル選択手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個を選択することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  3. 前記行ベクトル選択手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルh(1≦k≦M、kは整数)を含むように選択し、
    前記基底ベクトル抽出手段は、hを規格化した基底ベクトルを含むように基底ベクトルを抽出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  4. 前記基底ベクトル抽出手段は、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いて基底ベクトルを抽出することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  5. 前記送信局は、直交周波数分割多重変調方式を用い、
    前記変換行列生成手段は、各サブキャリア毎に前記変換行列を生成し、
    前記送信信号変換手段は、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換し、
    前記送信手段は、直交周波数分割多重変調方式を用いて、該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
  6. M≧2となる整数M、N≧3となる整数N、N>N’≧2である整数N’に対し、同一周波数チャネル上で複数の信号系列を空間上で多重化して送信するN本の送信アンテナを備えた送信局と、送信された無線信号を受信し前記複数の信号系列に分離して受信処理を行うM本以上の受信アンテナを備えた受信局とにより、該送受信局間の複数のアンテナ間のMIMOチャネルを利用して通信を行う無線通信方法において、
    前記送信局は、
    該送信局のN本の送信アンテナと前記受信局のM本の受信アンテナとの間の各伝達関数を取得するステップと、
    取得された該伝達関数を各要素とする前記MIMOチャネルの伝達関数行列を生成するステップと、
    入力されたユーザデータをN’系統に分割するステップと、
    前記N’系統に分割されたデータに個別の既知のパターンの信号を付与してN’系統の第1の信号系列を生成するステップと、
    生成されたM行N列の伝達関数行列Hに対し該行列を構成するM個のN次元行ベクトルをh、h、…、hと表記した際に、該行ベクトルの中のN’個を選択するステップと、
    該選択されたN’個の行ベクトルの線形結合として表記可能な部分空間に属するN’個の互いに直交した行ベクトルである基底ベクトルを抽出するステップと、
    該N’個の基底ベクトルのエルミート共役により与えられる列ベクトルを各列に有するN行N’列の行列として与えられる変換行列を生成するステップと、
    N’系統の送信信号を該変換行列を用いて変換するステップと、
    該変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信するステップと
    を有することを特徴とする無線通信方法。
  7. 前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、
    取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、
    前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが大きい方からN’個選択するステップと
    をさらに有することを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
  8. 前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hに対し、それぞれのベクトルの絶対値ないしはその近似値を取得するステップと、
    取得したベクトルの絶対値の大小を比較するステップと、
    前記M個の行ベクトルの中からベクトルの大きさが最も大きいベクトルを選択するステップと、
    該選択されたベクトルを規格化したベクトルを1つの基底ベクトルとして抽出するステップと、
    該基底ベクトルを含め、計N’個選択するステップと
    をさらに有することを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
  9. 前記基底ベクトルを抽出するステップは、前記M個のN次元行ベクトルh、h、…、hの中からN’個選択された前記行ベクトルに対してグラムシュミットの直交化法を用いることを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
  10. 前記送信局は、直交周波数分割多重変調方式を用いて送信信号を送信し、
    前記変換行列を生成するステップは、各サブキャリア毎に変換行列を生成し、
    前記送信信号を変換するステップは、各サブキャリア毎にN’系統の送信信号を変換行列を用いて変換し、
    前記送信信号を送信するステップは、直交周波数分割多重変調方式を用いて変換された送信信号をN本の前記送信アンテナを用いて送信することを特徴とする請求項6記載の無線通信方法。
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