JP4622161B2 - 車両用モールディングの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用モールディングの製造方法に関するもので、特に、金属芯材に意匠面を構成する装飾フィルム及び車両ボデー構造体との間をシールするシール部材が設けられた車両用モールディングの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用モールディングの製造方法としては、特許第2941299号公報に示されるものが知られている。これは、車両ボデー構造体に係止される長尺状の金属芯材の表面に意匠面を構成する装飾フィルムが設けられる共に金属芯材に車両ボデー構造体に弾接して車両ボデー構造体との間をシールする弾性シール部材が設けられてなる車両用モールディングの製造方法である。
【0003】
この製造方法は、金属芯材を所定断面形状となるよう長手方向に沿って折り曲げるロール成形工程と、金属芯材に弾性シール部材を押出成形する押出成形工程と、金属芯材に前記装飾フィルムを固着する貼着工程とを有している。そして、この製造方法では、先ず、貼着工程を行なって、金属芯材の表面に装飾フィルムを成す樹脂シートを貼り付け、その後に、ロール成形工程を行なって、金属芯材を所定断面形状となるよう樹脂シートと共に折り曲げ、そして最後に、押出成形工程を行なって、弾性シール部材を成す樹脂材料を金属芯材に押し出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の車両用モールディングの製造方法であると、金属芯材に装飾フィルムを固着した後に、金属芯材を装飾フィルムと共に折り曲げるため、装飾フィルムに金属芯材の断面形状に沿った大きな量の伸びが生じていることになる。このように製造された車両用モールディングにさらに成形を施す、たとえば、金属芯材を車両ボデー構造体の取り付け部形状に沿わせるために長手方向において屈曲成形等の加工を施した場合、幅方向に伸びた装飾フィルムが長手方向にも伸びることになり、結果、装飾フィルムにヒビ割れ等が起こる恐れがある。これを防止するために、装飾フィルムを成す樹脂シートを柔軟性に富むウレタン系樹脂材料とすればよいが、装飾フィルムが高価なものとなり、結果、車両用モールディングのコスト増となる。
【0005】
故に、本発明は、装飾フィルムの伸び量を小さく抑えることのできる車両用モールディングの製造方法を提供することを、その技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、前記金属芯材を所定断面形状となるよう長手方向に沿って折り曲げるロール成形工程と、 該ロール成形工程の後に、前記金属芯材に前記弾性シール部材を押出成形する押出成形工程と、前記金属芯材に対して前記弾性シール部材を成す樹脂材料を押し出す前記押出成形工程内で前記金属芯材の表面に対して前記装飾フィルムを成す樹脂シートを貼り付ける貼着工程とを有した、ことである。
【0007】
この技術的手段によれば、金属芯材を所定断面形状に折り曲げた後に、装飾フィルムが金属芯材の表面に固着される。よって、金属芯材が折り曲げられる際に装飾フィルムが折り曲げられることはない。結果、従来に比べて装飾フィルムの伸び量を小さくし得る。
【0010】
より好ましくは、前記貼着工程は、前記押出成形工程にて前記弾性シール部材を押出成形する成形型に備えられた案内部材により前記装飾フィルムを成す樹脂シートを前記金属芯材に対して導く、と良い。
【0011】
より好ましくは、前記ロール成形工程と前記貼着工程との間に設けられ前記金属芯材の表面に接着剤を塗布する塗布工程を有し、前記樹脂シートは、前記貼着工程にて前記接着剤を介して前記金属芯材の表面に貼り付けられる、と良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に示されるように、車両ドア1の窓部11を開閉するウインドガラス12とドアアウタパネル13との間には、車両ドア1の車両前後方向に沿って延びるベルトモール2が配設されている。このベルトモール2は、モール本体部分3でドアアウタパネル13の上縁に取り付けられ、弾性シール部材4でウインドガラス13と弾接してウインドガラス12との間をシールしている。
【0013】
図2に示されるように、ベルトモール2は、前述したモール本体部分3及び弾性シール部材4を主として構成している。
【0014】
モール本体部分3は、所定断面形状に折り曲げられた芯板31、意匠面を構成する装飾フィルム32及びドアアウタパネル13との間をシールする複数のリップ33とから構成されている。
【0015】
芯板31は、ステンレス板31Aより成り、モール長手方向(図1示車両前後方向)に延びる長尺状のものある。この芯板31は、その幅方向においてモール長手方向に沿って略逆U字形状の一定断面形状となるよう折り曲げられており、ドアアウタパネル13とウインドガラス12との間に配置される取付部分31aとドアアウタパネル13の外側に配置される意匠部分31bとを形成している。芯板31の取付部分31aの先端には、ドアアウタパネルと係合可能な係止フランジ31cが内方に突出するよう折り曲げ形成されている。
【0016】
装飾フィルム32は、図3に示されるように、着色された塩化ビニル樹脂よるなる厚さ約150μmの厚みの第1シート32aと、第1シート32aを被覆するポリエチレンテレフタレートよりなる厚さ約50μmの透明な第2シート32bとからなる2層構造の樹脂シート32Aより成る。このように構成された装飾フィルム32は、第1シート32aが接着剤21により芯板31の意匠部分31bの外表面に貼り付けられることで、芯板31の表面に固着されている。
【0017】
リップ33は、塩化ビニル樹脂33Aより成るもので、芯板31の意匠部分31bの先端及び意匠部分31bの内裏面に対して塩化ビニル樹脂を押し出すことで、芯板31の意匠部分31bの先端及び内裏面に押出成形されている。又、芯板31の意匠部分31bの先端に押出成形されたリップ33は、図4に示されるように、装飾フィルム33の端縁と重合し、これにより、装飾フィルム33が芯板31に対して剥がれにくくしている。
【0018】
弾性シール部材4は、塩化ビニル樹脂4Aより成るもので、ウインドガラス12との接触面に植毛41aが施された複数のリップ部分41及び芯板31の係止フランジ31cを覆うプロテクタ部分42を一体に備えている。このように構成された弾性シール部材4は、塩化ビニル樹脂4Aを芯板31の取付部分31aの外表面に対して押し出すことで、芯板31の取付部分31aの外表面に押出成形されている。
【0019】
ベルトモール2は、図5に示すように、ロール成形工程A、塗布工程B、貼着工程C、押出成形工程D、植毛工程E及び切断工程Fを備えた製造ラインによって製造される。
【0020】
芯板31を成す平板状のステンレス板31Aがロール成形工程Aに至ると、ロール成形装置A1がステンレス板31Aを折り曲げ、ステンレス板31Aを所定断面形状の芯板31に成形する。ロール成形工程Aによって芯板31に成形されたステンレス板31Aが塗布工程Bに至ると、装飾フィルム32を成す樹脂シート32Aが貼り付けれる芯板31の意匠部分31aの外表面に接着剤21が噴射ノズルB1にて塗布され、加熱装置B2により焼き付けられる。塗布工程Bによって接着剤21が塗布されたステンレス板31Aが貼着工程Cに至ると、後述に図6及び図7によって詳しく説明する射出成形装置5の成形型51(図6及び図7示)に内蔵された案内ノズル52(図6及び図7示)により装飾フィルム32を成す樹脂シート32Aが接着剤21上に送り出され、意匠部分31aの外表面に接着剤21によって貼り付けられる。尚、接着剤21は、射出成形装置5の成形型51の温度によって活性化される。貼着工程Cによって装飾フィルム32が固着されたステンレス板31Aが押出成形工程Dに至ると、射出成形装置D1のキャビティ(図示せず)にリップ33及び弾性シール部材4を成す溶融された塩化ビニル樹脂33A、4Aが注入され、弾性シール部材4及びリップ33が芯板31に対して押出成形される。押出成形工程D1によってリップ33及び弾性シール部材4が押出成形されたステンレス板31Aが植毛工程Eに至ると、静電植毛装置E1によって、弾性シール部材4のリップ部分41に植毛41aが施される。そして、最後に、切断工程Fにて切断装置F1により所定長さに切断され、ベルトモール2が得られる。
【0021】
次に、貼着工程C及び押出成形工程Dを行なう射出成形装置5について説明する。
【0022】
図6及び図7に示されるように、射出成形装置5の成形型51には、芯板31を成すステンレス板31Aが通過する通路51aが形成されている。成形型51に形成された通路51aの入口側(図6示左側)には、樹脂シート32Aを送り出す案内ノズル52が配設されており、出口側(図6示右側)には、溶融された塩化ビニル樹脂33A、4Aが注入されるキャビティが形成されている。案内ノズル52には、樹脂シート32Aが挿通される案内通路53が形成されており、案内ノズル52は、この案内通路53の入口53aが成形型51の入口側面より外方に突出し、出口53bが成形型51の入口側面と出口側面との間で且つキャビティよりも入口側で通路51aの近傍に位置するよう、配置されている。案内通路53の入口53aの形状は平面形状を、出口53bの形状は芯板31の意匠部分31bの形状に沿う形状を呈しており、案内通路53は、入口53aから出口53bにかけて徐々にその断面形状を変化させている。これにより、案内ノズル52によって芯板31に塗布された接着剤21上に送り出される樹脂シート32Aは、案内通路53の出口の形状によって正確に且つ確実に芯板の意匠部分31aの外表面に貼り付けられる。
【0023】
このように、押出成形工程Dを行う射出成形装置5の成形型51に貼着工程Cを行う案内ノズル52を配設し、押出成形工程D内で貼着工程Cを行うので、製造ラインを短縮して生産性を向上させることができる。又、案内ノズル52を成形型51に配設することで、塗布工程Bで芯板31に塗布された接着剤21を成形型51の温度で装飾フィルム32を芯板31に固着させる前に活性化させることができ、接着剤21を活性化させるための加熱装置を別途必要とせず、製造ラインをより短縮して生産性を向上させることができる。
【0024】
本実施の形態においては、押出成形工程Dと貼着工程Cとを同時に行っているが、貼着工程Cは、ロール成形工程Aの後であれば、製造ラインは長くなるが、押出成形工程Dと同時に行う必要はない。又、本実施の形態においては、車両用モールディングとしてベルトモール2としたが、ベルトモール2に限らず、車両のフロントウインドシールドパネルやリヤウインドシールドパネルの縁に配設されるウインドモールや車両のルーフパネルとルーフサイドパネルとの接合凹部に配設されるルーフトップモールであっても良い。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ロール成形工程の後に貼着工程を設け、金属芯材を所定断面形状に折り曲げた後に装飾フィルムを金属芯材の表面に固着されるようにしたので、車両モールディングの製造時における装飾フィルムの伸び量を従来に比べて小さく抑えることができる。これにより、装飾フィルムのヒビ割れを防止ことができると共に装飾フィルムとして例えばポリエチレンテレフタレートなどの比較的安価な樹脂シートを用いることができ、安価な車両用モールディングとすることができる。
【0026】
又、本発明によれば、押出成形工程にて弾性シール部材を押出成形する成形型に備えられた案内部材により装飾フィルムを成す樹脂シートを金属芯材に対して導く、貼着工程を押出成形工程内で行うようにしたので、製造ラインを短縮して車両用モールディングの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用モールディングが装着された車両の斜視図である。
【図2】図1のG−G線断面図である。
【図3】本発明に係る車両用モールディングの装飾フィルムの断面図である。
【図4】本発明に係る車両用モールディングの装飾フィルムが固着された金属芯材の部分拡大図である。
【図5】本発明に係る車両用モールディングを製造する製造ラインを概略的に示した図である。
【図6】本発明に係る車両用モールディングを製造する成形型を示す図である。
【図7】図6のH−H線断面図である。
【符号の説明】
2 ベルトモール(車両用モールディング)
4 弾性シール部材
12 ウインドガラス(車両ボデー構造体)
13 ドアアウタパネル(車両ボデー構造体)
21 接着剤
31 芯板(金属芯材)
32 装飾フィルム
51 成形型
52 案内部材(案内ノズル)
A ロール成形工程
B 塗布工程
C 貼着工程
D 押出成形工程
4A 塩化ビニル樹脂(樹脂材料)
32A 樹脂シート
Claims (3)
- 車両ボデー構造体に係止される長尺状の金属芯材の表面に意匠面を構成する装飾フィルムが設けられる共に前記金属芯材に前記車両ボデー構造体に弾接して前記車両ボデー構造体との間をシールする弾性シール部材が設けられてなる車両用モールディングの製造方法において、
前記金属芯材を所定断面形状となるよう長手方向に沿って折り曲げるロール成形工程と、
該ロール成形工程の後に、前記金属芯材に前記弾性シール部材を押出成形する押出成形工程と、
前記金属芯材に対して前記弾性シール部材を成す樹脂材料を押し出す前記押出成形工程内で前記金属芯材の表面に対して前記装飾フィルムを成す樹脂シートを貼り付ける貼着工程と、
を有する車両用モールディングの製造方法。 - 前記貼着工程は、前記押出成形工程にて前記弾性シール部材を押出成形する成形型に備えられた案内部材により前記装飾フィルムを成す樹脂シートを前記金属芯材に対して導く、請求項1記載の車両用モールディングの製造方法。
- 前記ロール成形工程と前記貼着工程との間に設けられ前記金属芯材の表面に接着剤を塗布する塗布工程を有し、前記樹脂シートは、前記貼着工程にて前記接着剤を介して前記金属芯材の表面に貼り付けられる、請求項1又は2記載の車両用モールディングの製造方法。
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