JP4682590B2 - クロムレス被膜付き方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、クロムを含まない被膜を方向性電磁鋼板の表面に形成させるに際し、不可避的に発生する被膜欠陥を防止し、表面被膜性状を改善させるとともに鋼板に付与する張力を高め鉄損を改善する方法に関するものである。
一般に、方向性電磁鋼板においては、絶縁性、加工性および防錆性等を付与するために、その表面に被膜が施されている。かかる被膜は、最終仕上焼鈍時に形成されるフォルステライトを主体とする下地膜と、その上に被成されるリン酸塩系の上塗り被膜とからなるのが通例である。これらの被膜は、高温で形成され、しかも低い熱膨張率を持つことから、温度が室温まで低下した鋼板と被膜との間で熱膨張率に大きな差異が生じて、鋼板に張力を付与することになるため、鉄損の低減に有効である。従って、被膜には、できるだけ高い張力を鋼板に付与する機能が望まれている。
従来、上記の諸特性を満たすために、被膜について種々の提案がなされている。例えば、特許文献1にはリン酸マグネシウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜が、また特許文献2にはリン酸アルミニウム、コロイド状シリカおよび無水クロム酸を主体とする被膜が、それぞれ提案されている。
ところで、近年の環境保全への関心の高まりにより、クロムや鉛等の有害物質を含まない製品に対する要望が強まっており、方向性電磁鋼の分野においても、クロムを含まない被膜を形成させる方法の開発が望まれていた。しかし、クロムを用いないと、著しい耐吸湿性の劣化や張力低下によって鉄損改善効果が消失する等の、品質上の問題が発生するため、クロムを無添加とすることができなかった。ここに、被膜における耐吸湿性の劣化とは、被膜が大気中の水分を吸収し、この水分が部分的に液化して膜厚が薄くなったり被膜のない部分ができたりして、絶縁性や防錆性が劣化してしまうことである。
この問題を解決する方法として、コロイド状シリカ、リン酸アルミニウム、ホウ酸及び硫酸塩からなるコーティング液を塗布する方法が、特許文献3に記載されている。この方法により、従来のクロム含有被膜に近い張力効果による鉄損改善と耐吸湿性の改善とがもたらされた。
しかしながら、この方法による鉄損ならびに耐吸湿性の改善は、効果にばらつきがあり、場合によっては問題となるレベルまで鉄損や耐吸湿性が劣化することがあった。このような品質のばらつきは同一コイル内においても著しく、不均一部分は巻き直しラインを用いて除去しなければならないために、大きな歩留まりロスになる上、巻き直しラインの操業を圧迫して生産量を低下させる主因となっていた。
さらに、クロムを含まない被膜に関して、特許文献4にはクロム化合物の代りにホウ酸化合物を添加する方法が、特許文献5には酸化物コロイドを添加する方法が、特許文献6には金属有機酸塩を添加する方法が、それぞれ開示されているが、いずれの技術を用いても吸湿性並びに鉄損を改善する効果がコイル内で大きくばらつくために、完全な解決には至っていない。
特公昭56−52117号公報 特公昭53−28375号公報 特公昭57−9631号公報 特開2000−169973号公報 特開2000−169972号公報 特開2000−178760号公報
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、方向性電磁鋼板にクロムを含まない被膜を適用した場合にあっても、クロム含有被膜を形成した鋼板と同レベルの高い耐吸湿性と低い鉄損を実現するクロムレス被膜付き方向性電磁鋼板を、その製造方法に併せて提供することを目的とする。
発明者らは、前掲の特許文献3に記載された、クロムを含まない被膜において、耐吸湿性および鉄損の改善効果がばらつくのは、何らかの外乱要因があって所望の特性が達成できないものと考え、この原因を究明するために膨大な実験を実施した。その結果、仕上焼鈍後に被成されるセラミック質の下地膜における酸素目付け量に応じて、ばらつきが生じることを見出した。以下に、この知見を得るに至った実験について述べる。
C:0.045mass%、Si:3.25mass%、Mn:0.07mass%およびSe:0.02mass%を含み、残部が鉄および不可避的不純物の成分組成になるスラブを、1380℃で30分間加熱後熱間圧延にて2.2mm厚とし、次いで950℃で1分間の熱延板焼鈍を施してから、1000℃で1分間の中間焼鈍を挟む冷間圧延にて0.23mmの最終板厚に仕上げたのち、雰囲気酸化性(雰囲気における水素分圧に対する水蒸気分圧の比)が0.20〜0.65の脱炭焼鈍を850℃で2分間施して、脱炭焼鈍後の酸素目付け量を0.5〜1.8g/m2に調整した。その後、鋼板表面に水和IgLossが2.1mass%の酸化マグネシウム100質量部、酸化チタン2質量部および硫酸ストロンチウム1質量部よりなる焼鈍分離剤を鋼板表面に両面で12g/m2塗布し、乾燥して最終仕上焼鈍を施した。最終仕上焼鈍は、二次再結晶焼鈍に引続き、乾H2中で1200℃で10時間の純化焼鈍を行った。その後、未反応の焼鈍分離剤を除去した。
ここで、上記焼鈍分離剤における水和IgLossとは、マグネシアを水スラリーにして鋼板に塗布そして乾燥して生じた粉体を鋼板から掻き取り、この粉体に1000℃で1時間の熱処理を施し、この熱処理前後の粉体の重量差を測定して揮発分に換算したものであり、主に塗布後のマグネシア中に含まれる水分量を意味する。
かくして得られた鋼板を、300mm×100mmのサイズにせん断し、SST(Single Sheet Tester)試験機で磁気測定を行った。同時に、鋼板の一部を採取して表面の酸素目付け量の測定も行った。このときの酸素目付け量は鋼板の両面で1.2〜4.2g/m2であった。
その後、リン酸酸洗を行った後にコーティング処理液として前掲の特許文献3に記載された、リン酸アルミニウム50質量部、コロイド状シリカ40質量部、ホウ酸5質量部および硫酸マンガン10質量部の配合割合になるコーティング剤を鋼板両面に乾燥重量で10g/m2塗布したのち、乾N2雰囲気にて800℃で2分間の焼付けを行った。なお、比較として、リン酸アルミニウム50質量部、コロイド状シリカ40質量部および無水クロム酸10質量部からなるコーティング液を用いて、同様に塗布そして焼付けを行った。
かくして得られた鋼板に対して、再びSST試験機にて磁気測定を行った。また、Pの溶出試験も行った。すなわち、P溶出試験は、50mm×50mmの試験片3枚を100℃の蒸留水中で5分間浸漬して煮沸することによって被膜表面からPを溶出させ、そのPを定量分析した。このPの溶出量は、被膜の水分による溶解のしやすさを判別する目安になり、耐吸湿性を評価できる。さらに、被膜の耐食性について、50mm×100mmの試験片を温度50℃および湿度50%の雰囲気に50時間暴露した後、鋼板に発生した錆を面積率として評価した。
以上の測定並びに評価結果について、錆発生率、磁気特性およびP溶出量と仕上焼鈍後の下地膜の酸素目付け量との関係で整理して、図1、図2および図3にそれぞれ示す。
まず、図1に示すように、クロム含有コーティングを用いると全体的に錆発生率は低く、錆発生率の下地膜の酸素目付け量の依存性も低い。ただし、下地膜の酸素目付け量が2.4g/m2を下回ったり3.8g/m2を上回ったりすると、錆発生率が若干劣化する傾向がある。
これに対してクロムを含まないコーティングでは、多くの領域で錆発生率が高くなるが、下地膜の酸素目付け量が2.0〜3.5g/m2の範囲では良好な耐食性を示し、クロム含有被膜に遜色ない性能が得られている。
これは、鉄損およびP溶出量についても同様であり、図2および3に示すとおり、クロムを含有しない被膜であっても下地膜の酸素目付け量が2.0〜3.5g/m2の範囲内にあれば、クロムを含有する被膜の場合と同等の優れた鉄損および耐久性の改善効果が認められた。
以上の実験結果から、クロムを含有しない被膜を形成した場合、その下地膜の酸素目付け量がクロムレス被膜の吸湿性や磁気特性および耐食性に及ぼす影響について、本発明者らは以下のとおり推察した。
まず、一般的に下地膜の酸素目付け量が少なすぎると、部分的に地鉄の裸出する部分が多くなり、一方酸素目付け量が多すぎると、被膜の断面構造が劣化して部分的に剥落することになる。このような状態で上塗りコーティングを施すと、剥離した部分の張力効果が弱くなったり雰囲気に対する保護性が低下して、吸湿性、耐食性並びに張力による鉄損改善効果が低下するものと考えられる。
以上のことから、優れた被膜特性を得るためには、下地膜における酸素目付け量を適性化することが肝要である。
ここで、クロムを含有する被膜と含有しない被膜とを比較すると、クロムを含有する被膜はクロムがフリーのPをトラップするとともに、上塗りコーティングのSi,OおよびPの結合中に入り込むことにより、被膜を強固にして吸湿性および耐食性の改善や張力による鉄損の改善をもたらすのに対し、クロムを含有しない被膜を用いた場合は、被膜強化効果がクロム入りの被膜よりも小さいため、下地膜における僅かな不均一でも耐食性等を損ねることになる。従って、クロムを含有しない被膜の場合は、その下地膜の酸素目付け量の制御をより厳密に行う必要がある。
また、従来用いられているクロムを含有するコーティング液を塗布すると、クロムは腐食性の強い元素でもあるため、下地膜が一部エッチングされてしまう。すると、エッチングされた分だけ下地膜の酸素目付け量は実質上低くなることになる。一方、クロムを含有しない場合は、エッチングが生じず、それによる酸素目付け量の低減も生じない。ここで、被膜特性を考慮する際、その下地膜においては最適な酸素目付け量が存在するが、その最適値は、上記の理由により従来のクロムを含有する被膜の場合に比べてクロムを含有しない被膜の場合の方がより低酸素目付け量側となるのである。
本発明は、以上の知見に基いてなされたものであり、その要旨構成は、次のとおりである。
(1)鋼板の表面に、セラミック質の下地膜を介して、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を有する方向性電磁鋼板であって、Si:2.0〜4.0mass%を含有する鋼スラブに熱間圧延を施し、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後一次再結晶焼鈍を施し、次いで鋼板表面にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行ったのち、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を形成する一連の工程において、前記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量を0.8g/m 2 以上1.4g/m 2 以下に調整するとともに、焼鈍分離剤に水和IgLossが1.6〜2.2mass%のマグネシアを50mass%以上で含有する粉体を用いて得られる、下地膜酸素目付け量が鋼板両面当たり2.0g/m2以上3.5g/m2以下であることを特徴とするクロムレス被膜付き方向性電磁鋼板。
(2)Si:2.0〜4.0mass%を含有する鋼スラブに熱間圧延を施し、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後一次再結晶焼鈍を施し、次いで鋼板表面にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行ったのち、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を形成する一連の工程によって、方向性電磁鋼板を製造するに当たり、一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量を0.8g/m2以上1.4g/m2以下に調整するとともに、焼鈍分離剤に水和IgLossが1.6〜2.2mass%のマグネシアを50mass%以上で含有する粉体を用いることを特徴とするクロムレス被膜付き方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、クロムを含まない被膜を適用した場合にあっても、磁気特性並びに被膜特性がともに優れた方向性電磁鋼板を安定して提供することができる。
次に、本発明の各構成要件を限定した理由について詳しく述べる。
まず、本発明が対象とする鋼板は、方向性電磁鋼用素材であれば、特に鋼種を問わない。この電磁鋼スラブを公知の方法で熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延により最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍を施し、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施す。このとき、最終仕上焼鈍後の下地膜表面の酸素目付け量が2.0g/m2以上3.5g/m2以下となるように制御することが肝要である。
すなわち、上記酸素目付け量が2.0g/m2未満では下地膜の厚みが薄くなって、部分的に地鉄の裸出する部分が多くなり、一方3.5g/m2を超えると被膜の形態が不良となって部分的に被膜が剥落することにより、磁気特性や耐食性が劣化し、P溶出量が増加することになる。
この範囲に下地膜の酸素目付け量を制御するためには、まず成分としてSi:2.0〜4.0mass%を含有させる。すなわち、Si量が2.0mass%未満では鉄損が劣化し、一方4.0mass%を超えると圧延性が低下する。なお、残部は鉄および不可避的不純物の組成でよいが、必要に応じて、一次再結晶組織を改善して磁気特性を改善するためにCを0.02〜0.10mass%、インヒビターとしてAlNを用いる場合は、Alを0.01〜0.03mass%およびNを0.006〜0.012mass%、インヒビターとしてMnSまたはMnSeを用いる場合はMnを0.04〜0.20mass%およびSまたはSeを0.01〜0.03mass%、補助インヒビターとしてCu、Ni、Mo、Cr、Bi、SbおよびSnを単独もしくは複数で使用する場合はそれぞれ0.01〜0.2 mass%、などを含有することができる。
かような成分組成になる鋼スラブを加熱後に熱間圧延を施し、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、次いで一次再結晶焼鈍を施す。この一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量を鋼板両面で0.8〜1.4g/m2に調整する。これは一次再結晶焼鈍雰囲気の酸素ポテンシャルや、均熱温度および均熱時間などにより調整できる。
ここで、一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量が0.8g/m2よりも少ないと、仕上焼鈍後の下地膜の酸素目付け量が低く、一方1.4g/m2を超えると仕上焼鈍後の下地膜の酸素目付け量が高くなりすぎて、いずれの場合も上述の適正範囲から外れてしまうことになる。
次いで、一次再結晶焼鈍後に、水和IgLossが1.6〜2.2mass%のマグネシアを50mass%以上で含有する焼鈍分離剤を鋼板表面に用いることが肝要である。この水和IgLossを適正化することにより、仕上焼鈍中に追加酸化を起こさせ、下地膜の酸素目付け量を適正化する。すなわち、水和IgLossが低すぎると酸素目付け量は低くなりすぎ、一方高すぎると酸素目付け量も高くなりすぎる。なお、水和IgLossとは、上述の通りである。
以上の工程を規制することにより、仕上焼鈍後の下地膜の酸素目付け量を2.0g/m2以上3.5g/m2以下の範囲内とした後、焼鈍分離剤を除去し、リン酸などにより酸洗してクロムを含まないリン酸塩系コーティング液を塗布する。
コーティング液成分としては、従来公知のもの、例えば前掲の特許文献3に記載された、コロイド状シリカとリン酸アルミニウム、ホウ酸及び硫酸塩からなるコーティング液、或いは前掲の特許文献4に記載されたホウ酸化含物を添加したもの、特許文献5に記載された酸化物コロイドを添加したもの、特許文献6に記載された金属有機酸塩を添加したもの等々、いずれのコーティング液においても使用可能である。また、これらコーティング液に、さらにシリカやアルミナ等の無機鉱物粒子を添加して、耐スティッキング性を改善することも可能である。コーティング液の目付け量は鋼板両面で4〜15g/m2とする。すなわち、4g/m2より少ないと層間抵抗が低下し、15g/m2より多いと占積率が低下するためにこの範囲内とする。
このコーティング液を塗布、そして乾燥した後、焼付けを兼ねて平坦化焼鈍を行う。なお、平坦化焼鈍の条件は、特に限定されるものではないが、焼鈍温度は700℃〜950℃の温度範囲で2〜120秒程度の均熱時間とするのが望ましい。焼鈍温度が700℃未満であったり均熱時間が2秒より短いと、平坦化が不十分になる結果、形状不良のために歩留まりが低下し、一方温度が950℃を超えたり均熱時間が120秒より長いと、平坦化焼鈍の効果が強すぎる結果、クリープ変形して磁気特性が劣化するため、上記の範囲とすることが好ましい。
C:0.06mass%、Si:3.3 mass%、Mn:0.07 mass%、Se:0.02 mass%、Al:0.03 mass%およびN:0.008 mass%を含有する鋼塊に熱間圧延を施し、次いで1050℃で1分間の中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延により板厚0.23mmの最終冷延板とした。その後、雰囲気の水蒸気に対する水素の分圧(PH20/PH2)が0.2〜0.6の脱炭焼鈍を850℃で2分間にわたって施すことにより、酸素目付け量を0.6〜1.6g/m2に調整した後、焼鈍分離剤として、水和量が0.5〜2.8mass%のマグネシア100質量部および酸化チタン6質量部を添加した粉体を塗布して、公知の方法で最終仕上焼鈍を行い、その後未反応の焼鈍分離剤を除去することにより、下地膜の酸素目付け畳が1.4〜3.8g/m2の鋼板を準備した。これをリン酸酸洗処理した後に成分組成が乾固形分比率で、コロイド状シリカ:50mass%、リン酸マグネシウム:40mass%、硫酸マンガン:9.5mass%および微粉末シリカ粒子:0.5mass%となるコーティング液を鋼板両面で10g/m2の塗布量にて施した。なお、仕上焼鈍後の鋼板の磁束密度はいずれもB8で1.92(T)であった。その後、850℃で30秒、乾N2雰囲気の焼付け処理を施した。
かくして得られた鋼板の諸特性を調査した結果を、表1に示す。同表に示すように、前掲の特許文献1の記載に従って、単純に無水クロム酸の代わりに硫酸Mnを用いたのみの条件でも、下地膜の酸素目付け量が2.0g/m2〜3.2g/m2の範囲にあれば、良好な表面特性並びに鉄損が得られることがわかる。
Figure 0004682590
実施例1と同一の方法で処理した仕上焼鈍後の下地膜の酸素目付け量が2.8g/m2及び1.6g/m2かつ磁束密度がB8でいずれも1.92(T)の鋼板を、未反応の焼鈍分離剤の除去後にリン酸酸洗処理してから、成分組成が乾固固形分比率で、コロイド状シリカ:50mass%、各種第1リン酸塩化合物:40mass%、無機化合物:9.5mass%および微粉末シリカ粒子:0.5mass%からなるコーティング液を鋼板両面で10g/m2の塗布量で施した。次いで、乾N2雰囲気の焼付け処理を850℃で30秒にて施した。
かくして得られた鋼板の諸特性について調査した結果を、表2に示す。前掲の特許文献3ないし6に記載されたクロムを含まない、いずれのコーティング液でも、酸素目付け量を適切な範囲内に収めることにより優れた磁気特性および被膜特性が得られている。
Figure 0004682590
仕上焼鈍板の下地膜における酸素目付け量と錆発生率との関係を示すグラフである。 仕上焼鈍板の下地膜における酸素目付け量と鉄損の測定結果との関係を示すグラフである。 仕上焼鈍板の下地膜における酸素目付け量と吸湿性との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 鋼板の表面に、セラミック質の下地膜を介して、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を有する方向性電磁鋼板であって、Si:2.0〜4.0mass%を含有する鋼スラブに熱間圧延を施し、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後一次再結晶焼鈍を施し、次いで鋼板表面にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行ったのち、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を形成する一連の工程において、前記一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量を0.8g/m 2 以上1.4g/m 2 以下に調整するとともに、焼鈍分離剤に水和IgLossが1.6〜2.2mass%のマグネシアを50mass%以上で含有する粉体を用いて得られる、下地膜酸素目付け量が鋼板両面当たり2.0g/m2以上3.5g/m2以下であることを特徴とするクロムレス被膜付き方向性電磁鋼板。
  2. Si:2.0〜4.0mass%を含有する鋼スラブに熱間圧延を施し、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、その後一次再結晶焼鈍を施し、次いで鋼板表面にマグネシアを主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍を行ったのち、クロムを含まないリン酸塩系の張力付与被膜を形成する一連の工程によって、方向性電磁鋼板を製造するに当たり、一次再結晶焼鈍後の鋼板表面の酸素目付け量を0.8g/m2以上1.4g/m2以下に調整するとともに、焼鈍分離剤に水和IgLossが1.6〜2.2mass%のマグネシアを50mass%以上で含有する粉体を用いることを特徴とするクロムレス被膜付き方向性電磁鋼板の製造方法。
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