JP4610772B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、密封装置に関するものである。更に詳しくは、組付けが容易でかつ組付け精度に優れた外周がゴムで形成されたオイルシール等の密封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属環外周面にゴムが被覆されている密封装置においては、その外周面は円筒面とされ、外径寸法はハウジングとの密封性を保つためハウジングの内径よりも大径に形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造の密封装置をハウジング円筒面に組付ける際、ハウジング円筒面が水平でない場所など、組付ける場所によっては、密封装置をハウジング側に保持できないことがあった。このような場合、圧入治具に密封装置を保持させた後、ハウジング円筒面に圧入するという方法をとっているが、ハウジングと圧入治具に保持された密封装置とのセンタリングを正確に行わないと、斜め組み込みやかじりが発生する虞がある。
【0004】
そこで、図5に示すように、密封装置外周部先端側にハウジング円筒面より僅かに大径の環状段部6を設けることで、ハウジング円筒面に密封装置を手で挿入して位置決め保持した後、密封装置の基端側に圧入治具を押し当て加圧して密封装置の嵌合部をハウジング円筒面の正規の位置に嵌合させるものもあるが、この場合、環状段部6はハウジング内周面と円周状均一に接触するため、嵌合代δの変化に対する嵌合力の変化の割合が大きくなる。(図6参照)すなわち嵌合代δが少しでも大きくなると、嵌合力が高まってしまい、これに伴い挿入抵抗が大きくなり手で挿入できなくなる虞があった。また嵌合代δが小さい場合は、十分な弾性保持ができない虞があり斜め組み込みによるかじりが発生する虞があった。このためハウジング円筒面の内径や密封装置の環状段部の外径の寸法管理を厳しく管理する必要が生じていた。
【0005】
本発明は、円滑かつ精度良くハウジング円筒面に圧入することができる密封装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の欠点を解消するため、本発明は、ハウジング円筒面に嵌合されるゴム様弾性体で形成された円筒状の外周部と、軸をシールする内周部とを有した密封装置において、外周部先端側に、外径がハウジング円筒面の内径よりも小径に設定された環状段部を設け、前記環状段部にハウジング内径よりも大径の突起部を円周状複数箇所設けて、前記環状段部の部分で、密封装置をハウジング円筒面に位置決め保持させることを特徴としている。
【0007】
したがって、本発明によれば、密封装置の外周部先端側にハウジング円筒面よりも小径に設定された環状段部を形成し、前記環状段部に突起部を円周状複数箇所設けることで、手で圧入できる程度の挿入抵抗を有し、挿入後は、ある程度の嵌合力をもってハウジング円筒面に密封装置を保持することができる。また、突起部の嵌合代δの変化に対する嵌合力の変化の割合が小さいのでハウジング内径と突起部に多少の寸法誤差があっても、ハウジング円筒面に保持できなかったり、手で圧入できない等の問題が防止できるとともに、ガタがある状態でハウジング円筒面に保持されることもないので、密封装置のセンタリングを精度良く行うことができ、斜め組み込みによるかじりが防止される。また、圧入治具側に密封装置を保持する構造も不要となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す一実施例について説明する。
【0009】
図1は本発明の実施例を示している。図1において、密封装置は断面L字状の補強環4を有し、前記密封装置の内周面には軸をシールする主リップ1と、主リップと反対側に設けられ塵、埃等の侵入を防ぐダストリップ3を有しており、主リップ1の外周側には、ガータスプリング2が設けられている。そして、前記密封装置の外周面にはハウジング円筒面をシールするためにゴム部材で覆われている外周部を有している。
【0010】
密封装置の外周部基端側(大気側)には、ハウジング円筒面に嵌合する嵌合部7が形成されている。上記嵌合部は、所定の嵌合代をもたせるため、その外径はハウジング円筒面の内径より大径に形成されている。そして、密封装置の外周部先端側(密封側)には、ハウジング円筒面よりも小径に形成された環状段部6が形成され、前記環状段部6には、嵌合部7とほぼ同一の径を有する断面略円形状の突起部8が円周上等間隔に設けられている。
【0011】
以上のように構成された外周にゴム部を有する密封装置をハウジング円筒面に嵌合させる場合、まず密封装置外周部先端側(密封側)に設けられた環状段部6の部分をハウジング円筒面に手で挿入し、ハウジング円筒面に位置決め保持させる。(図2参照)この時、ハウジング内周面と当接するのは、突起部8のみであり、ハウジング円筒面と密封装置との接触面積が少なくなる。また、環状段部が突起部の変形を吸収するので、嵌合代δが多少大きくなっても、嵌合力にあまり変化が無いため、手で挿入できなくなる虞がなくなる。また、嵌合代δに対して嵌合力の変化が少ないため突起部の径はハウジング内径よりも十分大きく設定することができるため、挿入後の保持力が十分確保することができ、密封装置をハウジング円筒面に安定的に精度良く位置決め保持することができる。
【0012】
次に突起部8によってハウジング円筒面に位置決め保持された密封装置の基端側に圧入治具を押し当て、加圧し密封装置をハウジング円筒面の正規の位置に嵌合させる。(図1参照)これにより、油圧などハウジングの内側から密封装置に圧力が加わっても、容易にハウジング円筒面から脱落することがなくなるとともに、密封装置外周部5とハウジング円筒面との密封性を確保する。
【0013】
尚、上述の実施例は本発明の好適な実施例の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。本実施形態において、突起部は、略円形状の突起としているが、ハウジング内に手で容易に押しこむことができ、しかも圧入後はガタついたり容易に脱落したりしない程度に設定すれば良く、例えば、図4に示すような断面三角形状等、形状、外径、本数等は種々変形可能である。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、密封装置の外周部先端側をハウジング円筒面よりも小径の環状段部とし、前記環状段部に突起を形成することによって、密封装置をハウジング円筒面に手で容易に挿入することができ、挿入後は、突起部の弾性復元力によって密封装置を安定的に精度良く位置決め保持することができる。また、突起部は嵌合代の変化に対する嵌合力の変化の割合が小さいので、密封装置の寸法管理をラフにすることができる。また、圧入治具側に密封装置を保持する構造が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の密封装置をハウジング円筒面の正規の位置に嵌合された状態を示す部分断面図
【図2】本発明の密封装置をハウジング円筒面に位置決め保持された状態を示す部分断面図
【図3】本発明の一実施例を示す密封装置の部分斜視図
【図4】本発明の他の実施例を示す密封装置の部分斜視図
【図5】従来の密封装置を示す部分断面図
【図6】従来の密封装置の環状段部周辺の拡大断面図
【符号の説明】
1 主リップ
2 ガータスプリング
3 ダストリップ
4 金属環
5 外周部
6 環状段部
7 嵌合部
8 突起部
Claims (1)
- ハウジング円筒面に嵌合されるゴム様弾性体で形成された円筒状の外周部と、軸をシールする内周部とを有した密封装置において、外周部先端側に、外径がハウジング円筒面の内径よりも小径に設定された環状段部を設け、前記環状段部にハウジング内径よりも大径の突起部を円周状複数箇所設けて、前記環状段部の部分で、密封装置をハウジング円筒面に位置決め保持させることを特徴とする密封装置。
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