JP4672872B2 - 非静電回転塗装装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜の薄い塗装に適し、特に、細長い孔の内周面の塗装を好適に行うことができる非静電回転塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液圧や空気圧を利用しないで、回転力を用いて塗料を塗布する塗装装置としては、カップ形等の回転体に静電気を印加させるようにした静電塗装装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような静電塗装装置は、塗膜の厚さを薄くすると塗料の供給が不安定となって塗装ムラが生じやすいという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
このような課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明の非静電回転塗装装置は、上端から供給された塗料が重力と遠心力により内周面を伝って流下するように垂直又は傾斜した姿勢で配置された下端開放の塗料供給管と、その塗料供給管の下端の内周面から外周面へテーパを付して形成された外周面下端の円形のエッジと、その塗料供給管を中心軸周りで回転させる駆動装置とからなり、エッジの直径Dと塗料供給管の外径dとの比D/dが1であることを特徴とするものであって、重力と遠心力により塗料供給管の内面を薄膜となって伝って流下する塗料が塗料供給管の下端の円形のエッジから遠心力により半径方向に放出され、空気との衝突により微粒化されて被塗物に塗着するのであって、塗料を定量供給することができるから、塗膜が薄く、かつ、均一な厚さの塗装を行うことができ、特に、孔の内周面の塗装に好適である。
また、エッジの直径Dと塗料供給管の外径dとの比D/dが1であるから、塗料供給管の下端を内周面からテーパを付して削ることにより、外周面の下端にエッジが形成されるのであって、構造が簡単であるとともに、著しく小径の孔の内周面に塗装を施すことができる。
【0007】
請求項2の発明は、塗料供給管の最下端の軸受の中心からエッジの中心までの距離LとDとの比L/Dが1〜20であるから、細長い孔の内周面の塗装に適する。
【0008】
請求項3の発明は、L/Dが5〜15であって、曲げ剛性が比較的高いから、動的アンバランスによるエッジの振れを比較的小さく押さえることができる。
【0009】
請求項4の発明は、エッジ付近に塗料との親和力の小さい材料でコーティングを施したから、塗料がエッジの外周からはじかれることにより、エッジの外周に溜まってから断続的に放出されて塗装ムラが生じるのが防止される。
【0010】
請求項5の発明は、塗料供給管のエッジに近い部分を除く部分に小間隙をあけて外筒を同心に配置し、その外筒と塗料供給管との間から先端に向かう空気流を流すようにしたものであって、止まり孔の塗装の際に、その突き当たり面にエッジが接近したときに空気を流すことにより、塗料をその遠心力に抗して前方へ流し、突き当たり面を塗装することができ、また、常時空気を流すことにより、物品の外周面や平面を比較的狭い幅で、かつ、薄い膜厚で均一に塗装することができる。
【0011】
請求項6の発明は、塗料供給管の下端の外周に、窪みを形成して、エッジの角度を鋭くしたから、塗料の微粒化を促進することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1において、1は3方切替弁であって、塗料流入管2と洗浄液流入管3とを交互に吐出管4に連通させることができるようになっている。
【0013】
なお、塗料流入管2には図示しない絞り弁が介設されていて、流量を調節できるようになっている。
【0014】
5は駆動装置本体であって、その中心に塗料供給管6が上下2個の軸受8によって回転自由に垂直に支持されている。
【0015】
塗料供給管6の下端は内面に略45°の斜面15を設けることによって尖ったエッジ7が形成されている。
【0016】
塗料供給管6の上端にはエアータービン9のローター10が固定され、ジェットノズル11から噴出するエアーがローター10の翼に当たった後排気口12から排出されることによりローター10とこれに固定された塗料供給管6が高速度で回転するようになっている。
【0017】
駆動装置本体5の上面には、カバー13が固定され、このカバー13に下向きに固定されたパイプ14が塗料供給管6の中心孔に緊密に、かつ、相対的回転自由に嵌入されており、このパイプ14が3方切替弁1の吐出管4に連通している。
【0018】
この実施の形態において中空体aの内周面に塗装を施すには、エアータービン9により塗料供給管6を回転させた状態にして、3方切替弁1の塗料流入管2を吐出管4に連通させると、塗料は重力と遠心力により塗料供給管6の内面を薄膜となって伝って流下し、下端に達すると斜面15で広がった後にエッジ7から半径方向に放出されて空気との衝突により微粒化し、中空体aの内周面に塗着するのであって、中空体aを軸方向に一定速度で動かすことにより内周面に均一な塗膜が形成される。
【0019】
被塗装物の重量が大きいときは塗装装置を動かしてもよい。
【0020】
塗装が終了した後や色替えの際には、3方切替弁1の切り替えにより洗浄液を塗装装置に供給することにより内部を洗浄する。
【0021】
本実施の形態において、塗料供給管6の下端の外周に、図2に示すように、窪み16を形成して、エッジ7の角度を鋭くすることにより、塗料の微粒化を促進することができる。
【0022】
なお、塗料供給管6の先端部付近の外周面に塗料との親和力の小さいテフロン(登録商標)等の材料でコーティングを施すことにより、塗料がエッジ7の外周からはじかれることにより、塗料がエッジ7の外周に溜まってから断続的に放出されて塗装むらが生じるのが防止される。
【0023】
また、図3に示すように、塗料供給管6のエッジ7付近を除く部分に小間隙をあけて外筒17を同心に配置し、その外筒17と塗料供給管6との間から先端に向かう空気を適時に流すようにして、止まり孔bの突き当たり面cにエッジ7が接近したときに空気を流すことにより、塗料をその遠心力に抗して前方へ流し、突き当て面cを塗装することができる。
【0024】
なお、空気を常時ながすことにより、物品の外周面や平面を塗装することができ、特に、平板を一定幅で帯状に塗装するのに好適であり、塗膜が薄く均一な厚さの塗装を施すことができる。
【0025】
本実施の形態においては、図1に示すように、エッジ7の直径Dと塗料供給管6の外径dが同一、すなわち、D/dが1であるから、塗料供給管6が挿入できる直径がdより少し大きい孔の内周面の塗装を行うことができるが、塗料供給管6の下端に大径部を形成してDを大きくすることにより、同一回転数でも遠心力を大きくして塗料の微粒化を促進することができる。
【0026】
しかしながら、D/dが3を越えると、小径の孔の塗装が困難になるばかりでなく、動的なアンバランスが生じやすいので、D/dは0.8〜3.0が好ましい。
【0027】
また、塗料供給管6の最下端の軸受8の中心からエッジ7の中心までの距離Lとエッジ7の直径Dとの比L/Dは、小さすぎると長めの孔の塗装が不能となり、大きすぎると動的なアンバランスが生じやすいので、1〜20が好ましく、より好ましくは5〜15である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非静電回転塗装装置の一実施の形態の一部切欠正面図である。
【図2】塗料供給管の他の実施の形態の下端部の拡大断面図である。
【図3】本発明のその他の実施の形態の下端部の拡大断面図である。
【符号の説明】
6:塗料供給管
7:エッジ
9:エアータービン(駆動装置)
15:斜面
17:外筒
Claims (6)
- 上端から供給された塗料が重力と遠心力により内周面を伝って流下するように垂直又は傾斜した姿勢で配置された下端開放の塗料供給管と、該塗料供給管の下端の内周面から外周面へテーパを付して形成された該外周面下端の円形のエッジと、該塗料供給管を中心軸周りで回転させる駆動装置とからなり、
前記エッジの直径Dと前記塗料供給管の外径dとの比D/dが1であることを特徴とする非静電回転塗装装置。 - 前記塗料供給管の最下端の軸受の中心から前記エッジの中心までの距離Lと前記Dとの比L/Dが1〜20であることを特徴とする請求項1に記載の非静電回転塗装装置。
- 前記L/Dが5〜15であることを特徴とする請求項2に記載の非静電回転塗装装置。
- 前記エッジ付近に塗料との親和力の小さい材料でコーティングを施したことを特徴とする請求項1、2または3に記載の非静電回転塗装装置。
- 前記塗料供給管の前記エッジに近い部分を除く部分に小間隙をあけて外筒を同心に配置し、該外筒と前記塗料供給管との間から先端に向かう空気流を流すようにしたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の非静電回転塗装装置。
- 前記塗料供給管の下端の外周に、窪みを形成して、エッジの角度を鋭くしたことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の非静電回転塗装装置。
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- 2001-01-05 JP JP2001000511A patent/JP4672872B2/ja not_active Expired - Fee Related
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