JP4265829B2 - 印刷装置における給紙装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置における給紙装置に関し、さらに詳しくは、マスタを版胴に巻装し、用紙を圧胴または版胴で圧胴または版胴の何れか他方に押し付けて印刷を行う孔版印刷装置等の印刷装置における給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱デジタル式の孔版印刷機等の印刷装置において、製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する用紙クランパ(保持手段)を備え版胴の外径と略同径の圧胴(押圧手段)と、用紙クランパに向けて用紙の先端を送り出す一対のレジストローラ(レジスト手段)とを具備した印刷装置が知られている。このような印刷装置例としては、例えば本願出願人が提案した特願平10−48244号等を挙げることができる。
上記圧胴は、版胴の外周に設けられているマスタの先端部をくわえるマスタクランパとの干渉を避けるために自身の外周部の一部に設けられた凹部を有することで、版胴に対する印圧のオン/オフ時の移動量を小さくすることができるため、印圧音を小さくすることができ、ひいては孔版印刷装置の騒音の低減を図ることができるという特長をもっている。
【0003】
上記用紙クランパは、圧胴の上記凹部に配設されていて、開閉自在になされている。このような用紙クランパは、「くわえ爪」とも呼ばれていて、給送されて来た用紙の先端部を挾持・保持する(以下、「くわえる」もしくは「クランプ」と言い替えるときがある)機能を有し、後述するクランプ装置を構成している。この用紙クランパにより給送されて来た用紙の先端部をくわえながら回転する圧胴で搬送しその用紙を版胴に押し付けて印刷を行うことができる(版胴の外径と圧胴の外径とが略同径なので用紙を1枚ずつクランプして印刷することができる)ので、孔版印刷工程において、用紙の先端部が版胴に貼り付いたまま排紙爪もしくは剥離爪で剥離できずジャムになる、いわゆる「排紙(用紙)巻き上がり」を防止したり、用紙の給紙方向に対する印刷画像の位置精度(レジスト精度)の向上を図ったりすることができる。
【0004】
一方、上記版胴と、給送されて来た用紙を版胴上のマスタに押し付けるプレスローラ(押圧手段)と、版胴とプレスローラとの間に形成される印刷部(ニップ部)に向けて用紙の先端を送り出す一対のレジストローラと、圧胴の下方に設けられレジストローラ対に向けて給紙するバンク給紙部とを具備した印刷装置が知られている。このような印刷装置例としては、例えば特開平6−40137号公報等を挙げることができる。
前者の上記特願平10−48244号や後者の印刷装置における給紙装置では、オペレータ等が装置の前面に対向して位置する姿勢でバンク給紙部の給紙トレイを引き出し押し込んで用紙の補充・補給等の操作を行えるフロントローディング方式を用いている。
【0005】
以下、図12、図38ないし図43を参照して、圧胴におけるクランプ装置の用紙クランパによる用紙のクランプおよび用紙搬送動作時の問題を説明する。
例えば、図12に示すような孔版印刷装置においては、その孔版印刷装置の騒音の低減および用紙Pのレジスト精度等を向上する目的で押圧手段として用紙クランパ21を備えた圧胴20、いわゆる「紙くわえ圧胴方式」が用いられる。圧胴20は、図12に示されているように、その外径寸法D(直径)を版胴1の外径寸法D(直径)と等しく形成されていて、版胴1が1回転したとき、圧胴20も1回転する。このため、同図に示すように、給送されて来た用紙Pの先端部をクランプする用紙クランパ21を圧胴20上に設けることができ、用紙Pの先端を用紙クランパ21に突き当てながら給送することで、用紙Pのレジスト精度を向上することができる。
【0006】
図38ないし図40に示すように、クランプ装置160は、給送されて来た用紙Pの先端部をクランプする開閉自在な用紙クランパ21と、用紙クランパ21の基端部をネジで固定し圧胴20の外周の一母線方向に延びた用紙クランパ軸21aと、用紙クランパ21を開閉駆動するための図示しないカムに係合するカムフォロア167と、用紙クランパ軸21aとカムフォロア167との間に固設され上記カムの動きを用紙クランパ21に伝えるアーム169と、凹部20aに固設され用紙クランパ軸21aの両端部を所定角度回動自在に支持するベース165と、用紙クランパ21を閉じる位置にその磁力で保持するマグネット164と、用紙クランパ21を閉じる向きに付勢する引張りスプリング168とから主に構成されている。
用紙クランパ21は、例えばステンレス鋼等の強磁性体からできていて、用紙Pの先端部をクランプする用紙爪161と、この用紙爪161でクランプされて排紙爪81の位置に来たとき圧胴20より印刷された用紙Pを剥す剥離爪162と、給送されて来た用紙Pの先端に当接して用紙Pの先端の位置決めをするストッパ爪163とからなり、板金の切り曲げ加工によって一体成形されている。
【0007】
マグネット164は、ベース165の上部に固設されていて、その磁力によって用紙爪161によりクランプされた用紙Pの先端部を閉じ位置に保持する。ベース165には、開閉揺動動作する用紙クランパ21における用紙爪161、ストッパ爪163および剥離爪162が干渉しないように切欠部164aが複数箇所形成されている。引張りスプリング168は、アーム169のカムフォロア167寄りの部位と圧胴20の端板20bに植設されたピン20cとの間に配設されている。用紙クランパ21は、上記カムのカム曲線により開閉するが、閉じるときは引張りスプリング168の付勢力によって閉じられる。
【0008】
上記したクランプ装置160の構造により、用紙クランパ21は、上記カムの動きに合わせ用紙クランパ軸21aを支点として揺動・開閉する。そして、用紙クランパ21は、上記カムによってレジストローラ対33a,33bから送られて来た用紙Pの先端部をクランプすべく所定のタイミング、例えば図12に▲1▼で示す圧胴20における用紙クランパ21の回転位置(以下、「用紙くわえ位置」もしくは「クランプ角度」というときがある)で開き、用紙Pの先端を用紙クランパ21のストッパ爪163に突き当てた後、用紙Pの先端部が用紙クランパ21の用紙爪161によりクランプされ、用紙Pの先端が図38ないし図41に示されている上下一対のガイド板38,40の下流端を出た後、所定のタイミングで用紙クランパ21が閉じる。
次いで、圧胴20は用紙Pを圧胴20の外周面に保持したまま回転し、図12に▲2▼で示す回転位置近傍に至ると、用紙Pの先端部が版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送され、用紙Pの先端がマスタ2および用紙Pを介して版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧して形成されるニップ部(以下、このニップ部が形成され始めるときの圧胴20の回転位置を「印圧位置」もしくは「印圧角度」というときがある)を通過した後、図12に▲3▼で示す回転位置(以下、「用紙排出位置」というときがある)である排紙爪81に至る直前の位置で再び用紙クランパ21が開き、印刷された用紙Pを排紙部80の排紙搬送装置へ送るように開閉動作するようになっている。
【0009】
このように、圧胴20における用紙クランパ21の回転位置が、▲1▼→▲2▼→▲3▼へと順次推移することで、インキが用紙Pに転写される▲2▼の回転位置よりすぎた位置で用紙Pの先端部が排出されるので、用紙Pがインキの粘着力により版胴1に巻き上がらない。このような圧胴20の回転位置における用紙クランパ21の用紙くわえ位置の開閉タイミング位置は、後述する用紙クランパ21による用紙Pの先端部のクランプミスを防止し、かつ、上記ニップ部近傍における版胴1の外周面との干渉等を防止するために、できるだけガイド板対38,40の下流端に近くなるように設定される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、圧胴20が用紙Pを圧胴20の外周面に保持したまま回転した場合、以下の様な諸不具合や問題点が生じてしまう。
図38において、符号ALは用紙先端余白長さを示し、この用紙先端余白長さALは、版胴1の外周面と圧胴20の外周面とのニップ部Nにおける加圧点C1からストッパ爪163までの距離であり、これはまた図42に示すように、印刷された用紙Pにおける用紙搬送方向X(横給紙方向Xでもある)の用紙Pの先端から印刷画像Gが形成された印刷画像位置先端までの長さにも相当する。
用紙クランパ21は、用紙先端余白長さALを極力小さくするために、用紙爪161の先端を加圧点C1ぎりぎりまで近付けてレイアウト設計されていて、用紙の先端部の数mm(大体2〜5mm)ほどの部位をクランプするようになっている場合、用紙Pの先端が用紙クランパ21のストッパ爪163に突き当たり衝突(以下、単に「用紙クランパ21に当接」というときがある)する際の用紙搬送速度vpが圧胴20の周速度vaよりも遅いときには、用紙クランパ21にクランプされるべき用紙Pの先端部が、版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧される前に用紙クランパ21から抜けたり(以下、このような不具合現象を「クランプ抜け」というときがある)、ストッパ爪163と用紙Pの先端との間に隙間を生じてストッパ爪163に対する用紙Pの先端位置がずれたりしてしまう。
【0011】
用紙Pの先端部が上記したようにして用紙クランパ21から完全に抜けてクランプされないとき、用紙Pの先端部が版胴1の外周面に貼り付いたまま排紙爪81もしくは剥離爪81で剥離できず、上記した「排紙(用紙)巻き上がり」と呼ばれるジャムとなったり、また、用紙Pの先端部が用紙クランパ21から完全に抜けなくても、ストッパ爪163に対する用紙Pの先端位置がずれたときには、印刷された用紙Pにおける用紙搬送方向Xに対する印刷画像Gの位置制度(レジスト精度)が悪化したりする不具合となる。
【0012】
上述の不具合を解消するため、現実的には後述するように、用紙Pの先端が用紙クランパ21のストッパ爪163に当接する際の用紙搬送速度vpを圧胴20の周速度vaよりも速くなるように設定することにより、例えば図39および図43(a),(b)に示すように、用紙クランパ21による用紙Pの先端部の保持部近傍にたわみPB’を生成させて、用紙クランパ21から用紙Pの先端部が抜けるような力が働かない用紙搬送速度制御方式(vp>va)が採用される。
【0013】
ここで、レジストローラ対33a,33bのうちのレジストローラ33bは駆動ローラであり、レジストローラ33bにはステッピングモータからなるレジストモータ58が連結されていて、このレジストモータ58によりレジストローラ33bが回転駆動されるものとする。図43(a)には孔版印刷装置本体側(以下、単に「本体側」という)の給紙部(例えば図1および図2に示されている補助給紙部28参照)から給紙された場合の本体側給紙時の用紙搬送速度vp(mm/s)の速度線図が、図43(b)にはバンク側の給紙部(例えば図1および図2に示されているバンク給紙部200参照)から給紙された場合のバンク側給紙時の用紙搬送速度vp(mm/s)の速度線図がそれぞれ表されている。図43(a),(b)において、縦軸にはレジストモータ58の回転速度f(pps)に対応して換算されるレジストローラ33bの用紙搬送速度vp(mm/s)が、横軸には圧胴20の回転位置(θ’)がそれぞれ取られていて、縦軸のvaの値は圧胴20の周速度(mm/s)を表している。
【0014】
上記した用紙搬送速度制御方式(vp>va)における本体側給紙時では、レジストモータ58の回転速度f(pps)に対応したレジストローラ33bの用紙搬送速度vp=1.4×vaの範囲における圧胴20の回転位置(θ’)においてたわみPB’が形成され、同様にバンク側給紙時では、レジストモータ58の回転速度f(pps)に対応したレジストローラ33bの用紙搬送速度vp=1.36×vaの範囲における圧胴20の回転位置(θ’)においてたわみPB’が形成される。そして、図43(a),(b)に示されているように、圧胴20の回転位置にそれぞれ対応した「クランプ角度」で用紙クランパ21が閉じ、「印圧角度」で印圧がオンするが、レジストローラ対33a,33bで用紙Pの先端を用紙クランパ21に当接させクランプさせるように送った後も、用紙PのたわみPB’が消滅しないように用紙搬送速度vpを上記した用紙搬送速度vp=1.4×vaの範囲に保っていた。
【0015】
このような用紙搬送速度制御方式(vp>va)を採用した場合、図39に示すように、用紙Pの先端部近傍のたわみPB’形成部分が過大であると、ニップ部Nで押圧される印圧オンの前に、版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2に接触することがあり、用紙PのたわみPB’形成部分が製版済みのマスタ2から滲み出たインキで汚れてしまう問題点となる。
【0016】
一方、用紙先端余白長さALを小さくしようとすると、用紙爪161の先端D1が圧胴20の外径寸法Dから外側へ突出して版胴1の外周面に巻かれた製版済みのマスタ2に接触し、用紙爪161の先端D1が毎回転ごとに同じ部位の製版済みのマスタ2に当たるために、当該部位の製版済みのマスタ2が破れてしまう。このようにして製版済みのマスタ2が破れると、版胴1の外周面に供給されたインキが当該部位の破れからはみ出すことになる。そして、このはみ出したインキが用紙爪161を汚すことで、用紙Pの先端部を汚してしまう不具合になるので、用紙クランパ21の用紙爪161の先端D1が版胴1上の製版済みのマスタ2に当たるのを防止するために、用紙クランパ21は、用紙爪161の先端D1が外径寸法D内に入るように、圧胴20の中心側に傾けられて配設され、これにより用紙Pの先端部を圧胴20に巻き付く内側の方へ若干曲げてクランプするようなレイアウト構造となっている。
【0017】
このような用紙クランパ21の構造により、用紙Pの先端部が圧胴20の内側の方へ曲げられてクランプされると、以下のような問題点を生じる。
図38に示すように、用紙搬送速度vpと圧胴20の周速度vaとの関係が、vp≦vaのときには、用紙クランパ21により用紙Pの先端部が圧胴20の内側の方へ若干曲げられてクランプされていても、用紙Pは圧胴20の外周面に保持されて、版胴1の外周面と圧胴20の外周面とのニップ部N手前までは搬送される。
ところが、上述した事情から、用紙搬送速度vpと圧胴20の周速度vaとはvp>vaという関係、すなわち上記した用紙搬送速度制御方式(vp>va)の関係にあるので、用紙Pの先端部が圧胴20の内側の方へ若干曲げられてクランプされていると、図39に示すように、用紙Pの先端部近傍が加圧点C1を始点として版胴1の外周面寄りに撓んだたわみPB’を形成する。ここで、図43(a),(b)において説明したようなレジストモータ58の回転速度に対応したレジストローラ33bの一定の用紙搬送速度vp(図43(a)ではvp=1.4×va、図43(b)ではvp=1.36×va)で用紙Pが送られていると、圧胴20の回転位置が進むにつれて上記たわみPB’量が増大することとなり、このような増大した過大なたわみPB’を形成されニップ部Nに至る前の用紙Pの先端部近傍部分が、ニップ部Nで押圧される前に、版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2と接触した時に、インキが製版済みのマスタ2の穿孔部分から用紙Pの表面に転移してしまう。
ストッパ爪163との当接点における用紙Pの先端から用紙PのたわみPB’が製版済みのマスタ2と接触した点までの用紙搬送方向Xの用紙P上の長さは、用紙Pの先端部近傍にたわみPB’が形成されている場合ではたわみPB’を形成せずに圧胴20の外周面に保持されて搬送された場合よりも若干長くなるので、用紙Pがニップ部Nで押圧されてその正常な位置にインキが転移して形成された印刷画像の後側(用紙搬送方向Xの上流側)に、上記したようにたわみPB’を形成された用紙Pの先端部近傍部分が版胴1の外周面上の製版済みのマスタ2と接触した時にできたインキ汚れが生じる(以下、この不具合現象を「画像ダブリ」というときがある)という問題が発生する。
【0018】
図41に示すクランプ装置160’は、例えば画用紙や厚紙(上質135kg以上)あるいはハガキなどの厚手の用紙P’を用紙クランパ21でクランプした場合でも、用紙爪161の先端D1が版胴1上の製版済みのマスタ2に接触しないように、用紙クランパ21を図39のレイアウトよりもさらに圧胴20の外径寸法Dの内側へ入り込むようにレイアウトしたものである。なお、用紙クランパ21と加圧点C1との位置関係は誇張して図示している。このようにした場合では、用紙クランパ21のマグネット164の上面と加圧点C1との間に段差が生じるので、厚手の用紙P’の腰のために加圧点C1を始点としてたわみPB’が形成され、図39を参照して説明したと同様の画像ダブリを生じる。
【0019】
したがって、本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、用紙の先端部を保持手段(用紙クランパ)により保持(クランプ)しながら搬送印刷する時に、用紙クランパから用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることがないと共に、たわみが過大となって画像ダブリ等の不具合を生じない適正かつ最小のたわみを形成できるような改良された用紙搬送速度制御方式を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、その後、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記用紙の先端が前記保持手段に当接・保持されてから前記版胴の外周面と前記圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の直前から前記印圧開始以降では、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記用紙の先端が前記保持手段に当接・保持されてから前記版胴の外周面と前記圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の直前では、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の後では、前記レジスト手段が再び略第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする。
【0023】
ここで、請求項1ないし3記載の発明等の「版胴の外径と略同径の圧胴」とは、版胴の外径寸法が圧胴の外径寸法と同じであるものの他、設計上の寸法公差範囲内にある場合も含む。
請求項1ないし記載の発明等は、「版胴に対して圧胴を相対的に押し付けて印刷を行う」方式であり、版胴に対して圧胴を押し付けて印刷を行う圧胴接離方式と、圧胴に対して版胴を押し付けて印刷を行う版胴接離方式と、それらの併用方式とがある。圧胴接離方式の具体例としては、後述する発明の実施の形態における圧胴およびその接離手段が挙げられる。一方、版胴接離方式には、版胴が圧胴側へ移動(版胴内部のインキローラが圧胴側へ突出するタイプも含む)して印刷を行う周知のものが挙げられる。
また、請求項1ないし3記載の発明等の「レジスト駆動制御手段」の具体例としては、マイクロコンピュータやマイクロプロセッサ等が好ましく用いられる。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の印刷装置における給紙装置において、前記印刷装置側に設けられ前記レジスト手段に向けて給紙する補助給紙部と、前記補助給紙部とは別に設けられ前記レジスト手段に向けて給紙するバンク給紙部とを具備し、前記レジスト駆動制御手段は、前記補助給紙部からの給紙のときの第1の用紙搬送速度を前記バンク給紙部からの給紙のときのそれよりも大きくするように前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項1,2,3または4記載の印刷装置における給紙装置において、用紙の種類に応じて第2の用紙搬送速度を変える用紙搬送速度可変手段を具備することを特徴とする。
請求項5記載の発明においては、前記用紙の種類を設定する用紙種類設定手段または前記用紙の種類を検知する用紙種類検知手段を具備する。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1,2,3または4記載の印刷装置における給紙装置において、印刷速度に応じて第2の用紙搬送速度を変える用紙搬送速度可変手段を具備することを特徴とする。
請求項6記載の発明においては、前記版胴は、複数の印刷速度に対応してその回転速度が可変であり、前記複数の印刷速度のうちの設定印刷速度に対応して前記版胴を回転するように印刷速度を設定する印刷速度設定手段を具備する。印刷速度設定手段の具体例としては、操作パネル等に配設される印刷速度設定キー等がある。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の印刷装置における給紙装置において、前記レジスト駆動制御手段は、前記用紙搬送速度可変手段の機能を具備することを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の印刷装置における給紙装置において、前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングを制御するための、前記圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するエンコーダセンサを備えたパルスエンコーダと、前記圧胴と前記レジスト手段との間の給紙路に配設され、前記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段とを具備し、前記レジスト駆動制御手段は、前記各制御に加えて、前記用紙先端検知手段からの信号に基づき、前記レジスト手段における前記用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御した後、前記エンコーダセンサからの出力パルス信号に基づき、前記保持手段の回転位置にタイミングを合わせて前記用紙の先端を給送すべく前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする。
ここで、「パルスエンコーダ」としては、回転速度変動の検出が可能な相対的な回転量を検出するインクリメンタル型と、回転速度変動の検出と位置の検出とが可能な絶対的な回転量を検出するアブソリュート型とがある。請求項8記載の発明のパルスエンコーダは、圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するので、インクリメンタル型およびアブソリュート型の両方を含む。また、パルスエンコーダとしては、その検出性能の安定化および信頼性を上げるという点からはフォトエンコーダが好ましいが、これを望まなくてもよいのであれば磁気式エンコーダ等であってもよい。前記パルスエンコーダは、圧胴側に配設することがより好ましく、前記パルスエンコーダは、圧胴と同期回転される版胴を回転駆動するメインモータや版胴側に配設してもよい。なお、この場合の「圧胴側」とは、圧胴接離方式にあっては、圧胴自体もしくは版胴に対しての圧胴の変位動作と共に実質的に同期して変位する部材も含む圧胴の側をいう。また、版胴接離方式にあっては、圧胴自体もしくは圧胴近傍の装置本体側をも含む圧胴側をいう。
用紙先端検知手段の具体例としては、必要な検知動作の安定化を図れ、安価であるという点から反射型の光学センサが好ましく用いられ、さらなる検知動作の安定化および信頼性向上(誤動作の防止)という点からは透過型の光学センサ(フォトインタラプタ型のフォトセンサ)および遮光部材を用いてもよい。また、検知動作の安定化および信頼性をそれ程望まなくてもよいのであれば、機械的接点を有するマイクロスイッチ等を用いてもよい。
【0029】
請求項9記載の発明では、請求項8記載の印刷装置における給紙装置において、前記レジスト駆動手段が、ステッピングモータからなり、前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動手段へ出力される少なくとも駆動パルス数を変えることにより前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の発明では、請求項9記載の印刷装置における給紙装置において、前記レジスト駆動制御手段は、前記用紙の滑り補償後、前記エンコーダセンサからの出力パルス信号に応じながら、さらに前記パルス幅を変えることにより、前記レジスト駆動手段をフィードバック制御することを特徴とする。
【0031】
請求項11記載の発明では、請求項9記載の印刷装置における給紙装置において、前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動手段を起動させるための前記エンコーダセンサの出力パルス信号の出力開始時点からの出力パルス数と、前記用紙先端検知手段により用紙の先端が検知されたときから前記ステッピングモータに供給された駆動パルス数とから、前記たわみの量を認識することを特徴とする。
【0032】
なお、後述する発明の実施の形態では、次のような新規な構成を含む技術構成を採用しているので、ここに記載しておく。すなわち、第1の技術構成は、請求項1ないし11の何れかに記載の印刷装置における給紙装置において、前記保持手段に対して前記レジスト手段による前記用紙の先端を給送するタイミングをとるためのタイミング検知手段を前記圧胴側に配設したことを特徴とする。
タイミング検知手段の具体例としては、検知動作の安定化および信頼性向上(誤動作の防止)という点からは透過型の光学センサ(フォトインタラプタ型のフォトセンサ)および遮光部材が好ましく用いられ、必要な検知動作の安定化を図れ、安価であるという点から反射型の光学センサ等を用いてもよい。また、検知動作の安定化および信頼性をそれ程望まなくてもよいのであれば、機械的接点を有するマイクロスイッチ等を用いてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。上述した従来の技術例および各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない部材や構成部品は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。また、図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき部材や構成部品であっても、その図において特別に説明する必要がない部材や構成部品は適宜断わりなく省略することがある。
【0034】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態(以下、単に「実施形態1」という)について説明する。図1において、符号100は、印刷装置の一例としての孔版印刷装置を示す。符号200は、孔版印刷装置100の下方に孔版印刷装置100側の後述する補助給紙部とは別に設けられたバンク給紙部を示す。符号100Aは孔版印刷装置100側の骨組みをなす本体フレームを、符号200Aはバンク給紙部200側の骨組みをなすバンク本体フレームをそれぞれ示す。以下、孔版印刷装置100およびバンク給紙部200の構成を順次説明する。
【0035】
孔版印刷装置100は、図1および図2に示すように、製版されたマスタ2を外周面に巻き付ける円筒状の版胴1と、版胴1の左側に配設され既に版胴1に巻装されている使用済みのマスタ2を版胴1の外周面から剥離し収納する排版部18と、版胴1の右方に配設されマスタ2を製版し搬送する製版書込み部19と、排版部18、版胴1および製版書込み部19の上方に配設され原稿の画像を読み取る原稿読み取り部3と、版胴1の内部に配設され版胴1上のマスタ2にインキを供給するインキ供給装置22と、版胴1の下方に配設され給送されて来た用紙Pの先端部を挾持・保持する保持手段としての用紙クランパ21を備え、版胴1の外周面上のマスタ2に用紙Pを押し付ける圧胴20と、圧胴20の右方に配設され用紙Pの先端をレジスト手段としてのレジストローラ対33a,33bに向けて給送する、本発明における複数の給紙部の一つとしての補助給紙部28を含む給紙装置と、圧胴20の左方に配設された排紙部80とを具備している。
【0036】
版胴1は、図1、図2、図9および図12等に示すように、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、支軸11の周りに回転可能に支持されている。版胴1は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なようにメインモータ150を含む版胴1の駆動系を介して回転される。このメインモータ150は、例えばDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので従来のメインモータよりも小型化されている。
【0037】
図2において、メインモータ150の出力軸150aには、エンコーダ151が取り付けられている。エンコーダ151は、インクリメンタル型のフォトロータリエンコーダからなる。エンコーダ151近傍の本体フレーム100A側には、エンコーダ151を所定の間隔をもって挾み付ける発光部および受光部を具備した透過型の光学センサからなるエンコーダセンサ152が配設されている。メインモータ150の回転駆動によるエンコーダ151の回転動作に協働して発生された所定のパルスをエンコーダセンサ152で検出することにより、版胴1の回転速度が検出されるようになっている。これにより、メインモータ150を介して版胴1の回転速度の制御がなされるようになっている。
【0038】
版胴1の外周面には、製版書込み部19で穿孔・製版されたマスタ2の先端部を挾持するマスタクランパ12が配置されている。マスタクランパ12は、支持円筒体の外周面の母線に沿って設けられた強磁性体よりなるステージ(図示せず)に対向し、マスタクランパ軸12aを介して回動可能に支持されていて、上記ステージと対向する面に磁石を貼着されて構成されている。マスタクランパ12は、版胴1が所定の回転位置を占めたときに、開閉装置(図示せず)により駆動力を伝達されて開閉される。
版胴1における図9に示す奥側の端板1aに対向した本体フレーム100A側の所定位置には、版胴1aが図13(a)に示すホームポジション(同図にH・Pの略称を付してある)を占めたときに、そのホームポジションを検知するためのホームポジションセンサ72が設けられている。ホームポジションセンサ72は、発光部および受光部を具備した透過型の光学センサからなる。版胴1の奥側の端板1aには、ホームポジションセンサ72と選択的に係合する遮光板73が外側に突出して設けられている。
【0039】
製版書込み部19は、図2に示すように、芯管10aにロール状に巻かれて形成されたマスタロール10からマスタ2を繰り出し可能に支持する支持軸10bと、マスタ2を搬送するプラテンローラ9と、プラテンローラ9に対して接離自在に設けられたサーマルヘッド17と、プラテンローラ9の下流側に設けられ、マスタ2を切断する上下一対のカッタ部材4と、マスタ2の先端をマスタクランパ12へ向けて送り出す給版ローラ対5a,5bとから主に構成されている。
【0040】
プラテンローラ9は、その軸を回転自在に支持されており、パルスモータ6により所定の周速度で回転駆動され、マスタ2をサーマルヘッド17に押圧しながら搬送する。
サーマルヘッド17は、マスタ2の幅方向に1列に配列された複数の発熱素子を有し、周知の接離機構(図示せず)によって、プラテンローラ9に接離自在に設けられている。サーマルヘッド17は、原稿読み取り部3のA/D変換部および製版制御部(図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づきマスタ2を選択的に加熱穿孔し、穿孔画像を形成する機能を有する。
上方のカッタ部材4は、カッタ駆動モータ7で回転される偏心カム8により上下動され、マスタ2を切断する。
【0041】
インキ供給装置22は、図2に示すように、版胴1と同方向に同期して回転し、版胴1の内周面にインキを供給するインキローラ13と、インキローラ13と僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキローラ13との間にインキ溜り16を形成するドクターローラ15と、インキ溜り16へインキを供給するパイプ状をなす支軸11とを有している。インキローラ13、ドクターローラ15は、支軸11に固定された側板手前・奥にそれぞれ回転自在に支持されている。インキ溜り16からインキローラ13の外周面に供給されたインキは、版胴1とインキローラ13の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴1の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプにより圧送され、支軸11の供給穴よりインキ溜り16へ供給される。
【0042】
本実施形態1では、図12に示すように、用紙Pに対する印刷レジスト精度の向上、画像濃度の安定および印刷時の静音化を図る目的で押圧手段として用紙クランパ21を備えた圧胴20を用いている。圧胴20の大きさは、実施例的にいうと外径寸法D=180mm、その長さ300mmのものを採用している。
なお、押圧手段は、上記した圧胴20を用いる利点を望まなくてもよいのであればこれに限らず、保持手段としての用紙クランパ21を備えていない圧胴や、版胴1の下方近傍において、マスタ2を介して版胴1に接離自在な版胴1よりも小さなプレスローラ等であっても構わない。
【0043】
圧胴20の両端部の端板20bは、図2、図7および図8等に示すように、圧胴軸23に固定支持されている。圧胴20の両端板20bの外側には、図7および図11に示すように、軸受支持部25cおよびベアリングからなるカムフォロア27をそれぞれ有する一対のアーム25a,25bが配設されている。これらのアーム対25a、25bには、圧胴軸23が圧胴軸23の両端部に装着された軸受23Aを介してそれぞれ回転可能に支持されている。これにより、圧胴20は、その圧胴軸23の両端部が各軸受23Aを介して軸受支持部25cにそれぞれ回転可能に支持されていることにより、回転自在となっている。アーム対25a,25bの一方のアーム25aの一端は、装置本体に配設された一対の片方の本体側板手前(図示せず)に固定された支点軸24aに軸受(図示せず)を介して支持されており、他方のアーム25bの一端は、他方の本体側板奥に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持された支点軸24bにより支持されている。両支点軸24a,24bは、アーム対25a,25bに対して同軸上に配設されている。
【0044】
他方のアーム25bに回転可能に支持された支点軸24bの内側端部側には、圧胴20に回転を伝える駆動ギア(図示せず)が固定されていて、アーム25b側の圧胴軸23には上記駆動ギアに噛み合う圧胴ギア(図示せず)が固定されている。支点軸24bの外側端部側には、版胴1の回転力を伝える歯付の圧胴側プーリ(図示せず)が固定されていて、この圧胴側プーリと版胴1の奥側の端板1aに取付けられた歯付の版胴側プーリとの間には、歯付ベルト(図示せず)が巻き掛けられている。一方、版胴1の奥側の端板1aには、上記版胴側プーリと同軸的に別のプーリが取付けられている。これにより、メインモータ150の回転力が歯付ベルトを介して上記別のプーリに伝達され、順次、上記版胴側プーリ、上記歯付ベルト、上記圧胴側プーリ、上記駆動ギヤ、上記圧胴ギヤと伝達されることによって、圧胴20は、版胴1との押圧位置が同じとなるように、かつ、版胴1の周速度と同じ周速度で反時計回り方向に回転される。
【0045】
圧胴20の外周部には、版胴1の外周面に接触する円筒部と、版胴1におけるマスタクランパ12との衝突を避けるためにD字状にくぼんだ凹部20aとが形成されている。圧胴20は実施例的にいうと、その本体部分には合成樹脂が使用されていて軽量化を図っていると共に、上記円筒部の外周にはニトリルゴムが巻着されていて圧胴20の回転ムラを低減している。
圧胴20の凹部20aには、用紙Pの先端部を挾持・保持する用紙クランパ21が設けられている。用紙クランパ21にはマグネットを用いたクランプ方式が採用されていると共に、用紙クランパ21およびその周りの構造は、従来の技術で説明した図38ないし図40に示したと同様のものを具備している。
用紙Pが普通紙や薄紙等の場合には、用紙クランパ21によりその用紙Pの先端から約2mm位までの用紙Pの先端部がくわえられることによって、用紙Pが圧胴20の外周面上に保持される。一方、用紙Pが厚紙等の場合には、クランプ時における用紙Pの腰の強さが大きいことに伴うクランプ反力によって用紙クランパ21が完全に閉じられずに、その用紙クランパ21の先端部が版胴1の外周面上のマスタ2や上記メッシュスクリーンに当たってインキが飛び散ったりすることを防止するために、用紙Pの先端部をくわえないで用紙Pを回転搬送するように制御される。
【0046】
圧胴20は、後述する接離手段により、版胴1の外周面に対して接離自在に構成されている。接離手段は、支点軸24a、24bを中心として圧胴20を搖動するアーム対25a,25bと、アーム対25a,25bの他端にそれぞれ回転自在に支持されたベアリングからなる一対のカムフォロア27,27と、アーム対25a,25bを版胴1に向けて付勢する一対の印圧スプリング26a,26bと、一対のカムフォロア27,27に選択的にそれぞれ当接する一対のカム(図示せず)とから主に構成される。
上記一対のカムは、図示を省略した歯付ベルトで版胴1とメインモータ150とに連結されていて、版胴1の回転と同期して回転するようになされている。上記一対のカムは、版胴1におけるマスタクランパ12配設部位を除く所定の印刷開孔領域に対して圧胴20における凹部20aを除く外周部が押圧するように、その輪郭周面が一対のカムフォロア27,27に摺接するように形成されている。 用紙Pの搬送ミス時や製版時においては、圧胴20側の装置本体に配設された圧解除ソレノイド(図示せず)等を具備した印圧解除機構の作動によって、上記一対のカムと一対のカムフォロア27,27とが摺接しないように印圧解除をすることで、版胴1と圧胴20とが押圧されずに圧胴20が版胴1から離間するようになされており、搬送ミス等がない時に用紙Pを保持した圧胴20が一対の印圧スプリング26a,26bにより版胴1の外周面に押圧されるようになっている。上記のとおり、圧胴20は、上記印圧解除機構の作動および上記一対のカムの回転動作によって、支点軸24a、24bを中心として、版胴1に押圧した位置と、版胴1から離間した位置とに接離される。
【0047】
印圧スプリング26a,26bは、圧胴20を版胴1に押圧する印圧力を発生させている。圧胴20の版胴1に対する押圧力を均一に働かせるために、圧胴20の両端にあるアーム対25a,25bの1つ1つに印圧スプリング26a,26bをそれぞれ取り付けてある。
なお、上記したメインモータ150を備えた駆動系および上記接離手段等の詳細構成は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同じものを用いている。
【0048】
圧胴20の左側近傍には、排紙部80が配置されている。排紙部80は、排紙爪81と、排紙爪81で剥離・案内された用紙Pを搬送する、搬送ローラ前83と搬送ローラ後84との間に張設された搬送ベルト85と、吸引ファン(図示せず)とから構成されている。搬送ベルト85は、モータ等により版胴1の周速度よりも速い搬送速度で駆動されるように設定されている。排紙部80の左側には、排出された用紙Pを積載する排紙台82が設けられている。
【0049】
圧胴20の右方には、補助給紙部28を含む給紙装置が配置されている。この給紙装置は、図1ないし図4等に示すように、用紙Pの先端部にたわみを形成した後、版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に形成される印刷部に向けて用紙Pの先端を送り出すレジスト手段としての上下一対のレジストローラ33a,33bと、このレジストローラ対33a,33bに向けて給紙する補助給紙部28と、レジストローラ対33a,33bとバンク給紙部200との間の縦給紙路RZに設けられバンク給紙部200から給送された用紙Pの先端をレジストローラ対33a,33bに向けて送り出し、レジストローラ対33a,33bに当接させてたわみを形成する用紙搬送手段としての一対の中間搬送ローラ55a,55bと、この中間搬送ローラ対55a,55bを駆動する用紙搬送駆動手段としての給紙モータ74と、補助給紙部28とレジストローラ対33a,33bとの間の横給紙路RXに配設され、レジストローラ対33a,33bと圧胴20の用紙クランパ21とに用紙Pの先端を案内するガイド板38,39,40と、補助給紙部28とレジストローラ対33a,33bとの間の横給紙路RXに配設され、用紙Pの先端を検知する用紙先端センサ51と、圧胴20とレジストローラ対33a,33bとの間の横給紙路RXに配設され、用紙Pの先端を検知する用紙先端検知手段としてのレジストセンサ52とを具備している。
【0050】
補助給紙部28は、図1ないし図4等に示すように、用紙Pを積載して水平に昇降可能な給紙台としての補助トレイ31と、補助トレイ31上の用紙Pを1枚ずつ分離してレジストローラ対33a,33bに向けて用紙Pの先端を給送する給紙手段29と、補助トレイ31上に積載された用紙Pの先端を突き当て揃える給紙前面板35とを具備している。
レジストローラ対33a,33bの駆動は、従来の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、メインモータ150の回転駆動力とは独立したレジストモータ58で回転されるレジストローラ独立駆動方式を採用している。
【0051】
給紙手段29は、これを上位概念的に言い替えると、レジストローラ対33a,33bに向けて給紙する機能を有するものである。給紙手段29は、ピックアップローラあるいはピックアップコロとも呼ばれている上記した呼出しローラ30、分離ローラ32および分離パッド34からなる。給紙手段29の駆動は、従来の給紙手段の駆動方式であるセクタギヤ方式に代えて、メインモータ150の回転駆動力とは独立した給紙モータ74で回転される給紙手段独立駆動方式を採用している。
【0052】
補助トレイ31は、駆動装置(図示せず)により、積載された用紙Pの最上位が、常に呼出しローラ30に所定の押圧力(用紙Pが搬送可能な押圧力)をもって接触するように昇降される。補助トレイ31は、手差し給紙が可能な構造を有し、用紙の種類(以下、「紙種」というときがある)を多く使用できる構造を有すること、およびその用紙積載容量を用紙サイズA3やA4の用紙Pで500枚を積載可能とする構造を有する。手差し給紙が可能な構造は、例えば実公平5−18342号公報等に開示されている技術構成を採用している。
補助トレイ31には、図3および図14に示すように、用紙サイズに応じて用紙Pの両側端を位置決め揃えるための一対のサイドフェンス43a,43bが用紙幅方向Yに移動自在に配設されている。図14に、用紙サイズ検出機構を示す。この用紙サイズ検出機構は、サイドフェンス対43a,43bの用紙幅方向Yの移動に連動して用紙Pの用紙サイズを決定するものである。この用紙サイズ検出機構は、サイドフェンス対43a,43bと、補助トレイ31の下部に配設されている不動部材に回動自在に取り付け支持されたピニオン46と、サイドフェンス43aの下部端縁部に形成されピニオン46と噛合するラック部45と、サイドフェンス43bの下部端縁部に形成されラック部45に対向してピニオン46と噛合するラック部44と、サイドフェンス43bのラック部44に対向する下部端縁部において下方に突出して折り曲げられ適宜の間隔を持って切り欠かれた複数の切欠きを備えた遮閉部44aと、補助トレイ31の上記不動部材に適宜の間隔を持って固設され遮閉部44aとそれぞれ選択的に係合する2つの横サイズ検知センサ48a,48bと、補助トレイ31の上記不動部材における横給紙方向Xに適宜の間隔をあけて固設された縦サイズ検知センサ49とから主に構成されている。
【0053】
各横サイズ検知センサ48a,48bは、発光部および受光部を具備した透過型の光学センサであり、遮閉部44aとそれぞれ選択的に係合することにより用紙Pにおける用紙幅方向Yのサイズを検出する。縦サイズ検知センサ49は、反射型の光学センサであり、用紙Pにおける横給紙方向Xのサイズを検出する。各横サイズ検知センサ48a,48bおよび縦サイズ検知センサ49は、補助給紙部用紙サイズ検知センサ群50を構成しており、これらの用紙サイズ検知センサ群50で検出されたサイズ信号データを組み合わせて後述する本体給紙制御装置のCPUが判断することにより、用紙Pの用紙サイズを決定するものである。
なお、このような用紙サイズ検知方式の詳細としては、本願出願人が以前に提案した、例えば特開平9−30714号公報等に開示されている技術を挙げることができる。用紙サイズ検知方式としては、上述したような方式に限定されず、他の方式であってもよいことは言うまでもない。
また、バンク給紙部200の後述するトレイ上143およびトレイ下145にも、補助トレイ31における用紙サイズ検出機構と同様の検出機構がそれぞれ配設されており、重複説明を避ける上からここで説明する。すなわち、トレイ上143における用紙サイズ検出機構のバンク上用紙サイズ検知センサ群を符号50−1とし、トレイ下145における用紙サイズ検出機構のバンク下用紙サイズ検知センサ群を符号50−2として区別するに留めることとする。
【0054】
横給紙路RXは、図2、図4ないし図6等に示されているように配設された各ガイド板38,39,40で郭定される空間に略水平状態に形成されている。ガイド板38における横給紙方向Xの上流側端部は、上方に湾曲していて、給紙手段29により横給紙方向Xの下流側に給送された用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たることで、図5に示すような湾曲した所定のたわみPAを形成するように用紙Pの先端部を案内するようになっている。
【0055】
一方、ガイド板40は、レジストローラ対33a,33b配置部近傍の横給紙路RXから右下がり斜め下方に折り曲げられていて、これに対向して配設された中間ガイド板41,42と共に郭定される空間に、縦給紙路RZの上側部分を形成している。各中間ガイド板41,42の相対向する一端部は、山形状に湾曲して形成されていて、バンク給紙部200における後述する各給紙手段29−1,29−2により後述する複数のローラ群を介して縦給紙方向Zの下流側に給送された用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たることで、図6に示すような湾曲したたわみPAを形成するように用紙Pの先端部を案内するようになっている。
【0056】
レジストローラ対33a,33bとバンク給紙部200との間の縦給紙路RZの上側部分には、バンク給紙部200における後述する各給紙手段29−1,29−2から給送された用紙Pの先端をレジストローラ対33a,33bに向けて送り出し、その用紙Pの先端をレジストローラ対33a,33bに当接させて、より詳細に言えばレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たることでたわみPAを形成する中間搬送ローラ対55a,55bが配設されている。図2および図4において右側に示す中間搬送ローラ55aは、図3および図4に示すような駆動ローラであって、薄紙のシワを低減する目的でローラ軸55cに一体的に取り付けられた3個のこま切れ状ローラからなる。中間搬送ローラ55bは、バネ等の付勢手段により中間搬送ローラ55aに常に圧接された従動ローラであり、3個のこま切れ状ローラからなる(図3には図示せず)。ローラ軸55cおよび中間搬送ローラ55b側のローラ軸(図示せず)は、孔版印刷装置100本体側に配設された本体側板手前89aと本体側板奥89bとの間にそれぞれ延在して設けられていて、本体側板手前・奥89a,89bに各転がり軸受86を介してそれぞれ回転自在に支持されている。
【0057】
図3および図4を参照して、中間搬送ローラ55a,55bと給紙手段29とを切り換え駆動するローラ切換駆動系について、給紙手段29のより詳細な構造を含めて説明する。分離ローラ32と軸32aとの間、および呼出しローラ30と軸30aとの間には、ワンウェイクラッチ67がそれぞれ介装されている。分離ローラ32の軸32aには歯付きのプーリ32Aが、呼出しローラ30の軸30aには歯付きのプーリ30Aがそれぞれ取り付けられている。プーリ32Aおよびプーリ30Aには、タイミングベルト37が掛け渡されていて、呼出しローラ30と分離ローラ32とはタイミングベルト37を介して駆動力伝達関係にある。各ワンウェイクラッチ67のクラッチロック方向(回転駆動力の接続方向)は、呼出しローラ30と分離ローラ32とが用紙Pを1枚ずつ分離して給送するために回転される図中矢印で示されている時計回り方向に設定されている。これにより、呼出しローラ30と分離ローラ32とは、時計回り方向のみに回転可能となっている。
呼出しローラ30の軸30aおよび分離ローラ32の軸32aは、共に転がり軸受87を介して、下側に開口を有するコ字状をなす給紙アーム35Aに回転自在に取り付けられている。呼出しローラ30は、分離ローラ32の軸32aを中心として自重および給紙アーム35Aの重さにより所定角度揺動自在になされている。分離ローラ32の軸32aは、図3に示すように、本体側板奥89bの外側に延び、転がり軸受86を介して本体側板奥89bに回転自在に支持されている。本体側板奥89bの外側に延びた軸32aの端部には、歯付きの従動プーリ56が固設されている。従動プーリ56と軸32aとの間には、ワンウェイクラッチ56Aが介装されている。ワンウェイクラッチ56Aのクラッチロック方向(回転駆動力の接続方向)は、図4において軸32aを時計回り方向にのみ回転可能とするように設定されている。
【0058】
給紙モータ74は、ステッピングモータからなり、分離ローラ32および呼出しローラ30を回転する給紙駆動手段としての機能を有すると共に、中間搬送ローラ対55a,55bを回転駆動する用紙搬送駆動手段としての機能をも有する。給紙モータ74は、図3および図4に示すように、本体側板奥89bにネジを介して取り付け固定されたモータブラケット74Aに固設されている。給紙モータ74の出力軸には、2連のプーリからなる歯付きの駆動プーリ75a,75bがそれぞれ固設されている。従動プーリ56と駆動プーリ75bとの間には、タイミングベルト57が掛け渡されていて、駆動力伝達関係にある。
駆動プーリ75aの近傍には、軸76aに固設された搬送駆動ギヤ78と、軸76aに取り付けられた歯付きの従動プーリ76とがそれぞれ配設されている。従動プーリ76と駆動プーリ75aとには、タイミングベルト77が掛け渡されていて、駆動力伝達関係にある。中間搬送ローラ55aのローラ軸55cの一端部には、搬送駆動ギヤ78と常に噛合する搬送従動ギヤ79が固設されている。ローラ軸55cと搬送従動ギヤ79との間には、ワンウェイクラッチ79Aが介装されている。ワンウェイクラッチ79Aのクラッチロック方向(回転駆動力の接続方向)は、搬送従動ギヤ79を介して、中間搬送ローラ55aが用紙Pを搬送する時計回り方向に設定されている。
【0059】
ここで、説明の便宜上から上記ローラ切換駆動系の詳細な動作を説明しておく。補助給紙部28からの給紙の場合には、給紙モータ74を図4において時計回り方向に正転させることで、給紙モータ74の回転駆動力が、駆動プーリ75bから、タイミングベルト57、従動プーリ56、ワンウェイクラッチ56Aのクラッチロック作用により軸32aへと伝達され、次いでワンウェイクラッチ67のクラッチロック作用によって分離ローラ32が時計回り方向に回転する。これと同時に、軸32aからプーリ32Aへ伝達された給紙モータ74の回転駆動力が、タイミングベルト37を介してプーリ30A、軸30aへと伝達され、ワンウェイクラッチ67のクラッチロック作用によって呼出しローラ30が時計回り方向に回転する。これにより、分離ローラ32および呼出しローラ30が共に時計回り方向に回転し、補助トレイ31上に積載された最上位の用紙Pがレジストローラ対33a,33bに向けて給送されることとなる。この時、駆動プーリ75aから、タイミングベルト77、従動プーリ76、搬送駆動ギヤ78および搬送従動ギヤ79までは給紙モータ74の回転駆動力が伝達されるが、ワンウェイクラッチ79Aの作用によって搬送従動ギヤ79が空転するので、給紙モータ74の回転駆動力が中間搬送ローラ対55a,55bへは伝達されないこととなる。
【0060】
一方、バンク給紙部200からの給紙の場合には、給紙モータ74を図4において反時計回り方向に逆転させることで、給紙モータ74の回転駆動力が駆動プーリ75aから、タイミングベルト77、従動プーリ76、搬送駆動ギヤ78、搬送従動ギヤ79へと伝達され、次いでワンウェイクラッチ79Aのクラッチロック作用によって上記回転駆動力がローラ軸55cに伝達され、これにより中間搬送ローラ55aが時計回り方向に、これに圧接し合う中間搬送ローラ55bが反時計回り方向にそれぞれ回転する。これにより、バンク給紙部200から給送されて来た用紙Pが中間搬送ローラ対55a,55bの回転によってレジストローラ対33a,33bに向けて給送されることとなる。この時、駆動プーリ75bから、タイミングベルト57、従動プーリ56までは給紙モータ74の回転駆動力が伝達されて反時計回り方向に回転するが、従動プーリ56側のワンウェイクラッチ56Aの作用によって従動プーリ56が空転するので、給紙モータ74の回転駆動力が軸32aには伝達されず、したがって分離ローラ32および呼出しローラ30は回転しないこととなる。
【0061】
上述した構成のとおり、中間搬送ローラ対55a,55bを駆動する用紙搬送駆動手段と給紙駆動手段とが、単一の駆動手段としての給紙モータ74からなり、中間搬送ローラ対55a,55bと給紙手段29の分離ローラ32および呼出しローラ30とは単一の給紙モータ74により正逆転切換作動させるだけでそれぞれ回転駆動されることとなる。したがって、例えば特開平6−40137号公報に記載されているように中間搬送ローラ対と給紙手段の分離ローラおよび呼出しローラとを別個の2つの駆動モータで回転駆動させる必要がないので、2つの駆動モータを配置するためのレイアウト上の制約がなくなって省スペース化およびコストダウンを図れる利点がある。
【0062】
用紙先端センサ51と中間搬送ローラ対55a,55bとの間の縦給紙路RZ上であって、たわみ形成部手前の中間ガイド板42上には、用紙Pの先端を検知する中間センサ上53が配設されている。中間搬送ローラ対55a,55bとバンク給紙部200側に配設されたバンクレジストローラ対106a,106bとの間の縦給紙路RZ上であって、中間ガイド板42の下端部上には、用紙Pの先端を検知する中間センサ下54が配設されている。これらの中間センサ上・下53,54は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサからなる。中間ガイド板42には、図5にその一部を示すように、上記発光部からの出射光および用紙Pの先端表面からの反射光を通す開口部が開けられている。
中間センサ上53は、用紙Pの先端を検知することにより、中間搬送ローラ対55a,55bを含む上流側の縦給紙路RZで発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する。中間センサ下54は、用紙Pの先端を検知することにより、所定の時間内にバンク給紙部200から給紙されているか否かを検知すると共に、中間搬送ローラ対55a,55bよりも上流側の縦給紙路RZで発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する。
【0063】
レジストモータ58は、ステッピングモータからなり、レジストローラ33bを回転・駆動するレジスト駆動手段としての機能を有する。レジストモータ58は、図4に示すように、レジストモータ58の出力軸に設けられた駆動プーリ58Aとレジストローラ33bの軸33cに設けられたレジスト従動プーリ33Aとの間に掛け渡されたタイミングベルト59を介して、レジストローラ33bに連結されている。駆動プーリ58Aおよびレジスト従動プーリ33Aは、タイミングベルト59とスリップすることなく係合する歯付きのプーリである。
【0064】
図10に示すように、上側のレジストローラ33aは、薄紙のシワを低減する目的でローラ軸33cに一体的に取り付けられた3個のこま切れ状ローラからなり、上方のガイド板38に形成された5つの開口部38aのうちの中央部の3つの開口部38aに適宜の隙間をもって挿入されている。レジストローラ33aは、図示を省略したレジストローラ上下機構を介して5個のこま切れ状ローラからなるレジストローラ33b(図10には図示せず)に接離自在に配設されている。
【0065】
用紙先端センサ51は、実施例的にいうと、図1および図10に示すように、ローラ軸33cの中心から用紙搬送方向Xの上流側に19mm遡った位置の上側のガイド板38に取り付けられている。同様に、レジストセンサ52は、実施例的にいうと、ローラ軸33cの中心から用紙搬送方向Xの下流側に19mm下った位置の上側のガイド板38に取り付けられている。これらのセンサ51,52は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサからなる。上側のガイド板38には、図5および図6に示すように、上記発光部からの出射光および用紙Pの先端表面からの反射光を通す開口部が開けられている。
【0066】
用紙先端センサ51は、用紙Pの先端を検知することにより、給紙手段29を含む横給紙方向Xや縦給紙方向Zの上流側で発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する他、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に用紙Pの先端を突き当ててたわみPAを形成する時のたわみ量調整の一部の機能をも有している。レジストセンサ52は、用紙Pの先端を検知することにより、レジストローラ対33a,33bを含む横給紙方向Xや縦給紙方向Zの上流側で発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する。
【0067】
上記レジストローラ上下機構は、その一端がローラ軸33cの両端に取り付けられローラ軸33cを揺動自在に支持する一対のローラアーム33d,33dと、各ローラアーム33d,33dの他端に取り付けられ所定角度回動自在な揺動支軸36と、揺動支軸36の奥側端部に取り付けられたベアリングを備えた圧解除カムフォロア(図示せず)と、本体フレーム100A側に設けられ上記圧解除カムフォロアに摺接するレジストローラ開閉カム(図示せず)と、上側のレジストローラ33aを下側のレジストローラ33bに圧接する向きに付勢するスプリング(図示せず)とから構成されている。
なお、上記レジストローラ開閉カムの回転駆動力は、版胴1を回転するメインモータ150の回転駆動力からギヤ等の回転伝達部材を介して得ているが、従来の技術で述べたようにメインモータ150の負荷をさらに減らしたいのであれば、機械式の上記レジストローラ上下機構に代えてソレノイドやステッピングモータ等の電気式駆動力により制御するようにしてもよい。
【0068】
ここで、用紙Pの搬送時(給紙工程時)において、版胴1および圧胴20の各回転位置を次のとおり表すものとする。すなわち、図13(a),(b)において、版胴1の回転位置を、図13(a)に示す版胴1のホームポジションから版胴1の時計回り方向に回転したときのなす角度θをもって表し、圧胴20の回転位置を、図13(a)に示すように、版胴20の凹部20aが版胴1のマスタクランパ12と対向して直上に位置する圧胴20のホームポジションから圧胴20の反時計回り方向に回転したときになす角度θ’をもって表わすものとする。なお、版胴1および圧胴20は、各ホームポジションを占めたときに装置本体から着脱可能となっている。
【0069】
上記レジストローラ上下機構の動作を前もって説明しておく。上側のレジストローラ33aが下側のレジストローラ33bに圧接するレジスト圧オンのタイミングは、実施例的にいうと図20に示すように、版胴1が回転位置θ=257.5°を占めたときにオンし、版胴1が回転位置θ=57.5°(417.5°)を占めたときにオンからオフ(レジスト圧解除)に切り替えられるようになっている。用紙Pの先端部が圧胴20の用紙クランパ21にくわえられた後、上記レジストローラ開閉カムが回転して同開閉カムの凸部に上記圧解除カムフォロアの上記ベアリングが摺接・位置することとなり、これにより上記スプリングの付勢力に抗して上側のレジストローラ33aを持ち上げ、上側のレジストローラ33aを下側のレジストローラ33bから離間させる。この離間動作は、上記レジストローラ開閉カムの凸部と上記圧解除カムフォロアの上記ベアリングとの摺接係合時間によって、用紙Pの後端がレジストローラ対33a,33bの隙間を完全に抜けるまで継続するように設定されている。
【0070】
次に、バンク給紙部200側の細部構成について説明する。バンク給紙部200は、図1に示すように、本体フレーム100Aの下部にバンク本体フレーム200Aを介して着脱自在に配設されている。バンク給紙部200は、バンク本体フレーム200A内に設けられた上段の給紙部としてのバンク上給紙部201および下段の給紙部としてのバンク下給紙部202と、後述するガイド板で形成された縦給紙路RZの下側部分と、縦給紙路RZの上から順に配設された、一対のバンクレジストローラ106a,106bと、バンクレジストセンサ135と、一対の中間ローラ118a,118bと、バンクフィードセンサ136とを具備している。
【0071】
バンク上給紙部201は、図1および図15に示すように、複数枚の用紙Pを積載し上昇して給紙位置に臨む上限位置と最も下降した下限位置との間で昇降自在なトレイ上143、およびトレイ上143を水平状態に保ちながら上記上限位置と上記下限位置との間に昇降させるバンク上水平昇降手段(図示せず)等を備えたトレイユニット上144と、トレイ上143に積載された最上位の用紙Pの上限位置を検知するバンク上上限センサ137と、トレイ上143の上記下限位置を検知するバンク上下限センサ138と、トレイ上143の用紙Pを1枚ずつ分離して横給紙方向X1に給紙する給紙手段29−1と、バンク上用紙サイズ検知センサ群50−1を備えた上記した用紙サイズ検出機構とを具備している。
【0072】
トレイ上143は、板金で形成されていて、バンク本体フレーム200Aに対して横給紙方向X1と直交する図1および図15における紙面の手前方向および奥方向に挿脱自在なトレイユニット上144の構成部品として構成されている。トレイユニット上144は、トレイ上143等を始めとして他の構成部品を組み付けるための概略筐体状のトレイ上収納筐体144Aを有する。トレイ上収納筐体144Aには、給紙手段29−1の下方においてトレイ上143に積載された用紙Pの先端を揃えるための給紙前面壁144aが形成されている。
この実施形態1では、トレイ上143に積載可能な用紙サイズがA3,A4の2サイズであり、普通紙で1000枚を積載収容できるように構成されている。その用途および必要に応じて、上記サイズ以外の用紙サイズを積載収容することも可能である。
【0073】
なお、バンク上給紙部201のトレイユニット上144は、これに限らず、例えば特開平5−124737号、特開平5−221536号、特開平6−144600号および特開平7−137851号公報等で開示されている給紙装置であってもよい。これらの給紙装置は、オペレータ等が装置の前面に対向して位置する姿勢で給紙等の操作を行なえるフロントローディング方式を用いると共に、給紙動作を中断することなく用紙の自動補給を可能とした、いわゆるタンデム給紙とノンタンデム給紙とを切り換えて使用できる給紙装置である。また、上記のものに限らず、上記各給紙装置を改良すべく本願出願人が特願平10−199188号で提案したような新規な給紙装置、すなわち、複数枚の用紙を積載する昇降自在な第1給紙トレイと、この第1給紙トレイから用紙搬送方向に給紙する給紙手段と、第1給紙トレイに対して略水平に並設され複数枚の用紙を積載する第2給紙トレイと、この第2給紙トレイの用紙を第1給紙トレイへ一括して移送する移送手段とを有し、第1給紙トレイと第2給紙トレイとに亘り少なくとも第1給紙トレイまたは第2給紙トレイに積載可能な用紙サイズよりも大きな大サイズ用紙を積載して上記給紙手段により給紙可能である給紙装置において、第1給紙トレイを略水平状態に保ちながら上昇させる水平昇降手段と、第1給紙トレイと第2給紙トレイとに亘り大サイズ用紙が積載されたとき、第2給紙トレイを、第1給紙トレイの少なくとも上昇動作に連動して略水平状態に保ちながら上昇させる昇降連動手段とを具備する給紙装置であっても構わない。図1および図15では、上記タンデム給紙の概要を表すためにトレイユニット上144およびトレイ上143を2点鎖線で分割して示している。
【0074】
バンク上上限センサ137は、給紙手段29−1の呼出しローラ30がトレイ上143に積載された最上位の用紙Pに適正な圧力で接触して給紙をするのに適正な給紙位置を占めたことを検知する。バンク上上限センサ137は、発光部と受光部とを有する遮光型の光学センサであって、トレイ上143に積載された最上位の用紙Pに揺動自在に当接する当接片(図示せず)を図4に示した給紙アーム35Aに備え、この当接片と連動して設けられた遮光板(図示せず)が上記発光部と上記受光部との間で遮光動作を行うことにより、上記給紙位置を検知するものである。バンク上上限センサ137は、給紙手段29−1の呼出しローラ30近傍のバンク本体フレーム200A側に設けられている。バンク上上限センサ137は、例えば特開平2−265825号公報記載の第3図等に示されている光学センサPS2と同様の構成を有する。
バンク上下限センサ138は、発光部と受光部とを有する反射型の光学センサであって、バンク本体フレーム200A内の所定位置に配置されている。バンク上下限センサ138は、上記発光部から光をトレイ上143の一側面に出射してその反射光を上記受光部で検知することにより、トレイ上143の下限位置を検知するものである。
【0075】
バンク下給紙部202は、図1および図15に示すように、複数枚の用紙Pを積載し上昇して給紙位置に臨む上限位置と最も下降した下限位置との間で昇降自在なトレイ下145、およびトレイ下145を水平状態に保ちながら上記上限位置と上記下限位置との間に昇降させるバンク下水平昇降手段(図示せず)等を備えたトレイユニット下146と、トレイ下145に積載された最上位の用紙Pの上限位置を検知するバンク下上限センサ139と、トレイ下145の上記下限位置を検知するバンク下下限センサ140と、トレイ下145の用紙Pを1枚ずつ分離して横給紙方向X1に給紙する給紙手段29−2と、バンク下用紙サイズ検知センサ群50−2を備えた上記した用紙サイズ検出機構とを具備している。
【0076】
トレイ下145は、板金で形成されていて、バンク本体フレーム200Aに対して横給紙方向X1と直交する図1および図15における紙面の手前方向および奥方向に挿脱自在なトレイユニット下146の構成部品として構成されている。トレイユニット下146は、トレイ下145等を始めとして他の構成部品を組み付けるための概略筐体状のトレイ下収納筐体146A有する。トレイ下収納筐体146Aには、給紙手段29−2の下方においてトレイ下145に積載された用紙Pの先端を揃えるための給紙前面壁146aが形成されている。
この実施形態1では、トレイ下145に積載可能な用紙サイズがA3,A4の2サイズであり、普通紙で500枚を積載収容できるように構成されている。その用途および必要に応じて、上記サイズ以外の用紙サイズを積載収容することも可能である。
【0077】
バンク下上限センサ139は、給紙手段29−2の呼出しローラ30がトレイ下145に積載された最上位の用紙Pに適正な圧力で接触して給紙をするのに適正な給紙位置を占めたことを検知するものであり、バンク上上限センサ137と同様の構成を有している。バンク下上限センサ139は、給紙手段29−2の呼出しローラ30近傍のバンク本体フレーム200A側に設けられている。
バンク下下限センサ140は、バンク本体フレーム200A内の所定位置に配置されていて、バンク上下限センサ138と同様の構成および作用によって、トレイ下145の下限位置を検知するものである。
【0078】
上記バンク上水平昇降手段は、図19のみに示す駆動手段としてのバンク上上下移動モータ141を備え、例えば、特開平6−40137号公報の図3および図4等に開示されていると同様のワイヤー式昇降機構を採用している。また、上記バンク下水平昇降手段は、図19のみに示す駆動手段としてのバンク下上下移動モータ142を備え、上記バンク上水平昇降手段と同様のワイヤー式昇降機構を採用している。バンク上上下移動モータ141およびバンク下上下移動モータ142は、DCモータからなる。なお、特願平10−199188号で提案した新規な給紙装置におけるXアームを用いたパンタグラフ式の昇降機構であっても勿論構わない。
【0079】
なお、説明が前後したが、補助給紙部28側にも、上記バンク下水平昇降手段と同様の昇降手段が配設されていると共に、バンク下上限センサ139およびバンク下下限センサ140と同様のセンサがそれぞれ配設されていて、補助トレイ31の昇降動作および昇降制御が行われるようになっている。
【0080】
図15において、縦給紙路RZの下側部分は、孔版印刷装置100側(以下、単に「本体側」というときがある)のガイド板40および中間ガイド板42の下端部に連結すべく設けられた一対の連結ガイド板127,127と、バンク上給紙部201の給紙手段29−1からの給紙を可能とすべく形成された一対のガイド板上128,128と、このガイド板上対128,128から分岐して下方に延び、バンク下給紙部202の給紙手段29−2からの給紙を可能とすべく形成された一対のガイド板下129,129とからなる。
連結ガイド板対127,127、ガイド板上対128,128およびガイド板下対129,129が合流する縦給紙路RZであって、各給紙手段29−1,29−2の縦給紙方向Zの下流側には、バンクレジストローラ対106a,106bが回転可能に配設されている。
【0081】
バンクレジストローラ対106a,106bは、このバンク給紙部200に特有のものであって、本体側のレジストローラ対33a,33bに至る用紙Pの搬送経路が長いために発生するスキュー、シワや横レジストズレを防止するために設けられているものである。バンクレジストローラ対106a,106bは、本体側のレジストローラ対33a,33bと比較すると、給送されて来た用紙Pの先端部を若干噛み込むことにより、用紙Pの自重による落下を防ぐように動作させるようになっていること、およびレジストローラ対33a,33bのようなレジスト圧解除機構を備えておらずバネ(図示せず)によって常時圧接状態にあることが主に相違する。
【0082】
バンクレジストローラ対106a,106bよりも上流側の上記合流部の縦給紙路RZには、バンクレジストセンサ135が配設されている。バンクレジストセンサ135は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサからなる。バンクレジストセンサ135は、用紙Pの先端および後端を検知することにより、所定の時間内にバンクレジストローラ対106a,106b配置部位に用紙Pの先端が来ているか否かを検知すると共に、バンクレジストローラ対106a,106bよりも上流側の縦給紙路RZで発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する。
【0083】
給紙手段29−1と給紙手段29−2との間の縦給紙路RZには、中間ローラ対118a,118bが回転可能に配設されている。中間ローラ対118a,118bは、給紙手段29−2から給送された用紙Pを縦給紙路RZの下流側へ搬送するものである。中間ローラ対118a,118b近傍の縦給紙路RZの上流側には、バンクフィードセンサ136が配設されている。バンクフィードセンサ136は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサからなる。バンクフィードセンサ136は、用紙Pの先端および後端を検知することにより、所定の時間内に中間ローラ対118a,118b配置部位に用紙Pの先端が来ているか否かを検知すると共に、給紙手段29−2から中間ローラ対118a,118b配置部位に至る縦給紙路RZで発生した用紙Pのジャムを検知するジャム検知機能を有する。
【0084】
図16に、バンク給紙部200から給紙を行うためのバンク給紙駆動機構125を示す。バンク給紙駆動機構125は、バンクレジストローラ対106a,106bを駆動するバンクレジストローラ駆動機構125Aと、給紙手段29−1側の分離ローラ32および呼出しローラ30、または中間ローラ対118a,118b、給紙手段29−2側の分離ローラ32および呼出しローラ30を切り換え駆動するバンク上下給紙部切換駆動機構125Bとからなる。なお、図16において、各構成部品の回転方向は同図において右側から見たときの方向を指すものとする。
【0085】
バンクレジストローラ駆動機構125Aは、バンクレジストローラ対106a,106bを回転駆動する正逆転可能なバンクレジストモータ101と、バンクレジストモータ101の回転駆動力をバンクレジストローラ106bの軸106cに伝達するための、バンクレジストモータ101の出力軸に固設された駆動ギヤ102、この駆動ギヤ102と噛合するアイドルギヤ103、およびこのアイドルギヤ103と噛合する従動ギヤ105からなるギヤ列と、従動ギヤ105とバンクレジストローラ106bの軸106cとの間に介装され従動ギヤ105に伝達されたバンクレジストモータ101の回転駆動力を断接するレジストクラッチ104とを具備している。
【0086】
バンクレジストモータ101は、ステッピングモータからなる。アイドルギヤ103は、軸をもってバンク側板126に回転自在に支持されている。バンクレジストローラ106bの軸106cは、転がり軸受(図示せず)を介してバンク側板126に回転自在に支持されている。レジストクラッチ104は、電磁クラッチからなる。
【0087】
バンク上下給紙部切換駆動機構125Bは、給紙手段29−1側の分離ローラ32および呼出しローラ30、または中間ローラ対118a,118b、給紙手段29−2側の分離ローラ32および呼出しローラ30を回転駆動する正逆転可能なバンク給紙モータ107と、バンク給紙モータ107の正転時(時計回り方向)の回転駆動力を給紙手段29−1側の分離ローラ32の軸32aに伝達するための後述する上段ギヤ列と、中間ギヤ対109a,109bの軸と同軸的に設けられた駆動プーリ110との間に介装され時計回り方向にクラッチロックの方向性を有するワンウェイクラッチ110Aと、バンク給紙モータ107の逆転時(反時計回り方向)の回転駆動力を中間ローラ118bの軸118cに伝達するための後述する中段ギヤ列と、中間ローラ118bの軸118cと従動ギヤ116との間に介装され従動ギヤ116に伝達されたバンク給紙モータ107の回転駆動力を断接する中間クラッチ117と、駆動プーリ110と従動プーリ119との間に掛け渡されたタイミングベルト118Aと、このタイミングベルト118Aに伝達されたバンク給紙モータ107の逆転時(反時計回り方向)の回転駆動力を給紙手段29−2側の分離ローラ32の軸32aに伝達するための後述する下段ギヤ列と、給紙手段29−2側の分離ローラ32の軸32aと従動ギヤ122との間に介装され従動ギヤ122に伝達されたバンク給紙モータ107の回転駆動力を断接する給紙クラッチ123とを具備している。
【0088】
上記上段ギヤ列は、バンク給紙モータ107の出力軸に固設された駆動ギヤ108と、この駆動ギヤ108と噛合する中間ギヤ109aと、この中間ギヤ109aと同軸的に設けられた駆動プーリ110および中間ギヤ109bと、この中間ギヤ109bと噛合するアイドルギヤ111と、このアイドルギヤ111と噛合するアイドル小径ギヤ112aと、このアイドル小径ギヤ112aと同軸に設けられたアイドル大径ギヤ112bと、このアイドル大径ギヤ112bと噛合する、給紙手段29−1側の分離ローラ32の軸32aの端部に固設された従動ギヤ113とからなる。
中間ギヤ対109a,109b、アイドルギヤ111、アイドル小径ギヤ112aおよびアイドル大径ギヤ112bは、それぞれ軸をもってバンク側板126に回転自在に支持されている。給紙手段29−1側の分離ローラ32の軸32aは、転がり軸受(図示せず)を介してバンク側板126に回転自在に支持されている。
上記中段ギヤ列は、駆動ギヤ108と噛合するアイドル小径ギヤ114aと、このアイドル小径ギヤ114aと同軸に設けられたアイドル大径ギヤ114bと、このアイドル大径ギヤ114bと噛合するアイドルギヤ115と、このアイドルギヤ115と噛合する、中間ローラ118bの軸118cの端部に固設された従動ギヤ116とからなる。
アイドル小径ギヤ114a、アイドル大径ギヤ114bおよびアイドルギヤ115は、それぞれ軸をもってバンク側板126に回転自在に支持されている。中間ローラ118bの軸118cは、転がり軸受(図示せず)を介してバンク側板126に回転自在に支持されている。
【0089】
上記下段ギヤ列は、従動プーリ119と同軸に設けられた中間ギヤ120と、この中間ギヤ120と噛合するアイドル小径ギヤ121aと、このアイドル小径ギヤ121aと同軸に設けられたアイドル大径ギヤ121bと、このアイドル大径ギヤ121bと噛合する、給紙手段29−2側の分離ローラ32の軸32aの端部に固設された従動ギヤ122とからなる。
中間ギヤ120、アイドル小径ギヤ121aおよびアイドル大径ギヤ121bは、それぞれ軸をもってバンク側板126に回転自在に支持されている。給紙手段29−2側の分離ローラ32の軸32aは、転がり軸受(図示せず)を介してバンク側板126に回転自在に支持されている。
【0090】
バンク給紙モータ107は、ステッピングモータからなる。中間クラッチ117および給紙クラッチ123は、それぞれ電磁クラッチからなる。
【0091】
ここで、バンク上下給紙部切換駆動機構125Bの動作を説明しておく。バンク上給紙部201の給紙手段29−1からの給紙の場合には、バンク給紙モータ107を図16において例えば時計回り方向に正転させることで、バンク給紙モータ107の回転駆動力は、上記上段ギヤ列による伝達を介して、給紙手段29−1側の分離ローラ32の軸32aを時計回り方向に回転させる駆動力として伝達され、次いで図3および図4を参照して説明したと同様にして分離ローラ32および呼出しローラ30が時計回り方向に回転される。これにより、トレイ上143上に積載された最上位の用紙Pの1枚だけがレジストローラ対33a,33bに向けて給送されることとなる。この時、中間ギヤ109aは反時計回り方向に回転されることにより、ワンウェイクラッチ110Aの作用によって中間ギヤ対109a,109bの軸だけが反時計回り方向に回転するので、バンク給紙モータ107の回転駆動力は駆動プーリ110には伝達されないこととなる。
【0092】
一方、バンク下給紙部202の給紙手段29−2からの給紙の場合には、バンク給紙モータ107を図16において例えば反時計回り方向に逆転させると、中間ギヤ109aは時計回り方向に回転され、ワンウェイクラッチ110Aのクラッチロック作用によって中間ギヤ対109a,109bの軸と駆動プーリ110とが一体的に時計回り方向に回転することとなる。そして、バンク給紙モータ107の回転駆動力は、上記下段ギヤ列による伝達を介して、給紙手段29−2側の分離ローラ32の軸32aを時計回り方向に回転させる駆動力として伝達され、次いで図3および図4を参照して説明したと同様にして分離ローラ32および呼出しローラ30が時計回り方向に回転する。これと並行して中間ギヤ対109a,109bが時計回り方向に回転されることにより、上記上段ギヤ列による回転駆動力の伝達を介して、給紙手段29−1側の分離ローラ32の軸32aを今度は反時計回り方向に回転させる駆動力として伝達されるが、ワンウェイクラッチ67の作用によって軸32aだけが回転するのみで、プーリ32Aにはその回転駆動力が伝達されず、これによりバンク給紙モータ107の回転駆動力が分離ローラ32および呼出しローラ30には伝達されないこととなる。
【0093】
図2ないし図19を参照して、上述したセンサやモータ等の制御構成部品以外の、本実施形態1における給紙制御に係る制御構成を説明する。図2および図7に示すように、圧胴20における奥側の端板20bの外側壁には、本体給紙用遮光板68と本体レジスト用遮光板69とが圧胴20の同円周上に所定の間隔をおいてそれぞれネジで取り付けられている。また、圧胴20における奥側の端板20bの外側壁には、バンク給紙用遮光板70とバンクレジスト用遮光板71とが上記した各遮光板68,69の円周上よりも内側の同円周上に所定の間隔をおいてそれぞれネジで取り付けられている。各遮光板68,69,70,71は、例えばステンレススチール等の板金や適宜の合成樹脂でできていて、正面視および側面視でL字形をなし、その先端が奥側に突出して成形されている。
【0094】
一方、アーム25bの内側には、図2、図7および図11に示すように、本体給紙用遮光板68と本体レジスト用遮光板69とが取り付けられている圧胴20の同円周上に対向して給紙開始センサ65が、バンク給紙用遮光板70とバンクレジスト用遮光板71とが取り付けられている圧胴20の同円周上に対向してバンク給紙開始センサ66が、センサブラケット64を介してネジ63で取り付けられている。給紙開始センサ65およびバンク給紙開始センサ66は、発光部および受光部を具備する透過型の光学センサである。
【0095】
本体給紙用遮光板68と給紙開始センサ65とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、レジストローラ対33a,33bに対して補助給紙部28の給紙手段29による用紙Pの先端を給送するタイミングをとるための給紙タイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定の回転位置は、換言すれば本体給紙用遮光板68の圧胴20の端板20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、図20に示すように、圧胴20が反時計回り方向にθ’=194°に回転した位置で給紙開始センサ65がオンするように設定されている。この時には、前述したように、上記レジストローラ上下機構が離間動作することにより、上側のレジストローラ33aが下側のレジストローラ33bから離間されレジストローラ対33a,33bの間に上記隙間が形成されている状態にあり、上記スプリングの付勢力によるレジストローラ対33a,33bの圧接力が用紙Pにかからないようになっている。
【0096】
本体レジスト用遮光板69と給紙開始センサ65とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、圧胴20の用紙クランパ21に向けてレジストローラ対33a,33bによる用紙Pの先端の給送を開始するタイミングをとるためのタイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定の回転位置は、換言すれば本体レジスト用遮光板69の圧胴20の端板20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、圧胴20が反時計回り方向にθ’=307°に回転した位置で給紙開始センサ65がオンするように設定されている。
【0097】
バンク給紙用遮光板70とバンク給紙開始センサ66とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、バンクレジストローラ対106a,106bに対してバンク給紙部200の給紙手段29−1または給紙手段29−2による用紙Pの先端を給送するタイミングをとるためのバンク給紙タイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定の回転位置は、換言すればバンク給紙用遮光板70の圧胴20の端板20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、図20に示すように、圧胴20が反時計回り方向にθ’=0°(圧胴20がホームポジションを占めたとき)に回転した位置でバンク給紙開始センサ66がオンするように設定されている。
【0098】
バンクレジスト用遮光板71とバンク給紙開始センサ66とは、圧胴20が反時計回り方向に回転した所定の回転位置でのみ選択的に係合・遮光するように取り付けられていて、本体側のレジストローラ対33a,33bに向けてバンク給紙部200のバンクレジストローラ対106a,106bによる用紙Pの先端を給送するタイミングをとるためのバンクレジストタイミング検知手段としての機能を有する。圧胴20の上記所定の回転位置は、換言すればバンクレジスト用遮光板71の圧胴20の端板20bへの取り付け位置は、実施例的にいうと、圧胴20が反時計回り方向にθ’=104°に回転した位置でバンク給紙開始センサ66がオンするように設定されている。
【0099】
図2、図7および図8に示すように、圧胴20における奥側の端板20bには、2個のスペーサ62を介して、エンコーダ60がネジ63で取り付けられている。エンコーダ60は、本実施形態1ではインクリメンタル型のフォトエンコーダであり、多数のスリットが外周部に放射状に並べられた1チャンネルのフォトエンコーダである。一方、エンコーダ60の近傍におけるアーム25bの内側には、図2、図8および図11に示すように、エンコーダセンサ61がエンコーダ60の外周部を所定の間隔をもって挟むようにしてセンサブラケット64を介してネジ63で取り付けられている。これらのエンコーダ60とエンコーダセンサ61とは、圧胴20の用紙クランパ21に対してレジストローラ対33a,33bによる用紙Pの先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴20における回転速度変動を検知するパルスエンコーダの機能を有している。
なお、エンコーダ60の外径の大きさは、図7および図8に示すように圧胴20の外径と同じであり、図2等では図を見やすくするために小さ目に描いている。また、エンコーダセンサ61の図示は、上記と同様の趣旨から図7では省略すると共に、図2および図8等ではセンサブラケット64を省略して簡略的に描いている。
【0100】
次に、図17を参照して操作パネル90の細部構成を説明する。この操作パネル90は、原稿読み取り部3の上部に配設されている。操作パネル90上には、原稿画像の画像読み取りから給版に至る各動作の起動を設定・入力する製版スタートキー91と、印刷枚数等を設定・入力するテンキー93と、このテンキー93で設定・入力された印刷枚数の印刷動作の起動を行う印刷スタートキー92と、原稿画像の画像読み取りから印刷に至る各動作工程での設定・検知情報を随時表示するためのLCD(液晶表示装置)表示部94と、補助給紙部28の補助トレイ31またはバンク給紙部200のトレイ上143、トレイ下145の用紙サイズを選択・入力するための用紙サイズ設定手段の機能を有するトレイ選択兼用用紙サイズ入力キー98(以下、単に「用紙サイズ入力キー98」という)と、この用紙サイズ入力キー98により選択・入力された何れかのトレイ31,143,145の用紙サイズや他の入力情報を確定するための用紙サイズ設定手段の機能を有する設定キー95と、LCD表示部94に表示されたジョブ情報を選択するために左方向に移行させるための左矢印キー99Bと、LCD表示部94に表示されたジョブ情報を選択するために右方向に移行させるための右矢印キー99Cと、LCD表示部94に表示されたジョブ情報を選択するために左右・上下の何れか一つの方向に移行させるための4つの移行キー99Ac,99Aa,99Ab,99Adを備えた十字カーソルキー99Aと、印刷速度の設定値としての印刷速度レベル1〜5の5段階の印刷速度の中から1つの印刷速度を選択的に設定するための印刷速度設定手段としての速度ダウンキー96aおよび速度アップキー96bからなる印刷速度設定キー96と、速度ダウンキー96aまたは速度アップキー96bにより設定された設定印刷速度を表示するためのLEDランプ群からなる速度表示器97と、用紙Pの種類を設定するための用紙種類設定手段としての紙種入力キー190と、紙種入力キー190で選択的に設定された用紙Pの種類(以下、「紙種」というときがある)、または後述する用紙Pの種類を自動的に検知するための用紙種類検知手段としての各紙種検知センサ195,195−1,195−2(図19に仮想線で囲んで示す)により検出された紙種を表示するための紙種表示用のLED(発光ダイオード)からなるランプ群191等が配置されている。
【0101】
用紙サイズ入力キー98は、これを1回押すことにより、LCD表示部94に表示されていた表示画面上の表示を「用紙サイズ」から「キャンセル」に変更することができ、用紙サイズ入力キー98を押す前の元の表示画面に戻す機能を有するキャンセルキー98Aとなる。
図18の一番上には、LCD表示部94の一つの画面が示されていて、そのLCD表示部94の上部の矩形欄にはオペレータの行うべきジョブ内容が表示される。ここでは、「製版・プリントできます」と表示されていて、製版から印刷に至る工程・動作が可能であることを表している。次いで、用紙サイズ入力キー98を押下すると、上から2番目の表示画面に切り替わる。この状態では、ハッチング表示が施された「自動」が自動的に選択されていて、原稿用紙サイズに対応した用紙サイズが自動的に選択設定されるので、オペレータは適宜その内容にしたがってキー操作を行う。例えばここで、オペレータがキャンセルキー98Aを押下すると用紙サイズ入力キー98を押す前の元の初期画面に戻り、一方、右矢印キー99Cまたは十字カーソルキー99Aの右カーソルキー99Aaを押下すると、上から3番目の表示画面に切り替わり、ハッチング表示が施されたバンク給紙部200の「トレイ上」(トレイ上143)において「(※A4□)」が、すなわち用紙サイズA4の用紙Pが選択された状態にあることが表示される。そしてここで、設定キー95を押下すると、上から4番目の表示画面に切り替わり、「トレイ上」(トレイ上143)において「※A4□」が、すなわち用紙サイズA4の用紙Pが設定された状態にあることが表示される。
【0102】
速度表示器97において、プリントスピードと表示されている中央部のハッチングを施した「設定印刷速度:3速」は、通常使用される印刷速度に対応した標準印刷速度であって、速度ダウンキー96aまたは速度アップキー96bを押下しなかった場合に自動的に設定されるようになっている。ここで、例えば「おそく」と表示されている一番左側の「設定印刷速度:1速」は印刷速度が最低速の60枚/min:60rpmに、「設定印刷速度:2速」は印刷速度が75枚/min:75rpmに、「設定印刷速度:3速」は印刷速度が90枚/min:90rpmに、「設定印刷速度:4速」は印刷速度が105枚/min:105rpmに、「はやく」と表示されている一番右側の「設定印刷速度:5速」は印刷速度が最高速の120枚/min:120rpmにそれぞれ対応して設定されている。
【0103】
速度表示器97は、速度ダウンキー96aまたは速度アップキー96bの1回ごとの押下により、上記印刷速度を1から5までの5段階の設定印刷速度(以下単に「設定印刷速度:1速〜5速」というときがある)に、切り換えられる印刷速度を点灯表示する。速度ダウンキー96aまたは速度アップキー96bは、速度表示器97の近傍に配置されていて、1回押すごとに、設定印刷速度:1速〜5速の何れか1つの設定印刷速度に対応した各LEDランプの点灯を順次切り換える機能も有しており、これにより、オペレータが選択した設定印刷速度が速度表示器97にて目視確認できるようになっている。
【0104】
ランプ群191は、この例では3グループのうちの何れか一つの紙種が選択されていることを表示する3つのランプ、すなわち、普通紙が選択されていることを表示するランプ191a、厚紙が選択されていることを表示するランプ191b、および薄紙が選択されていることを表示するランプ191cからなる。紙種入力キー190を1回押すとランプ191aが点灯し、同190を2回押すとランプ191bが、同190を3回押すとランプ191cが点灯するというように、紙種入力キー190を1回押すごとに順次ランプの点灯が切り替わり、ユーザやオペレータが設定した紙種が、または各紙種検知センサ195,195−1,195−2により検知された紙種が選択されていることを表示するようになっている。
【0105】
図19において、符号88は主として孔版印刷装置100側の給紙制御を行うための本体給紙制御装置を、符号148はバンク給紙部200側の給紙制御を行うためのバンク給紙制御装置をそれぞれ示す。本体給紙制御装置88およびバンク給紙制御装置148は、共に図示を省略した、CPU(中央処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等をそれぞれ備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータをそれぞれ具備している。本体給紙制御装置88とバンク給紙制御装置148とは、相互にシリアル通信を行うことにより、オン/オフ信号やデータ信号、あるいは指令信号を送受信している。
【0106】
本体給紙制御装置88の上記CPU(以下、説明の簡明化を図るため、単に「本体給紙制御装置88」というときがある)は、上記入力ポートを介して、操作パネル90の上記した各種キー等と電気的に接続されていて、各種の出力信号を受信する。本体給紙制御装置88は、上記出力ポートを介して、操作パネル90の上記した各表示部等と電気的に接続されていて、各種の指令信号を送信してこれを制御する。
【0107】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、用紙先端センサ51と電気的に接続されていて、用紙先端センサ51から給紙モータ74を正転または逆転させて所定のたわみを作るための出力信号を受信する。本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、レジストセンサ52と電気的に接続されていて、レジストセンサ52からレジストローラ対33a,33bにおける用紙Pの滑り補償のための出力信号を受信する。
【0108】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、給紙開始センサ65と電気的に接続されていて、給紙開始センサ65から給紙モータ74やレジストモータ58を回転駆動するための出力信号(スタート信号)を受信する。
【0109】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、バンク給紙開始センサ66と電気的に接続されていて、バンク給紙開始センサ66からバンク給紙モータ107やバンクレジストモータ101を回転駆動するための出力信号(スタート信号)を受信して、これらの信号をバンク給紙制御装置148に転送する。
【0110】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、中間センサ上53や中間センサ下54と電気的にそれぞれ接続されていて、バンク給紙部200から給送された用紙Pの先端検知に係るデータ信号を中間センサ上53や中間センサ下54から受信する。
【0111】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、エンコーダセンサ61と電気的に接続されていて、エンコーダセンサ61から圧胴20の回転速度変動に係る出力パルス信号を受信する。
【0112】
本体給紙制御装置88は、上記入力ポートを介して、補助トレイ用紙サイズ検知センサ群50(図の簡明化を図るため図19のブロック図に図示せず)と電気的に接続されていて、補助トレイ用紙サイズ検知センサ群50から補助トレイ31上に積載されている用紙サイズ検知に係るデータ信号を受信する。
【0113】
本体給紙制御装置88は、上記出力ポートを介して、給紙モータ74に電気的に接続されていて、本体給紙用遮光板68と給紙開始センサ65との係合による給紙開始センサ65からの出力信号(スタート信号)に基づき、用紙Pの先端をレジストローラ対33a,33bに対して給送すべく給紙モータ74を正転駆動制御する給紙駆動制御手段としての機能を有する。
【0114】
本体給紙制御装置88は、本体レジスト用遮光板69と給紙開始センサ65との係合による給紙開始センサ65からのオン出力信号に基づき、用紙クランパ21の用紙くわえ位置にタイミングを合わせて用紙Pの先端を給送すべくレジストモータ58を起動制御した後、レジストセンサ52からの信号に基づき、レジストローラ対33a,33bにおける用紙Pの滑りを補償(以下、単に「スリップ量補正」というときがある)すべくレジストローラ対33a,33bの回転速度を速めると共に回転量を増加するようにレジストモータ58を制御し、この後、エンコーダセンサ61からの出力パルス信号に基づき、用紙クランパ21の回転位置にタイミングを合わせて用紙Pの先端を給送すべくレジストモータ58を制御すると共に、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでは、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1で用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58を制御し、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御し、印圧開始の直前では、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりもやや小さい第3の用紙搬送速度vp3で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御し、印圧開始の後では、レジストローラ33bが再び略第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するレジスト駆動制御手段としての機能を有する(請求項3、請求項8参照)。
【0115】
なお、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBは、従来技術例として示した図40、図42および図44における上記と略同部位に形成される用紙Pの先端部のたわみPB’と比較して、版胴1の外周面上のマスタ2と接触しない程度の制御されたたわみPBであることが相違し、これを明確に区別するために、その符号の相違をもって区別するものとする。
【0116】
この時、本体給紙制御装置88は、レジストモータ58へ出力される駆動パルス数およびそのパルス幅を変えることによりレジストモータ58を制御し、かつ、用紙Pのスリップ量補正後、エンコーダセンサ61からの出力パルス信号に応じながら、レジストモータ58へ出力される駆動パルス幅をさらに変えることによりレジストモータ58をフィードバック制御する機能を有する(請求項9、請求項10参照)。
【0117】
本体給紙制御装置88は、補助給紙部28からの給紙のときの第1の用紙搬送速度vp1をバンク給紙部200からの給紙のときのそれよりも大きくするようにレジストモータ58を制御する機能を有する(請求項4参照)。
本体給紙制御装置88は、本体レジスト用遮光板69と給紙開始センサ65との係合によるレジストモータ58を起動させるための給紙開始センサ65のオン時点に対応したエンコーダセンサ61からの出力パルス数と、レジストセンサ52により用紙Pの先端が検知された時点からレジストモータ58に供給された駆動パルス数とを逐次比較することによって、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみの量を認識する機能を有する(請求項11参照)。
【0118】
バンク給紙制御装置148は、上記入力ポートを介して、バンク上用紙サイズ検知センサ群50−1やバンク下用紙サイズ検知センサ群50−2と電気的に接続されていて、バンク上用紙サイズ検知群50−1やバンク下用紙サイズ検知群50−2で検出された用紙サイズ検知信号を本体給紙制御装置88に転送する。
【0119】
バンク給紙制御装置148は、上記入力ポートを介して、バンクレジストセンサ135やバンクフィードセンサ136とそれぞれ電気的に接続されていて、バンクレジストセンサ135やバンクフィードセンサ136で検知された用紙Pの先端検知に係るデータ信号を受信する。
【0120】
バンク給紙制御装置148は、上記入力ポートを介して、バンク上上限センサ137やバンク上下限センサ138とそれぞれ電気的に接続されていて、バンク上上下移動モータ141を制御するためのトレイ上143の上限位置や下限位置に係るオン/オフ信号を受信する。同様に、バンク給紙制御装置148は、上記入力ポートを介して、バンク下上限センサ139やバンク下下限センサ140とそれぞれ電気的に接続されていて、バンク下上下移動モータ142を制御するためのトレイ下145の上限位置や下限位置に係るオン/オフ信号を受信する。
【0121】
バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、バンク給紙モータ107と電気的に接続されていて、本体給紙制御装置88より転送されてきたバンク給紙開始センサ66からのバンク給紙モータ107を回転駆動するための出力信号(スタート信号)をバンク給紙モータ107に送信して、これを制御する。これと同様に、バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、バンクレジストモータ101と電気的に接続されていて、本体給紙制御装置88より転送されてきたバンク給紙開始センサ66からのバンクレジストモータ101を回転駆動するための出力信号(スタート信号)をバンクレジストモータ101に送信して、これを制御する。
【0122】
バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、バンク上上下移動モータ141と電気的に接続されていて、バンク上上限センサ137やバンク上下限センサ138からの上限位置や下限位置に係るオン/オフ信号に基づいて、トレイ上143を昇降すべくバンク上上下移動モータ141を制御する機能を有する。これと同様に、バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、バンク下上下移動モータ142と電気的に接続されていて、バンク下上限センサ139やバンク下下限センサ140からの上限位置や下限位置に係るオン/オフ信号に基づいて、トレイ下145を昇降すべくバンク下上下移動モータ142を制御する機能を有する。
【0123】
バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、レジストクラッチ104と電気的に接続されていて、バンクレジストモータ101の回転駆動力を適宜断接すべくレジストクラッチ104をオン/オフ制御する。これと同様に、バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、中間クラッチ117と電気的に接続されていて、バンク給紙モータ107の回転駆動力を適宜断接すべく中間クラッチ117をオン/オフ制御する。また、バンク給紙制御装置148は、上記出力ポートを介して、給紙クラッチ123と電気的に接続されていて、バンク給紙モータ107の回転駆動力を適宜断接すべく給紙クラッチ123をオン/オフ制御する。
【0124】
本体給紙制御装置88内の上記ROMには、前もって実験等により求められた図20および図21に示すタイミングチャートの制御動作内容および図22に示すレジストモータ58や給紙モータ74にそれぞれ出力する駆動パルスの可変制御内容、ならびに図28ないし図33に示すフローチャートの動作プログラムが予め記憶されている。上記ROMには、用紙先端センサ51からレジストローラ対33a,33bのニップ部までの一定の距離を給紙モータ74のパルス数に換算した値がデータとして予め記憶されている。また、レジストローラ対33a,33bのニップ部から圧胴20と版胴1とのニップ部までの一定の距離をレジストモータ58のパルス数に換算した値がデータとして予め記憶されている。
【0125】
また、上記ROMには、上記したようにレジストモータ58を制御するためのデータ(後述する図34(a),(b)に示す速度線図に係る用紙搬送速度制御パターン参照)等が予め記憶されている。なお、本体給紙制御装置88内の上記ROMに記憶されるデータ等は、適宜バンク給紙制御装置148内の上記ROMに分担させても構わない。
【0126】
本体給紙制御装置88内の上記RAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したり、各センサ51,52,65,66,53,54あるいはエンコーダセンサ61、あるいはバンク給紙制御装置148側からの各センサ群50−1,50−2や各センサ135,136等の出力データ信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。バンク給紙制御装置148内の上記RAMは、本体給紙制御装置88から転送された出力データ信号や上記CPUでの計算結果を一時記憶したりする。
本体給紙制御装置88内の上記タイマは、図20および図21に示す各遅れ時間Da,Db,Dc,Dd,De,Dfを設定したり計時・可変する機能を有する。
なお、図19に示した制御ブロック図には、上記した各駆動部の制御対象構成要素は省略しており、本実施形態1の給紙制御に係る主要な制御構成要素および制御対象構成要素を図示している。
【0127】
説明の便宜上から、まず、補助給紙部28を備えた孔版印刷装置100側の動作について説明する。
原稿読み取り部3に原稿がセットされ、製版スタートキー91が押されることにより、ホームポジションを占めていた版胴1が回転し、使用済みのマスタが版胴1の外周面から排版装置18により剥離され廃棄される。その後、版胴1は、マスタクランパ12が図2において略右横に位置する給版位置を占めた位置で停止し、マスタクランパ軸12aが回動されて、マスタクランパ12が開かれ、給版待機状態となる。
【0128】
次いで、製版書込み部19のパルスモータ6が駆動されることにより、プラテンローラ9が回転され始め、マスタ2が繰り出されつつ搬送される。一方、原稿読み取り部3においてスキャナ(図示せず)が作動することにより、原稿の画像が読み取られ、上記A/D変換部および上記製版制御部で処理されて送出されるデジタル画像信号によって、サーマルヘッド17の発熱素子が選択的に発熱され、マスタ2が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔され始める。
【0129】
マスタ2が、プラテンローラ9の回転により搬送され、マスタ2の先端部が、給版待機状態で拡開しているマスタクランパ12へ向けて送出される。パルスモータ6のステップ数がある設定値に達すると、マスタクランパ軸12aが回動されることでマスタクランパ12が閉じられて、製版済みのマスタ2の先端部がマスタクランパ12に挾持される。
【0130】
このクランプ動作と同時に版胴1と圧胴20とが、マスタ2の搬送速度と略同じ周速度で回転され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が巻装されていく。版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が所定長さ巻装されると、版胴1、圧胴20、プラテンローラ9の回転が停止する。この停止動作と同時に、カッタ駆動モータ7が回転されて偏心カム8が上方のカッタ部材4を下降させ、マスタ2を切断する。そして版胴1が再び時計回り方向に回転され、切断されたマスタ2の後端(図示せず)が、製版書込み部19から引き出され、版胴1の外周面に製版済みのマスタ2が完全に巻き取られる。
【0131】
続いて、用紙Pの搬送手順について、図20、図21のタイミングチャート、図23ないし図27、図28ないし図33のフローチャートおよび図34を併用しながら説明する。なお、図20のタイミングチャートでは、孔版印刷装置100側の補助給紙部28とバンク給紙部200側との両方の給紙動作タイミングが表されており、これを見やすくするために、版胴1がホームポジションを占めると共に、圧胴20がホームポジションを占める回転位置θ’=0°を境界として、孔版印刷装置100側の補助給紙部28による給紙動作タイミングを左側に、バンク給紙部200側の給紙動作タイミングを右側にそれぞれ記載している。図21のタイミングチャートでは孔版印刷装置100側における補助給紙部28の詳細な給紙動作タイミングと上記各給紙部28,200に略共通するレジストローラ対33a,33b回転以降の給紙動作タイミングとをそれぞれ表していて、図20のタイミングチャートと一部重複する部分を含んでいる。
【0132】
まず、図28のステップS1で、給紙開始可能状態であるか否かが判断される。すなわち、図2において、版胴1内のインキ供給装置22により印刷が可能となる適度なインキ溜り16が形成され、製版スタートキー91を押下することで、印刷可能状態にあるかどうかが判断される。ここで、印刷可能状態となっていれば、ステップS2に進んで、バンク給紙部200から給紙がなされるか否かが判断される。これは、操作パネル90の用紙サイズ入力キー98および設定キー95の押下によりまたは自動的に、補助給紙部28の補助トレイ31、バンク上給紙部201のトレイ上143またはバンク下給紙部202のトレイ下145からの給紙およびその用紙サイズの選択・設定を行うことでなされる。ここで、バンク給紙部200からの給紙ではない補助給紙部28から給紙がなされるときにはステップS3に進み、補助トレイ31からの給紙ルーチンの実行がなされる。以下、説明の都合から、補助トレイ31からの給紙ルーチンの実行に係る給紙動作を述べた後、ステップS30以降のバンク給紙部200内給紙ルーチンの実行に係る給紙動作を述べる。
【0133】
図30のフローチャートにおいて、圧胴20が、図20および図21(a)および図23に示すように、反時計回り方向に回転し、その圧胴20の回転位置でθ’=194°を占めたとき、本体給紙用遮光板68が給紙開始センサ65を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力されると、このオン出力信号入力時から一定の遅れ時間(以下、「ディレイ」と言い替えるときがある)Daを経過した後、給紙モータ74が正転駆動される。これにより、分離ローラ32は時計回り方向に回転されると同時に、呼出しローラ30の同方向の回転により用紙Pが給送され、分離ローラ32と分離パッド34とで用紙Pの重送が防止されて、最上位の1枚の用紙Pだけがレジストローラ対33a,33bに向けて送られる(ステップS4〜ステップS6参照)。
【0134】
そして、図21(b)に示すように、分離ローラ32から横給紙路RXの下流側にXamm下った部位に位置する用紙先端センサ51によって、用紙Pの先端が検知されると、用紙先端センサ51がオンし、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力される。このときの用紙Pの送り量は、図5および図24に示すように、用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に衝突して所定量の湾曲したたわみPAが形成されるように、本体給紙制御装置88からの指令により、所定の駆動パルスが上記モータ駆動回路を介して給紙モータ74に出力されることによってXcmmだけ用紙Pを送り出すようになっている(たわみ量調整)。これにより、用紙Pの先端が図24に示すように上方に所定量のたわみPAが形成された時点で、給紙モータ74の回転が停止されることにより、分離ローラ32と呼出しローラ30とが停止する。
この所定量のたわみPAは、レジストローラ対33a,33bの回転による用紙Pのスキュー、不送りを発生することなく、かつ、たわみ量が適正で静音化を図れる一定の範囲内に予め実験等で設定されている。この所定量のたわみPAは、本体給紙制御装置88からの指令によって、補助給紙部28の給紙手段29による用紙Pの送り量をバンク給紙部200からのそれよりも大きくするように給紙モータ74を正転駆動制御することでなされる。
【0135】
補助給紙部28の給紙手段29による用紙Pの送り量をバンク給紙部200からのそれよりも大きくするのは、補助給紙部28の補助トレイ31上からの給紙であると、たわみPAの形成部が図5に示したようにスペース上広く、また横給紙路RXにおけるガイド板38の湾曲部上方が開放されているためたわみ形成に十分な余裕をもつことができること、および使用する紙種が上述したように多種に亘ることからである。これに対し、バンク給紙部200からの給紙であると、その用紙搬送経路の制約上から、すなわちたわみPAの形成部が図6に示したようにスペース上非常に狭く、また縦給紙路RZの上部におけるたわみPAの形成部が閉ざされている状態であり、このような条件の下で用紙Pの先端をレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当ててたわみを形成しなければならないからである。
【0136】
この用紙Pの送り量Xcは、実施例的にいうと、レジストローラ対33a,33bのニップ部と用紙先端センサ51との間の横給紙路RX上の距離19mmに+6mmを加えた25mmの送り量(給紙モータ74のパルス数に換算すると、用紙先端センサ51がオン後、80パルスに相当する。但し、1パルス当たりその送り量が0.314mmに相当する。)となるように設定されている。本体給紙制御装置88では、上記送り量に対応して給紙モータ74を制御するように、上記送り量に対応したステップ数に変換する計算を行い、給紙モータ74に指令信号を送出することで、所定のたわみPAが形成されるだけ用紙Pが分離ローラ32の回転により送られる(ステップS7〜ステップS9参照)。
【0137】
このような本体給紙制御装置88による特有のたわみ量調整によって、用紙Pの先端が一定の送り速度でレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に衝突し、かつ、所定量のたわみPAを形成する一定の用紙Pの送り量となるように給紙モータ74が制御されるので、印刷速度に関係なく安定したたわみ量調整を行うことができる。
【0138】
ここで、上記した一定のディレイDaとしては、最大用紙長さ447mmの後端が給紙前面板35を抜け切るのが圧胴20の回転位置でθ’=約200°であり、このときの余裕度を考慮して圧胴20の回転角度で約10°以上に設定することが望ましい。このように、本体給紙用遮光板68との係合による給紙開始センサ65のオン出力信号の出力開始時点と、給紙モータ74が駆動開始される駆動開始時点との間に所定のディレイDaを設けたことにより、マシン間のバラツキの補正をしやすくしたり、ソフトウェア的に制御をしやすい利点がある。また、ディレイDaは、圧胴20の回転位置θ’=194°における給紙開始センサ65のオンをトリガにして、給紙モータ74の動作タイミングを作る上で有益である。
【0139】
次いで、図20、図21(a)および図25に示すように、圧胴20がさらに反時計回り方向に回転し、その回転位置θ’=307°を占めたとき、本体レジスト用遮光板69が給紙開始センサ65を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力され、このオン出力信号入力時から一定のディレイDbを経過した後、レジストモータ58と同時に給紙モータ74がそれぞれ回転駆動される。
この時、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(a)に示すように、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでは、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1=1.4×va(mm/s)、すなわち圧胴20の周速度va(もしくは線速度va)の1.4倍の用紙搬送速度vpで用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58を制御する。
ここで、説明が前後するが、後述する実施形態2の一実施例を示す図35(a),(b)や実施形態3の一実施例を示す図36(a),(b)を含め、図34(a),(b)の速度線図に係るグラフの概要を説明しておく。各図において左側に示す図34(a)、図35(a)、図36(a)には本体側給紙時の用紙搬送速度vp(mm/s)の速度線図が、各図において右側に示す図34(b)、図35(b)、図36(b)にはバンク側給紙時の用紙搬送速度vp(mm/s)の速度線図がそれぞれ表されている。図34(a),(b)、図35(a),(b)、図36(a),(b)において、縦軸にはレジストモータ58の回転速度f(pps)に対応して換算されるレジストローラ33bの用紙搬送速度vp(mm/s)が、横軸には圧胴20の回転位置(θ’)がそれぞれ取られていて、縦軸のvaの値は圧胴20の周速度(mm/s)を表している。
なお、図34(a),(b)、図35(a)(b)および図36(a),(b)は、あくまでも各実施形態の一実施例であって、各実施形態がその実施例に限定されるものではないことを付記しておく。
【0140】
レジストモータ58が上記したように回転駆動されることにより、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転され、圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙Pの先端の給送を開始すると共に、給紙モータ74が上記したように回転駆動されることにより、分離ローラ32を同時に低速で少しの間(給紙モータ74の回転数で30パルスの駆動パルス分に相当する)回転させることで用紙Pのたわみが急激に消滅するときに生じる騒音を低減している(図30のフローチャートでは(たわみ消し)と記載している)。給紙モータ74は、30パルス回転した後、停止する(ステップS10〜S15参照)。
【0141】
上記したディレイDbは、圧胴20の回転位置θ’=307°における給紙開始センサ65のオンをトリガにして、レジストモータ58の動作タイミングを作る上で有益である。
【0142】
レジストローラ対33a,33bの回転により、図21(c)に示すように、用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たっている位置から、Xbmm(実施例的には19mmに相当する)分だけ横給紙路RXの下流側に搬送されると、レジストセンサ52がオンし、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力される(ステップS16参照)。この時、レジストローラ対33a,33bのニップにおける用紙Pの突き当て位置からレジストセンサ52取り付け位置までの距離は一定であるため、レジストモータ58の駆動パルスカウントは一定のはずであるが、特にレジストローラ対33a,33bの回転初期はスリップが発生しやすい。このため、レジストセンサ52がオンするまでの駆動パルスカウントは、1枚ごとに変わる可能性がある。そこで、本体給紙制御装置88は、レジストセンサ52がオンするまでの駆動パルスカウントから、用紙Pの遅れを判断し、その後のレジストモータ58の回転速度を速めると共にその回転量を増加させてスリップ量補正をしている。
【0143】
換言すれば、本体給紙制御装置88は、レジストモータ58の回転駆動により用紙Pを搬送してレジストセンサ52をオンさせるのに要した駆動パルス数のカウントを行い、レジストモータ58に対して、用紙Pの先端をXdmm相当搬送させるための駆動パルスを上記モータ駆動回路を介して出力するように制御したものとして、レジストローラ対33a,33bにおける用紙Pのスリップ量=(Xd−Xb)mmに応じて、レジストモータ58の回転量を増加させるべく駆動パルス数を増加させる共に、併せてレジストモータ58の回転速度(pps)を速めるべく駆動パルス幅を狭くするように調節するスリップ量補正を行う。
【0144】
これをさらに例示的に説明すると以下のとおりである。上記したように、レジストセンサ52とレジストローラ対33a,33bのニップ部までの横給紙路RX上の距離は、一定で予め決められている。よって、この距離に対応した分用紙Pを搬送すべくレジストローラ33bを回転させるためのレジストモータ58の駆動パルス数も一定である。例えば、紙質を変えることで、レジストローラ33bが回転してから所定の駆動パルス数になっても、レジストセンサ52がオンせず、用紙Pがスリップした場合には、本体給紙制御装置88では、レジストセンサ52が実際にオンした駆動パルス数から所定の駆動パルス数のその差分だけ多く送るようにレジストモータ58に指令信号を送出するのである。これと併せて、レジストモータ58の回転速度を速めるべく駆動パルス幅を狭くするのである。
【0145】
このスリップ量補正の制御は、図22に示すように、本体給紙制御装置88は、レジストモータ58へ出力される駆動パルス数(p1〜p4)およびそのパルス幅(t1〜t4)を共に変えることにより、レジストモータ58を制御することで行われる。
【0146】
上記したスリップ量補正終了後、本体給紙制御装置88は、エンコーダセンサ61からの出力パルス信号を取り込みつつこれに応じながら、用紙クランパ21の用紙くわえ位置にタイミングを合わせて用紙Pの先端を給送すべくレジストモータ58を制御する、いわゆるフィードバック制御(図21(a)では符号FBCで表されている)を行う。
【0147】
上述したように、レジストモータ58が1パルスで用紙Pを送る用紙送り量と、エンコーダ60の1パルス幅に対応する圧胴20の外周移動量とは、同じに設定されている。これにより、例えば、本体給紙制御装置88は、圧胴20に固定されたエンコーダ60の1パルス幅に要する時間を本体給紙制御装置88内の上記タイマで検出し、圧胴20側の負荷変動等によりエンコーダ60の1パルスに要する時間が長くなった場合、レジストモータ58を減速する。これと反対に、本体給紙制御装置88は、エンコーダ60の1パルスに要する時間が短くなった場合、レジストモータ58を増速してやるというフィードバック制御FBCを行っている。
【0148】
換言すれば、本体給紙制御装置88は、圧胴20の負荷変動等に伴う回転ムラとして圧胴20の周速度vaをエンコーダセンサ61で検知されるパルス変動で常に追跡し、このパルス変動に追従して、レジストモータ58の回転速度を可変制御するという上記パルスエンコーダを用いたフィードバック制御FBCを行っている。この時、圧胴20の回転位置の検出は、エンコーダセンサ61で検知されるパルス数で検出し、圧胴20の周速度vaの検出は、エンコーダセンサ61で検知される周期時間tで検出する。本体給紙制御装置88は、図22に示すように、レジストモータ58へ出力される駆動パルス幅(t1〜t4)をさらに変えることにより、レジストモータ58をフィードバック制御FBCし、レジストずれを少なくして印刷レジスト精度の向上を図っている(ステップS17参照)。
【0149】
圧胴20は、メインモータ150の駆動によって、操作パネル90に設けられている印刷速度設定キー96によりまたは自動的に設定された設定印刷速度値に応じた回転速度(周速度va)で回転している。用紙Pは、上記したように圧胴20の周速度vaの1.4倍の送り速度(第1の用紙搬送速度vp1でもある)で搬送され、圧胴20の用紙クランパ21が閉じようとしたとき、用紙クランパ21に追いつき(ステップS18参照)、後述するように圧胴20の周速度vaと略同じ第2の用紙搬送速度vp2になる。なお、図28ないし図32の各フローチャートでは、説明の簡明化を図るため、用紙搬送速度vpを単に搬送速度と記載している。
【0150】
圧胴20の用紙クランパ21は、図20および図21(a)に示す所定のタイミング(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=350.5°を占めたとき)で開く。
上記したような本体給紙制御装置88によるエンコーダ・フィードバック制御FBC下において、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転されることにより、上のレジストローラ33aが用紙Pを介して時計回り方向に従動回転されることによって、図26に示すように、用紙PのたわみPA(破線で示す)が消滅していく。このとき、各ワンウェイクラッチ67の作用により、分離ローラ32と呼出しローラ30とが用紙Pの搬送によって従動回転しながら、用紙Pの先端が圧胴20の用紙クランパ21に向けて搬送され、用紙クランパ21のストッパ爪163に突き当たり衝突する。
【0151】
このタイミングに合わせ、圧胴20の用紙クランパ21は、図21(a)および図26ないし図27に示すように、用紙Pの先端部をくわえ・挾持した後、用紙クランパ21は閉じられ(実施例的にいうと、圧胴20が回転位置θ’=10°(370°)を占めたとき)、こうして圧胴20は、用紙Pを圧胴20の外周面に保持したまま回転し、用紙Pの先端部が版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間の印刷部に搬送される。
【0152】
次いでステップS19に進み、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(a)に示すように、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1=1.4×va(mm/s)よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2=1.03×va(mm/s)で用紙Pを送り出すように、すなわち圧胴20の周速度vaの1.03倍の用紙搬送速度vpで用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58が制御される。
【0153】
次いで、ステップS20において、圧胴20が、回転して印圧オンする圧胴20の回転位置(θ’=42°)に至る手前の印圧開始の直前の回転位置(θ’=30°)を占めたとき、図31に示すフローチャートのステップS21に進む。ステップS21において、本体給紙制御装置88は、レジストセンサ52により用紙Pの先端が検知された後においては、本体レジスト用遮光板69と給紙開始センサ65との係合によるレジストモータ58を起動させるための給紙開始センサ65のオン時点に対応したエンコーダセンサ61からの出力パルス数と、レジストセンサ52により用紙Pの先端が検知された時点からレジストモータ58に供給された駆動パルス数とを逐次比較することによって、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成された用紙Pの先端部のたわみPBの量を計算し認識している。そして、本体給紙制御装置88は、上記したようにして認識したたわみPBの量に応じて、レジストモータ58の回転速度を減速することにより、用紙Pの先端部のたわみPBを消す制御を行う。これを具体的に実施例的に述べると、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(a)に示すように、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりもやや小さい第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58が制御されることとなる。
なお、第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)は、あくまでも一例であって、上述した本体給紙制御装置88によるたわみPB量の認識によって、例えばそのたわみPB量の大きさに応じて、0.93〜0.95×va(mm/s)の範囲に可変制御してもよい。
【0154】
版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間に搬送された用紙Pに対して、図27に示すように、上記接離手段の印圧スプリング26a,26bにより圧胴20が版胴1の外周面に押圧する上向きに揺動変位されることでニップ部が形成されると共に、圧胴20の外周面が用紙Pを版胴1の外周面に対して押圧、すなわち印圧オンする(ステップS22参照)。
印圧オンした印圧開始の後では、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(a)に示すように、レジストローラ33bが再び略第2の用紙搬送速度vp2≒1.03×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58が制御される(ステップS22、S23参照)。
【0155】
こうして、圧胴20の外周面の押圧によって、回転する版胴1の外周面に巻装された製版済みのマスタ2に用紙Pが連続的に押圧されることにより、製版済みのマスタ2が版胴1の外周面に密着すると共に、版胴1の開孔部分から製版済みのマスタ2の穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙Pの表面に転移され、孔版印刷が行われる。
【0156】
このとき、インキローラ13も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜り16のインキは、インキローラ13の回転によりインキローラ13の表面に付着され、インキローラ13とドクターローラ15との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
【0157】
この間も、本体給紙制御装置88により、上記したパルスエンコーダ・フィードバック制御FBCが行われている。そして、本体給紙制御装置88により、上記ROMに記憶された分だけレジストモータ58が回転駆動された(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=75°(435°)を占めるまで)と判断されると、レジストモータ58の回転が停止し、本体給紙制御装置88によるフィードバック制御FBCが終了し、給紙状態管理ルーチンへと移行する(ステップS24〜S26参照)。
圧胴20がさらに回転し、排紙爪81の手前の用紙排出位置(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=81.2°(441.2°)を占める位置)で、用紙クランパ21が開放されると、印刷された用紙Pが排紙爪81により剥離され、搬送ベルト85で搬送されて排紙台82上に排出積載される。こうして、製版済みのマスタ2にインキを充填する所謂版付けが行われると共に、版胴1が圧胴20から離間して初期状態に復帰し、印刷待機状態となる。
【0158】
印刷終了後、オペレータは排出された印刷物を目視して、印刷画像品質の確認や印刷画像位置の確認等を行い、これらがオーケーであれば、テンキー93で印刷枚数を設定し、印刷スタートキー92を押下することにより、給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷枚数分繰り返して行なわれ、孔版印刷の全工程が終了する。この時の印刷速度は、印刷速度設定キー96を押下しなかったので、通常使用される印刷速度に対応した標準印刷速度「設定印刷速度:3速」に自動的に設定される。これにより、版胴1および圧胴20は、設定印刷速度:3速に対応した印刷速度となるようにメインモータ150により回転される。用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部より給送された後の給紙および印刷の各工程は、「設定印刷速度:3速」に対応した用紙搬送速度および印刷速度で、上述した用紙Pの特有の搬送動作および印刷動作が行われる。
【0159】
ここで、上記したように本体レジスト用遮光板69と給紙開始センサ65とが係合することにより生じるオン出力信号の出力開始時点と、レジストモータ58が駆動開始される駆動開始時点との間に設けた一定のディレイDbは、マシン間のバラツキの補正をしやすくしたり、ソフトウェア的に制御をしやすくしたりするのに利用することができる。
【0160】
このように、本実施形態1およびその実施例では、本体側給紙時において、上述したような特有の用紙搬送速度制御方式を採用しているものである。そして、説明が前後するが、後述する実施形態3の実施例では、印圧開始の直前から印圧開始以降においてクランプ抜けを防止するために若干のたわみPBを形成しているため、機械間のバラツキにより、たわみPBを最小にするために第2の用紙搬送速度vp2を最適な特定値に設定するのが難しいことや、用紙Pの先端部に画像ダブリを生じるおそれがあるが、本実施形態1の実施例では、本体給紙制御装置88が、印圧開始の直前に、第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するというように、機械間のバラツキに対して余裕ある第2の用紙搬送速度を設定することができると共に、用紙搬送速度vpが圧胴20の周速度vaよりも減速されるので、クランプ抜けを起こすことなく、上記若干のたわみPBを消すことができる。
また、後述する実施形態2では、印圧開始の後において圧胴20の周速度vaよりも遅い第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)のままで用紙Pを送り出しているので、用紙クランパ21のクランプ力が小さいと印圧が入っているときにクランプ抜けを生じてしまうおそれがあるが、本実施形態1では、そのようなことがないように、本体給紙制御装置88が、印圧開始の後、レジストローラ33bが再び略第2の用紙搬送速度vp2≒1.03×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御することにより、印圧が入った後用紙クランパ21に対する負荷(ブレーキ)とならない。
【0161】
したがって、本実施形態1によれば、本体側給紙時において、用紙Pの先端部を用紙クランパ21によりクランプしながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみPBを形成できるので、クランプ抜けを生じたり、レジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみPBが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる利点があり、本実施形態1の実施例は、後述する実施形態2や3等の実施例を含めて、それらの中で最も好ましいと言える。
【0162】
次に、図28のステップS30以降のバンク内給紙ルーチンの実行に係る給紙動作を述べる。バンク内給紙ルーチンの実行では、バンク給紙部200の内部において用紙Pの搬送速度が一定の状態で給紙動作が行われる。以下、図32および図33を参照して、バンク給紙部200内の給紙動作を述べる。
バンク給紙部200内の給紙動作は、図32のステップS60以降に示されている。まず、操作パネル90の用紙サイズ入力キー98および設定キー95の押下によりまたは自動的に、バンク上給紙部201のトレイ上143またはバンク下給紙部202のトレイ下145からの給紙およびその用紙サイズの選択・設定が行われる。ここで、バンク上給紙部201からの給紙であるか否かが判断され、用紙サイズ入力キー98および設定キー95の押下によりまたは自動的に、バンク下給紙部202のトレイ下145およびこのトレイ下145に積載されている用紙Pの用紙サイズが選択・設定されると、バンク下上下移動モータ142の作動によってトレイ下145が上昇して、バンク下上限センサ139によりトレイ下145の最上位の用紙Pが給紙位置に臨んだことが検知され、これにより給紙可能状態となる(ステップS61参照)。なお、上述したように、用紙サイズ入力キー98および設定キー95の押下によりまたは自動的に、バンク下給紙部202のトレイ下145およびこのトレイ下145に積載されている用紙Pの用紙サイズが選択・設定される時には、前もって、トレイ下145に積載されている用紙Pの用紙サイズが用紙サイズ検知センサ群50−2により検出されており、以下これと同様の動作段階でのその説明を省略する。
【0163】
そして、ステップS62において、圧胴20が回転始動時にあってそのホームポジションを占めているか否かが判断され、圧胴20が図2および図13(a)に示すようにその回転位置でθ’=0°を占めたとき、バンク給紙用遮光板70がバンク給紙開始センサ66を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力され、本体給紙制御装置88からバンク給紙制御装置148にシリアル送信でバンク給紙開始センサ66(圧胴20の回転位置θ’=0°)がオンしたことが通知される(ステップS63参照)。
次いで、ステップS64において、バンクフィードセンサ136がオンしているか否かが判断される。ここでは、給紙開始2枚目以降の前に給送された用紙Pの後端がバンクフィードセンサ136を抜けているか否かを判断することによって、今、搬送している用紙Pの先端が前に給送された用紙Pの後端に追いつき衝突してジャムするのを防止する。バンクフィードセンサ136がオンしていれば、前に給送された用紙Pの後端がバンクフィードセンサ136を抜けていないと判断されるので、前に給送された用紙Pの後端がバンクフィードセンサ136を抜けてバンクフィードセンサ136がオフするまで前に給送された用紙Pの搬送が行われる。そして、バンクフィードセンサ136がオンしていないオフのときには、前に給送された用紙Pの後端がバンクフィードセンサ136を通過していると判断されるので、給紙クラッチ123をオンすることによりバンク給紙モータ107の回転駆動力を給紙手段29−2に伝達可能状態にし、中間クラッチ117をオンすることで、バンク給紙モータ107の回転駆動力を中間ローラ対118a,118bに伝達可能状態にする(ステップS65,S66参照)。
次いで、バンク給紙モータ107を逆転駆動することにより、図15において、中間ローラ対118a,118bが回転し、前に給送された用紙Pの後端が縦給紙路RZの下流側であるバンクレジストローラ対106a,106bへと搬送されていく。これと同時に、給紙手段29−2によるピックアップが開始される。すなわち、図16におけるバンク上下給紙部切換駆動機構125Bの動作を介して、給紙手段29−2の分離ローラ32および呼出しローラ30を図16において時計回り方向(図15では反時計回り方向)に回転駆動することで、トレイ下145に積載されている最上位の用紙Pの1枚だけが横給紙方向X1に送り出される(ステップS67参照)。
なお、ステップS62においては、図20に示すように、バンク給紙開始センサ66(圧胴20の回転位置θ’=0°)のオン出力信号入力時から一定のディレイDcを経過した後、バンク給紙モータ107が逆転駆動される。
【0164】
次いで、図33に示すフローチャートのステップS68に進み、バンクフィードセンサ136がオンしているか否かが判断される。ここでは、今、搬送している用紙Pの先端がバンクフィードセンサ136に到達したか否かを判断している。バンクフィードセンサ136がオンしているときには、今、給送している用紙Pの先端がバンクフィードセンサ136を通過したと判断されるので、バンク給紙モータ107を指定ステップ数逆転駆動することにより、給紙手段29−2の分離ローラ32および呼出しローラ30と中間ローラ対118a,118bとがバンク給紙モータ107の指定ステップ数の逆回転に対応した用紙搬送距離となる分だけ回転した後、バンク給紙モータ107の駆動を停止し、次いで給紙クラッチ117をオフする。この給紙クラッチ117のオフにより、これより以降の給紙動作ではバンク給紙モータ107から分離ローラ32および呼出しローラ30へはその回転駆動力は伝達されず、今、搬送されている用紙Pの後端部が分離ローラ32および呼出しローラ30の圧接下にあるときには、用紙Pの搬送によって分離ローラ32および呼出しローラ30が連れ回りすることとなる。(ステップS68〜S70参照)。
【0165】
次いで、ステップS71において、前に給送された用紙Pの後端がバンクレジストセンサ135を抜けたか否かが判断される。ステップS64で述べたと同様の理由、すなわち、今、搬送している用紙Pの先端が前に給送した用紙Pの後端に追いつき衝突してジャムすることがあるので、これを防止するための確認動作が行われる。バンクレジストセンサ135がオンしていないオフのときには、前に給送された用紙Pの後端がバンクレジストセンサ135を抜けていると判断されるので、レジストクラッチ104をオンし、一方、バンク給紙モータ107を逆転駆動する(ステップS72,S73参照)。
次いで、ステップS74に進み、バンクレジストセンサ135がオンしているか否かが判断される。ここでは、今、搬送している用紙Pの先端がバンクレジストセンサ135に到達したか否かを判断している。バンクレジストセンサ135がオンしているときには、今、給送している用紙Pの先端がバンクレジストセンサ135を通過したと判断されるので、バンク給紙モータ107を指定ステップ数逆転駆動することにより、中間ローラ対118a,118bを所定量回転させ、これにより用紙Pの先端をバンクレジストローラ対106a,106bのニップ部直前の部位に突き当て、バンクレジストローラ対106a,106bにおける用紙Pの先端部に適度なたわみを形成した後、バンク給紙モータ107の逆転駆動を停止する(ステップS74〜S76参照)。次いで、バンクレジストモータ101を数ステップ正転駆動することにより、用紙Pの先端部をバンクレジストローラ対106a,106bのニップ部でくわえさせ、用紙Pの先端部をその状態で保持・待機させ、中間クラッチ117をオフする(ステップS77,S78参照)。
【0166】
次いで、圧胴20が反時計回り方向に回転し、その圧胴20の回転位置でθ’=104°を占めたとき、バンクレジスト用遮光板71がバンク給紙開始センサ66を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力され、本体給紙制御装置88からバンク給紙制御装置148にシリアル送信でバンク給紙開始センサ66がオン(圧胴20の回転位置でθ’=104°)したことが通知される(ステップS79,S80参照)。この後、前に給送された用紙Pの後端に追いつかないようにするために、ディレイDdが設定されている(ステップS81参照)。次いで、バンクレジストモータ101を指定ステップ数回転駆動させることにより、用紙Pの先端を中間搬送ローラ対55a,55bおよびレジストローラ対33a,33bに向けて給送する。そして、バンクレジストモータ101の回転駆動を停止した後、レジストクラッチ104をオフして、バンク給紙状態管理ルーチンへ移行する(ステップS82〜S85参照)。
ディレイDdは、バンク給紙開始センサ66のオン出力時点とバンクレジストモータ101の回転駆動時点との間に設けられ、圧胴20の回転位置でθ’=104°でのバンク給紙開始センサ66オンをトリガにして、バンクレジストモータ101の動作タイミングを作っているものである。
【0167】
一方、ステップS60において、バンク上給紙部201のトレイ上143およびこのトレイ143に積載されている用紙Pの用紙サイズが上記したと同様にして選択・設定されると、バンク上上下移動モータ141の作動によってトレイ上143が上昇して、バンク上上限センサ137によりトレイ上143上の最上位の用紙Pが給紙位置に臨んだことが検知され、これにより給紙可能状態となる(ステップS86参照)。
【0168】
そして、圧胴20がその回転位置でθ’=0°を占めたとき、上記したステップS63の動作と同様に、バンク給紙用遮光板70がバンク給紙開始センサ66を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力され、本体給紙制御装置88からバンク給紙制御装置148にシリアル送信でバンク給紙開始センサ66(圧胴20の回転位置θ’=0°)がオンしたことが通知される(ステップS87,S88参照)。次いで、ステップS89において、前に給送された用紙Pの後端がバンクレジストセンサ135を抜けたか否かが判断される。ここでは、ステップS71で述べたと同様の理由により、前に給送された用紙Pの後端がバンクレジストセンサ135を抜けたか否かをみているものである。バンクレジストセンサ135がオンしていないオフのときには、前に給送された用紙Pの後端がバンクレジストセンサ135を抜けていると判断されるので、用紙Pを給送しても問題がないので、バンク給紙モータ107を正転駆動することにより、図15において給紙手段29−1によるピックアップが開始される。すなわち、図16におけるバンク上下給紙部切換駆動機構125Bの動作を介して、給紙手段29−1の分離ローラ32および呼出しローラ30を図16において時計回り方向に回転駆動することで、トレイ143に積載されている最上位の用紙Pの1枚だけが横給紙方向X1に送り出される(ステップS90参照)。
【0169】
次いで、ステップS91に進み、バンクレジストセンサ135がオンしているか否かが判断される。ここでは、今、搬送している用紙Pの先端がバンクレジストセンサ135に到達したか否かを判断している。バンクレジストセンサ135がオンしているときには、今、給送している用紙Pの先端がバンクレジストセンサ135に到達していると判断されるので、バンク給紙モータ107を指定ステップ数正転駆動することにより、分離ローラ32および呼出しローラ30を所定量回転させ、これにより用紙Pの先端をバンクレジストローラ対106a,106bのニップ部直前の部位に突き当て、バンクレジストローラ対106a,106bにおける用紙Pの先端部に適度なたわみを形成した後、バンク給紙モータ107の正転駆動を停止する(ステップS92,S93参照)。次いで、バンクレジストモータ101を数ステップ正転駆動することにより、用紙Pの先端部をバンクレジストローラ対106a,106bのニップ部でくわえさせ、用紙Pの先端部をその状態で保持・待機させる(ステップS94参照)。次いで、ステップS79に進み、以下上述したと同様の動作が行われる。
【0170】
次に、図28のフローチャートのステップS31以降の給紙動作を図23ないし図27および図34(b)を併用しながら説明する。なお、図23ないし図27において、バンク給紙部200からの用紙Pの搬送状態を仮想線で表す。ステップS31ないしステップS33までの動作は、図33におけるステップS79ないしステップS81までの動作と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS34において、バンクレジストモータ101を回転駆動させることにより、バンクレジストローラ対106a,106bが回転され、用紙Pの先端が図1における中間センサ下54近傍まで搬送され、中間センサ下54がオンして用紙Pの先端が検知されると、給紙モータ74が逆転駆動されることにより、図23および図24に示すように、中間搬送ローラ対55a,55bが回転する(ステップS35,S36参照)。
【0171】
ここで、図20に示すように、バンクレジストモータ101の回転駆動時点と給紙モータ74の逆転駆動時点との間には、所定のディレイDfが設けられている。このディレイDfは、給紙モータ74の回転駆動時間をできるだけ短縮化して抑えるべく設けられているものである。すなわち、本実施形態1では図20のタイミングチャートからも明らかなように、給紙モータ74が回転駆動する時間が比較的長くなることが容易に推測され、これから生じるそのモータ駆動回路の過熱等によって給紙モータ74の脱調等が発生するのを防止するために、ディレイDfを設けている。給紙モータ74が回転駆動する時間が短ければ、ディレイDfを設けなくても構わない。
【0172】
次いで、中間搬送ローラ対55a,55bの回転により、用紙Pの先端が縦給紙路RZの下流側へと搬送されて、中間センサ上53により用紙Pの先端が検知され、さらに用紙Pの先端が縦給紙路RZの下流側へと搬送される。そして、ステップS37において、用紙先端センサ51により搬送されてきた用紙Pの先端が検知される。用紙Pの先端が用紙先端センサ51に至ると、用紙先端センサ51がオンし、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力される。
【0173】
このときの中間搬送ローラ対55a,55bによる用紙Pの送り量は、図6に示すように、用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に衝突して所定量の湾曲したたわみPAが形成されるように、本体給紙制御装置88からの指令により、補助給紙部28、バンク上給紙部201およびバンク下202の何れの給紙部からの給紙であるか、また用紙サイズに応じて、適度なたわみを作るような所定の駆動パルスが上記モータ駆動回路を介して給紙モータ74に出力されることによって、所定の送り量だけ用紙Pを送り出すようになっている(ステップS38参照)。
【0174】
この所定量のたわみPAは、レジストローラ対33a,33bの回転による用紙Pのスキュー、不送りを発生することなく、かつ、たわみ量が適正で静音化を図れる一定の範囲内に予め実験等で設定されている。この所定量のたわみPAは、本体給紙制御装置88からの指令によって、バンク上給紙部201からの給紙にける用紙Pの送り量をバンク下給紙部202からのそれよりも大きくするように給紙モータ74を逆転駆動制御することでなされる。
このような本体給紙制御装置88による特有のたわみ量調整によって、用紙Pの先端が一定の送り速度でレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に衝突し、かつ、所定量のたわみPAを形成する一定の用紙Pの送り量となるように給紙モータ74が制御されるので、印刷速度に関係なく安定したたわみ量調整を行うことができる。
【0175】
次いで、図20および図21(a)に示すように、圧胴20がさらに反時計回り方向に回転し、その回転位置θ’=307°を占めたとき、本体レジスト用遮光板69が給紙開始センサ65を通過することにより、そのオン出力信号が本体給紙制御装置88に入力され、このオン出力信号入力時から一定のディレイDbを経過した後、レジストモータ58が回転駆動される。これにより、図25に示すように、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転され、圧胴20の用紙クランパ21に向けて用紙Pの先端の給送を開始する(ステップS39参照)。
【0176】
この時、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(b)に示すように、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでは、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1=1.36×va(mm/s)、すなわち圧胴20の周速度va(もしくは線速度va)の1.36倍の用紙搬送速度vpで用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58を制御する。
【0177】
上記したように、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでにおいては、本体側給紙時では第1の用紙搬送速度vp1=1.4×va(mm/s)で用紙Pを搬送し、バンク側給紙時では第1の用紙搬送速度vp1=1.36×va(mm/s)で用紙Pを搬送するというように、レジストモータ58の回転速度に差を設けている。これは、本体側給紙時の方がバンク給紙時よりも用紙Pの搬送負荷が大きいことに基づくものであり、その理由は以下のようである。
すなわち、特に孔版印刷機等の印刷装置にあっては、補助給紙部28では使用する紙種が多種に及んでおり、例えば▲1▼更紙から上質紙まで、▲2▼のし紙や封筒、▲3▼さらには薄紙から画用紙やはがき等の厚紙に至るまで印刷に供される現状にあり、用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bにより給送されている際、バンク給紙部200からの給紙のときのように、用紙Pの後端部の曲がり角度に伴う搬送負荷の増大は少ないものの、例えば用紙サイズがB5やA4の用紙Pを使用する場合にあっても、これらの用紙Pの後端部が分離ローラ32および呼出しローラ30からなる給紙手段29の圧接下にあるため、レジストローラ対33a,33bに掛かる用紙Pの搬送負荷は、バンク給紙部200からの給紙のときより相対的に大きくなるからである。
【0178】
次いで、ステップS42に進み、用紙サイズA4以上の大きさの場合では、レジストローラ対33a,33bにかかる搬送負荷を低減すると共に、用紙Pがレジストローラ対33a,33bのニップ部でスリップするのを防止する目的で、給紙モータ74を少しの間逆転駆動することにより中間搬送ローラ対55a,55bを補助的に回転(アシスト回転)させる特有の動作が行われる。なお、用紙サイズの大きさがB5以下の場合では、中間搬送ローラ対55a,55bをアシスト回転させなくても問題とならないことが実験等により分かっている。
【0179】
ここでは、レジストローラ対33a,33bが用紙Pを送り出している最中に、バンク上給紙部201およびバンク下給紙部202のうちの何れかからの給紙に応じて、また用紙サイズや印刷速度に応じて、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に形成されたたわみPAを適度に維持すべく、中間搬送ローラ対55a,55bの用紙搬送速度を変えるように給紙モータ74を制御する本体給紙制御装置88を有するので、従来のように、レジストローラ対33a,33bだけの搬送力で用紙Pの先端を印刷部に搬送していたことによる用紙搬送量のバラツキによって、画像位置がずれたり、搬送可能な紙種が限定されたり、あるいは用紙搬送の高速化に追従しきれず結果的にレジストローラ対33a,33bによる用紙搬送速度を下げたりすることがなくなった。また、給紙モータ74がステッピングモータからなるので、その回転駆動時の応答性も良好となった。また、上記制御動作により、後述する動作時の用紙PのたわみPAが急激に消滅するときに生じる騒音や、用紙PのたわみPAが急激に消滅することによるレジストローラ対33a,33bにかかる搬送負荷を低減している。
【0180】
この状態は、図20では破線で示されていて、レジストモータ58が回転駆動し始めるレジストローラ対33a,33bの起動時から一定のディレイDeを経過した後、給紙モータ74がアシスト回転駆動することにより中間搬送ローラ対55a,55bが起動される。つまり、ディレイDeは、レジストモータ58が回転駆動するオン時点から給紙モータ74の逆転駆動により中間搬送ローラ対55a,55bをアシスト回転開始するまでの間に設定されていて、これにより給紙モータ74の動作タイミング、換言すれば中間搬送ローラ対55a,55bの動作タイミングを作るために用紙搬送速度(もしくは周速度あるいは線速)毎に設定される(ステップS43参照)。このディレイDeの設定理由は、見方を変えて言うならば以下のようなことになる。すなわち、中間搬送ローラ対55a,55bのニップ部では用紙Pを確実に挾持している状態で用紙Pを搬送するのに対し、レジストローラ対33a,33bのニップ部では用紙Pの先端部を挾持している状態ではなく、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に用紙Pの先端を突き当ててたわみを形成している状態で用紙Pの先端部をそのニップ部でくわえながら送り出すために、このような状態で2つの上記ローラ対を回転させるとたわみPAが過大となってしまうからである。
【0181】
ディレイDeの値は、バンク上給紙部201およびバンク下給紙部202のうちの何れかからの給紙に応じて、また用紙サイズや印刷速度に応じての、レジストローラ対33a,33bと中間搬送ローラ対55a,55bとの回転駆動開始時の用紙Pの送り量の違いを補償して、レジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に形成されたたわみPAを適度に維持すべく設けられている。すなわち、従来の技術で述べたように、バンク上給紙部201およびバンク下給紙部202のうちの何れからの給紙か、また用紙サイズの大きさや印刷速度の設定値によって用紙搬送負荷が上述したようにそれぞれ異なるため、これらのパラメータに対応してディレイDeの値を可変するものである。
【0182】
このように、ステップS44では、中間搬送ローラ対55a,55bによるアシスト回転動作が開始され、このアシスト回転動作は、本体給紙制御装置88が、給紙部のうちの何れかからの給紙に応じて、また用紙サイズや印刷速度に応じて、中間搬送ローラ対55a,55bの用紙搬送速度を変えるように給紙モータ74を制御することでなされる。
【0183】
レジストローラ対33a,33bの回転により、図21(c)に示すように、用紙Pの先端がレジストローラ対33a,33bのニップ部直前の部位に突き当たっている位置から、Xbmm(実施例的には19mmに相当する)分だけ横給紙路RXの下流側に搬送されると、レジストセンサ52がオンし、補助給紙部28からの給紙動作と類似のスリップ量補正が行われる(ステップS45参照)。
【0184】
上記したスリップ量補正を含め図29に示すステップS45〜ステップS52に至るまでは、本体給紙制御装置88は、エンコーダセンサ61からの出力パルス信号を取り込みつつこれに応じながら、用紙クランパ21の用紙くわえ位置にタイミングを合わせて用紙Pの先端を給送すべくレジストモータ58を制御するフィードバック制御(図21(a)では符号FBCで表されている)を行う。この時の制御動作は、補助給紙部28からの場合と異なる。すなわち、本体給紙制御装置88は、レジストモータ58を制御する上記したスリップ量補正およびフィードバック制御FBCに加え、これと同時に、エンコーダセンサ61からの出力パルス信号を取り込みつつこれに応じながら、中間搬送ローラ対55a,55bの回転により用紙PのたわみPAが大きくならず、かつ、消滅しない程度の適度のたわみ量を維持すべく、給紙モータ74を制御するフィードバック制御を行う。
【0185】
圧胴20は、メインモータ150の駆動によって、操作パネル90に設けられている印刷速度設定キー96によりまたは自動的に設定された設定印刷速度値に応じた回転速度(周速度va)で回転している。上記したような本体給紙制御装置88によるエンコーダ・フィードバック制御FBC下において、用紙Pは、上記したようにレジストモータ58や給紙モータ74の回転駆動によって、圧胴20の周速度vaの1.36倍の送り速度(第1の用紙搬送速度vp1でもある)で搬送され、圧胴20の用紙クランパ21が閉じようとしたとき、用紙クランパ21に追いつき(ステップS47参照)、後述するように圧胴20の周速度vaと略同じ第2の用紙搬送速度vp2になる。圧胴20の用紙クランパ21は、図20および図21(a)に示す所定のタイミング(実施例的には圧胴20が回転位置θ’=350.5°を占めたとき)で開く。
【0186】
上述したように、レジストモータ58および給紙モータ74が1パルスで用紙Pを送る用紙送り量と、エンコーダ60の1パルス幅に対応する圧胴20の外周移動量とは、同じに設定されている。これにより、例えば、本体給紙制御装置88は、圧胴20に固定されたエンコーダ60の1パルス幅に要する時間を本体給紙制御装置88内の上記タイマで検出し、圧胴20側の負荷変動等によりエンコーダ60の1パルスに要する時間が長くなった場合、レジストモータ58および給紙モータ74をそれぞれ減速する。これと反対に、本体給紙制御装置88は、エンコーダ60の1パルスに要する時間が短くなった場合、レジストモータ58および給紙モータ74をそれぞれ増速してやるというフィードバック制御を行っている。
【0187】
換言すれば、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端の進みまたは遅れを逐次検知し、レジストローラ対33a,33bと中間搬送ローラ対55a,55bとの用紙搬送速度(用紙Pの送り速度)を両方共に補正するのである。本体給紙制御装置88は、圧胴20の負荷変動等に伴う回転ムラとして圧胴20の周速度vaをエンコーダセンサ61で検知されるパルス変動で常に追跡し、このパルス変動に追従して、レジストモータ58と給紙モータ74との回転速度を共に可変制御するという上記パルスエンコーダを用いたフィードバック制御を行っている。この時、圧胴20の回転位置の検出は、エンコーダセンサ61で検知されるパルス数で検出し、圧胴20の周速度vaの検出は、エンコーダセンサ61で検知される周期時間tで検出する。本体給紙制御装置88は、図22に示すように、レジストモータ58および給紙モータ74へそれぞれ出力される駆動パルス幅(t1〜t4)をさらに変えることにより、レジストモータ58および給紙モータ74をフィードバック制御し、レジストずれを少なくして印刷レジスト精度の向上を図っている。
【0188】
上記したような本体給紙制御装置88によるエンコーダ・フィードバック制御下において、レジストローラ33bが反時計回り方向に回転されることにより、上のレジストローラ33aが用紙Pを介して時計回り方向に従動回転されることによって、またこれと同時に、中間搬送ローラ55aが反時計回り方向に回転されることにより、中間搬送ローラ55bが用紙Pを介して時計回り方向に従動回転されることによって、用紙PのたわみPAが徐々に消滅していく。
【0189】
この動作と並列的に、用紙Pの後端が中間センサ上53を抜けたか否かが判断される。そして、中間センサ上53がオフしたとき、用紙Pの後端が中間センサ上53を抜けたと判断され、給紙モータ74の逆転駆動が停止されることにより、中間搬送ローラ対55a,55bのアシスト回転が停止する。
【0190】
このタイミングに合わせ、圧胴20の用紙クランパ21は、図21(a)および図26ないし図27に示すように、用紙Pの先端部をくわえ・挾持した後、用紙クランパ21は閉じられ(実施例的にいうと、圧胴20が回転位置θ’=10°(370°)を占めたとき)、こうして圧胴20は、用紙Pを圧胴20の外周面に保持したまま回転し、用紙Pの先端部が版胴1の外周面と圧胴20の外周面との間のニップ部に搬送される。
【0191】
次いでステップS48に進み、本体給紙制御装置88からの指令により、図34(b)に示すように、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp2=1.36×va(mm/s)よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2=1.03×va(mm/s)で用紙Pを送り出すように、すなわち圧胴20の周速度vaの1.03倍の用紙搬送速度vpで用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58が制御される。
【0192】
以降のステップS49〜ステップS52においては、図34(a)にも示すように、補助給紙部28からの給紙の場合と同様の用紙搬送制御、すなわち本体給紙制御装置88によるレジストモータ58の駆動制御が行われるため、その説明を省略する。
そして、版胴1の回転位置がθ=75°(圧胴20の回転位置でもθ’=75°)を占めたことが検知されると、レジストモータ58の回転駆動が停止されることにより、レジストローラ対33a,33bの回転が停止し、給紙状態管理ルーチンへ移行する。(ステップS53〜S55参照)。
【0193】
なお、ステップS42において、中間搬送ローラ対55a,55bをアシスト回転させる必要のない用紙サイズの大きさがB5以下の場合では、ステップS47へ進んで、以下上記したと同様の動作が行われる。これ以降の動作は、補助給紙部28からの用紙搬送動作および印刷工程と同様であるため、その説明を省略する。
【0194】
このように、本実施形態1およびその実施例では、バンク側給紙時において、上述したような特有の用紙搬送速度制御方式を採用していて、本実施形態1およびその実施例における本体側給紙時と同様の利点を有するものである。また、上述したとおり、実施形態1によれば、上述した利点および後述する本発明の効果の他、下記の諸利点を得ることができる。
従来装置では、分離ローラ32および呼出しローラ30を回転させるために、版胴1および圧胴20を回転させるためのメインモータからの回転駆動力をベルトやクラッチ等を介してのセクタギヤ方式により得ていたので、各給紙手段29,29−1,29−2の分離ローラ32および呼出しローラ30の回転周速度は絶えず微妙に変動する印刷速度に依存していたことになり、その変動する印刷速度ごとに上記したたわみPAのたわみ量が違ったものとなってしまう。これによって、従来装置ではたわみ量不足でスキューが発生したり、不送りが発生したり、あるいはたわみ量過大で騒音が発生したりするという不具合が生じていた。
これに対して、本実施形態1では、第1に、レジストローラ対33a,33bに対して用紙Pの先端を給送するタイミングをとるための本体給紙用遮光板68および給紙開始センサ65を圧胴20側に配設し、メインモータ150とは独立して配設されたステッピングモータからなる給紙モータ74により分離ローラ32および呼出しローラ30や中間搬送ローラ対55a,55bを回転させながら、用紙先端センサ51を用いてたわみ量調整を行うことによって、印刷速度に関係なく安定したたわみ量を調整することができる。これにより、スキューおよび不送りの低減、ならびに静音化が図れる。
【0195】
第2に、紙質や紙厚等が相違するものを使用することによりレジストローラ対33a,33bに対する用紙Pの摩擦係数が異なったり、あるいはたとえ紙質や紙厚等が同じ紙種のものを使用していても、温・湿度等の環境条件の変化に伴う搬送条件の変化(例えばレジストローラ対33a,33bと用紙Pとの間の摩擦係数の変化や用紙Pの変形状態)により、あるいはレジストローラ対33a,33bが摩耗・消耗したり紙粉等により汚れたり経時的に劣化することによって、用紙Pのスリップ量が大きくなった時(この用紙Pのスリップはレジストローラ対33a,33bの回転により用紙Pの先端部が搬送され始める時が最も大きい)における用紙Pの先端位置の認識をレジストセンサ52で検知することができる。用紙クランパ21に対して用紙Pの先端を給送するタイミングをとるための本体レジスト用遮光板69および給紙開始センサ65を圧胴20側に配設すると共に、本体給紙制御装置88がレジストセンサ52からの信号に基づきスリップ量補正を行うと共に、パルスエンコーダ(エンコーダ60およびエンコーダセンサ61)によりレジストモータ58をフィードバック制御FBCをすることによって、用紙Pの先端部が用紙クランパ21に正確かつ確実に挾持されるような安定した紙くわえを実現し、用紙Pの巻き上がり等をさらに確実に防止すると共に、用紙クランパ21に対して給送するタイミングの安定化および信頼性の向上を図ることができ、ひいてはレジスト精度を一層向上することができる。
【0196】
第3に、レジスト駆動手段をステッピングモータからなるレジストモータ58で構成したことにより、レジストローラ対33a,33bのブレーキや回転方向を規制する機械式部品を不要として安価ですみ、レジストモータ58の駆動時の応答性を良好にすることができる。また、レジストローラ対33a,33bを駆動する駆動系を版胴1と圧胴20とを駆動するメインモータ150に対して独立させて駆動系の負荷を低減できると共に、メインモータ150のパワーをさらに小さくして安価に製作できる。また、制御装置のプログラムが簡素化できると共に、演算処理を速くしてフィードバック制御FBCの追従精度を高くすることができる。
【0197】
第4に、給紙駆動手段や用紙搬送駆動手段をステッピングモータからなる給紙モータ74で構成したことにより、分離ローラ32の回転方向を規制する機械式部品を不要として安価ですみ、給紙モータ74の駆動時の応答性を良好にすることができる。また、分離ローラ32および呼出しローラ30や中間搬送ローラ対55a,55bを駆動する駆動系を版胴1と圧胴20とを駆動するメインモータ150に対して独立させて駆動系の負荷を低減できると共に、メインモータ150のパワーをさらに小さくして安価に製作できる。また、制御装置のプログラムが簡素化できると共に、演算処理を速くしてフィードバック制御FBCの追従精度を高くすることができる。
【0198】
(実施形態2)
実施形態1ほどの上記利点、すなわち、印圧が入った後用紙クランパ21に対する負荷となることにより、用紙クランパ21のクランプ力が小さい場合にクランプ抜けが生じるおそれを完全に無くすことを望まなくてもよいのであれば、図35(a),(b)に示す実施形態2であってもよい。この実施形態2は、図1ないし図34(a),(b)に示した実施形態1と比較すると、本体給紙制御装置88に代えて本体給紙制御装置88Aを有することが主に相違する。
【0199】
実施形態2の本体給紙制御装置88Aは、実施形態1の本体給紙制御装置88によるレジストモータ58の制御と比較すると、印圧開始の後では、レジストローラ33bが再び略第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御する機能を除去したことが主に相違する。すなわち、実施形態2の本体給紙制御装置88Aは、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでは、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1で用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58を制御し、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御し、印圧開始の直前から印圧開始以降では、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりもやや小さい第3の用紙搬送速度vp3で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するものである(請求項2参照)。
本体給紙制御装置88Aの上記ROMには、上記したようにレジストモータ58を制御するためのデータ(図35(a),(b)に示す速度線図に係る用紙搬送速度制御パターン参照)等が予め記憶されている。
【0200】
本体給紙制御装置88Aによるレジストモータ58の制御例が、図35(a),(b)に示されていて、実施形態1の実施例を示す図34(a),(b)と相違する点を中心に説明をする。図35(a),(b)にそれぞれ示されている本体側給紙時、バンク側給紙時では、図34(a),(b)に示した実施形態1の実施例と比較すると、本体給紙制御装置88Aからの指令により、印圧開始の直前から印圧開始以降において、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりもやや小さい第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御することのみ相違する。
【0201】
本実施形態2における本体側給紙時の用紙搬送動作は、図30および図30のフローチャートにおいて、ステップS23のジョブ処理動作を除去したものに相当し、実施形態1における本体側給紙時の用紙搬送動作から容易に推測・実施できるのでその説明を省略する。これと同様に、本実施形態2におけるバンク側給紙時の用紙搬送動作は、図28および図29のフローチャートにおいて、ステップS52のジョブ処理動作を除去したものに相当し、実施形態1におけるバンク側給紙時の用紙搬送動作から容易に推測・実施できるのでその説明を省略する。
【0202】
このように、本実施形態2における本体側給紙時やバンク側給紙時では、上述したような特有の用紙搬送速度制御方式を採用しているものである。そして、説明が前後するが、後述する実施形態3では、印圧開始の直前においてクランプ抜けを防止するために若干のたわみPBを形成しているため、機械間のバラツキにより、たわみPBを最小にするために第2の用紙搬送速度vp2を最適な特定値に設定するのが難しいことや、用紙Pの先端部に画像ダブリを生じるおそれがあるが、本実施形態2の実施例では、本体給紙制御装置88が、印圧開始の直前に、第3の用紙搬送速度vp3=0.95×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するというように、機械間のバラツキに対して余裕ある第2の用紙搬送速度vp2を設定することができると共に、用紙搬送速度vpが圧胴20の周速度vaよりも減速されるので、クランプ抜けを起こすことなく、上記若干のたわみPBを消すことができる。
【0203】
したがって、本実施形態2によれば、本体側給紙時やバンク側給紙時において、用紙Pの先端部を用紙クランパ21によりクランプしながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみPBを形成できるので、クランプ抜けを生じたり、レジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみPBが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる利点があり、後述する実施形態3よりも好ましいと言える。
【0204】
(実施形態3)
実施形態1や実施形態2ほどの上記各利点、すなわち、印圧が入った後用紙クランパ21に対する負荷となることにより、用紙クランパ21のクランプ力が小さい場合にクランプ抜けが生じるおそれを完全に無くすこと、および印圧開始の直前においてクランプ抜けを防止するために若干のたわみPBを形成していることにより、用紙Pの先端部に画像ダブリが生じるおそれを完全に無くすことを望まなくてもよいのであれば、図36(a),(b)に示す実施形態3であってもよい。この実施形態3は、図35(a),(b)に示した実施形態2と比較すると、本体給紙制御装置88Aに代えて本体給紙制御装置88Bを有することが主に相違する。
【0205】
実施形態3の本体給紙制御装置88Bは、実施形態2の本体給紙制御装置88Bによるレジストモータ58の制御と比較すると、印圧開始の直前から印圧開始以降では、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりもやや小さい第3の用紙搬送速度vp3で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御する機能を除去したことが主に相違する。すなわち、実施形態3の本体給紙制御装置88Bは、レジストローラ対33a,33bから送り出された用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接するまでは、レジストローラ33bが圧胴20の周速度vaよりも大きい第1の用紙搬送速度vp1で用紙Pの先端を送り出すようにレジストモータ58を制御し、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始以降では、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するものである(請求項1参照)。
本体給紙制御装置88Bの上記ROMには、上記したようにレジストモータ58を制御するためのデータ(図36(a),(b)に示す速度線図に係る用紙搬送速度制御パターン参照)等が予め記憶されている。
【0206】
本体給紙制御装置88Bによるレジストモータ58の制御例が、図36(a),(b)に示されていて、実施形態2の実施例を示す図35(a),(b)と相違する点を中心に説明をする。図36(a),(b)にそれぞれ示されている本体側給紙時、バンク側給紙時では、図35(a),(b)に示した実施形態2の実施例と比較すると、本体給紙制御装置88Aからの指令により、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから印圧開始以降において、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2=1.03×va(mm/s)で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御することのみ相違する。
【0207】
本実施形態3における本体側給紙時の用紙搬送動作は、図30および図30のフローチャートにおいて、ステップS20〜ステップS23の各ジョブ処理動作を除去したものに相当し、実施形態2における本体側給紙時の用紙搬送動作から容易に推測・実施できるのでその説明を省略する。これと同様に、本実施形態3におけるバンク側給紙時の用紙搬送動作は、図28および図29のフローチャートにおいて、ステップS49〜ステップS52の各ジョブ処理動作を除去したものに相当し、実施形態2におけるバンク側給紙時の用紙搬送動作から容易に推測・実施できるのでその説明を省略する。
【0208】
このように、本実施形態3の本体側給紙時やバンク側給紙時では、(vp>va)となる用紙搬送速度制御方式を採用していて、レジストモータ58の回転速度f(pps)に対応したレジストローラ33bの第1の用紙搬送速度vp1=1.4×va(mm/s)や1.36×va(mm/s)の範囲における圧胴20の回転位置(θ’)において、たわみPBを形成させる。そして、図36(a)に示されているように、圧胴20の回転位置に対応した「クランプ角度」で用紙クランパ21が閉じてから「印圧角度」で印圧がオンした以降では、レジストモータ58の回転速度f(pps)を減速することにより、これに対応したレジストローラ33bの第2の用紙搬送速度vp2=1.03×va(mm/s)の範囲における圧胴20の回転位置(θ’)においてたわみPBを減少させるものである。
【0209】
したがって、本実施形態3によれば、本体側給紙時やバンク側給紙時において、用紙Pの先端部を用紙クランパ21によりクランプしながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみPBを形成できるので、クランプ抜けを生じたり、レジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみPBが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる利点があると言える。
【0210】
(変形例1)
本発明の実施形態は、上記した実施形態3に限定されず、以下のような変形例1であってもよい。実施形態3の本体給紙制御装置88Bは、用紙Pの先端が用紙クランパ21に当接・保持されてから版胴1の外周面と圧胴20の外周面とが押圧され始める印圧開始以降では、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成される用紙Pの先端部のたわみPBが版胴1上のマスタ2に接触しない程度となるように圧胴20の周速度vaよりもやや大きく、かつ、第1の用紙搬送速度vp1よりも小さい第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出すようにレジストモータ58を制御するものであったが、印圧開始以降も第2の用紙搬送速度vp2を維持するので、用紙の種類(紙種)よってはたわみPB量の過大を招くおそれがある。
【0211】
印刷装置の中でも取り分け孔版印刷装置においては、使用する紙種が多種に及んでおり、▲1▼更紙から上質紙まで、▲2▼のし紙や封筒、さらには▲3▼薄紙から厚紙まで対応している。これらの紙種の違いにより、用紙クランパ21とレジストローラ対33a,33bとの間に形成されるたわみPBの量にはかなりのバラツキが生じるため、紙種を無視して、たわみPBを減少させ消すための第2の用紙搬送速度vp2を実施形態3で例示したように圧胴20の周速度vaの1.03倍に一律に設定するだけでは、上記した利点を安定して得ることができない。
【0212】
この変形例1は、上記した点に着目して、紙種に応じて、第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御する用紙搬送速度可変手段としての機能を本体給紙制御装置88Bに付加したものである。すなわち、この変形例1は、実施形態3と比較すると、紙種に応じて、第2の用紙搬送速度vp2を変える用紙搬送速度可変手段を具備することが相違する。
【0213】
変形例1の制御内容を簡明に説明すると以下のとおりである。例えば、紙種入力キー190を適宜押下することにより使用する紙種を設定し、本体給紙制御装置88Bに入力することで、本体給紙制御装置88Bは、操作パネル90の紙種入力キー190からの紙種入力設定信号に基づいて、レジストローラ対33a,33bの第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御するものである。例えば、▲3▼の用紙Pを使用するときにおいては、本体給紙制御装置88Bが、薄紙から厚紙(但し、画用紙やハガキのような厚手の腰のある用紙Pを除く)へとその用紙Pの厚さが厚くなるにしたがって、用紙Pの腰が強くなり版胴1の外周面への接触力が上がるので、第2の用紙搬送速度vp2を圧胴20の周速度vaの1.03倍から1.02倍または1.01倍に可変するというように制御するのである。なお、画用紙やハガキのような厚手の腰のある用紙Pは、排紙巻き上がりを起こさないので、上述したように用紙クランパ21でクランプしない特有の制御を行うようになっている。
【0214】
変形例1は、上記例に限らず、紙種入力キー190に代えて用紙Pの種類を自動的に検知するための用紙種類検知手段としての紙種検知センサ195、バンク上紙種検知センサ195−1、バンク下紙種検知センサ195−2を(図19に仮想線でそれぞれ囲んで示す)を具備していてもよい。
【0215】
紙種検知センサ195の具体例としては、例えば用紙Pの厚さを検知するために光学的に透過光の強さを検出して判断するタイプや、メカニック的に紙厚を測定するためにローラ間のギャップを拡大して電気的センサで検知するタイプ等が挙げられる。
【0216】
変形例1によれば、本体給紙制御装置88Bが、紙種に応じて、第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御することにより、実施形態3の利点に加えて、第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出しているときのたわみPB量の過大を防止できる。
なお、この変形例1は、実施形態3に限らず、その利点の大きさが実施形態3ほどではないにしても、実施形態1や2にも適用できることは言うまでもない。
【0217】
(変形例2)
本発明の実施形態は、実施形態3や変形例1に限定されず、以下のような変形例2であってもよい。すなわち、この変形例2は、実施形態3と比較すると、印刷速度に応じて第2の用紙搬送速度vp2を変える用紙搬送速度可変手段を具備することが主に相違する。
【0218】
実施形態3では、印刷速度を5段階に可変設定できるようになされているが、印圧開始以降も第2の用紙搬送速度vp2を維持するので、印刷速度によってはたわみPB量の過大を招くおそれがあり、印刷速度を無視して、たわみPBを減少させ消すための第2の用紙搬送速度vp2=1.03×va(mm/s)と一律に設定するだけでは、上記した利点を安定して得ることができない。そこで、この変形例2では、上記した点に着目して、印刷速度に応じて、第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御する用紙搬送速度可変手段としての機能を本体給紙制御装置88Bに付加したものである。
【0219】
変形例2の制御内容を簡明に説明すると以下のとおりである。例えば、通常印刷時において、印刷速度設定キー96の速度ダウンキー96aや速度アップキー96を押下しないで設定印刷速度:3速を自動的に設定したときから、速度アップキー96を押下して最高速の設定印刷速度:5速を設定したときには、本体給紙制御装置88Bは、印刷速度設定信号に基づいて、レジストローラ対33a,33bの第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御するものである。例えば、設定印刷速度:5速を設定したときにおいては、本体給紙制御装置88Bが、その印刷速度が上がるにしたがって第1の用紙搬送速度vp1から第2の用紙搬送速度vp2までのスローダウンの時間が長くなることにより、たわみPBの量が大きくなるので、第2の用紙搬送速度vp2を圧胴20の周速度vaの1.03倍から1.02倍または1.01倍に可変するというように制御するのである。
【0220】
変形例2によれば、本体給紙制御装置88Bが、印刷速度に応じて、第2の用紙搬送速度vp2を変えるようにレジストモータ58を制御することにより、実施形態3の利点に加えて、第2の用紙搬送速度vp2で用紙Pを送り出しているときのたわみPB量の過大を防止できる。
なお、この変形例2は、実施形態3に限らず、その利点の大きさが実施形態3ほどではないにしても、実施形態1や2にも適用できることは言うまでもない。また、変形例1や変形例2を単独で適用するものに限らず、より木目の細かい用紙搬送速度の制御を行いたいのであれば、変形例1と変形例2とを組み合わせ適用してもよく、例えば紙種と印刷速度との組み合わせパラメータに対して第2の用紙搬送速度vp2を可変してもよい。
【0221】
(変形例3)
図1ないし図36を借りて、実施形態1の変形例3を説明する。この変形例3は、実施形態1と比較すると、実施形態1における本体給紙用遮光板68、本体レジスト用遮光板69、バンク給紙用遮光板70,バンクレジスト用遮光板71、給紙開始センサ65、バンク給紙開始センサ66、インクリメンタル型のエンコーダ60およびエンコーダセンサ61を除去しこれらに代えて、図37に示すように、圧胴20の回転速度変動の検出と位置の検出とが可能な絶対的な回転量を検出するためのアブソリュート型のパルスエンコーダ(以下、「アブソリュート型パルスエンコーダ」という)を圧胴20側に配設したことのみ相違する。
【0222】
上記アブソリュート型パルスエンコーダは、図37に示すように、圧胴20の端板20bに取り付けられ、多数のスリットが外周部に放射状に複数段並べられた多チャンネルのフォトエンコーダ220と、このフォトエンコーダ220の外周部を挟んでアーム25bに取り付けられた複数のエンコーダセンサ221とを具備している。
【0223】
この変形例3における制御動作は、実施形態1および変形例1,2における本体給紙用遮光板68、本体レジスト用遮光板69、バンク給紙用遮光板70,バンクレジスト用遮光板71、給紙開始センサ65、バンク給紙開始センサ66、インクリメンタル型のエンコーダ60およびエンコーダセンサ61の上述した動作を1つの上記アブソリュート型パルスエンコーダで行うことのみ相違し、技術的に自明なのでその説明を省略する。
なお、実施形態1ないし3および変形例1,2に述べたことに準拠して、圧胴20が所定回転位置を占めたときにおけるエンコーダセンサ221からの出力パルス信号の出力開始時点と給紙モータ74が駆動開始される駆動開始時点との間に一定のディレイDaが、圧胴20がさらに回転して上記したとは別の所定回転位置を占めたときにおけるエンコーダセンサ221からの出力パルス信号の出力開始時点とレジストモータ58が駆動開始される駆動開始時点との間に一定のディレイDbが、その他上記したディレイDc,Dd,De,Df等がそれぞれ設けられることとなる。
【0224】
したがって、この変形例3によれば、実施形態1ないし3および変形例1,2における上記各利点(但し、上記利点および後述する効果における本体給紙用遮光板68、本体レジスト用遮光板69、バンク給紙用遮光板70、バンクレジスト用遮光板71、給紙開始センサ65、バンク給紙開始センサ66、インクリメンタル型のエンコーダ60およびエンコーダセンサ61の各用語を上記アブソリュート型パルスエンコーダのフォトエンコーダ220とエンコーダセンサ221とに適宜置き換える)に加えて、現状の技術水準では高価かつ複雑な制御を要するも、制御構成の部品点数を減らすことができる。
【0225】
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態1ないし3および変形例1ないし3等に限定されるものではなく、これらを適宜組合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0226】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置における給紙装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、レジスト手段から送り出された用紙の先端が保持手段に当接するまでは、レジスト手段が圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で用紙の先端を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、その後、保持手段とレジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが版胴上のマスタに接触しない程度となるように圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御することにより、用紙の先端部を保持手段により保持しながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみを形成できるので、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる。
【0227】
請求項2記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、レジスト手段から送り出された用紙の先端が保持手段に当接するまでは、レジスト手段が圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で用紙の先端を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、用紙の先端が保持手段に当接・保持されてから版胴の外周面と圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、保持手段とレジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが版胴上のマスタに接触しない程度となるように圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、印圧開始の直前から印圧開始以降では、レジスト手段が圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御することにより、用紙の先端部を保持手段により保持しながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみを形成できるので、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる。保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることがないと共に、たわみが過大となって画像ダブリ等の不具合を生じない。
また、請求項1記載の発明においては、機械間のバラツキにより、たわみを最小にするために第2の用紙搬送速度を最適な特定値に設定するのが難しいことがあるが、この発明では、印圧開始の直前から印圧開始以降において、レジスト手段が圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御することにより、機械間のバラツキに対して余裕ある第2の用紙搬送速度を設定することができるので、請求項1記載の発明におけるたわみ過大による画像ダブリ等の防止効果をより確実に奏する。
【0228】
請求項3記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、レジスト手段から送り出された用紙の先端が保持手段に当接するまでは、レジスト手段が圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で用紙の先端を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、用紙の先端が保持手段に当接・保持されてから版胴の外周面と圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、保持手段とレジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが版胴上のマスタに接触しない程度となるように圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、印圧開始の直前では、レジスト手段が圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御し、印圧開始の後では、レジスト手段が再び略第2の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御することにより、用紙の先端部を保持手段により保持しながら搬送印刷する時に、適正かつ最小のたわみを形成できるので、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることを防止できると共に、たわみが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を防止できる。
また、請求項1記載の発明においては、機械間のバラツキにより、たわみを最小にするために第2の用紙搬送速度を最適な特定値に設定するのが難しいことがあるが、この発明では、印圧開始の直前において、レジスト手段が圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御することにより、機械間のバラツキに対して余裕ある第2の用紙搬送速度を設定することができるので、請求項1記載の発明におけるよりもさらに、たわみ過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生を確実に防止することができる。また、請求項2記載の発明では、印圧開始の直前で、用紙の搬送速度を圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度まで落し、ブレーキをかけ、たわみを消すので、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりするおそれがあるが、この発明においては、印圧開始の後では、ブレーキとならないように、レジスト手段が再び略第2の用紙搬送速度で用紙を送り出すようにレジスト駆動手段を制御するので、請求項2記載の発明におけるよりもさらに、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることを確実に防止することができる。
【0229】
請求項4記載の発明によれば、補助給紙部からの給紙における搬送負荷がバンク給紙部からのそれよりも大きいことに鑑みて、レジスト駆動制御手段は、補助給紙部からの給紙のときの第1の用紙搬送速度をバンク給紙部からの給紙のときのそれよりも大きくするようにレジスト駆動手段を制御することにより、レジスト手段に対する搬送負荷を補償して上記各発明の効果を奏する。
【0230】
請求項5記載の発明によれば、保持手段とレジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみ量が用紙の種類に応じて異なることに鑑みて、用紙搬送速度可変手段が、用紙の種類に応じて第2の用紙搬送速度を変えることにより、上記各発明の効果よりもさらに、たわみ過大による画像ダブリ等の防止効果をより確実に奏することができる。
【0231】
請求項6記載の発明によれば、保持手段とレジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみ量が印刷速度に応じて異なることに鑑みて、用紙搬送速度可変手段が、印刷速度に応じて第2の用紙搬送速度を変えることにより、上記各発明の効果よりもさらに、たわみ過大による画像ダブリ等の防止効果をより確実に奏することができる。
【0232】
請求項7記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、用紙搬送速度可変手段の機能を具備することにより、請求項5または6記載の発明の効果に加えて、制御の汎用性を高めることができる。
【0233】
請求項8記載の発明によれば、保持手段に対して用紙の先端を給送するタイミングを制御するための、圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するエンコーダセンサを備えたパルスエンコーダと、圧胴とレジスト手段との間の給紙路に配設され、用紙の先端を検知する用紙先端検知手段とを具備し、レジスト駆動制御手段は、各制御に加えて、用紙先端検知手段からの信号に基づき、レジスト手段における用紙の滑りを補償すべくレジスト駆動手段を制御した後、エンコーダセンサからの出力パルス信号に基づき、保持手段の回転位置にタイミングを合わせて用紙の先端を給送すべくレジスト駆動手段を制御することにより、上記各発明の効果に加えて、保持手段に対して用紙の先端を給送するタイミングの安定化・信頼性の向上を図ることができ、ひいてはレジスト精度をさらに向上することができる。
また、紙質や紙厚等が相違するものを使用することによりレジスト手段に対する用紙の摩擦係数が異なったり、あるいはたとえ紙質や紙厚等が同じ用紙の種類(紙種)のものを使用していても、温・湿度等の環境条件の変化に伴う搬送条件の変化(例えばレジスト手段と用紙との間の摩擦係数の変化や用紙の変形状態)により、あるいはレジスト手段が摩耗・消耗したり紙粉等により汚れたり経時的に劣化することによって、用紙のスリップ量が大きくなった時における用紙の先端位置を用紙先端検知手段で検知することが可能なので、用紙の先端部の安定した保持(クランプ)を実現することができると共に、機械間のメカニック的なバラツキに対しても安定した保持を実現することができる。
【0234】
請求項9記載の発明によれば、レジスト駆動手段をステッピングモータで構成すると共に、レジスト駆動制御手段はレジスト駆動手段へ出力される少なくとも駆動パルス数を変えることによりレジスト駆動手段を制御するので、請求項8記載の発明の効果に加えて、レジスト手段のブレーキや回転方向を規制する機械式部品を不要として安価ですみ、レジスト駆動手段の駆動時の応答性を良好にして、制御装置のプログラムを簡素化できると共に、演算処理を速くしてフィードバック制御の追従精度を高くすることができる。
【0235】
請求項10記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、用紙の滑り補償後、エンコーダセンサからの出力パルス信号に応じながらさらにパルス幅を変えることにより、レジスト駆動手段をフィードバック制御するので、請求項9記載の発明の効果に加えて、そのフィードバック制御の追従精度をより高くすることができる。
【0236】
請求項11記載の発明によれば、レジスト駆動制御手段は、レジスト駆動手段を起動させるためのエンコーダセンサの出力パルス信号の出力開始時点からの出力パルス数と用紙先端検知手段により用紙の先端が検知されたときからステッピングモータに供給された駆動パルス数とから、たわみの量を認識することにより、請求項9記載の発明の効果に加えて、たわみの量を正確に認識してレジスト駆動手段を制御することができるので、保持手段から用紙の先端部が抜けたりレジスト精度が悪くなったりすることをより確実に防止できると共に、たわみが過大となって生じる画像ダブリ等の不具合発生をより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す孔版印刷装置およびバンク給紙部の概略的な正面図である。
【図2】実施形態1における孔版印刷装置の概略的な拡大正面図である。
【図3】実施形態1における孔版印刷装置の補助給紙部周りの平面図である。
【図4】実施形態1における孔版印刷装置の補助給紙部周りの一部断面正面図である。
【図5】補助給紙部から給送された用紙にたわみを形成するたわみ形成部周りの要部の断面図である。
【図6】バンク給紙部から給送された用紙にたわみを形成するたわみ形成部周りの要部の断面図である。
【図7】実施形態1における圧胴周りの制御構成部品の取り付け構造を示す要部の分解斜視図である。
【図8】図7における要部の平面図である。
【図9】版胴におけるホームポジションセンサ周りの斜視図である。
【図10】実施形態1におけるレジスト手段周りの制御構成部品の取り付け構造を示す斜視図である。
【図11】実施形態1における圧胴のアーム対周りの制御構成部品の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図12】実施形態1における圧胴の回転動作に伴う用紙クランパの回転位置および用紙搬送動作を表す概略的な正面図である。
【図13】(a)は実施形態1における版胴の回転位置を、(b)は圧胴の回転位置をそれぞれ表す模式図である。
【図14】実施形態1における補助トレイ等の用紙サイズ検出機構を示す要部の斜視図である。
【図15】実施形態1におけるバンク給紙部の構成を示す要部の正断面図である。
【図16】実施形態1におけるバンク給紙部のバンク給紙駆動機構を示す要部の斜視図である。
【図17】実施形態1における操作パネルの要部の平面図である。
【図18】図17における操作パネルのLCD表示部の切り換え表示画面を示す平面図である。
【図19】実施形態1等における給紙制御構成を表すブロック図である。
【図20】実施形態1における全体の給紙動作を表すタイミングチャートである。
【図21】実施形態1における補助給紙部からの給紙動作を表すタイミングチャートである。
【図22】実施形態1における駆動パルス数およびそのパルス幅を可変する内容を説明する説明図である。
【図23】実施形態1における給紙手段や中間搬送ローラ対の起動時の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図24】実施形態1におけるレジスト手段と給紙手段との間や、レジスト手段と中間搬送ローラ対との間に用紙のたわみを形成する動作を表す要部の正面図である。
【図25】実施形態1におけるレジストローラの起動時や中間搬送ローラ対のアシスト回転による用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図26】実施形態1における用紙クランパへの用紙の先端の搬送動作を表す要部の正面図である。
【図27】実施形態1における印刷初期時の用紙搬送動作を表す要部の正面図である。
【図28】実施形態1における全体の給紙動作のうち主としてバンク給紙部からの給紙動作を表すフローチャートである。
【図29】図28の続きの給紙動作を表すフローチャートである。
【図30】実施形態1における補助給紙部からの給紙動作を表すフローチャートである。
【図31】図30の続きの給紙動作を表すフローチャートである。
【図32】実施形態1におけるバンク給紙部内の給紙動作を表すフローチャートである。
【図33】図30の続きの給紙動作を表すフローチャートである。
【図34】(a),(b)は実施形態1の実施例を示すレジストモータによるレジストローラの各用紙搬送速度の制御例を表わす速度線図であって、(a)は本体側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例を、(b)はバンク側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例をそれぞれ表す速度線図である。
【図35】(a),(b)は実施形態2の実施例を示すレジストモータによるレジストローラの各用紙搬送速度の制御例を表わす速度線図であって、(a)は本体側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例を、(b)はバンク側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例をそれぞれ表す速度線図である。
【図36】(a),(b)は実施形態3の実施例を示すレジストモータによるレジストローラの各用紙搬送速度の制御例を表わす速度線図であって、(a)は本体側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例を、(b)はバンク側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例をそれぞれ表す速度線図である。
【図37】変形例3における圧胴周りの制御構成部品の取り付け構造を示す要部の分解斜視図である。
【図38】従来の孔版印刷装置における圧胴の回転動作に伴う用紙クランパの回転位置および用紙搬送動作を表す概略的な正面図である。
【図39】従来の圧胴における用紙クランプおよび用紙搬送動作の問題点を説明する簡略的な一部断面正面図である。
【図40】従来の圧胴におけるクランプ装置周りの要部の分解斜視図である。
【図41】従来の圧胴における用紙クランプおよび用紙搬送動作の問題点を説明する簡略的な一部断面正面図である。
【図42】印刷された用紙における用紙先端余白長さを説明する平面図である。
【図43】(a),(b)は従来例を示すレジストモータによるレジストローラの各用紙搬送速度の制御例を表わす速度線図であって、(a)は本体側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例を、(b)はバンク側給紙時のレジストローラの用紙搬送速度を制御する例をそれぞれ表す速度線図である。
【符号の説明】
1 版胴
2 マスタ
20 圧胴
21 保持手段としての用紙クランパ
28 補助給紙部
29,29−1,29−2 給紙手段
33a,33b レジスト手段としてのレジストローラ対
55a,55b 用紙搬送手段としての中間搬送ローラ対
58 レジスト駆動手段としてのレジストモータ
65 タイミング検知手段としての給紙開始センサ
74 用紙搬送駆動手段としての給紙モータ
88,88A,88B レジスト駆動制御手段としての本体給紙制御装置
100 印刷装置としての孔版印刷装置
148 バンク給紙制御装置
200 バンク給紙部
201 バンク給紙部を構成するバンク上給紙部
202 バンク給紙部を構成するバンク下給紙部
P 用紙
PA レジストローラ対における給紙方向の上流側に形成される用紙の先端部のたわみ
PB 用紙クランパとレジストローラ対との間に形成される用紙の先端部のたわみ
RX 給紙路としての横給紙路
RZ 給紙路としての縦給紙路

Claims (11)

  1. 製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、その後、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  2. 製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記用紙の先端が前記保持手段に当接・保持されてから前記版胴の外周面と前記圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の直前から前記印圧開始以降では、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  3. 製版されたマスタを外周面に巻き付ける版胴と、給送されて来た用紙の先端部を保持する保持手段を備え前記版胴の外径と略同径の圧胴と、この圧胴を駆動する圧胴駆動手段と、前記保持手段に向けて前記用紙の先端を送り出すレジスト手段と、このレジスト手段を駆動するレジスト駆動手段とを具備する印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト手段から送り出された前記用紙の先端が前記保持手段に当接するまでは、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも大きい第1の用紙搬送速度で前記用紙の先端を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記用紙の先端が前記保持手段に当接・保持されてから前記版胴の外周面と前記圧胴の外周面とが押圧され始める印圧開始の前までは、前記保持手段と前記レジスト手段との間に形成される用紙の先端部のたわみが前記版胴上の前記マスタに接触しない程度となるように前記圧胴の周速度よりも大きく、かつ、第1の用紙搬送速度よりも小さい第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の直前では、前記レジスト手段が前記圧胴の周速度よりも小さい第3の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御し、前記印圧開始の後では、前記レジスト手段が再び略第2の用紙搬送速度で前記用紙を送り出すように前記レジスト駆動手段を制御するレジスト駆動制御手段を有することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  4. 請求項1,2または3記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記印刷装置側に設けられ前記レジスト手段に向けて給紙する補助給紙部と、前記補助給紙部とは別に設けられ前記レジスト手段に向けて給紙するバンク給紙部とを具備し、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記補助給紙部からの給紙のときの第1の用紙搬送速度を前記バンク給紙部からの給紙のときのそれよりも大きくするように前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  5. 請求項1,2,3または4記載の印刷装置における給紙装置において、
    用紙の種類に応じて第2の用紙搬送速度を変える用紙搬送速度可変手段を具備することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  6. 請求項1,2,3または4記載の印刷装置における給紙装置において、
    印刷速度に応じて第2の用紙搬送速度を変える用紙搬送速度可変手段を具備することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  7. 請求項5または6記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記用紙搬送速度可変手段の機能を具備することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  8. 請求項1ないし7の何れか一つに記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記保持手段に対して前記用紙の先端を給送するタイミングを制御するための、前記圧胴における少なくとも回転速度変動を検知するエンコーダセンサを備えたパルスエンコーダと、
    前記圧胴と前記レジスト手段との間の給紙路に配設され、前記用紙の先端を検知する用紙先端検知手段とを具備し、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記各制御に加えて、前記用紙先端検知手段からの信号に基づき、前記レジスト手段における前記用紙の滑りを補償すべく前記レジスト駆動手段を制御した後、前記エンコーダセンサからの出力パルス信号に基づき、前記保持手段の回転位置にタイミングを合わせて前記用紙の先端を給送すべく前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  9. 請求項8記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト駆動手段が、ステッピングモータからなり、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動手段へ出力される少なくとも駆動パルス数を変えることにより前記レジスト駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  10. 請求項9記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記用紙の滑り補償後、前記エンコーダセンサからの出力パルス信号に応じながら、さらに前記パルス幅を変えることにより、前記レジスト駆動手段をフィードバック制御することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
  11. 請求項9記載の印刷装置における給紙装置において、
    前記レジスト駆動制御手段は、前記レジスト駆動手段を起動させるための前記エンコーダセンサの出力パルス信号の出力開始時点からの出力パルス数と、前記用紙先端検知手段により用紙の先端が検知されたときから前記ステッピングモータに供給された駆動パルス数とから、前記たわみの量を認識することを特徴とする印刷装置における給紙装置。
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