JP4648513B2 - 濃度検知方法及び濃度検知装置並びに薬剤の希釈調合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中の目的物質の濃度を検知するための濃度検知方法及び濃度検知装置並びに固体又は高濃度の薬剤を所定の濃度に希釈調合するための希釈調合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶液中の特定物質の濃度を検知することは、ほとんどの産業分野において普遍的に要求される技術であるが、特に、半導体や液晶関連の分野においては、他産業に比べ、溶液の組成や濃度をより厳密に管理しなければならない場合が多い。
【0003】
例えば、半導体の製造工程等において、ポジ型フォトレジストを現像するために用いられるアルカリ現像液は、フォトレジストの解像力、寸法精度、安定性等を高めるための決め手となるものであり、使用するポジ型フォトレジストにあわせ、組成及び濃度を厳密に管理することが必要となる。
【0004】
又、シリコン酸化膜等をエッチングするために用いられる希フッ酸(フッ化水素酸水溶液)には、シリコン酸化膜等の厚さにあわせてエッチングレート又はエッチング量を正確に制御できることが要求されるが、そのためには、希フッ酸の濃度を厳密に管理することが必要とされる。
特許第2090366号(特公平6-7910号)、特許第2751849号、特許第2670211号にはそのような濃度の制御手段を備えた現像原液の希釈装置が記載されている。
【0005】
ところで、従来、厳密な濃度の管理が必要となる薬剤は、薬剤供給メーカー側で所望の濃度に希釈調合した上で薬剤使用メーカーに出荷していたが、近年においては、希釈調合手段の発達により、薬剤使用メーカー自らが高濃度の薬剤を所望の濃度に希釈調合する場合が多くなってきている。
これらの希釈装置は、特許第2090366号(特公平6-7910号)及び特許第2751849号に開示されている連続式と、特許第2670211号に開示されているバッチ式の2通りに分類される。
【0006】
溶液の導電率は溶液の濃度、温度によって変動することが知られている。また、広い温度範囲、広い濃度範囲においては、一定温度における濃度-導電率の関係及び一定濃度における導電率-温度の関係は一次の式にならないことが知られている。
このため、従来の測定は、測定する際の温度と目標とする濃度を設定した後、この設定した温度及び濃度の付近において、導電率は濃度の一次式で変動すると仮定し、さらに、温度が変動した場合の導電率の変化率は濃度によらず一定と仮定して、設定した温度・濃度付近において、導電率と温度を測定することにより濃度を求める。
【0007】
通常、溶液の温度は設定温度とは異なるため、測定を行う溶液を温度コントローラーを通過させることにより、溶液の温度を設定温度に保った状態で測定を行う。
連続式の希釈装置においては、特許第2090366号(特公平6-7910号)及び特許第2751849号が開示するように、目標とする濃度、温度を設定し、薬剤または水を撹拌槽に連続して供給しながら、常に濃度を測定し、濃度の変動に応じて薬剤又は水の供給量を調節して希釈を行う。
調合が連続して行われるため、薬剤の濃度測定はリアルタイムで行われることが望ましいが、溶液が温度コントローラーを通過する時間だけ濃度測定が遅れるため、薬剤または水の過不足が起こりやすく、このため、撹拌槽から貯留槽に取り出される液体については、大きな濃度変動が発生し易い。
【0008】
バッチ式は特許第2670211号が開示するように、薬剤を水で希釈した後に、濃度を測定して必要な薬剤又は水の量を計算して撹拌槽に加える操作を、目的の濃度の液が得られるまで繰り返す方法である。この方式では、濃度が求められるまで薬液または水の供給を行わないので、溶液の温度が正確に設定温度になるように、溶液が温度コントローラーを通過する時間を必要なだけとることができ、その結果、連続式に比べて高い精度で濃度測定をおこなうことができるが、溶液が温度コントローラーを通過する所要時間が長くなるため、調合時間が長くなる欠点がある。
【0009】
さらに、従来の導電率計による測定は、数値の再現性に問題があった。数値のバラツキが大きい場合には、調製する薬剤の許容濃度は、ユーザーの指定する許容濃度よりも、バラツキの分だけ、さらに狭い値にしなければならない。
利便的な濃度管理を要求する薬剤使用メーカーにとって、上記の問題の解決が早急に望まれている。
【0010】
薬剤を所望の濃度に正確に調製するためには、薬剤の濃度を正確に検知することが不可欠であるが、薬剤の濃度と溶液の導電率との間には薬剤によって定まる一定の温度範囲、一定温度では一次式で示される関係があるため、従来、濃度管理のために用いられてきた導電率計は、予め、ある温度における溶液の導電率と薬剤の濃度と、ある温度における導電率と温度の関係を把握しておき、薬剤の濃度は、溶液の導電率を測定した上で、その測定値より算出することが一般的であった。
【0011】
即ち、ある温度(設定温度t)における溶液の導電率と薬剤の濃度との関係を表す一次式Dt=a'C+b'(Dtは導電率、Cは濃度、a'及びb'は定数を表す。)を実験により求める。次に、導電率の測定温度が設定温度tより1度高くなるごとに導電率がd高くなると仮定し、このdを実験により求める。従って、溶液の温度がTのときの導電率をDTとすると、設定温度tにおける溶液の導電率Dtは、式、Dt=DT-d(T-t)で表される。一方、Dt=a'C+b'であるから、DT-d(T-t)=a'C+b'であり、この式をCについて解くと、C=(DT-d(T-t)-b')/a'が得られる。この式により、導電率の測定温度が設定温度tからずれた場合においても、温度補償がなされ、導電率より濃度を算出することができる。
【0012】
しかしながら、従来は、薬剤によって定まるある一定の温度・濃度範囲においては、導電率の測定温度が設定温度tよりも1度高くなるごとに導電率がd高くなるという仮定を前提としているため、溶液の温度が設定温度と同じであれば正確な濃度を算出することができるが、溶液の温度が所定の測定温度からずれた場合には、実際の濃度と算出した濃度との間には誤差が生じ、厳密な濃度管理が必要とされる状況に耐えうる精度で濃度を把握することが困難であるという問題があった。
【0013】
さらに、上記の問題と関連し、前記特許第2090366号(特公平6-7910号)、特許第2751849号でも言及されているように、従来の方法においては、温度コントローラーで溶液の温度を設定温度に保った状態で導電率を測定する必要があり、そのために温度コントローラ等の設備投資や保温器等の熱源が必要になり、薬剤の希釈調合のコストが高くなるとともに、作業が煩雑であるという問題があった。又、温度コントローラを用いて連続的に濃度測定を行う場合、特許第2090366号(特公平6-7910号)、特許第2751849号においても指摘されているように、温度を設定温度に保つ必要があるため、温度コントローラーを通過するのに要する時間だけ、測定に遅れが生じるという問題もあった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、厳密な温度管理を行わなくても、溶液の濃度を精度良く、かつ再現性よく求めることができ、又、リアルタイムで濃度を求めることができ、かつ薬剤の希釈調合のコスト低減及び希釈調合作業の単純化に資することができる濃度検知方法及び濃度検知装置並びに薬剤の希釈調合装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、その解決手段を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、溶液の導電率及び温度を測定する工程及び導電率及び温度から溶液中の目的物質の濃度を算出する工程を含む濃度検知方法であって、該濃度の算出が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表す。)に基づくことを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
【0017】
また本発明は、式1中の定数A、B、a及びbが、
同一の目的物質を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定し、最小二乗法により求めた値であることを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
本発明はまた、定数A、B、a及びbが、同一の薬剤を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定する第一工程、
第一工程において測定した、各温度における濃度値と導電率値とから、導電率を濃度の一次関数で近似した一次式
D=wC+z・・・・・・・・・・・・・・(2)
の各温度における係数値wおよび定数値zを最小二乗法により求める第二工程、
第二工程で求めた、各温度における係数値wおよび定数値zから、
wを温度の一次関数で近似した一次式
w=AT+B・・・・・・・・・・・・・・(3)
の係数Aおよび定数Bを最小二乗法により求め、
zを温度の一次関数で近似した一次式
z=aT+b・・・・・・・・・・・・・・(4)
の係数aおよび定数bを最小二乗法により求める第三工程、
を有する方法にて求めた値であることを特徴とする濃度検知方法に関する。
【0018】
さらに本発明は、複数種の温度が、目標とする温度±5度の温度範囲に包含されることを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
本発明はさらに、複数種の温度が、目標とする温度±10度の温度範囲に包含されることを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
さらにまた本発明は、溶液が水溶液であることを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
【0019】
また本発明は、溶液が1種の溶質のみを含むことを特徴とする、前記濃度検知方法に関する。
本発明はまた、前記濃度検知方法を利用して薬剤を所望の濃度に希釈調合する方法に関する。
【0020】
さらに本発明は、薬剤を水と混合して水溶液とする第一工程、水溶液中の薬剤の濃度を検知する第二工程、検知した薬剤の濃度に基づいて、薬剤又は水を水溶液に添加し、薬剤の濃度を所望の濃度に調整する第三工程、を含む前記薬剤の希釈調合方法に関する。
本発明はさらに、少なくとも第二工程及び第三工程をコンピュータープログラムにより制御して行う前記薬剤の希釈調合方法に関する。
【0021】
さらにまた本発明は、導電率測定手段及び演算手段を備え、導電率測定手段にて測定した溶液の導電率及び温度より、演算手段にて溶液中の目的物質の濃度を検知する濃度検知装置であって、演算手段が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表す。)に基づくことを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
また本発明は、式1中の定数A、B、a及びbが、同一の目的物質を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定し、最小二乗法により求めた値であることを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
【0022】
本発明はまた、定数A、B、a及びbを、同一の薬剤を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定する第一工程、
第一工程において測定した、各温度における濃度値と導電率値とから、導電率を濃度の一次関数で近似した一次式
D=wC+z・・・・・・・・・・・・・・(2)
の各温度における係数値wおよび定数値zを最小二乗法により求める第二工程、
第二工程で求めた、各温度における係数値wおよび定数値zから、
wを温度の一次関数で近似した一次式
w=AT+B・・・・・・・・・・・・・・(3)
の係数Aおよび定数Bを最小二乗法により求め、
zを温度の一次関数で近似した一次式
z=aT+b・・・・・・・・・・・・・・(4)
の係数aおよび定数bを最小二乗法により求める第三工程、を有する方法にて求めた値である。)に基づくことを特徴とする、前記に記載の濃度検知装置に関する。
【0023】
さらに本発明は、複数種の温度が目標とする温度±5度の温度範囲に包含されることを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
本発明はさらに、複数種の温度が目標とする温度±10度の温度範囲に包含されることを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
さらにまた本発明は、測定する溶液が水溶液であることを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
【0024】
また本発明は、測定する溶液が1種の溶質のみを含むことを特徴とする、前記濃度検知装置に関する。
【0025】
さらに本発明者らは、数値のバラツキが大きくなる原因について綿密に検討した結果、(1)測定チャンバー内に残留した空気の泡が測定値に大きく影響すること、(2)測定チャンバー内の形状によっては、測定チャンバー内に前回の液がとどまり、次に流入してくる液体と混合するため濃度が変わってしまうこと、の2つがあることを発見した。即ち、測定チャンバーの形状は、頭頂部に水溶液出口がある形状がよく、また、測定チャンバー内に液が留まらない形状が望ましい。
例えば、水溶液出口に向かって連続的に小さくなる形状が好ましいが、これに限定されるわけではない。
【0026】
従って、本発明はまた、導電率測定手段が、水溶液流入口及び頭頂部に流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口にむかって連続的に小さくなる、前記濃度検知装置に関する。
【0027】
ところで測定チャンバー内には測定ロッドがあり、測定ロッドには貫通孔がある。仮に、貫通孔内に気泡が流入した場合、速やかに除去しなければ測定値に影響するが、本発明者らは、この改良のため、測定チャンバーに貫通孔方向の水流を作ればよいことを発見した。
例えば、貫通孔の延長線と測定チャンバーの壁面との交点近傍に、さらにもう一つの水溶液流入口を設けることが好ましいがこれに限定されない。
【0028】
従って本発明はさらに、測定チャンバー内に配置された測定ロッドを有し、測定ロッドは貫通孔を備え、貫通孔の延長線と測定チャンバーの壁面の交点近傍にさらにもう1つの水溶液流入口を有する、前記濃度検知装置に関する。
【0029】
本発明はまた、薬剤を水と混合し、薬剤を所望の濃度に希釈調合する薬剤の希釈調合装置であって、前記濃度検知装置を備えた前記薬剤の希釈調合装置に関する。
さらに本発明は、希釈調合槽、薬剤を水と混合して水溶液とする混合手段、検知した濃度に基づいて、薬剤又は水を水溶液に添加し、薬剤の濃度を所望の濃度に調整する濃度調整手段を有する前記薬剤の希釈調合装置に関する。
さらにまた本発明は、少なくとも濃度検知装置、濃度調整手段をコンピュータープログラムにより制御する前記に記載の薬剤の希釈調合装置に関する。
【0030】
また本発明は、導電率及び温度を測定する際に、水溶液の一部を一時的に希釈調合槽から濃度検知装置の導電率測定手段へ送り、導電率測定手段が、水溶液流入口及び頭頂部に水溶液流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口に向かって連続的に小さくなる、前記薬剤の希釈調合装置に関する。
【0031】
本発明はまた、測定チャンバーが、測定チャンバー内に配置された測定ロッドを有し、測定ロッドは貫通孔を備え、貫通孔の延長線と測定チャンバーの壁面との交点近傍に、さらにもう一つの水溶液流入口を有する前記薬剤の希釈調合装置にも関する。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明においては、溶液中の目的物質の濃度は、溶液の導電率の測定値から式(1)、C=(D-aT-b)/(AT+B)、(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表す。)により求められる。
【0033】
一定温度における、溶液の導電率Dと濃度Cとの関係は、狭い濃度範囲内においては、一次式D=wC+zで表される関係に近似することができる。ただし、この近似一次式の傾きwと切片zは溶液の温度が変われば変化する。本発明は、さらに、導電率Dと濃度Cとの関係を表す近似一次式の傾きw及び切片zと温度Tとの関係が、△T=20度以内の狭い温度範囲においては、温度の一次関数として表すことができるという新たな知見に基づくものである。即ち、上記の一次式D=wC+zの傾きwはAT+Bで表され、切片zはaT+bで表される。従って、溶液の導電率Dは(AT+B)C+(aT+b)で表されることとなり、これを濃度Cについて解くと、上記の式(1)が導かれる。
【0034】
即ち、本発明においては、溶液の導電率、濃度及び温度の関係式である式(1)を用いて、導電率より濃度を算出することから、導電率を測定する際の溶液の温度を一定にしなくても、溶液の濃度を正確に算出することができる。実際に導電率を測定する際の溶液の温度の変動が±10度を越えることは希であると考えられるため、上記の温度範囲内で正確に導電率を測定できれば、濃度の検知には十分であると考えられる。又、従来の濃度検知方法において正確に導電率を測定できる溶液の温度の変動範囲が±5度以内であることを考慮すると、溶液の温度が△T=20度以内で変動しても正確に濃度を検知できる本発明の有用性は明らかである。
【0035】
式(1)の定数A、B、a及びbは例えば下記のように求めることができる。まず、同一種の薬剤を含む、複数種の濃度の溶液を、複数種の温度にて夫々導電率を測定する。次に、各温度における濃度と導電率との関係から、最小二乗法により一次式
D=wC+z・・・・・・・・・・・・・・(2)
を導く。ついで、各濃度における温度と導電率との関係から、最小二乗法により上記一次式(2)の傾きwを、温度との一次関数を表す式
w=AT+B・・・・・・・・・・・・・・(3)
として、及び同じく上記一次式(2)の切片zを、温度との一次関数で表す式
z=aT+b・・・・・・・・・・・・・・(4)
として導き、A、B、a及びbの各定数を予め求める。
又、式(1)の定数A、B、a及びbは下記の方法でも求めることができる。まず、同一種の薬剤を含む、複数種の濃度の溶液を、複数種の温度にて夫々導電率を測定する。測定数値を下記の行列に代入する。
【数1】
行列の解を求めることで決定される。
【0036】
ここで、上記の複数種の温度は、温度差が△T=20度、より好ましくは△T=10度の、5種以上、より好ましくは10種以上の温度とする。従って、上記の定数A、B、a及びbの値は、調製する薬剤溶液の濃度及び導電率を測定する際の薬剤溶液の目標とする温度を考慮して求められるべきである。又、上記の定数A、B、a及びbの値は、薬剤溶液の溶媒及び、薬剤の種類等によっても変動する。
【0037】
尚、定数A、B、a及びbを求める際に採用する複数種の温度は目標とする温度±5度の温度範囲に包含されることが好ましく、目標とする温度±10度の温度範囲に包含されることがより好ましい。又、溶液は水溶液であり、1種の溶質のみを含むことが好ましい。本発明は、厳密な濃度管理が必要とされる薬剤の濃度を検知する上で特に有用であるが、このような薬剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、フッ化水素酸、塩酸等が挙げられる。
【0038】
【実施例】
本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
図1に、本発明の希釈調合装置の一例を模式的に示す。希釈調合装置20は、薬剤原料を貯留する原液貯留槽1、純水を供給する純水供給配管2、希釈調合槽3、ロードセル4、導電率計5、測温抵抗体(温度計)6、希釈調合薬液を貯留する供給槽7及びこれらの各機器を接続する配管類、電気計装類で構成される。
【0040】
原料貯留槽1には電子工業用薬剤原液が貯留され、ロードセル4の指示値により電子工業用薬剤原液は計量槽8に補給される。ロードセル19により所定重量まで補給した後、電子工業用薬剤原液はロードセル4により希釈調合槽3へ所定重量まで補給される。その後、純水がロードセル4により所定重量まで補給される。窒素バブリングまたはポンプ循環による撹拌を希釈調合薬品が充分に混合されるまで行い、導電率計5および測温抵抗体6にて導電率及び温度を測定する。導電率及び温度はシステム制御機器9に出力され、システム制御機器9に予め入力されている式(1)、C=(D-aT-b)/(AT+B)、(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表す。)に代入され濃度を導く。
【0041】
ここでシステム制御機器9には、予め式(1)、C=(D-aT-b)/(AT+B)、(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表す。)が入力されているが、その定数A、B、a及びbは、例えば、下記のように予め求められる。
【0042】
例えば、図2に示すような実験装置を用いて溶液の濃度、温度、導電率の関係を調査する。例として半導体製造工程でポジ型フォトレジストを現像するために用いるアルカリ現像液として幅広く使用されている TMAH水溶液の濃度、温度、導電率の関係を調査する場合について説明する。この例は2.380質量%のTMAH水溶液を20〜30℃の温度で調製することを意図して定数A、B、a及びbを求める場合である。
【0043】
一般的に先ず、2.390質量%のTMAH水溶液を容器10に仕込む。ポンプ11を運転し、毎分約2.5リットルの流速で、TMAH水溶液を温調器12、導電率計13及び測温抵抗体14を介して循環させる。そして、温調器12の設定温度を20、22.5、25、27.5、30℃と変化させ、各温度におけるTMAH水溶液の導電率を導電率計13で測定する。濃度が2.385、2.380、2.375、2.370質量%であるTMAH水溶液についても同様に、上記の各温度での導電率を測定する。ここで実施した例としては2.392、2.383、2.379、2.367及び2.350質量%のTMAH水溶液を用いて測定を行った。図3に、各濃度におけるTMAH水溶液の温度と導電率との関係を示す。
【0044】
次に、最小二乗法を用いて、A、B、a、bの値を求める。最小二乗法を用いて一段階で求めることができるが、ここでは、逐次的に求める方法について開示する。各濃度におけるTMAH水溶液の温度と導電率との関係について近似直線式を導く。各濃度における近似直線式を表1に示す。表1より濃度変化により直線式の傾き及び切片が変動することがわかる。次に、表1の各近似直線式のT(温度)に20、25、30℃を代入し、それぞれの温度における導電率を求める。図4に各温度における濃度と導電率の関係を示す。又、表1に各温度における導電率を掲記する。
【0045】
表1
【表1】
【0046】
次に、最小二乗法を用いて、各温度におけるTMAH水溶液の濃度と導電率との関係について近似直線を導く。各温度における近似直線式を表2に示す。
【0047】
表2
【表2】
【0048】
表2より、各近似直線式間の傾き及び切片の差が等しいことがわかる。従って、表3に示すように、傾きw及び切片zは温度Tの一次関数として表すことができる。これより、w=AT+Bおよびz=aT+bのA、B、a及びbが決定され、式(1)、C=(D-aT-b)/(AT+B)の各定数が定まる。
【0049】
表3
【表3】
【0050】
上記工程で得られた式、C=(D+0.2723T-10.46)/(0.4398T+5.427)を用いて、20〜30℃の温度で、2.380質量%のTMAH水溶液を希釈調合するには、例えば、下記のように行う。
【0051】
先ず、図1に示す希釈調合装置において、薬剤と水を希釈調合槽にて混合、撹拌して均一な水溶液とする。次に、水溶液中の薬剤の濃度を検知する。希釈調合した水溶液の温度と導電率から上記演算式により導かれた濃度は、コンピュータプログラムにより制御される濃度調整手段であるシステム制御機器9に出力され、予め設定された目標値(2.380質量%)、許容誤差範囲(±0.005質量%)と比較される。出力された濃度が目標値に対し許容誤差範囲内であれば、水溶液は供給槽7へ送液される。一方、水溶液の濃度が許容誤差範囲を加味した目標値を下回った場合は薬剤原液を補給し、上回った場合は純水を補給することにより再調合を行う。再調合された水溶液については、溶液の濃度が許容誤差範囲内に収まるまで上記の工程が繰り返される。薬剤原液の希釈調合過程において、薬液の温度は20〜30℃の範囲で変動したが、得られたTMAH水溶液の濃度は2.380質量%(中和滴定法にて測定)であった。
【0052】
薬剤と水との混合、撹拌、導電率の測定、濃度の算出、目標値との比較、水又は薬剤原液の補給を含む上記の工程は、コンピュータープログラムにより制御して行うことが好ましい。
【0053】
又、希釈調合した薬液の濃度の検知は、希釈調合槽3から薬液の一部を一時的に導電率計5及び測温抵抗体6に搬送し、導電率及び温度を測定した後、薬液を希釈調合槽3に戻す方式を採用することが好ましい。この場合、導電率計5は、図7(a)及び(b)に示すように、水溶液流入口30及び水溶液流出口31を備えかつ液密に構成された測定チャンバー32内に測定ロッド33を設置した構造となり、測定ロッド33は水溶液流入口30から水溶液流出口31へと流動している水溶液の導電率を測定することになる。
【0054】
しかしながら、図7(a)に示す構成を有する導電率計5を用いると、測定チャンバー32の天井部分に気泡34が停滞し、これにより導電率の測定値にばらつきが生じる場合がある。又、前回の測定の際に流入した液が測定チャンバー内に滞留し、その結果、新しく流入してきた液体と混合して、測定値の精度が低下する場合がある。そのために図7(b)に示すように、水溶液流出口31を測定チャンバー32の頭頂部に配置し、かつ水溶液流出口31近傍において、測定チャンバー32の水平方向断面積が、水溶液流出口31に向かって連続的に小さくなるようにすることにより、天井部での気泡の停滞を防止した導電率計を用いることが、測定値のばらつきを少なくする観点より好ましい。この場合、測定ロッド33は測定チャンバー32の側壁又は底面から突出させることが、気泡の停滞を効果的に防止する観点より好ましい。
【0055】
又、測定ロッド33は2つの電極35a、35bを備えた貫通孔36を有し、貫通孔36内を通過する水溶液が両電極35間を満たす際に水溶液の導電率を測定する。従って、貫通孔36内に気泡が停滞すると導電率の正確な測定が妨げられることになる。そのため、貫通孔36内の気泡を効果的に除去するために、図7(b)に示すように、貫通孔36の延長線と測定チャンバー32の壁面との交点近傍に、さらにもう一つの水溶液流入口37を設けることが好ましい。
【0056】
原液貯留槽1、計量槽8、希釈調合槽3、供給槽7の上部空間部分は炭酸ガスの吸収を防ぐため、不活性ガスで封入することが好ましい。又、供給槽7に貯留された希釈調合薬剤が、使用側の要求信号により、ポンプ14を運転させ、フィルタ15を介して使用側に供給される構成としてもよい。
【0057】
(実施例2)フッ化水素酸の原液を希釈して1.0質量%フッ化水素酸水溶液を調合する場合における演算式(1)C=(D-aT-b)/(AT+B)の定数A、B、a及びbを、実施例1と同様の手順にて決定する。フッ化水素酸の原液を、実施例1と同様に、20〜30℃の温度で調製することを想定している。
【0058】
実施例1と同様に、図2に示す実験装置を用いて溶液の濃度、温度、導電率の関係を調査する。濃度が1.2、1.1、1.0、0.9及び0.8質量%であるフッ化水素酸水溶液について、温調器12、導電率計13及び測温抵抗体14を介して循環させながら、設定温度を20、22.5、25、27.5、30℃と変化させ、各温度における水溶液の導電率を導電率計13で測定する。ここで実施した例として、濃度が1.189、1.073、1.009、0.910及び0.806質量%のフッ化水素酸水溶液を用いて測定を行った。図5に、各濃度におけるフッ化水素酸水溶液の温度と導電率との関係を示す。
【0059】
次に、最小二乗法を用いて、各濃度におけるフッ化水素酸水溶液の温度と導電率との関係について近似直線式を導く。各濃度における近似直線式を表4に示す。表4より濃度変化より直線式の傾き及び切片が変動することがわかる。次に、表4の各近似直線式のT(温度)に20、25、30℃を代入し、それぞれの温度における導電率を求める。図6に各温度における濃度と導電率の関係を示す。又、表4に各温度における導電率を掲記する。
【0060】
表4
【表4】
【0061】
次に、最小二乗法を用いて、各温度におけるフッ化水素酸水溶液の濃度と導電率との関係について近似直線を導く。各温度における近似直線式を表5に示す。
【0062】
表5
【表5】
【0063】
表5より、各近似直線式間の傾き及び切片の差が等しいことがわかる。従って、表6に示すように、傾きw及び切片zは温度Tの一次関数として表すことができる。これより、w=AT+Bおよびz=aT+bのA、B、a及びbが決定され、式(1)、C=(D-aT-b)/(AT+B)の各定数が定まる。
【0064】
表6
【表6】
【0065】
上記工程で得られた式、C=(D-0.0123T-1.2634)/(0.0638T+8.0078)を用いて、20〜30℃の温度で、1.0質量%のフッ化水素酸水溶液を希釈調合するには、例えば、下記のように行う。
【0066】
先ず、図1に示す希釈調合装置において、薬剤と水を希釈調合槽にて混合、撹拌して均一な水溶液とする。次に、水溶液中の薬剤の濃度を検知する。希釈調合した水溶液の温度と導電率から上記演算式により導かれた濃度は、コンピュータプログラムにより制御される濃度調整手段であるシステム制御機器9に出力され、予め設定された目標値(1.0質量%)、許容誤差範囲(±0.1質量%)と比較される。出力された濃度が目標値に対し許容誤差範囲内であれば、水溶液は供給槽7へ送液される。一方、水溶液の濃度が許容誤差範囲を加味した目標値を下回った場合は薬剤原液を補給し、上回った場合は純水を補給することにより再調合を行う。再調合された水溶液については、溶液の濃度が許容誤差範囲内に収まるまで上記の工程が繰り返される。薬剤原液の希釈調合過程において、薬液の温度は20〜30℃の範囲で変動したが、得られたフッ化水素酸水溶液の濃度は1.0質量%(中和滴定法にて測定)であった。
【0067】
(比較例1)
希釈調合中の薬液の濃度を導電率から算出する演算式として、25℃におけるTMAH水溶液の導電率と濃度との関係を表す一次式に、温度補償を加味した式、C=(DT-0.7747(T-25.0)-3.654)/16.42を用いた点を除いては、実施例1と同様に2.380質量%のTMAH水溶液を20〜30℃の温度で調製した。薬剤原液の希釈調合過程において、薬液の温度は20〜30℃の範囲で変動したが、得られたTMAH水溶液の濃度は最大で0.0005質量%(中和滴定法にて測定)であり、許容誤差範囲の最小、最大値の濃度で間違った情報を出力する恐れがある。
【0068】
(比較例2)
希釈調合中の薬液の濃度を導電率から算出する演算式として、25℃におけるフッ化水素酸水溶液の導電率と濃度との関係を表す一次式に、温度補償を加味した式、C=(DT-0.0767(T-25.0)-1.572)/9.602を用いた点を除いては、実施例2と同様に1.0質量%のフッ化水素酸水溶液を20〜30℃の温度で調製した。薬剤原液の希釈調合過程において、薬液の温度は20〜30℃の範囲で変動したが、得られたフッ化水素酸水溶液の濃度は最大で0.03質量%(中和滴定法にて測定)であり、許容誤差範囲の最小、最大値の濃度で間違った情報を出力する恐れがある。
【0069】
【発明の効果】
本発明においては、溶液の温度をリアルタイムで、設定温度に保つことなく、従来よりも高い精度で、かつ数値のバラツキを小さく、溶液の導電率を測定でき、溶液の濃度を検知できる。従って、厳密な濃度管理が必要とされる薬剤を希釈調合して供給する薬剤供給メーカー、薬剤原液を希釈調合して使用する、例えば半導体、液晶等の分野において本発明は好適に用いられる。又、溶液の導電率の測定に際して、溶液の温度を設定温度に保つ必要がないため、温度コントローラ等の設備投資や保温器等の熱源が不要であり、薬剤の希釈調合のコストを低減できるとともに、薬剤の希釈調合作業を単純化することができる。又、薬剤の希釈調合をより狭いスペースで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の希釈調合装置の一例を示す模式図である。
【図2】溶液の濃度、温度、導電率の関係を調査するために用いる実験装置の一例を示す模式図である。
【図3】各濃度におけるTMAH水溶液の温度と導電率の関係を示すグラフである。
【図4】各温度におけるTMAH水溶液の濃度と導電率の関係を示すグラフである。
【図5】各濃度におけるフッ化水素酸水溶液の温度と導電率の関係を示すグラフである。
【図6】各温度におけるフッ化水素酸水溶液の濃度と導電率の関係を示すグラフである。
【図7a】導電率測定手段の一例(a)を示す模式断面図である。
【図7b】導電率測定手段の他の例(b)を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1・・・原液貯留槽、2・・・純水供給配管、3・・・希釈調合槽、4・・・ロードセル、5・・・導電率計、6・・・測温抵抗体(温度計)、7・・・希釈調合薬液を貯留する供給槽、8・・・計量槽、9・・・システム制御機器、10・・・容器、11・・・ポンプ、12・・・温調器、13・・・導電率計、14・・・測温抵抗体(温度計)、15・・・循環、送液ポンプ、16・・・供給ポンプ、17・・・表示計(グラフィックパネル)、18・・・排気配管、19・・・ロードセル、20・・・希釈調合装置、21・・・表示計(導電率)、22・・・表示計(温度)、30・・・水溶液流入口、31・・水溶液流出口、32・・・測定チャンバー、33・・・測定ロッド、35・・・電極、36・・・貫通孔、37・・・水溶液流入口
Claims (21)
- 溶液の導電率及び温度を測定する工程及び導電率及び温度から溶液中の目的物質の濃度を算出する工程を含む濃度検知方法であって、該濃度の算出が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表し、Tは調製する薬剤溶液の導電率を測定する際の薬剤溶液の目標とする温度の±10℃以内であり、式1中の定数A、B、a及びbが、同一の目的物質を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定し、最小二乗法により求めた値である。)に基づくこと、および、導電率測定手段が、水溶液流入口及び頭頂部に流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口にむかって連続的に小さくなることを特徴とする、前記濃度検知方法。 - 溶液の導電率及び温度を測定する工程及び導電率及び温度から溶液中の目的物質の濃度を算出する工程を含む濃度検知方法であって、該濃度の算出が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数を表し、Tは調製する薬剤溶液の導電率を測定する際の薬剤溶液の目標とする温度の±10℃以内であり、定数A、B、a及びbが、同一の薬剤を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、水溶液流入口及び頭頂部に流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口にむかって連続的に小さくなる導電率測定手段を用いて、複数種の温度にて導電率を測定する第一工程、
第一工程において測定した、各温度における濃度値と導電率値とから、導電率を濃度の一次関数で近似した一次式
D=wC+z・・・・・・・・・・・・・・(2)
の各温度における係数値wおよび定数値zを最小二乗法により求める第二工程、
第二工程で求めた、各温度における係数値wおよび定数値zから、
wを温度の一次関数で近似した一次式
w=AT+B・・・・・・・・・・・・・・(3)
の係数Aおよび定数Bを最小二乗法により求め、
zを温度の一次関数で近似した一次式
z=aT+b・・・・・・・・・・・・・・(4)
の係数aおよび定数bを最小二乗法により求める第三工程、
を有する方法にて求めた値である。)に基づくことを特徴とする濃度検知方法。 - 複数種の温度が、目標とする温度±5度の温度範囲に包含されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の濃度検知方法。
- 複数種の温度が、目標とする温度±10度の温度範囲に包含されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の濃度検知方法。
- 溶液が水溶液であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の濃度検知方法。
- 溶液が1種の溶質のみを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の濃度検知方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の濃度検知方法を利用して薬剤を所望の濃度に希釈調合する方法。
- 薬剤を水と混合して水溶液とする第一工程、水溶液中の薬剤の濃度を検知する第二工程、検知した薬剤の濃度に基づいて、薬剤又は水を水溶液に添加し、薬剤の濃度を所望の濃度に調整する第三工程、を含む請求項7に記載の薬剤の希釈調合方法。
- 少なくとも第二工程及び第三工程をコンピュータープログラムにより制御して行う請求項8に記載の薬剤の希釈調合方法。
- 導電率測定手段及び演算手段を備え、導電率測定手段にて測定した溶液の導電率及び温度より、演算手段にて溶液中の目的物質の濃度を検知する濃度検知装置であって、演算手段が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数であり、Tは調製する薬剤溶液の導電率を測定する際の薬剤溶液の目標とする温度の±10℃以内であり、定数A、B、a及びbが、同一の目的物質を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、複数種の温度にて導電率を測定し、最小二乗法により求めた値である。)に基づくこと、および、導電率測定手段が、水溶液流入口及び頭頂部に流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口にむかって連続的に小さくなることを特徴とする、濃度検知装置。 - 導電率測定手段及び演算手段を備え、導電率測定手段にて測定した溶液の導電率及び温度より、演算手段にて溶液中の目的物質の濃度を検知する濃度検知装置であって、演算手段が、下式:
C=(D-aT-b)/(AT+B)・・・・・・・・・・・(1)
(式中、Cは目的物質の濃度、Dは温度Tのときの溶液の導電率、Tは溶液の温度、A、B、a及びbは定数であり、Tは調製する薬剤溶液の導電率を測定する際の薬剤溶液の目標とする温度の±10℃以内であり、定数A、B、a及びbを、同一の薬剤を複数種の濃度で含む溶液のそれぞれについて、水溶液流入口及び頭頂部に流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が水溶液流出口にむかって連続的に小さくなる導電率測定手段を用いて、複数種の温度にて導電率を測定する第一工程、
第一工程において測定した、各温度における濃度値と導電率値とから、導電率を濃度の一次関数で近似した一次式
D=wC+z・・・・・・・・・・・・・・(2)
の各温度における係数値wおよび定数値zを最小二乗法により求める第二工程、
第二工程で求めた、各温度における係数値wおよび定数値zから、
wを温度の一次関数で近似した一次式
w=AT+B・・・・・・・・・・・・・・(3)
の係数Aおよび定数Bを最小二乗法により求め、
zを温度の一次関数で近似した一次式
z=aT+b・・・・・・・・・・・・・・(4)
の係数aおよび定数bを最小二乗法により求める第三工程、を有する方法にて求めた値である。)に基づくことを特徴とする、
濃度検知装置。 - 複数種の温度が目標とする温度±5度の温度範囲に包含されることを特徴とする、請求項10または11に記載の濃度検知装置。
- 複数種の温度が目標とする温度±10度の温度範囲に包含されることを特徴とする、請求10または11に記載の濃度検知装置。
- 測定する溶液が水溶液であることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の濃度検知装置。
- 測定する溶液が1種の溶質のみを含むことを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の濃度検知装置。
- 導電率測定手段が、測定チャンバー内に配置された測定ロッドを有し、測定ロッドは貫通孔を備え、貫通孔の延長線と測定チャンバーの壁面の交点近傍にさらにもう1つの水溶液流入口を有する、請求項10〜15のいずれかに記載の濃度検知装置。
- 薬剤を水と混合し、薬剤を所望の濃度に希釈調合する薬剤の希釈調合装置であって、請求項11〜16のいずれかに記載の濃度検知装置を備えた前記薬剤の希釈調合装置。
- 希釈調合槽、薬剤を水と混合して水溶液とする混合手段、検知した濃度に基づいて、薬剤又は水を水溶液に添加し、薬剤の濃度を所望の濃度に調整する濃度調整手段を有する請求項17に記載の薬剤の希釈調合装置。
- 少なくとも濃度検知装置、濃度調整手段をコンピュータープログラムにより制御する請求項18に記載の薬剤の希釈調合装置。
- 導電率及び温度を測定する際に、水溶液の一部を一時的に希釈調合槽から濃度検知装置の導電率測定手段へ送り、導電率測定手段が、水溶液流入口及び頭頂部に水溶液流出口を備えた測定チャンバーを有し、測定チャンバーの水平方向断面積が、水溶液流出口に向かって連続的に小さくなる請求項17〜19のいずれかに記載の薬剤の希釈調合装置。
- 測定チャンバーが、測定チャンバー内に配置された測定ロッドを有し、測定ロッドは貫通孔を備え、貫通孔の延長線と測定チャンバーの壁面との交点近傍に、さらにもう一つの水溶液流入口を有する請求項20に記載の薬剤の希釈調合装置。
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