JP4651927B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩を微分散させてなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。より詳しくは、芳香族ポリカーボネート中に特定の分子構造を有する有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩を微分散させてなる高い剛性をもつ樹脂組成物であって、その高温高湿下での環境安定性すなわち耐加水分解性を大幅に改善した新規な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法に関する。好適には更に良好な熱安定性をも有するかかる樹脂組成物およびその製造方法に関する。
また本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂組成物への特定の層状珪酸塩の使用方法に関する。さらに本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂の物性強化のための添加剤に関する。加えて本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して製造された成形品に関する。
炭酸エステル結合を繰返し単位にもつ芳香族ポリカーボネートは、一般に優れた耐熱性、機械特性、耐衝撃性、寸法安定性等を有しており、OA機器分野、自動車分野、電気・電子部品分野等の用途に広く用いられているが、近年の軽薄短小を指向する技術動向により、多くの用途において芳香族ポリカーボネートに対しさらに高い剛性が求められている。
一般に、熱可塑性樹脂の剛性(曲げ弾性率)を改良する手段として、ガラス繊維等の繊維状補強材や無機充填剤を混合することが行われてきたが、かかる従来法によるものは、製品の比重が大きくなったり製品の表面外観が損なわれるという欠点がある。
一方で、比較的少量の充填剤で高い曲げ弾性率を達成する技術の1つとして、無機充填剤として層状珪酸塩、より好ましくはかかる層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンでイオン交換してなる層状珪酸塩、を熱可塑性樹脂中へ微分散させた樹脂組成物が提案されており、芳香族ポリカーボネートと層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩とを組み合わせた樹脂組成物も知られている(特許文献1〜特許文献6参照)。
そして、このような層状珪酸塩の層間イオンをイオン交換するための有機オニウムイオンとしては、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンで代表される炭素原子数12以上のアルキル基を有する有機オニウムイオンやポリエチレングリコール鎖を有するアンモニウムイオン等が提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。さらに、熱可塑性樹脂全般に対しては、有機オニウムイオンとして炭素原子数15〜30の第4級アンモニウムイオンが好ましいとする提案や(特許文献7参照)、第4級アンモニウムイオン(またはホスホニウムイオン)であってその有機基の1つは炭素原子数8以上であり、他の3つの有機基は炭素原子数1〜4である有機オニウムイオンが好ましいとの提案もなされている(特許文献8参照)。
しかしながら、これらのいずれの提案においても、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物における耐加水分解性に関しては何ら示唆するところがない。また現実に、かかる有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では耐加水分解性に問題がある。よって層状珪酸塩を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性を向上させることは、その実用性をさらに増大させる上で重要な技術的課題となっている。
特開平3−215558号公報 特開平7−207134号公報 特開平7−228762号公報 特開平7−331092号公報 特開平9−143359号公報 特開平10−60160号公報 特開2002−88255号公報 WO99/32403号パンフレット
したがって、本発明の主たる目的は、良好な剛性と耐加水分解性とを併有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。より好適には更に良好な熱安定性をも有するかかる樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。また本発明の他の目的は、剛性、耐加水分解性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るための特定の層状珪酸塩の使用方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、剛性、耐加水分解性および熱安定性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るための添加剤を提供することにある。加えて本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からの外観が良好な成形品、殊に光線反射材を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、(A)芳香族ポリカーボネートを主体とし、これに(B)特定の有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩を含む樹脂組成物は、高温高湿下での加水分解が大幅に抑制され、珪酸塩含有量が比較的少量でも良好な剛性を有し、しかも成形品の表面外観も良好になるという事実を究明し、更に鋭意検討し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第1に、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)、
(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)、このB成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜20重量部である、
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]、
(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)、このC−1成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜50重量部である、および
(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)、このD成分はA成分100重量部当り0.005〜1重量部である、
よりなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物である(以下、樹脂組成物Iということがある)。
樹脂組成物Iの如くA成分〜D成分の全てを含有する態様が本発明においてより好適な態様である。
本発明は、第2に、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、
(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および
(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)0.1〜50重量部、
を溶融混練して芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、
前記B成分と前記C−1成分とを予め溶融混練し溶融混練物を得た後に、該溶融混練物と前記A成分とを溶融混練し、
該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用し、耐加水分解性を改良することを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
本発明は、第に、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法である。
本発明は、第に、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部からなり、耐加水分解性が改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法である。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性の改良方法としては、従来各種の方法が提案されている。例えばエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびシラン化合物(シロキサン化合物を含む)などの配合による改良が知られている。しかしながらかかる配合による改良は、その他の物性に対し悪影響を与える場合があり、必ずしも実用的な方法とは言い難い。本発明においてはB成分の層状珪酸塩の有機オニウムイオンの種類により、該層状珪酸塩を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性を改良する。かかる改良方法は他の物性に対する影響を最小限に抑制でき、極めて有用である。
本発明は、第に、前記樹脂組成物Iを射出成形して製造された成形品である。
本発明の樹脂組成物Iは、従来にない高い剛性を有し、かつ良好な熱安定性および耐加水分解性を有する。しかも、樹脂組成物Iは、成形性が良好であり、かつ表面外観、特に表面平滑性の良好な成形品を与えるという利点も有する。
本発明の製造方法によれば、芳香族ポリカーボネートに対して、B成分である特定の層状珪酸塩を用いることにより、高い剛性を有し、かつ良好な耐加水分解性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
本発明の使用方法によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与することができる。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するための使用方法によれば、耐加水分解性が改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。
本発明の物性強化のための添加剤によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物へ、耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与することができる。
本発明の成形品は、光ディスク、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、および雑貨等の各種用途に有用である。
<樹脂組成物I>
樹脂組成物Iは、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)、
(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)、このB成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜20重量部である、
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]、
(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)、このC−1成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜50重量部である、および
(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)、このD成分はA成分100重量部当り0.005〜1重量部である、
よりなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物である。
以下、樹脂組成物Iを構成する各成分、それらの配合割合について、順次具体的に説明する。
<A成分について>
本発明の樹脂組成物IにおけるA成分は、樹脂組成物Iの主成分となる芳香族ポリカーボネートである。代表的な芳香族ポリカーボネートは、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
前記2価フェノールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらのなかでも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールA(以下“BPA”と略称することがある)が汎用されている。
本発明では、汎用の芳香族ポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、さらに良好な耐加水分解性を得る目的で、他の2価フェノール類を使用した特殊な芳香族ポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部または全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いた芳香族ポリカーボネ−ト(単独重合体または共重合体)は、ポリマー自体が良好な耐加水分解性を有するので、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高い剛性が要求され、かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、A成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。
(1)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊な芳香族ポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊な芳香族ポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
なお、上述した各種の芳香族ポリカーボネートのなかでも、共重合組成等を調整して、吸水率およびTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求されるミラーおよびリフレクターなどの光線反射材の分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃である芳香族ポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%である芳香族ポリカーボネート。
ここで、芳香族ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
一方、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは2価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
このような2価フェノールとカーボネート前駆体とから界面重合法によってポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、2価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また、芳香族ポリカーボネートは3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。ここで使用される3官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、その割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
また、A成分となる芳香族ポリカーボネートは、芳香族もしくは脂肪族(脂環族を含む)の2官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、2官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート並びにかかる2官能性カルボン酸および2官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また、得られた芳香族ポリカーボネートの2種以上をブレンドした混合物でも差し支えない。
ここで用いる脂肪族の2官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の2官能性のカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。2官能性アルコールとしては、脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。
さらに、本発明では、ポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
本発明の樹脂組成物においてA成分となる芳香族ポリカーボネートは、上述した2価フェノールの異なるポリカーボネート、分岐成分を含有するポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等の各種芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに、製造法の異なるポリカーボネート、末端停止剤の異なるポリカーボネート等を2種以上混合したものも使用することもできる。
芳香族ポリカーボネートの重合反応において、界面重縮合法による反応は、通常、2価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために、例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応においては、通常、末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに、単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。かかる末端停止剤は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常、2価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に2価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、殆どの場合120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は1〜4時間程度である。
前記カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素原子数1〜4のアルキル基等のエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物等の触媒を用いることができる。さらに、アルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等のエステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の2価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
溶融エステル交換法による反応では、生成ポリカーボネートのフェノール性末端基を減少する目的で、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また、重合後のポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用するのが適当である。好ましい失活剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等のアンモニウム塩が挙げられる。
A成分となる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は限定されない。しかしながら、粘度平均分子量は、10,000未満であると強度等が低下し、50,000を超えると成形加工特性が低下するようになるので、10,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜30,000の範囲がより好ましく、14,000〜28,000の範囲がさらに好ましい。この場合、成形性等が維持される範囲内で、粘度平均分子量が前記範囲外であるポリカーボネートを混合することも可能である。例えば、粘度平均分子量が50,000を超える高分子量の芳香族ポリカーボネート成分を配合することも可能である。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
なお、本発明の樹脂組成物における粘度平均分子量を測定する場合は次の要領で行う。すなわち、該組成物をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、かかる可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度(ηSP)を、オストワルド粘度計を用いて求め、上式によりその粘度平均分子量Mを算出する。
<B成分について>
本発明の樹脂組成物を構成するB成分は、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩である。
Figure 0004651927
上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わす。また、R1およびR2はそれぞれ炭素原子数6〜16のアルキル基を表わし、これらは互いに同一であっても互いに相違してもよい。R3およびR4はそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基を表わし、これらは互いに同一であっても互いに相違してもよい。なお、上記式(I)において、R1およびR2はいずれも直鎖状および分岐状のいずれも選択できる。また、R3およびR4がブチル基の場合、これらは直鎖状および分岐状のいずれも選択できる。
これらのR1およびR2は、好ましくは炭素原子数7〜14のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数7〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは耐加水分解性の改良効果が特に優れた炭素原子数8〜11のアルキル基である。また、R3およびR4は、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。したがって、R1およびR2がともに炭素原子数8〜11のアルキル基でありかつR3およびR4がメチル基であるものが最適である。更にMは窒素原子が好ましい。
かかる有機オニウムイオンの具体例としては、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクチルアンモニウム、ジブチルジデシルアンモニウムおよびジブチルジドデシルアンモニウム等が例示される。さらに、前記アンモニウムイオンの窒素原子がリン原子に置換したホスホニウムイオンが例示される。これらの中でも好ましくは、ジメチルジオクチルアンモニウムイオンおよびジメチルジデシルアンモニウムイオンが例示され、特に好ましくはジメチルジデシルアンモニウムイオンである。
なお、層状珪酸塩のイオン交換を行うための有機オニウムイオンとしては、従来ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンがよく知られているが、かかる有機オニウムイオンでイオン交換したものは、樹脂組成物の耐加水分解性が劣り、本発明の目的を達成し得ない。
B成分の層状珪酸塩は、SiO2連鎖からなるSiO4四面体シート構造とAl、Mg、Li等を含む八面体シート構造との組み合わせからなる層からなり、その層間に交換性陽イオンの配位した珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)である。これらの珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)は、スメクタイト系鉱物、バーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性雲母等に代表される。具体的には、スメクタイト系鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等が挙げられ、膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられる。これら層状珪酸塩は天然品および合成品のいずれも使用可能である。合成品は、例えば、水熱合成、溶融合成、固体反応によって製造される。
層状珪酸塩のなかでも、陽イオン交換容量等の点から、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等の膨潤性を持ったフッ素雲母が好適に用いられ、ベントナイトを精製して得られるモンモリロナイトや合成フッ素雲母が、純度等の点からより好適である。なかでも、良好な機械特性が得られる合成フッ素雲母が特に好ましい。
前記B成分である層状珪酸塩の陽イオン交換容量(陽イオン交換能ともいう)は、50〜200ミリ当量/100gであることが必要とされ、好ましくは80〜150ミリ当量/100g、さらに好ましくは100〜150ミリ当量/100gである。陽イオン交換容量は、土壌標準分析法として国内の公定法となっているショーレンベルガー改良法によってCEC値として測定される。かかる方法の概要は次のとおりである。長さ12cm、内径1.3cmの土壌浸出装置の浸透管に層状珪酸塩試料を約8cmの厚さになるように充填し、pH7の1N酢酸アンモニウム水溶液100mlを用い、4〜20時間かけて浸透させ、陽イオンを交換浸出する。次にpH7の80%メタノール100mlで洗浄し、過剰の酢酸アンモニウムを除去する。次いで10%塩化カリウム水溶液100mlで洗浄し、試料に吸着されたアンモニウムイオン(NH4 +)を交換浸出させる。最後に水蒸気蒸留法またはConway微量拡散法により、浸出液中のNH4 +を定量し、CECを算出する。土壌浸出装置は、ガラス製セットとして市販されているものが使用できる。尚、該改良法の基礎となるショーレンベルガー法については、Soil Sci., 59, 13〜24(1945)において参照される。
層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、A成分である芳香族ポリカーボネートへの良好な分散性を得るために、50ミリ当量/100g以上必要であるが、200ミリ当量/100gより大きくなると芳香族ポリカーボネートの熱劣化が大きくなり、それに伴って本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱劣化への影響が大きくなってくる。この層状珪酸塩は、そのpHの値が7〜11.5であることが好ましい。pHの値が11.5より大きくなると、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性が低下する傾向が現れてくる。
B成分の層状珪酸塩における有機オニウムイオンは、通常、ハロゲンイオン、ヒドロキシドイオンおよびアセテートイオン等のアニオン類との塩として取り扱われる。かかる有機オニウムイオンの塩化合物を層状珪酸塩に反応させて、B成分の層状珪酸塩が得られる。
すなわち、B成分は、極性溶媒中に分散させた層状珪酸塩に、上記式(I)で示される有機オニウムイオン化合物(有機オニウムイオンの塩化合物)を添加し、析出してくるイオン交換化合物を収集することによって製造することができる。通常、このイオン交換反応は、有機オニウムイオン化合物を、層状珪酸塩のイオン交換容量の1当量に対し1.0〜1.5当量の割合で加えて、ほぼ全量の層間の金属イオンを有機オニウムイオンで交換させるのが一般的である。しかし、このイオン交換容量に対する交換割合を一定の範囲に制御することも、芳香族ポリカーボネートの熱劣化を抑制する上で有効である。したがって有機オニウムイオンでイオン交換される割合は、層状珪酸塩のイオン交換容量に対して40%以上(40〜100%)であることが好ましい。ここで、有機オニウムイオンの交換割合は、交換後の化合物について、熱重量測定装置等を用いて、有機オニウムイオンの熱分解による重量減少を求めることにより算出することができる。
有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩においては、有機オニウムイオン塩化合物が層状珪酸塩に付着して残留しやすい。尚、該イオンのカウンターイオンとしては、通常塩化物イオンや臭化物イオンが使用されている。またこれらのカウンターイオンとイオン交換前の層状珪酸塩の層間に含まれているアルカリ金属イオンとの塩もイオン交換後の層状珪酸塩に残留する。かように残留した塩類は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性を低下させる。したがってかかる塩類を極力低減することが耐加水分解性の改良において重要である。かかる低減のための最も効果的かつ容易な方法は、イオン交換後の層状珪酸塩を十分に水洗洗浄することである。かかる水洗洗浄は、より具体的には、カウンターイオンである塩化物イオンや臭化物イオンの割合が、有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩100重量%中0.05重量%以下(より好適には0.001〜0.05重量%)となるように行われることが好ましい。
<C成分について>
本発明の樹脂組成物Iにおいて含有する好適なC成分は、A成分である芳香族ポリカーボネートと親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物である。このC成分は、芳香族ポリカーボネート(A成分)および前記層状珪酸塩(B成分)の双方に対する良好な親和性を生み出す。これら双方に対する親和性はこれら2成分の相溶性を向上させ、層状珪酸塩がマトリックスとなる芳香族ポリカーボネート中で微細かつ安定して分散するようになる。
層状珪酸塩の分散に関するC成分の機能は、異種ポリマー同士を相溶化させるために使用されるポリマーアロイ用相溶化剤(コンパティビライザー)と同様と推測される。したがって、このC成分は、低分子化合物よりも高分子化合物すなわち重合体であることが好ましい。また、重合体の方が混練加工時の熱安定性にも優れるため有利である。該重合体の平均繰り返し単位数は5以上が好ましく、10以上がより好ましい。一方、該重合体の平均分子量の上限については数平均分子量で2,000,000以下であることが好ましい。数平均分子量がかかる上限を超えない場合には良好な成形加工性が得られる。
本発明の樹脂組成物Iに配合されるC成分が重合体である場合、その基本的構造としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
a)前記芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αとβとからなるグラフト共重合体(主鎖がα、グラフト鎖がβ、並びに主鎖がβ、グラフト鎖がαのいずれも選択できる。)、αとβとからなるブロック共重合体(ジ−、トリ、等ブロックセグメント数は2以上を選択でき、ラジアルブロックタイプ等を含む。)並びにαとβとからなるランダム共重合体。
b)前記芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αの機能は重合体全体によって発現され、βが該α内に含まれる構造を有する重合体。
前記構造a)において、αおよびβは重合体セグメント単位および単量体単位のいずれをも意味するが、α成分は芳香族ポリカーボネートとの親和性の観点から重合体セグメント単位であることが好ましい。また、前記構造b)は、α単独では芳香族ポリカーボネートとの親和性が十分ではないものの、αとβとが組み合わされ一体化されることにより、良好な親和性が発現する場合である。α単独の場合にも芳香族ポリカーボネートとの親和性が良好であって、かつβとの組合せによってさらに親和性が向上する場合もある。したがって、これらの構造a)およびb)はその一部において重複することがある。
本発明におけるC成分としては、α分のみでも芳香族ポリカーボネートに対する親和性が高く、さらにβが付加したC成分全体においてその親和性が一段と高くなるものが好適である。
次に、C成分における芳香族ポリカーボネートに親和性を有する成分(以下、αと称する場合がある)について詳述する。前記の如くC成分は、ポリマーアロイにおける相溶化剤との同様の働きをすると考えられることから、αには相溶化剤と同様の重合体に対する親和性が求められる。したがって、αは非反応型と反応型とに大略分類できる。
非反応型では、以下の要因を有する場合に親和性が良好となる。すなわち、芳香族ポリカーボネートとαとの間に、(1)化学構造の類似性、(2)溶解度パラメータの近似性(溶解度パラメータの差が1(cal/cm31/2以内、すなわち約2.05(MPa)1/2以内が目安とされる)、(3)分子間相互作用(水素結合、イオン間相互作用等)およびランダム重合体特有の擬引力的相互作用等の要因を有することが望まれる。これらの要因は相溶化剤とポリマーアロイのベースになる重合体との親和性を判断する指標としても知られている。反応型では、相溶化剤において芳香族ポリカーボネートと反応性を有する官能基を有するものを挙げることができる。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して反応性を有する、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、エステル基、エステル結合、カーボネート基およびカーボネート結合等を例示することができる。
一方で、芳香族ポリカーボネートとαとが良好な親和性をもつ場合、その結果として芳香族ポリカーボネートとαとの混合物において単一のガラス転移温度(Tg)を示すか、または芳香族ポリカーボネートのTgがαのTgの側に移動する挙動が認められるので、芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分(α)は、かかる挙動により判別することができる。
上述の如く、C成分における芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分(α)は、非反応型であることが好ましく、殊に溶解度パラメータが近似することにより良好な親和性を発揮することが好ましい。これは反応型に比較して芳香族ポリカーボネート(A成分)との親和性により優れるためである。また反応型は過度に反応性を高めた場合、副反応によって重合体の熱劣化が促進される欠点がある。
芳香族ポリカーボネートおよびC成分のαの溶解度パラメータは次の関係を有することが好ましい。すなわち、芳香族ポリカーボネートの溶解度パラメータをδA((MPa)1/2)とし、C成分におけるαの溶解度パラメータまたはC成分全体の溶解度パラメータをδα((MPa)1/2)としたとき、次式:
δα=δA±2 ((MPa)1/2
の関係を有することが好ましい。
例えば、A成分である芳香族ポリカーボネートの溶解度パラメータは、通常、約10(cal/cm31/2(すなわち約20.5((MPa)1/2))とされていることから、δαは18.5〜22.5((MPa)1/2)の範囲が好ましく、19〜22((MPa)1/2)の範囲がより好ましい。
かかる溶解度パラメータδαを満足する重合体成分の具体例としては、スチレンポリマー、アルキル(メタ)アクリレートポリマー、アクリロニトリルポリマー(例えばポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等に代表される)等のビニル系重合体を挙げることができる。本発明の組成物の耐熱性の保持のためには、Tgの高い重合体成分を用いることが好ましい。
ここで溶解度パラメータは、「ポリマーハンドブック 第4版」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION,1999年)中に記載されたSmallの値を用いた置換基寄与法(Group contribution methods)による理論的な推算方法が利用できる。芳香族ポリカーボネートのTgは既に述べたようにJIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求めることが可能である。
前記のA成分の芳香族ポリカーボネートと親和性を有する成分αは、C成分中5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上が特に好ましい。C成分全体をαとする態様も可能であることから上限は100重量%であってよい。
一方、C成分における親水性成分(以下、βと称する場合がある)は、親水基(水との相互作用の強い有機性の原子団)を有する単量体および親水性重合体成分(重合体セグメント)より選択される。親水基はそれ自体広く知られ、下記の基が例示される。
1)強親水性の基:−SO3H、−SO3M、−OSO3H、−OSO3M、−COOM、−NR3X(R:アルキル基、X:ハロゲン原子、M:アルカリ金属、−NH4) 等、
2)やや小さい親水性を有する基:−COOH、−NH2、−CN、−OH、−NHCONH2 等、
3)親水性が無いかまたは小さい基:−CH2OCH3、−OCH3、−COOCH3、−CS 等
本発明の樹脂組成物Iに配合するC成分としては、親水基が前記1)または2)に分類されるものが使用され、なかでも、前記2)の親水基は芳香族ポリカーボネートの溶融加工時の熱安定性により優れるため好ましい。親水性が高すぎる場合には芳香族ポリカーボネートの熱劣化が生じやすくなる。これはかかる親水基が直接カーボネート結合と反応し、熱分解反応を生じるためである。
なお、かかる親水基は1価および2価以上の基のいずれであってもよい。C成分が重合体の場合、2価以上の官能基とは該基が重合体の主鎖を構成しないものを指し、主鎖を構成するものは結合として官能基とは区別する。具体的には、主鎖を構成する炭素等の原子に付加した基、側鎖の基および分子鎖末端の基は、2価以上であっても官能基である。
親水基のより具体的な指標は、溶解度パラメータである。溶解度パラメータの値が大きいほど親水性が高くなることは広く知られている。基ごとの溶解度パラメータは、Fedorsによる基ごとの凝集エネルギー(Ecoh)および基ごとのモル体積(V)より算出することができる(「ポリマー・ハンドブック 第4版」(A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION),VII/685頁、1999年、Polym.Eng.Sci.,第14巻,147および472頁,1974年、等参照)。さらに親水性の大小関係のみを比較する観点からは、凝集エネルギー(Ecoh)をモル体積(V)で除した数値(Ecoh/V;以下単位は“J/cm3”とする)を親水性の指標として使用できる。
C成分の親水性成分(β)に含まれる親水基は、Ecoh/Vが600以上であることが好ましく、さらに好ましくはEcoh/Vは800以上である。800以上の場合にはA成分の芳香族ポリカーボネートにおけるカーボネート結合のEcoh/Vを超え、カーボネート結合よりも高い親水性を有する。Ecoh/Vは900以上がより好ましく、950以上がさらに好ましい。一方、親水性が高すぎる場合には、既に述べたように芳香族ポリカーボネートの熱劣化が生じ易くなる。このため、Ecoh/Vは2,500以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,500以下がさらに好ましい。
C成分の親水性成分(β)として親水性重合体成分(重合体セグメント)も選択され得る。C成分の重合体中に含まれる親水性重合体のセグメントはβとなる親水性重合体としては、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸金属塩(キレート型を含む)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート等が例示される。これらのなかでも、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく例示される。これらは良好な親水性と芳香族ポリカーボネート(A成分)に対する熱安定性(溶融加工時の芳香族ポリカーボネートの分解の抑制)とが両立するため好適である。なお、ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドが好ましい。
親水基を有する単量体および親水性重合体成分のいずれにおいても、βは酸性の官能基(以下単に“酸性基”と称することがある)を有するのが好ましい。かかる酸性基は、本発明の樹脂組成物Iの溶融加工時の熱劣化を抑制する。とりわけ、窒素原子を含まない酸性基がより好適である。好適な酸性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基等が例示される。
これに比して、アミド基やイミド基等の窒素原子を含む官能基は溶融加工時の芳香族ポリカーボネートの熱劣化を十分には抑制しない場合がある。これは窒素原子が局所的に塩基性を有しカーボネート結合の熱分解を生じさせるためと考えられる。
C成分におけるβの割合は、βが親水基を有する単量体の場合、官能基1つ当たりの分子量である官能基当量として、60〜10,000であり、70〜8,000が好ましく、80〜6,000がより好ましく、100〜3,000がさらに好ましい。また、βが親水性重合体セグメントの場合、C成分100重量%中βが5〜95重量%の範囲にあることが適当であり、10〜90重量%が好ましい。とりわけ30〜70重量%がより好ましく、30〜50重量%がさらに好ましい。
前記芳香族ポリカーボネートに対して親和性を有する成分(α)と親水性成分(β)とを有する有機化合物(C成分)の製造方法としては、βの単量体とαを構成する単量体とを共重合する方法、βの重合体成分をαとブロックまたはグラフト共重合する方法、およびβをαに直接反応させて付加する方法、等が例示される。
かかるC成分の具体例として、A成分である芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体、A成分との親和性を有しかつポリアルキレンオキシドセグメントを有する重合体、A成分との親和性を有しかつオキサゾリン基を有する重合体、A成分との親和性を有しかつ水酸基を有する重合体等、が例示される。これらのC成分として好ましい重合体は、その分子量が重量平均分子量において1万〜100万であるのが好ましく、5万〜50万がより好ましい。かかる重量平均分子量は標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出される。
<C-1成分について>
上述したC成分のなかでも、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体が好ましく、さらに好ましい重合体は、芳香族ポリカーボネートとの親和性を有し、かつカルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有する重合体である。また、芳香族ポリカーボネートの耐熱性保持効果の観点から、該重合体は芳香環成分を主鎖に有するものおよびスチレン成分を主鎖に有するものが好ましい。これらの観点から、カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C-1成分)が本発明の樹脂組成物IにおけるC成分として特に好適である。ここでスチレン含有重合体とはスチレン等の芳香族ビニル化合物を重合した繰返し単位を重合体成分として含有する重合体を指す。
C-1成分中のカルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基の割合は、0.1〜12ミリ当量/gが好ましく、0.5〜5ミリ当量/gがより好ましい。ここでC-1成分における1当量とは、カルボキシル基が1モル存在することをいい、その値は水酸化カリウム等の逆滴定により算出することが可能である。
カルボキシル基の誘導体からなる官能基としては、カルボキシル基の水酸基を(i)金属イオンで置換した金属塩(キレート塩を含む)、(ii)塩素原子で置換した酸塩化物、(iii)−ORで置換したエステル(Rは一価の炭化水素基)、(iv)−O(CO)Rで置換した酸無水物(Rは一価の炭化水素基)、(v)−NR2で置換したアミド(Rは水素または一価の炭化水素基)、(vi)2つのカルボキシル基の水酸基を=NRで置換したイミド(Rは水素または一価の炭化水素基)等、を挙げることができる。
カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基(以下、単に“カルボキシル基類”と称する)を有するスチレン含有重合体の製造方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、(a)カルボキシル基を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合する方法、(b)スチレン含有重合体に対してカルボキシル基類を有する化合物または単量体を結合または共重合する方法等を挙げることができる。
前記(a)の方法では、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等のラジカル重合法の他、アニオンリビング重合法やグループトランスファー重合法等の各種重合方法を採用することができる。さらに一旦マクロモノマーを形成した後重合する方法も可能である。共重合体の形態はランダム共重合体の他に、交互共重合体、ブロック共重合体、テーパード共重合体等の各種形態の共重合体として使用することができる。前記(b)の方法では、一般的にはスチレン含有重合体または共重合体に、必要に応じて、パーオキサイドや2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(通称“ジクミル”)等のラジカル発生剤を加え、高温下で反応または共重合する方法を採用することができる。かかる方法はスチレン含有重合体または共重合体に熱的に反応活性点を生成し、かかる活性点に反応する化合物または単量体を反応させるものである。反応に要する活性点を生成するその他の方法として、放射線や電子線の照射やメカノケミカル手法による外力の付与等の方法も挙げられる。さらにスチレン含有共重合体中に予め反応に要する活性点を生成する単量体を共重合しておく方法も挙げられる。反応のための活性点としては不飽和結合、パーオキサイド結合、立体障害が高く熱的に安定なニトロオキシドラジカル等を挙げることができる。
前記カルボキシル基類を有する化合物または単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸およびその誘導体、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等の無水マレイン酸の誘導体、グルタルイミド構造やアクリル酸と多価の金属イオンで形成されたキレート構造等が挙げられる。これらのなかでも金属イオンや窒素原子を含まない官能基を有する単量体が好適であり、カルボキシル基またはカルボン酸無水物基を有する単量体、特に無水マレイン酸がより好適である。
また、スチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができるが、特にスチレンが好ましい。さらに、これらのスチレン系単量体化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として使用しても差し支えない。
本発明におけるC-1成分として好適なものは、カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体である。かかる共重合体においては比較的多くのカルボキシル基類を安定してスチレン含有重合体中に含むことが可能となるためである。より好適な態様としてカルボキシル基類を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合してなるスチレン含有共重合体を挙げることができ、なかでも殊に好適なものはスチレン−無水マレイン酸共重合体である。このスチレン−無水マレイン酸共重合体は、層状珪酸塩中のイオン成分および芳香族ポリカーボネートのいずれに対しても高い相溶性を有することから、層状珪酸塩(B成分)を良好に微分散させることができ、好適な条件を選べばナノオーダーに微分散させることも可能である。さらに、カルボン酸無水物基の作用により層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩を含有する樹脂組成物において良好な熱安定性が得られる。またかかる共重合体それ自体の熱安定性が良好であるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融加工に必要な高温条件に対しても高い安定性を有する。
カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体の組成については、上述のβの割合における条件を満足する限り制限されないが、カルボキシル基類を有する単量体からの成分を1〜30重量%(特に5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物成分99〜70重量%(特に95〜75重量%)を含み、共重合可能な他の化合物成分を0〜29重量%を含むものを用いるのが好ましく、カルボキシル基類を有する単量体を1〜30重量%(特に5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物99〜70重量%(特に95〜75重量%)含む共重合体が特に好ましい。
前記C−1成分の分子量は特に制限されないが、その重量平均分子量は1万〜100万の範囲にあることが好ましく、5万〜50万がより好ましい。なお、ここにいう重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出されるものである。
他の好適なC成分としては、親水基としてオキサゾリン基を含有するスチレン含有共重合体(C-2成分)が挙げられる。かかる共重合体を形成するスチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができる。さらに、これらの化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等、を共重合成分として使用しても差し支えない。特に好適なC−2成分の具体例としては、スチレン(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)−スチレン−アクリロニトリル共重合体が例示される。
また、他の好適なC成分としては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリエーテルエステル共重合体(C-3成分)がある。このポリエーテルエステル共重合体は、ジカルボン酸、アルキレングリコールおよびポリ(アルキレンオキシド)グリコール並びにこれらの誘導体から重縮合を行うことにより製造される重合体である。かかるC-3成分として特に好適なものは、重合度10〜120のポリ(アルキレンオキシド)グリコールあるいはその誘導体、テトラメチレングリコールを65モル%以上含有するアルキレングリコールあるいはその誘導体およびテレフタル酸を60モル%以上含有するジカルボン酸あるいはその誘導体から製造される共重合体である。
<D成分について>
樹脂組成物Iにおいて含有されるD成分は、高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステルおよび/またはフルエステルである。かかるD成分は、樹脂組成物Iの耐加水分解性をさらに向上させる効果を発揮する。かかる耐加水分解性の向上の原因は明らかではないものの、加水分解の原因となるイオン性の化合物を捕捉し、中和する作用があるものと推定される。
ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜32の脂肪族カルボン酸を指し、その具体例としては、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、並びに、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、セトレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。これらのなかでも脂肪族カルボン酸としては炭素原子数10〜22のものが好ましく、炭素原子数14〜20であるものがより好ましい。特に炭素原子数14〜20の飽和脂肪族カルボン酸、特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸は、通常、炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物であることが多い。前記D成分においても、かかる天然油脂類から製造され他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなるステアリン酸やパルミチン酸から得られたエステル化合物が好ましく使用される。
一方、多価アルコールとしては、炭素原子数3〜32のものがより好ましい。かかる多価アルコールの具体例としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン(例えばデカグリセリン等)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール等が挙げられる。
D成分の高級脂肪酸エステルは、より好適には部分エステルである。またD成分における酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましく、水酸基価は20〜500(より好ましくは50〜400)の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
これらの中で、特にD成分としてより好ましいものは、ステアリン酸を主成分とする高級脂肪酸とグリセリンとの部分エステルであり、この部分エステルは、例えば理研ビタミン(株)より「リケマールS−100A」という商品名で市販されており、市場から容易に入手することができる。
<各成分の組成割合について>
次に、本発明の樹脂組成物Iにおける前記各成分の組成割合(含有量)について説明する。
B成分の層状珪酸塩の組成割合は、A成分100重量部当り0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜12重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。B成分のかかる組成割合が前記下限より少ないときには、層状珪酸塩を配合した効果が十分発現せず、したがって高剛性を実現する上で不十分となる。他方、B成分のかかる組成割合が前記上限より多いときには、樹脂組成物の耐熱性や熱安定性の低下により、環境安定性が悪化するので好ましくない。
なお、樹脂組成物の剛性向上効果は、樹脂組成物中におけるB成分(珪酸塩)中の無機分の含有量に影響されるが、本発明の樹脂組成物では前記無機分の含有量が全体の10重量%以下の少量でも樹脂組成物成形品の剛性を有意に向上することができるので、B成分の配合による他の特性への悪影響なしに剛性の向上を図ることができ、しかも、特定の有機オニウムイオンでイオン交換したB成分の使用によって耐加水分解性の改善が達成される。
一方、C−1成分、すなわちカルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体は、A成分100重量部当り0.1〜50重量部含有することが好ましい。A成分100重量部当りのC−1成分の組成割合は、より好ましくは0.5〜20重量部であり、さらに好ましくは1〜12重量部である。前記範囲においては層状珪酸塩の良好な微分散(ナノ分散)および熱安定性の向上が達成されるため、高剛性および熱安定性においてより優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。この熱安定性の向上によって、高温高湿下での環境安定性も良好となる。
D成分の高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステルの組成割合は、前記A成分100重量部に対して、0.005〜1重量部であり、0.01〜1重量部が好ましい。より好ましくは0.02〜0.8重量部、さらに好ましくは0.03〜0.5重量部である。前記範囲においては高温高湿下での環境安定性がさらに向上する。D成分のかかる組成割合が前記下限より小さい場合には耐加水分解性のさらなる改良効果が小さく、またD成分のかかる組成割合が前記上限より大きい場合にはD成分自体の熱劣化を生じやすくなるので、好ましくない。
<付加的成分について>
本発明の樹脂組成物Iは、さらに必要に応じ、付加的成分として前記各成分以外の重合体やその他の添加剤を添加しても差し支えない。かかる付加的成分となり得る重合体としては、前記C−1成分以外のスチレン系樹脂および芳香族ポリエステル樹脂等を例示することができる。
かかるスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(PS)(シンジオタクチックポリスチレンを含む)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)が好ましく使用され、なかでもABS樹脂が最も好ましい。これらスチレン系樹脂2種以上混合して使用することも可能である。
芳香族ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等の他、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエチレンテレフタレート(いわゆるPET−G)、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレートのような共重合ポリエステルも使用できる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが好ましい。また、成形性および機械的性質のバランスが求められる場合、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートが好ましく、さらに重量比でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートが2〜10の範囲のブレンドや共重合体が好ましい。芳香族ポリエステル樹脂の分子量については特に制限されないが、o−クロロフェノールを溶媒として35℃で測定した固有粘度が0.4〜1.2、好ましくは0.6〜1.15である。
さらに、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、前記スチレン系樹脂や芳香族ポリエステル樹脂以外にも、非晶性熱可塑性樹脂や結晶性熱可塑性樹脂を含むことができる。また、必要に応じ、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマ化合物、ホスホネートオリゴマ化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、摺動剤(例えばPTFE粒子)、着色剤(例えばカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(例えばアクリル架橋粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム粒子)、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、導電剤、流動改質剤、無機もしくは有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、フォトクロミック剤、および蛍光増白剤等を配合してもよい。
前記染料類のうち、好ましい染料としてはペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、フタロシアニン系染料等が例示される。さらに、アンスラキノン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、チオキサントン系染料等に代表される各種の蛍光染料が例示される。また、蛍光増白剤としては、ビスベンゾオキサゾリル−スチルベン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−ナフタレン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル−チオフェン誘導体およびクマリン誘導体等の蛍光増白剤が例示される。これらの中でもクマリン誘導体が特に好適に使用され、該クマリン誘導体の市販品としては例えば、ハッコールケミカル(株)製ハッコールPSRが例示される。蛍光増白剤の配合量は、A成分100重量部に対し好ましくは0.0005〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.1重量部である。
酸化チタンとしては特に二酸化チタンの白色顔料が好適である。かかる二酸化チタンは、構造および製法は特に限定されないが、塩素法によるルチル型が好適である。本発明の二酸化チタンは、特にその形状を限定されないが、粒子状がより好適である。その平均粒径は好ましくは0.01〜0.4μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。尚、平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン系)をいう。二酸化チタンはその表面をアルミナに代表される無機物で処理されてもよい。処理により表面に付与される無機物の割合は、表面処理された二酸化チタン中1〜15重量%の範囲が好ましい。かかる表面処理はアルミニウムの酸化物以外にも、シリコン、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズおよび亜鉛などの金属の酸化物も使用可能である。中でもシリコン、すなわちSiO2による表面処理が好適である。またかかる表面処理は高密度な処理および低密度(多孔質)な処理の何れも適用できる。
更に好適な二酸化チタンは有機化合物で表面処理される。かかる表面処理は、二酸化チタンの分散性を良好にし樹脂組成物の熱安定性を向上させるからである。かかる表面処理剤としては、アミン類化合物、シリコーン化合物、およびポリオール化合物をそれぞれ主成分とする表面処理剤などを利用できる。なかでも、アルキルアルコキシシラン、各種シランカップリング剤、並びにアルキルハイドロジェンポリシロキサンで被覆したものが熱安定性や色相が良好である点で好ましい。殊にアルキルハイドロジェンポリシロキサンで被覆した二酸化チタンが好適に使用される。表面処理される有機化合物の量は、二酸化チタン100重量%当り1重量%以下が好ましく、0.6重量%以下が更に好ましく、0.4重量%以下が更に好ましい。一方下限としては0.05重量%以上が挙げられる。表面処理方法としては、二酸化チタン粉砕時に表面処理する方法、粉砕後の二酸化チタンと表面処理剤を混合する方法、並びに樹脂組成物製造時に二酸化チタンと表面処理剤とを別途混合し、結果として表面処理される方法などが例示され、いずれも本発明において適用可能である。
二酸化チタンは、通常の着色剤として使用する場合には、A成分100重量部あたり、0.001重量部以上3重量部未満の範囲で使用される。一方、二酸化チタンを比較的高含有量とし、成形品に光反射特性を付与する場合には、A成分100重量部あたり、好ましくは3〜30重量部であり、より好ましくは3〜25重量部であり、更に好ましくは5〜20重量部であり、特に好ましくは7〜18重量部である。
本発明の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤などが例示され、これらのいずれも使用可能である。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、および2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などが例示される。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールおよび2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなどが例示される。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)および2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、などが例示される。シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパンが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、耐熱性や色相(透明性)の点では、環状イミノエステル系紫外線吸収剤およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。紫外線吸収剤の配合量は、A成分100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.03〜2重量部、より好ましくは0.02〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。また本発明の樹脂組成物は、ヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができる。光安定剤の使用量はA成分100重量部に対して0.0005〜3重量部が好ましい。
樹脂組成物Iは、リン含有熱安定剤を含むことが好ましい。かかるリン含有熱安定剤としてはトリメチルホスフェート等のリン酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル、並びに、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン酸エステル等が例示される。かかるリン含有熱安定剤は全組成物100重量%中0.001〜1重量%を含むことが好ましく、0.01〜0.5重量%を含むことがより好ましく、0.01〜0.2重量%を含むことがさらに好ましい。かかるリン含有熱安定剤の配合によりさらに熱安定性が向上し良好な成形加工特性を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物Iがヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する場合にも、その好適な含有割合は上述のリン含有熱安定剤と同じ範囲である。
本発明においては、耐加水分解性の向上のため芳香族ポリカーボネート樹脂の加水分解改良剤として従来知られた化合物を、本発明の目的を損なわない範囲において配合することもできる。かかる化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、シラン化合物およびホスホン酸化合物などが例示され、特にエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好適に例示される。エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートに代表される脂環族エポキシ化合物、および3−グリシジルプロポキシ−トリエトキシシランに代表される珪素原子含有エポキシ化合物が好適に例示される。かかる加水分解改良剤は、A成分100重量部あたり1重量部以下とすることが好ましい。
樹脂組成物Iは、高い剛性を有し、良好な熱安定性を有し、かつ良好な耐加水分解性を有する。しかも、成形性が良好であり、かつ表面外観、特に表面平滑性の良好な成形品を与えるという利点も有する。
<芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明は、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、
(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および
(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)0.1〜50重量部、
を溶融混練して芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、
前記B成分と前記C−1成分とを予め溶融混練し溶融混練物を得た後に、該溶融混練物と前記A成分とを溶融混練し、
該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用し、耐加水分解性を改良することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を包含し、より好適には該樹脂組成物からなるペレットの製造方法を包含する。
かかる方法において、A成分、B成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。特に、前記B成分における一般式(I)中のR1およびR2は、炭素原子数が7〜14のアルキル基であることが好ましい。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、A成分100重量部当たり0.1〜50重量部の(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)を混合して製造される。C−1成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。前記C-1成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であることが好ましい。
A成分とB成分との混合は、溶融混練であることが好ましい。またB成分とC−1成分とを予め溶融混練し溶融混練物を得た後に、該溶融混練物とA成分とを溶融混練する。前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.005〜1重量部の(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)を混合して製造されることが好ましい。D成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。
混合は、各成分、並びに任意の成分を予備混合し(特に乾式混合が好適である)、その後溶融混練して行われることができる。かかる混合された樹脂組成物は、その後ペレット化することができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機等を用いることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーン等により造粒を行うこともできる。
予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、ペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としてはこの他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器等を挙げることができるが、ベント式二軸押出機に代表される多軸押出機が好ましい。かかる多軸押出機を用いることにより強力なせん断力で層状珪酸塩がマトリックス樹脂であるA成分中に微分散させられる。
本発明の樹脂組成物Iを製造するには、B成分とC−1成分とを予め溶融混練し溶融混練物を得た後、該溶融混練物とA成分である芳香族ポリカーボネートとを溶融混合する方法が好ましい。かかる溶融混練方法によれば層状珪酸塩の微分散が達成され、好ましくはナノオーダーの分散が実現する。さらにかかる溶融混練方法は芳香族ポリカーボネートの熱安定性を向上させるという効果も奏するので、実用上好ましい。
もちろん他の混合方法によっても本発明の効果は発揮される。例えば樹脂組成物Iでは、A成分とD成分との樹脂組成物のペレットと、B成分とC成分とを予め溶融混練したペレットとを、成形加工機(例えば射出成形機)に同時に供給して成形加工機中において混合する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物Iの有利な製造方法としては、例えば、(i)B成分とC−1成分をベント式二軸押出機にて溶融混練しペレット化したものを、再度A成分と溶融混練する方法や、(ii)B成分とC−1成分をベント式二軸押出機の主供給口より投入し、A成分の一部または全部を二軸押出機の途中段階に設けられた供給口から、B成分とC−1成分が既に溶融混練された状態の中へ投入する方法等を挙げることができる。これらB成分とC−1成分とを予め溶融混練する方法においては、その溶融混練時に、A成分の一部を含んでいても構わない。
D成分は、任意の段階で配合することができ、例えば、予めD成分をA成分と混合しておき他の成分と混練する方法、B成分とC−1成分とを溶融混練する際に添加する方法、最終段階のペレット化工程で添加する方法等、任意に選択することが可能である。
ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状および大きさを取り得る。より好適にはペレットは、円柱(当然楕円柱を含む)であり、かかる円柱の直径が1〜5mm(より好ましくは2〜3.3mm)の範囲、並びに円柱の長さが1〜30mm(より好ましくは2.5〜3.5mm)の範囲に含まれるものである。
<樹脂組成物へのB成分の使用方法>
本発明は、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法を包含する。かかる使用方法において、A成分およびB成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。本発明によれば層状珪酸塩としてB成分を用いることにより、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与することができる。
前記使用方法において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.1〜50重量部の(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)を含有することが好ましい。C−1成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。
前記使用方法において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.005〜1重量部の(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)を混合して製造されることが好ましい。D成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。
<樹脂組成物を製造するためのB成分の使用方法>
本発明は、(A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部からなり、耐加水分解性が改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
Figure 0004651927
[上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、R1およびR2は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、R3およびR4は互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法を包含する。
前記使用方法において、A成分およびB成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。本発明によれば層状珪酸塩としてB成分を用いることにより、剛性を有し、耐加水分解性が改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。
前記使用方法において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.1〜50重量部の(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)を含有することが好ましい。C−1成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。

前記使用方法において、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.005〜1重量部の(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)を混合して製造されることが好ましい。D成分の種類、含有量は、樹脂組成物Iと同じである。
<成形品>
本発明の樹脂組成物Iを射出成形することにより、各種の製品(成形品)を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、超高速射出成形等の射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また、成形方式はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また、本発明の樹脂組成物Iは、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルム等の形で使用することもできる。また、シート、フィルムの成形にはインフレーション法、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。さらに、本発明の樹脂組成物Iを回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
さらに、本発明の樹脂組成物Iは、光ディスク、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、および雑貨等の各種用途にも有用である。
本発明の樹脂成形品には、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
樹脂成形品の表面に金属層または金属酸化物層を積層する方法としては、例えば蒸着法、溶射法、メッキ法等が挙げられる。蒸着法としては真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法、並びに、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学蒸着(CVD)法が例示される。溶射法としては大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等が例示される。メッキ法としては、無電解メッキ(化学メッキ)法、溶融メッキ法、電気メッキ法等が挙げられ、電気メッキ法においてはレーザーメッキ法を使用することができる。
前記の各方法のなかでも、蒸着法およびメッキ法が本発明の樹脂成形品の金属層を形成する上で好ましく、蒸着法が本発明の樹脂成形品の金属酸化物層を形成する上で特に好ましい。蒸着法およびメッキ法は両者を組合せて使用することもでき、例えば蒸着法で形成された金属層を利用し電気メッキを行う方法等が採用可能である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物Iは、良好な剛性、熱安定性、表面平滑性を有し、更に良好な耐加水分解性を有する。したがって、上述のごとくかかる樹脂組成物からなる成形品の表面に各種の金属被覆を施した成形品部材は、ミラーおよびリフレクターなどの光線反射部材に有用であり、かつ十分な実用性を有する。かかる光線反射部材は、光線反射部材が組み込まれる各種の装置において使用できる。例えばミラーが組み込まれた画像情報処理装置としては、カメラ、複写機、スキャナー、プリンター、レーザー走査型情報読取装置、反射型ディスプレー装置、およびプロジェクターなどが例示される。例えばミラーを利用した光線エネルギー処理装置としては、ソーラーコレクターが例示される。またその他通常のミラーとしては、車両用のバックミラーおよびサイドミラー、および道路上のカーブミラーなどが例示される。ミラーの形状は、平面ミラー、凹面ミラー、および凸面ミラーのいずれの形状であってもよく、またポリゴンミラーなどの多面から構成されるミラーであってもよい。更にミラーは固定された状態でも可動の状態で使用されてもよい。
リフレクターは光源からの光を特定方向に反射するものであり、かかるリフレクターを組み込んだ装置としては、ヘッドライト、ブレーキランプおよびウインカーランプなどの車輌用ライトまたはランプ、懐中電灯、照明灯、およびプロジェクター用ランプなどが例示される。
ミラーおよびリフレクターは良好な形態安定性が求められ、更に光源に近い場合には耐熱性が求められる。特に耐熱性が求められる場合、上述のA成分の説明における(2)の共重合ポリカーボネートや(ii)の特性を満足する芳香族ポリカーボネートが好適である。したがって、本発明によれば、樹脂組成物Iからなる成形品の少なくとも一面に金属被覆を施した成形品部材からなり、該組成物中のA成分は、Tgが160〜250℃(好ましくは170〜230℃)であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%(好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%)である芳香族ポリカーボネートであることを特徴とする光線反射材が提供される。より好適には、かかる光線反射材において、A成分が該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネートである光線反射材が提供される。
更に、本発明の樹脂組成物Iは、その成形品表面に金属被覆を施すことなく光線を反射させる成形品部材においても好適に利用される。かかる成形品部材は、好適には樹脂組成物Iに更に二酸化チタンを比較的多量に含有させることにより達成される。二酸化チタンについては上述のとおりである。更に二酸化チタンを含有する樹脂組成物の場合、特に光源近くで使用されることが多く、また樹脂はかかる光源の光および熱に直接さらされることから、紫外線吸収剤およびヒンダードフェノール系やリン系などの熱安定剤を含有することが好ましい。含有割合は上述の通りである。更に光源に近い状態で使用されることより、金属被覆を施した成形品部材からなる光線反射材の場合と同様、上述のA成分の説明における(2)の共重合ポリカーボネートや(ii)の特性を満足する芳香族ポリカーボネートが好適である。したがって、本発明によれば、更にA成分100重量部当たり3〜30重量部の二酸化チタンを含有する樹脂組成物Iからなる成形品からなり、該組成物中のA成分は、Tgが160〜250℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%である芳香族ポリカーボネートであることを特徴とする光線反射材が提供される。より好適には、かかる光線反射材において、A成分が該芳香族ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%であり、かつBCFが5〜90モル%である共重合ポリカーボネートである光線反射材が提供される(それぞれ数値範囲の好ましい態様は上述の金属被覆を施した成形品部材からなる光線反射材の場合に同じである)。かかる光線反射材は、各種発光型のスイッチおよびメーター、並びに液晶ディスプレーのバックライト用などに好適である。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、樹脂組成物の評価は下記の(1)〜(7)の方法により行った。また、以下の文中で“部”とあるは特に断らない限り全て重量部を意味する。
(1)層状珪酸塩(無機分)の含有量
各樹脂組成物を用いて、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)を成形し、成形した試験片を切削してるつぼに入れて秤量し、600℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後に放冷し、るつぼに残った灰化残渣を秤量することで樹脂組成物中の層状珪酸塩(無機分)の量を測定した。すなわち、樹脂組成物の曲げ弾性率(剛性)等の特性は無機分の割合によって影響されるため、各実施例および比較例2、3では、試験片中の無機分の割合を測定し、表1〜5にB成分の無機分の割合(重量%)として示した。但し、実施例14および15においては、灰化残渣から二酸化チタン分を差し引くことにより該割合を算出した。
(2)粘度平均分子量、高温高湿試験後の粘度平均分子量の低下率(ΔMratio
前記(1)と同条件で成形した同形状の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)の粘度平均分子量を本文中記載の方法にて測定した。また、該試験片を温度105℃、相対湿度100%のプレッシャークッカーに10時間放置して処理した後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置した試験片(処理後の試験片)を用いて測定した粘度平均分子量と、温度23℃、相対湿度50%の環境下で74時間放置した試験片(処理前の試験片)を用いて測定した粘度平均分子量を、下記数式にしたがって計算し、恒温恒湿試験後の粘度平均分子量の低下率(ΔMratio)を算出した。
ΔMratio=100×[(処理前の試験片の粘度平均分子量)−(処理後の試験片の粘度平均分子量)]/(処理前の試験片の粘度平均分子量)
この数値が小さいほど成形した樹脂組成物の耐加水分解性が良好であることを示す。
(3)高温高湿試験後の試験片の表面状態
前記(1)と同条件で成形した同形状の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)に前記(2)と同条件で処理した試験片の表面状態を、目視にて観察し、処理後の試験片表面に膨れや皺といった平滑異常が全く見られないものを○、平滑異常が見られるものを×として判定した。
(4)曲げ弾性率
前記(1)と同条件で成形した同形状の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)を、温度23℃および相対湿度50%RHの雰囲気下においてASTM−D790に準拠の方法により曲げ弾性率(MPa)を測定した。この数値が大きいほど成形した樹脂組成物の剛性が優れていることを意味する。
(5)算術平均粗さ(Ra)
半径60mm、厚み1.2mmのコンパクトディスク基板と同一のゲート構造を有する円盤状ミラー成形品を射出成形し、かかる円盤状ミラー成形品の算術平均粗さ(Ra)を、JIS B0601-1994に準拠して、表面粗さ形状測定機((株)東京精密製:サーフコム1400A)を用い、中央から外周へ40mm離れたところで測定した。
(6)光反射率
射出成形より得られた見本板(長さ90×幅50×厚み2mm)を、カラーコンピューター(東京電色製TC−1800MK−II)により測定した。波長450nm〜850nmにおける最も低い反射率の値で評価した。
(7)遮光性
JIS K7361−1に従い、射出成形より得られた見本板(長さ90×幅50×厚み1mm)の全光線透過率を、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製HR−100)により測定した。
(実施例1〜12、比較例1〜3)
一部の実験(実施例4)において、表1記載の各成分を、表1記載の配合割合でポリエチレン袋中に量り入れ、その袋を上下方向および左右方向に十分に回転させることにより、各成分を均一にドライブレンドした。このドライブレンドされた混合物から、スクリュー直径30mのベント付2軸押出機[(株)日本製鋼所製:TEX30XSST;完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー]を用いて溶融混練しペレットを製造した。このときの排出量は20,000g/hrに設定し、押出温度は全ての区間を250℃とした。また、スクリュー回転数は150rpm、ベントの真空度は3kPaに設定した。この方法を表1中“方法1”と表示する。
一方、他の実験(実施例1〜3および5〜12、比較例2〜3)においては、B成分とC成分とを予め前記と同様の装置を用いて一旦ペレット化(シリンダー温度200℃)した後に、このペレットとA成分等の他の成分とを混合する方法によって、前記と同様の条件でペレットを作成した。この方法を表1〜4中“方法2”と表示する。但し実施例5のみ2軸押出機のシリンダー温度を280℃とした。
なお、比較例1を含む全ての実験において、下記のTMP(トリメチルホスフェート)を、A成分100重量部に対して0.1重量部となる割合で配合した。
このようにして得られた各ペレットを、それぞれ、100℃で5時間熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機[住友重機械工業(株):SG−150U]を用いて所定の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)を作成した。成形条件はシリンダ温度260℃、金型温度80℃、射速30mm/秒、保圧50MPa前後とした(但し、実施例5のみ成形機のシリンダー温度を280℃、金型温度を100℃とした)。これらの試験片についての評価結果を表1〜4に示す。なお、表1〜4記載の各成分を示す記号は、それぞれ下記のものを意味する。
<A成分>
〔PC−1〕:粘度平均分子量23,800のビスフェノールA型芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂パウダー[帝人化成(株)製「パンライトL−1250WP」]
〔PC−2〕:下記方法により製造された9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(“BCF”と略称)およびビスフェノールA(“BPA”と略称)からなる芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
〔PC−2の製造法〕:温度計および撹拌機付き反応器にイオン交換水19580部および48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液3850部を仕込み、これにBCF1175部およびBPA2835部およびハイドロサルファイト9部を溶解した後、塩化メチレン13210部を加えて激しく撹拌しながら15℃でホスゲン2000部を約40分を要して吹込み反応させた。ホスゲン吹き込み終了後、28℃に上げてp−tert−ブチルフェノール94部と水酸化ナトリウム640部を加えて乳化させた後、トリエチルアミン6部を加えて1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところでニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、BCF:BPAのモル比が20:80である共重合体の無色のパウダー4080部を得た。この芳香族ポリカーボネート(PC−2)パウダーの粘度平均分子量は20,300であった。尚、反応系は窒素バブリングおよび窒素還流下において行い、反応時の酸素との接触を遮断した。
<B成分>
〔B−1〕:下記方法により製造されたジメチルジ−n−デシルアンモニウムイオンでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)。
〔B−1の製造法〕:合成フッ素雲母(コープケミカル(株)製「ソマシフ ME−100」)約100部を精秤してこれを室温の水(イオン交換水)10000部に撹拌分散し、ここに前記オニウムイオンのクロライド(ジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライド)を合成フッ素雲母の陽イオン交換当量に対して1.2倍当量を添加して6時間撹拌した。生成した沈降性の固体を濾別し、次いで30000部のイオン交換水中で撹拌洗浄後再び濾別した。この洗浄と濾別の操作を各3回行った。得られた固体は5日の風乾後乳鉢で粉砕し、さらに50℃の温風乾燥を10時間行い、再度乳鉢で最大粒径が100μm程度となるまで粉砕した。かかる温風乾燥により窒素気流下120℃で1時間保持した場合の熱重量減少で評価した残留水分量が3重量%とし、B−1を得た。
〔B−2〕:下記方法により製造されたジメチルジ−n−デシルアンモニウムイオンで陽イオン交換容量の55%分がイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)。
〔B−2の製造法〕:前記B−1の製造法において、ジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドを合成フッ素雲母の陽イオン交換当量に対して0.8倍当量を添加した以外は、前記B−1の場合と同様にして製造された。
〔B−3〕:下記方法により製造されたジメチルジドデシルアンモニウムイオンでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)。
〔B−3の製造法〕:前記B−1の製造法において、ジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドをジメチルジドデシルアンモニウムクロライドに変更した以外は、前記B−1の場合と同様にして製造された。
〔B−4〕:下記方法により製造されたジメチルジヘキサデシルアンモニウムイオンでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)。
〔B−4の製造法〕:前記B−1の製造法において、ジメチルジ−n−デシルアンモニウムクロライドをジメチルジヘキサデシルアンモニウムクロライドに変更した以外は、前記B−1の場合と同様にして製造された。
〔B−5〕:ジメチルジデシルアンモニウムクロライドを用いてジメチルジデシルアンモニウムイオンでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(トピー工業(株)製;4CD10−TS)
<本発明範囲外の層状珪酸塩>
比較のため、本発明の範囲外の有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩である下記のB−3およびB−4を使用した。
〔B−6〕:トリn−オクチルメチルアンモニウムクロライドでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(コープケミカル(株)製:「ソマシフ MTE」、合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
〔B−7〕:ジメチルジ−n−オクタデシルアンモニウムクロライドでほぼ完全にイオン交換された有機化合成フッ素雲母(コープケミカル(株)製:「ソマシフ MAE」、合成フッ素雲母の陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
<C成分>
〔C−1〕:スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァケミカルジャパン(株)製:「DYLARK 332−80」、無水マレイン酸量約15重量%)
〔C−2〕:(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)−スチレン−アクリロニトリル共重合体((株)日本触媒製:「EPOCROS RAS−1005」、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン量約5重量%)
<D成分>
〔D−1〕:高級脂肪酸と多価アルコールの部分またはフルエステル(理研ビタミン(株)製:「リケマール S−100A」)
(その他の成分)
TMP:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:TMP)、添加量は全てA成分100重量部当り0.1重量部
Figure 0004651927
Figure 0004651927
Figure 0004651927
Figure 0004651927
表1〜4に示す結果から、本発明で特定した有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩(B−1〜5)を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜12)は、高温高湿環境に放置したときの分子量低下が少なく耐加水分解性に優れているだけでなく、成形品の表面外観が良好で、しかも高い曲げ弾性率(剛性)を示す。これに対し、層状珪酸塩を含まない通常の芳香族ポリカーボネート樹脂(比較例1)は剛性が不足し、本発明とは異なる有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩(B−6、B−7)を配合した樹脂組成物(比較例2〜3)は、剛性は向上しているが、成形品を高温高湿環境に放置した場合の耐加水分解性が悪く、成形品の外観においても劣ることが明らかである。
(実施例13)
実施例5で得られたペレットを用いて成形した成形品について真空蒸着装置(A6425:(株)中央理研製)にて、アルミニウムを0.5μmの厚みで真空蒸着しミラーを作成した。ミラーの表面は良好な平滑性を示し目視において反射像の歪みは認められなかった。算術平均粗さRaを測定したところ、0.01μmであった。
(実施例14および15)
表5に記載された各成分を、実施例14においては実施例1と同じ方法にて、実施例15においては実施例5と同じ方法にて押出および成形し、成形品を得た。それらについての評価結果を表5に示す。尚、表5に記載された上述以外の各成分を示す記号は、それぞれ下記のものを意味する。
〔TiO2〕:メチルハイドロジェンシロキサンで表面処理された二酸化チタン顔料(石原産業(株)製;「タイペークPC−3」)
〔EPQ〕:ホスホナイトを主体とするリン系安定剤(クラリアントジャパン社製;「Sandstab P−EPQ」)
〔PSR〕:クマリン系蛍光増白剤(ハッコールケミカル(株)製;「ハッコールPSR−B」)
〔UVA〕:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ケミプロ化成(株)製;「ケミソーブ79」)
Figure 0004651927
表5に示す結果から、実施例14および15の組成物は、高温高湿環境に放置したときの分子量低下が少なく耐加水分解性に優れているだけでなく、成形品の表面外観が良好で、しかも高い曲げ弾性率(剛性)を示し、かつ優れた光学特性をも有することがわかる。更に実施例14および15の組成物より、7インチ型液晶ディスプレー用のバックライト成形品をそれぞれほぼ同様の条件で成形した。得られた成形品は良好な表面平滑性および光反射性を呈していた。
本発明の樹脂組成物Iは、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、雑貨等の幅広い分野において有用であり、その産業的価値は極めて高い。

Claims (16)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート(A成分)、
    (B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)、このB成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜20重量部である、
    Figure 0004651927
    [上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]、
    (C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)、このC−1成分の含有量はA成分100重量部当り0.1〜50重量部である、および
    (D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)、このD成分はA成分100重量部当り0.005〜1重量部である、
    よりなることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記B成分における一般式(I)中のRおよびRは、炭素原子数が8〜11のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記B成分における一般式(I)中のRおよびRは、メチル基またはエチル基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記B成分における一般式(I)中のMは窒素原子であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記C-1成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記D成分の高級脂肪酸は、炭素原子数10〜32の脂肪族カルボン酸であり、多価アルコールは、炭素原子数3〜32の脂肪族アルコールである請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 前記D成分は高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステルである請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. (A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、
    (B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および
    (C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)0.1〜50重量部、
    を溶融混練して芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、
    前記B成分と前記C−1成分とを予め溶融混練し溶融混練物を得た後に、該溶融混練物と前記A成分とを溶融混練し、
    該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
    Figure 0004651927
    [上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
    で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用し、耐加水分解性を改良することを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記B成分における一般式(I)中のRおよびRは、炭素原子数が7〜14のアルキル基であることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記C-1成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.005〜1重量部の(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)を混合して製造されることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  12. (A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部よりなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、耐加水分解性の低下を防止しつつ剛性を付与するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
    Figure 0004651927
    [上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
    で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法。
  13. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.1〜50重量部の(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)を含有することを特徴とする請求項12に記載の層状珪酸塩(B成分)を使用する方法。
  14. (A)芳香族ポリカーボネート(A成分)100重量部、(B)有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩0.1〜20重量部、および(D)高級脂肪酸と多価アルコールの部分エステルおよび/またはフルエステル(D成分)0.005〜1重量部からなり、耐加水分解性が改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造するために、該層状珪酸塩として、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ下記一般式(I)
    Figure 0004651927
    [上記式(I)中、Mは窒素原子またはリン原子を表わし、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数6〜16のアルキル基、RおよびRは互いに同一もしくは相異なる炭素原子数1〜4のアルキル基を表わす。]
    で示される有機オニウムイオンによりイオン交換された層状珪酸塩(B成分)を使用する方法。
  15. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、更にA成分100重量部当たり0.1〜50重量部の(C)カルボキシル基および/またはその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C−1成分)を含有することを特徴とする請求項14に記載の層状珪酸塩を使用する方法。
  16. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形して製造された成形品。
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