JP4635818B2 - 画像の濃度補正の実行可否の判定方法 - Google Patents

画像の濃度補正の実行可否の判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像の濃度補正の実行可否の判定方法に関する。
画像を印刷する印刷装置として、紙等の媒体にインクを吐出してドットを形成するインクジェットプリンタが従来から知られている。
このインクジェットプリンタは、所定方向に沿って複数のノズルが整列してなる複数のノズル群を、前記所定方向と交差する方向(以下、移動方向とも言う)に移動させながら前記ノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記所定方向(以下、搬送方向とも言う)に搬送する搬送動作とを繰り返す。そして、これによって、前記移動方向に沿ったドットからなるドット列を、前記搬送方向に並ぶ列領域毎に形成して画像を印刷する。
なお、ここで「列領域」とは、前記移動方向に並ぶ複数の「単位領域」によって構成される領域のことをいう。また、「単位領域」とは、媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、この単位領域にインクが着弾して前記ドットが形成される。
ところで、このような多数の列領域から構成された画像中に、前記移動方向に沿って平行に濃度ムラが見えることがある。すなわち、巨視的に濃く見える列領域と薄く見える列領域とが存在してしまい、画像の見栄えが悪くなることがある。
そこで、この濃度ムラを抑制すべく、濃度の補正値を前記列領域に対応付けて記憶するとともに、画像を印刷する際には前記補正値に基づいて列領域毎に濃度補正を行うプリンタが提案されている(特許文献1を参照)。
特開2005−224977号公報
このプリンタへの前記補正値の設定は、プリンタの出荷前に行われる。そして、望ましくは、その際に、設定された前記補正値に基づく濃度補正によって濃度ムラが改善されているかを確認すると良い。
この確認方法としては、濃度補正を行わない場合の確認用パターンと濃度補正を行った場合の確認用パターンとを印刷し、両者の濃度のばらつきの大きさを相対的に比較する方法が挙げられる。
しかしながら、確認用パターンの濃度ばらつきの絶対値が小さい場合には、濃度補正を行わない場合の濃度ばらつきよりも行った場合の方が大きくなってしまうことがあり得て、その場合に上記方法では、濃度ムラが視認できるレベルになく問題の無いレベルのプリンタに対してまで、濃度補正を実行不可なプリンタと判定してしまい、その出荷を取りやめてしまう虞があった。
つまり、濃度ムラの判定に関して過剰品質に陥り、実用上問題ないレベルのプリンタについてまで検査工程で不合格にしてしまい、実質的にプリンタの生産効率を落とす虞があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実用上問題のない印刷装置に対してまで、濃度補正を実行不可と判定して出荷を取り止めることを回避し得る画像の濃度補正の実行可否の判定方法を実現することにある。
上記課題を解決するための主たる発明は、
画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
濃度補正を行わない場合の確認用パターンと、濃度補正を行った場合の確認用パターンとを媒体に印刷するステップと、
各確認用パターンの濃度を読み取るステップと、
前記濃度の読み取り値に基づいて、前記各確認用パターンの濃度のばらつきを求めるステップと、
前記各確認用パターン同士の濃度のばらつきの比較結果と、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの所定の閾値に対する比較結果とに基づいて、画像の濃度補正の実行可否を判定するステップと、
を備え、
前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップにおいて、
前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、
前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが大きい場合であっても、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきが前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下されることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
濃度補正を行わない場合の確認用パターンと、濃度補正を行った場合の確認用パターンとを媒体に印刷するステップと、
各確認用パターンの濃度を読み取るステップと、
前記濃度の読み取り値に基づいて、前記各確認用パターンの濃度のばらつきを求めるステップと、
前記各確認用パターン同士の濃度のばらつきの比較結果と、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの所定の閾値に対する比較結果とに基づいて、画像の濃度補正の実行可否を判定するステップと、
を備えたことを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、各確認用パターン同士の濃度のばらつきの相対的な比較に基づいて、濃度補正を実行不可と判定された印刷装置であっても、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの絶対的な比較によって、濃度補正を実行可能と判定される可能性がある。
よって、濃度のばらつきの絶対値が小さく実用上問題のない印刷装置に対してまで、濃度補正を実行不可と判定して出荷を取り止めることを回避することができる。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップにおいて、
前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、
前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが大きい場合であっても、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきが前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下されるようにしても良い。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して前記各確認用パターンは印刷され、
前記列領域毎に前記読み取り値が生成されるのが望ましい。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、前記列領域毎に読み取り値が生成されるので、濃度ムラの改善効果の確認に供する母数を増やすことができて、画像の濃度補正の実行可否をより正確に判定可能となる。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
前記複数のノズルは、前記交差方向に沿って整列してノズル群を構成し、
前記ノズル群は、画像の印刷時に吐出するインクの色毎に設けられており、
各確認用パターンは、前記移動方向に関してノズル群毎に領域を区分され、区分された前記領域毎に前記濃度のばらつきが求められるのが望ましい。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、前記各確認用パターンに対して互いに対応する前記領域毎にばらつきの比較を行うので、区分された領域の相違に伴う諸条件の相違が前記ばらつきに与える影響を排除することができて、画像の濃度補正の実行可否をより正確に判定可能となる。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
前記各確認用パターンは、画像データに基づいて印刷され、
前記画像データは、前記各確認用パターンにおいて前記ノズル群毎に区分された領域に含まれる列領域に前記ドット列を形成するための濃度の階調値データを有し、
前記階調値データは、前記区分された領域に含まれる全ての前記列領域に亘って同じであるのが望ましい。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、確認用パターンの全ての列領域に亘って、ドット列は同じ階調値に基づいて形成される。従って、隣り合うドット列との間隔の変化で顕在化する濃度ムラをより顕在化させ易くなり、その結果、画像の濃度補正の実行可否をより正確に判定可能となる。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップでは、
前記各確認用パターンにおいて同じノズル群で印刷された前記領域同士で前記ばらつきの比較を行い、
いずれの前記領域についても、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、
濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが大きい前記領域が存在する場合であっても、前記濃度補正を行った場合の前記領域の濃度のばらつきの平均値が前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下されるようにしても良い。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して補正用パターンを印刷し、
前記補正用パターンから前記列領域毎に濃度を読み取って、前記濃度の読み取り値に基づいて前記列領域毎に補正値を求め、
前記濃度補正を実行可能とする判定が下された場合には、画像を印刷する際に前記補正値に基づいて列領域毎に濃度補正を行うのが望ましい。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、ドット形成動作と搬送動作とを繰り返して形成される画像の濃度ムラを抑制するための濃度補正に対して、その実行可否をより正確に判定可能となる。
かかる画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
前記補正用パターンはノズル群毎に印刷されているようにしても良い。
画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
濃度補正を行わない場合の確認用パターンと、濃度補正を行った場合の確認用パターンとを媒体に印刷するステップと、
各確認用パターンの濃度を読み取るステップと、
前記濃度の読み取り値に基づいて、前記各確認用パターンの濃度のばらつきを求めるステップと、
前記各確認用パターン同士の濃度のばらつきの比較結果と、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの所定の閾値に対する比較結果とに基づいて、画像の濃度補正の実行可否を判定するステップと、
を備え、
移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して前記各確認用パターンは印刷され、前記列領域毎に前記読み取り値が生成され、
前記複数のノズルは、前記交差方向に沿って整列してノズル群を構成し、前記ノズル群は、画像の印刷時に吐出するインクの色毎に設けられており、各確認用パターンは、前記移動方向に関してノズル群毎に領域を区分され、区分された前記領域毎に前記濃度のばらつきが求められ、
前記各確認用パターンは、画像データに基づいて印刷され、前記画像データは、前記各確認用パターンにおいて前記ノズル群毎に区分された領域に含まれる列領域に前記ドット列を形成するための濃度の階調値データを有し、前記階調値データは、前記区分された領域に含まれる全ての前記列領域に亘って同じであり、
前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップでは、前記各確認用パターンにおいて同じノズル群で印刷された前記領域同士で前記ばらつきの比較を行い、いずれの前記領域についても、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが大きい前記領域が存在する場合であっても、前記濃度補正を行った場合の前記領域の濃度のばらつきの平均値が前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下され、
移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して補正用パターンを印刷し、前記補正用パターンから前記列領域毎に濃度を読み取って、前記濃度の読み取り値に基づいて前記列領域毎に補正値を求め、前記濃度補正を実行可能とする判定が下された場合には、画像を印刷する際に前記補正値に基づいて列領域毎に濃度補正を行い、
前記補正用パターンはノズル群毎に印刷されていることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
このような画像の濃度補正の実行可否の判定方法によれば、既述の全ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
===印刷システム100の構成===
<印刷システム100>
図1は、印刷システム100の構成の説明図である。印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも含むシステムのことである。本実施形態の印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140と、スキャナ150とを有している。
プリンタ1は、紙、布、フィルム、OHP用紙等の媒体に画像を印刷する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。また、コンピュータ110には、スキャナ150を制御し、スキャナ150により読み取られた原稿5の画像データを受け取るためのスキャナドライバがインストールされている。
<プリンタ1>
図2は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図3Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。以下、本実施形態のプリンタ1の基本的な構成について説明する。
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、紙等の媒体を所定方向(以下、搬送方向という)に搬送するものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ1内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙を印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙を支持する。排紙ローラ25は、紙をプリンタ1の外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
キャリッジユニット30は、後述のヘッド41を所定の方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジ33を着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータである。
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、複数のノズルを有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列が紙に形成される。
図4は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列の説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個備えている。各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙に形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯180)。各ノズルには、それぞれインクチャンバー(不図示)とピエゾ素子(不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバーが伸縮・膨張されて、ノズルからインク滴が吐出される。
なお、各ノズル群へのインクの供給は、キャリッジ31に装着された各インク色のインクカートリッジ33(C),33(M),33(Y),33(K)によって行われる(図3を参照)。すなわち、キャリッジ31には、これらインクカートリッジ33(C),33(M),33(Y),33(K)を装着するためのインクカートリッジ装着部(不図示)がインク色毎に設けられている。そして、各色のインクを収容する各インクカートリッジ33(C),33(M),33(Y),33(K)のインク供給口が、対応するインクカートリッジ装着部に装着されることによって、各ノズル群のノズルへと、対応するインク色のインクが供給される。
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御部である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<スキャナ150>
図5Aは、スキャナ150の縦断面図である。図5Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。
スキャナ150は、上蓋151と、原稿5が置かれる原稿台ガラス152と、この原稿台ガラス152を介して原稿5と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ153と、読取キャリッジ153を副走査方向に案内する案内部材154と、読取キャリッジ153を移動させるための移動機構155と、スキャナ150内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ153には、原稿5に光を照射する露光ランプ157と、主走査方向(図5Aにおいて紙面に垂直な方向)のラインの像を検出するラインセンサ158と、原稿5からの反射光をラインセンサ158へ導くための光学系159とが設けられている。図中の読取キャリッジ153の内部の点線は、光の軌跡を示している。
原稿5の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋151を開いて原稿5を原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ157を発光させた状態で読取キャリッジ153を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ158により原稿5の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ110のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ110は、原稿5の画像データを取得する。
===印刷処理===
<印刷処理について>
図6は、印刷時の動作のフロー図である。以下に説明される各動作は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。
印刷命令受信(S001):まず、コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙動作・搬送動作・ドット形成動作等を行う。
給紙動作(S002):給紙動作とは、印刷すべき紙をプリンタ1内に供給し、印刷可能な所定位置位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする動作である。コントローラ60は、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させ、紙を前記頭出し位置に位置決めする。
ドット形成動作(S003):ドット形成動作とは、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する動作である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31の移動中に、印刷データに含まれる画素データに基づいてヘッド41からインクを吐出させる。ヘッド41から吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。移動するヘッド41からインクが断続的に吐出されるので、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成される。
搬送動作(S004):搬送動作とは、紙をヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる動作である。コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させて紙を、前記移動方向と直交する方向の搬送方向に搬送する。この搬送動作により、ヘッド41は、先ほどのドット形成動作によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、次のドット形成動作時にドットを形成することが可能になる。
排紙判断(S005):コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う。すなわち、印刷中の紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。
排紙動作(S006):印刷中の紙に印刷すべきデータがなくなれば、コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることにより、その紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
印刷終了判断(S007):次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙動作を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
<ドット列の形成について>
まず、通常印刷について説明する。本実施形態の通常印刷は、インターレース印刷と呼ばれる印刷方法により行われる。ここで、『インターレース印刷』とは、1回のパスで記録されるドット列間に、記録されないドット列が挟まれるような印刷を意味する。また、『パス』とはドット形成動作を指し、『パスn』とはn回目のドット形成動作を意味する。『ドット列』とは、移動方向に並ぶドットの列である。
図7A及び図7Bは、通常印刷の説明図である。図7Aは、パスn〜パスn+3におけるヘッド41の位置とドットの形成の様子を示し、図7Bは、パスn〜パスn+4におけるヘッド41の位置とドットの形成の様子を示している。
なお、図7A及び図7Bにあっては、説明の便宜上、ヘッド41の代わりに一つのノズル群のみを示し、更にノズル群のノズル数も少なくしている。また、ノズル群が紙に対して移動しているように描かれているが、同図はノズル群(ヘッド41)と紙との相対的な位置を示すものであって、実際には紙が搬送方向に移動される。また、説明の都合上、各ノズルは数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並んで、ドット列が形成されることになる。もちろん、画素データに応じて、ドットが非形成のこともある。
同図において、黒丸で示されたノズルはインクを吐出可能なノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを吐出不可なノズルである。また、同図において、黒丸で示されたドットは、最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されたドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
このインターレース印刷では、紙が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたドット列のすぐ上のドット列を記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。ここでは、N=7、k=4、F=7・Dである(D=1/720インチ)。
但し、この通常印刷のみでは、搬送方向に連続してドット列を形成できない箇所がある。そこで、先端印刷及び後端印刷と呼ばれる印刷方法が、通常印刷の前後に行われる。
図8は、先端印刷及び後端印刷の説明図である。最初の5回のパスが先端印刷であり、最後の5回のパスが後端印刷である。
先端印刷では、印刷画像の先端付近を印刷する際に、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、紙が搬送される。また、先端印刷では、インクを吐出するノズルが一定していない。後端印刷では、先端印刷と同じように、印刷画像の後端付近を印刷する際に、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、紙が搬送される。また、後端印刷では、先端印刷と同じように、インクを吐出するノズルが一定していない。これにより、先頭ドット列から最終ドット列までの間に、搬送方向に連続して並ぶ複数のドット列を形成することができる。
通常印刷だけでドット列が形成される領域(中間領域)を「通常印刷領域」と呼ぶ。また、通常印刷領域よりも紙の先端側(搬送方向下流側)に位置する領域(下流側の端部領域)を「先端印刷領域」と呼ぶ。また、通常印刷領域よりも後端側(搬送方向上流側)に位置する領域(上流側の端部領域)を「後端印刷領域」と呼ぶ。先端印刷領域には、30本のドット列が形成される。同様に、後端印刷領域にも、30本のドット列が形成される。これに対し、通常印刷領域には、紙の大きさにもよるが、およそ数千本のドット列が形成される。
通常印刷領域の各列領域(ドット列が形成されるべき領域のことをいい、その定義等詳細については後述を参照)に割り当てられたノズルの並びには、搬送量に相当する所定数P(ここでは7個)の列領域毎に規則性がある。すなわち、列領域に割り当てられたノズルの並びは、7個の列領域を1周期として変化する。
例えば、図8の通常印刷領域の最初から7番目までの列領域には、それぞれ、ノズル♯3、ノズル♯5、ノズル♯7、ノズル♯2、ノズル♯4、ノズル♯6、ノズル♯8によってドット列が形成され、次の8番目以降の7個の列領域にも、これと同じ順序の各ノズルでドット列が形成されている。
一方、先端印刷領域及び後端印刷領域の各列領域に割り当てられるノズルの並びには、通常印刷領域のドット列と比べると、規則性を見出し難い。但し、先端印刷領域及び後端印刷領域の各列領域に割り当てられるノズルも、列領域毎に対応させて予め決まっている。例えば、先端印刷の実行の都度、図8に示すように、先端印刷領域における1番目から4番目までの列領域には、ノズル#2によりドット列が形成され、5番目の列領域にはノズル#3で、6番目の列領域にはノズル#2で、7番目及び8番目の列領域にはノズル#3で、9番目の列領域にはノズル#4でドット列が形成され(以下省略)、このノズルの並びが、先端印刷の実行の度に変わることはない。
===濃度ムラの補正(概略)===
<濃度ムラ(バンディング)について>
ここでは、説明の簡略化のため、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。なお、多色印刷の場合、以下に説明する濃度ムラの発生原因が色毎に生じている。
図9Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。キャリッジ31が移動方向に移動する間、各ノズルからインクが吐出され、紙にインクが着弾してドットが形成される。各ノズルは、移動中に断続的にインクを吐出するので、移動方向に沿ってドットの列(ドット列)が形成される。各ドット列は移動方向に沿う細長い画像片を形成し、多数の画像片が搬送方向に並ぶことによって、印刷画像が構成される。ここでは、説明の簡略化のため、ドット生成率が50%となるような一定濃度の画像を印刷するものとする。
同図では、理想的にドットが形成されているので、各ドットは、紙上に架空に定められた単位領域に正確に形成され、ドット列は列領域に正確に形成される。
なお、ここで「単位領域」とは、紙等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷画像の最小構成単位である画素に対応する領域である。そして、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。例えば、印刷解像度が720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の場合、単位領域は、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域になる。また、印刷解像度が360dpi×720dpiの場合、単位領域は、約70.56μm×35.28μm(≒1/360インチ×1/720インチ)の大きさの長方形状の領域になる。理想的にインク滴が吐出されると、この単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が媒体上に広がって、単位領域にドットが形成される。
また、「列領域」とは、移動方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域を指し、図中では「列領域」を、点線に挟まれる領域として示している。例えば印刷解像度が720dpi×720dpiの場合、列領域は、搬送方向に30.28μm(≒1/720インチ)の幅の帯状の領域になる。移動方向に移動するノズルから理想的にインク滴が断続的に吐出されると、この列領域にドット列が形成され、これによって、各列領域には、その領域の着色に応じた濃度の複数の画素からなる画像片が形成される。
図9Bは、ノズルの加工精度のばらつきの影響の説明図である。ここでは、ノズルから吐出されたインク滴の飛行方向のばらつきにより、2番目の列領域に形成されたドット列が、3番目の列領域側(搬送方向上流側)に寄って形成されている。また、5番目の列領域に向かって吐出されたインク滴のインク量が少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。
本来であれば同じ濃度の画像片が各列領域に形成されるべきであるにもかかわらず、加工精度のばらつきのため、列領域に応じて画像片に濃淡が発生する。例えば、2番目の列領域の画像片は比較的淡くなり、3番目の列領域の画像片は比較的濃くなる。また、5番目の列領域の画像片は、比較的淡くなる。
そして、このようなドット列からなる印刷画像を巨視的に見ると、キャリッジ31の移動方向に沿う縞状の濃度ムラが視認される。この濃度ムラは、印刷画像の画質を低下させる原因となる。
図9Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。本実施形態では、濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データ(CMYK画素データ)の階調値を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データの階調値を補正する。例えば、図中の2番目の列領域のドットの生成率が高くなり、3番目の列領域のドットの生成率が低くなり、5番目の列領域のドットの生成率が高くなるように、各列領域に対応する画素の画素データの階調値が補正される。これにより、各列領域のドット列のドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。
ところで、図9Bにおいて、3番目の列領域に形成される画像片の濃度が濃くなる理由は、3番目の列領域にドット列を形成するノズルの影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域にドット列を形成するノズルの影響によるものである。このため、3番目の列領域にドット列を形成するノズルが別の列領域にドット列を形成する場合、その列領域に形成される画像片が濃くなるとは限らない。つまり、同じノズルにより形成された画像片であっても、隣接する画像片を形成するノズルが異なれば、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズルに対応付けた補正値では、濃度ムラを抑制することができない。そこで、本実施形態では、列領域毎に設定される補正値に基づいて、画素データの階調値を補正している。
このために、本実施形態では、プリンタ製造工場の検査工程において、プリンタ1に補正用パターンを印刷させ、補正用パターンをスキャナ150で読み取り、補正用パターンにおける各列領域の濃度に基づいて、各列領域に対応する補正値をプリンタ1のメモリに記憶する。プリンタ1に記憶される補正値は、個々のプリンタ1における濃度ムラの特性を反映したものになる。
そして、プリンタ1を購入したユーザーの下において、プリンタドライバが、プリンタ1から補正値を読み取り、画素データの階調値を補正値に基づいて補正し、補正された階調値に基づいて印刷データを生成し、プリンタ1が印刷データに基づいて印刷を行う。
<プリンタ製造工場での処理について>
図10Aは、プリンタ1の製造後の検査工程で行われる処理のフロー図である。この検査工程では、プリンタ1に補正値を設定するための「補正値設定処理(S100)」と、設定された補正値による濃度ムラの改善効果を確認するための「濃度補正効果の確認処理(S150)」とが行われる。なお、ここでは、ステップS100の補正値設定処理について詳細に説明し、ステップS150の濃度補正効果の確認処理については後で説明する。
図10Bは、補正値設定処理のフロー図である。また、図10Cは、検査キットが具備する検査用インクカートリッジ35の説明図である。
まず、検査者は、検査対象となるプリンタ1を、工場の検査工程に常備された検査キットにセットする。この検査キットは、スキャナ150を具備する検査用コンピュータ110と、検査用インクカートリッジ35とを備えている。そして、プリンタ1は、検査用コンピュータ110に接続されるとともに(S101)、プリンタ1のインクカートリッジ装着部には、図10Cに示すように検査用インクカートリッジ35が装着される。
この検査用インクカートリッジ35は、テストパターンを印刷するための検査用インクを収容しており、プリンタ1のキャリッジ31の前記インクカートリッジ装着部へ装着された際には、検査用インクをプリンタ1のヘッド41へ供給可能な状態になる。
また、検査用コンピュータ110には、予め、テストパターンをプリンタ1に印刷させるためのプリンタドライバと、スキャナ150を制御するためのスキャナドライバと、スキャナ150から読み取った補正用パターンの画像データに対して画像処理や解析等を行うための補正値設定プログラムがインストールされている。
次に、検査用コンピュータ110のプリンタドライバは、プリンタ1に、補正値設定用のテストパターンを印刷させる(S102)。図11は、補正値設定用のテストパターンの説明図であり、図12は、このテストパターンが備える補正用パターンの説明図である。このテストパターンは、例えば720×720dpiの印刷解像度で印刷され、ノズル群毎に補正用パターンを有している。各補正用パターンは、5種類の濃度の帯状パターンと、上罫線と、下罫線と、左罫線と、右罫線とにより構成されている。
但し、ここでは、4つの補正用パターンのいずれも同じ色で印刷されている。これは、検査工程の作業簡略化等の観点から前記検査用インクが一種類しか用意されていないためであり、つまり、ブラックインクノズル群(K)の補正用パターン、シアンインクノズル群(C)の補正用パターン、マゼンダインクノズル群(M)の補正用パターン、及び、イエローインクノズル群(Y)の補正用パターンは、いずれも、インクが吐出されるノズル群は異なるが、同じ種類のインクによって印刷される。より詳しくは、検査用インクカートリッジ35は、プリンタ1のキャリッジ31がノズル群毎に具備する全てのインクカートリッジ装着部に対応させて計4つのインク供給口を有している。そして、これらインク供給口が、それぞれに各ノズル群のインクカートリッジ装着部に装着されることによって、4つの全ノズル群へと、一種類の検査用インクが供給されるようになっている。この検査用インクとしては、濃度ムラを顕在化させ易くする観点等から、プリンタ1が吐出可能なインクのうちの一つと同じ色相で、且つ、より淡い色調のインクが望ましく、ここでは、ライトマゼンダ(マゼンダと同じ色相だが、マゼンダよりも淡い色調の色)のインクが用いられている。
帯状パターンは、それぞれ、搬送方向に亘って一定の階調値の画像データから生成されたものであり、左の帯状パターンから順に階調値76(濃度30%)、102(濃度40%)、128(濃度50%)、153(濃度60%)及び179(濃度70%)となり、順に濃い濃度のパターンになっている。なお、これらの5種類の階調値(濃度)を「指令階調値(指令濃度)」と呼び、記号でSa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)、Sd(=153)、Se(=179)と表す。
各帯状パターンは、先端印刷、通常印刷及び後端印刷により形成されるため、先端印刷領域のドット列と、通常印刷領域のドット列と、後端印刷領域のドット列とから構成されている。通常印刷では通常印刷領域に数千個のドット列が形成されるが、補正用パターンの印刷では、通常印刷領域には8周期分のドット列が形成される。ここでは説明の簡略化のため図8の印刷によって補正用パターンが印刷されるものとして、帯状パターンが、先端印刷領域の30個のドット列、通常印刷領域の56個(=7(個/周期)×8周期)のドット列、及び、後端印刷領域の30個のドット列の計116個のドット列により構成されるものとする。上罫線は、帯状パターンを構成する1番目のドット列(搬送方向最下流側のドット列)により形成される。下罫線は、帯状パターンを構成する最終ドット列(搬送方向最上流側のドット列)により形成される。
ちなみに、このテストパターンを印刷する際には、後述する補正値に基づいた濃度補正処理(図23のステップS213を参照)が行われないのは言うまでもない。
次に、検査者は、プリンタ1によりテストパターンが印刷された紙を、スキャナ150の原稿台ガラス152に置き、上蓋151を閉めて、テストパターンをスキャナ150にセットする。そして、検査用コンピュータ110のスキャナドライバは、スキャナ150に補正用パターンを、例えばグレイスケール(色情報を持たず、明度だけで作られた階調値データ)で読み取らせる(S103)。以下では、シアンインクノズル群の補正用パターンの読み取りについてのみ説明するが、他のインク色に係るノズル群の補正用パターンの読み取りも同様に行なわれる。
図13は、シアンインクノズル群の補正用パターンの読み取り範囲の説明図である。同図中、一点鎖線で囲む範囲が、シアンインクノズル群に係る補正用パターン(以下では、「シアンインクノズル群」という言葉を、単に「シアン」と言う場合もある)を読み取る際の読み取り範囲である。この範囲を特定するためのパラメータSX1、SY1、SW1及びSH1は、補正値設定プログラムによって予めスキャナドライバに設定されている。この範囲をスキャナ150に読み取らせれば、テストパターンが多少ずれてスキャナ150にセットされても、シアンの補正用パターンの全体を読み取ることができる。この処理により、図中の読み取り範囲の画像が、2880×2880dpiの読み取り解像度の長方形の画像データとして検査用コンピュータ110に読み取られる。
次に、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、画像データに含まれる補正用パターンの傾きθを検出し(S104)、画像データに対して傾きθに応じた回転処理を行う(S105)。
図14Aは、傾き検出の際の画像データの説明図である。図14Bは、上罫線の位置の検出の説明図である。図14Cは、回転処理後の画像データの説明図である。補正値設定プログラムは、読み取られた画像データの中から、左からKX1の画素であって上からKH個の画素の画素データと、左からKX2の画素であって上からKH個の画素の画素データと、を取り出す。このとき取り出される画素の中に上罫線が含まれ右罫線及び左罫線が含まれないように、パラメータKX1、KX2、KHが予め定められている。そして、補正値設定プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個の画素データの階調値の重心位置KY1、KY2をそれぞれ求める。そして、補正値設定プログラムは、パラメータKX1、KX2と、重心位置KY1、KY2とに基づいて、次式により補正用パターンの傾きθを算出し、算出された傾きθに基づいて、画像データの回転処理を行う。
θ = tan−1{(KY2−KY1)/(KX2−KX1)}
次に、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、画像データの中から不要な画素をトリミングする(S106)。
図15Aは、トリミングの際の画像データの説明図である。図15Bは、上罫線でのトリミング位置の説明図である。ステップS104での処理と同様に、補正値設定プログラムは、回転処理された画像データの中から、左からKX1の画素であって上からKH個の画素の画素データと、左からKX2の画素であって上からKH個の画素の画素データと、を取り出す。そして、補正値設定プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個の画素データの階調値の重心位置KY1、KY2をそれぞれ求め、2つの重心位置の平均値を算出する。そして、重心位置から列領域の幅の1/2だけ上側の位置において最も近い画素の境界をトリミング位置に決定する。なお、本実施形態では、画像データの解像度が2880dpiであり、列領域の幅は720dpiであるので、列領域の幅の1/2は2画素分の幅に相当する。そして、補正値設定プログラムは、決定されたトリミング位置よりも上側の画素を切り取り、トリミングを行なう。
図15Cは、下罫線でのトリミング位置の説明図である。上罫線側とほぼ同様に、補正値設定プログラムは、回転処理された画像データの中から、左からKX1の画素であって下からKH個の画素の画素データと、左からKX2の画素であって下からKH個の画素の画素データと、を取り出し、下罫線の重心位置を算出する。そして、重心位置から列領域の幅の1/2だけ下側の位置において最も近い画素の境界をトリミング位置に決定する。そして、補正値設定プログラムは、トリミング位置よりも下側の画素を切り取り、トリミングを行なう。
次に、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、Y方向の画素数が116個(補正用パターンを構成するドット列の数と同数)になるように、トリミングされた画像データを解像度変換する(S107)。
図16は、解像度変換の説明図である。仮に、プリンタ1が720dpiの116個のドット列からなる補正用パターンを理想的に形成し、スキャナ150が補正用パターンを2880dpi(補正用パターンの4倍の解像度)で理想的に読み取れば、トリミング後の画像データのY方向の画素数は、464個(=116×4)になるはずである。しかし、実際には印刷時や読み取り時のズレの影響があって、画像データのY方向の画素数が464個にならないことがあり、ここでは、トリミング後の画像データのY方向の画素数は470個である。検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、この画像データに対して、116/470(=[補正用パターンを構成するドット列の数]/[トリミング後の画像データのY方向の画素数])の倍率で解像度変換(縮小処理)を行なう。ここでは解像度変換にバイキュービック法が用いられる。これにより、解像度変換後の画像データのY方向の画素数が116個になる。言い換えると、2880dpiの補正用パターンの画像データが、720dpiの補正用パターンの画像データに変換される。この結果、Y方向に並ぶ画素の数と列領域の数とが同数になり、X方向の画素列と列領域とが、一対一で対応することになる。例えば、一番上に位置するX方向の画素列は1番目の列領域に対応し、その下に位置する画素列は2番目の列領域に対応する。なお、この解像度変換ではY方向の画素数を116個にするのが目的なので、X方向の解像度変換(縮小処理)は行われなくても良い。
次に、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、各列領域における5種類の帯状パターンのそれぞれの濃度を測定する(S108)。以下、1番目の列領域における階調値76(濃度30%)で形成された左側の帯状パターンの濃度の測定について説明する。なお、他の列領域における測定も同様に行なわれる。また、他の帯状パターンの濃度の測定も同様に行なわれる。
図17Aは、左罫線の検出の際の画像データの説明図である。図17Bは、左罫線の位置の検出の説明図である。図17Cは、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。補正値設定プログラムは、解像度変換された画像データの中から、上からH2の画素であって、左からKX個の画素の画素データを取り出す。このとき取り出される画素の中に左罫線が含まれるように、パラメータKXが予め定められている。そして、補正値設定プログラムは、左罫線の位置を検出するため、取り出されたKX個の画素の画素データの階調値の重心位置を求める。この重心位置(左罫線の位置)からX2だけ右側に、幅W3の濃度30%の帯状パターンが存在していることは、補正用パターンの形状から既知になっている。そこで、補正値設定プログラムは、重心位置を基準にして、帯状パターンの左右W4の範囲を除いた点線の範囲の画素データを抽出し、この範囲の画素データの階調値の平均値を、1番目の列領域の濃度30%の測定値とする。なお、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度を測定する場合、図中の点線の範囲の1画素下の範囲の画素データを抽出する。このようにして、補正値設定プログラムは、5種類の帯状パターンの濃度を列領域毎にそれぞれ測定する。
図18は、シアンの5種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。このように、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、列領域毎に、5種類の帯状パターンの濃度の測定値を対応付けて、測定値テーブルを作成する。他の色についても、測定値テーブルが作成される。なお、以下の説明では、ある列領域について、階調値Sa〜Seの帯状パターンの測定値をそれぞれCa〜Ceとしている。
図19は、シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの測定値のグラフである。各帯状パターンは、それぞれに、階調値Sa(=76)、Sb(=102)、Sc(=128)で一様に形成されたにもかかわらず、列領域毎に濃淡が生じている。この列領域毎の濃淡差が、印刷画像の濃度ムラの原因である。
濃度ムラをなくすためには、各帯状パターンの測定値が一定になることが望ましい。そこで、階調値Sb(濃度40%)の帯状パターンの測定値を一定にするための処理について検討する。ここでは、階調値Sbの帯状パターンの全列領域の測定値の平均値Cbtを、濃度40%の目標値と定める。この目標値Cbtよりも測定値が淡い列領域j1では、濃度の測定値が目標値Cbtに近づくためには、階調値を濃くする方へ補正すればよいと考えられる。一方、目標値Cbtよりも測定値が濃い列領域j2では、濃度の測定値が目標Cbtに近づくためには、階調値を淡くする方へ補正すればよいと考えられる。
そこで、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、列領域に対応する補正値を算出する(S109)。ここでは、ある列領域における指令階調値Sbに対する補正値の算出について説明する。以下に説明するように、図19の列領域j1の指令階調値Sb(濃度40%)に対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sc(濃度50%)の測定値に基づいて算出される。一方、列領域j2の指令階調値Sb(濃度40%)に対する補正値は、階調値Sb及び階調値Sa(濃度30%)の測定値に基づいて算出される。
図20Aは、列領域j1における指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の測定値Cbは、目標値Cbtよりも小さい階調値を示す(この列領域では、濃度30%の帯状パターンの平均濃度よりも淡い)。仮に、プリンタドライバが、この列領域に目標値Cbtの濃度のパターンをプリンタ1に形成させるならば、次式(直線BCに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Cbt−Cb)/(Cc−Cb)}
図20Bは、列領域j2における指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、指令階調値Sbで形成された帯状パターンの濃度の測定値Cbは、目標値Cbtよりも大きい階調値を示す(この列領域では、濃度30%の帯状パターンの平均濃度よりも淡い)。仮に、プリンタドライバが、この列領域に目標値Cbtの濃度のパターンをプリンタ1に形成させるならば、次式(直線ABに基づく直線補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb−(Sb−Sa)×{(Cbt−Cb)/(Ca−Cb)}
このようにして目標指令階調値Sbtを算出した後、補正値設定プログラムは、次式により、この列領域における指令階調値Sbに対する補正値Hbを算出する。
Hb = (Sbt−Sb)/Sb
検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、列領域毎に、階調値Sb(濃度40%)に対する補正値Hbを算出する。また、同様に、補正値設定プログラムは、階調値Sc(濃度50%)に対する補正値Hcを、各列領域の測定値Ccと、測定値Cb又はCdと、指令階調値Sb又はSdとに基づいて、列領域毎に算出する。また、同様に、補正値設定プログラムは、階調値Sd(濃度60%)に対する補正値Hdを、各列領域の測定値Cdと、測定値Cc又はCeと、指令階調値Sc又はSeとに基づいて、列領域毎に算出する。また、他の色についても、列領域毎に、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)を算出する。
ところで、通常印刷領域には、図12に示すように、56個の列領域があるが、前述したように、これら列領域に割り当てられたノズルの並びは、7個の列領域を1周期として変化する。すなわち、図8に示すように、通常印刷領域の最初から7番目までの列領域には、それぞれ、ノズル♯3、ノズル♯5、ノズル♯7、ノズル♯2、ノズル♯4、ノズル♯6、ノズル♯8によってドット列が形成され、次の8番目以降の7個の列領域にも、これと同じ順序の各ノズルでドット列が形成されている。よって、図12に示す通常印刷領域の補正値の算出では、この規則性が考慮される。
補正値設定プログラムは、通常印刷領域の1番目の列領域(印刷領域全体の31番目の列領域)における補正値を算出するとき、前述の測定値Caには、通常印刷領域においてノズル#3で形成される1、8、15、22、29、36、43、50番目の8個の列領域の濃度30%の測定値の平均値Caaveが用いられる。同様に、通常印刷領域の1番目の列領域(印刷領域全体の31番目の列領域)における補正値を算出するとき、前述の測定値Cb〜Ceには、通常印刷領域においてノズル#3が割り当てられる1、8、15、22、29、36、43、50番目の8個の列領域の各濃度の測定値の平均値Cbave〜Ceaveがそれぞれ用いられる。そして、前述の測定値Ca〜Ceの代わりに平均値Caave〜Ceaveに基づいて、前述の通りに、通常印刷領域の1番目の列領域の補正値(Hb、Hc、Hd)が算出される。このように、通常印刷領域の列領域の補正値は、7個おきの8個の列領域の各濃度の測定値の平均値に基づいて算出される。この結果、通常印刷領域では、1番目〜7番目の7個の列領域に対してだけ補正値が算出され、8番目〜56番目の列領域に対する補正値の算出は行なわれない。言い換えると、通常印刷領域の1番目〜7番目の7個の列領域に対する補正値が、8番目〜56番目の列領域に対する補正値にもなる。
次に、検査用コンピュータ110の補正値設定プログラムは、補正値をプリンタ1のメモリ63に記憶する(S110)。
図21Aは、シアンの補正値テーブルの説明図である。補正値テーブルは、先端印刷領域用、通常印刷領域用、後端印刷領域用の3種類ある。各補正値テーブルには、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)が、列領域毎に対応付けられている。例えば、各列領域のn番目のドット列には、3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)が対応付けられている。3つの補正値(Hb_n、Hc_n、Hd_n)は、それぞれ、指令階調値Sb(=102)、Sc(=128)及びSd(=153)に対応する。なお、他の色の補正値テーブルも同様である。
なお、上述した通常印刷領域の補正値の算出方法は、同じノズルが割り当てられる8個の列領域の濃度の測定値Ca〜Ceの平均値Caave〜Ceaveを求めておき、これら平均値Caave〜Ceaveを用いて、列領域毎に3つの補正値(Hb、Hc、Hd)を算出するものであったが、平均化のタイミングは、測定値Ca〜Ceの時点で行わなくても良く、補正値(Hb、Hc、Hd)を算出した後に行っても良い。
すなわち、シアンの補正値テーブルを例に説明すると、先ず、通常印刷領域に含まれる56個の各列領域について、それぞれ、3つの補正値(Hb、Hc、Hd)を算出する(図21Bの左図を参照)。そして、この56個の列領域のなかで、割り当てられるノズルが同じになる列領域の組毎に、補正値(Hb、Hc、Hd)を平均化し、最終的に、図21Bの右図に示すように、1番目〜7番目の7個の列領域に対応する補正値(Hb、Hc、Hd)を求めても良い。
例えば、ノズル#3が割り当てられる列領域は、図21Bの左図中に太線で囲って示すように、1、8、15、22、29、36、43、50番目の8個の列領域であるが、これら列領域について、それぞれ、補正値(Hb、Hc、Hd)を求める。そして、図21Bの真ん中の式に示すように、求められた8つの補正値Hb_1、Hb_8、Hb_15、Hb_22、Hb_29、Hb_36、Hb_43、Hb_50を平均して補正値Hb_1とし、同様に、求められた8つの補正値Hc_1、Hc_8、Hc_15、Hc_22、Hc_29、Hc_36、Hc_43、Hc_50を平均して補正値Hc_1とし、更に、求められた8つの補正値Hd_1、Hd_8、Hd_15、Hd_22、Hd_29、Hd_36、Hd_43、Hd_50をそれぞれに平均して補正値Hd_1とする。そして、これら補正値(Hb_1、Hc_1、Hd_1)を、図21Bの右図に示すように、1番目の列領域の補正値として補正値テーブルに記憶する。なお、残る2〜7番目の列領域の補正値(Hb_2、Hc_2、Hd_2)〜(Hb_7、Hc_7、Hd_7)についても同じである。
このようにプリンタ1のメモリ63に補正値を記憶させた後、補正値設定処理(図10AのステップS100)は終了する。
そうしたら、図10AのステップS150へ移行して、「濃度補正効果の確認処理」を行い、前記補正値に基づいた濃度補正の効果としての濃度ムラの改善の有無を確認する。そして、この濃度補正効果の確認処理の終了後、プリンタ1と検査用コンピュータ110との接続が外されるが、濃度ムラの改善効果無しと判定されたプリンタ1、つまり、濃度補正を実行不可と判定されたプリンタ1については、その原因を調べる目的で所定の調査工程へ送られる。他方、改善効果有りと判定されたプリンタ1、つまり、濃度補正を実行可能と判定されたプリンタ1については、このプリンタ1に対する他の検査の終了後、工場から出荷される。なお、このプリンタ1には、プリンタドライバを記憶したCD−ROMも同梱される。
<ユーザー下での処理について>
図22は、ユーザー下で行なわれる処理のフロー図である。
プリンタ1を購入したユーザーは、所有するコンピュータ110(もちろん、プリンタ製造工場の検査用コンピュータとは別のコンピュータ)に、プリンタ1を接続する(S201、S301)。なお、ユーザーのコンピュータ110には、スキャナ150は接続されていなくても良い。
次に、ユーザーは、同梱されているCD−ROMを記録再生装置140にセットし、プリンタドライバをインストールする(S202)。コンピュータ110にインストールされたプリンタドライバは、コンピュータ110に、プリンタ1に対して補正値の送信を要求する(S203)。プリンタ1は、要求に応じて、メモリ63に記憶されている補正値テーブルをコンピュータ110へ送信する(S302)。プリンタドライバは、プリンタ1から送られてくる補正値をメモリに記憶する(S204)。これにより、コンピュータ側に補正値テーブルが作成される。ここまでの処理を終えた後、プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令があるまで、待機状態になる(S205でNO)。
プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令を受けると(S205でYES)、補正値に基づいて印刷データを生成し(S206)、印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は、印刷データに従って、印刷処理を行う(S303)。
図23は、印刷データ生成処理のフロー図である。これらの処理は、プリンタドライバによって行われる。
まず、プリンタドライバは、解像度変換処理を行う(S211)。解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBデータ)である。
次に、プリンタドライバは、色変換処理を行う(S212)。色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバが参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
次に、プリンタドライバは、濃度補正処理を行う(S213)。濃度補正処理は、各画素データの階調値を、その画素データの属する列領域に対応する補正値に基づいて補正する処理である。
図24は、シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。同図は、シアンのn番目の列領域に属する画素の画素データの階調値S_inを補正する様子を示している。なお、補正後の階調値はS_outである。
仮に補正前の画素データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、プリンタドライバは、階調値S_inを目標指令階調値Sbtに補正すれば、その画素データの対応する単位領域に目標濃度Cbtの画像を形成することができる。つまり、補正前の画素データの階調値S_inが指令階調値Sbと同じであれば、指令階調値Sbに対応する補正値Hbを用いて、階調値S_in(=Sb)をSb×(1+Hb)に補正するのが良い。同様に、補正前の画素データの階調値Sが指令階調値Scと同じであれば、階調値S_in(=Sc)をSc×(1+Hc)に補正するのが良い。
これに対し、補正前の階調値S_inが指令階調値とは異なる場合、図24に示すような直線補間によって、出力すべき階調値S_outが算出される。図中の直線補間では、各指令階調値(Sb、Sc、Sd)に対応する補正後の各階調値S_out(Sbt、Sct、Sdt)の間を直線補間している。但し、これに限られるものではない。例えば、各指令階調値に対応する各補正値(Hb、Hc、Hd)の間を直線補間して階調値S_inに対応する補正値Hを算出し、算出された補正値Hに基づいて補正後の階調値をS_in×(1+H)として算出しても良い。
先端印刷領域の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、先端印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。例えば、先端印刷領域の1番目の列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、先端印刷用の補正値テーブルの1番目の列領域の補正値(Hb_1、Hc_1、Hd_1)に基づいて、濃度補正処理を行う。
同様に、通常印刷領域の1番目〜7番目の各列領域(印刷領域全体の31番目〜38番目の各列領域)の画素データに対しては、プリンタドライバは、通常印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。但し、通常印刷領域には数千個の列領域が存在するが、通常印刷領域用の補正値テーブルには、7個分の列領域に対応する補正値しか記憶されていない。そこで、通常印刷領域の8番目〜14番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、通常印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。このように、通常印刷領域の列領域に対しては、プリンタドライバは、7個の列領域毎に、1番目〜7番目の各列領域に対応する補正値を繰り返して用いる。通常印刷領域では7個の列領域毎に規則性があるため、濃度ムラの特性も同じ周期で繰り返されると考えられるため、同じ周期で補正値を繰り返し用いることにより、記憶すべき補正値のデータ量を削減している。
なお、補正用パターンの通常印刷領域の列領域は56個であったが、ユーザー下で印刷される印刷画像の通常印刷領域の列領域の数は、これよりも多く、数千個にも及ぶ。このような通常印刷領域の搬送方向上流側(紙の後端側)に30個の列領域からなる後端印刷領域が形成される。
後端印刷領域では先端印刷領域と同様に、後端印刷領域の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、後端印刷領域用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値に基づいて、濃度補正処理を行う。
以上の濃度補正処理により、濃く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データ(CMYKデータ)の階調値が低くなるように補正される。逆に、淡く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データの階調値が高くなるように補正される。なお、他の色の他の列領域に対しても、プリンタドライバは、同様に補正処理を行う。
次に、プリンタドライバは、ハーフトーン処理を行う(S214)。ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタ1が形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示す8ビットデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンタ1がドットを分散して形成できるように画素データを作成する。プリンタドライバは、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。
本実施形態では、プリンタドライバは、濃度補正処理によって補正された階調値の画素データに対して、ハーフトーン処理が行われることになる。この結果、濃く視認されやすい列領域では、その列領域の画素データの階調値が低くなるように補正されているので、その列領域のドット列を構成するドットのドット生成率が低くなる。逆に、淡く視認されやすい列領域では、ドット生成率が高くなる。
次に、プリンタドライバは、ラスタライズ処理を行う(S215)。ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタ1に出力される。
このようにして生成された印刷データに基づいてプリンタが印刷処理を行えば、図9Cに示すように、各列領域のドット列のドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度ムラが抑制される。
以上の説明では、説明の簡略化のためノズル数や列領域の数(ドット列の数)を少なくしているが、実際には、ノズル数は180個であり、例えば先端印刷領域の列領域の数は360個になる。但し、補正値設定プログラムやプリンタドライバ等が行なう処理は、ほぼ同様である。
===濃度補正効果の確認処理(S150)について===
図10AのステップS150の「濃度補正効果の確認処理」は、プリンタ1に設定された補正値が所期の濃度ムラの改善効果を発揮するか否かを、実際に前記プリンタ1で確認用パターンを印刷することによって確認するものである。従って、前記補正値を設定済みのプリンタ1がこの確認処理の対象となる。そして、確認用パターンに基づいて補正効果無しと判定された場合には、当該プリンタ1では濃度補正を実行不可と捉えて、その旨が検査工程の検査者に報知され、検査者は、そのプリンタ1の出荷を取り止めて規定の調査工程へ送る。
図25は、この濃度補正効果の確認処理のフロー図である。
まず、検査者は、前記検査キットに、処理対象のプリンタ1がセットされているかをチェックする(S151)。なお、この時点は、図10Bに示す補正値設定処理の終了直後なので、特別な事情がない限り、前記検査キットには処理対象のプリンタ1がセットされている。すなわち、このプリンタ1は、検査キットの検査用コンピュータ110及び検査用インクカートリッジ35に接続されたままになっている。また、この検査用キットの検査用コンピュータ110には、プリンタドライバやスキャナドライバの他に、スキャナ150から読み取った確認用パターンの画像データに基づいて定量的に濃度ムラの改善効果を確認処理するための補正効果確認プログラムがインストールされている。
次に、検査用コンピュータ110のプリンタドライバは、プリンタ1に、補正効果確認用のテストパターンを印刷させる(S152)。
図26は、補正効果確認用のテストパターンの説明図であり、図27は、このテストパターンが備える確認用パターンの説明図である。図26に示すように、一枚の紙に、テストパターンとして2つの確認用パターンが形成される。一方の確認用パターンは、上述の補正値に基づいて濃度補正を行ったパターン(以下、補正有りの確認用パターンとも言う)であり、その下に形成されるもう一方の確認用パターンは、濃度補正を行わないパターン(以下、補正無しの確認用パターンとも言う)であり、いずれも前述の補正用パターンと同様に720×720dpiの印刷解像度で印刷されている。
これら2つの確認用パターンの印刷に使用される画像データは互いに同じであり、これら確認用パターン同士の相違点は、プリンタドライバが行う図23の印刷データ生成処理において、ステップS213の濃度補正処理が行われるか否かの点のみにある。すなわち、補正有りの確認用パターンを印刷する際には、図23のフローに従って前記画像データを処理して印刷データを生成するが、補正無しの確認用パターンを印刷する際には、図23の濃度補正処理のステップS213を飛ばしてステップS211、S212、S214、S215を行って画像データから印刷データを生成する。
従って、これら2つの確認用パターンは、濃度ムラの点を除けば見かけ上の相違は無く、2つの確認用パターンのどちらも、図27に示すように、前記移動方向に並列する4種類の帯状パターンと、上罫線と、下罫線と、左罫線と、右罫線とにより構成されている。
各帯状パターンは、それぞれ、搬送方向に亘って一定の階調値の画像データから生成されたものであり、左から順に、シアンインクノズル群(C)のノズルのみからインクを吐出して形成された帯状パターン、マゼンダインクノズル群(M)のノズルのみからインクを吐出して形成された帯状パターン、イエローインクノズル群(Y)のノズルのみからインクを吐出して形成された帯状パターン、及び、ブラックインクノズル群(K)のノズルのみからインクを吐出して形成された帯状パターンが並んでいる。
なお、ここでプリンタ1のキャリッジ31には、前述の検査用インクカートリッジ35が装着されている。よって、上記4つのノズル群のいずれのノズル群からも、検査用インクとしてライトマゼンタのインクが吐出され、故に、いずれの帯状パターンもライトマゼンダで着色されている。
また、前記階調値は、濃度ムラが顕在化し易い階調値に設定されるのが望ましいため、この例では、全ての帯状パターンに対して、中間調の階調値(=102(濃度30%))に設定されている。よって、実際の確認用パターン上では、帯状パターン同士の間の境界は見えないが、ここでは説明の便宜上、図26や図27等に示すように帯状パターン毎に濃さを変えて示している。
図27に示すように、各ノズル群の帯状パターンは、それぞれに、前述の補正用パターンにおける帯状パターンと同様に、先端印刷、通常印刷、及び後端印刷により形成される。このため、各帯状パターンは、先端印刷領域の30個のドット列と、通常印刷領域の56個(=7(個/周期)×8周期)のドット列と、後端印刷領域の30個のドット列とから構成されている。また、上罫線は、帯状パターンを構成する1番目のドット列(搬送方向最下流側のドット列)により形成され、下罫線は、帯状パターンを構成する最終ドット列(搬送方向最上流側のドット列)により形成される点も、前述の補正用パターンの場合と同じである。
次に、検査者は、プリンタ1にてテストパターンが印刷された紙を、スキャナ150の原稿台ガラス152に置き、スキャナ150にセットする。そして、検査用コンピュータ110のスキャナドライバは、スキャナ150に各確認用パターンを読み取らせる(S153)。なお、以下では、主に一方の確認用パターンの読み取りについて説明するが、もう一方の確認用パターンの読み取りも同様に行なわれる。
図28は、確認用パターンの読み取り範囲の説明図である。確認用パターンを囲む一点鎖線の範囲が、確認用パターンの読み取り範囲である。なお、この読み取りは、前述したステップS103(補正用パターンの読み取り)と同じ方法によってなされ、その結果、図中の読み取り範囲の画像が、2880×2880dpiの読み取り解像度の長方形の画像データとして検査用コンピュータ110に読み取られる。
次に、検査用コンピュータ110の補正効果確認プログラムは、図29Aに示すように、画像データに含まれる確認用パターンの傾きθを検出し(S154)、図29Bに示すように、画像データに対して傾きθに応じた回転処理を行う(S155)。なお、この確認用パターンの傾き検出及び回転処理も、それぞれに、前述したステップS104(補正用パターンの傾き選出)及びステップS105(回転処理)と同じ方法を適用して達成される。
次に、補正効果確認プログラムは、画像データの中から不要な画素データをトリミングする(S156)。不要な画素データは、図30Aの一鎖線で示す画像データのなかにおいて、上罫線よりもY方向の上側及び下罫線よりも下側に位置する画素データであり、トリミングによって、図30Bの一点鎖線で示すような画像データに加工される。なお、このトリミングも、前述したステップS106(トリミング)と同じ方法を適用して達成される。
次に、補正効果確認プログラムは、トリミングされた画像データのY方向の画素数が、確認用パターンを構成するドット列の数と同数になるように前記画像データを解像度変換する(S157)。この解像度変換も、前述のステップS107(解像度変換)と同じ方法によって行われ、その結果、図30Bに示す解像度変換前の画像データは、図30Cに示すように、Y方向の画素数が、確認用パターンを構成するドット列の数と同数になるように変換される。そして、これによって、画像データのX方向の画素列と列領域とが、一対一で対応するようになる。
次に、補正効果確認プログラムは、4つのノズル群の各帯状パターンに対して、それぞれ、各帯状パターンの濃度を列領域毎に測定する(S158)。この濃度の測定方法も、前述のステップS108と概ね同じである。但し、若干相違するので、以下、4つのノズル群のうちでシアンインクノズル群の帯状パターンを例に、列領域の濃度の測定について説明する。
図31の確認用パターンの拡大図に示すように、先ずシアンの帯状パターンの左右W4の範囲を除いた点線の範囲の画素データを列領域毎に抽出する。そして、抽出された前記範囲の画素データの階調値を列領域毎に平均化し、得られた各平均値を、それぞれ各列領域の濃度の測定値とする。ここまでは、前述のステップS108と同じである。
但し、このステップS158では、これら各列領域の濃度の測定値を「仮の測定値」とし、これら「仮の測定値」を、移動平均法に類する方法によってY方向に平滑化処理して、各列領域の濃度の測定値(読み取り値に相当)を求めている。すなわち、着目している列領域(以下、着目列領域と言う)を含め、そこからY方向に所定個数分の列領域の「仮の測定値」の平均値を、着目列領域の濃度の測定値としている。
ここで、前記所定個数は、ヘッド41のノズルピッチを規定する数kに一致させるのが望ましく、本実施形態のノズルピッチk・Dは、4・Dであることから、上述の例では所定個数を4個にしている。例えば、図31に示すように、1番目の列領域の濃度の測定値は、この1番目の列領域からY方向に4個分の列領域の「仮の測定値」の平均値として求められ、また、2番目の列領域の濃度の測定値は、2番目の列領域からY方向に4個分の列領域の「仮の測定値」の平均値として求められ、以下、Y方向に続く列領域の濃度の測定値は、同様に求められる。
なお、このように平滑化処理して列領域の濃度の測定値を求める理由は、濃度の異常値の影響を小さくし、測定値の精度を高めるためである。
また、この測定値の精度向上の観点からは、余白の濃度の影響で異常値となり易いY方向の端部近傍の列領域を、上記濃度の測定の対象から外す方法も有効である。例えば、図32に示すように、帯状パターンのY方向の先端部及び後端部に位置する3個の列領域については濃度の測定の対象から外しても良い。
次に、補正効果確認プログラムは、各確認用パターンの濃度のばらつきを算出する(S159)。この濃度のばらつき(以下、濃度ばらつきと言う)の算出は、図33に太点線で囲って示すように、各確認用パターンを移動方向及び搬送方向につき格子状に区分してなる区分領域毎に行われる。図示例では、移動方向にはノズル群毎たる帯状パターン毎に、また、搬送方向には印刷領域毎に各確認用パターンは区分され、その結果、各確認用パターンの区分領域数は、それぞれ12個になっている。
以下では、シアンインクノズル群に係る先端印刷領域を区分領域C−1、同じく通常印刷領域を区分領域C−2、同じく後端印刷領域を区分領域C−3とし、マゼンダインクノズル群に係る先端印刷領域を区分領域M−1、同じく通常印刷領域を区分領域M−2、同じく後端印刷領域を区分領域M−3とし、イエローインクノズル群に係る先端印刷領域を区分領域Y−1、同じく通常印刷領域を区分領域Y−2、同じく後端印刷領域を区分領域Y−3とし、ブラックインクノズル群に係る先端印刷領域を区分領域K−1、同じく通常印刷領域を区分領域K−2、同じく後端印刷領域を区分領域K−3とする。
ここでは、区分領域内の濃度ばらつきの評価指標として、いわゆる標準偏差σが使用されている。つまり、各区分領域内の濃度ばらつきは、その区分領域がn個の列領域を有し、その区分領域に含まれるj番目の列領域の濃度の測定値をCとした場合には、下式により算出される。
σ=√{[(C―Cave+ … +(C―Cave]/n}
ここで、上式中のCaveは、Cave=(C+ … +C)/nである。
そして、補正有りの確認用パターン及び補正無しの確認用パターンのそれぞれについて、12個の区分領域の濃度ばらつきσを求めたら、補正効果確認プログラムは、次に、濃度補正効果の判定を行う(S160)。
図34は、この濃度補正効果の判定ステップ(S160)のフロー図である。このステップS160では、先ず、補正有りの確認用パターン及び補正無しの確認用パターンについて、互いに対応する区分領域毎に濃度ばらつきσを比較する(S162)。そして、全12個の区分領域のうち、一つでも補正有りの濃度ばらつきσの方が大きい区分領域が存在した場合には補正効果無しと判定され、当該プリンタ1では濃度補正を実行不可と捉える(S165)。一方、12個の全ての区分領域について、補正無しよりも補正有りの濃度ばらつきσの方が小さい又は同値の場合には、補正効果無しとは判定されずに、当該プリンタ1では濃度補正を実行可能と捉える(S164)。
濃度補正を実行可能と捉えた場合には、補正効果確認プログラムは検査用コンピュータ110の表示装置120に「濃度補正実行可能」と表示する。他方、濃度補正を実行不可と捉えた場合には、同表示装置120に「濃度補正実行不可」と表示するが、ここで望ましくは、この濃度補正実行不可の表示と併せて、確認用パターンの再印刷を促す警告、又は、濃度の補正値の再作成を促す警告も表示すると良い。そうすれば、検査者は、そのプリンタ1に対する再検査を、前述のステップS150「濃度補正効果の確認処理」若しくはステップS100「補正値設定処理」からやり直し、当該プリンタ1に対する前記濃度補正実行不可の判定の再現性を確認した上で、そのプリンタ1を調査工程へ送るようになる。その結果、検査者の検査上の不手際等の問題で、誤って濃度補正実行不可と判定されるプリンタ1の数を減らすことができる。
===上述の「濃度補正効果の判定(S160)」の問題点について===
上述した「濃度補正効果の判定(S160)」では、補正有り及び補正無しの各確認用パターンの濃度ばらつきσを、互いに対応する区分領域毎に相対的に比較することによって濃度補正効果の判定を行っていた。詳しくは、補正無しよりも補正有りの濃度ばらつきσの方が大きい区分領域が一つでも存在した場合には、補正効果無しと判定していた。
しかし、濃度ばらつきσの絶対値が小さい場合には、検査状態の軽微な差等によって、上述の相対的な比較による判定結果は容易に逆転し得て、その結果として、濃度補正を行わない場合よりも行った場合の方が濃度ばらつきσが大きくなってしまうことがある(以下では、これを「逆転現象」と言う)。
そして、その場合に上述の方法では、濃度ムラが視認可能なレベルになく問題の無いプリンタ1に対してまで、濃度補正を実行不可と判定してしまい、その出荷を取りやめてしまう虞がある。
図35A乃至図35Bは、上述の逆転現象の説明図であって、いずれの図も、確認用パターンの帯状パターンの濃度の測定値を示している。横軸は帯状パターンにおける列領域の位置、縦軸は列領域の濃度の測定値である。
この逆転現象の一因としては、例えば、濃度補正によって生じ得る原因不明の濃度変動のうねりが挙げられる。すなわち、濃度補正を行うと、図35Aの左半面に示す補正無しの帯状パターンには生じていなかった濃度変動のうねりが、同図の右半面に示すように、補正有りの帯状パターンに生じることがある。
但し、このうねりの振幅は、図35Aの右半面に示すように総じて小さい。よって、図35Aの左半面に示すように補正無しの濃度ばらつきσの絶対値が大きい場合には、濃度補正による濃度ばらつきσの減少代が大きいこともあって、濃度補正にて前記うねりが生じても、補正無しよりも補正有りの濃度ばらつきσの方が大きくなるという逆転現象は、まず起こらない。
これに対して、図35Bの左半面に示すように補正無しの帯状パターン上において既に濃度ばらつきσの大きさが小さい場合には、濃度補正による濃度ばらつきσの減少代が小さくなるために、当該うねりの濃度ばらつきσへの増大効果の寄与率は、相対的に大きくなる。その結果、図35Bの右半面に示す補正有りの帯状パターンの濃度ばらつきσにおいて、このうねりによる濃度ばらつきσの増分が、濃度補正による濃度ばらつきσの減少分を上回ってしまうことが多分にあり得て、その場合には、補正無しよりも補正有りの濃度ばらつきσの方が大きくなるという逆転現象が起こってしまうのである。
但し、前述したように当該うねりの振幅は小さく、更に、このうねりは、複数の列領域に亘って変化するという長周期の性質を帯びている。このため、このうねりは、目視では濃度ムラとして認識され難く、実際には問題とならないことが多い。
従って、このようなうねりに起因して前記濃度補正効果の判定(S160)において逆転現象を引き起こしたプリンタ1に対してまで、一律に、濃度補正を実行不可なプリンタ1と判定してしまったのでは、必要以上に厳しめの判定となり、濃度ムラの判定に関して過剰品質に陥る。つまり、実用上問題ないレベルのプリンタ1についてまで検査工程で不合格にしてしまい、実質的にプリンタの生産効率を落とす虞がある。
そこで、以下で説明する本実施形態に係る濃度補正効果の判定(ステップS160a)では、濃度ばらつきσを相対的に比較することに加えて、更に、濃度ばらつきσを所定の判定閾値を用いて絶対値で比較することによって、補正効果無しの最終判定を下すようにしている(図36を参照)。そして、これによって、実用上問題のないプリンタ1に対してまで、濃度補正を実行不可と判定して出荷を取り止めてしまうことを有効に回避しているのである。
===本実施形態の「濃度補正効果の判定ステップ(S160a)」について===
図36は本実施形態に係る「濃度補正効果の判定ステップ(S160a)」のフロー図である。
上述した図34のフロー図の例との主な相違点は、ステップS163が追加されている点にある。すなわち、図34の例では、ステップS162における濃度ばらつきσの相対的な比較にて補正効果無しと判定された場合には、即座に、このプリンタ1では濃度補正を実行不可と捉えて当該プリンタ1の出荷を取り止めていたが、本実施形態では、更に、ステップS163において、その濃度ばらつきσの大きさが実用上問題ないか否かを判定し、問題ないと判定された場合には、当該プリンタ1を濃度補正可能なプリンタとして捉えて、調査工程へ回さずにそのまま出荷するようにしている。
よって、このステップS163が追加されている以外は、上述した図34の例とほぼ同じであり、以下では当該ステップS163について主に説明する。
図36に示すステップS163において、プリンタ1の濃度ばらつきσが実用上問題ないレベルか否かの判定は、濃度ばらつきσの大きさを、所定の判定閾値σthと比較して行う。すなわち、濃度ばらつきσの絶対値で評価する。
ここで比較に供する濃度ばらつきσとしては、補正有りの確認用パターンが有する全12個の区分領域の濃度ばらつきσの平均値σaveが用いられ、具体的には、以下の式で算出される。
σave=(σC−1+σC−2+σC−3+σM−1+σM−2+σM−3
+σY−1+σY−2+σY−3+σK−1+σK−2+σK−3)/12
なお、上式中のσC−1,σC−2,σC−3,σM−1,σM−2,…σK−3は、それぞれ、各区分領域C−1,C−2,C−3,M−1,M−2,…K−3の濃度ばらつきσの大きさを示している。
そして、この平均値σaveが、前記判定閾値σth以下である場合には、濃度補正を実行可能と判定し(S165)、他方、前記判定閾値σthを超える場合には、濃度補正を実行不可と判定する(S164)。
ちなみに、前記判定閾値σthは、次のような官能評価を用いた方法で予め決定されている。先ず、目視にて濃度ムラの大きさが相違すると判別可能な帯状パターンのサンプルを、例えば5水準に亘って印刷する。そして、複数の人に、これら5水準の濃度ムラを、5段階の官能評価値(レベル1:無し、レベル2:小、レベル3、中、レベル4:大、レベル5:特大)によって目視評価してもらう。一方、これと並行して、これら5水準の濃度をスキャナ150で読み取って各水準の濃度ばらつきσを求めておく。
そして、前記濃度ムラの官能評価値と濃度ばらつきσとを、それぞれ横軸及び縦軸にとって図37のようにグラフ化し、しかる後に、そのグラフから、前記レベル1(濃度ムラ無しに相当)に対応する濃度ばらつきσを読み取って、これを判定閾値σthとすれば良い。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタ1を備えた印刷システム100について記載されているが、その中には、画像の濃度補正の実行可否の判定方法等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ1等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<プリンタ1について>
前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出していたが、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
<ヘッド41の移動方向について>
前述の実施形態では、往復のいずれの移動方向にヘッド41が移動する際に、インクを吐出するのか述べていないが、往路のみ、復路のみ、又は往復の両方のいずれにおいてインクを吐出するようにしても良い。
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色のインクを紙上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えばこれらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。
<検査用インクについて>
前述の実施形態では、検査工程の作業簡略化の観点から、検査用インクとして一種類のインク(ライトマゼンダ)を用いて補正値設定用のテストパターン及び補正効果確認用のテストパターン印刷したが、何等これに限るものではない。
例えば、ノズル群毎に対応するインク色のインクを用いて、前記テストパターンの各帯状パターンを印刷するようにしても良い。すなわち、シアンノズル群の帯状パターンはシアンインクで印刷し、マゼンダノズル群の帯状パターンはマゼンダインクで、イエロノズル群の帯状パターンはイエロインクで、ブラックノズル群の帯状パターンはブラックインクで印刷するようにしても良い。
<「補正値の設定処理」及び「濃度補正効果の確認処理」を行う主体について>
前述の実施形態では、図10Aに示す「補正値の設定処理(S100)」及び「濃度補正効果の確認処理(S150)」を、工場の検査工程で行っていたが、これらの処理を、購入したユーザー下で行うようにしても良い。なお、その場合には、テストパターンをプリンタ1に印刷させるためのプリンタドライバや、スキャナを制御するためのスキャナドライバ、補正値設定プログラム並びに補正効果確認プログラムを、ユーザーが自分のコンピュータ110にインストールできるように、これらプログラムを記憶したCD−ROM等が前記プリンタ1に付属されているのは言うまでもない。
また、このユーザー下では、キャリッジ31には検査用インクカートリッジ35ではなく、ノズル群毎に対応するインク色のカートリッジ33(K),33(C),33(M),33(Y)が装着されているので、テストパターンの各帯状パターンは、上述したようにノズル群毎に対応するインク色のインクを用いて印刷されるのは言うまでもない。
<濃度ばらつきを求める区分領域の数について>
前述の実施形態では、図33に示すように、各確認用パターンを帯状パターン毎且つ印刷領域毎に区分して12個の区分領域にしていたが、何等これに限るものではない。例えば、印刷領域毎の区分はせずに、前記移動方向に関して帯状パターン毎に区分して4個の区分領域としても良い。
印刷システム100の構成の説明図である。 プリンタ1の全体構成のブロック図である。 図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図であり、図3Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。 ヘッド41の下面におけるノズルの配列の説明図である。 図5Aは、スキャナ150の縦断面図であり、図5Bは、上蓋151を外した状態のスキャナ150の上面図である。 印刷時の動作のフロー図である。 図7A及び図7Bは、通常印刷の説明図である。 先端印刷及び後端印刷の説明図である。 図9Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図であり、図9Bは、ノズルの加工精度のばらつきの影響の説明図であり、図9Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。 プリンタ1の製造後の検査工程で行われる処理のフロー図である。 図10A中に示された補正値取得処理のフロー図である。 検査キットが具備する検査用インクカートリッジ35の説明図である。 補正値設定用のテストパターンの説明図である。 補正用パターンの説明図である。 シアンの補正用パターンの読み取り範囲の説明図である。 図14Aは、傾き検出の際の画像データの説明図であり、図14Bは、上罫線の位置の検出の説明図であり、図14Cは、回転処理後の画像データの説明図である。 図15Aは、トリミングの際の画像データの説明図であり、図15Bは、上罫線でのトリミング位置の説明図であり、図15Cは、下罫線でのトリミング位置の説明図である。 解像度変換の説明図である。 図17Aは、左罫線の検出の際の画像データの説明図であり、図17Bは、左罫線の位置の検出の説明図であり、図17Cは、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。 シアンの5種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。 シアンの濃度30%、濃度40%及び濃度50%の帯状パターンの測定値のグラフである。 図20Aは、列領域Aにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図であり、図20Bは、列領域Bにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。 シアンの補正値テーブルの説明図である。 シアンの通常印刷領域用の補正値テーブルの説明図である。 ユーザー下で行なわれる処理のフロー図である。 印刷データ生成処理のフロー図である。 シアンのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。 図10A中に示された濃度補正効果の確認処理のフロー図である。 補正効果確認用のテストパターンの説明図である。 確認用パターンの説明図である。 確認用パターンの読み取り範囲の説明図である。 図29Aは、傾き検出の際の画像データの説明図であり、図29Bは、回転処理後の画像データの説明図である。 図30Aは、トリミング前の画像データの説明図であり、図30Bは、トリミング後の画像データの説明図であり、図30Cは、解像度変換後の画像データの説明図である。 1番目から4番目までの各列領域の濃度の測定の説明図である。 濃度の測定の対象から除外しても良い列領域の説明図である。 各確認用パターンの濃度ばらつきの算出単位たる区分領域の説明図である。 図25中に示された濃度補正効果の判定ステップ(S160)のフロー図である。 図35A及び図35Bは、濃度ばらつきσが小さい場合に起こり得る逆転現象の説明図である。 本実施形態に係る濃度補正効果の判定ステップ(S160a)のフロー図である。 判定閾値σthを取得するために用いる、濃度ムラの官能評価値と濃度ばらつきσとの関係のグラフである。
符号の説明
1 プリンタ、5 原稿、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
33 インクカートリッジ、35 検査用インクカートリッジ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51、リニア式エンコーダ、52、ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
100 印刷システム、110 コンピュータ、120 表示装置、
130 入力装置、140 記録再生装置、150 スキャナ、
151 上蓋、152 原稿台ガラス、153 読取キャリッジ、154 案内部材、
155 移動機構、157 露光ランプ、158 ラインセンサ、159 光学系

Claims (8)

  1. 画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    濃度補正を行わない場合の確認用パターンと、濃度補正を行った場合の確認用パターンとを媒体に印刷するステップと、
    各確認用パターンの濃度を読み取るステップと、
    前記濃度の読み取り値に基づいて、前記各確認用パターンの濃度のばらつきを求めるステップと、
    前記各確認用パターン同士の濃度のばらつきの比較結果と、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの所定の閾値に対する比較結果とに基づいて、画像の濃度補正の実行可否を判定するステップと、
    を備え、
    前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップにおいて、
    前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、
    前記濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の確認用パターンの方が濃度のばらつきが大きい場合であっても、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきが前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下されることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  2. 請求項1に記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して前記各確認用パターンは印刷され、
    前記列領域毎に前記読み取り値が生成されることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  3. 請求項2に記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    前記複数のノズルは、前記交差方向に沿って整列してノズル群を構成し、
    前記ノズル群は、画像の印刷時に吐出するインクの色毎に設けられており、
    各確認用パターンは、前記移動方向に関してノズル群毎に領域を区分され、区分された前記領域毎に前記濃度のばらつきが求められることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  4. 請求項3に記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    前記各確認用パターンは、画像データに基づいて印刷され、
    前記画像データは、前記各確認用パターンにおいて前記ノズル群毎に区分された領域に含まれる列領域に前記ドット列を形成するための濃度の階調値データを有し、
    前記階調値データは、前記区分された領域に含まれる全ての前記列領域に亘って同じであることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  5. 請求項3又は4に記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップでは、
    前記各確認用パターンにおいて同じノズル群で印刷された前記領域同士で前記ばらつきの比較を行い、
    いずれの前記領域についても、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、
    濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが大きい前記領域が存在する場合であっても、前記濃度補正を行った場合の前記領域の濃度のばらつきの平均値が前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下されることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  6. 請求項3乃至5のいずれかに記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して補正用パターンを印刷し、
    前記補正用パターンから前記列領域毎に濃度を読み取って、前記濃度の読み取り値に基づいて前記列領域毎に補正値を求め、
    前記濃度補正を実行可能とする判定が下された場合には、画像を印刷する際に前記補正値に基づいて列領域毎に濃度補正を行うことを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  7. 請求項6に記載の画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    前記補正用パターンはノズル群毎に印刷されていることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
  8. 画像の濃度補正の実行可否の判定方法であって、
    濃度補正を行わない場合の確認用パターンと、濃度補正を行った場合の確認用パターンとを媒体に印刷するステップと、
    各確認用パターンの濃度を読み取るステップと、
    前記濃度の読み取り値に基づいて、前記各確認用パターンの濃度のばらつきを求めるステップと、
    前記各確認用パターン同士の濃度のばらつきの比較結果と、前記濃度補正を行った場合の確認用パターンの濃度のばらつきの所定の閾値に対する比較結果とに基づいて、画像の濃度補正の実行可否を判定するステップと、
    を備え、
    移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して前記各確認用パターンは印刷され、前記列領域毎に前記読み取り値が生成され、
    前記複数のノズルは、前記交差方向に沿って整列してノズル群を構成し、前記ノズル群は、画像の印刷時に吐出するインクの色毎に設けられており、各確認用パターンは、前記移動方向に関してノズル群毎に領域を区分され、区分された前記領域毎に前記濃度のばらつきが求められ、
    前記各確認用パターンは、画像データに基づいて印刷され、前記画像データは、前記各確認用パターンにおいて前記ノズル群毎に区分された領域に含まれる列領域に前記ドット列を形成するための濃度の階調値データを有し、前記階調値データは、前記区分された領域に含まれる全ての前記列領域に亘って同じであり、
    前記画像の濃度補正の実行可否を判定するステップでは、前記各確認用パターンにおいて同じノズル群で印刷された前記領域同士で前記ばらつきの比較を行い、いずれの前記領域についても、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが小さい又は同値の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下される一方、濃度補正を行わない場合よりも濃度補正を行った場合の方が濃度のばらつきが大きい前記領域が存在する場合であっても、前記濃度補正を行った場合の前記領域の濃度のばらつきの平均値が前記閾値以下の場合には、前記濃度補正を実行可能とする判定が下され、
    移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記移動方向に沿ったドット列を前記交差方向に並ぶ列領域毎に形成して補正用パターンを印刷し、前記補正用パターンから前記列領域毎に濃度を読み取って、前記濃度の読み取り値に基づいて前記列領域毎に補正値を求め、前記濃度補正を実行可能とする判定が下された場合には、画像を印刷する際に前記補正値に基づいて列領域毎に濃度補正を行い、
    前記補正用パターンはノズル群毎に印刷されていることを特徴とする画像の濃度補正の実行可否の判定方法。
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