JP4682429B2 - スイッチトリラクタンスモータの制御方法、及びその位置角決定機構並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は多相負荷に供給する電流を転流する技術に関し、例えばスイッチトリラクタンスモータの位置検出に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
図22はスイッチトリラクタンスモータ100の構造を模式的に示す、回転軸に垂直な断面図である。ここではU相、V相、W相の三相交流が採用され、磁性体からなる回転子80が4個の突極81〜84を、磁性体からなる固定子90が6個の突極91u,91v,91w,92u,92v,92wを、それぞれ備えたスイッチトリラクタンスモータ100を例示している。
【0003】
回転子80は断面図上で固定子90に囲まれている。突極81〜84は固定子90へと四等配されて突出している。突極91u,91v,91w、92u,92v,92wは回転子80へと六等配されて突出している。但し突極91u,91v,91wは三等配されて設けられている。
【0004】
突極91u,92u、突極91v,92v、突極91w,92wはそれぞれ対向して配置され、これらの3対の突極はそれぞれU相,V相,W相に対応する。即ち、突極91u,92uにはU相コイル94uが、突極91v,92vにはV相コイル94vが、突極91w,92wにはW相コイル94wが、それぞれの対向する軸において同方向に巻回されている。例えばU相コイル94uは突極91u,92uが対向する軸を示す仮想線93uにおいて同方向に巻回される。V相コイル94v、W相コイル94wについても同様である。
【0005】
図23はU相コイル94u、V相コイル94v、W相コイル94wに電流を供給するインバータ400の回路図である。スイッチトリラクタンスモータ100に直流電源VDCから電流を流す場合、直流電源VDCの正極からスイッチングトランジスタTu+によって黒丸が付された側からU相コイル94uに電流iuが供給され、反対側からスイッチングトランジスタTu-によって負極へと電流iuが引き抜かれる。同様にして、V相コイル94vには直流電源VDCの正極からスイッチングトランジスタTv+によって黒丸が付された側から電流ivが供給され、反対側からスイッチングトランジスタTv-によって負極へと電流ivが引き抜かれる。またW相コイル94wには直流電源VDCの正極からスイッチングトランジスタTW+によって黒丸が付された側から電流iwが供給され、反対側からスイッチングトランジスタTW-によって負極へと電流iwが引き抜かれる。
【0006】
スイッチングトランジスタTu+,Tu-がオフした直後、U相コイル94uに蓄えられた電磁エネルギーにより、電流iuはフリーホイールダイオードDu+,Du-を介して流れ続ける。同様にしてV相コイル94vに流れる電流ivはフリーホイールダイオードDv+,Dv-によって、またW相コイル94wに流れる電流iwはフリーホイールダイオードDw+,Dw-によって還流する。
【0007】
U相コイル94u、V相コイル94v、W相コイル94wに対してインバータ400によって上記のように電流iu,iv,iwが供給されると、それぞれ突極91uから回転子80を介して突極92uへと流れる磁束、突極91vから回転子80を介して突極92vへと流れる磁束、突極91wから回転子80を介して突極92wへと流れる磁束、を発生させる。
【0008】
スイッチトリラクタンスモータ100では、上記のようにして発生した磁束が突極81〜84を介して回転子80を通り、その電磁エネルギーが最小となるように回転トルクが発生する。別の観点からみれば、突極91u,91v,91w,92u,92v,92wのうち、発生した磁束によって磁極となったものに突極81〜84が吸引されて回転子80が回転する。従って、回転子80を安定して回転させるためには、回転子80と固定子90との間の位置角に整合させて上記の磁束を発生させる必要がある。
【0009】
図24は、スイッチングトランジスタTu+,Tu-,Tv+,Tv-,Tw+,Tw-のオン/オフのタイミングを示すタイミングチャートである。位置角θは、図22において突極91u,92uが対向する方向を示す仮想線93uと、突極82,84が対向する方向を示す仮想線85又は突極81,83が対向する方向を示す仮想線86とが交差する角度のうちのいずれかが採用され、位置角θが増大する方向は回転子80の回転方向、ここでは図22において時計回りの方向に選択される。
【0010】
U相、V相、W相についてのインダクタンスLu,Lv,Lwは、それぞれθ=90°、120°、60°で最大値Lmaxを、それぞれθ=45°、75°、105°で最小値Lminを採る、いずれも位置角θについての周期90°の関数である。なお参考のため、電気角ψについてもその360°の範囲を併記した。
【0011】
位置角θの正確な検出は、スイッチトリラクタンスモータ100が回転する速度が位置角θの微分に基づいて求められるので重要である。つまり位置角θの検出誤差は、速度の脈動を実際とは異なって見積もってしまうことに繋がる。そしてスイッチトリラクタンスモータの速度制御系のゲインが大きい程、速度の脈動も大きく見積もられてしまう。またスイッチトリラクタンスモータに流す電流の脈動を最小とするためにも位置角θの正確な検出が望ましい。
【0012】
位置角θの検出のために光学式、磁気式の位置センサをスイッチトリラクタンスモータ100の回転軸(図示せず)に取り付けられる場合もあるが、システムの大型化や信頼性の低下、コスト上昇を招来したり、設置環境が限定されるという問題がある。これを解決するために、回転子80と固定子90とを総合して見た磁化曲線に基づいて、位置角θを推定する手法が提案されている。
【0013】
図25はv相コイル94vに流れる電流ivと、電流ivによってv相コイル94vに鎖交する磁束鎖交数λvvとの関係を例示するグラフであり、位置角θをパラメータとして描いている。電流ivの値を固定して考えれば、図24に示されるインダクタンスLvの位置角θに対する依存性を反映して、位置角θが30°において磁束鎖交数λvvは最大値を採り、位置角θが75°において磁束鎖交数λvvは最小値を採る。また、位置角θの値を固定して考えれば、電流ivの値が増加するほど磁束鎖交数λvvの値は増大する。
【0014】
図25に示された特性を予め較正曲線として測定しておけば、スイッチトリラクタンスモータ100の運転時に磁束鎖交数λvvと電流ivを測定することにより、当該較正曲線から位置角θが求められる。かかる較正曲線は、回転子80、固定子90、コイル94u,94v,94wを回転軸に対して対称に構成することにより、一つの相についてのみ準備しておけば他の相についても転用することができる。
【0015】
磁束鎖交数λvvの値は、v相コイル94vの両端に生じる電圧をvv、v相コイル94vの直流抵抗分をRvとして、式(1)に基づいて積分計算によって見積もることが出来る。
【0016】
【数1】
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
トルクの脈動の増加、効率の低下、運転範囲の縮小等を回避しつつ、2つの相に同時に磁束を発生させないようにするため、各相のスイッチングトランジスタのオン/オフは排他的に行われる。具体的には図24に示されるように、スイッチングトランジスタTu+,Tu-がオンする際の位置角θ0uはスイッチングトランジスタTw+,Tw-がオフする際の位置角θ1wと等しく設定され、スイッチングトランジスタTv+,Tv-のオンする際の位置角θ0vはスイッチングトランジスタTu+,Tu-のオフする際の位置角θ1uと等しく設定され、スイッチングトランジスタTw+,Tw-がオンする際の位置角θ0wはスイッチングトランジスタTv+,Tv-がオフする際の位置角θ1vと等しく設定される。
【0018】
しかし、位置角θ0u〜θ1uにおいてU相コイル94uに流れていた電流iuは、位置角θ1u=θ0vを越えてもフリーホイールダイオードDu+,Du-によって還流される。そのため、スイッチングトランジスタTv+,Tv-を介してV相コイル94vに電流が流れる期間の初頭の期間Hにおいては、図26のグラフに示されるように電流ivのみならず、電流iuも流れてしまう。但し図26において時刻t0u,t1u,t0v,t1vは、それぞれ位相角θ0u,θ1u,θ0v,θ1vに対応した時刻である。
【0019】
このように複数の相に電流が流れる期間H(以下「電流オーバーラップ期間」と称す)が存在すると、図25に示された較正曲線と式(1)とに基づいて求めた位置角θは不正確となる。その理由は、u相に流れる電流iuがv相コイル94vに鎖交する磁束鎖交数λvuを生成するからである。従って、正確には式(1)の代わりに式(2)を採用しなければならない。
【0020】
【数2】
【0021】
図22には電流オーバーラップ期間HにおいてU相コイル94u、V相コイル94vに流れる電流iu,ivの方向、電流ivが突極91v,92vに与える磁束鎖交数λvv、電流iuが突極91u,92uに与える磁束鎖交数λuu、電流iuが突極91v,92vに与える磁束鎖交数λvu、電流iuが突極91w,92wに与える磁束鎖交数λwuを模式的に示している。
【0022】
図25に示された較正曲線は、コイルに流れる電流と、当該コイルが巻回された突極に鎖交する磁束についてのものであり、巻回された突極と異なる突極に対してコイルが与える磁束についてのものではない。従って、磁束鎖交数λvuを無視して、式(3)を用いて磁束鎖交数λvvを見積もり、これと電流ivとを用いて図25の較正曲線から位置角θを求めても不正確となる。
【0023】
【数3】
【0024】
そこで、ある相のコイルについての電圧及び電流から位置角を正確に得るために、他の相のコイルに流れる電流の影響を考慮した較正曲線をも準備する手法が、例えば特開平5−199794号公報(以下、単に「公報」と称す)において提案されている。しかしながら他の相に流れる電流に対応させて磁化曲線を測定する手間や、記憶させるデータが膨大となることから、回転を制御する装置の複雑化、ひいてはコストアップが懸念される。
【0025】
記憶させるデータ量を少なくするために、磁化曲線をファジー理論を採用してモデル化する技術も、例えば「磁化曲線を利用したSRMの位置センサレス制御法」(小坂、落合、松井、電気学会論文誌D、Vol.120,No.2,2000,pp216-222:以下、単に「文献」と称す)において提案されているが、制御の実装過程が複雑になるという問題が懸念される。
【0026】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、ある相のコイルについての電圧及び電流から位置角を正確に得るために、他の相のコイルに流れる電流の影響を簡易に低減するという課題を解決するものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち請求項1にかかるものは、第1の相(U)に対応し、第1のコイル(94u)が巻回される第1の突極(92u,91u)と、前記第1の相から転流される第2の相(V)に対応し、第2のコイル(94v)が巻回され、前記第1の突極に隣接して配置される第2の突極(91v,92v)とを有する固定子(90)と、前記固定子に囲まれる回転子(80)と、を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)の制御方法である。前記第1及び第2のコイル(94u,94v)に対し、前記回転子と前記固定子の間において前記第1の突極と第2の突極とで同じ方向に磁束を発生させる第1及び第2の電流(i u ,i v )を供給する。
そして前記第1の相(U)へと転流する第3の相(W)についての第3の電流(i w )が、前記第1の電流(i u )よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、前記回転子(80)の位置角(θ)と、前記第1の電流とに基づいて、前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λ)を求め(S701〜S706)、当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める(60)。
【0032】
この発明のうち請求項2にかかるものは、請求項1記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記第1の電流(iu)のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第1相期間(U)で前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λu)を求めるための積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第1相期間での前記位置角(θ)を求める(60)。
【0033】
この発明のうち請求項3にかかるものは、請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記特定オーバーラップ期間(H’)において、前記位置角(θ)と、前記第1の電流(iu)とに基づいて、前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λu)を求めるに際してファジー理論を用いる。
【0034】
この発明のうち請求項4にかかるものは、第1の電流(iw)が流れる第1の相(W)と、前記第1の電流から転流される第2の電流(iu)が流れる第2の相(U)とを備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)の制御方法である。前記第1の電流が、前記第2の電流よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求め(S701〜S706)、当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める(60)。
【0035】
この発明のうち請求項5にかかるものは、請求項4記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記第2の電流(iu)のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(U)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λu)を求めるための積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第2相期間での前記位置角(θ)を求める(60)。
【0036】
この発明のうち請求項6にかかるものは、請求項4及び請求項5のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記特定オーバーラップ期間(H’)において、前記位置角(θ)と、前記第2の電流(iu)とに基づいて、前記第2の相(U)についての磁束鎖交数(λu)を求めるに際してファジー理論を用いる。
【0037】
この発明のうち請求項7にかかるものは、第1の電流(iu)が流れる第1の相(U)と、前記第1の電流から転流される第2の電流(iv)が流れる第2の相(V)とを備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)の制御方法である。前記第1の電流及び前記第2の電流が流れている電流オーバーラップ期間(H)において、前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についてのインダクタンス(L)を介して(S901〜S904)前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求め(S905)、当該磁束鎖交数に基づいて前記電流オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める(60)。
【0038】
この発明のうち請求項8にかかるものは、請求項7記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記第2の電流(iv)のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(V)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λv)を求めるための積分計算の初期値として、前記電流オーバーラップ期間(H)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数(λN-1)を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第2相期間での前記位置角(θN)を求める(60)。
【0039】
この発明のうち請求項9にかかるものは、請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法であって、前記電流オーバーラップ期間(H)において、前記位置角(θ)と、前記第2の電流(iv)とに基づいて、前記第2の相(V)についての磁束鎖交数(λv)を求めるに際して前記インダクタンスの前記位置角についての微分(dL/dθ)も介される。
【0043】
この発明のうち請求項10にかかるものは、第1の電流(iw)が流れる第1の相(W)と、前記第1の電流から転流される第2の電流(iu)が流れる第2の相(U)とを備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)の位置角決定機構(200)であって、前記第1の電流が、前記第2の電流よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求める磁束鎖交数算出部(54a)と、当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める回転位置演算部(60)とを備える。
【0044】
この発明のうち請求項11にかかるものは、請求項10記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(200)であって、前記第2の電流(iu)のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(U)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λu)を積分計算で求める磁束鎖交数演算部(53)と、前記積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数を格納する積分初期値設定部(59)とを更に備える。
【0045】
この発明のうち請求項12にかかるものは、請求項10及び請求項11のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(200)であって、前記磁束鎖交数算出部(54a)は前記特定オーバーラップ期間(H’)において、ファジー理論を用いて前記第2の相(U)についての磁束鎖交数(λu)を求める。
【0046】
この発明のうち請求項13にかかるものは、第1の電流(iu)が流れる第1の相(U)と、前記第1の電流から転流される第2の電流(iv)が流れる第2の相(V)とを備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)の位置角決定機構(201)であって、前記第1の電流及び前記第2の電流が流れている電流オーバーラップ期間(H)において、前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についてのインダクタンス(L)を介して前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求める磁束鎖交数算出部(54b)と、当該磁束鎖交数に基づいて前記電流オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める回転位置演算部(60)とを備える。
【0047】
この発明のうち請求項14にかかるものは、請求項13記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(201)であって、前記第2の電流(iv)のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(V)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λv)を積分計算で求める磁束鎖交数演算部(53)と、前記積分計算の初期値として、前記電流オーバーラップ期間(H)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数(λN-1)を格納する積分初期値設定部(59)とを更に備える。
【0048】
この発明のうち請求項15にかかるものは、請求項13及び請求項14のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(201)であって、前記磁束鎖交数算出部(54b)は、前記電流オーバーラップ期間(H)において、前記位置角(θ)と、前記第2の電流(iv)とに基づいて、前記インダクタンスの前記位置角についての微分(dL/dθ)も介して、前記第2の相(V)についての磁束鎖交数(λv)を求める。
【0049】
この発明のうち請求項16にかかるものは、請求項1乃至請求項9に記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法をコンピュータに実現させるプログラムである。
【0050】
【作用】
この発明の内、請求項1にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法においては、スイッチトリラクタンスモータ(100)に、第1のコイル(94u)に流れる電流(iu)から、第2のコイル(94v)に流れる電流(iv)へ転流した直後の電流オーバーラップ期間(H)において、第1の突極(92u,91u)で発生した磁束は、第2の突極(91v,92v)には流れ込まない。
【0053】
この発明の内、請求項1乃至請求項6にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法、請求項10乃至請求項12にかかるスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構においては、磁束鎖交数(λ)を介して位置角(θ)についてのフィードバックが行われる。
【0054】
この発明の内、請求項7乃至請求項9にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法、請求項13乃至請求項15にかかるスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構においては、インダクタンス(L)を用いて磁束鎖交数(λ)が求められる。
【0055】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態.
図1は本発明の第1の実施の形態において採用されるインバータ300の回路図である。簡単にいえば、インバータ300は、図23に示されたインバータ400に対し、スイッチングトランジスタTv+,Tv-、フリーホイールダイオードDv+,Dv-の接続をV相コイル94vの巻線方向に対して反対に設けた構成を有している。
【0056】
即ち、U相コイル94u及びW相コイル94wに直流電源VDCからそれぞれ電流iu,iwを流す場合、それぞれ黒丸が付された側から電流が供給され、反対側から引き抜かれる。フリーホイールダイオードDu+,Du-,Dw+,Dw-によって還流する場合も電流iu,iwの方向は同じである。しかし、V相コイル94vに直流電源VDCから供給する場合及びフリーホイールダイオードDv+,Dv-によって還流する場合のいずれも、電流ivは黒丸が付されていない側から供給され、黒丸が付された側から引き抜かれる。つまりV相コイル94vはU相コイル94u及びW相コイル94wとは逆方向に電流が供給される。
【0057】
インバータ300によってU相コイル94u、V相コイル94v、W相コイル94wに対して上記のようにして電流iu,iv,iwが供給されると、それぞれ突極91uから突極92uへと流れる磁束、突極92vから突極91vへと流れる磁束、突極91wから突極92wへと流れる磁束、を発生させる。つまりV相に関しては磁束の向きが従来とは反対になる。このため、位置角θ1u=θ0v以後の電流オーバーラップ期間Hにおいて電流iuが発生させる磁束は電流ivによる起磁力に阻まれ、磁束鎖交数λvuは殆どゼロとなる。
【0058】
図2は電流オーバーラップ期間HにおいてU相コイル94u、V相コイル94vに流れる電流iu,ivの方向、電流ivが突極91v,92vに与える磁束鎖交数λvv、電流iuが突極91u,92uに与える磁束鎖交数λuu、電流iuが突極91w,92wに与える磁束鎖交数λwuを模式的に示している。
【0059】
以上のようにして本実施の形態によれば、それぞれU相及びV相に対応して隣接して配置された突極92u,91vあるいは突極92v,91uのいずれにおいても、自身に巻回されたコイル94u,94vによって自身に発生する磁束は回転子80と固定子90の間において同じ方向となる。従ってスイッチトリラクタンスモータに流す電流をU相からV相に転流した直後の電流オーバーラップ期間HにおいてU相についての磁極となる突極91u,92uに流れる磁束はV相についての磁極となる突極91v,92vには流れ込まない。従ってV相に電流ivが流れる期間のスイッチトリラクタンスモータ100の位置角θの検出においては、U相に流れる電流iuの影響を排除することができる。従って、図25に示されるようなV相コイル94vに鎖交する磁束鎖交数λvvと位置角θの関係のみを較正曲線として用いても精度良く位置角θの検出を行うことができる。
【0060】
図3は本実施の形態の効果を説明するグラフであり、横軸に位置角θ(°)を、縦軸に電流iv(A)を、それぞれ採っている。グラフL0は式(3)及び図3に示された較正曲線から計算によって位置角θを求めて得られた理想値を示す。一方、グラフL1,L2はそれぞれ、従来と同様にして電流オーバーラップ期間HにおいてU相の電流iuが磁束鎖交数λvuを生成した場合、本実施の形態に示すように磁束鎖交数λvuが発生しない場合を示している。
【0061】
同図から明白なように、グラフL2は殆どグラフL0と重なっており、本実施の形態によって電流オーバーラップ期間HにおいてU相の電流iuが流れても、これがV相に転流した後の位置角θの検出に影響を殆ど与えないことがわかる。
【0062】
しかも本実施の形態によれば、速度情報を用いて位置角θの検出を行わないので、速度制御系のゲインを高めることができ、スイッチトリラクタンスモータ100の応答性を向上することもできる。
【0063】
かかる効果はスイッチトリラクタンスモータ100に流す電流をV相からW相に転流した直後の電流オーバーラップ期間Hについても同様にして得られることはいうまでもない。
【0064】
また、必ずしも三相交流で駆動されるスイッチトリラクタンスモータにのみ適用されるものではなく、二相、四相等の他の多相交流で駆動されるスイッチトリラクタンスモータに適用されてもよい。また固定子90や回転子80の突極の数も、6−4極に限定されるものではなく、12−8極、8−6極などの他の極数を備えたスイッチトリラクタンスモータに適用されてもよい。
【0065】
第2の実施の形態.
第1の実施の形態ではV相についての磁束の向きを変えたので、W相からU相に転流した直後(位置角θ1w=θ0uの直後)の電流オーバーラップ期間Hについては、第1の実施の形態の効果が期待できない。そこで本実施の形態では、当該期間において(後述するように、正確には若干異なる期間であるが)、減少しつつある電流iwがU相の磁極となる突起91u,92uに流れ込んでも、これによる位置角θの誤差を低減する技術を採用する。
【0066】
図4は本実施の形態において採用される位置角決定機構200の構成を例示するブロック図である。
【0067】
位置角決定機構200において推定相選択処理部51が設けられている。推定相選択処理部51は最大電流相選択部51aと検出相選択部51bとを備えている。最大電流相選択部51aには、各相に流れる電流iu,iv,iwが供給される。これら三者の中で最大値を採る電流izに対応する相がインバータ(例えば図1に示されたインバータ300)によって励磁されている相であると判断し、当該相を示す励磁相信号Z(ZはU,V,Wのいずれか一つを示す)が出力される。検出相選択部51bにはU相コイル94u、V相コイル94v,W相コイル94wの電圧vu,vv,vwが入力されており、これらのうち、励磁相Zに対応する電圧vz(zはu,v,wのいずれか一つを示す)が出力される。
【0068】
推定相選択処理部51の動作は、ノイズを無視できる理想的な場合には図5に示されるフローチャートで実現されてもよい。ステップS501において電流iu,iv,iwが入力される。ステップS502に進み、電流iuが電流ivより大きいかが判断される。判断結果が「YES」であればステップS504に進む。判断結果が「NO」であればステップS503に進む。ステップS503では電流ivが電流iwより大きいかが判断される。判断結果が「YES」であればステップS505に進む。判断結果が「NO」であればステップS506に進む。
【0069】
ステップS504ではU相の方がV相よりも大きな電流が流れていた事に基づき、インバータによって励磁されている相はU相であると判断し、励磁相信号Zは励磁相がU相である旨を出力する(図中、励磁相信号Uとしている)。同様にしてステップS505ではV相の方がW相よりも大きな電流が流れていた事に基づき、励磁相がV相である旨(図中、励磁相信号Vとしている)を出力する。同様にしてステップS506では励磁相がW相(図中、励磁相信号Wとしている)である旨を出力する。
【0070】
ステップS504,S505,S506が実行された後は、それぞれステップS507,S508,S509により、電流izと電圧vzとして、電流iuと電圧vu、電流ivと電圧vv、電流iwと電圧vwが設定される。
【0071】
図4に示された推定相選択処理部51の動作でも、図5に示されたフローチャートの動作でも、励磁相Zの判定は各相の電流iu,iv,iwの大小関係に基づいている。従って、図24に示されたスイッチングトランジスタのオン/オフや、図26に示された電流オーバーラップ期間Hのいずれともずれた期間として励磁相が判断される。
【0072】
図6は励磁相の判断を、W相からU相への転流時点近傍で示すタイミングチャートである。ここで時刻t1wは位置角θ1wに対応してスイッチングトランジスタTw+,Tw-がオフする時刻であり、時刻touは位置角θouに対応してスイッチングトランジスタTu+,Tu-がオンする時刻である。例えば図1に示されるインバータ300において、時刻t1w=touにおいてスイッチングトランジスタの動作によってW相からU相へと転流を行う制御が行われても、その後の電流オーバーラップ期間H中で電流iu=iwとなる時刻t1w’=tou’になって初めて、励磁相ZはU相であると判断される。
【0073】
図4に戻り、位置角決定機構200において磁束鎖交数演算部53は、励磁相に対応した電流iz、電圧vzを受け、V相について示された式(3)を各相に読み替えて磁束鎖交数λを求める。例えば図6に即して言えば時刻t1w’=tou’以前では電流iw、電圧vwに基づいて磁束鎖交数λwwを求める。
【0074】
一方、位置角決定機構200において磁化曲線モデル部54aは、後述する近似によって磁束鎖交数を求める磁束鎖交数算出部として機能する。そしてこの2つの求め方のいずれかによって求められた磁束鎖交数λと、インバータに流れる電流に基づき、図25に示される較正曲線を用いて、回転位置演算部60は位置角θを求める演算を行う。
【0075】
磁束鎖交数λを求める方法を切り替えるため、位置角決定機構200はフロー切り替え機構58を備えている。もちろん、これと同様の機能が実現できればソフトウェアの処理を採用してもよいが、便宜上、1つのANDゲート58aと3つのスイッチ58b,58c,58dを用いてフロー切り替え機構58を構成した場合を例示している。
【0076】
位置角決定機構200において電流iu,iv,iwは電流オーバーラップ判定部57にも与えられる。ここでは測定している時点が電流オーバーラップ期間H内であるか否かに対応してそれぞれ値1,0を採る判定信号xを出力する。かかる判断は電流iu,iv,iwの2つが所定値以上であること、理想的には非零であることを検出することによって実現することができる。
【0077】
また位置角決定機構200において励磁相信号Zは相互誘導作用判定部56にも与えられる。ここでは励磁相がU相であるか否かに対応してそれぞれ値1,0を採る判定信号yを出力する。
【0078】
ANDゲート58aにおいて判定信号x,yの論理積を採ることにより、ANDゲート58aの出力は、iu>iw>0である電流オーバーラップ期間H(以下「特定オーバーラップ期間H’」とも称す)内であるか否かに対応して変動する。なお図6に示されるように、特定オーバーラップ期間H’の終期は電流オーバーラップ期間Hの終期と一致するが、その始期は電流オーバーラップ期間Hの始期よりも遅れる。
【0079】
特定オーバーラップ期間H’内である場合にはスイッチ58cをオンにし、積分初期値設定部59から式(3)の計算のための初期値が新たに磁束鎖交数演算部53に与えられる。但し特定オーバーラップ期間H’内ではスイッチ58dによって磁化曲線モデル部54aの出力を回転位置演算部60に与えさせる。特定オーバーラップ期間H’内でない場合には、スイッチ58cをオフにし、スイッチ58dを介して磁束鎖交数演算部53の出力を回転位置演算部60に与えさせる。
【0080】
特定オーバーラップ期間H’内でない場合には、U相、W相の場合も読み替えて、式(3)に基づいて求められた磁束鎖交数λが回転位置演算部60での演算に採用され、位置角θが決定される。これは特に電流オーバーラップ期間H以外では従来から行われてきた手法と同様である。また第1の実施の形態を採用することにより、電流オーバーラップ期間H内であっても、U相からV相への転流時、V相からW相への転流時において位置角θを正確に求めることができる。しかし、第1の実施の形態で問題を回避できない、W相からU相への特定オーバーラップ期間H’では、磁化曲線モデル部54aの近似計算によって磁束鎖交数を求める。
【0081】
図7及び図8は両者相まって位置角決定機構200の上述の動作を概念的に示すフローチャートである。まず図7に示されたステップS601〜S610において電流オーバーラップ期間H内であるか否かが判断され、電流オーバーラップ判定部57の動作に対応している。まずこれらのステップに移行する前にカウント値Cは0に設定されているものとする。
【0082】
ステップS601において電流iu,iv,iwが入力され、ステップS602において電流iuは0か否かが判断される。もちろんこの判断はノイズを無視した理想的な場合を例示しており、実際には許容される最低値よりも小さいか否かが判断されることになる。以下のステップS604,S606についても同様である。
【0083】
ステップS602の判断結果が「YES」であればそのまま、「NO」であればステップS603においてカウント値Cを1だけインクリメントして、いずれもステップS604に進む。
【0084】
ステップS604において電流ivは0か否かが判断される。ステップS604の判断結果が「YES」であればそのまま、「NO」であればステップS605においてカウント値Cを1だけインクリメントして、いずれもステップS606に進む。
【0085】
ステップS606において電流iwは0か否かが判断される。ステップS606の判断結果が「YES」であればそのまま、「NO」であればステップS607においてカウント値Cを1だけインクリメントして、いずれもステップS608に進む。
【0086】
ステップS608ではカウント値Cの値が1より大きいか否かを判断する。カウント値Cの値が1より大きければステップS602,S604,S606の少なくとも2つにおいて判断結果が「NO」であり、電流iu,iv,iwの2つが非零であると判断されたことになる。従ってその場合には電流オーバーラップ期間H内であるとしてステップS608の判断結果は「YES」となり、ステップS609へと進み、判定信号xに1を設定する。本フローチャートにおいて記号「=」はその左辺に右辺の値を設定することを示している。ステップS608における判断結果が「NO」であれば、ステップS610へと進み、電流オーバーラップ期間H内ではないとして判定信号xに0を設定する。ステップS609,S610のいずれの場合も、新たにステップS601〜S608が実行される事に備えて、カウント値Cに0をセットしておく。
【0087】
ステップS609,S610のいずれが実行された場合でも、接続子J1を介して図8のステップS611に進み、励磁相信号Zが入力される。ステップS612ではステップS611で入力された励磁相信号Zについての判断が実行される。励磁相がU相であればステップS613に進んで判定信号yに1を、U相でなければステップS614に進んで判定信号yに0を、それぞれ設定する。つまりステップS611〜S614は相互誘導作用判定部56の動作に対応している。
【0088】
ステップS615はANDゲート58aの動作に対応しており、判定信号x,yの論理積が0であるか否かが判断される。即ち、判定信号x,yの少なくともいずれか一方が0である場合にはステップS616に、判定信号x,yの双方が1である場合にはステップS621に、それぞれ進む。
【0089】
ステップS616〜S620は、特定オーバーラップ期間H’内でない場合の処理であって、まずステップS616でスイッチ58cがオフしているか否かについて判断する。オフしている場合は、既に式(3)の計算が行われており、これに引き続いて新たな電流iz、電圧vzを用いてステップS619で式(3)に基づいて磁束鎖交数λを計算する。オンしている場合は特定オーバーラップ期間H’から初めて抜け出た場合の磁束鎖交数λを計算するので、ステップS617へ進み、スイッチ58cを経由して積分初期値設定部59から初期値を磁束鎖交数演算部53へ与え、その後ステップS618においてスイッチ58cをオフする。ステップS618,S619のいずれが実行された場合でも、ステップS620に進み、スイッチ58dを介して磁束鎖交数演算部53で求められた磁束鎖交数λを回転位置演算部60に与える。これにより磁束鎖交数演算処理は終了し、図示されないメインルーチンへと復帰する。
【0090】
ステップS621以降は、特定オーバーラップ期間H’内での処理であって、スイッチ58dを介して磁化曲線モデル部54aで求められた磁束鎖交数λを回転位置演算部60に与える。更にこの磁束鎖交数λを用い、ステップS622において、積分初期値設定部59に格納される式(3)のための積分初期値を更新する。そしてスイッチS623においてスイッチ58cをオンし、当該積分初期値を磁束鎖交数演算部53に与える。ステップS622,S623は特定オーバーラップ期間H’内においても繰り返し実行されるが、これは回転位置演算部60に与えられる磁束鎖交数λには寄与しない。ステップS617の準備のために行われる処理である。
【0091】
以上のようにして、特定オーバーラップ期間H’からU相についての電流iuのみが流れる状態(本明細書において「真性U相期間」と称す)に移行する際には、特定オーバーラップ期間H’において磁化曲線モデル部54aの近似計算によって最後に求められた、即ち真性U相期間の直前に求められた磁束鎖交数λuを初期値として、式(3)の積分によって磁束鎖交数λuを計算する。その一方、特定オーバーラップ期間H’へと移行する際には、それまでの期間で最後に求められていた、即ち特定オーバーラップ期間H’の直前で求められていた位置角θを初期値として、以下に述べる方法で磁束鎖交数λを求める。そのため、図示されてはいないが、図8の「復帰」の後にスイッチ58bが一時的にオンされ、これを介して回転位置演算部60から得られた位置角θがサンプリングされて回転位置記憶部55へ伝達される。そして回転位置記憶部55は特定オーバーラップ期間H’中、磁化曲線モデル部54aでの近似計算の初期値として、その直前に回転位置演算部60で求められた位置角θを記憶する。
【0092】
図9は磁化曲線モデル部54aの構成を例示するブロック図である。また図10は磁化曲線モデル部54aの動作を示すフローチャートであり、ステップS621に対応している。
【0093】
磁化曲線モデル部54aは例えばファジー判断部541と線形補間部542とを備えている。ファジー判断部541には最大電流相選択部51aから電流izが、線形補間部542には回転位置記憶部53から位置角θが、それぞれ与えられる。これは図10のステップS701で実行される。そして最大電流相選択部51aは電流izと、例えば図25に示された較正曲線に基づいて設定されるメンバーシップ関数とから、複数個、例えば7個の暫定的な磁束鎖交数λ(θ1),λ(θ2),…,λ(θ7)を求める。これはステップS702で実行される。そして線形補間部542はこれらの暫定的な磁束鎖交数λ(θ1)〜λ(θ7)と、回転位置記憶部53から与えられた位置角θとに基づいて磁束鎖交数λを求める。これはステップS703〜S706に対応する。
【0094】
ステップS703においてまずパラメータjを0に設定する。そしてステップS704でjを1だけインクリメントしつつ、ステップS705を繰り返し実行する。ステップS705では回転位置記憶部53から得られた位置角θが位置角θj以上で位置角θj+1以下となるか否かを判断する。特定オーバーラップ期間H’で位置角θが通常採り得る値に鑑みて、例えば位置角θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6,θ7をそれぞれ50.0,52.5,57.5,65.0,72.5,77.5,82.5(°)に設定しておけば、j=1〜6のいずれかでステップS705の判断基準となる不等式が満足される(固定子90と回転子80との対称性により、75°<θ<120°では図25において150°−θのグラフを参照する)。
【0095】
そしてステップS706に進み、ステップS705の判断基準を満足させたjに対して、式(4)を用いた線形補間によって、回転位置記憶部53から得られた位置角θに対する磁束鎖交数λ(θ)を求める。
【0096】
【数4】
【0097】
その後は、図8を参照して、ステップS622に処理が進み、ステップS622,S623を経由して図示されないメインルーチンに復帰する。そして、回転位置演算部60によって改めて位置角θが求められる。
【0098】
以上のようにして、磁化曲線モデル部54aは、回転位置演算部60による位置角θと、新たに測定された電流izとを用いて磁束鎖交数λを求める。そして、この求めた磁束鎖交数λから回転位置演算部60が新たに位置角θを求める。このようにして磁束鎖交数λを介して位置角θについてのフィードバックを行うことにより、特定オーバーラップ期間H’においても回転位置演算部60が用いる較正曲線として図25に相当するもの一つのみを採用しても、位置角θを精度良く算出することができる。
【0099】
以下、ファジー判断部541の動作を説明する。式(5)は電流iについての磁束鎖交数λの推論規則である。
【0100】
【数5】
【0101】
また図11は式(5)電流iについてのメンバーシップ関数を示すグラフである。ここでは電流の単位として例えばアンペアを採用している。図12は電流iが10.5アンペアの場合の適合度を例示するグラフである。ここではメンバーシップ関数A3,A4は折れ線で規定されており、メンバーシップ関数A3,A4についてのそれぞれ適合度μA3,μA4は、1+(10.5−10)/(10−12)=0.75,0+(12−10.5)/(12−10)=0.25と求められる。またその他のメンバーシップ関数についての適合度は0となる。
【0102】
式(6)は適合度と式(5)の推論規則に基づいて磁束鎖交数λを求める演算を示しており、適合度μAmに対して推論規則に示された値Λmの重み付けを与えた加算が行われている。
【0103】
【数6】
【0104】
このようにファジー理論による磁束鎖交数λの計算は、較正曲線を得るために予め測定しておくべき電流のバリエーションを低減することができて望ましい。このようなファジー理論を用いた磁束鎖交数λの計算は、位置角θの計算手法において本件とは異なるものの、例えば上述の文献に示されている。
【0105】
なお、本実施の形態では第1の実施の形態を前提としているが、必ずしもインバータ300を採用する場合のみならず、従来のインバータ400を採用した場合にも適用できる。つまり、U相からV相への、またV相からW相への転流の際にも図10のフローチャートを採用することができる。この場合、相互誘導作用判定部56による判定信号yを必要とせず、従ってアンドゲート58aも必要ない。図13はこのような変形を示すフローチャートである。図8におけるステップS611〜S614は不要であり、接続子J1からステップS615に直接に処理が進み、かつステップS615は「x=0であるか」という判断を行うステップS624に置換される。そしてX=0であればステップS624の判断はYESとなってステップS616へと進み、X=1であればステップS624の判断はNOとなってステップS621へと進む。その後の処理は図8に示されたフローチャートと同様に進む。
【0106】
第3の実施の形態.
本実施の形態でも、必ずしもインバータ300を採用する場合のみならず、図23に示されるような従来のインバータを採用した場合にも適用できる手法を提示する。例えば減少しつつある電流iuによる磁束鎖交数λvuがV相の磁極となる突起91v,92vに流れ込んでも、これによる位置角θの誤差を低減する技術を採用する。
【0107】
V相の磁極となる突起91v,92vにおいて、自身に巻回されるV相コイル94vに流れる電流ivによって与えられる磁束鎖交数数λvvの時間微分を考えると、式(7)となる。
【0108】
【数7】
【0109】
但しインダクタンスLはV相コイル94vのインダクタンスであって、本来的には電流iv及び位置角θの関数である。しかし、図24、図25を参照して理解されるように、U相からV相への転流時近傍、即ちθ=75°近傍では磁束鎖交数λvvは電流ivに関してほぼ線形であり、インダクタンスLは位置角θのみの関数として近似している。また角周波数ωは位置角θの時間微分である。
【0110】
そして式(7)はある時刻tの近傍の微小時間Δtにおいて式(8)で近似できる。
【0111】
【数8】
【0112】
ここで、Laveは、当該微小時間Δt中でのインダクタンスLの平均値であり、Δλvvは磁束鎖交数λvvの、Δivは電流ivの、Δθは位置角θの、それぞれ微小時間Δt中での変動分を示す。
【0113】
図14は励磁相の判断を、U相からV相への転流時点近傍で示すタイミングチャートである。ここで時刻tovは位置角θ1u,θovに対応しており、スイッチングトランジスタTu+,Tu-がオフ、スイッチングトランジスタTv+,Tv-がオンする時刻である。なお、電流iv、位置角θを求めるためのサンプリング時刻として、時刻tK-2,tK-1,tK,tN-1,tNを例示している。但し図においてはtK-2<tK-1<tov<tK<tN-1<te<tNの関係にあり、時刻teは実質的に電流iuが0となる時刻であって電流オーバーラップ期間Hの終期である。
【0114】
時刻tM-1,tMにおける磁束鎖交数λvvをそれぞれλM-1,λMとし、時刻tM-1,tMにおける電流ivをそれぞれiM-1,iMとし、時刻tM-1,tMにおける位置角θをそれぞれθM-1,θMとし、位置角θMでのdL/dθの値をdL/dθ]Mとして表すと、式(8)は式(9)で表すことができる。
【0115】
【数9】
【0116】
式(9)においてインダクタンスLの平均値Lave及び位置角θMは、式(10)を用いて求めることができる。
【0117】
【数10】
【0118】
但し角速度ωM-1は1サンプル周期Tにおいて一定であると近似している。例えば角速度ωM-1は、1サンプル周期前、及び2サンプル周期前に求められた位置角θM-1,θM-2を用いてωM-1=(θM-1−θM-2)/Tとして計算できるので、結局位置角θMは式(11)で計算できる。
【0119】
【数11】
【0120】
以上のことから、時刻tMでの磁束鎖交数λMは、磁束鎖交数λM-1と、位置角θM-1,θM-2、電流iM-1,iM、インダクタンスLM-1,LMと、インダクタンスの微分値dL/dθ]Mに基づいて、求めることができる。インダクタンスLM-1,LMと、インダクタンスの微分値dL/dθ]Mは、位置角位置角θM-1,θMにより、図25に示された較正曲線から得ることができる。あるいは予めテーブルとしてインダクタンスL及びその微分値dL/dθを、位置角θに関してのテーブルとして設定しておいても良い。
【0121】
このようにして求められた磁束鎖交数λMと、電流iMと、較正曲線とが使用され、改めて位置角θMを求め、これを更新する。
【0122】
本実施の形態では電流オーバーラップ期間Hにおいて上述のようにして位置角θMを求めるので、その最初には上述の説明でK=Mとおいて、真性U相の最後に求められていた磁束鎖交数λK-1を用いて磁束鎖交数λKが求まり、最終的な位置角θKも求められる。その後は、磁束鎖交数λvvの初期値は真性U相で求めたものとは異なり、電流オーバーラップ期間Hで求められたものが採用されるが、上記手順がサンプリング毎に繰り返される。従って式(3)の計算を用いることが無く、従って式(2)に存在するdλvu/dtの影響を受けることなく、図25に示された較正曲線を用いて、精度良く位置角θを求めることができる。
【0123】
図15は本実施の形態において採用される位置角決定機構201の構成を例示するブロック図である。位置角決定機構201は図4に示された位置角決定機構200と同様にして、検出相選択部51b、磁束鎖交数演算部53、回転位置記憶部55、電流オーバーラップ判定部57、積分初期値設定部59、回転位置円算部60を有している。しかし、位置角決定機構200の最大電流相検出部51aは電流相選択部51cに、磁化曲線モデル部54aは磁化曲線モデル部54bに、それぞれ置換されている。またアンドゲート58aは省略されている。
【0124】
検出相選択部51b及び電流相選択部51cには、いずれも転流タイミング信号Qが与えられる。検出相選択部51b及び電流相選択部51cからは、転流タイミング信号Qが与えられる度に、U相、V相、W相のいずれか一つに循環的に対応して更新される電圧vz、電流iz(zはu,v,wのいずれか一つを示す)がそれぞれ出力される。
【0125】
電流オーバーラップ判定部57は位置角決定機構200における動作と同様にして、換言すればステップS601〜S609(図7)を実行して、判定信号xを出力する。スイッチ58c,58dのオン/オフは第2の実施の形態と同様に行われる。但し、ステップS609,S610からステップS616,S621に至るまでは図13に示されたステップS624が実行される。これにより、特定オーバーラップ期間H’(図6)ではなく、その始期と終期にそれぞれ最大限サンプリング期間Tの誤差は生じうるものの、電流オーバーラップ期間HにおいてステップS621が実行されることになる。
【0126】
図16は磁化曲線モデル部54bの動作を示すフローチャートである。磁化曲線モデル部54bも磁束鎖交数算出部として機能する。図16に示されたフローチャートはステップS621に対応しており、例えばM≧Kに設定される。先ずステップS901において位置角θM-1,θM-2、電流iM-1を入力する。例えば1サンプル周期前の位置角θM-1は回転位置記憶部55が格納しており、2サンプル周期前の位置角θM-2は、電流相選択部51cから得られた1サンプル周期前の電流電流iM-1と共に、磁化曲線モデル部54bが記憶しておくことができる。
【0127】
ステップS902において、式(11)を計算し、位置角θMを仮に求める。そしてステップS903において電流相選択部51cから現在の電流iMを入力する。電流iM、位置角θMを用いて図25に例示される較正曲線から、あるいは予めこれらに関するテーブルとして求めておいたインダクタンスLから、インダクタンスLMを求める。同様にして、微分値dL/dθ]Mを求める。また同様にして電流iM-1、位置角θM-1を用いてインダクタンスLM-1を求め、式(10)に基づいてインダクタンスの平均値Laveを求める。磁化曲線モデル部54bが1サンプル周期前のインダクタンスLM-1を記憶していても良く、その場合にはステップS904においては電流iM-1、位置角θM-1を用いる必要はない。
【0128】
あるいは図16においてステップS904のブロックに示されるように、電流iM-1,iMを用いることなくインダクタンスLMや微分値dL/dθ]Mを求めても良い。上述のようにインダクタンスLは位置角θのみの関数として近似出来るからである。その場合、ステップS903とS904とはその順序を入れ替えても良い。
【0129】
磁化曲線モデル部54bによって記憶された1サンプル前に求められた磁束鎖交数λM-1と、上述のようにして求められ、あるいは記憶されていた値から、式(9)を計算して磁束鎖交数λMが求められる。これによりインダクタンスLによる磁束鎖交数演算処理は終了し、処理がステップS622(図8)へと進む。この後は第2の実施の形態と同様にしてステップS622,S623を経由して図示されないメインルーチンへと復帰し、回転位置演算部60によって改めて位置角θMが求められる。更にその後は、パラメータMが1ずつ更新されて上述の処理が進む。
【0130】
図14に示されるように、時刻te直後のサンプリングタイミングの時刻tNでは既に電流オーバーラップ期間Hを経過している。よってステップS610(図7)に示されるようにx=0に設定され、ステップS624(図13)の判断によってステップS616へと進む。そして時刻tN-1において求められ積分初期値設定部59に記憶された磁束鎖交数λN-1を積分初期値として、磁束鎖交数演算部53で式(3)を用いて、時刻tNでの磁束鎖交数λNを計算する。そして磁束鎖交数λNに基づいて回転位置演算部60によって位置角θNが求められる。これ以降は新たに電流オーバーラップ期間Hが開始するまでは式(3)を用いた計算により磁束鎖交数λを求め、ひいては位置角θを求めることになる。
【0131】
もちろん、本実施の形態で示されたステップS901の内容をW相からU相に転流する際の電流オーバーラップ期間Hにおいてのみ採用し、U相からV相へ、またV相からW相へ転流する際の電流オーバーラップ期間Hにおいて、第1の実施の形態に示される技術を採用してもよい。
【0132】
第4の実施の形態.
図17は本発明の第4の実施の形態において採用されるインバータ301の回路図である。簡単にいえば、インバータ301は、図23に示されたインバータに対し、スイッチングトランジスタ及びフリーホイールダイオードを、いずれもスイッチングトランジスタとフリーホイールダイオードとの並列接続に置換した構成を有している。
【0133】
U相に関して具体的に説明すると、直流電源VDCの正極にはスイッチングトランジスタTu1+,Tu0+のそれぞれの正側端(例えばコレクタ)とフリーホイールダイオードDu0+,Du1+のそれぞれのカソードが共通に接続されている。また直流電源VDCの負極にはスイッチングトランジスタTu0-,Tu1-のそれぞれの負側端(例えばエミッタ)とフリーホイールダイオードDu1-,Du0-のそれぞれのアノードが共通に接続されている。そしてU相コイル94uの黒丸が付された側にはスイッチングトランジスタTu0+の負側端、スイッチングトランジスタTu1-の正側端、フリーホイールダイオードDu1+のアノード、フリーホイールダイオードDu0-のカソードが共通に接続されている。またU相コイル94uの黒丸が付されていない側にはスイッチングトランジスタTu1+の負側端、スイッチングトランジスタTu0-の正側端、フリーホイールダイオードDu0+のアノード、フリーホイールダイオードDu1-のカソードが共通に接続されている。
【0134】
V相に関して具体的に説明すると、直流電源VDCの正極にはスイッチングトランジスタTv1+,Tv0+のそれぞれの正側端(例えばコレクタ)とフリーホイールダイオードDv0+,Dv1+のそれぞれのカソードが共通に接続されている。また直流電源VDCの負極にはスイッチングトランジスタTv0-,Tv1-のそれぞれの負側端(例えばエミッタ)とフリーホイールダイオードDv1-,Dv0-のそれぞれのアノードが共通に接続されている。そしてV相コイル94vの黒丸が付された側にはスイッチングトランジスタTv0+の負側端、スイッチングトランジスタTv1-の正側端、フリーホイールダイオードDv1+のアノード、フリーホイールダイオードDv0-のカソードが共通に接続されている。またV相コイル94vの黒丸が付されていない側にはスイッチングトランジスタTv1+の負側端、スイッチングトランジスタTv0-の正側端、フリーホイールダイオードDv0+のアノード、フリーホイールダイオードDv1-のカソードが共通に接続されている。
【0135】
W相に関して具体的に説明すると、直流電源VDCの正極にはスイッチングトランジスタTw1+,Tw0+のそれぞれの正側端(例えばコレクタ)とフリーホイールダイオードDw0+,Dw1+のそれぞれのカソードが共通に接続されている。また直流電源VDCの負極にはスイッチングトランジスタTw0-,Tw1-のそれぞれの負側端(例えばエミッタ)とフリーホイールダイオードDw1-,Dw0-のそれぞれのアノードが共通に接続されている。そしてW相コイル94wの黒丸が付された側にはスイッチングトランジスタTw0+の負側端、スイッチングトランジスタTw1-の正側端、フリーホイールダイオードDw1+のアノード、フリーホイールダイオードDw0-のカソードが共通に接続されている。またW相コイル94wの黒丸が付されていない側にはスイッチングトランジスタTw1+の負側端、スイッチングトランジスタTw0-の正側端、フリーホイールダイオードDw0+のアノード、フリーホイールダイオードDw1-のカソードが共通に接続されている。
【0136】
本実施の形態では各相のコイルの巻線方向のいずれに対してもスイッチングトランジスタとフリーホイールダイオードとの並列接続が設けられている。従って、これらのスイッチングトランジスタの導通を制御することにより、各相のコイルのいずれの方向にも電流を流すことができる。これにより、第1の実施の形態と同様にして、それぞれU相及びV相に対応して隣接して配置された突極92u,91vあるいは突極92v,91uのいずれにおいても、自身に巻回されたコイル94u,94vによって自身に発生する磁束は回転子80と固定子90の間において同じ方向となる。従って第1の実施の形態と同様に電流オーバーラップ期間HにおいてU相についての磁極となる突極91u,92uに流れる磁束がV相についての磁極となる突極91v,92vには流れ込まない。そして第1の実施の形態と同様に図25に示されるようなV相コイル94vに鎖交する磁束鎖交数λvvと位置角θの関係のみを較正曲線として用いても正確に行うことができる。しかも、本実施の形態ではスイッチングトランジスタの導通を制御することにより、W相からU相へと転流するさいにも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
図18はスイッチングトランジスタTu0+,Tu0-,Tu1+,Tu1-,Tv0+,Tv0-,Tv1+,Tv1-,Tw0+,Tw0-,Tw1+,Tw1-のオン/オフのタイミングを示すタイミングチャートである。位置角θ0u〜θ1uにおいてスイッチングトランジスタTu0+,Tu0-のみがオンすることによりU相コイル94uに電流iuが図中の矢印方向へと流れる。そして位置角θ0v(=θ1u)〜θ1vにおいてはスイッチングトランジスタTv1+,Tv1-のみがオンすることによりV相コイル94vに電流ivが図中の矢印方向と反対方向に流れる。従って第1の実施の形態と同様にして電流オーバーラップ期間HにおいてU相についての磁極となる突極91u,92uに流れる磁束がV相についての磁極となる突極91v,92vには流れ込まない。
【0138】
同様にして位置角θ0w(=θ1v)〜θ1wにおいてスイッチングトランジスタTw0+,Tw0-のみがオンすることによりW相コイル94wに電流iwが図中の矢印方向へと流れる。また位置角θ2u(=θ1w)〜θ3uにおいてスイッチングトランジスタTu1+,Tu1-のみがオンすることによりU相コイル94uに電流iuが図中の矢印方向と反対方向に流れる。また位置角θ2v(=θ3u)〜θ3vにおいてスイッチングトランジスタTv0+,Tv0-のみがオンすることによりV相コイル94vに電流ivが図中の矢印方向に流れる。また位置角θ2w(=θ3v)〜θ3wにおいてスイッチングトランジスタTw1+,Tw1-のみがオンすることによりW相コイル94wに電流iwが図中の矢印方向と反対方向に流れる。
【0139】
以上のようにスイッチングトランジスタTu0+,Tu0-,Tv0+,Tv0-,Tw0+,Tw0-,Tu1+,Tu1-,Tv1+,Tv1-,Tw1+,Tw1-のオン/オフを制御することにより、いずれの相間の転流の際にも、第1の実施の形態の効果を得ることができる。
【0140】
図19は図18に示されたスイッチングを採用してスイッチトリラクタンスモータ(図中SRMとして示す)79を駆動する制御システムを例示するブロック図である。スイッチトリラクタンスモータ79としては、例えば図22に示されたスイッチトリラクタンスモータ100が採用される。回転位置演算部78はスイッチトリラクタンスモータ79に流れる巻線電流i、印加した電圧vに基づき、適当な演算方法に則って位置角θを求める。このようにして得られた位置角θを時間微分して、速度演算部76は角速度ωを求める。このようにして得られた角速度ωは、角速度指令ω*と共に、PI演算を行う速度制御演算部71に与えられる。速度制御演算部71は角速度指令ω*通りの角速度でスイッチトリラクタンスモータを駆動するのに必要なトルクを計算する。このようにして計算されたトルクはトルク/電流換算部72で、各相コイルに流すべき電流値の振幅に換算される。そして、例えば図17に示されるように、各相コイルの黒丸が付された側からその反対側へ流れる方向を正とし、電流極性発生部75は当該電流の極性の正負を決定する。図19ではこの電流値の正負の決定を便宜上、乗算器70で示している。
【0141】
符号が決定された電流値は励磁電流指令発生部73に送られ、当該電流を流すべき期間を決定する。この際、位相制御部77によって現状の位置角θを参照している。励磁電流指令発生部73の出力は電流制御部74に送られ、ここでインバータ301のスイッチングトランジスタのオン/オフを制御するスイッチング信号Jに変換される。この際、現状の検出電流iを参照している。
【0142】
電流極性発生部75以外は従来の技術を採用して図19に示された構成を実現することができる。例えば回転位置演算部78の実現には上述の公報に開示された技術や、上述の論文に開示された技術を採用することができる。
【0143】
図20は電流極性発生部75の動作を示すフローチャートである。かかる動作を行うならば電流極性発生部75はハードウェアで構成してもよいし、上記フローチャートを実現するソフトウェアを実行させるコンピュータあるいはその一部であってもよい。励磁電流指令発生部73からのトリガ信号を受け、ステップS801において電流極性F1を入力する。これは後述するステップS809において記憶されていた、前回流していた電流の極性である。次にステップS802においてこの電流極性F1の極性を反転する。例えば図20のステップS802のブロック中に示されるように、電流極性F1の値に(−1)を乗じてこれを更新する。そして乗算器へと電流極性F1を出力し、またステップS809で電流極性F1を記憶する。その後、図示されないメインルーチンへと復帰する。
【0144】
これにより、図18を用いて説明したように、各相コイルには、黒丸が付された側から反対側へと、その逆へと、相間で転流されるたびに交互に電流が流れる。
【0145】
効果の例示.
図21は、本発明の効果を例示するグラフである。同図(a),(b),(c)はそれぞれ電流iu,iv,iwの経時変化を、同図(d)は従来の技術による位置角θの演算誤差を、それぞれ例示している。また同図(e)は実施の形態1による位置角θの演算誤差を示している。実施の形態1で述べたように、U相からV相への転流、V相からW相への転流においては磁束鎖交数λvu,λwvの影響を受けない。これを反映して、図21(e)のグラフは同図(d)のグラフと比較して、V相及びW相での演算誤差が低減している。しかしながら、W相からU相への転流時には、磁束鎖交数λuwの影響を受けるので、U相での演算誤差はそれほど減少していない。
【0146】
同図(f)は実施の形態4による位置角θの演算誤差を示している。実施の形態4ではいずれの相の間の転流においても電流オーバーラップ期間における前の相の電流の影響を受けないので、全ての相において演算誤差が低減している。実施の形態2及び実施の形態3を採用した場合も図21(f)のグラフとほぼ同程度に演算誤差を低減することができる。
【0147】
なお、各実施例の動作制御をコンピュータに行わせるプログラムについても本発明の範疇にある。
【0148】
【発明の効果】
この発明の内、請求項1にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法によれば、第2のコイル(94v)に電流(iv)が流れる期間のスイッチトリラクタンスモータの位置検出においては、第1のコイル(94u)に流れる電流(iu)の影響を排除することができる。従って、第2の突極(91v;92v)において第2のコイル(94v)に鎖交する磁束(λvv)と位置角(θ)の関係のみを較正曲線として用いても正確に位置検出を行うことができる。
【0151】
この発明の内、請求項1乃至請求項6にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法、請求項10乃至請求項12にかかるスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構によれば、特定オーバーラップ期間(H’)においても回転位置演算部(60)が用いる較正曲線を一つのみ採用しても、位置角(θ)を正確に算出することができる。
【0152】
この発明の内、請求項7乃至請求項9にかかるスイッチトリラクタンスモータの制御方法、請求項13乃至請求項15にかかるスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構によれば、電流オーバーラップ期間(H)においても回転位置演算部(60)が用いる較正曲線を一つのみ採用しても、位置角(θ)を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態において採用されるインバータ300の回路図である。
【図2】電流オーバーラップ期間Hにおける磁束の態様を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の効果を説明するグラフである。
【図4】本発明の第2の実施の形態において採用される位置角決定機構200を例示するブロック図である。
【図5】推定相選択処理部51の動作を示すフローチャートである。
【図6】励磁相の判断を示すタイミングチャートである。
【図7】図8と相まって位置角決定機構200の上述の動作を概念的に示すフローチャートである。
【図8】図7と相まって位置角決定機構200の上述の動作を概念的に示すフローチャートである。
【図9】磁化曲線モデル部54aの構成を示すブロック図である。
【図10】磁化曲線モデル部54aの動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態で採用されるメンバーシップ関数を示すグラフである。
【図12】電流iに対する適合度を例示するグラフである。
【図13】本発明の第2の実施の形態の変形を示すフローチャートである。
【図14】励磁相の判断を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の第3の実施の形態において採用される位置角決定機構201を例示するブロック図である。
【図16】磁化曲線モデル部54bの動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第4の実施の形態において採用されるインバータ301の回路図である。
【図18】インバータ301のスイッチングのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図19】スイッチトリラクタンスモータ79を駆動する制御システムを例示するブロック図である。
【図20】電流極性発生部75の動作を示すフローチャートである。
【図21】本発明の効果を例示するグラフである。
【図22】スイッチトリラクタンスモータ100の構造を模式的に示す断面図である。
【図23】従来の技術で採用されるインバータの回路図である。
【図24】従来の技術で採用されるインバータのスイッチングのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図25】電流ivと磁束鎖交数λvvとの関係を例示するグラフである。
【図26】電流オーバーラップ期間Hを示すグラフである。
【符号の説明】
54a,54b 磁化曲線モデル部
60 回転位置演算部
80 回転子
90 固定子
91u,91v,91w,92u,92v,92w 突極
94u,94v,94w 各相コイル
100 スイッチトリラクタンスモータ
200,201 位置角決定機構
300,201 インバータ
H’ 特定オーバーラップ期間
iu,iv,iw 各相電流
θ 位置角
λ,λuu,λwu,λvv 磁束鎖交数
Claims (16)
- 第1の相(U)に対応し、第1のコイル(94u)が巻回される第1の突極(92u,91u)と、
前記第1の相から転流される第2の相(V)に対応し、第2のコイル(94v)が巻回され、前記第1の突極に隣接して配置される第2の突極(91v,92v)と
を有する固定子(90)と、
前記固定子に囲まれる回転子(80)と、
を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)において、
前記第1及び第2のコイル(94u,94v)に対し、前記回転子と前記固定子の間において前記第1の突極と第2の突極とで同じ方向に磁束を発生させる第1及び第2の電流(i u ,i v )を供給し、
前記第1の相(U)へと転流する第3の相(W)についての第3の電流(i w )が、前記第1の電流(i u )よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、
前記回転子(80)の位置角(θ)と、前記第1の電流とに基づいて、前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λ)を求め(S701〜S706)、
当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改て求める(60)、スイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 前記第1の電流(i u )のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第1相期間(U)で前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λ u )を求めるための積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第1相期間での前記位置角(θ)を求める(60)、請求項1記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。
- 前記特定オーバーラップ期間(H’)において、
前記位置角(θ)と、前記第1の電流(i u )とに基づいて、前記第1の突極(91u,92u)における磁束鎖交数(λ u )を求めるに際してファジー理論を用いる、請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 第1の電流(iw)が流れる第1の相(W)と、
前記第1の電流から転流される第2の電流(iu)が流れる第2の相(U)と
を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)に対し、
前記第1の電流が、前記第2の電流よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、
前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求め(S701〜S706)、
当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める(60)、スイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 前記第2の電流(i u )のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(U)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λ u )を求めるための積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第2相期間での前記位置角(θ)を求める(60)、請求項4記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。
- 前記特定オーバーラップ期間(H’)において、
前記位置角(θ)と、前記第2の電流(i u )とに基づいて、前記第2の相(U)についての磁束鎖交数(λ u )を求めるに際してファジー理論を用いる、請求項4及び請求項5のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 第1の電流(i u )が流れる第1の相(U)と、
前記第1の電流から転流される第2の電流(i v )が流れる第2の相(V)と
を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)に対し、
前記第1の電流及び前記第2の電流が流れている電流オーバーラップ期間(H)において、
前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についてのインダクタンス(L)を介して(S901〜S904)前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求め(S905)、
当該磁束鎖交数に基づいて前記電流オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める(60)、スイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 前記第2の電流(i v )のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(V)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λ v )を求めるための積分計算の初期値として、前記電流オーバーラップ期間(H)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数(λ N-1 )を採用し、当該磁束鎖交数に基づいて前記真性第2相期間での前記位置角(θ N )を求める(60)、請求項7記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。
- 前記電流オーバーラップ期間(H)において、
前記位置角(θ)と、前記第2の電流(i v )とに基づいて、前記第2の相(V)についての磁束鎖交数(λ v )を求めるに際して前記インダクタンスの前記位置角についての微分(dL/dθ)も介される、請求項7及び請求項8のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法。 - 第1の電流(iw)が流れる第1の相(W)と、
前記第1の電流から転流される第2の電流(iu)が流れる第2の相(U)と
を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)に対し、
前記第1の電流が、前記第2の電流よりも小さい値で流れている特定オーバーラップ期間(H’)において、
前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求める磁束鎖交数算出部(54a)と、
当該磁束鎖交数に基づいて前記特定オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める回転位置演算部(60)と
を備える、スイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(200)。 - 前記第2の電流(i u )のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(U)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λ u )を積分計算で求める磁束鎖交数演算部(53)と、
前記積分計算の初期値として、前記特定オーバーラップ期間(H’)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数を格納する積分初期値設定部(59)と
を更に備える、請求項10記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(200)。 - 前記磁束鎖交数算出部(54a)は前記特定オーバーラップ期間(H’)において、ファジー理論を用いて前記第2の相(U)についての磁束鎖交数(λ u )を求める、請求項10及び請求項11のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(200)。
- 第1の電流(i u )が流れる第1の相(U)と、
前記第1の電流から転流される第2の電流(i v )が流れる第2の相(V)と
を備えるスイッチトリラクタンスモータ(100)に対し、
前記第1の電流及び前記第2の電流が流れている電流オーバーラップ期間(H)において、
前記スイッチトリラクタンスモータの位置角(θ)と、前記第2の電流とに基づいて、前記第2の相についてのインダクタンス(L)を介して前記第2の相についての磁束鎖交数(λ)を求める磁束鎖交数算出部(54b)と、
当該磁束鎖交数に基づいて前記電流オーバーラップ期間での前記位置角を改めて求める回転位置演算部(60)と
を備える、スイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(201)。 - 前記第2の電流(i v )のみが前記スイッチトリラクタンスモータ(100)に供給される真性第2相期間(V)で前記第2の相についての前記磁束鎖交数(λ v )を積分計算で求める磁束鎖交数演算部(53)と、
前記積分計算の初期値として、前記電流オーバーラップ期間(H)において最後に求められた前記第2の相についての磁束鎖交数(λ N-1 )を格納する積分初期値設定部(59)と
を更に備える、請求項13記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(201)。 - 前記磁束鎖交数算出部(54b)は、前記電流オーバーラップ期間(H)において、前記位置角(θ)と、前記第2の電流(i v )とに基づいて、前記インダクタンスの前記位置角についての微分(dL/dθ)も介して、前記第2の相(V)についての磁束鎖交数(λ v )を求める、請求項13及び請求項14のいずれか一つに記載のスイッチトリラクタンスモータの位置角決定機構(201)。
- 請求項1乃至請求項9に記載のスイッチトリラクタンスモータの制御方法をコンピュータに実現させるプログラム。
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