JP4672859B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関し、さらに詳しくは、マスタを版胴に巻装し、給送されて来た用紙を版胴に対して相対的に押し付けて印刷を行う孔版印刷装置等を含む印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え版胴の外径と略同径の圧胴と、保持手段に向けて用紙の先端を送り出すレジストローラとを有し、版胴に対して圧胴を相対的に押し付けて印刷を行う孔版印刷装置等を含む印刷装置に関して、本願出願人は、例えば特開平11−309934号や特開2000―158780号公報等で新規な技術を開示した。
これらの印刷装置に係る技術では、保持手段に対して用紙の先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するエンコーダセンサを備えたパルスエンコーダを配設すると共に、用紙の先端を検知する用紙先端検知手段を圧胴とレジストローラとの間の用紙搬送路に配設し、さらに、用紙先端検知手段からの信号に基づき、用紙スリップ量が大きくなったときにおけるレジストローラにおける用紙の滑りを補償すべくレジストローラ駆動手段を制御した後、エンコーダセンサからの出力パルス信号に基づき、保持手段(用紙クランパ)の回転位置にタイミングを合わせて用紙の先端を給送すべくレジストローラ駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を具備するという構成になっていた。
【0003】
前記構成により、下記効果を得ようとするものであった。
1.温・湿度等の環境条件の変化や、レジストローラの劣化(摩耗・消耗・紙粉等による汚れ)や、紙質や紙厚等の紙種の変更等に伴う用紙搬送条件の変化(例えばレジストローラ対と用紙との間の摩擦係数の変化や用紙の変形状態)により、用紙の滑りである用紙のスリップ量が大きくなった時における用紙の先端位置の認識を明確にする。
2.保持手段(用紙クランパ)に対して用紙の先端を給送するタイミングの安定化・信頼性の向上を図る。
3.圧胴における保持手段(用紙クランパ)のクランプミスを無くし、用紙の巻き上がり等をさらに確実に防止する。
4.レジスト精度をさらに向上することのできる印刷装置を提供する。
5.レジストローラを駆動する駆動系を版胴と押圧手段(圧胴等)とを駆動するメインモータに対して独立させて駆動系の負荷を低減すると共に、メインモータのパワーを小さくして安価に製作できる印刷装置を提供する。
【0004】
そして、前記構成による具体的な制御内容に係る技術事項に関しては、例えば特開平11−309934号公報の明細書および添付図面において、以下のように記載されている。すなわち、レジストローラ用紙給送開始に係る技術事項については、前記同公報の明細書の段落番号(0101)に、レジストスリップ補正に係る技術事項については、前記同公報の明細書の段落番号(0102)〜(0105)に、圧胴とレジストの同期とに係る技術事項については、前記同公報の明細書の段落番号(0106)〜(0109)に、用紙クランプに係る技術事項については、前記同公報の明細書の段落番号(0110)〜(0111)に、それぞれ具体的にかつ詳細に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記制御内容にも次のような問題点がある。
▲1▼レジストローラ初期(ローラ回転駆動立ち上がり時)のスリップについては、レジストセンサ(用紙先端検知手段)により検出可能ではあるが、レジストセンサ通過後の用紙搬送状態はその後のスリップを考慮できない。
▲2▼用紙先端の検出精度が低い分、圧胴の用紙クランパ(保持手段)への突き当て位置よりさらに多く用紙を搬送するというような過分送りを大きくし、たわみ量を増やさなくてはならない。また、そのたわみ量にも大きなバラツキがある。
▲3▼過分送りが大きく、薄い紙などで腰の無い紙では用紙先端部に傷が発生しやすく、用紙のたわみが大きくなりすぎ版胴への侵入時画像ダブリ(特開2000―158780号公報明細書の段落番号(0017)参照)が発生しやすくなる。
▲4▼レジストセンサによる用紙先端検知以降のスリップが予測できないので、必要以上にレジストローラの回転速度を上げ、速めに圧胴の用紙クランパ(保持手段)に到達させて用紙クランパのくわえを待つような制御となっていた。
▲5▼圧胴の回転に対応した用紙クランパ(保持手段)の位置が、圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するパルスエンコーダ、用紙クランパに対して用紙の先端を給送するタイミングをとるためのタイミング検知手段およびその他の給紙タイミング検知手段により、部品精度の積上げによって正確な位置関係として把握されていない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した1ないし5の諸問題点を解決することのできる改良された印刷装置を提供することを目的とするものであり、まとめると次のとおりである。
第1の目的は、用紙の先端のレジストセンサ通過以降におけるパルスエンコーダによる圧胴の回転ムラが、レジストセンサ(用紙先端検知手段)による用紙先端検知以降のスリップ等と比較して微少であるとみなして、圧胴における用紙クランパのくわえ位置(保持位置)または画像形成部とレジストセンサ(用紙先端検知手段)との間の用紙搬送路に少なくとも1つの、用紙の先端を検知する用紙通過検知手段を配置することにより、精度高く用紙先端を検知することによって、用紙種類や環境条件の変化あるいは用紙搬送速度の変化によって発生するレジストローラでの用紙のスリップ量を確実に把握して、圧胴における用紙クランパのくわえ位置(保持位置)や画像形成部へ搬送する用紙先端の給送タイミングの安定化を図ることにある。
第2の目的は、さらに、用紙の先端とくわえ位置(保持位置)とを検知することにより、両者の正確な位置関係を検知できる、コスト的にも安価な印刷装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は製版されたマスタを巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙を前記版胴に対して相対的に押し付けて画像形成部を形成する押圧手段と、該押圧手段に設けられ前記給送されて来た用紙の先端部を保持位置で保持する保持手段または前記画像形成部に向けて用紙の先端を送り出すレジスト手段と、前記レジスト手段を駆動するレジスト駆動手段と、前記画像形成部または前記保持位置と前記レジスト手段との間の用紙搬送路に配置され前記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段とを具備する印刷装置において、前記画像形成部または前記保持位置と前記用紙先端検知手段との間の前記用紙搬送路に少なくとも1つ配置された、前記用紙の先端を検知する用紙通過検知手段と、前記用紙先端検知手段からの信号に基づいて、前記用紙の先端が前記レジスト手段から前記用紙先端検知手段に到達するときまでの第1の用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御した後、前記用紙通過検知手段からの信号に基づいて、前記用紙の先端が前記用紙先端検知手段から前記用紙通過検知手段に到達するときまでの、少なくとも第2の用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記用紙通過検知手段は、前記用紙の先端と前記保持位置とを略同時に検知できる前記用紙搬送路に配置されており、前記保持手段は、光反射性の表面を備え、前記用紙の先端部をくわえる開閉自在なくわえ部材を有し、前記用紙通過検知手段は、前記くわえ部材からの反射光を受光することにより、前記保持位置を検知する反射型フォトセンサであり、前記制御手段は、前記反射型フォトセンサからの前記保持位置に係る信号に基づいて、前記少なくとも第2の用紙の滑りの補償のときに前記保持位置に係るデータを加味して、前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする。
ここで、「給送されて来た用紙を版胴に対して相対的に押し付けて画像形成部を形成する押圧手段」の具体例としては、後述する参考例1等および実施形態1におけるような保持手段を備えた版胴の外径と略同径の圧胴や、後述する参考例2のプレスローラを挙げることができる他、保持手段を備えていない圧胴等も含まれる。
圧胴は版胴の外径と略同径であるが、この場合には、版胴の外径寸法が圧胴の外径寸法と同じであるものの他、設計上の寸法公差範囲内にある場合も含む。また、圧胴には、版胴に対して圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式と、圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離方式と、それらの併用方式とがある。圧胴接離方式の具体例としては、後述する参考例1等および実施形態1における圧胴およびその接離手段が挙げられる。一方、版胴接離方式には、版胴が圧胴側へ移動(版胴内部のインキローラが圧胴側へ突出するタイプも含む)して印刷を行う周知のものが挙げられる。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項1記載の印刷装置において、前記版胴または前記押圧手段側に配設された、前記画像形成部または前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングをとるためのレジストタイミング検知手段と、前記レジストタイミング検知手段からの信号に基づいて、前記画像形成部または前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送すべく前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項記載の印刷装置において、前記レジストタイミング検知手段からのオン出力信号の出力開始時点と、前記レジスト駆動手段が駆動開始される駆動開始時点との間に遅れ時間を設け、用紙の種類に応じて前記遅れ時間を変えるべく前記駆動開始時点を可変するレジスト駆動開始可変手段を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明では、請求項記載の印刷装置において、前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動開始可変手段の機能を具備することを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項3または4記載の印刷装置において、前記用紙の種類を設定する用紙種類設定手段を具備することを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項3または4記載の印刷装置において、前記用紙の種類を検知する用紙種類検知手段を具備することを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の印刷装置において、前記版胴または前記押圧手段側に配設された、前記レジスト手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段と、前記レジスト手段に向けて前記用紙の先端を給送する給紙手段と、前記給紙手段を駆動する給紙駆動手段と、前記給紙タイミング検知手段からの信号に基づいて、前記レジスト手段に対して前記用紙の先端を給送すべく前記給紙駆動手段を制御する給紙駆動制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項記載の印刷装置において、前記給紙駆動手段が、パルス入力で駆動するモータであることを特徴とする。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の印刷装置において、前記用紙通過検知手段は、前記用紙のジャム検知機能を有することを特徴とする。
【0020】
請求項1等の制御手段、請求項等のレジスト駆動制御手段、請求項等のレジスト駆動開始可変手段、請求項等の給紙駆動制御手段の具体例としては、マイクロコンピュータやマイクロプロセッサ等が好ましく用いられる他、制御回路のようなものでもよい。
請求項1等の用紙先端検知手段や用紙通過検知手段の具体例としては、必要な検知動作の安定化を図れ、安価であるという点から反射型フォトセンサが好ましく用いられ、さらなる検知動作の安定化および信頼性向上(誤動作の防止)という点からは透過型フォトセンサおよび遮光部材を用いてもよい。
請求項等のレジストタイミング検知手段、請求項等の給紙タイミング検知手段の具体例としては、必要な検知動作の安定化を図れ、安価であるという点から反射型フォトセンサが好ましく用いられ、さらなる検知動作の安定化および信頼性向上(誤動作の防止)という点からは透過型フォトセンサおよび遮光部材を用いてもよい。
請求項等の給紙手段としては、後述する実施形態で説明する給紙ローラ、分離ローラおよび分離パッドからなるものの他、例えば特公平5−32296号公報記載の紙捌きローラ(分離コロを兼ねる給紙コロに相当)、あるいは給紙ローラおよび一対の分離ローラからなるもの等を含む。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)および実施形態を説明するために必要な参考例を説明する。各実施形態、参考例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。また、図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
参考例1
以下、本発明の第1の参考例(以下、「参考例1」という)について説明する。
この孔版印刷装置は、図1に示すように、製版されたマスタ2を外周面に巻き付ける円筒状の版胴1と、この版胴1の左方に配設され使用済みのマスタ2を版胴1の外周面から剥離し収納する排版装置18と、版胴1の右方に配設されマスタ2を製版し搬送する製版書込み装置19と、版胴1の内部に配設され版胴1上のマスタ2にインキを供給するインキ供給装置22と、版胴1の下方に配設され給送されて来た用紙3の先端部を挾持・保持する保持手段としての用紙クランパ21を備え、版胴1の外周面上のマスタ2に用紙3を押し付ける押圧手段としての圧胴20と、圧胴20の右方に配設され用紙3の先端を圧胴20の用紙クランパ21に向けて給送する給紙装置29と、圧胴20の左方に配設された排紙装置43と、版胴1の上方に配設され、孔版印刷装置を各種動作させる指示を与えるための図6に示す操作パネル90と、主として後述する給紙制御動作を行うための制御装置50とを具備している。
【0022】
図1に示されている孔版印刷装置は、前記特開平11−309934号公報明細書の実施形態1、その図1および図8に示されている孔版印刷装置と比較して、圧胴20の用紙クランパ21(保持手段)に対して用紙3の先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴20における少なくとも回転速度変動を検知するエンコーダ120およびエンコーダセンサ121からなるパルスエンコーダを除去したこと、制御装置110に代えて制御装置50を有すること、および用紙通過センサ77を新たに付加したことが主に相違する。
このように、給紙装置29の一部構成、操作パネル90および制御装置50を除き、版胴1、排版装置18、製版書込み装置19、圧胴20、インキ供給装置22および排紙装置43は、本願出願人が前記特開平11−309934号公報や特開平11−309935号公報で開示した孔版印刷装置と略同様の構成を有するものであるため、重複説明を避ける上から同様部分についての詳細説明をできるだけ省略して簡単に説明すると共に、その詳細図も適宜省略する。
【0023】
版胴1は、多孔構造の円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、軸パイプ11の周りに回転可能に支持されている。版胴1は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なようにメインモータ60を含む駆動系を介して回転される。このメインモータ60は、例えばDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので従来のメインモータよりも小型化されている。
【0024】
図1において、メインモータ60の出力軸60aには、エンコーダ61が取り付けられている。エンコーダ61は、インクリメンタル型のフォトロータリエンコーダからなる。エンコーダ61近傍の装置本体には、エンコーダ61を所定の間隔をもって挾み付ける発光部および受光部を具備した透過型フォトセンサからなる印刷速度検知センサ62が配設されている。メインモータ60の回転駆動によるエンコーダ61の回転動作に協働して発生された所定のパルスを印刷速度検知センサ62で検出することにより、版胴1の回転速度が検出されるようになっている。印刷速度検知センサ62は、版胴1の回転速度を検出する印刷速度検出手段としての機能を有する。これにより、メインモータ60を介して版胴1の回転速度の制御がなされるようになっている。
メインモータ60を備えた駆動系の詳細構成は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同じものを用いている。
【0025】
版胴1の外周面には、製版書込み装置19で穿孔・製版されたマスタ2の先端部を挾持するマスタクランパ12が配置されている。マスタクランパ12は、円筒体の外周面の母線に沿って設けられた強磁性体よりなるステージ(図示せず)に対向し、マスタクランパ軸12aを介して回動可能に支持されていて、前記ステージと対向する面に磁石を貼着されて構成されている。マスタクランパ12は、版胴1が所定の回転位置を占めたときに、開閉装置(図示せず)により駆動力を伝達されて開閉される。
版胴1における図1の奥側の端板(図示せず)に対向した装置本体側の所定位置には、前記特開平11−309934号公報の図4に示されていると同様の、ホームポジションを検知するためのホームポジションセンサ(図示せず)が設けられている。このホームポジションセンサは、発光部および受光部を具備した透過型フォトセンサからなる。版胴1の奥側の前記端板には、前記ホームポジションセンサと選択的に係合する遮光板(図示せず)が外側に突出して設けられている。
【0026】
製版書込み装置19は、芯管10aにロール状に巻かれて形成されたマスタロール10からマスタ2を繰り出し可能に支持する支持軸10bと、マスタ2を搬送するプラテンローラ9と、プラテンローラ9に対して接離自在に設けられたサーマルヘッド17と、プラテンローラ9の下流側に設けられ、マスタ2を切断する上下一対のカッタ部材4と、マスタ2の先端をマスタクランパ12へ向けて送り出す給版ローラ対5a,5bとから主に構成されている。
【0027】
プラテンローラ9は、その軸を回転自在に支持されており、パルスモータ6により所定の周速度で回転駆動され、マスタ2をサーマルヘッド17に押圧しながら搬送する。
サーマルヘッド17は、マスタ2の幅方向に1列に配列された複数の発熱素子を有し、周知の接離機構(図示せず)によって、プラテンローラ9に接離自在に設けられている。サーマルヘッド17は、図示しない原稿を読み取る原稿読取装置のA/D変換部および製版制御部で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づきマスタ2を選択的に加熱穿孔し、穿孔画像を形成する機能を有する。
上方のカッタ部材4は、カッタ駆動モータ7で回転される偏心カム8により上下動され、マスタ2を切断する。
【0028】
インキ供給装置22は、版胴1と同方向に同期して回転し、版胴1の内周面にインキを供給するインキローラ13と、インキローラ13と僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキローラ13との間にインキ溜まり16を形成するドクターローラ15と、インキ溜まり16へインキを供給する軸パイプ11とを有している。インキローラ13、ドクターローラ15は、軸パイプ11に固定された側板にそれぞれ回転自在に支持されている。インキ溜まり16からインキローラ13の外周面に供給されたインキは、版胴1とインキローラ13の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴1の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、軸パイプ11の供給穴よりインキ溜まり16へ供給される。
【0029】
参考例1では、前記特開平11−309934号公報記載の圧胴20と同様に、用紙3に対する印刷レジスト精度の向上、画像濃度の安定および印刷時の静音化を図る目的で、また用紙3がインキの粘着力により版胴1に巻き上がる巻き上がりを防止する目的で、押圧手段として用紙クランパ21を備えた圧胴20、いわゆる「紙くわえ圧胴方式」を用いている。
圧胴20は、図2に示すように、その外径寸法D(直径)を版胴1の外径寸法D(直径)と等しく形成されていて、版胴1が1回転したとき、圧胴20も1回転する。このため、給送されて来た用紙3の先端部をクランプする用紙クランパ21を圧胴20上に設けることができ、用紙3の先端を用紙クランパ21に突き当てながら給送することで、用紙3のレジスト精度を向上することができる。
【0030】
圧胴20の外周部には、図1ないし図4に示すように、版胴1の外周面に接触する円筒部と、版胴1におけるマスタクランパ12との衝突を避けるためにD字状にくぼんだ凹部20aとが形成されている。
圧胴20の凹部20a周辺には、図3および図4に示すように、用紙クランパ21を作動させるためのクランプ装置160等が配設されている。クランプ装置160は、前記した開閉自在な用紙クランパ21と、用紙クランパ21の基端部をネジで固定し圧胴20の外周の一母線方向に延びた用紙クランパ軸21aと、用紙クランパ21を開閉駆動するための装置本体側に配置された図示しないカムと、このカムに係合するカムフォロア167と、用紙クランパ軸21aとカムフォロア167との間に固設されカムフォロア167の動きを用紙クランパ21に伝えるアーム169と、凹部20aに固設され用紙クランパ軸21aの両端部を所定角度回動自在に支持するベース165と、用紙クランパ21を閉じる位置にその磁力で保持するマグネット164と、用紙クランパ21を閉じる向きに付勢する引張りスプリング168とから主に構成されている。
用紙クランパ21は、例えばステンレス鋼板等の強磁性体からできている。用紙クランパ21は、用紙3の先端部をくわえる(以下、「クランプする」というときがある)開閉自在なくわえ部材としてのくわえ爪161と、このくわえ爪161でクランプされて排紙装置43の排紙爪44の位置に来たとき圧胴20より印刷された用紙3を剥す剥離爪162と、給送されて来た用紙3の先端に当接して用紙3の先端の位置決めをするストッパ爪163とからなり、板金の切り曲げ加工によって一体成形されている。
【0031】
マグネット164は、ベース165の上部に固設されていて、その磁力によってくわえ爪161によりクランプされた用紙3の先端部を閉じた状態に保持する。ベース165には、開閉揺動動作する用紙クランパ21におけるくわえ爪161、ストッパ爪163および剥離爪162が干渉しないように切欠部164aが複数箇所形成されている。引張りスプリング168は、アーム169のカムフォロア167寄りの部位と圧胴20の端板20bに植設されたピン20cとの間に配設されている。用紙クランパ21は、前記カムのカム曲線により開閉するが、閉じるときは引張りスプリング168の付勢力によって閉じられる。
【0032】
前記したクランプ装置160の構造により、用紙クランパ21は、前記カムに係合したカムフォロア167の動きに合わせて、用紙クランパ軸21aを支点として揺動・開閉する。用紙クランパ21は、前記カムによってレジストローラ対33a,33bから送られて来た用紙3の先端部をクランプすべく所定のタイミング、すなわち、図2に▲1▼で示す圧胴20の回転位置(以下、「当接位置」というときがある)において開く。そして、用紙クランパ21は、用紙3の先端を用紙クランパ21のストッパ爪163に突き当てた後、用紙クランパ21のくわえ爪161により用紙3の先端部をクランプすべく、所定のタイミングで閉じる。このように、圧胴20が回転して用紙クランパ21のくわえ爪161が閉じることにより、用紙3の先端部を保持しくわえる圧胴20の回転位置を、保持位置としてのくわえ位置という。
次いで、圧胴20は用紙3を圧胴20の外周面に保持したまま回転し、図2に▲2▼で示す回転位置近傍に至ると、用紙3の先端部が版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送され、用紙3の先端がマスタ2および用紙3を介して版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2と圧胴20の外周面とが押圧して形成されるニップ部N(以下、このニップ部Nが形成され始めるときの圧胴20の回転位置を「印圧位置」または「印圧角度」という)を通過した後、図2に▲3▼で示す圧胴20の回転位置の直後において、すなわちくわえ爪161の先端が排紙爪44に至る手前の位置(以下、「排出位置」という)で再び用紙クランパ21が開き、印刷された用紙3を排紙装置43の排紙搬送装置へ送るように開閉動作するようになっている。
【0033】
このように、圧胴20の回転位置に対応して用紙クランパ21が、▲1▼→▲2▼→▲3▼へと順次推移することで、インキが用紙3に転写される▲2▼の回転位置よりすぎた位置で用紙3の先端部が排出されるので、用紙3がインキの粘着力により版胴1に巻き上がらない。このような圧胴20の回転位置における用紙クランパ21の当接位置やくわえ位置の開閉タイミングは、後述する用紙クランパ21による用紙3の先端部のクランプミスを防止し、かつ、前記ニップ部N近傍における版胴1の外周面との干渉等を防止するために、できるだけガイド板対38,38の下流端に近くなるように設定される。
【0034】
用紙3が普通紙や薄紙等の場合には、用紙クランパ21によりその用紙3の先端から約2mm位までの用紙2の先端部がくわえられることによって、用紙3が圧胴20の外周面上に保持される。一方、用紙3が厚紙等の場合には、クランプ時における用紙3の腰の強さが大きいことに伴うクランプ反力によって用紙クランパ21が完全に閉じられずに、その用紙クランパ21の先端部が版胴1の外周面上のマスタ2や前記メッシュスクリーンに当たってインキが飛び散ったりすることを防止するために、用紙3の先端部をくわえないで用紙3を回転搬送するように制御される。
【0035】
圧胴20の両端部の端板20bは、図1に示すように、圧胴軸23に固定支持されている。圧胴20の両端板20bの外側には、前記特開平11−309934号公報の図2等に示されている軸受支持部25cおよびベアリングからなるカムフォロア27(図1には図示せず)をそれぞれ有する一対のアーム25a,25bが配設されている。圧胴20は、その圧胴軸23の両端部が前記各軸受を介して前記軸受支持部にそれぞれ回転可能に支持されていることにより、回転自在となっている。アーム対25a,25bの一方のアーム25aの一端は、装置本体に配設された一対の片方の側板(図示せず)に固定された支点軸24aに軸受(図示せず)を介して支持されており、他方のアーム25bの一端は、前記他方の側板に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持された支点軸24bにより支持されている。両支点軸24a,24bは、アーム対25a,25bに対して同軸上に配設されている。
【0036】
他方のアーム25bに回転可能に支持された支点軸24bの内側端部側には、圧胴20に回転を伝える駆動ギア(図示せず)が固定されていて、アーム25b側の圧胴軸23には前記駆動ギアに噛み合う圧胴ギア(図示せず)が固定されている。支点軸24bの外側端部側には、版胴1の回転力を伝える歯付の圧胴側プーリ(図示せず)が固定されていて、この圧胴側プーリと版胴1の奥側の端板1aに取付けられた歯付の版胴側プーリとの間には、歯付ベルト(図示せず)が巻き掛けられている。一方、版胴1の奥側の端板1aには、前記版胴側プーリと同軸的に別のプーリが取付けられている。これにより、メインモータ60の回転力が前記歯付ベルトを介して前記別のプーリに伝達され、順次、前記版胴側プーリ、前記歯付ベルト、前記圧胴側プーリ、前記駆動ギヤ、前記圧胴ギヤと伝達されることによって、圧胴20は、版胴1との押圧位置が同じとなるように、かつ、版胴1の周速度と同じ周速度で反時計回り方向に回転される。
【0037】
圧胴20は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同様の接離手段により、版胴1の外周面に対して接離自在に構成されている。接離手段は、支点軸24a、24bを中心として圧胴20を揺動するアーム対25a,25bと、アーム対25a,25bの他端にそれぞれ回転自在に支持されたベアリングからなる一対のカムフォロア(図示せず)と、アーム対25a,25bを版胴1に向けて付勢する一対の印圧スプリング26a,26bと、前記一対のカムフォロアに選択的にそれぞれ当接する一対のカム(図示せず)とから主に構成される。
前記一対のカムは、図示を省略した歯付ベルトで版胴1とメインモータ60とに連結されていて、版胴1の回転と同期して回転するようになされている。前記一対のカムは、版胴1におけるマスタクランパ12配設部位を除く所定の印刷開孔領域に対して圧胴20における凹部20aを除く外周部が押圧するように、その輪郭周面が前記一対のカムフォロアに摺接するように形成されている。
【0038】
用紙3の搬送ミス時や製版時においては、圧胴20側の装置本体に配設された圧解除ソレノイド(図示せず)等を具備した印圧解除機構の作動によって、前記一対のカムと前記一対のカムフォロアとが摺接しないように印圧解除をすることで、版胴1と圧胴20とが押圧されずに圧胴20が版胴1から離間するようになされており、搬送ミス等がない時に用紙3を保持した圧胴20が一対の印圧スプリング26a,26bにより版胴1の外周面に押圧されるようになっている。前記のとおり、圧胴20は、前記印圧解除機構の作動および前記一対のカムの回転動作によって、支点軸24a、24bを中心として、版胴1に押圧した位置と、版胴1から離間した位置とに接離される。
印圧スプリング26a,26bは、圧胴20を版胴1に押圧する印圧力を発生させている。圧胴20の版胴1に対する押圧力を均一に働かせるために、圧胴20の両端にあるアーム対25a,25bの1つ1つに印圧スプリング26a,26bをそれぞれ取り付けてある。
【0039】
版胴1の左側には排版装置18が配設されており、この排版装置18は、すでに版胴1に巻装されている使用済みのマスタ2を版胴1の外周面から剥離し、収納する。
圧胴20の左側近傍には、排紙装置43が配置されている。排紙装置43は、印刷された用紙3を剥離・案内する排紙爪44と、排紙爪44で剥離・案内された用紙3を搬送する、搬送ローラ前46と搬送ローラ後47との間に張設された搬送ベルト48と、吸引ファン(図示せず)とから構成されている。搬送ベルト48は、モータ等により版胴1の周速度よりも速い用紙搬送速度で駆動されるように設定されている。排紙装置43の左側には、排出された用紙3を積載する排紙台45が設けられている。
【0040】
圧胴20の右方には、給紙装置29が配置されている。給紙装置29は、給紙台31、給紙手段、給紙モータ100,ガイド板対38,38、上下一対のレジストローラ33a,33b、レジストモータ102、用紙先端センサ70、レジストセンサ71および本参考例1に特有の用紙通過センサ77等を具備している。
【0041】
給紙台31は、用紙3を積載して昇降可能に設けられている。給紙台31の上面には、例えば特開2000−158780号公報の図14に示されているような、左右連動構造の左右一対のサイドフェンス(図示せず)が用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向に移動自在に配設されている。前記サイドフェンス対は、オペレータが用紙3のサイズに応じて用紙3の両側端面に合わせて用紙3を位置決めするのに用いられる。
給紙台31の底部には、例えば前記特開2000−158780号公報の図14に示されているような、用紙3のサイズを検知する用紙サイズ検出手段を備えた用紙サイズ検出機構が配設される。この用紙サイズ検出機構は、前記サイドフェンス対の用紙幅方向の移動に連動して用紙サイズを検知し決定するものである。また、給紙台31には、例えば前記特開2000−158780号公報の図1に示すような、用紙3の有無を検知するための反射型フォトセンサからなる用紙有無検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0042】
給紙台31は、図示しない案内手段により案内されて昇降可能に設けられており、給紙台昇降モータ(図示せず)を備えた給紙台昇降機構(図示せず)により、昇降駆動されるようになっている。給紙台31の図において左側には、給紙台31上に積載された用紙3の先端を突き当て揃える給紙前面板35が配設されている。
【0043】
給紙手段は、給紙台31の上方に設けられている。給紙手段は、図1に示すように、給紙台31上に積載された用紙3を最上位のものから順に送り出す給紙ローラ30と、用紙3の重送を防止するための分離パッド34と、この分離パッド34との協働作用によって送り出された用紙3を1枚ずつに分離して搬送する分離ローラ32等とを具備している。
なお、給紙手段としては、前記したものの他、給紙ローラおよび一対の分離ローラからなるものを含む他、例えば特公平5−32296号公報記載の紙捌きローラ(分離コロを兼ねる給紙コロに相当)からなるもの等を含む。
【0044】
分離ローラ32は、図示しない装置本体フレームの給紙側板に支持された軸に設けられており、この軸の近傍には分離ローラ32を回転駆動するための給紙モータ100が配置されている。前記軸は、これに設けられた2連の従動プーリと給紙モータ100の出力軸に設けられた駆動プーリとの間に掛け渡された歯付きの無端ベルト101を介して給紙モータ100で回転駆動される。
分離ローラ32の軸に設けられた2連の従動プーリと給紙ローラ30の軸に設けられた給紙プーリとの間には無端ベルト37が掛け渡されており、給紙ローラ30は給紙モータ100により分離ローラ32と同時に時計回り方向に回転駆動されるようになっている。給紙ローラ30および分離ローラ32の各軸には、ワンウェイクラッチ(図示せず)がそれぞれ組み込まれていて、給紙ローラ30および分離ローラ32は時計回り方向のみに回転するようになっている。
【0045】
給紙モータ100は、パルス入力で駆動するモータの一例としてのステッピングモータからなり、給紙ローラ30を回転する給紙駆動手段としての機能を有する。本参考例1では、メインモータ60の回転駆動力とは独立した給紙モータ100で給紙ローラ30および分離ローラ32を回転させる給紙ローラ独立駆動方式を採用している。
【0046】
給紙台31の上方には、給紙台31に積載された用紙3の最上面の上死点位置を検知するための上死点検知センサ(図示せず)が、給紙台31の下方には、給紙台31の下死点位置を検知するための下死点検知センサ(図示せず)がそれぞれ設けられている。
分離パッド34は、上下方向にスライド可能なパッドホルダの上部に取り付けられている。前記パッドホルダの周りには、分離圧を調整するための分離圧調整手段(図示せず)が配設されている。
【0047】
レジストローラ対33a,33bは、図1に示すように、分離ローラ32と圧胴20との間の用紙搬送路Rに配設されており、前記くわえ位置に回転した圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙3の先端を送り出すレジスト手段としての機能を有する。レジストローラ対33a,33bは、それぞれ軸をもって前記給紙側板に回転自在に支持されている。レジストローラ対33a,33bの細部構成は、前記特開平11−309934号公報の図5および段落番号(0067)の記載事項と同様であり、また上側のレジストローラ33aを下側のレジストローラ33bに接離自在とするためのレジストローラ上下機構(図示せず)の構成および動作等も前記特開平11−309934号公報の段落番号(0071)、(0073)の記載事項と同様である。
参考例1では、メインモータ60の回転駆動力とは独立したレジストモータ102でレジストローラ33bを回転させるレジストローラ独立駆動方式を採用している。レジストモータ102は、パルス入力で駆動するモータの一例としてのステッピングモータからなり、レジストローラ33bを回転するレジスト駆動手段としての機能を有する。レジストモータ102は、レジストモータ102の出力軸に設けられた駆動プーリとレジストローラ33bの軸に設けられたレジストプーリとの間に掛け渡された歯付きの無端ベルト103を介して、レジストローラ33bに連結されている。
【0048】
用紙先端センサ70は、分離ローラ32とレジストローラ対33a,33bとの間の用紙搬送路Rに配設されている。用紙先端センサ70は、実施例的にいうと、図1、図3および図9(b)、(c)において、レジストローラ対33a,33bのローラ軸の中心から用紙搬送方向Xの上流側に19mm遡った位置の上側のガイド板38に取り付けられている。用紙先端センサ70は、用紙3の先端を検知することにより、前記した給紙手段を含む用紙搬送方向Xの上流側で発生した用紙3のジャムを検知するジャム検知機能を有する他、レジストローラ対33a,33bのニップ部に用紙3の先端を突き当てて湾曲たわみを形成する時のたわみ量調整の一部の機能をも有している。
【0049】
レジストセンサ71は、圧胴20のくわえ位置とレジストローラ対33a,33bとの間の用紙搬送路Rに配設され、用紙3の先端を検知する用紙先端検知手段としての機能を有する。レジストセンサ71は、実施例的にいうと、図1、図3および図9(c)に示すように、レジストローラ33aの軸の中心から用紙搬送方向Xの下流側に19mm下った位置の上側のガイド板38に取り付けられている。前記した各センサ70,71は、発光部および受光部を具備した反射型フォトセンサからなる。上側のガイド板38には前記発光部からの出射光および用紙3の先端表面からの反射光を通す開口部(図示せず)が開けられている。
レジストセンサ71は、用紙3の先端を検知することにより、レジストローラ対33a,33bを含む用紙搬送方向Xの上流側で発生した用紙3のジャムを検知するジャム検知機能も有する。
【0050】
用紙通過センサ77は、圧胴20のくわえ位置とレジストセンサ71との間の用紙搬送路Rに配設されていて、用紙3の先端を検知する用紙通過検知手段としての機能を有する。用紙通過センサ77は、発光部および受光部を具備した反射型フォトセンサからなる。用紙通過センサ77は、用紙3の先端を検知することにより、レジストローラ対33a,33bを含む用紙搬送方向Xの上流側で発生した用紙3のジャムを検知するジャム検知機能を有する。
【0051】
図1ないし図9を参照して、本参考例1における主として孔版印刷装置の給紙制御に係る制御構成を補足説明する。
図1に示すように、圧胴20における奥側の端板20bの外側壁には、遮光板105と遮光板106とが圧胴20の同周方向に所定の間隔をおいてそれぞれネジで取り付けられている。各遮光板105,106は、例えばステンレススチール等の板金や適宜の合成樹脂でできていて、正面視および側面視でL字形をなし、その先端が奥側に突出して成形されている。
一方、アーム25bの内側には、遮光板105および遮光板106が取り付けられている圧胴20の同円周上に対向して給紙開始センサ104が図示しないセンサブラケットを介してネジで取り付けられている。給紙開始センサ104は、発光部および受光部を具備する周知の透過型フォトセンサである。
【0052】
遮光板105と給紙開始センサ104とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、レジストローラ対33a,33bに対して用紙3の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の前記所定の回転位置は、換言すれば遮光板105の圧胴20の端板20bへの取付位置は、実施例的にいうと、図5および図9(a)に示すように、圧胴20が反時計回り方向にθ’=194°に回転した位置で給紙開始センサ104がオンするように設定されている。この時には、前記レジストローラ上下機構が離間動作することにより、上側のレジストローラ33aが下側のレジストローラ33bから離間されレジストローラ対33a,33bの間に前記隙間が形成されている状態にあり、前記スプリングの付勢力によるレジストローラ対33a,33bの圧接力が用紙3にかからないようになっている。
【0053】
遮光板106と給紙開始センサ104とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙3の先端の給送を開始するタイミングをとるためのレジストタイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の前記所定の回転位置は、換言すれば遮光板106の圧胴20の端板20bへの取付位置は、実施例的にいうと、図9(a)に示すように、圧胴20が反時計回り方向にθ’=307°に回転した位置で給紙開始センサ104がオンするように設定されている。
【0054】
次に、図6を参照して操作パネル90の細部構成を説明する。
この操作パネル90上には、製版スタートキー91、テンキー93、印刷スタートキー92、紙種入力キー94、ランプ群95、印刷速度設定キー96、印刷速度表示器97および液晶表示部98等が配置されている。
【0055】
製版スタートキー91は、原稿画像の画像読み取りから給版および版付け印刷に至る各動作の起動を設定・入力するためのものであり、テンキー93は、印刷枚数等を設定・入力するためのものであり、印刷スタートキー92は、テンキー93で設定・入力された印刷枚数の印刷動作の起動等を行うためのものである。紙種入力キー94は、用紙3の種類を設定するための用紙種類設定手段としての機能を有する。
【0056】
ランプ群95は、図22に示されている参考例2で使用する紙種入力キー94で選択的に設定された用紙3の種類(以下、「紙種」というときがある)または図23に示されている参考例3で使用する、用紙3の種類を自動的に検知するための用紙種類検知手段としての紙種検知センサ75により検出された紙種を表示するための紙種表示手段としてのLED(発光ダイオード)からなる。
ランプ群95は、この例では3グループのうちの何れか一つの紙種が選択されていることを表示する3つのランプ、すなわち、普通紙が選択されていることを表示するランプ95a、厚紙が選択されていることを表示するランプ95b、および薄紙が選択されていることを表示するランプ95cからなる。紙種入力キー94を1回押すとランプ95aが点灯し、同キー94を2回押すとランプ95bが、同キー94を3回押すとランプ95cが点灯するというように、紙種入力キー94を1回押すごとに順次ランプの点灯が切り替わり、ユーザやオペレータが設定した紙種がまたは紙種検知センサ75により検知された紙種が選択されていることを表示するようになっている。
【0057】
印刷速度設定キー96は、版胴1の回転速度としての印刷速度レベルを設定するための印刷速度設定手段としての機能を有する。印刷速度表示器97は、それぞれLEDからなり、印刷速度設定キー96で選択的に設定された印刷速度レベルを表示する機能を有する。
印刷速度設定キー96および印刷速度表示器97の詳細は、前記特開2000−158780号公報明細書の段落番号(0102)ないし(0103)に記載されているもの、図2および図17に示されているものと同様である。
【0058】
液晶表示部98は、原稿画像の読み取りから印刷に至る各動作・工程での指定・設定すべき操作内容や各センサやセンサ群からの出力信号に基づいて、それらの検知情報等を随時表示する機能を有し、LCD(液晶表示装置)からなる。 なお、図7、図22、図23のブロック図では、操作パネル90のランプ群95や印刷速度表示器97や液晶表示部98との接続を省略している。
【0059】
図7において、制御装置50は、本参考例1における孔版印刷装置の主として給紙制御を行うためのものである。制御装置50は、図示を省略した、CPU(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0060】
制御装置50の前記CPU(以下、説明の簡明化を図るため、「制御装置50」というときがある)は、図示しないセンサ回路および前記入力ポートを介して、用紙先端センサ70、レジストセンサ71、給紙開始センサ104および用紙通過センサ77とそれぞれ電気的に接続されていて、各センサ70,71,104,77から出力される各種出力信号を受信する。
さらに具体的には、制御装置50は、用紙先端センサ70から給紙モータ100を回転させて所定の湾曲たわみを作るための出力信号を受信する。
制御装置50は、レジストセンサ71からレジストローラ対33a,33bにおける第1の用紙3の滑り補償のための出力信号を受信する。
制御装置50は、給紙開始センサ104から給紙モータ100およびレジストモータ102を回転駆動するための出力信号(スタート信号)を受信する。
制御装置50は、用紙通過センサ77から、レジストセンサ71より用紙通過センサ77に到達するときまでの第2の用紙3の滑り補償のための出力信号を受信する。
【0061】
制御装置50は、図示しないモータ駆動回路および前記出力ポートを介して、給紙モータ100およびレジストモータ102とそれぞれ電気的に接続されていて、給紙モータ100およびレジストモータ102に各種指令信号を送信してこれらの各種制御対象構成要素を以下のように制御する機能を有する。
第1に、制御装置50は、遮光板105と給紙開始センサ104との係合による給紙開始センサ104からのオン出力信号(スタート信号)に基づいて、用紙3の先端をレジストローラ対33a,33bに対して給送すべく給紙モータ100を起動制御する給紙駆動制御手段としての機能を有する。
第2に、制御装置50は、遮光板106と給紙開始センサ104との係合による給紙開始センサ104からのオン出力信号(スタート信号)に基づいて、圧胴20の用紙クランパ21に対して用紙3の先端を給送すべくレジストモータ102を起動制御するレジスト駆動制御手段としての機能を有する。
【0062】
第3に、制御装置50は、レジストセンサ71からの出力信号に基づいて、用紙3の先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部からレジストセンサ71に到達するときまでの第1の用紙の滑りを補償すべくレジストモータ102を制御した後、用紙通過センサ77からの信号に基づいて、用紙3の先端がレジストセンサ71から用紙通過センサ77に到達するときまでの、第2の用紙の滑りを補償すべくレジストモータ102を制御する制御手段としての機能を有する。
【0063】
第4に、さらに具体的には、制御装置50は、次の(1)または(3)式を計算した後、(2)または(4)式を満足するようにレジストモータ102を制御する機能を有する。
b≧aのとき、C=B・c/A…(1)
V={B+C}/{T−t(c+C)}…(2)
b<aのとき、C’=B・c’/A…(3)
V’={B−C’}/{T+t(c’+C’)}…(4)
ここで、(1)〜(4)式の符号は、下記内容を表している。
A:レジストセンサ71から用紙通過センサ77までの距離(mm)
B:用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までの距離(mm)
a:レジストセンサ71から用紙通過センサ77まで用紙3の先端を搬送するための、第2の用紙の滑りが無い場合のレジストモータ102の基準ステップ数(pps)
b:レジストセンサ71から用紙通過センサ77まで用紙3の先端を搬送するための、レジストモータ102の実際のステップ数(pps)
c:=b−a:b≧aのときのスリップ量(正確には第2のスリップ量である)
c’:=a−b:b<aのときの突込み量
C:b≧aのときの、用紙通過センサ77が用紙3の先端を検知した時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量C’:b<aのときの、用紙通過センサ77が用紙3の先端を検知した時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量
T:用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置まで第2の用紙の滑りが無い場合の用紙3の先端の到達時間(s(セコンド:秒))
t:レジストモータ102の1パルス当たりの時間(s)
V:b≧aのときの、用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までのレジストモータ102の回転による用紙搬送速度(mm/s)
V’b<aのときの、用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までのレジストモータ102の回転による用紙搬送速度(mm/s)
第1の用紙の滑り補償および第2の用紙の滑り補償については、後述する動作説明においても詳述する。
以下、「第1の用紙の滑りを補償する制御」のことを「第1のスリップ量補正」と、「第2の用紙の滑りを補償する制御」のことを「第2のスリップ量補正」と言い換えることがある。
【0064】
制御装置50内の前記ROMには、用紙先端センサ70からレジストローラ対33a,33bのニップ部までの一定の距離を給紙モータ100のパルス数に換算した値、およびレジストローラ対33a,33bのニップ部からレジストセンサ71までの一定の距離をレジストモータ102のパルス数に換算した値がデータとして予め記憶されている。
また、制御装置50内の前記ROMには、レジストセンサ71から用紙通過センサ77までの距離A(mm)、用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までの距離B(mm)、用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置まで第2の用紙の滑りが無い場合の用紙3の先端の到達時間T(s)、レジストセンサ71から用紙通過センサ77までの第2の用紙の滑りが無い場合のレジストモータ102の基準ステップ数a(pps)、レジストモータ102の1パルス当たりの時間t(s)等に関する各データおよび前記(1)ないし(4)式の計算を行うためのプログラム等が予め記憶されている。
また、前記ROMには、図17ないし図21に示すフローチャート、図9(a)に示す用紙搬送パターンおよび図10(a)に示すタイミングチャートに関するプログラムが予め記憶されている。
【0065】
制御装置50内の前記RAMは、前記CPUでの計算結果を一時記憶したり、各センサ70,71,77,104からの各出力信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
制御装置50内の前記タイマは、図10(a)に示す各遅れ時間Da,Dbを設定したり計時・可変する機能を有する他、用紙3の先端がレジストローラ対33a,33bの回転起動により、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の位置に突き当たっている位置からレジストセンサ71に到達するまでの用紙到達時間を計時する機能も有する。
【0066】
次に、上述のように構成された孔版印刷装置の動作について説明する。なお、図10(a)に示すタイミングチャートにおいて、二点鎖線で囲んで示す用紙通過センサ77のオン検知動作は、後述する参考例2でのみ行われる動作を表していて、この参考例1では行われない動作を表す。同様に、図19に示されているフローチャートの中で、二点鎖線で囲んで示すステップS16’の判断動作は、後述する参考例2でのみ行われる動作を表していて、この参考例1では行われない動作であることを付記しておく。
【0067】
用紙3の搬送時(給紙工程時)において、版胴1および圧胴20の各回転位置を次のとおり表すものとする。すなわち、図5(a),(b)において、版胴1の回転位置を、図5(a)に示す版胴1のホームポジションから版胴1の時計回り方向に回転したときのなす角度θをもって表し、圧胴20の回転位置を、図5(a)に示すように、版胴20の凹部20aが版胴1のマスタクランパ12と対向して直上に位置する圧胴20のホームポジションから圧胴20の反時計回り方向に回転したときになす角度θ’をもって表わすものとする。なお、版胴1および圧胴20は、各ホームポジションを占めたときに装置本体から着脱可能となっている。
【0068】
まず、図1において、図示しない原稿読取装置に原稿がセットされ、製版スタートキー91が押されることにより、ホームポジションを占めていた版胴1が回転し、使用済みのマスタが版胴1の外周面から排版装置18により剥離され廃棄される。その後、版胴1は、マスタクランパ12が図1において略右横に位置する給版位置を占めた位置で停止し、マスタ用紙クランパ軸12aが回動されて、マスタクランパ12が開かれ、給版待機状態となる。
【0069】
次いで、製版書込み装置19のパルスモータ6が駆動されることにより、プラテンローラ9が回転され始め、マスタ2が繰り出されつつ搬送される。一方、前記原稿読取装置においてスキャナ(図示せず)が作動することにより、原稿の画像が読み取られ、前記A/D変換部および前記製版制御部で処理されて送出されるデジタル画像信号によって、サーマルヘッド17の発熱素子が選択的に発熱され、マスタ2が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔され始める。
【0070】
マスタ2が、プラテンローラ9の回転により搬送され、マスタ2の先端部が、給版待機状態で拡開しているマスタクランパ12へ向けて送出される。パルスモータ6のステップ数がある設定値に達すると、マスタ用紙クランパ軸12aが回動されることでマスタクランパ12が閉じられて、製版済みのマスタ2の先端部がマスタクランパ12に挾持される。
【0071】
このクランプ動作と同時に版胴1と圧胴20とが、マスタ2の用紙搬送速度と略同じ周速度で回転され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が巻装されていく。版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が所定長さ巻装されると、版胴1、圧胴20、プラテンローラ9の回転が停止する。この停止動作と同時に、カッタ駆動モータ7が回転されて偏心カム8が上方のカッタ部材4を下降させ、マスタ2を切断する。そして版胴1が再び時計回り方向に回転され、切断されたマスタ2の後端(図示せず)が、製版書込み装置19から引き出され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が完全に巻き取られる。
【0072】
続いて、図1ないし図21を参照して用紙3の搬送手順について説明する。
この給紙動作のフローは、前記特開平11−309934号公報の図18ないし図20に示されているフローチャートのステップS1〜ステップS16までと略同様である。
まず、図17のステップS1で、給紙開始可能状態であるか否かが判断される。すなわち、図1において、版胴1内のインキ供給装置22により印刷が可能となる適度なインキ溜まり16が形成され、製版スタートキー91を押下することで、印刷可能状態にあるかどうかが判断される。また、制御装置50からの指令の下に、前記給紙台昇降モータが回転駆動される。これにより、給紙台31が上昇して、用紙3の最上位面が給紙ローラ30に接触してこれを押し上げると、前記上死点検知センサをオンにする。制御装置50は前記上死点検知センサのオン信号を受けて前記給紙台昇降モータを停止させる。これによって給紙台31は印刷に必要な所定の高さの給紙位置を占めると共に、予め設定された給紙圧が用紙3の最上位面に付与される。このような印刷可能状態となっていれば、ステップS2に進む。
【0073】
メインモータ60が回転駆動することにより、圧胴20が、図10(a)および図11に示すように、反時計回り方向に回転し、その圧胴20の回転位置でθ’=194°を占めたとき、遮光板105が給紙開始センサ104を通過することにより、そのオン出力信号が制御装置50に入力され、このオン出力信号入力時から一定の遅れ時間(以下、「ディレイ」と言い替えるときがある)Daを経過した後、給紙モータ100が回転駆動される。これにより、分離ローラ32は時計回り方向に回転されると同時に、給紙ローラ30の同方向の回転により用紙3が給送され、分離ローラ32と分離パッド34とで用紙3の重送が防止されて、最上位の1枚の用紙3だけがレジストローラ対33a,33bに向けて送られる。この時、給紙モータ100は、制御装置50により、用紙3の先端を一定の送り速度(用紙搬送速度一定)で搬送するように制御される。(ステップS2〜ステップS4参照)。
【0074】
そして、図10(b)に示すように、分離ローラ32から用紙搬送方向Xの下流側にXamm下った部位に位置する用紙先端センサ70によって、用紙3の先端が検知されると、用紙先端センサ70がオンし、そのオン出力信号が制御装置50に入力される。
このときの用紙3の送り量は、図12に示すように、用紙3の先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部(正確に言うとニップ部直前の部位である)に衝突して所定量の湾曲たわみ3Aが形成されるように、制御装置50からの指令により、所定の駆動パルスが前記モータ駆動回路を介して給紙モータ100に出力されることによってXcmmだけ用紙3を送り出すようになっている(たわみ量調整)。これにより、用紙3の先端が図12に示すように上方に所定量の湾曲たわみ3Aが形成された時点で、給紙モータ100の回転が停止されることにより、分離ローラ32と給紙ローラ30とが停止する。
この所定量の湾曲たわみ3Aは、レジストローラ対33a,33bの回転による用紙3のスキュー、不送りを発生することなく、かつ、たわみ量が適正で静音化を図れる一定の範囲内に予め実験等で設定されている。
【0075】
用紙3の送り量Xcは、実施例的にいうと、レジストローラ対33a,33bのニップ部と用紙先端センサ70との間の用紙搬送路R上の距離19mmに+6mmを加えた送り量(給紙モータ100のパルス数に換算すると、給紙モータ100が回転し始めてから322パルスに相当し、用紙先端センサ70がオン後、80パルスに相当する。但し、1パルス当たりその送り量が0.314mmに相当する。)となるように設定されている。制御装置50では、前記送り量に対応して給紙モータ100を制御するように、前記送り量に対応したステップ数に変換する計算を行い、給紙モータ100に指令信号を送出することで、所定の湾曲たわみ3Aが形成されるだけ用紙3が分離ローラ32の回転により送られる(ステップS5〜ステップS7参照)。
【0076】
一方、ステップS5において用紙先端センサ70がオンせず、給紙モータ100が回転し始めてから400パルスに相当する分以上回転したときには、制御装置50は給紙不送り等のジャムが発生したと判断し、用紙搬送動作を終了する(図17のフローでは省略して簡略化して示している)。
このような制御装置50による特有のたわみ量調整によって、用紙3の先端が一定の送り速度でレジストローラ対33a,33bのニップ部に衝突し、かつ、所定量の湾曲たわみ3Aを形成する一定の用紙3の送り量となるように給紙モータ100が制御されるので、印刷速度に関係なく安定したたわみ量調整を行うことができる。
【0077】
ここで、前記した一定のディレイDaとしては、最大用紙長さ447mmの後端が給紙前面板35を抜け切るのが圧胴20の回転位置でθ’=約200°であり、このときの余裕度を考慮して圧胴20の回転角度で約10°以上に設定することが望ましい。このように、遮光板105との係合による給紙開始センサ104のオン出力信号の出力開始時点と、給紙モータ100が駆動開始される駆動開始時点との間に所定のディレイDaを設けたことにより、マシン間のバラツキの補正をしやすくしたり、ソフトウェア的に制御をしやすい利点がある。また、ディレイDaは、圧胴20の回転位置θ’=194°における給紙開始センサ104のオンをトリガにして、給紙モータ100の動作タイミングを作る上で有益である。
【0078】
次いで、図10(a)および図13に示すように、圧胴20がさらに反時計回り方向に回転し、その回転位置θ’=307°を占めたとき、遮光板106が給紙開始センサ104を通過することにより、そのオン出力信号が制御装置50に入力され、このオン出力信号入力時から一定のディレイDbを経過した後、レジストモータ102と同時に給紙モータ100がそれぞれ回転駆動される。これにより、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転され、圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙3の先端の給送を開始し、分離ローラ32を同時に低速で少しの間回転させる(給紙モータ100の回転数で30パルスの駆動パルス分に相当する)ことで用紙3の湾曲たわみ3Aが急激に消滅するときに生じる騒音を低減している(図18のフローチャートでは(レジストローラ部のタワミ張音消し)と記載している)。給紙モータ100は、30パルス回転した後、停止する。
【0079】
この時、制御装置50からの指令により、図18のステップS10および前記特開平11−309934号公報の図21に示されているように、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙3の先端がレジストセンサ71がオンし、第1のスリップ量補正するまでは、レジストモータ102が理論値で回転駆動、すなわち、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1=1.4×va(mm/s)である圧胴20の周速度va(もしくは線速度va)の1.4倍の用紙搬送速度vpで用紙3の先端を送り出すようにレジストモータ102が制御される(図18のステップS8〜ステップS13参照)。
前記したディレイDbは、圧胴20の回転位置θ’=307°における給紙開始センサ104のオンをトリガにして、レジストモータ102の動作タイミングを作る上で有益である。
【0080】
レジストローラ対33a,33bの回転により、図10(c)および前記特開平11−309934号公報の図24(a)ないし図24(b)に示されているように、用紙3の先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部に突き当たっている位置から、Xbmm(実施例的には19mmに相当する)分だけ用紙搬送方向Xの下流側に搬送されると、レジストセンサ71がオンし、そのオン出力信号が制御装置50に入力される(図18のステップS14参照)。この時、レジストローラ対33a,33bのニップにおける用紙3の突き当て位置からレジストセンサ71の取付位置(図9(a)では用紙先端検知部と括弧書きしている)までの距離は一定であるため、レジストモータ102の駆動パルスカウントは一定のはずであるが、特にレジストローラ対33a,33bの回転初期は第1のスリップが発生しやすい。このため、レジストセンサ71がオンするまでの駆動パルスカウントは、1枚ごとに変わる可能性がある。
レジストローラ対33a,33bにおける回転初期での第1のスリップが発生する原因としては、従来の技術で説明した温・湿度等の環境条件の変化や、レジストローラ対33a,33bの劣化(摩耗・消耗・紙粉等による汚れ)や、紙質や紙厚等の紙種の変更等に伴う搬送条件の変化(例えばレジストローラ対33a,33bと用紙3との間の摩擦係数の変化や用紙3の変形状態)等がある。
【0081】
それ故に、用紙3の先端部がレジストローラ対33a,33bのニップ部に完全に入り込んでいなかった分の遅れと、レジストローラ対33a,33bの搬送駆動立ち上がりに伴う第1のスリップとにより、レジストセンサ71ヘの用紙3の先端の到達時間に遅れが発生する。この遅れの大きさに応じてその後のレジストローラ対33a,33bの回転による用紙搬送速度を決定する。
【0082】
この参考例1では、圧胴20における遮光板106の取付位置と用紙クランパ21の取付位置とは、構成部品の積み上げ誤差があるにせよ、圧胴20への取付後では変動しないものとみなせること、版胴1および圧胴20の駆動系のベルト等の伸びやギヤ等のバックラッシ等のガタ等による圧胴20の回転ムラに比較して、用紙3の先端の第1のスリップ量および第2のスリップ量の変動の方が大きく、圧胴20の回転ムラが微少であって無視し得るものとして以下説明する。但し、孔版印刷装置の初期設定時を基準とした場合における、遮光板106が給紙開始センサ104を通過するときの基準時間に対する実際のそれは、制御装置50の前記タイマで計時して比較することができるので、少なくとも遮光板106が給紙開始センサ104を通過するときまでの圧胴20の回転ムラは第1のスリップ量の補正に加味することができる。
【0083】
制御装置50は、レジストセンサ71がオンするまでの駆動パルスカウントから、用紙3の遅れを判断し、その後のレジストモータ102の回転速度を速めると共にその回転量を第1の用紙搬送速度vp1で増加させて第1のスリップ量補正をしている。
換言すれば、制御装置50は、レジストモータ102の回転駆動により用紙3を搬送してレジストセンサ71をオンさせるのに要した駆動パルス数のカウントを行い、レジストモータ102に対して、用紙3の先端をXdmm相当搬送させるための駆動パルスを前記モータ駆動回路を介して出力するように制御したものとして、レジストローラ対33a,33bにおける用紙3のスリップ量=(Xd−Xb)mmに応じて、前記特開平11−309934号公報の図12に示されていると同様の制御、すなわちレジストモータ102の回転量を増加させるべく駆動パルス数を増加させる共に、併せてレジストモータ102の回転速度(pps)を速めるべく駆動パルス幅を狭くするように調節する第1のスリップ量補正を行う。
【0084】
これをさらに例示的に説明すると以下のとおりである。例えば、用紙3の送り量がレジストモータ102の駆動パルスに換算して5パルス以上スリップした場合には、前記特開平11−309934号公報明細書の段落番号(0104)にも記載されているように、補正係数y=1.41に変えるというようにである。また例えば、紙質を変えることで、レジストローラ33bが回転してから所定の駆動パルス数になっても、レジストセンサ71がオンせず、用紙3がスリップした場合には、制御装置50では、レジストセンサ71が実際にオンした駆動パルス数から所定の駆動パルス数のその差分だけ第1の用紙搬送速度vp1で多く送るようにレジストモータ102に指令信号を送出する。これと併せて、レジストモータ102の回転速度を速めるべく駆動パルス幅を狭くする(ステップS15参照)。
【0085】
一方、ステップS14において、制御装置50は、レジストセンサ71がオンせず、レジストモータ102が回転駆動し始めてから駆動パルス数80に相当する80ステップ以上回転したと認識したときには、圧胴20の用紙クランパ21に用紙3の先端が届かずジャムしたと判断して、用紙搬送動作を終了するようになっている(図18のフローでは省略して簡略化して示している)。
【0086】
用紙3の先端が用紙通過センサ77に至るまでに、用紙3はレジストローラ対33a,33bのニップ部でスリップを生じており、このままでは、用紙3の先端は用紙クランパ21がくわえ位置に到達した時にストッパ爪163の突き当て面部に到達しないことになる。そこで、制御装置50は、用紙3の先端が用紙通過センサ77に到達した時、レジストセンサ71からの到達予定時間に対しどのくらいの遅れがあるかを割り出し、用紙クランパ21のくわえ位置までの第2のスリップ量を予測して、用紙通過センサ77に至るまでのスリップ量とを加えてその後のレジストローラ対33a,33bの用紙搬送速度を決定するという第2のスリップ量補正を行う(ステップS16およびステップS17参照)。
【0087】
なお、ステップS16において、制御装置50は、用紙通過センサ77がオンせず、レジストモータ102が回転駆動し始めてから所定の駆動パルス数に相当するステップ以上回転したと認識したときには、圧胴20の用紙クランパ21に用紙3の先端が届かずジャムしたと判断して、用紙搬送動作を終了するようになっている(図19のフローでは省略して簡略化して示している)。
【0088】
前記した第1のスリップ量補正終了後、図10(a)および図19のステップS17における第2のスリップ量補正は、具体的には図9、図20および図21において以下のように行われる。
図20のフローチャートは、ステップS30から始める。まず、ステップS30において、レジストセンサ71から用紙通過センサ77までの第2の用紙の滑り(第2のスリップ)が無い場合のレジストモータ102の基準ステップ数をa(pps)とし、レジストセンサ71から用紙通過センサ77までのレジストモータ102の実際のステップ数をb(pps)としたとき、制御装置50は、ある基準に対してスリップしているか否か、すなわち用紙3のサイズおよび何れの給紙部からの給紙であるかを考慮して、b≧aおよびb<aのうちの何れであるかを判断する。制御装置50は、b≧aのとき、ステップS31〜ステップS34の動作を、b<aのとき、ステップS35〜ステップS38の計算・制御処理動作を行う。
【0089】
ここで、b≧aのときと、b<aのときとの両方の場合を考慮した内容について説明しておく。例えば、本参考例1における本体給紙部の給紙装置29のみからの給紙であって、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の位置で突き当て保持されていた用紙3の搬送動作では、用紙3のサイズに拘わらず(例えば用紙3のサイズとして、A3サイズの大サイズからB5サイズの小サイズに至るまで)、用紙3の後端は必ず分離ローラ32と分離パッド34との間にあって搬送負荷が付与されているため、スリップだけが生じる。
しかしながら、例えば特開2000−158780号公報の図1および図154に示されているようなバンク給紙部からの給紙であって、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の位置で突き当て保持されていた用紙3の搬送動作では、用紙3のサイズによって用紙3の後端にかかる搬送負荷が異なる。例えばA3サイズのような大サイズの用紙3のレジストローラ対33a,33bからの搬送動作では、用紙3の後端が中間搬送ローラ対やバンク給紙部のバンクレジストローラ対により挟持されているため搬送負荷が付与されていて、これによりスリップ量cが生じる。
一方、例えばB5サイズのような小サイズの用紙3の搬送動作の場合では、レジストローラ対33a,33bが回転してレジストセンサ71に到達する頃には、用紙3の後端が中間搬送ローラ対のニップ部を抜けきっているので、用紙3の後端負荷が全く付与されていない状態となり、搬送される用紙3にいわば加速度が加わって用紙搬送方向Xの下流側へと突っ込む状態となり、これにより突込み量c’が生じると推察される。
【0090】
まず、b≧aのときについて説明する。図8に示したようにレジストセンサ71から用紙通過センサ77までの距離A(mm)とし、用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までの距離B(mm)とし、スリップ量c=b−aとし、用紙通過センサ77が用紙3の先端をオン・検知した時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量C(pps)としたとき、制御装置50は、C=B・c/A…(1)式を用いて、予測スリップ量C(pps)を計算する(ステップS31参照)。
次いで、ステップS32に進み、レジストモータ102の1パルス当たりの時間をt(s)としたとき、レジストセンサ71により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知される時までのスリップによる損失時間t・c(s)と、用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでのスリップによる予測損失時間t・C(s)との合計時間:t・c+t・C=t・(c+C)を計算する。
【0091】
次いで、図21のステップS33に進み、レジストセンサ71により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知される時までのスリップ量と、用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量Cより、用紙通過センサ77以降、すなわち用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までのレジストモータ102の回転による用紙搬送速度V(mm/s)を、V={B+C}/{T−t(c+C)}…(2)式を用いて計算する。そして、制御装置50は、(2)式を計算して得られた用紙搬送速度V(mm/s)でレジストローラ33bを回転駆動するようにレジストモータ102を制御する(ステップS34参照)。
【0092】
一方、ステップS30において、b<aのとき、制御装置50は、ステップS35〜ステップS38の計算・制御処理動作を行う。
突込み量c’=a−bとし、用紙通過センサ77が用紙3の先端をオン・検知した時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量C’(pps)としたとき、制御装置50は、C’=B・c’/A…(3)式を用いて、予測スリップ量C’(pps)を計算する(ステップS35参照)。
次いで、ステップS36に進み、レジストモータ102の1パルス当たりの時間をt(s)としたとき、レジストセンサ71により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知される時までの突っ込みによる損失時間t・c’(s)と、用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでのスリップによる予測損失時間t・C’(s)との合計時間:t・c’+t・C’=t・(c’+C’)を計算する。
【0093】
次いで、図21のステップS37に進み、レジストセンサ71により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知される時までの突込み量と、用紙通過センサ77により用紙3の先端がオン・検知された時から用紙3の先端が用紙クランパ21のくわえ位置に搬送されるまでの予測スリップ量C’より、用紙通過センサ77以降、すなわち用紙通過センサ77から用紙クランパ21のくわえ位置までのレジストモータ102の回転による用紙搬送速度V’(mm/s)を、V’={B+C}/{T−t(c+C)}…(4)式を用いて計算する。そして、制御装置50は、(4)式を計算して得られた用紙搬送速度V’(mm/s)でレジストローラ33bを回転駆動するようにレジストモータ102を制御する(ステップS38参照)。
【0094】
なお、圧胴20は、メインモータ60からの駆動によって、操作パネル90に設けられている印刷速度設定キー96により設定された設定印刷速度値に応じた回転速度(周速度)で回転している。
圧胴20の用紙クランパ21は、図10(a)に示す所定のタイミング(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=350.5°を占めたとき)で開く。前記したような制御装置50による用紙搬送速度の制御下において、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転されることにより、上のレジストローラ33aが用紙3を介して時計回り方向に従動回転されることによって、図15に示すように、用紙3の湾曲たわみ3A(破線で示す)が消滅する。このとき、各ワンウェイクラッチの作用により、分離ローラ32と給紙ローラ30とが用紙3の搬送によって従動回転しながら、用紙3の先端が圧胴20の用紙クランパ21に向けて搬送され、用紙クランパ21のストッパ爪163に突き当たり衝突する。
【0095】
このタイミングに合わせ、圧胴20の用紙クランパ21は、図10(a)および図15ないし図16に示すように、用紙3の先端部をくわえ・挾持した後、用紙クランパ21は閉じられる(実施例的にいうと、圧胴20が回転位置10°(370°)を占めたとき)。そして、用紙クランパ21が搬送されている用紙3の先端部をくわえてからは、レジストモータ102の回転による用紙搬送速度が1.4×vaから1.03×vaにスローダウンするように制御される。
こうして圧胴20は、用紙3を圧胴20の外周面に保持したまま回転し、用紙3の先端部が版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送される。
【0096】
版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送された用紙3に対して、図17に示すように、前記接離手段の印圧スプリング26a,26bにより圧胴20が版胴1の外周面に押圧する上向きに揺動変位されることでニップ部が形成されると共に、圧胴20の外周面が用紙3を版胴1の外周面に対して押圧(図10(a)では圧胴20の印圧オンで示されている)する。
こうして、圧胴20の外周面の押圧によって、回転する版胴1の外周面に巻装された製版済みのマスタ2に用紙3が連続的に押圧されることにより、製版済みのマスタ2が版胴1の外周面に密着すると共に、版胴1の開孔部分から製版済みのマスタ2の穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙3の表面に転移され、孔版印刷が行われる。
このとき、インキローラ13も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり16のインキは、インキローラ13の回転によりインキローラ13の表面に付着され、インキローラ13とドクターローラ15との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
そして、制御装置50により、前記ROMに記憶された分だけレジストモータ102が回転駆動された(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=75°(435°)を占めるまで)と判断されると、レジストモータ102の駆動が停止することで、レジストローラ対33a,33bの回転駆動が停止され、制御装置50による用紙搬送速度の制御が終了する(ステップ18〜ステップ21参照)。
【0097】
圧胴20がさらに回転し、排紙爪44の手前の排出位置で(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=81.2°(441.2°)を占める位置であり、図10(a)には図示せず)用紙クランパ21が開放されると、印刷された用紙3が排紙爪44により剥離され、搬送ベルト48で搬送されて排紙台45上に排出積載される。こうして、製版済みのマスタ2にインキを充填する所謂版付けが行われると共に、版胴1が圧胴20から離間して初期状態に復帰し、印刷待機状態となる。
印刷終了後、オペレーターは排出された印刷物を目視して、印刷画像品質の確認や印刷画像位置の確認等を行い、これらがオーケーであれば、テンキー93で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー92を押下することにより、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。
ここで、前記したように遮光板106と給紙開始センサ104とが係合することにより生じるオン出力信号の出力開始時点と、レジストモータ102が駆動開始される駆動開始時点との間に設けた一定のディレイDbは、前記特開平11−309934号公報明細書記載の実施形態2,3で利用されるものの他、マシン間のバラツキの補正をしやすくしたり、ソフトウェア的に制御をしやすくしたりするのに利用することができる。
【0098】
上述した第1および第2のスリップ量補正に関する各用紙搬送パターンについて、グラフにしてまとめたものが図9(a),(b)に示されている。図9(a)は本参考例1の用紙搬送パターンを、図9(b)は従来例の用紙搬送パターンをそれぞれ表している。図9(a),(b)の各用紙搬送パターンでは、横軸に時間(s)を、縦軸に距離S(mm)をそれぞれとり、用紙クランパ21の軌跡に対する用紙3の先端の搬送状態を表している。図9(a),(b)の各用紙搬送パターンは、レジストモータ102の駆動スタートから示されているが、レジストセンサ71での用紙3の先端検知までは本参考例1を表す図9(a)と従来例を表す図9(b)とで同じである。また、図9(a),(b)においては、縦軸にとった距離Sでのレジストセンサ71の取付位置を「用紙先端検知部」と、用紙クランパ21のくわえ位置のことを、「用紙クランパくわえ部」と簡略的に表示している。
【0099】
従来例を表す図9(b)では、用紙3の先端の軌跡は遮光片106が給紙開始センサ104と係合することにより給紙開始センサ104がオンし、ディレイDb経過後、レジストモータ102の駆動スタートによるレジストローラ対33a,33bが回転駆動されることで用紙3の先端の搬送が開始される。用紙3の先端は、第1のスリップを伴いつつレジストセンサ71の取付位置である用紙先端検知部へ至る。そこで、用紙3の先端を用紙クランパ21に追いつかせるため、用紙搬送速度を加速して用紙クランパ21のストッパ爪163の用紙クランパ突き当て面部よりさらに過分送り量を加えた距離Sに相当するF地点に到達させる。その後、用紙3の先端は、圧胴20の周速度と略等速で用紙クランパ21のくわえ位置である用紙クランパくわえ部に搬送され、到達してクランプされることにより、版胴1の外周面に対して圧胴20の外周面が押し付けられるニップ部である画像形成部へと搬送される。
【0100】
これに対し、本参考例1を表す図9(a)では、レジストセンサ71の取付位置である用紙先端検知部に加え、用紙通過センサ77の取付位置である用紙通過検知部を加えた場合の用紙搬送パターンを表している。上述したように、用紙3の先端が用紙先端検知部に至るまでは従来例と同様の搬送を行い、用紙先端検知部で用紙3の先端を検知した時点で、用紙クランパくわえ部に至るまでの時間と、用紙先端検知部から用紙クランパくわえ部までの距離とにより、用紙搬送速度を決定し用紙搬送速度の修正を行う。
その後、用紙3の先端が用紙通過検知部に達した時、用紙クランパくわえ部に用紙3の先端が到達した時の予測スリップ量を上述したように算出し、さらに用紙搬送速度の修正を行うものである。
【0101】
上述したことから、本参考例1によれば、上記従来の技術の(1)ないし(4)までの問題点を解決して、下記の利点を得ることができる。なお、括弧付き数字は、丸付き数字に対応していることを表している(以下、同じ)。
圧胴20における用紙クランパ21のくわえ位置とレジストセンサ71との間の用紙搬送路Rに、用紙3の先端を検知する用紙通過センサ77を配置することにより、用紙3の先端を精度高く検知することができる。
そして、制御装置50が用紙通過センサ77からの第2のスリップ量に係る信号に基づいて、上述したような特有の用紙搬送速度の制御を行うことで、用紙種類や環境条件の変化あるいは用紙搬送速度の変化によって発生するレジストローラ対33a,33bでの用紙3のスリップ量を確実に把握して、圧胴20における用紙クランパ21のくわえ位置へ用紙3の先端を搬送する給送タイミングの安定化を図ることができる。
【0102】
また、参考例1では、用紙3の先端は用紙クランパ21のくわえ位置にタイミングを合わせて搬送するようにしていることにより、用紙3の先端と用紙クランパ21との位置関係を用紙搬送経路R上で常に合わせる必要が無く、くわえ位置一点に集中して両者の動きを制御するので、合わせやすくなるという利点がある。
これは、用紙クランパ21を設けた圧胴方式の場合では、用紙3の先端と圧胴20の位置関係は用紙クランプ21のくわえ位置においてクランプ動作が終了した時点で固定されるので、レジストローラ対33a,33bや圧胴20の駆動制御の影響を受けない状態となるからである。
【0103】
前記利点に加えて、前記特開平11−309934号公報明細書の段落番号(0121)ないし(0125)に記載されていると同様の諸利点を得ることができる。但し、段落番号(0121)記載のパルスエンコーダを設けたことによる利点を除く。
参考例2
図22に、参考例2を示す。この参考例2は、図22に示すように、図1ないし図21に示した参考例1と比較して、用紙3の種類を設定するための用紙種類設定手段としての紙種入力キー94を新たに付設したこと、および制御装置50に代えて制御装置50Aを有することが主に相違する。
制御装置50Aは、制御装置50と同様のマイクロコンピュータを具備している。制御装置50AのROMには、制御装置50の前記ROMに予め記憶されているプログラムやデータに加え、紙種に対応したディレイDbの駆動開始時点の可変データ等が予め記憶されている。
【0104】
印刷装置の中でも取り分け孔版印刷装置においては、使用する紙種が多種に及んでおり、(1)更紙から上質紙まで、(2)のし紙や封筒、さらには(3)薄紙から厚紙まで対応している。これらの紙種の違いにより、レジストローラ対33a,33bでのスリップ量にはかなりのバラツキがあるため、紙種を無視して、遮光板106と給紙開始センサ104とが係合することによるオン出力信号に基づいて、レジストモータ102を同じようにスタートさせるだけでは、安定した用紙3の搬送を行うことができない。そこで、この参考例2では、前記した点に着目して、紙種に応じてレジストモータ102のスタートタイミングを変えるべく、参考例1における図10(a)のディレイDbの駆動開始時点を可変するレジスト駆動開始可変手段としての機能を制御装置50Aに付与したものである。
【0105】
参考例2の制御内容を簡明に説明すると以下のとおりである。例えば、紙種入力キー94を適宜押下することにより使用する紙種を設定し、制御装置50Aに入力することで、制御装置50Aがその紙種に応じてレジストモータ102のスタートタイミングを変えるべく、遮光板106と給紙開始センサ104とが係合することによるオン出力信号時点をトリガとして、前記ディレイDbの駆動開始時点を可変する制御を行う。例えば、(3)の用紙3を使用するときにおいては、制御装置50Aが、薄紙から厚紙へとその用紙3の厚さが厚くなるにしたがって、ディレイDbを大から小に可変するというように制御するのである。このようなことから、(1)更紙から上質紙、あるいは(2)のし紙や封筒を使用するときにおいても、例えば実験等によりその最適なディレイDbの範囲を設定することで、制御装置50AによりディレイDbを任意に可変して最適な制御を行うことが可能となる。
参考例3
図23に、参考例3を示す。この参考例3は、図23に示すように、参考例2と比較して、紙種入力キー94に代えて、用紙3の種類を自動的に検知するための用紙種類検知手段としての紙種検知センサ75を有すること、および制御装置50Aに代えて制御装置50Bを有することが主に相違する。
【0106】
紙種検知センサ75の具体例としては、例えば用紙3の厚さを検知するために光学的に透過光の強さを検出して判断するタイプや、メカニック的に紙厚を測定するためにローラ間のギャップを拡大して電気的センサで検知するタイプ等が挙げられる。この参考例3では、紙種に応じてレジストモータ102のスタートタイミングを変えるべく、ディレイDbの駆動開始時点を可変するレジスト駆動開始可変手段としての機能を制御装置50Bに付与したものである。参考例3の制御内容は、参考例2の内容により直ちに類推でき、かつ、容易に実施できるのでその説明を省略する。
【0107】
参考例2および3におけるディレイDbの設定方式には、時間による設定方式設定方式がある。参考例2および3においては、各制御装置50A,50Bをマイクロコンピュータで構成したので、そのマイクロコンピュータに内蔵されている前記タイマによりディレイDbを設定・計時することにより、ディレイDbを可変制御することができる。
参考例4
図7および図24に、参考例4を示す。
参考例4は、参考例1と比較して、参考例1の圧胴20に代えて、プレスローラ150を有すること、参考例1の制御装置50に代えて、図7および図24に示す制御装置50Cを有すること、および参考例1の排紙装置43に代えて、排紙装置43’を有することが主に相違する。
【0108】
プレスローラ150は、給紙装置29から給送されて来た用紙3を版胴1上の製版済みのマスタ2に押し付けることにより、画像形成部としてのニップ部を形成して印刷画像を用紙3に形成する押圧手段としての構成・機能を有する。プレスローラ150は、プレスローラブラケット151の一方の揺動端において回転自在に支持されていて、版胴1の外周面に接離自在に設けられている。版胴1に対するプレスローラ150の印圧は、プレスローラブラケット151の他方の揺動端側に張設されたプレスローラテンション153(引張バネ)によって加えられると共に、このプレスローラテンション153の付勢力によってプレスローラブラケット151の他方の揺動端は、扇状のプレスローラカム152の輪郭周面に圧接している。
プレスローラカム152は、メインモータ60を備えた駆動系によって版胴1の回転に合せて同期して回転されるようになっており、給紙装置29から用紙3が給送されないときには、その大径部をプレスローラブラケット151の他方の揺動端に対向させている。プレスローラカム152は、給紙装置29から用紙3が給送されてくると回転して、その小径部をプレスローラブラケット151の他方の揺動端に対向させ、プレスローラ150を図において時計回り方向に揺動させるようになっている。
【0109】
排紙装置43’は、排紙装置43と比較して、排紙爪44に代えて、分離爪155を有することのみ相違する。分離爪155は、版胴1の外周面に近接して印刷済みの用紙3を剥ぎ取る分離位置とこの分離位置から離間した非分離位置との間で変位自在になされている周知の構成を具備している。
【0110】
図24において、版胴1における図示しない奥側の端板の外側壁には、参考例1の圧胴20における遮光板105と遮光板106と類似の機能を有する2つの遮光板(図示せず)が版胴1の同周方向に所定の間隔をおいてそれぞれ取り付けられている。一方、版胴1近傍の装置本体側には、前記2つの遮光板が取り付けられている版胴1の同円周上に対向して参考例1の給紙開始センサ104と同様のものが取り付けられている。
【0111】
前記2つの遮光板のうちの一方の遮光板と給紙開始センサ104とは、版胴1が時計回り方向に回転した所定の回転位置で選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、レジストローラ対33a,33bに対して用紙3の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段としての機能を有する。 前記2つの遮光板のうちの他方の遮光板と給紙開始センサ104とは、版胴1が時計回り方向に回転した所定の回転位置で選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2の製版画像基準位置に向けて用紙3の先端の給送を開始するタイミングをとるためのレジストタイミング検知手段としての機能を有する。
【0112】
制御装置50Cは、参考例1の制御装置50における第1ないし第4の機能と略同様の機能を有する。但し、参考例1の制御装置50における第1ないし第3の機能のうちの、参考例1の遮光板105を前記一方の遮光板と、参考例1の遮光板106を前記他方の遮光板とそれぞれ言い換える他、参考例1の制御装置50における第4の機能において、用紙クランパ21のくわえ位置を画像形成部(版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2の製版画像基準位置に合わせてプレスローラ150の押圧によって形成されるニップ部)と言い換える。
上述した言い換えを行った後、第1のスリップ量補正および第2のスリップ量補正は、制御装置50Cにより、参考例1の制御装置50と同様になされる。そして、参考例4の動作は、参考例1で説明した動作に対して、図10(a)等において実施例的に説明した点を除き、上述した各相違内容をそれぞれ読み換えることで容易に実施できるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0113】
したがって、参考例4によれば、参考例1と同様の諸利点を得ることができる。また、押圧手段としてプレスローラ150を用いたことにより、印刷装置構成が小型化かつ簡素化されるため、用紙搬送方向Xに複数の版胴1およびプレスローラ150を併設して、小型化かつ安価な多色孔版印刷装置を構成しやすい。それ故に、このように構成した多色印刷装置において、先頭の版胴1およびプレスローラ150で多色印刷画像の位置合わせを高精度に行うことができるという利点もある。
参考例4に、参考例2または3の構成を付加して、参考例2または3の利点を得ることも勿論できる。
実施形態1
図7および図25ないし図27に、実施形態1を示す。
実施形態1は、参考例1と比較して、用紙クランパ21の中央部に梨地模様で示す光反射性の反射部材27を付設したこと、および参考例1の制御装置50に代えて、制御装置50Dを有することが主に相違する。
【0114】
図25および図24に示すように、用紙クランパ21の中央部におけるくわえ爪161の上面には、反射部材27が固設されている。反射部材27は、例えばアルミニウム製の薄板でできていて、例えば両面テープでくわえ爪161の上面に固定される。反射部材27は、用紙クランパ21のストッパ爪163の突き当て面と同一の位置を一辺とした平面視で矩形状をなしていて、図24に矢印で示すように、反射部材27における用紙搬送方向Xの上流側の端面位置がストッパ爪163の上部の折り曲げ稜線28と一致するようにくわえ爪161の上面に固定される。これにより、用紙通過センサ77が用紙クランパ21のストッパ爪163の突き当て面部の位置を正確に検出可能とした。
用紙通過センサ77は、図27に示すように、圧胴20における用紙クランパ21のくわえ位置と、レジストセンサ71を通過して給送されて来た用紙3の先端とを略同時に検知できる用紙搬送路R上の位置に配置されている。さらに詳しくは、用紙通過センサ77は、圧胴20のくわえ位置近傍の用紙搬送路R上の位置に配置されている。
【0115】
制御装置50Dは、参考例1の制御装置50の機能に加えて、用紙通過センサ77からの用紙クランパ21のくわえ位置に係る信号に基づいて、第2のスリップ量補正時に、用紙クランパ21のくわえ位置に係るデータを加味して、レジストモータ102を制御する機能を有する。
【0116】
次に、参考例1と相違する制御動作のみについて説明する。
図18に示すステップS15でレジストモータ102の駆動によりレジストローラ対33a,33bが用紙3の搬送を開始して、レジストセンサ71により用紙3の先端を検知することで、上述した第1のスリップ量補正が行われた後、図10(a)にEで示すように、また図19のステップS16’および図27に示すように、用紙通過センサ77の発光部から出射された光が用紙クランパ21の反射部材27上面で反射され、その反射光が用紙通過センサ77の受光部に入射することにより、用紙クランパ21におけるストッパ爪163の突き当て面部の通過が近づくことが検知される。
その後、前記反射光が切れた位置が用紙クランパ21の突き当て面部の位置となる。続いて、用紙通過センサ77に用紙3の先端が到達し、用紙クランパ21の突き当て面部、換言すれば用紙クランパ21のくわえ位置と用紙3の先端との正確な位置関係が明確となる。制御装置50Dは、用紙クランパ21の突き当て面部(用紙クランパ21のくわえ位置とは極近傍にあるため、換算して用紙クランパ21のくわえ位置ともみなせる)と用紙3の先端との正確な位置関係に関するデータと、先に述べた第2のスリップ量とを総合して、用紙通過センサ77以降のレジストモータ102の回転によるレジストローラ対33a,33bの用紙搬送速度を決定する。
【0117】
このように、実施形態1によれば、用紙クランパ21の位置を直接検知することで、従来例のようにパルスエンコーダのエンコーダにより間接的に検知していた用紙クランパ21の突き当て面部の位置(用紙クランパ21のくわえ位置とみなす)が、従来例のようなエンコーダから用紙クランパ21のくわえ位置までの部品精度のばらつきを含まず直接検知することができることにより、用紙3の先端と用紙クランパ21のくわえ位置とのより正確な位置関係を検知できるので、より高精度な用紙搬送速度の制御が可能となって、コスト的にも安価な孔版印刷装置を提供することができる。
実施形態1に、参考例2または3の構成を付加して、参考例2または3の利点を得ることも勿論できる。
【0118】
なお、参考例1ないし4および実施形態1においては、用紙通過検知手段としての1つの用紙通過センサ77を、用紙クランパ21のくわえ位置または画像形成部とレジストセンサ71との間の用紙搬送路Rに配置した場合の用紙搬送速度の制御について説明したが、これらに限定されず、さらに精度高く用紙3の先端を検知して、木目の細かい何段階ものスリップ量補正を望むのであれば、用紙通過検知手段を2つ以上配置して、より高精度で木目の細かい用紙搬送速度の制御を行ってもよい(請求項1参照)。
【0119】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態1等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態1等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、制御手段は、画像形成部または保持位置と用紙先端検知手段との間の用紙搬送路に少なくとも1つ配置された、用紙の先端を検知する用紙先端検知手段からの信号に基づいて、用紙の先端がレジスト手段から用紙先端検知手段に到達するときまでの第1の用紙の滑りを補償すべくレジスト駆動手段を制御した後、反射型フォトセンサからなる用紙通過検知手段からの信号に基づいて、用紙の先端が用紙先端検知手段から用紙通過検知手段に到達するときまでの、少なくとも第2の用紙の滑りを補償すべくレジスト駆動手段を制御し、かつ、反射型フォトセンサ(用紙通過検知手段)からの保持位置に係る信号に基づいて、少なくとも第2の用紙の滑りの補償のときに保持位置に係るデータを加味して、レジスト駆動手段を制御することにより、用紙の先端と保持位置との精度の高いより正確な位置関係データを加味して第2の用紙の滑りの補償を行うことができるので、用紙種類や環境条件の変化あるいは用紙搬送速度の変化によって発生するレジスト手段での用紙のスリップ量を確実に把握して、保持位置へ搬送する用紙の先端の給送タイミングの安定化を図ることができると共に、安価な印刷装置を提供することができる
【0122】
請求項記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、版胴または押圧手段側に配設された、画像形成部または保持手段に対して用紙の先端を給送するタイミングをとるためのレジストタイミング検知手段からの信号に基づいて、画像形成部または保持手段に対して用紙の先端を給送すべくレジスト駆動手段を制御するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらなる給送タイミングの安定化・信頼性の向上を図ることができる。
【0123】
請求項記載の発明によれば、レジストタイミング検知手段からのオン出力信号の出力開始時点と、レジスト駆動手段が駆動開始される駆動開始時点との間に遅れ時間を設け、レジスト駆動開始可変手段は、用紙の種類に応じて遅れ時間を変えるべく駆動開始時点を可変するので、請求項記載の発明の効果に加えて、様々な用紙に応じて安定した、画像形成部または保持手段への給送を実現することができる。
【0124】
請求項記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、レジスト駆動開始可変手段の機能を具備するので、請求項記載の発明の効果に加えて、制御の汎用性を高めることができる。
【0125】
請求項記載の発明によれば、用紙の種類を設定する用紙種類設定手段を具備するので、請求項3または4記載の発明の効果を奏すると共に、所望する用紙の種類を手動操作的に設定・入力することができる。
【0126】
請求項記載の発明によれば、用紙の種類を検知する用紙種類検知手段を具備するので、請求項3または4記載の発明の効果を奏すると共に、用紙の種類を自動的に検知することができて操作の煩雑さがない。
【0127】
請求項記載の発明によれば、給紙駆動制御手段は、レジスト手段に対して用紙の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段からの信号に基づいて、レジスト手段に対して用紙の先端を給送すべく給紙駆動手段を制御するので、前記各発明の効果に加えて、給紙タイミングの安定化・信頼性の向上を図ることができる。
【0128】
請求項記載の発明によれば、給紙駆動手段をパルス入力で駆動するモータで構成したので、請求項記載の発明の効果に加えて、例えば給紙ローラ等の給紙手段の回転方向を規制する機械式部品を不要として安価ですみ、給紙手段を駆動する駆動系を版胴と押圧手段(例えば圧胴やプレスローラ等)とを駆動するメインモータに対して独立させて駆動系の負荷を低減すると共に、メインモータのパワーをさらに小さくして安価にできる。
【0132】
請求項記載の発明によれば、用紙通過検知手段は、用紙のジャム検知機能を有するので、前記各発明の効果に加えて、用紙搬送検知機能の汎用化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。
【図2】 参考例1における圧胴の回転動作に伴う用紙クランパの回転位置および用紙搬送動作を表す概略的な正面図である。
【図3】 参考例1における圧胴の用紙クランパの要部を拡大して示す一断面正面図である。
【図4】 圧胴におけるクランプ装置周りの分解斜視図である。
【図5】 参考例1における版胴および圧胴の各回転位置を表す模式図である。
【図6】 参考例1等、実施形態1における操作パネルの要部の平面図である。
【図7】 参考例1、4および実施形態1における主として給紙制御構成を表すブロック図である。
【図8】 参考例1等、実施形態1におけるレジストセンサと用紙通過センサとの間、および用紙通過センサと用紙クランパのくわえ位置との間の各距離を表す模式図である。
【図9】 (a)は、参考例1等、実施形態1等の用紙搬送パターンを、(b)は、従来例の用紙搬送パターンをそれぞれ示すグラフである。
【図10】 (a)は、参考例1等、実施形態1等における給紙動作を表すタイミングチャートであり、(b)は、用紙先端センサ等の取付位置を、(c)は、レジストセンサ等の取付位置を示す概略的な正面図である。
【図11】 参考例1等、実施形態1における給紙ローラの起動時の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図12】 参考例1等、実施形態1におけるレジストローラ対と分離ローラとの間に用紙の湾曲たわみを形成する動作を表す要部の正面図である。
【図13】 参考例1等、実施形態1におけるレジストローラの起動時の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図14】 参考例1等、実施形態1におけるレジストローラの起動後、用紙の先端がレジストセンサに到達したときの用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図15】 参考例1等、実施形態1における用紙クランパへの用紙の先端の搬送動作を表す要部の正面図である。
【図16】 参考例1等、実施形態1における印刷初期時の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図17】 参考例1等、実施形態1における給紙動作を表すフローチャートである。
【図18】 図17の続きの給紙動作を表すフローチャートである。
【図19】 図18の続きの給紙動作を表すフローチャートである。
【図20】 参考例1等、実施形態1における第2のスリップ量補正を表すフローチャートである。
【図21】 図20の続きの第2のスリップ量補正を表すフローチャートである。
【図22】 参考例2における主として給紙制御構成を表すブロック図である。
【図23】 参考例3における主として給紙制御構成を表すブロック図である。
【図24】 参考例4を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。
【図25】 実施形態1を示す圧胴におけるクランプ装置周りの分解斜視図である。
【図26】 実施形態1の反射部材の取付位置を拡大して示す要部の斜視図である。
部の正面図である。
【図27】 実施形態1におけるレジストローラの起動後、用紙の先端がレジストセンサおよび用紙通過センサを通過したときの用紙通過センサによる反射部材との関係動作を表す要部の正面図である。
【符号の説明】
1 版胴
2 マスタ
3 用紙
20 押圧手段の一例としての圧胴
21 保持手段およびくわえ部材を構成する用紙クランパ
27 光反射性の表面を備えた反射部材
29 給紙装置
30 給紙手段を構成する給紙ローラ
32 給紙手段を構成する分離ローラ
34 給紙手段を構成する分離パッド
33a,33b レジスト手段としてのレジストローラ
0D 制御手段およびレジスト駆動制御手段としての制御装置
50A,50 ジスト駆動制御手段およびレジスト駆動開始可変手段としての制御装置
70 用紙先端センサ
71 用紙先端検知手段としてのレジストセンサ
75 用紙種類検知手段としての紙種検知センサ
77 用紙通過検知手段としての反射型フォトセンサからなる用紙通過センサ
94 用紙種類設定手段としての紙種入力キー
100 給紙駆動手段としての給紙モータ
102 レジスト駆動手段としてのレジストモータ
104 レジストタイミング検知手段および給紙タイミング検知手段としての給紙開始センサ
105 給紙タイミング検知手段を構成する遮光板
106 レジストタイミング検知手段を構成する遮光板
150 押圧手段の一例としてのプレスローラ
161 くわえ部材としてのくわえ爪
X 用紙搬送方向
R 用紙搬送路

Claims (9)

  1. 製版されたマスタを巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙を前記版胴に対して相対的に押し付けて画像形成部を形成する押圧手段と、該押圧手段に設けられ前記給送されて来た用紙の先端部を保持位置で保持する保持手段または前記画像形成部に向けて用紙の先端を送り出すレジスト手段と、前記レジスト手段を駆動するレジスト駆動手段と、前記画像形成部または前記保持位置と前記レジスト手段との間の用紙搬送路に配置され前記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段とを具備する印刷装置において、
    前記画像形成部または前記保持位置と前記用紙先端検知手段との間の前記用紙搬送路に少なくとも1つ配置された、前記用紙の先端を検知する用紙通過検知手段と、
    前記用紙先端検知手段からの信号に基づいて、前記用紙の先端が前記レジスト手段から前記用紙先端検知手段に到達するときまでの第1の用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御した後、前記用紙通過検知手段からの信号に基づいて、前記用紙の先端が前記用紙先端検知手段から前記用紙通過検知手段に到達するときまでの、少なくとも第2の用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御する制御手段とを有し、
    前記用紙通過検知手段は、前記用紙の先端と前記保持位置とを略同時に検知できる前記用紙搬送路に配置されており、
    前記保持手段は、光反射性の表面を備え、前記用紙の先端部をくわえる開閉自在なくわえ部材を有し、
    前記用紙通過検知手段は、前記くわえ部材からの反射光を受光することにより、前記保持位置を検知する反射型フォトセンサであり、
    前記制御手段は、前記反射型フォトセンサからの前記保持位置に係る信号に基づいて、前記少なくとも第2の用紙の滑りの補償のときに前記保持位置に係るデータを加味して、前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置において、
    前記版胴または前記押圧手段側に配設された、前記画像形成部または前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングをとるためのレジストタイミング検知手段と、
    前記レジストタイミング検知手段からの信号に基づいて、前記画像形成部または前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送すべく前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段とを有することを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2記載の印刷装置において、
    前記レジストタイミング検知手段からのオン出力信号の出力開始時点と、前記レジスト駆動手段が駆動開始される駆動開始時点との間に遅れ時間を設け、
    用紙の種類に応じて前記遅れ時間を変えるべく前記駆動開始時点を可変するレジスト駆動開始可変手段を具備することを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3記載の印刷装置において、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動開始可変手段の機能を具備することを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項3または4記載の印刷装置において、
    前記用紙の種類を設定する用紙種類設定手段を具備することを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項3または4記載の印刷装置において、
    前記用紙の種類を検知する用紙種類検知手段を具備することを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか一つに記載の印刷装置において、
    前記版胴または前記押圧手段側に配設された、前記レジスト手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段と、
    前記レジスト手段に向けて前記用紙の先端を給送する給紙手段と、
    前記給紙手段を駆動する給紙駆動手段と、
    前記給紙タイミング検知手段からの信号に基づいて、前記レジスト手段に対して前記用紙の先端を給送すべく前記給紙駆動手段を制御する給紙駆動制御手段とを有することを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項記載の印刷装置において、
    前記給紙駆動手段が、パルス入力で駆動するモータであることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項1ないしの何れか一つに記載の印刷装置において、
    前記用紙通過検知手段は、前記用紙のジャム検知機能を有することを特徴とする印刷装置。
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