JP4705252B2 - 眼底カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被検眼の前眼部からフレア(有害光)を除去するための遮光手段が設けられた眼底カメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の眼底カメラには、例えば特公昭61−5729号のように、照明光学系から被検眼に照明光を投影して眼底を照明して、この眼底からの反射光を撮影光学系により撮影手段に導いて眼底像を撮影手段で撮像すると共に、被検眼の角膜,水晶体等からのフレアが撮影光学系に入射するのを防止するために、角膜及び水晶体後面と共役な遮光板を照明光学系に設けたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様な眼底カメラで撮影される被検眼は、人によって角膜や水晶体の厚さが異なるために、角膜−水晶体後面の間隔が異なる。
【0004】
しかしながら、この眼底カメラでは、遮光板が固定されていたため、フレアを完全に除去できないものであった。
【0005】
また、固視標を用いて被検眼を回旋(旋回)させて、被検眼の光軸の向きを撮影光学系の光軸に対して傾斜させることにより、照明光学系からの照明光束が眼底の周縁部側に投影されるようにして、より広範囲の眼底の撮影を行うことも行われている。
【0006】
しかし、この場合には、水晶体の曲率中心と眼球の回旋中心が一致しないため、角膜及び水晶体の位置移動が起こり、角膜や水晶体の周辺部からのフレアが撮影光学系に入りやすくなる傾向にある。
【0007】
更に、最近は白内障手術等に用いるIOL(intraocular lens)の普及により、ILOを装着した被検眼も増加しており、本来の水晶体とは形状及び屈折率が異なるため、従来の絞り位置ではフレア除去が困難な場合も増加する傾向にある。
【0008】
そこで、この発明の第1の目的は、被検眼の角膜及び水晶体の厚さが異なっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できる眼底カメラを提供することを目的とするものである。
【0009】
この発明の第2の目的は、被検眼の回旋により角膜及び水晶体の位置移動が起こっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できる眼底カメラを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この第1の目的を達成するため、請求項1の発明は、被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、前記遮光手段を前記照明光学系の光軸方向に移動調整させる駆動手段と、を有する眼底カメラにおいて、
前記被検眼に固視標を視認させて該被検眼の光軸を所定の方向に誘導させる固視標提示手段を更に備えると共に、前記固視標の提示位置に応じて前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2の目的を達成するため、請求項2の発明は、被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、前記遮光手段を前記照明光学系の光軸方向に移動調整させる駆動手段と、を有する眼底カメラにおいて、
角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つのフレア状態を検出するフレア検出装置を更に備えると共に、
前記フレア検出装置からの検出信号を基に前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系とを有すると共に、前記遮光手段は、前記照明光学系の光軸と同心の同心遮光手段と、前記被検眼が回旋したときに前記同心遮光手段と切り換えて用いられ且つ前記被検眼の回旋方向に偏心した遮光部を有する偏心遮光手段である眼底カメラにおいて、
前記被検眼に固視標を視認させて該被検眼の光軸を所定の方向に誘導させる固視標提示手段を更に備えると共に、前記固視標の提示位置に応じて前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系とを有すると共に、前記遮光手段は、前記照明光学系の光軸と同心の同心遮光手段と、前記被検眼が回旋したときに前記同心遮光手段と切り換えて用いられ且つ前記被検眼の回旋方向に偏心した遮光部を有する偏心遮光手段である眼底カメラにおいて、
角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つのフレア状態を検出するフレア検出装置を更に備えると共に、前記フレア検出装置からの検出信号を基に前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1(a)において眼底カメラは、被検眼Eを照明する照明光学系1と、照明された被検眼Eを撮影する撮影光学系10を有する。
<照明光学系1>
照明光学系1は、観察用照明光学系と、撮影用照明光学系を有する。
(観察用照明光学系)
観察用照明光学系は、観察用赤外光源2,コンデンサレンズ3,第1のリレーレンズ5,遮光手段6,第2のリレーレンズ7,穴あきミラー8,対物レンズ9をこの順に有する。この観察用赤外光源2には、タングステンランプと赤外フィルター又は近赤外フィルターを組み合わせた赤外光源を用いることもできる。
【0015】
遮光手段6は、図1(b)に示したようなリングスリットRsが形成されたリングスリット板を遮光板(遮光物)6a,6b,6cとして有する。尚、遮光板6a〜6cは、内側の遮光部Raと外側のリング状の遮光部Rb間にリングスリットRsが形成されていると共に、遮光部Ra,Rb及びリングスリットRsは照明光学系1の光軸Oと同心に形成されていて、同心遮光手段となっている。
【0016】
この遮光板6a,6cは、遮光板6bを虹彩と共役にしたときに、標準的な人の角膜,水晶体後面とそれぞれ略共役となる位置に配設されている。また、遮光板6a,6cは、観察用照明光学系1の光軸Oの方向に移動操作可能に設けられていて、人によって異なる角膜や水晶体の厚さの相違、或いは角膜と水晶体後面との間隔の相違があっても、角膜,虹彩,水晶体後面と共役に調整できる様になっている。
【0017】
この調整は、手動で行うこともできるし、駆動モータ(電動手段)で行うこともできる。本実施例では、パルスモータ等の駆動モータM1,M2で遮光板6a,6b,6cが観察用照明光学系1の光軸Oの方向に移動操作可能に設けられている。
【0018】
尚、遮光板6a,6cは、リングスリット板である必要はなく、内側の遮光部Raのみを有する構成の遮光板に代えてもよい。
(撮影用照明光学系)
撮影用照明光学系は、撮影用光源4,第1のリレーレンズ5,遮光手段6,第2のリレーレンズ7,穴あきミラー8,対物レンズ9をこの順に有する。この撮影用光源4には、可視光にて撮影を行うため、例えばキセノンランプの様な可視光源を用いる。
<撮影光学系10>
撮影光学系10は、撮影光学系11aと、観察光学系11bを有する。
【0019】
撮影光学系11aは、対物レンズ9,穴あきミラー8の中央の開口8a,結像レンズ12,クイックリターンミラー13,ダハプリズム14,フィールドレンズ14a,第1の撮影レンズ15,撮影用TVカメラ(撮像装置)16を有する。
【0020】
また、観察光学系11bは、対物レンズ9,穴あきミラー8の中央の開口8a,結像レンズ12,クイックリターンミラー13,フィールドレンズ17a,ミラー17,第2の撮影レンズ18,観察用TVカメラ(撮像装置)19を有する。観察用TVカメラ19は赤外観察を行うため、赤外又は近赤外に感度のあるTVカメラを用いる。
<制御回路>
上述したTVカメラ16,19からの映像信号は、図2に示した演算制御回路20に入力される。この演算制御回路(演算制御手段)20は、TVカメラ16,19からの映像信号をカラーCRTや液晶カラーモニター等の表示装置21に入力して、被検眼像を表示させる。
【0021】
また、演算制御回路20には、スイッチ22,23,24,25からのオン・オフ信号が入力されると共に、撮影スイッチ26のON信号が入力されるようになっている。また、演算制御回路20は、撮影スイッチ26がオン操作されたとき、ソレノイドSでクイックリターンミラー13を撮影光学系11aの結像レンズ12とフィールドレンズ14aとの間に挿入する様になっている。
[作用]
次に、この様な構成の眼底カメラの作用を説明する。
(1)赤外観察
この様な構成において、通常、実線で示した如くクイックリターンミラー13は観察光学系11aの結像レンズ12とフィールドレンズ14aとの間に挿入されている。この状態において眼底カメラの図示しない電源を投入すると、演算制御回路20により観察用赤外照明光源2が点灯させられる。
【0022】
この点灯により観察用赤外光源2から出射した赤外光は、コンデンサレンズ3,第1のリレーレンズ5,遮光手段6,第2のリレーレンズ7,穴あきミラー8及び対物レンズ9を介して被検眼Eの前眼部に投影され、被検眼Eの眼底Efを照明する。
【0023】
この際、観察用赤外光源2は、コンデンサレンズ3,第1のリレーレンズ5,遮光手段6,撮影用光源4した撮影光は、第1のリレーレンズ5,遮光手段6,第2のリレーレンズ7を介して穴あきミラー8に結像された後に、対物レンズ9を介して被検眼Eの虹彩上に結像される。
【0024】
一方、被検眼Eで反射した反射光は、対物レンズ9,穴あきミラー8の中央の開口8a,結像レンズ12,クイックリターンミラー13,ダハプリズム14,クイックリターンミラー13,フィールドレンズ17a,第2の撮影レンズ18を介して観察用TVカメラ19に投影されて、観察用TVカメラ19に被検眼Eの像を結像させる。このとき結像レンズ12を移動することにより眼底共役位置を移動させて被検眼の視度に対応することが可能である。
【0025】
そして、観察用TVカメラ19からの映像信号が演算制御回路20に入力される。この演算制御回路20は、入力された映像信号を表示装置21に転送して、表示装置21に被検眼Eの像をリアルタイムで白黒表示させる。
(2)撮影
この状態において演算制御回路20は、撮影スイッチ26がオン操作されると、ソレノイドSを作動させてクイックリターンミラー13を観察光学系11aの結像レンズ12とフィールドレンズ14aとの間から退出させると共に、観察用光源2を消灯させ、撮影光源4を点灯させる。
【0026】
この点灯状態において、撮影光源4から出射した可視光(可視撮影光)は、第1のリレーレンズ5,遮光手段6,第2のリレーレンズ7,穴あきミラー8及び対物レンズ9を介して被検眼Eの眼底(被検眼眼底)Efに投影され、眼底Efを照明する。
【0027】
一方、眼底Efで反射した反射光は、対物レンズ9,穴あきミラー8の中央の開口8a,結像レンズ12,クイックリターンミラー13,ダハプリズム14,フィールドレンズ14a,第1の撮影レンズ15を介して撮影用TVカメラ16に投影されて、撮影用TVカメラ16に被検眼Eの眼底Efの像(眼底像)を結像させる。
【0028】
この撮影用TVカメラ16からの映像信号は演算制御回路20に入力される。そして、演算制御回路20は、入力された映像信号を表示装置21に転送して、表示装置21に被検眼Eの眼底像をカラー表示させる。
【0029】
尚、撮影用TVカメラ15は、撮像手段として35ミリフィルム及びインスタントカメラ等の撮像装置(撮影手段)を用いる構成としてもかまわない。
(3)フレア除去
<遮光像6b′,6a′,6c′が虹彩i,角膜c,水晶体後面Lbと一致>
図3はリングスリットにて照明された被検眼前眼部の様子を示している。
【0030】
図中、6b′,6a′,6c′は、それぞれ虹彩i,角膜c,水晶体Lの後面Lb(以下、水晶体後面Lbと略)と略共役位置となる様に照明光学系1に配置した遮光板6b,6a,6cによる遮光像である。そして、照明光学系1による眼底Efの照明時に、遮光像6b′と遮光線32,32及び遮光像6c′と遮光線32,32で囲まれた部分が遮光部34,34となる。従って、照明光束31が遮光部34,34の外を通って被検眼Eの眼底Efを照明する。一方、眼底Efからの反射光は、撮影光束33として遮光部34,34の部分を通過した後、撮影光学系10の撮影光学系11aや観察光学系11bに入射することになる。この様にして、被検眼Eの虹彩i,角膜c,水晶体後面1bの各面での有害反射光が撮影光束33中に入ることを防いでいる。尚、この撮影光束33は、撮影光学系10の穴あきミラー8の開口8a等によって決まる。
<遮光像6c′が水晶体後面Lbと不一致>
しかし、図4に示すように被検眼によっては、例えば水晶体Lの厚さ及び後面の曲率半径が異なるために、遮光像6c′が水晶体後面Lbから離れて、遮光像6c′による遮光が不完全になり、有害反射光を除去することが困難になる。
【0031】
そこで、遮光像6b′,6a′がそれぞれ虹彩i,角膜cと略共役位置にした状態で、スイッチ22,23を操作することにより演算制御回路20により駆動モータM2を正転又は逆転操作させながら、照明光学系1の遮光板6cを光軸O方向に前後に移動させることにより、遮光像6c′の縁部が図3に示したように水晶体後面Lbに一致するように、水晶体後面Lb側に移動させ、有害反射光を除去させる。Laは水晶体前面である。
【0032】
尚、遮光像6a′が角膜cから離れて、遮光像6a′による遮光が不完全になり、有害反射光を除去することが困難になる場合には、スイッチ24,25を操作することにより演算制御回路20により駆動モータM2を正転又は逆転操作させながら、照明光学系1の遮光板6aを光軸O方向に前後に移動させることにより、遮光像6a′の縁部が角膜cに一致するように、角膜c側に移動させ、有害反射光を除去させる様にする。
【0033】
また、水晶体Lの厚さ及び後面の曲率半径が異なるために、遮光像6a′,6c′が角膜c及び水晶体後面Lbからそれぞれ離れて、遮光像6a′,6c′による遮光が不完全になり、有害反射光を除去することが困難になる場合には、遮光板6a,6cをそれぞれ上述したように光軸方向に移動させる。
(その他1)
また、より広範囲の眼底を撮影するために、被検眼Eを図示しない固視標により視線誘導する場合がある。図5はこの場合の被検眼Eの前眼部の様子を示したものであり、図5中実線35は視軸を表す。
【0034】
この場合、角膜c及び水晶体後面Lbの曲率半径が眼球(被検眼E)の回旋中心40と異なるため、前述の水晶体Lの形状が異なる場合と同様に有害反射光の除去が困難となる。即ち、遮光像6a′,6c′が角膜c及び水晶体後面Lbから離反する。ここで、上述したように遮光板6a及び6bは、内側の遮光部Raと外側のリング状の遮光部Rb間にリングスリットRsが形成されている。尚、有害反射光の発する方向は被検眼の回旋方向と対応している。
【0035】
この結果、図6(a)に示すように遮光部Raに円弧状突部aを有害反射光の発生する方向に突出させた遮光板6′aを設けるか、図6(b)に示すように遮光部Raを有害反射光の発生する方向に偏心させた遮光板6′cを設けることにより、遮光板6′a,6′cの径をなるべく小さくすることが可能であり、被検眼Eが小瞳孔である場合に有効である。この様に遮光部Raの一部に光軸Oに対して偏心した突部aを設けるか又は遮光部Raの全体を光軸Oに対して偏心させることにより、図6(a),図6(b)の遮光板6′a,6′cは偏心遮光板(偏心遮光手段)となる。
【0036】
また、被検眼Eの誘導方向は任意の方向となるので、円弧状突部aや遮光部Raの偏心方向が被検眼Eの回旋方向と一致するように、遮光板Eを照明光学系1の光軸回りに図示しないパルスモータ等の駆動モータで回転させる様にする。この際の制御は演算制御回路20により行わせる。
【0037】
従って、図1(b)に示した遮光板6a,6cと図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板6′a,6′cを用意しておいて、被検眼Eを上述したように回旋させない場合には、図1(b)に示した遮光板6a,6cを用いる。また、被検眼Eを回旋させる場合には、図1(b)に示した遮光板6aを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板6′aに切り替え、図1(b)に示した遮光板6cを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板6′cに切り替える様にすると良い。
【0038】
尚、補足すると、遮光部Raの径を単純に大きくした場合、被検眼Eの有効反射光の除去は可能であるが、照明光束の外側を被検眼瞳孔、内側を遮光物により制限されるため、被検眼眼底が充分に照明されない場合が存在する。
(その他2)
また、被検眼の角膜c、虹彩i、水晶体後面Lbからの有害反射光が撮影光束33に入った場合、撮影像にフレアーが生じる。フレアーは眼底像の周辺に表れるため、検者は表示装置(観察モニター)21のフレアー像を観察しながら、フレアーが無くなるようにスイッチ22,23及び24,25をオン操作して、駆動モータM1,M2をそれぞれ正転又は逆転させることにより、遮光板6a,6cを駆動モータM1,M2によりそれぞれ光軸O方向に移動操作するとよい。
【0039】
この様な検者による遮光板6a,6cの移動操作により、検者は表示装置(観察モニター)21上のフレアー像が消えたことを確認し、撮影スイッチ26をオン操作して撮影を行う。
【0040】
被検眼Eを上述したように回旋させる場合には、図1(b)に示した遮光板6aを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板6′aに切り替え、図1(b)に示した遮光板6cを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板6′cに切り替える様にする。しかも、この状態で、検者は表示装置(観察モニター)21のフレアー像を観察しながら、フレアーが無くなるようにスイッチ22,23及び24,25をオン操作して、駆動モータM1,M2をそれぞれ正転又は逆転させることにより、遮光板6′a,6′cを駆動モータM1,M2によりそれぞれ光軸O方向に移動操作するとよい。尚、この場合もその他1で示すように遮光板6′a,6′cを光軸回りに回転させる。
(その他3)
上述した実施例では、検者が表示装置(モニター)21の状態を観察しながら、遮光板(絞り)6a,6cを移動させる構成として説明したが、装置に周辺部のフレアが検出できるように検出器を設けたり、表示装置21の映像信号を基にフレアーの状態を観察するような既知のフレアー検出機構を設け、その出力結果を演算制御回路20に入力させる。そして、演算制御回路20が、フレアー検出機構からの出力結果を基に、表示装置21の画面上にフレア検出状態の表示を補助的に行ったり、或いはフレアー検出機構による出力結果がフレアを検出しない状態となるように、フレアー検出機構からの出力結果を基に遮光板(絞り)6a,6cを自動的に光軸方向に移動制御してもよい。
【0041】
また、被検眼Eを上述したように回旋させる場合には、演算制御回路20により図1(b)に示した遮光板(同心遮光手段)6aを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板(偏心遮光手段)6′aに切り替え、図1(b)に示した遮光板(同心遮光手段)6cを図6(a)又は図6(b)に示した構成を有する遮光板(偏心遮光手段)6′cに切り替える様にする。
【0042】
しかも、演算制御回路20は、フレアー検出機構の出力結果を基に表示装置21の画面上にフレア検出状態の表示を補助的に行ったり、或いはフレアー検出機構による出力結果がフレアを検出しない状態となるように、フレアー検出機構からの出力結果を基に遮光板(絞り)6′a,6′cを自動的に光軸方向に移動制御してもよい。尚、この場合もその他1で示すように遮光板6′a,6′cを光軸回りに回転させる。
(その他4)
また、実施例においては形状の異なる絞りを入れ替えることとして説明したが、機械的な機構により形状を変化させるようにしてもかまわない。
(その他5)
また、例えば液晶のような位置及び透過率を制御できるような素子を用いることにより、単純な構成で自由な位置及び大きさ、形状の絞りが提示可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した請求項1の発明は、被検眼の角膜及び水晶体の厚さが異なっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できると共に、フレア除去のための遮光手段の駆動操作が簡易となる。
【0044】
また、請求項2の発明は、被検眼の角膜及び水晶体の厚さが異なっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できると共に、少なくとも角膜又は水晶体後面におけるフレアを除去できる。
【0045】
更に、請求項3に記載の発明は、被検眼の回旋により角膜及び水晶体の位置移動が起こっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できると共に、フレア除去のための遮光手段の駆動操作が簡易となる。
【0046】
また、請求項4に記載の発明は、被検眼の回旋により角膜及び水晶体の位置移動が起こっても、角膜や水晶体の周辺部からのフレアを除去できると共に、少なくとも角膜又は水晶体後面におけるフレアを除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明にかかる眼底カメラの光学系の説明図、(b)は(a)の遮光板の説明図である。
【図2】図1(a)に示した眼底カメラの制御回路である。
【図3】図1に示した被検眼の前眼部の拡大説明図である。
【図4】図3に示した前眼部の角膜−水晶体後面の間隔が大きい場合の作用説明図である。
【図5】図1に示した被検眼を固視標により回旋させたときの前眼部の拡大説明図である。
【図6】(a),(b)は図1に示した遮光板の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・照明光学系
6a,6b,6c・・・(遮光手段,同心遮光手段)
6′a,6′c・・・遮光板(偏心遮光手段)
10・・・撮影光学系
20・・・演算制御回路(制御回路)
c・・・角膜
E・・・被検眼
i・・・虹彩
La・・・水晶体前面
Lb・・・水晶体後面
M1,M2・・・駆動モータ(駆動手段)
Ra,Rs・・・遮光部
a・・・突部
Claims (4)
- 被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、前記遮光手段を前記照明光学系の光軸方向に移動調整させる駆動手段と、を有する眼底カメラにおいて、
前記被検眼に固視標を視認させて該被検眼の光軸を所定の方向に誘導させる固視標提示手段を更に備えると共に、前記固視標の提示位置に応じて前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする眼底カメラ。 - 被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、前記遮光手段を前記照明光学系の光軸方向に移動調整させる駆動手段と、を有する眼底カメラにおいて、
角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つのフレア状態を検出するフレア検出装置を更に備えると共に、
前記フレア検出装置からの検出信号を基に前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする眼底カメラ。 - 被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系とを有すると共に、前記遮光手段は、前記照明光学系の光軸と同心の同心遮光手段と、前記被検眼が回旋したときに前記同心遮光手段と切り換えて用いられ且つ前記被検眼の回旋方向に偏心した遮光部を有する偏心遮光手段である眼底カメラにおいて、
前記被検眼に固視標を視認させて該被検眼の光軸を所定の方向に誘導させる固視標提示手段を更に備えると共に、前記固視標の提示位置に応じて前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする眼底カメラ。 - 被検眼の角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせるフレア除去用の遮光手段を介して前記被検眼の眼底を照明する照明光学系と、前記被検眼を撮影する撮影光学系とを有すると共に、前記遮光手段は、前記照明光学系の光軸と同心の同心遮光手段と、前記被検眼が回旋したときに前記同心遮光手段と切り換えて用いられ且つ前記被検眼の回旋方向に偏心した遮光部を有する偏心遮光手段である眼底カメラにおいて、
角膜,虹彩,水晶体後面の少なくとも一つのフレア状態を検出するフレア検出装置を更に備えると共に、前記フレア検出装置からの検出信号を基に前記駆動手段を作動制御することにより前記遮光手段を前記光軸方向に移動させて、前記遮光手段を角膜,水晶体後面の少なくとも一つと共役にさせる制御回路を備えることを特徴とする眼底カメラ。
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