JP4706677B2 - Rfidタグの製造方法 - Google Patents

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この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグの製造方法に関し、RFIDタグはリーダライタから送信されるコマンド信号を受信し、そのコマンド信号の情報に応じてメモリに格納しているタグ情報を更新し、追記し、又はそのタグ情報をRFIDリーダライタに読み出し信号として送信するものであり、生体・物品の入退室管理や物流管理などに利用されるものである。
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタとの間で無線通信を行なうものである。RFIDタグは、バッテリーを搭載してその電力で駆動するいわゆるアクティブ型タグと、リーダライタからの電力を受けてこれを電源として駆動するいわゆるパッシブ型タグとがある。アクティブ型タグは、パッシブ型に比べてバッテリーを搭載しているため、通信距離や通信の安定度等の点でメリットがある一方、構造が複雑で、サイズの大型化や高コスト化等のデメリットもある。そして、近年の半導体技術の向上により、パッシブ型タグ用としてICチップの小型化、高性能化が進み、通信距離の拡張や通信の安定度の向上などにより、パッシブ型タグの幅広い分野における使用が期待されている状況である。
パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、リーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でしかRFIDタグが動作せず、通信距離は数十cm程度となってしまう。また、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜8m程度と大幅に向上している。したがって、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグは、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの一括読み取りや移動しているRFIDタグの読み取りなども可能となり、その利用範囲は、今後大幅に広がるものと考えられる。そこで、UHF帯又はマイクロ波帯などの高い周波数のパッシブ型タグとしては、例えば、特許文献1〜5に記載されたものがあった。
従来のRFIDタグに関し、特許文献1の第3図には、1/2波長マイクロストリップ線路共振器13、誘電体基板14、接地導体板15を備え、1/2波長マイクロストリップ線路共振器13と接地導体板15との間にICチップを接続することにより、接地導体板15側に金属物体(導体)があっても、アンテナの放射特性には殆んど影響せずに金属物体(導体)に設置・貼り付けが可能なRFIDタグが開示されている。なお、ICチップの詳細に関し、特許文献1の第17図には、ワイヤーボンディングなどの技術により、IC106がアンテナ導体100の中心部分につながる接地線路104の裏面で接地導体側の誘電体材料の中に埋没させるように配置されたものが開示され、同様に特許文献1の第18図〜第21図には、IC121が接地導体側の誘電体材料の中に埋没させるように配置されたものが開示されており、特許文献1の段落番号0028には、IC121の接続パッドが形成される面と反対側に接地面が形成できるIC構成であれば、ボンデングワイヤ122、12、2のうち、片方のボンデングワイヤ122が不要である旨の記載がある。
特許文献2の第1図には、基材1の表面に形成された端子部3、基材1の一部に形成されたICチップ配置領域9に配置され、端子部3に接続されたICチップ6を備えたRFIDタグが開示されている。そして、それには、ICチップ6を基材1の内部に埋め込む必要はなく、アンテナ上面に実装できるため、基材1の表面に対する加工だけで簡便な構造のRFIDタグを製造でき、歩留りの低減・製造コストダウンが可能になるというものが開示されている。
特許文献3の第19図には、誘電体部材10、ICチップ用凹部10b、フィルム基材20、アンテナパターン30、ICチップ40を備えたRFIDタグ5であって、誘電体部材10にICチップ40を埋設可能なICチップ用凹部10bを設け、このICチップ用凹部10bにICチップ40を埋設させ、フィルム基材20の内面側に形成したアンテナパターン30とICチップ40とが電気的に接続するようにフィルム基材20を誘電体部材10に巻き付けてアンテナパターン30により構成したループアンテナにより、電波吸収体の近傍でも通信距離の低下を抑制したものが開示されている。
特許文献4の第4図には、アンテナ面30に誘電体20の一部を露出させる開口31が形成され、開口は、互いに対向するように平行に延びる一対の第1スリット31aと、該一対のスリット31aと、該一対のスリット31aを連通する第2スリット31bとを有し、前記第2スリット31bを前記一対の第1スリット31aの中間部に位置させたRFIDタグが開示されている。なお、送受信素子(ICチップ)は、第1及び第2給電点は41、42に接続されている。
特許文献5の第1図及び第2図には、長方形の導体板11の中央長手方向にスロット12が設けられて構成されたスロットアンテナ10にICチップ13が搭載されたRFIDタグが開示されている。
特開2000−332523号公報(第3図、第17図〜第21図)
特開2002−197434号(第1図)
特開2006−53833号(第19図)
特開2006−237674号公報(第4図)
特開2002−358494号公報(第1図、第2図)
しかし、特許文献1に記載のRFIDタグは、金属物体(導体)に設置することは可能であっても、1/2波長マイクロストリップ線路共振器と接地導体板との間にICチップを接続する構成であるために誘電体基板の内部にICチップを埋め込む必要がある。このため、構成が複雑で製造が困難となるという課題がある。
特許文献2に記載のRFIDタグは、ICチップの小型化が進んでいたとしても、ICチップの厚みはアンテナパターンや端子部の導体厚と比較すると厚く、しかもICチップが基材の表面に実装されるためにRFIDタグの表面に突起ができてしまう。したがって、特許文献2の段落番号0023に記載されるように、ICチップの実装部全体あるいは一部を被覆保護してRFIDタグの表面を平坦にする必要がある。すなわち、基材にアンテナパターン及びICチップを実装する場合には、衝撃等によりICチップが破損するおそれがあり、RFIDタグの表面(上面)にラベルプリンタを使用して直接印刷することが難しくなるという課題がある。また、基材にアンテナパターンとICチップとを実装したフィルムを接着する場合には、ICチップによるフィルムの膨らみ(突起)が生じるため、やはり前記のような課題がある。
特許文献3に記載のRFIDタグは、ICチップによるフィルム(フィルム基材)の膨らみ(突起)は殆んど生じないものの、金属物体などの導電性物体(導体)に貼り付けたりその近傍に設置した場合には、導電性物体の影響によりループアンテナが動作しなくなったり、通信距離が極端に低下してしまうという課題がある。
特許文献4に記載のRFIDタグは、特許文献1に記載のRFIDタグと同様に金属物体(導体)に設置することは可能である。しかし、ICチップが誘電体20外に設けられているので、ICチップの小型化が進んでいたとしても、ICチップの厚みはアンテナパターンや端子部の導体厚と比較すると厚く、しかもICチップが基材の表面に実装されるためにRFIDタグの表面に突起ができてしまう。このために、特許文献2に記載のRFIDタグと同じく、衝撃等によりICチップが破損するおそれがあり、RFIDタグの表面(上面)にラベルプリンタを使用して直接印刷することが難しくなるという課題がある。また、基材にアンテナパターンとICチップとを実装したフィルムを接着する場合には、ICチップによるフィルムの膨らみ(突起)が生じるため、やはり前記のような課題がある。このことに加えて、開口が互いに対向するように平行に延びる一対の第1スリット31aと、該一対のスリット31aと、該一対のスリット31aを連通する第2スリット31bとを有し、該開口31は、アンテナ面30のうち該開口31を介して露出する誘電体20によって画される領域36、37が送受信素子に対する整合回路を形成するように構成されているので、給電方向が横方向に対し一対のスリット31aが横長形状となり第2スリット31bにおける横方向の正偏波の電界と併せて一対のスリット31aに縦方向の交差偏波成分の電界も発生するので、正偏波成分の利得が低下するという課題がある。
また、発生した交差偏波が、本来正偏波で意図した方向とは異なる方向に放射されるため、リーダライタと通信する時に通信したくない場所にタグがいるのに通信してしまう場合があり、タグの設置方法や運用方法が困難になるという課題もある。さらに、特許文献5に記載のRFIDタグのパッチアンテナは、給電点41、42はアンテナ面30の中央付近にあるが、スリットをアンテナ面30の中央からずらした位置に配置することを基本としているので、正偏波のパターンも非対称になり、アンテナの放射パターンの対称性に影響を与えるという課題もある。なお、これらの課題から特許文献5のパッチアンテナは、領域36、37と送受信素子(ICチップ)との整合をとることを中心に考えてことが分かる。
特許文献5の第1図及び第2図に記載されたRFIDタグは、導体パターン内部にスロットを設けたスロットアンテナを適用しており、特許文献3と同様に金属物体などの導電性物体(導体)に貼り付けたりその近傍に設置した場合には、導電性物体の影響によりループアンテナやダイポールアンテナが動作しなくなったり、通信距離が極端に低下してしまうという課題がある。さらに、特許文献5の第1図に示すスロットの長方向に磁界が発生し、この長さで共振させ放射しているため、高効率で放射するためにはスロット長さはλ/2程度必要となりRFIDタグの小型化にも課題がある。
そこで、この発明は、前記のような課題を解消するためになされたもので、通信距離を短縮することなく導電性物体や非導電性物体に関わらずに設置可能であって、RFIDタグの表面にICチップによる突起が生じることもないため、衝撃等によるICチップの破損のおそれもなく、しかもラベルプリンタによる印刷をも可能とした新規なRFIDタグを容易に製造し得るRFIDタグの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係るRFIDタグの製造方法は、フィルム基材上の一部に、長細形状のスロットを有する導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、前記スロットを介してICチップを前記導体パターンに電気的に接続するICチップ接続工程と、凹部を有する上方金型と凹部を有する下方金型とを重ね合わせて、前記上方金型の凹部及び前記下方金型の凹部の間にキャビティ、及び、前記上方金型の型合わせ面と前記下方金型の型合わせ面との少なくとも一方に形成された外部から前記凹部へ横断する横断溝よる注入ゲート、を形成して、前記注入ゲートを介して前記キャビティに誘電性材料の樹脂を注入する誘電体基板形成工程と、前記樹脂の注入前に、それぞれ前記横断溝を含めて、前記導体パターンが形成されたフィルム基材を前記上方金型の型合わせ面及び凹部上に、導体箔が形成されたフィルム基材を前記下方金型の型合わせ面及び凹部上に配置して、前記上方金型の凹部と前記下方金型の凹部とに形成された複数の微細な通気孔から前記キャビティ内の空気を真空引きし、前記導体箔を前記下方金型の凹部に吸引固定し、前記導体パターンが形成されたフィルム基材を前記上方金型の凹部に前記ICチップを前記キャビティ側へ向けて吸引固定して前記誘電体基板の形成と同時に、前記誘電体基板の一主面に導体パターンと前記誘電体基板の他主面に接地導体パターンとを形成するパターン形成工程とを備えたことを特徴とするものである。
請求項2に係るRFIDタグの製造方法は、前記複数の微細な通気孔が通気性多孔基材で構成された請求項1に記載のものである。
請求項3に係るRFIDタグの製造方法は、前記導体パターンと前記接地導体パターンとが形成された前記誘電体基板からフィルム基材を除去するフィルム基材除去工程とを備えた請求項1又は請求項2に記載のものである。
以上のように、この発明に係るRFIDタグの製造方法は、ICチップ誘電体基板内に内蔵されることにより、ICチップによる膨らみが生じないため、衝撃等によるICチップの破損やラベルプリンタにより印刷する場合に、ICチップがローラやドラムに引っ掛かりこれによるICチップの破損が少なくなるというRFIDタグが得られる効果を奏する。また、得られるRFIDタグの構成が比較的に簡単であることから、この発明に係るRFIDタグの製造方法により、一度に大量生産することが可能となり、また製造時間も大幅に削減することができ、歩留りの向上や製造コストの低減を図ることができるという効果を奏する。
実施の形態1.
まず、この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグの構成をとRFIDシステムにおける動作を説明し、次に、この発明に係るRFIDタグの製造方法の詳細を説明する。図1は、この実施の形態に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ構成図である。図1(a)は、RFIDタグの平面図、図1(b)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図1(c)は、図1(b)に示すRFIDタグのフィルム基材2を除去したRFIDタグの断面図である。これらの図1において、1は、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成している誘電体基板であるが、溶融した流体樹脂としては、プラスチック等の溶融した有機物である必要性は無く、マグネシウム合金等の持つチクソ性を利用した無機流体物や、セメント等の反応性流体物等であればよい。2は、誘電体基板1の一主面(表面)上及び後述の誘電体基板1の他主面(裏面)に設けた接地導体パターン8上に設けられるフィルム基材である。
このフィルム基材2は、フィルムポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどを使用することができ、導体パタ−ン3または接地導体パタ−ン8が真空蒸着法、めっき法、あるいは印刷法等で形成されている。また、フィルム基材2は、その他の柔軟性のあるものでも、そうでない基板といえるものでもよく、また、透明でも有色半透明性のものであってもよい。また、誘電体基板1を保護する必要が無い場合は、図1(c)のように、フィルム基材2を除去してよい。なお、図1(a)では、フィルム基材2が透明性の場合において、フィルム基材2を通して見える状態を示している。
ここでは、フィルム基材2と誘電体基板1とは平面において同一寸法としている。3は、フィルム基材2上に設けられた導体パターンである。導体パターン3は、図1(a)に示すように、フィルム基材2の縦及び横の端部から距離dだけ隔ててその内側に形成している。この場合、導体パターン3は、誘電体基板1の縦及び横の端部から距離dだけ隔てて形成しているともいえる。一方、フィルム基材2を誘電体基板1の縦及び横の端部から距離dだけ隔てて、誘電体基板の一主面上に配置することもできる。この場合、導体パターン3はフィルム基材2上の全面に設けることもできる。導体パターン3の中央部には、図1(a)に示すように、長細形状のスロット4を形成している。このスロット4は、導体パターン3をエッチング処理・ミリング処理により形成することができる。もちろん、エッチング処理、真空蒸着法、めっき法、あるいは印刷法等による導体パターン3の形成と同時にスロット4を形成してもよい。そして、このスロット4の長さ及び幅は使用周波数によって決定することができる。5は、誘電体基板1の一主面に形成した穴部(凹状の窪み)である。6は、ICチップで、後述するようなメモリ等から構成している。このICチップ6は、スロット4を介して導体パターン3に電気的に接続している。
ここで、ICチップ6と導体パターン3との接続構成について説明する。7、7は、図1(a)及び(b)に示すように、スロット4を構成する幅方向における対向する導体パターン3、3の両側からスロット4の内側にそれぞれ延びる突起状の電気接続部で、それぞれスロット4の両側における導体パターン3、3に連続的に繋がって電気的に接続している。これらの電気接続部7及び7は、エッチングにより導体パターン3の形成と同時に形成すればよい。ICチップ6の端子(図示せず)は、それらの電気接続部7、7に接続することとなる。ICチップ6のサイズがスロット4の幅と同程度又はこれより小さい場合には、スロット4の幅内に入ることになるが、このときに、ICチップ6の端子(図示せず)は電気接続部7、7と接続する。ところが、ICチップ6のサイズがスロット4の幅よりも大きい場合には、ICチップの端子(図示せず)はスロットを介する導体パターン3のスロット4に近い部分に電気的に接続すればよい。したがって、この場合には、前記したような電気接続部7、7を設ける必要はないことになる。
また、図1(a)においては、ICチップ6は、スロット4の長さ方向において中央部に配置しているが、その中央部ではなく図1(a)のスロット4に付させた矢印に沿って移動したスロット4の長さ方向の端部に配置してもよい。誘電体基板1の穴部5は、ICチップ6を挿入するために形成したので、その深さやその幅はICチップの大きさに対応したものとなる。もちろん、ICチップ6の周りにモールド材を配している場合は、必然的にICチップ6の外形よりも穴部5が大きくなる。そして、その穴部5を形成する位置については、スロット4のどの位置にICチップ6を配置するかに応じて決定されるのは当然である。いずれにしても、スロット4の形状と寸法は、実装するICチップ6の電気接続部7の数と特性インピーダンスに合わせる必要がある。例えば、インピーダンス整合をとるために、スロット4の形状の微調整に加えて、ICチップ6の接続端子の足が2つの場合には、インピーダンス整合がとれる幅の2本の電気接続部7を形成すればよい。次に、8は、誘電体基板1の他主面(裏面)に設けた接地導体パターンである。9は、誘電体基板1と導体パターン3又は接地導体パターン8が形成されたフィルム基材2とを接着する接着シートである。接着シート9は、導体パターン3を形成する誘電体基板1の面(一主面)では、ICチップ6(穴部5)以外の部分に対応する部分に設け、誘電体基板1とフィルム基材2とを接着、固定することができる。
図2(a)は、RFIDタグとRFIDリーダライタとの間で送受信を行なう様子を模式的に示した概念図である。図2(b)は、RFIDタグの構成図であり、特に、ICチップ6の内部構成を機能的に示したブロック構成図である。図2(a)(b)において、10は、図1に示した構成のRFIDタグである。11は、RFIDタグ10に設けられたアンテナ部で、図1においてスロット4を形成した導体パターン3に相当するものである。RFIDタグ10のアンテナ部11は、前述した図1(a)及び(b)に示すように、誘電体基板1の一主面(表面)にスロット4を有する導体パターン3を設け、誘電体基板1の他主面(裏面)に接地導体パターン8を設けているので、RFIDタグ10はパッチアンテナとして機能するものである。すなわち、スロット4を有する導体パターン3がアンテナパターン(放射部)として機能する。そして、導体パターン3とスロット4とは、励振するようにRFIDシステムの使用周波数とICチップ6とのインピーダンス整合をとるように調整している。この調整は、誘電体基板1の厚みや比誘電率にも大きく関係するので、これらの条件もあわせて調整、設計することにより、所望の放射パターンや利得を得ることができる。また、スロット4は、導体パターン3の放射パターンが良好となるように導体パターン3の中央部に形成しているのは前記のとおりである。このような条件をあわせて調整して設計することにより、RFIDタグ10における所望の放射パターンや利得が得られ、RFIDタグ10、すなわち、誘電体基板1を大型化することなく、例えば、1〜8m程度の通信距離を得ることが可能となる。
また、12は、RFIDリーダライタ、13は、RFIDリーダライタ12に設けられたアンテナ部で、RFIDタグ10のアンテナ部11と無線通信を行なうものである。6は、図1において説明したICチップであり、その具体的構成については、図2(b)に示すような構成としている。14は、RFIDリーダライタ12からの送信波をRFIDタグ10のアンテナ部11により受信し、後段のディジタル回路21に出力するアナログ部である。15は、送信波をA/D変換するA/D変換部、16は、アンテナ部11が受信した送信波を整流回路で平滑化して電力を生成し、RFIDタグ10の各回路に給電及び電源制御を行なう電源制御部である。17は、RFIDタグ10に搭載され、固体識別情報等のタグ情報が格納されたメモリ部である。18は、送信波を復調する復調部、19は、復調部18で復調された送信波によりメモリ部17を含むICチップ6内の回路を制御する制御部である。20は、制御部19によりメモリ部17から引き出された情報を変調する変調部である。21は、復調部15、制御部16及び変調部17により構成されるディジタル部、22は、変調部20から送信されてきた信号をD/A変換し、アナログ部14に出力するD/A変換部である。
ここで、このようなRFIDシステムについて、その基本的な動作について説明する。このようなRFIDシステムを利用する用途(生体・物品の入退室管理や物流管理)に合わせて、それらのタグ情報がRFIDタグ10のメモリ部17に格納されており、RFIDリーダライタ12は、自身の送受信エリア内にRFIDタグ10が(入退室管理や物流管理の対象である生体・物品に貼り付けられて)存在又は移動しているときにタグ情報の更新・書き込み、又は読み出しを行なうことができる。RFIDリーダライタ12は、更新・書き込み、又は読み出し等をRFIDタグ10に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ12のアンテナ部13からRFIDタグ10のアンテナ部11へ送信する。RFIDタグ10のアンテナ部11が送信波を受信し、送信波は電源制御部16により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ10の動作電源を生成し、RFIDタグ10の各回路に動作電源を供給する。また、送信波は復調部18によりコマンド信号が復調される。復調されたコマンド信号の命令内容から制御部19がデータ処理し、メモリ部17へタグ情報の更新・書き込みと読み出しとのいずれか一方、又は両方の指示を行ない、この制御部19の指示によりメモリ部17が出力した読み出し信号が変調部20により変調された返信波がアナログ部14を経由してアンテナ部11からRFIDリーダライタ12のアンテナ部13に送信され、RFIDリーダライタ12が読み出し信号を受信して、所望の情報を得る。
さらに、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグを使用したRFIDシステムの動作について、詳細に説明すると、RFIDリーダライタ12は、更新・書き込み、又は読み出し等をRFIDタグ10に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ12のアンテナ部13からRFIDタグ10のアンテナ部11へ送信する。RFIDタグ10を構成する誘電体基板1の電波の放射部である導体パターン3が送信波を受信して、スロット4の対向部分間に電位差が生じ、送信波がICチップ6に供給され、上述のように、ICチップ6に供給された送信波は、電源制御部16により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ10の動作電源を生成し、RFIDタグ10の各回路(ICチップ6)に動作電源を供給し、送信波からコマンド信号が復調され、復調されたコマンド信号の命令内容からメモリ部17へタグ情報の更新・書き込みと読み出しとのいずれか一方、又は両方を行ない、メモリ部17が出力した読み出し信号が返信波としてICチップ6に送信波が供給された経路と同じ経路を遡り、放射部である導体パターン3からRFIDリーダライタ12に返信波が送信され、RFIDリーダライタ12のアンテナ部13が返信波を受信して、所望の情報を得るということになる。なお、RFIDシステムが行なう無線通信のデータの中身は、従来からものでもよいし、新規なものでもよく、誘電体基板1の裏面に接地導体パターン8を形成しているので、誘電体基板1の裏面側を設置対象の面に向けることで、設置対象が導体や非導体に関わらず設置が可能な簡易構造のRFIDタグを安価で製造できるため、大量のRFIDタグを必要とする物流管理、倉庫管理、機材管理、自動車の入退場管理など幅広い分野で利用でき、設置対象や設置対象の面が導電性物体などの導体であっても設置することが可能である。
次に、図3(a)〜(c)は、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法のうち、導体パターン3の形成方法とICチップ6の実装方法について、その断面図を元に各製造工程を説明する。図3(a)においては、フィルム基材2上(フィルム基材2の裏面側)に導体層23を形成する導体層形成工程を示したものである(導体付きフィルム基材201)。そして、図3(b)に示すように、導体パターン3を形成すべき領域及びスロット4の内側に電気接続部7、7を形成すべき領域をマスクし、エッチング等により導体パターン3及び電気接続部7、7を同時に形成する導体パターン形成工程を示したものである(導体付きフィルム基材202)。なお、フィルム基材2に導体層形成工程を行なわずに、導体パターンをフィルム基材に形成してもよい。そして、図3(c)に示すように、ICチップ接続工程では、ICチップ6の接続端子24、24を電気接続部7、7に半田付けにより電気的に接続する。この電気的な接続方法としては、リフローによる熱圧着が一般的であるが、その他の方法により接続してもよい。
また、図4は、フィルム基材の全面に導体層を形成した平面図である(フィルム基材201)。図5(a)は、導体パターン3及びスロット4を形成した後のフィルム基材2の裏面図である。図4に示すように、フィルム基材2の裏面側に全面的に導体層23を形成したものにおいて、フィルム基材2(誘電体基板1)の端部から所定距離dだけ隔てた周囲部分と電気接続部7、7を除いたスロット4部分の導体層を、例えばエッチング処理等により除去した導体パターン3の構成を示している。このときのフィルム基材2の表面から見たときのフィルム基材2の構成を図5(b)に示している。フィルム基材2が透明又は半透明の場合である。また、図6(a)は、フィルム基材2上のスロット4の内側にICチップ6を取り付けた状態の裏面図(フィルム基材202)である。図6(b)は、ICチップをフィルム基材2に取り付けた状態をフィルム基材2の表側から見たときの状態図(フィルム基材202)であり、電気接続部7、7とICチップ6が透明又は半透明なフィルム基材2を通して見えている。従来はこのように製作したフィルム基材202を図7に示すように、穴部5をエッチングやミリング等により形成した誘電体基板1に貼り付けてRFIDタグを製造していた。図7は、穴部を有する誘電体基板の表面図(上面図)であり、誘電体基板1の一主面にICチップ6を挿入するための穴部5を形成した誘電体基板1である。
図8は、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグの電界(矢印で記入)を示した電界図である。図8には、ICチップ6周辺の部分拡大図も併せて示すとともに、その部分拡大図において矢印で電界の様子を示している。図8に示した矢印は、接地導体パターン8と導体パターン3との間の電界を示しており、このような電界が導体間で形成されるため、スロット4の対向部分の間に電界が走り、電位差が生じる。誘電体基板1の厚さ方向における電界の強さが零の位置をICチップの給電点としている。図8に示すように、誘電体基板1の内部において、左右の電界が相互に打ち消しあうため、スロット4の長手方向(図8では、奥行き方向)の軸に沿った位置では、電界の強さは零となる。したがって、この位置にICチップ6の電気接続部7を配置すれば、給電損失を大幅に低減することができる。したがって、このように構成すると、導体パターン3の放射パターンの対称性に悪影響を与えることも少なく、通信可能な距離も大きく延ばすこともでき、また、構成が簡単であっても、性能が大幅に向上したRFIDタグが得られるという効果を奏する。
図9は、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ10における特性インピーダンスの変化の様子を示した特性図である。前記したところでは、フィルム基材2の端部から所定距離dだけ隔てて導体パターン3を形成する旨を記載したが、このことは、誘電体基板1の他主面の全面に接地導体パターン8を形成しているため、所定距離dは、図8に示すように、導体パターン3と接地導体パターン8との四隅における寸法差であるということができる。このようにすれば、所定距離dは、接地導体パターン8が誘電体基板1の他主面の全面に形成していない場合であっても、同じく導体パターン3と接地導体パターン8との四隅における寸法差として考えることができる。そこで、図9において、横軸は所定距離又は前記した寸法差dをRIFDタグの使用周波数の波長比を表したもので、縦軸R[Ω]及びX[Ω]はそれぞれ特性インピーダンスの実部及び虚部を表したものである。ただし、横軸のλは使用周波数の波長である。図9の特性図によれば、所定距離dが0.13λ以上の場合には、RFIDタグ10の特性インピーダンスがほぼ一定となっている。したがって、所定距離dを0.13λ以上とすることにより、RFIDタグの設置対象が導体又は非導体の物体に関わらず、また、空中に浮かしたような状態であっても、RFIDタグの特性インピーダンスがほぼ一定であるから、RFIDの性能が劣化することがなく、RFIDリーダライタ12との無線通信を可能とすることができる。なお、誘電体基板1の穴部5の位置における電界の強さが零の位置であるから、穴部5がない場合におけるRFIDタグの特性インピーダンス変化とほぼ同様であるといえる。
次に、図10は、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ構成を示した平面図であり、図11は、図10に示したスロット付近を拡大した平面図である。図11(a)はICチップが未実装の場合の、また、図11(b)はICチップが実装済みの場合の平面図である。これまでは、接続端子24が2つ、すなわち、足が2つのICチップを用いた場合について説明したが、接続端子24が4つのICチップを実装する場合には、電気接続部7,7のほかに、2つのダミーパッド25、25をスロット4に内側であって、接続端子の近傍に設けている。これらのダミーパッド25、25の形成方法は、電気接続部7、7を形成すると同時に、形成する。また、図10,図11からフィルム基材2を通して見えるダミーパッド25、25は、導体パターン3及び電気接続部7、7とは電気的に接続されていない単なるダミーとしてのパッドである。このように、RFIDに実装するICチップ6の仕様の変更に柔軟に対応できるので、簡易構造のRFIDタグを安価で製造することができる。なお、ダミーパッド25の数は、2つに限定されたものではない。
以下、この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法のフィルム基材202製作以降について説明する。図12は実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図、図12aは射出成形金型の側断面図、図12bは射出成形金型の正面図、図13は実施の形態1の射出成形金型にパタ−ン等を付与した導体付きフィルム基材201及び202をそれぞれ位置決め配置した時の型開き状態の模式図、図14は実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型を型締めし、溶融した流体樹脂を充填・成形した型締め状態の模式図である。図中において、同一部分ないし相当部分には同一符号を付与している。
図12に示すように本発明の射出成形金型26は、上方金型面27a(凹部)を持った上方金型27及び下方金型面28a(凹部)を持った下方金型28の一対の金型から構成されている。上方金型27の型合わせ面29と下方金型28の型合わせ面30がそれぞれの凹部が対向に接面され、型締め状態になることにより、射出成形金型26の内部に樹脂成形を形成するためのキャビティ31が上方金型面27aと下方金型面28aにより設けられ、また、同時に溶融した流体樹脂をキャビティ31に注入するための注入ゲ−ト32も横断溝32a及び横断溝32bが重なることで設けられる。なお、この実施の形態1では、注入ゲ−ト32を予め上方金型27ないし下方金型28の少なくとも何れかの位置に一箇所設けておいてもよい。上方金型27及び下方金型28の内側のキャビティ31と接する負圧部分27b及び負圧部分28bには複数の微細な通気孔33及び通気孔34が設けられ(通気性多孔基材)、射出成形金型26の外部に設けられた排気装置である排気ポンプ37の運転により、通気配管35及び36を介して、それぞれ吸引できるように構成されている。上記の負圧部分27b及び負圧部分28bに設けられた通気孔33及び34上にパタ−ン等を付与したフィルム基材201及び202が配置されることで固定される。
導体付きフィルム基材201は、図3(a)及び図4に示されるもので、一方、導体フィルム基材202は、ICチップ6が実装済みの図3(d)及び図6(a),(b)に示されるものである。導体付きフィルム基材201は、導体パターン3を設けて導体フィルム基材202を構成するものを流用してもよいし、別途製作してもよい。また、導体付きフィルム基材201は接地導体パターン8を設けるためのものであるので、フィルム基材を使用したものでなくても化成処理を施した銅箔などの導体箔でもよい。なお、フィルム基材201及び202の平面形状は、位置決めのために上方及び下方金型面30a、30bのもつ底面形状と一致した平面形状にしている。次に、射出成形金型26を用いて、誘電体基板1である樹脂成形基板(射出成形基板)の表面と裏面にそれぞれ導体パタ−ン3と接地導体パタ−ン8を転写して得られる成形品であるRFIDタグの製造方法について詳細に説明する。
図13に示すように本発明の射出成形金型26を型開き状態にしておいて、排気ポンプ37を運転することにより、通気配管35及び36の空気をA及びB方向に排気する。これにより、上方金型27及び下方金型28の通気性多孔基材からなる負圧部分27b及び負圧部分28bに設けられた複数の通気孔33及び通気孔34が共に負圧と成り、その周辺の空気をCないしD方向に排気する。上方金型27の上方金型面27a上に沿わせ、フィルム基材202の導体パタ−ン面を外側に向けて挿入することにより所定の位置に位置決めされ、上方金型面27a上に沿って吸引固定される(フィルム基材202の平面形状が上方金型面27aの底面形状と一致するようにしているため)。また、下方金型28の下方金型面28aの内側面に沿わせて、フィルム基材201の接地導体パタ−ン面を外側に向けて挿入することにより所定の位置に位置決めされ、下方金型面28aに沿って吸引固定される(フィルム基材201の平面形状が下方金型面28aの底面形状と一致するようにしているため)(フィルム基材配置工程)。次に、図14に示すように射出成形金型26を型締めすることにより、キャビティ31と注入ゲ−ト32(注入口)を設ける(射出成形金の型締め工程)。なお、フィルム基材201を上方金型面27a上に、フィルム基材202を下方金型面28a上に配置してもよい。
設けられた注入ゲ−ト32から凹部により形成されたキャビティ31内に向けて溶融した樹脂(熱可塑性樹脂)38を注入・充填・成形し、その樹脂成形の硬化を待って、樹脂成形基板(誘電体基板1)を得る。なお、溶融した流体樹脂としては、プラスチック等の溶融した有機物である必要性は無く、マグネシウム合金等の持つチクソ性を利用した無機流体物や、セメント等の反応性流体物等であればよく、要するに注入ゲ−ト32からキャビティ31内に挿入できる流体物で、その後固形化するものであればいかなる物であってもよい(誘電体基板形成工程及びパターン形成工程)。排気ポンプ37の運転を停止し、射出成形金型26を型開きにし、樹脂成形基板(誘電体基板1)の一主面にフィルム基材202を配し、他主面にフィルム基材201を一体に配した成形品のRFIDタグを取り出す(誘電体基板取り出し工程)。注入された樹脂38が射出成形金型26内部のキャビティ31の容積よりも多く注入された場合は、注入ゲート32に残留した樹脂38が固化して誘電体基板1に注入ゲート32の内管形状の余剰樹脂が形成されるので、注入ゲート32に残留した余剰樹脂をRFIDタグから切り離して、表面粗さに研磨する(後処理工程)。なお、化成処理とは、樹脂38との接着性を高めるために導体箔の表面に微細な筋を形成する、又は、導体箔の表面に層を形成するなど、一般的に樹脂成形基板で用いられるものを使う。また、化成処理だけでは、接着度が低い場合は、図1に示すような接着シート9を化成処理層の化成処理済み面に載置する。なお、化成処理を行なわず、導体箔が通気孔34と対向する面と反対側の面に接着シートと同様の接着シートを載置するだけでも、導体箔32と樹脂との接着に十分な接着度が得られれば化成処理は行なう必要はない(接地導体パターン形成工程の準備工程)。また、フィルム基材202及びフィルム基材201に関しても、接着シートを使用してもよいし、化成処理をおこなってもよい。
以上説明したように本発明の実施の形態1おいては、従来は、パタ−ンの位置決めのために一対の金型の型合わせ面にフィルム基材の所定部分を載置してから型締めする必要があり、成型樹脂基板(図7の誘電体基板1)の片面にしかパタ−ンを転写形成できなかった。従って、一回の成型加工によって、複数のフィルム基材に付与されたそれぞれのパタ−ンを位置決めし、それら複数のフィルム基材の間にキャビティを設けて溶融した流体樹脂を充填・成型することが困難であり、その結果、製品の基材である成型樹脂基板の複数の面に対してフィルム基材上のパタ−ンを転写形成できなかったために、樹脂成形で作成された図7の誘電体基板1に、フィルム基材2に取り付けたICチップ6を誘電体基板1の穴部5に挿入するようにしてフィルム基材2を誘電体基板1に支持することにより、RFIDタグを完成させていたことに対して、複数のフィルム基材に付与されたそれぞれのパタ−ンを位置決めし、それら複数のフィルム基材の間にキャビティを設けて溶融した流体樹脂を充填・成型することが可能であるので、誘電体基板1に穴部5を設ける工程が不必要になる。
本発明の実施の形態1おいては、フィルム基材202及びフィルム基材201を通気孔33及び通気孔34により真空引き(吸引)して、射出成形金型26に密着させるので、樹脂38の射出成形中にフィルム基材202及びフィルム基材201が伸長することがなく、樹脂38の固化後に形成されるRFIDタグの導体パターン3及び接地導体パターン8の細りや切れを防止できる効果がある。また、フィルム基材202及びフィルム基材201の基材であるそれぞれのフィルム基材は、銅箔であるアンテナパターンである導体パターン3及び接地導体パターン8を保護する効果を持つので、取外すことなく保管してもよい。また、全てのフィルム基材を除去するのではなく、RFIDタグの片面(一主面又は他主面)や一部を除去してもよい。無論、機械や手作業等で、機械的に全てのフィルム基材をめくって除去することも可能である(フィルム基材除去工程)。なお、樹脂38を低硬度(例えば、JIS−A55)のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて、誘電体基板1を製造することで、フレキシブル性を持った誘電体基板によるフレキシブルなRFIDタグが製造可能なので、ドラム缶などの曲面を持つ物体の曲面に沿って設置可能なRFIDタグを得ることができる。このRFIDタグが設置可能である曲面は、ICチップ6と導体パターン3との電気的な接続が外れない程度である。なお、導体パターン3が曲っていても、電気長は変化しないなので、放射パターンは多少変形するが導体パターン3は、RFIDタグの電波放射部としての動作には支障がない。さらに、射出成形金型の型締め工程において、図示はしていないが、上方金型27と下方金型28とには、それぞれガイドピンとガイド穴とが設けられており、ガイド穴にガイドピンを嵌合させて、上方金型27と下方金型28との位置決めを行なってから、型締めして固定することが一般的である。これらの特長点は以下の実施形態2〜5でも同様のことがいえる。
実施の形態2.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法について説明する。図15は実施の形態2に係るRFIDタグの製造方法に使用するフィルム基材の構成図、図15(a)は導体パターン3が設けられたフィルム基材39(39(a))の側面図、図15(b)は導体パターン3が設けられたフィルム基材39(39(a))の上面図、図15(c)は接地導体パターン8が設けられたフィルム基材39(39(b))の側面図、図15(d)は接地導体パターン8が設けられたフィルム基材39(39(b))の上面図であり、例示的にフィルム基材39上には導体パターン3と接地導体パターン8とがそれぞれ3つ形成されているが、フィルム基材39上に形成するパターン数は3つに限ったものではない。図16は実施の形態2に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型を型締めし、溶融した流体樹脂を充填・成形した型締め状態の模式図である。実施の形態1とはフィルム基材の形状を独立形状からテ−プ状に連続したフィルム基材39に変えたのみであり、その他は全く同じである。図中、同一の部分または相当部分には同一符号を付与している。また、図15(b)において、導体パターン3、フィルム基材39aに記された点線から所定距離dだけ隔てた周囲部分とスロット4部分の導体層を、例えばエッチング処理等により構成をされている。なお、図15(b)の点線で示される矩形の面積は、図15(c)及び図15(d)に示す接地導体パターン8と同じ面積を示している。つまり、成形される樹脂成形基板の面積と同じである。
本発明の実施の形態2において成形されるRFIDタグは、本発明の実施の形態1と同じ射出成形金型を用い、同じ形状の導体パタ−ン3と接地導体パタ−ン8を転写して得られる成形品であるため、同じ物が成形される。異なるのは成形に用いるフィルム基材202及びフィルム基材201の基材の形状をテ−プ状のフィルム基材39に変え、導体パターン3及び接地導体パターン8の位置決め手順と樹脂の溶融した流体樹脂の注入経路が若干変わるのみである。
本発明の射出成形金型26を型開き状態にしておいて、排気ポンプ37を運転することから、上方金型27及び下方金型28の負圧部分27b及び負圧部分28bから空気を排気する。上方金型27ならびに下方金型28の型合わせ面30上の所定位置に導体パターン3ならびに接地導体パタ−ン8がそれぞれ配置されるようにフィルム基材39a及びフィルム基材39bを配置する。上方金型27及び下方金型28の上方金型面27a及び下方金型面28aは次第に負圧となり、その金型面上に沿って、テープ状のフィルム基材39a及びフィルム基材39bは挿入されていき、導体パタ−ン3及び接地導体パタ−ン8も負圧部分27b及び負圧部分28b上の所定金型面上の位置に吸引固定される。なお、上方金型27及び下方金型28には、注入ゲート形成用の横断溝32a及び横断溝32bがそれぞれ設けられているため、フィルム基材39a及びフィルム基材39bは横断溝32a及び横断溝32bの設けられている反対側の上方金型面27a及び下方金型面28a上から内側に挿入されていき、さらに横断溝32a及び横断溝32bに近い側の上方金型面27a及び下方金型面28aの内側から外側に沿って挿入され、最終的に横断溝32a及び横断溝32bの形状をふくめて型合わせ面29、30上に沿って吸引固定される。なお、フィルム基材39の一部にスリット等を入れておけば、フィルム基材39を容易に金型面(凹部)に沿わすことは可能である。
次に、図16に示すように射出成形金型26を型締めすることにより、フィルム基材39a及びフィルム基材39bを介したキャビティ31(対向した凹部)と注入ゲ−ト32(対向した横断溝32a及び横断溝32b)が設けられる。横断溝32a及び横断溝32bの中に挿入されたテ−プ状のフィルム基材39a及びフィルム基材39bが形成する注入ゲ−ト32(フィルムに形成される隙間)からキャビティ31内に向けて溶融した樹脂38を注入・充填・成形し、その樹脂成形(成形状態の流体樹脂)の硬化を待って、樹脂成形基板(誘電体基板1)が得られる。排気ポンプ37の運転を停止し、射出成形金型26を型開きにし、樹脂成形基板(誘電体基板1)の一主面にフィルム基材39aを配し、その対向面側の他主面にフィルム基材39bを配したRFIDタグを取り出す。次に、注入された樹脂38が射出成形金型26内部のキャビティ31の容積よりも多く注入された場合は、注入ゲート32に残留した樹脂38が固化して誘電体基板1に注入ゲート32に対応する位置のフィルム基材39a及びフィルム基材39bの内管形状の余剰樹脂が形成されるので、その注入ゲート32に対応する位置のフィルム基材39a及びフィルム基材39bとの間に残留した余剰樹脂をRFIDタグから切り離して、表面粗さに研磨する。最後に、機械や手作業等で、機械的に全て又は一部のフィルム基材をめくって除去することでRFIDタグが得られる。もちろん、導体パターン3及び接地導体パターン8を保護するために、導体パターン3及び接地導体パターン8に対応する部分のフィルム基材を残してもよい。なお、フィルム基材39bを上方金型面27a上に、フィルム基材39aを下方金型面28a上に配置してもよい。
以上説明したように本発明の実施の形態2おいては、本発明の射出成形金型26の上方金型27及び下方金型28のそれぞれの型合わせ面29、30上に横断溝32a及び横断溝32bを設けたことにより、フィルム基材39a及びフィルム基材39bの間から溶融した樹脂38を注入・充填・成形できるため、樹脂成形基板の両面にパタ−ン等の付与されたフィルムと一体に成形した成形品であるRFIDが得られるという特段の効果が得られる。また、フィルム基材39をテ−プ状のフィルムとして用いたため、連続的に射出成形金型の金型面上にテ−プ状のフィルム基材39を挿入したり、連続して一体に成形されるRFIDタグを取り込んだりできるので、生産性や作業性が大幅に改善できる効果がある。なお、フィルム基材39a及びフィルム基材39bが形成する注入ゲ−ト(フィルムに形成される隙間)からキャビティ内に向けて溶融した樹脂38を注入するので、射出成形金型本体の型合わせ面の横断溝(注入ゲ−ト)が汚れないという効果が得られる。さらに、成形品に取り付いている対面状態のフィルム基材39a及びフィルム基材39bは、互いに分離しているので、RFIDタグとフィルム基材との分離が容易であるという効果が得られる。
実施の形態3.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態3について説明する。図17は実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図である。図17において、射出成形金型40は、本発明の実施の形態1において説明した射出成形金型26の上方金型27及び下方金型28の負圧部分27b及び負圧部分28b(金型面30a及び30bの表面)を形成する複数の微細な通気孔33及び通気孔34の代わりに、ポーラスな通気性の固形素材(通気性多孔基材)で構成したものであり、それ以外は全く同じである。なお、図中、同一の部分または相当部分には同一符号を付与している。
ポーラスな通気性の固形素材としては、軽石やセラミックス等であってもよいし、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)からなる粉体の焼結体やプラスチック等の有機物等であってもよく、あるいはポーラスな金属等であってもよく、要するにその内部に通気孔を有する固形素材であればよい。図17からわかるように、固形素材で構成されたポーラス部41及びポーラス部42は、上方金型27及び下方金型28のそれぞれの型合わせ面29、30と面一になるように配置され、それぞれの面一の面(ポーラス部の型合わせ面)の内側に、上方金型面27aならびに下方金型面28a(凹部)が設けられている。排気ポンプ37を運転すると、通気性多孔基材で構成されたポーラス部41及びポーラス部42の表面から空気が排気されるので、その表面とその周辺は負圧になり、容易にフィルム基材202、201、39a、39bなどを吸引固定できる構成になっている。
上記のような構成をとっている実施の形態3の射出成形金型40は、実施の形態1もしくは実施の形態2と同様の操作により、実施の形態1もしくは実施の形態2で得られるような樹脂成形基板の両面に導体パターン3・接地導体パタ−ン8の付与されたフィルムと一体に成形された成形品であるRFIDタグを得ることが可能である。また、ポーラス部41及びポーラス部42をPTFE粉体の焼結体で形成することで、ポーラス性を確保したまま、ポーラス部の表面エネルギ−を少なくとも−50℃の低温から460℃の高温の範囲において顕著に下げる事ができ、特に上方金型及び下方金型からフィルム基材202、201、39a、39bなどを容易に取外せるという効果が得られる。
なお、ポーラス部は通気性のあるポーラスな素材で構成された入れ子にしてもよい。その場合、図17において、射出成形金型43は、本発明の実施の形態1において説明した射出成形金型26の上方金型27及び下方金型28の負圧部分27b及び負圧部分28b(金型面30a及び30bの表面)を形成する複数の微細な通気孔33及び通気孔34の代わりに、ポーラス部をポーラスな素材で構成された入れ子45及び入れ子46とする。ポーラス部が入れ子45及び入れ子46で構成されるので、上方金型及び下方金型から容易に金型としての成形面を取外せるため、金型のメンテナンスがしやすくなるという効果が得られる。
実施の形態4.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態4について説明する。図18は実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図である。図18において、射出成形金型44は、本発明の実施の形態3において説明した通気性のポーラスな素材で構成された入れ子の成形面にPTFE、FEP、PFA等のフッ素樹脂をコ−テイングして形成した負圧部分45a、46aを形成したものであって、その一部分に突起状の固定ピン47、48がそれぞれ設けられている点以外は、全く同じ構成である。図中、同一の部分または相当部分には同一符号を付与している。
上記のような構成をとっている実施の形態4の射出成形金型44は、実施の形態3と同様の操作により、実施の形態3で得られるような樹脂成形基板の両面に導体パターン3・接地導体パタ−ン8の付与されたフィルムないしパターンと一体に成形した成形品であるRFIDタグを得ることが可能である。また、ポーラスな素材で構成された入れ子45及び入れ子46の成形面にフッ素樹脂コ−テイング負圧部45a、46aを設けたことにより、入れ子45及び入れ子46から容易に第1フィルムと第2フィルムを容易に取外せるため、作業性がよくなるという効果が得られる。特に、PTFEをポーラスな素材上に焼結させるようにしてコ−テイングしたものは、−50℃の低温から460℃の高温の範囲において十分な通気性の確保ができるため、入れ子としての耐久性が特に良好であるという格別の効果が得られる。さらに、各入れ子の成形面に形成される負圧部分の一部分に突起状の固定ピン47、48がそれぞれ設けられているため、予めフィルム基材202、201、39a、39bなどを所定の位置に前記固定ピン47、48に対応した孔を設けておき、前記固定ピン47、48に対してこの孔を挿入するようにすることから、フィルム上のパターンを整形面の所定の位置に高精度で位置決めできるようになり、また樹脂流動によるフィルムの位置ずれが生じにくくなるという格別の効果が得られる。なお、他の実施の形態や従来技術においても、このような効果は金型や入れ子の成形面に同様の固定ピンを設けることにより得ることができる。
実施の形態5.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態5について図3〜7、図13、図14、図19を用いて説明する。図19は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用する突起治具と成形された樹脂成形基板の構成図、図19(a)は穴部5に対応する突起部49aを有する突起治具49の側面図、図19(b)は実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法の中間生成物である導体パターン3(ICチップ6を含む)を設ける前の一主面に穴部5を有し、他主面に接地導体パターン8を有する誘電体基板1の斜視図である。実施の形態1〜4では、誘電体基板1である樹脂成形基板の射出成形時に導体パターン3(ICチップ6を含む)と接地導体パターン8とも形成しているが、この実施の形態5では、接地導体パターン8のみを誘電体基板1に形成して、その後、導体パターン3(ICチップ6を含む)を前述の接着シートなどを用いて誘電体基板1と接着するものを説明するが、大きな違いは、実施の形態1〜4においては、フィルム基材202、39a(つまり、導体パターン3)が金型面に吸引固定(真空引き)されるが、実施の形態5においては、突起治具49が金型面に吸引固定(真空引き)される。図中、同一の部分または相当部分には同一符号を付与している。
図13に示すように本発明の射出成形金型26を型開き状態にしておいて、排気ポンプ37を運転することにより、通気配管35及び36の空気をA及びB方向に排気する。これにより、上方金型27及び下方金型28の通気性多孔基材からなる負圧部分27b及び負圧部分28bに設けられた複数の通気孔33及び通気孔34が共に負圧と成り、その周辺の空気をCないしD方向に排気する。上方金型27の上方金型面27a上に沿わせ、突起治具49の突起部49aを外側に向けて挿入することにより所定の位置に位置決めされ、上方金型面27a上に沿って吸引固定される(突起治具49の平面形状が上方金型面27aの底面形状と一致するようにしているため)。また、下方金型28の下方金型面28aの内側面に沿わせて、フィルム基材201の接地導体パタ−ン面を外側に向けて挿入することにより所定の位置に位置決めされ、下方金型面28aに沿って吸引固定される(フィルム基材201の平面形状が下方金型面28aの底面形状と一致するようにしているため)(フィルム基材配置工程)。次に、図14に示すように射出成形金型26を型締めすることにより、キャビティ31と注入ゲ−ト32(注入口)を設ける(射出成形金の型締め工程)。但し、本実施の形態5では、図14に示されるRFIDタグではなく、フィルム基材202に形成されていないものが成形される。なお、フィルム基材201を上方金型面27a上に、突起治具49を下方金型面28a上に配置してもよいし、片方の通気孔及び通気配管を廃して、上方金型面27a又は下方金型面28a(通気孔及び通気配管を廃した方)に突起部49aを形成して、上方金型面27a及び下方金型面28aの両面引きではなく片面引きの状態にして実施してもよい。
設けられた注入ゲ−ト32から凹部により形成されたキャビティ31内に向けて溶融した樹脂(熱可塑性樹脂)38を注入・充填・成形し、その樹脂成形の硬化を待って、樹脂成形基板(誘電体基板1)を得る。なお、溶融した流体樹脂としては、プラスチック等の溶融した有機物である必要性は無く、マグネシウム合金等の持つチクソ性を利用した無機流体物や、セメント等の反応性流体物等であればよく、要するに注入ゲ−ト32からキャビティ31内に挿入できる流体物で、その後固形化するものであればいかなる物であってもよい(誘電体基板形成工程及び接地導体パターン形成工程)。排気ポンプ37の運転を停止し、射出成形金型26を型開きにし、樹脂成形基板(誘電体基板1)の一主面に穴部5が設けられ、他主面にフィルム基材201を一体に配した成形品の樹脂成形基板を取り出す(誘電体基板取り出し工程)。注入された樹脂38が射出成形金型26内部のキャビティ31の容積よりも多く注入された場合は、注入ゲート32に残留した樹脂38が固化して誘電体基板1に注入ゲート32の内管形状の余剰樹脂が形成されるので、注入ゲート32に残留した余剰樹脂を樹脂成形基板から切り離して、表面粗さに研磨する(後処理工程)。図7又は図19(b)に示す誘電体基板1に、実施の形態1で説明した製造方法(導体層形成工程(省略可),導体パターン形成工程,ICチップ接続工程)で製造したICチップ6が実装されたフィルム基材202を接着する(固定工程)。また、誘電体基板1とフィルム基材202とを固定するためには、図1に示すような接着シート9でなくても、接着剤を用いることもできる。
以上説明したように本発明の実施の形態5おいては、突起治具49及びフィルム基材201を通気孔33及び通気孔34により真空引き(吸引)して、射出成形金型26に密着させるので、樹脂38の射出成形中にフィルム基材201が伸長することがなく、樹脂38の固化後に形成されるRFIDタグの導体パターン3及び接地導体パターン8の細りや切れを防止できる効果がある。また、フィルム基材201の基材であるそれぞれのフィルム基材39は、銅箔であるアンテナパターンである導体パターン3及び接地導体パターン8を保護する効果を持つので、取外すことなく保管してもよい。また、全てのフィルム基材を除去するのではなく、RFIDタグの片面(一主面又は他主面)や一部を除去してもよい。無論、機械や手作業等で、機械的に全てのフィルム基材をめくって除去することも可能である(フィルム基材除去工程)。さらに、図3〜6に示すフィルム基材202を誘電体基板1の樹脂成形後に設けるので、フィルム基材202の導体パターン3に電気的に接続されているICチップが、キャビティ31内に注入される溶融した樹脂(熱可塑性樹脂)38の温度に耐えられないものでも使用できるという効果を奏する。なお、フィルム基材202の固定工程において、穴部6にICチップ5を嵌合させるのだが、ICチップ6の周りにモールド材を配して固定する場合は、必然的にICチップ6の外形よりも穴部5が大きくなる。
本発明のように、射出成形で誘電体基板1(樹脂成形基板)を設計・製造することにより、プリント基板数枚を貼り合せて多層化した誘電体基板に対し、樹脂(熱可塑性樹脂)38を用いて射出成形した誘電体基板の方が基板コスト(製造コスト)が大幅に下げることができるだけでなく、RFIDタグに用いられる誘電体基板の誘電体(材質)が、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系),セラミック,ガラスエポキシなどの誘電体では、任意の厚さの基板製作が難しく、RFIDタグの設置位置による要求寸法の変化には柔軟に対応できないことに対して、射出成形による誘電体基板では、金型を変更するだけで容易に厚みや形状の変更が可能であるため、様々なバリエーションのRFIDタグを容易に製作可能である。また、樹脂(熱可塑性樹脂)のなかでも誘電正接が低い特性をもつオレフィン系ポリマーの樹脂をRFIDタグの誘電体基板として使用することで、放射効率が向上し、高利得なRFIDタグを製造可能である。また、オレフィン系ポリマーの樹脂の比重は一般的なプリント基板の半分程度であり、RFIDタグの軽量化が可能になる。さらに、ICチップ6は、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系),セラミック,ガラスエポキシなどで構成される誘電体基板のように硬くて厚みのある材質に実装する場合、実装する専用設備がなく、一つ一つ実装しなければならず時間がかかることに対して、樹脂成形基板は、フィルム基材2、39にICチップ6を実装する設備は市場に数多く出回っており、一度に大量生産が可能であり、穴部5の形成を含めて製造時間及びコストを大幅に削減できる。
この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ構成図である。 RFIDシステムの基本構成図である。 この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ製造工程図である。 この発明に係るフィルム基材の構成図図である。 この発明に係るフィルム基材に形成された導体パターン図である。 この発明に係るフィルム基材に形成された導体パターン図(ICチップ接続済み)である。 この発明に係る穴部が形成された誘電体基板構成図である。 この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ電界図である。 この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ特性インピーダンス図である。 この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ構成図(ダミーパッド付き)である。 この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグスロット付近拡大図(ダミーパッド付き)である。 この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図である。 この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の導体付きフィルム基材を位置決め配置した時の型開き状態の模式図である。 この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型を型締めし、溶融した流体樹脂を充填・成形した型締め状態の模式図 この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの製造方法に使用するフィルム基材の構成図である。 この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型を型締めし、溶融した流体樹脂を充填・成形した型締め状態の模式図である。 この発明の実施の形態3に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図である。 この発明の実施の形態4に係るRFIDタグの製造方法に使用する射出成形金型の型締め状態の構成図である。 この発明の実施の形態5に係るRFIDタグの製造方法に使用する突起治具と成形された樹脂成形基板の構成図である。
符号の説明
1…誘電体基板、2…フィルム基材、
201…導体付きフィルム基材(導体層(接地導体パターン8)付き)、
202…導体付きフィルム基材(導体パターン3付き)、3…導体パターン、
4…スロット、5…穴部、6…ICチップ、7…電気接続部、8…接地導体パターン、
9…接着シート、10…RFIDタグ、11…アンテナ部(タグ)、
12…RFIDリーダライタ、13…アンテナ部(リーダライタ)、
14…アナログ部、15…A/D変換部、16…電源制御部、17…メモリ部、
18…復調部、19…制御部、20…変調部、21…ディジタル部、
22…D/A変換部、23…導体層、24…接続端子、25…ダミーパッド、
26…射出成形金型、27…上方金型、28…下方金型、29…型合わせ面、
30…型合わせ面、31…キャビティ、32…注入ゲ−ト(注入口)、
33…通気孔(真空引き口)、34…通気孔(真空引き口)、35…通気配管、
36…通気配管(真空引き口)、37…排気ポンプ、38…樹脂(熱可塑性樹脂)
39…フィルム基材、40…射出成形金型、41…ポーラス部、42…ポーラス部、
43…射出成形金型、44…射出成形金型、45…入れ子、46…入れ子、
47…固定ピン、48…固定ピン、49…突起治具。

Claims (3)

  1. フィルム基材上の一部に、長細形状のスロットを有する導体パターンを形成する導体パターン形成工程と、前記スロットを介してICチップを前記導体パターンに電気的に接続するICチップ接続工程と、凹部を有する上方金型と凹部を有する下方金型とを重ね合わせて、前記上方金型の凹部及び前記下方金型の凹部の間にキャビティ、及び、前記上方金型の型合わせ面と前記下方金型の型合わせ面との少なくとも一方に形成された外部から前記凹部へ横断する横断溝よる注入ゲート、を形成して、前記注入ゲートを介して前記キャビティに誘電性材料の樹脂を注入する誘電体基板形成工程と、前記樹脂の注入前に、それぞれ前記横断溝を含めて、前記導体パターンが形成されたフィルム基材を前記上方金型の型合わせ面及び凹部上に、導体箔が形成されたフィルム基材を前記下方金型の型合わせ面及び凹部上に配置して、前記上方金型の凹部と前記下方金型の凹部とに形成された複数の微細な通気孔から前記キャビティ内の空気を真空引きし、前記導体箔を前記下方金型の凹部に吸引固定し、前記導体パターンが形成されたフィルム基材を前記上方金型の凹部に前記ICチップを前記キャビティ側へ向けて吸引固定して前記誘電体基板の形成と同時に、前記誘電体基板の一主面に導体パターンと前記誘電体基板の他主面に接地導体パターンとを形成するパターン形成工程とを備えたRFIDタグの製造方法。
  2. 前記複数の微細な通気孔が通気性多孔基材で構成された請求項1に記載のRFIDタグの製造方法。
  3. 前記導体パターンと前記接地導体パターンとが形成された前記誘電体基板からフィルム基材を除去するフィルム基材除去工程とを備えた請求項1又は請求項2に記載のRFIDタグの製造方法。
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