JP4629179B2 - 自動車のステアリング装置におけるステアリングシャフトをロックするための装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のステアリング装置におけるステアリングシャフトをロックするための装置に関する。
【０００２】
このタイプの装置は、例えばドイツ国特許第19719343号により公知となっている。この装置では、ブロッキング機素を含むブロッキング装置によって、ステアリングシャフトがロックされるようになっており、ブロッキング機素は、電動モータによってアンロック位置からロック位置へ変位できるようになっており、ロック位置では、ステアリングシャフトの外周部に配置された歯付きリング内の隣接する歯によって形成されたリセスに係合するようになっている。
この公知の装置には、ステアリング装置にブロッキング装置を取り付けることに関する詳細な構成は不明である。
【０００３】
ドイツ国特許第4422467号も、包括的タイプのロッキング装置を開示している。この装置は、ブロッキング装置が磁石によって枢動できるレバー状のブロッキング機素を含んでいる。ブロッキング装置、およびステアリングシャフトに取り付けられた歯付きリングは、自動車のステアリングシャフトのまわりにガイドされる共通ハウジング内に位置している。
正当でない第三者がロッキング装置をアンロックするを防止するために、歯付きリングから離間している方のブロッキング機素の端部は、ブロッキング機素がロック位置に枢動しているときに、ハウジング内の溝状のリセスに係合し、もってハウジングが開くのを防止している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
このようなロッキング装置の欠点の１つは、ブロッキング装置を取り付けたり取り外したりするのに、比較的長い時間がかかることである。その理由は、このように取り付けたり、取り外したりするのに、ステアリングシャフトに配置されたハウジングを開けなければならないからである。
【０００５】
本発明の目的は、ブロッキング機素がロッキング状態にあるときに、ブロッキング装置を取り外すことができないように保証しながら、当該自動車のステアリング装置に、ブロッキング装置を簡単に取り付け、かつ迅速に交換できるような、冒頭に記載のタイプの装置を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、この目的は、請求項１の特徴事項によって達成される。本発明の特に有利な構造は、従属請求項に記載されている。
【０００７】
本発明は、基本的には、ブロッキング装置に割り当てられ、ブロッキングピンガイドとして働くアダプタ部品を介して、ステアリング装置に取り付けられるフランジへ、ハウジングが設けられたブロッキング装置を解放自在に接続するという原理に基づいている。
フランジはリセスを有し、このリセスはブロッキング装置を取り付けるよう、アダプタ部品をリセスの第１の部分領域に挿入し、ガイドに沿って制限位置変位できるように構成されており、この制限位置では、ブロッキング機素は、正しく使用した場合に係合する歯付きリング領域より上に位置する。
更に、歯付き領域の歯の間には横方向ウェブが配置され、このウェブは、ブロッキング機素がロックされた位置にあると、フランジ内のリセスに沿ったアダプタ部品の第１部分領域までの軸方向の変位を防止するので、ブロッキング機素がロックされた位置にあると、正統でない第三者によって、ブロッキング装置を取り外すことが防止される。
【０００８】
本発明の有利な実施例では、アダプタ部品には溝が設けられており、この溝は、ステアリングシャフトの軸線の方向に台形状に配置されて、フランジ内のリセスと係合するようになっており、リセスも同じように台形となっている。
アダプタ部品内に、取り付け溝を台形に配置したことにより、取り付け中、製造上の公差によって、所定の限度内で部品の寸法が変動しても、取り付けフランジのフランクは、アダプタ部品の対応する溝の底部に当接する。従って、フランジ内のリセス内で遊びを生じることなく、アダプタ部品が当接するので、ステアリングシャフトにトルクが加えられる結果、ロックされたブロッキングピンに負荷が加わった場合、アダプタ部品を介し、ブロッキングピンからの力が、ステアリングシャフトのフレーム部品に加わる前に、アダプタ部品をシフトさせることにより克服しなければならないような公差は生じない。
【０００９】
更に、フレームにアダプタ部品を解放自在に接続するために、軸方向に延びる取り付けネジが設けられており、このネジを締めると同時に、アダプタ部品はその制限位置へ変位するので有利である。この取り付けネジを、キャップネジとし、アダプタ部品を貫通するようにガイドして、フランジに配置されたネジ切りされた部品に係合させてもよい。
【００１０】
以下、図面を参照して説明する次の実施例から、本発明の上記以外の細部および利点が明らかとなると思う。
【００１１】
図１において、１は、自動車のステアリングシャフト２をロックするための本発明に係わる装置を示す。この装置１は、ブロッキング装置３と、ステアリングシャフト２の外周部に配置された歯付きリング４とを含み、歯付きリング４は、外周部に分散された歯５と、これら歯の間に配置されたリセス６とを有する。
【００１２】
ブロッキング装置３は、ハウジング７内に配置された電動モータを含み、歯付きトランスミッション９およびスピンドルドライブ１０を介して、アンロック位置とロック位置との間で、ブロッキング機素１１を変位させる。ブロッキングピンとして構成されたブロッキング機素１１は、隣接する歯５によって形成された、歯付きリング４内のリセス６に、ロッキング位置で係合するようになっている。
【００１３】
自動車のステアリング装置に、このブロッキング装置３を取り付けるために、ブロッキング装置３は、歯付きリング４に向いた側に、アダプタ部品１２を有する。このアダプタ部品の一部は、ハウジング７によって密閉されており、ステアリング装置はフランジ１３を有する。
このアダプタ部品１２は、ブロッキング装置３をステアリング装置に取り付けるのに使用されるだけでなく、ブロッキング機素１１をガイドする役割も果たし、ブロッキング機素１１がロック状態にある場合に、ステアリングシャフト２が乱暴にねじられた時に、アクチュエータまたは電動モータ８が破損しないよう、この機素に作用する力を吸収するようになっている。
【００１４】
Ｌ字形構造をしたフランジ１３は、歯付きリング４内の環状溝１４（図３）内に取り付けられており、ステアリングシャフト２を囲む管状スリーブ（明瞭にするために図示せず）に回転自在に固定されるよう接続されている。
【００１５】
フランジ１３はリセス１５を有し、このリセスは台形（図２）となっており、かつアダプタ部品１２（この部品も、歯付きリング４の方を向く側が台形状となっており、図２では点線で示されている）をリセス１５の部分領域（１６）内に挿入できるよう構成されている。次に、アダプタ部品１２は、ステアリングシャフト２の長手方向軸線１７の方向に制限位置までガイド１８に沿って変位でき、制限位置では、ブロッキング機素１１は、正しく使用したときに機素が係合する歯付きリング領域の上方に位置する。
【００１６】
アダプタ部品１２が制限位置に変位できるようにするため、アダプタ部品は、長手方向の溝２０（図１）を有し、軸方向に延びるリセス１５の側壁２１、２２が、これら溝に係合している。
【００１７】
アダプタ部品１２は変位し、軸方向に延びる（図２）取り付けネジ２３の助けにより、制限位置に固定される。このネジは（図１内の点線が示すように）、アダプタ部品１２を通ってガイドされ、フランジ１３に取り付けられたネジ部品２４に螺合されている。
【００１８】
図から分かるように、一部の領域２５内のフランジ１３の部分領域１６内の歯付きリング４は、歯付きリングの円形キャップの直径に対応する直径を有する。従って、ブロッキング機素１１がそのアンロック位置にあるときにしか、アダプタ部品１２をリセス１５に挿入できない。
【００１９】
アダプタ部品１２（従ってブロッキング装置３）が、その制限位置にあり、ブロッキング機素１１がロック位置にある場合、例えば取り付けネジ２３をゆるめても、ブロッキング装置３を取り外すことはできない。
その理由は、ブロッキング装置３を取り外すように、部分領域１６に向かってアダプタ部品１２が変位すると、ブロッキング機素１１は部分領域１６に到達する前に、歯付きリング４の部分領域２５によって形成された横方向ウェブ２６に接触するからである。しかし、この位置では、リセス１５の側壁２１、２２はまだアダプタ部品１２内の長手方向溝２０に係合したままである。取り外し位置に到達した後に、ブロッキング機素１１がアンロック位置にあるときにしか、アダプタ部品１２を更に変位して取り外すことができない。
【００２０】
当然ながら、本発明は、上記実施例のみに限定されるものではない。例えば、フランジ内のリセスは必ずしも台形である必要はない。段のついた正方形または段のついた長方形としてもよい。
【００２１】
更に、ネジ切りされたスピンドルの管状スリーブの部分領域を、フランジとして使用することもできる。この場合、アダプタ部品を導入するための対応するリセスは、管状スリーブの部分領域内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【図１】ブロッキング装置をステアリング装置に取り付ける前のブロッキング装置およびステアリングシャフトに配置された歯付きリングを備えた、本発明に係わる装置の側面図である。
【図２】図１におけるＩＩ−ＩＩ線における、ステアリングシャフトの平面図である。
【図３】ブロッキング装置のブロッキング機素が係合状態にある、図１に示された歯付きリングの一部の斜視図である。
【符号の説明】
１ 装置
２ ステアリングシャフト
３ ブロッキング装置
４ 歯付きリング
５ 歯
６ リセス
７ ハウジング
８ 電動モータ
９ 歯付きトランスミッション
１０ スピンドルドライブ
１１ ブロッキング機素
１２ アダプタ部品
１３ フランジ
１４ 環状溝
１５ リセス（フランジ）
１６ 部分領域
１７ 長手方向軸線
１８ ガイド
２０ 長手方向溝
２１、２２ 側壁
２３ 取り付けネジ
２４ ネジ切りされた部品
２５ 部分領域（歯付きリング）
２６ 横方向ウェブ

Claims (5)

1. 自動車のステアリング装置におけるステアリングシャフトをロックするための装置であって、
   ａ）この装置（１）は、自動車のステアリングシャフト（２）に対してブロッキング装置（３）のアンロック位置からロック位置へ変位できるようになっているブロッキング機素（１１）を有し、ブロッキング装置（３）にはハウジング（７）が設けられており、このブロッキング装置（３）がロックされた位置で、ステアリングシャフト（２）の外周部に配置された歯付きリング（４）内の、隣接する歯（５）によって形成されたリセス（６）に係合し、
   ｂ）ブロッキング装置（３）が、ステアリング装置に取り付けられたフランジ（１３）に解放自在に接続できるアダプタ部品（１２）を含み、
   ｃ）フランジ（１３）が、リセス（１５）を有し、このリセスは、ブロッキング装置（３）を取り付けるためにリセス（１５）の部分領域（１６）内にアダプタ部品（１２）を挿入し、次にガイド（１８）に沿ってその制限位置へアダプタ部品を変位させることができるようになっており、前記制限位置では、正しく使用された場合に、アダプタ部品が係合する歯付きリング領域の上にブロッキング機素（１１）が位置するようになっており、
   ｄ）歯付きリング（４）の歯（５）の間に、横方向ウェブ（２６）が配置されており、ブロッキング機素（１１）がロックされた位置にあるとき、横方向ウェブが、フランジ（１３）内のリセス（１５）に沿った部分領域（１６）までのアダプタ部品（１２）の軸方向の変位を防止するようになっている自動車のステアリング装置におけるステアリングシャフトをロックするための装置。
2. フランジ（１３）内のリセス（１５）、およびこのリセス（１５）内に挿入できるアダプタ部品（１２）が台形をしており、アダプタ部品（１２）をガイドするために、アダプタ部品（１２）が長手方向の溝（２０）を有し、この溝内に、ステアリングシャフトの軸方向に延びるリセス（１５）の側壁（２１）（２２）が係合するようになっている、請求項１記載の装置。
3. フランジ（１３）上のアダプタ部品（１２）を解放自在に接続するために、ステアリングシャフトの軸方向に延びる取り付けネジ（２３）が設けられており、このネジを締め付けると同時に、アダプタ部品（１２）が制限位置へ変位されるようになっている、請求項１または２記載の装置。
4. 取り付けネジ（２３）が、キャップネジとして構成されており、このネジは、アダプタ部品（１２）を貫通するようにガイドされ、かつ取り付けネジ（２３）が係合するネジ切り部品（２４）が、フランジ（１３）に配置されている、請求項３記載の装置。
5. ブロッキング装置（３）が、電動モータ（８）によって変位させることができるブロッキング機素（１１）を含む、請求項１〜４のいずれか１項に記載の装置。

Images